説明

クリーニング部材、クリーニング装置及び画像形成装置

【課題】簡単な構成で残トナーの除去性能を維持しつつ低寿命化を抑制する。
【解決手段】クリーニング装置6は、回転自在な円筒形状を呈するクリーニングローラ61であって、周面上に少なくとも複数の凹部61Cが形成されたローラ部材61Bを有し、像担持体1の表面から残トナーを除去するクリーニングローラ61と、クリーニングローラ61の周面に当接して除去した残トナーを回収するスクレーパブレード62と、を備えている。また、クリーニングローラ61の周面上に形成された複数の凹部61Cにおける開口をトナーの粒径よりも小さくすることで目詰まりすることなく容易にトナーの除去ができ、像担持体及びクリーナーが長寿命となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙に現像剤像を転写した後に像担持体の表面に残っている現像剤を除去するクリーニング部材、クリーニング装置、及びこのクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やレーザプリンタ等の画像形成装置に採用されている電子写真方式では、像担持体である感光体の表面を帯電装置にて帯電した後、露光装置にて露光して静電潜像を形成し、現像装置にて該静電潜像を現像して現像剤像(以下、トナー像と言う。)とする。そして、該トナー像を転写装置にて転写媒体である用紙等に静電的に転写し、その後、用紙上に転写されたトナー像を定着装置にて定着し、用紙上に画像を形成する。
【0003】
また、上記感光体の周囲には、感光体上に残留するトナーを除去するためのクリーニング装置が配設されている。
【0004】
クリーニング装置は、クリーニング部材等から構成されている。クリーニング部材としては、ローラ、ファーブラシ、ブレード、ウエブ等がある。その中でもブレード(クリーニングブレード)を用いた構成が簡単、小型、低コストで且つトナーの除去性能も優れていることから広く適用されている。クリーニングブレードは、エッジ部分を感光体の表面に当接して摺擦により残トナーを掻き取る。
【0005】
ところが、上述のクリーニングブレードは、像担持体(感光体)に当接しているので、長期の使用によって当接箇所が磨耗し、また異物の噛み込みや異物の通過による一部が欠ける等の経年劣化が生じる。その結果、残トナーの除去性能が低下してしまう。
【0006】
また、クリーニングブレードは、像担持体の表面上においてエッジ部分で残トナーを堰き止める状態となるが、堰き止めた残トナーを回転している像担持体の表面にこすりつけることになるため、像担持体表面が削られ、像担持体の低寿命化の原因ともなっていた。
【0007】
そこで、近年の画像形成装置には、像担持体表面に間隙を設けて対向する弾性体のローラ(クリーニングローラ)に、電圧を印加して感光体表面の残トナーを飛翔させる構成のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
また、摺擦ローラを、金属のローラ芯体にウレタンゴム,シリコーンゴム,スポンジ等の弾性層を同心円状に配設して構成し、弾性層に螺旋状の溝を設けることにより、弾性層が感光体ドラムから掻き落としたトナー等が溝内に入り込み、廃棄用トナーボトル側となる一端側に搬送させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平8−14854号公報
【特許文献2】特開2000−194240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1の構成では、飛翔して付着した残トナーを回収するためにクリーニングローラの周面に回収部材であるスクレーパ等を当接しなければならず、当接による磨耗等によって残トナーがクリーニングローラ表面上に残ってしまい、像担持体表面上の残トナーの除去性能が低下する。しかしスクレーパの当接力を上げたり、高硬度のスクレーパにて除去効率を向上させるとクリーニングローラの寿命が短くなってしまう。
【0010】
また、特許文献2の構成では、弾性層に螺旋状の溝を設けているが、スポンジ状と同様に孔又は溝にトナーが入り込み目詰まりしてしまい、残トナーの除去性能が低下してしまうことがある。さらに該弾性層からトナーを除去回収するのにスクレーパを用いると弾性層が損耗してしまうため、弾性層ローラ(摺擦ローラ)に金属製の2次回収ローラを当接させ、更に該金属ローラ(2次回収ローラ)にスクレーパブレードを配置することも考えられるが、クリーニング装置が大型化してしまうという問題がある。
