説明

クリーニング部材

【課題】 低コストで長期間に亘って良好なクリーニング性を維持するクリーニング部材を提供することを課題とする。
【解決手段】 芯体11の表面にスポンジ部材の両面に接着層を具備した両面テープを巻回して形成した下層12と、下層12の外表面に設けられた上層13とからなり、上層13が、繊維13aを撚った糸13Aを編んだ編物からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、外部添加剤、紙粉等を除去するのに用いるクリーニング部材に関し、特に、複写機、プリンタ、ファクシミリ等に用いられる帯電ロールに付着するトナーを除去するクリーニングロールとして好適なクリーニング部材に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置、例えば、複写機、プリンタあるいはこれらの機能を併せ持った複合OA機器等には、クリーニングブレードやクリーニングロールが用いられている。クリーニングロールは、感光体や帯電ロールに当接させて付着したトナーや、外部添加剤、紙粉、その他の異物を除去するものであるが、クリーニングロールがトナー等の異物を十分に除去できない場合は、感光体や帯電ロール等が傷ついてしまい、さらに印刷画像の不良も生じてしまう。このため、クリーニングロールは、長期間に亘ってクリーニング性を維持することが求められている。
【0003】
そこで、スポンジ材からなるクリーニング部材を有する帯電装置(特許文献1参照)、円筒状弾性体と、熱融着性繊維を絡み合わせた繊維層とからなるトナー供給ローラ(特許文献2参照)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1では、発泡体を成形しこれに穴を開けて芯体を通す、特許文献2では、一度成形したロールに熱融着性繊維を被せた後に再び金型を用いて加熱する、など製造工程が多く、高コストになるという問題があった。また、除去した異物を保持しにくいため長期間に亘って使用するのは困難であるなどの問題があった。
【0005】
【特許文献1】特許第2847524号公報
【特許文献2】特開2006−064774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、低コストで長期間に亘って良好なクリーニング性を維持するクリーニング部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、芯体の表面にスポンジ部材の両面に接着層を具備した両面テープを巻回して形成した下層と、前記下層の外表面に設けられた上層とからなり、前記上層は、織物又は編物からなる繊維層の少なくとも1層からなることを特徴とするクリーニング部材にある。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載のクリーニング部材において、前記両面テープの厚さが0.4〜3.0mmであることを特徴とするクリーニング部材にある。
【0009】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載のクリーニング部材において、前記スポンジ部材がポリオレフィン、又はアクリルゴムからなることを特徴とするクリーニング部材にある。
【0010】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様に記載のクリーニング部材において、前記上層は、同種又は異種の繊維層を複数積層して形成したものであることを特徴とするクリーニング部材にある。
【0011】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様に記載のクリーニング部材において、前記クリーニング部材がロール形状であることを特徴とするクリーニング部材にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、低コストで長期間に亘って良好なクリーニング性を維持するクリーニング部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のクリーニング部材は、芯体の表面にスポンジ部材の両面に接着層を具備した両面テープを巻回して形成した下層と、下層の外表面に設けられた上層とからなる。このように、芯体の表面にスポンジ部材の両面に接着層を具備した両面テープを巻回して形成した下層と、所定の上層とを具備することにより、長期間に亘って好適に当接する部材のトナー、外部添加剤、紙粉、その他の異物を除去することができるものとなる。
【0014】
以下に、本発明のクリーニング部材の一例であるクリーニングロールを例示し、本発明の詳細を説明する。
【0015】
図1に本発明のクリーニング部材の一例であるクリーニングロールを示す。図1(a)はクリーニング部材の断面図であり、図1(b)はクリーニング部材の表面(繊維層)の一部を拡大した概略図である。
【0016】
図1(a)に示すようにクリーニングロール10は、芯体11上にスポンジ部材の両面に接着層を具備した両面テープを巻回して形成した下層12を有するものであり、下層12上には上層13が設けられている。
【0017】
図1のクリーニングロール10の製造方法を、図2を用いて簡単に説明する。まず、図2(a)に示すように、芯体11の表面に、スポンジ部材の両面に接着層を具備した両面テープをスパイラル状に巻回することで下層12を形成する。そして、図2(b)に示すように、下層12に編物を被覆して接着することで下層12上に上層13が設けられ、クリーニングロール10となる。このように本実施形態のクリーニングロール10は、製造工程が非常に少ないため低コストで製造することができるものである。
【0018】
なお、勿論、両面テープの片面に上層13となる編物等を接着してから、これを芯体11に巻回して下層12と上層13とからなるクリーニングロール10を形成してもよい。
【0019】
ここで、下層12は、上述したようにスポンジ部材の両面に接着層を具備した両面テープからなるものであり、従来のクリーニング部材の弾性層の代わりとなるものである。かかる両面テープは、芯体11への接着が容易であり、上層13の接着も容易である。また、接着層及びスポンジ部材からなることで芯体11の表面に巻回しやすい。
【0020】
下層12を形成する両面テープは、厚さが0.4〜3.0mmであることが好ましい。このような厚さの範囲の両面テープは、スポンジ部材が所望の弾性力等を有するので、クリーニングロール表面のクリーニング特性を十分に発揮することができる。厚さが3.0mmより大きい両面テープを用いた場合、クリーニング効果は得られるが、クリーニングロールとしたときに、ロールの径が太くなってしまうため、複合OA機器の小型化には不適である。なお、勿論、上述したものよりも厚さが薄い両面テープを2重、もしくはそれ以上に重ねることで、上述した厚さとなるようにしてもよい。
【0021】
スポンジ部材は、硬度がAsker Cで80°以下で、且つ室温での圧縮永久歪みが30%以下であるものが好ましい。ニップ量が確保でき、また、変形が元に戻りやすい、すなわち復元力のある下層12となるためである。
【0022】
また、スポンジ部材は、ポリオレフィン又はアクリルゴムからなることが好ましい。クリーニングの際に必要な弾性が得られるためである。
【0023】
なお、両面テープの幅は特に限定されないが、5〜20mm程度であることが好ましい。芯体に巻回しやすいものとなるためである。
【0024】
本実施形態では、上層13は、図1(b)に示すように繊維13aを撚った糸13Aを編んだ編物からなる。なお、ここでいう繊維13aは直径が5μm〜100μmで、アスペクト比