【0011】
この発明の目的は、簡単な構成で残トナーの除去性能を維持しつつ低寿命化を抑制することができるクリーニング部材、クリーニング装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を備えている。
【0013】
(1)クリーニング部材は、回転自在な円筒形状を呈し、少なくとも円筒形状の周面が複数の凹部を有する。また、複数の凹部は、開口径がトナーの粒径よりも小さく形成されている。
【0014】
この構成においては、周面に形成された凹部がトナーの粒径よりも小さいため、トナーとクリーニング部材表面との真実接触面積が低下し、トナーのクリーニング部材の周面への付着力を低減できる。また、クリーニング部材の凹部の開口における大きさ(開口径)がトナーの粒径よりも小さいためにトナーが入り込み係合、目詰まりすることがないので、クリーニング部材の除去効率を維持できる。さらに、像担持体にクリーニング部材が当接する場合の摺擦において真実接触面積が低下することになり像担持体の磨耗を抑制することができる。
【0015】
(2)クリーニング装置は、クリーニング部材と、第1電源装置と、回収部材とを備えている。
【0016】
クリーニング部材は、回転自在な円筒形状を呈し、周面が像担持体の表面に間隙を設けて対向する。また、クリーニング部材は、少なくとも周面が複数の凹部を有し、像担持体の表面に付着するトナーを除去する。
【0017】
第1電源装置は、クリーニング部材の周面に電圧を印加する。回収部材は、クリーニング部材の周面に当接して除去したトナーを回収する。
【0018】
また、複数の凹部は、開口径がトナーの粒径よりも小さく形成されている。
【0019】
この構成においては、第1電源装置による印加電圧によって像担持体のトナーが像担持体に対向する箇所においてクリーニング部材に飛翔吸引し、付着する。また、凹部の開口における大きさがトナーの粒径よりも小さく形成されているので、凹部にトナーが入り込み係合、目詰まりすることが無い。
【0020】
さらに、クリーニング部材における周面に付着したトナーが、クリーニング部材の周面に当接する回収部材によって容易に回収除去される。回収除去されたトナーは、落下して回収される。
【0021】
したがって、像担持体からトナーを飛翔させているので、摺擦することなくトナーが像担持体から除去される。さらに、クリーニング部材の周面から容易にトナーが除去されるので、均一平滑面からの除去する従来構成での当接力よりも小さい当接力でトナーがクリーニング部材の周面から除去される。すなわち、クリーニング部材及び回収部材の耐久性と残トナーの除去効率を両立維持することが可能となる。
【0022】
(3)クリーニング装置は、クリーニング部材と、回収部材とを備えている。
【0023】
クリーニング部材は、周面が像担持体の表面に当接した回転自在な円筒形状を呈し、また少なくとも周面が複数の凹部を有し、像担持体の表面からトナーを除去する。
【0024】
回収部材は、前記クリーニング部材の周面に当接して除去したトナーを回収する。
【0025】
また、複数の凹部は、開口径がトナーの粒径よりも小さく形成されている。
【0026】
この構成においては、クリーニング部材の周面に形成された凹部の開口における大きさ
トナーの粒径よりも小さいため、トナーとクリーニング部材表面との真実接触面積が低下し、トナーのクリーニング部材の周面への付着力を低減でき、クリーニング部材の周面に当接する回収部材によって容易に回収除去される。したがって、クリーニング部材の周面から容易にトナーが除去されるので、均一平滑面から除去する従来構成での当接力よりも小さい当接力でトナーがクリーニング部材の周面から除去される。
【0027】
さらに、クリーニング部材の凹部における開口の大きさがトナーの粒径よりも小さいためにトナーが入り込み係合、目詰まりすることがなく除去効率を維持できる。
【0028】
また、クリーニング部材の周面と回収部材との摺擦、及び像担持体にクリーニング部材が当接する場合の摺擦においても真実接触面積が低下することになり、クリーニング部材及び像担持体の磨耗を抑制することができる。
【0029】
(4)クリーニング装置は、さらにクリーニング部材の周面に電圧を印加する第1電源装置を備えている。
【0030】
この構成においては、クリーニング部材の周面に電圧が印加されつつ、像担持体上の転写残トナーが除去される。例えば、像担持体上のトナーと逆極性の電圧を印加することで吸引除去される。また像担持体上の残トナーのファンデルワールス付着力を弱める電圧が印加されると、より容易にトナーが像担持体から除去される。
【0031】
(5)クリーニング装置は、さらに第2電源装置を備えている。
【0032】
第2電源装置は、像担持体に形成されたトナー像を用紙に転写する転写位置とクリーニング部材との間に位置し、像担持体のトナーに電圧を印加する。
【0033】
この構成においては、転写位置とクリーニング部材との間の像担持体のトナーに電圧が印加される。転写位置においてトナー像が転写された際に残トナーの一部が、その他の残トナーとは逆極性に帯電する場合等があるが、例えば第2電源装置によってその他のトナーと同極性の電圧が印加されると、トナーの極性が均一化され、より確実に像担持体からクリーニング部材にトナーが飛翔する。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0035】
(1)複数の凹部を表面に有し、該凹部の開口における大きさをトナーの粒径よりも小さく形成することによって、トナーのクリーニング部材の周面への付着力を低減できる。さらに、クリーニング部材の凹部の開口における大きさがトナーの粒径よりも小さいためにトナーが入り込み係合、目詰まりすることがなく除去効率を維持できる。また、像担持体にクリーニング部材が当接する場合の摺擦においても真実接触面積が低下することになり像担持体の磨耗を抑制することができる。これにより、簡単な構成で残トナーの除去性能を維持しつつ低寿命化を抑制することができる。
【0036】
(2)複数の凹部の開口における大きさをトナーの粒径よりも小さく形成し、像担持体からトナーを飛翔吸引させることによって、像担持体の表面にクリーニング部材を当接する必要がない。また、クリーニング部材表面から容易にトナーが除去されるので、均一平滑面から除去する従来構成での当接力よりも小さい当接力とすることができる。さらに、クリーニング部材の周面と回収部材との摺擦においても真実接触面積が低下することになり、クリーニング部材及び像担持体の磨耗を抑制することができる。これにより、簡単な構成で残トナーの除去性能を維持しつつ低寿命化を抑制することができる。
【0037】
(3)複数の凹部の開口における大きさをトナーの粒径よりも小さく形成することによって、トナーのクリーニング部材の周面への付着力を低減でき、均一平滑面からの除去する従来構成での当接力よりも小さい当接力とすることができる。さらに、クリーニング部材の凹部の開口における大きさがトナーの粒径よりも小さいためにトナーが入り込み係合、目詰まりすることがなく除去効率を維持できる。また、クリーニング部材の周面と回収部材との摺擦、及び像担持体にクリーニング部材が当接する場合の摺擦においても真実接触面積が低下することになり、クリーニング部材及び像担持体の磨耗を抑制することができる。これにより、簡単な構成で残トナーの除去性能を維持しつつ低寿命化を抑制することができる。
【0038】
(4)クリーニング部材の周面に電圧を印加しつつ像担持体のトナーを除去することによって、より容易にトナーを除去することができる。
【0039】
(5)転写位置とクリーニング部材との間の像担持体のトナーに電圧を印加することによって、トナーをより確実に像担持体からクリーニング部材に飛翔吸引させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、この発明の最良の実施形態に係る画像形成装置を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0041】
(第1実施形態)
図1は、この発明の実施の形態に係る電子写真式の画像形成装置の内部構造を示す正面断面図である。なお、この図は、電子写真式の画像形成装置に関係する部分のみを説明したものであり、実際の本体装置の全機能を示した図ではない。
【0042】
画像形成装置100は、図示しない画像読取装置にて読み込まれた画像データや、外部から接続された機器(例えばパーソナルコンピュータ等の画像処理装置)からの画像データに基づいて用紙(OHP等の記録媒体を含む)に画像形成する。
【0043】
画像形成装置100は、画像形成部10、給紙部20等から構成されている。画像記録部10は、像担持体1を有し、像担持体1の周囲に順に配置された、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6及び除電装置7等から構成されている。
【0044】
像担持体1として、本実施形態では負帯電のOPC(有機光半導体)感光体を用いる。像担持体1は、OPC感光体以外でもよく、例えば無機感光体、アモルファスシリコン感光体等でもよい。本実施形態では、回転速度(プロセス速度)を395(mm/sec)とする。
【0045】
帯電装置2は、所定の電圧を印加することによって像担持体1の表面を均一に所定の極性、所定の電位に帯電させる。本実施形態においては、帯電装置2として帯電ローラを用いて像担持体1の表面をマイナス極性に一様に帯電させる。また、帯電装置2は、像担持体1と非接触に配置された電極ワイヤとグリッド電極からなるスコロトロン帯電装置等を用いてもよい。露光装置3は、均一に帯電された像担持体1の表面に光像を走査して画像データに基づく静電潜像を書き込む。
【0046】
現像装置4は、露光装置3により書き込まれた静電潜像を現像剤担持体(現像ローラ)41を介して現像する。現像ローラ41には、図示しない現像バイアス電源装置による印加電圧により帯電したトナーを像担持体1に対向する現像領域において静電潜像に吸着させて現像する。トナーは、現像剤補給器8から現像装置4に供給される。現像装置4は、トナーを保持するために内部に固定されたマグネットローラを有する回転自在な現像ローラ41にトナーを攪拌しながら搬送するための攪拌搬送スクリュー(図示せず)を備えている。
【0047】
なお、本実施形態では、トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を用いた二成分磁気ブラシ現像を行っているが、キャリアを必要としない一成分現像剤を用いてもよい。また、本実施形態では、体積平均粒子径が4〜9μm、CV25以下、円形度0.96〜0.99のトナーを用いる。この体積平均粒子径の測定方法は、トナーを界面活性剤を用い1%NaCl電解液に懸濁し、粒度分布測定装置コールターカウンターマルチサイザー(ベックマン・コールター社製)により測定する。
【0048】
転写装置5は、転写ローラ51を有し、像担持体1の表面上に形成されたトナー像を用紙に転写する。転写ローラ51は、転写時に像担持体1の表面に所定の押圧力で接触している。また、転写ローラ51は、図示しない電源装置から印加された電圧を用いて、像担持体1と転写装置5との間の転写ニップ部(転写位置)に搬送された用紙に像担持体1の表面上のトナー像を吸着させる。なお、本実施形態では、転写ローラ51を用いて転写を行っているが、コロトロン、転写ベルト等を用いてもよい。
【0049】
クリーニング装置6は、像担持体1の表面上に残留した残トナーを除去する。詳細は後述する。除電装置7は、図示しないLEDを用いて像担持体1の表面の残留電荷を除去する。
【0050】
画像形成部10は、さらに定着装置30を備えている。定着装置30は、画像形成装置100内の上部に位置し、用紙に転写されたトナー像を熱と圧力により定着させる。定着装置30は、加熱ローラ31及び加圧ローラ32等から構成されている。加熱ローラ31は、内部に図示しないヒータランプを有し、加圧ローラ32との当接部(ニップ部)を通過する用紙に熱を加えてトナー像を熱定着させる。加圧ローラ32は、加熱ローラ31に当接して当接部を通過する用紙に圧力を加える。
【0051】
給紙部20は、画像形成部10の下方に位置し、供給トレイ21等から構成されている。供給トレイ21は、用紙を収容する。また、用紙の補給は、供給トレイ21を画像形成装置41の正面側に引き出して行う。
【0052】
供給トレイ21に収容された用紙は、画像形成の際にピックアップローラ22等により1枚ずつ分離されてレジストローラ11まで搬送される。その後、用紙は、レジストローラ11によって挟持され、像担持体1の表面上に形成されたトナー像との転写タイミングが計られて転写位置に順次搬送される。
【0053】
転写位置でトナー像が転写された用紙は、定着装置30に搬送されてトナー像が定着される。その後、搬送ローラ15、反転ローラ18等によって排紙トレイ17に排出される。
【0054】
図2は、クリーニング装置6の概略の構成を示す正面断面図である。クリーニング装置6は、クリーニングローラ61、スクレーパブレード62及び搬送スクリュー63等から構成されている。
【0055】
この発明のクリーニング部材であるクリーニングローラ61は、シャフト61A及びローラ部材61B等から構成されている。シャフト61Aは、導電性の鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等で円筒形状に形成され、回転自在に支持されている。ローラ部材61Bは、導電部材(基材)に導電性粉体を含む高分子材料であり、シャフト61Aの周面全体に被覆されている。
【0056】
基材としては、ポリウレタン、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、及びこれらの混合物等がある。導電性粉体としては、カーボンブラック、金属、金属酸化物粉等がある。
【0057】
また、基材にエラストマー材料を用いて導電性粉体を混入することにより、ローラ部材61Aの導電性を用途に応じて最適な体積抵抗値に調整する。ローラ部材61Bは、体積抵抗が1.0×103 〜1.0×1015Ω・cmの範囲内で調整されたものであればよい。
【0058】
本実施形態では、導電性の芯金として直径8mmの鉄(STKM)製のシャフトを使用している。また、ローラ部材61Bのゴム硬度は15〜80°である。
【0059】
シャフト61Aは、図3に示すように周面がサブミクロンの微細な凹凸周期構造を有している。つまり、複数の凹部61Cが形成されている。
【0060】
複数の凹部61Cは、フェムト秒レーザ3次元超微細加工機等を用いて加工する。フェムト秒レーザ加工は、照射部位周辺に熱的・化学的損傷をほとんど与えないことが特徴であり、ポリマーなどのソフトマテリアルにも適用が可能である。レーザとしてはTi−サファイアレーザ等を用いることができ、所望する基材及び凸凹構造に応じて、出力、パルス幅、繰り返し周波数、走査等の条件を最適化して加工を行う。
【0061】
例えば、本実施形態では、凹部61Cの深さを0.02μm、凹部61Cと凹部61Cとのピッチを0.8μmとして形成する。
【0062】
また、凹部61Cの開口径をトナーの粒径よりも小さく形成している。本実施形態では、トナーの平均粒径が4〜9μmであるので、最小の径を4μm未満に形成している。
【0063】
クリーニングローラ61は、複数の凹部61が形成された周面が像担持体1の表面に対して0.1〜1.0mmの食い込み量を持って当接する位置に配置されている。また、クリーニングローラ61は、図示しない駆動装置の駆動により当接箇所において像担持体1の回転と同方向に一定の周速比で回転する。また、クリーニングローラ61は、凹部61Cの開口における大きさ(開口径)がトナーの粒径よりも小さく形成されているので、凹部61Cに入り込み係合、目詰まりさせることなくトナー粒子を周面に付着させる。これにより、像担持体1の表面上の残トナーを除去する。
【0064】
シャフト61Aには、電源装置64(本発明の第1電源装置に相当する。)が接続されている。電源装置64は、シャフト61Aに直流バイアス、又は、直流及び交流バイアスを印加する。電源装置64からバイアスが印加されると、像担持体1の当接箇所における残トナーは、振動によりファンデルワールス力が及ぶ距離から開放され、ファンデルワールス付着力による像担持体1への付着力が弱まる。そのため、クリーニングローラ61と像担持体1との回転によって像担持体1の表面からより容易に脱離させることができる。
【0065】
印加電圧として、交流電圧を印加する場合は、例えば、ピーク間電圧として1200Vを印加すればよい。また、直流バイアスを重畳する場合は、直流電圧=500V、交流電圧(ピーク間電圧)=1200Vを印加すればよい。
【0066】
なお、適正バイアスは、環境条件、使用するクリーニングローラの抵抗値、厚み等に応じて適切な値を設定すればよい。
【0067】
この発明の回収部材であるスクレーパブレード62は、シート状ポリウレタンで形成され、クリーニングローラ61の周面の残トナーを回収する。スクレーパブレード62は、クリーニングローラ61の周面に当接し、回収除去する。除去されたトナーは自重によって落下する。
【0068】
搬送スクリュー63は、回転自在に支持され、落下してきた残トナーを図示しない回収タンクに搬送する。
【0069】
以上のように、複数の凹部61Cの開口における大きさをトナーの粒径よりも小さく形成することで、トナーとクリーニングローラ61の周面との真実接触面積が低下し、トナーのクリーニングローラ61の周面への付着力を低減できる。したがって、クリーニングローラ61の周面から容易にトナーが除去されるので、均一平滑面から除去する従来構成での当接力よりも小さい当接力でトナーがクリーニングローラ61の周面から除去される。
【0070】
また、クリーニングローラ61の凹部61Cの開口の大きさがトナーの粒径よりも小さいためにトナーが入り込み係合、目詰まりすることがないので、クリーニング装置6の除去効率を維持できる。
【0071】
さらに、クリーニングローラ61の周面とスクレーパブレード62との摺擦、及び像担持体1にクリーニングローラ61が当接する場合の摺擦においても真実接触面積が低下することになり、クリーニングローラ61及び像担持体1の磨耗を抑制することができる。
【0072】
これによって、簡単な構成でクリーニングローラ61の残トナーの除去性能を維持しつつ低寿命化を抑制することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、トナー粒子と像担持体1との間のファンデルワールス付着力を弱めるために電源装置64を用いて電圧を印加しているが、印加しなくても上述と同様の効果を奏することができる。
【0074】
(第2実施形態)
本実施形態は、図4に示すように固定ブラシ65を有し、第1実施形態と同様の構成のクリーニングローラ611を像担持体1と所定の間隙を設けて配置したクリーニング装置600を備えている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0075】
固定ブラシ65は、転写位置とクリーニングローラ611との間に位置し、先端が損担持体1の表面に接触している。また、固定ブラシ65は、第2電源装置66に接続され、第2電源装置66による印加電圧により像担持体1の表面の残トナーの極性を負に均一化する。
【0076】
転写位置におけるトナー像の用紙への転写は高電圧を印加するので、像担持体1と転写ローラ51との間では放電現象を生じる場合もある。この場合、帯電量の小さいトナーや逆極性のトナーの一部が極性反転する。そのため、転写後の残トナーは、極性が不均一となる。本実施形態における像担持体1の表面上のトナーは、負極性に帯電しているが、放電によって正極性のトナーが混在する状態となる。
【0077】
固定ブラシ65は、体積抵抗が1.0×106 Ω・cm以下のものを用い、例えば−800Vの直流電圧を印加すればよい。なお、直流電圧だけでなく交流電圧を印加してもよい。
【0078】
クリーニングローラ611は、周面が所定の間隙を設けて像担持体1に対向する位置に配置されている。クリーニングローラ611は、第1実施形態と同様に接続された電源装置(本発明の第1電源装置に相当する。)64から電圧が印加される。これにより、像担持体1の残トナーがクリーニングローラ611の周面に向かって飛翔し、付着する。この時、凹部61Cの開口における大きさ(開口径)がトナーの粒径よりも小さく形成されているので、凹部61Cにトナーが入り込み係合、目詰まりすることがない。付着したトナーは、クリーニングローラ611の回転によってスクレーパブレード62により回収、除去され、搬送スクリュー63により回収される。
【0079】
以上のように、像担持体1の残トナーを飛翔させ、また複数の凹部61Cがローラ部材61Bにおいて開口における大きさをトナーの粒径よりも小さく形成することによって、トナーとクリーニングローラ61の周面との真実接触面積が低下するので、トナーのクリーニングローラ61の周面への付着力を低減できる。したがって、クリーニングローラ61の周面から容易にトナーが除去されるので、均一平滑面から除去する従来構成での当接力よりも小さい当接力でトナーがクリーニングローラ61の周面から除去される。また、クリーニングローラ61の凹部61Cの開口における大きさがトナーの粒径よりも小さいためにトナーが入り込み係合、目詰まりすることがないので、クリーニング装置6の除去効率を維持できる。
【0080】
さらに、クリーニングローラ61の周面とスクレーパブレード62との摺擦においても真実接触面積が低下することになり、クリーニングローラ61の磨耗を抑制することができる。
【0081】
これによって、第1実施形態と同様に簡単な構成でクリーニングローラ611の残トナーの除去性能を維持しつつ低寿命化を抑制することができる。
【0082】
なお、本実施形態では、トナーの極性を均一化するために第2電源装置66を用いて電圧を印加しているが、印加しなくても上述の効果を奏することができる。
【0083】
また、第1実施形態は、本実施形態と同様に、固定ブラシ65、第2電源装置66を備えた構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】この発明の実施の形態に係る電子写真式の画像形成装置の内部構造を示す正面断面図である。
【図2】同画像形成装置に備えられたクリーニング装置の概略の構成を示す正面断面図である。
【図3】クリーニングローラの外観の構成を示す斜視図である。
【図4】同画像形成装置に備えられたクリーニング装置の概略の構成を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0085】
1−像担持体
6,600−クリーニング装置
61,611−クリーニング部材
61B−ローラ部材
62−スクレーパブレード
64−第1電源装置
65−固定ブラシ
66−第2電源装置
100−画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在な円筒形状を呈し、少なくとも前記円筒形状の周面が複数の凹部を有するクリーニング部材であって、前記複数の凹部の開口径が現像剤の粒径よりも小さいことを特徴とするクリーニング部材。
【請求項2】
回転自在な円筒形状を呈し、周面が像担持体の表面に間隙を設けて対向するクリーニング部材であって、少なくとも前記周面が複数の凹部を有し、前記像担持体の表面に付着する現像剤を除去するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材の周面に電圧を印加する第1電源装置と、
前記クリーニング部材の周面に当接して除去した現像剤を回収する回収部材と、を備え、
前記凹部は、開口径が現像剤の粒径よりも小さいことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
周面が像担持体の表面に当接した回転自在な円筒形状を呈し、少なくとも前記周面が複数の凹部を有するクリーニング部材であって、前記像担持体の表面から現像剤を除去するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材の周面に当接して除去した現像剤を回収する回収部材と、を備え、
前記複数の凹部は、開口径が現像剤の粒径よりも小さいことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
前記クリーニング部材の周面に電圧を印加する第1電源装置を備えたことを特徴とする請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記像担持体に形成された現像剤像を用紙に転写する転写位置と前記クリーニング部材との間に位置し、前記像担持体の現像剤に電圧を印加する第2電源装置を備えたことを特徴とする請求項2又は4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
現像剤像を形成する像担持体を有し、用紙に前記現像剤像を転写して画像形成を行う画像形成装置において、
請求項2〜5の何れかに記載のクリーニング装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−183487(P2007−183487A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2621(P2006−2621)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】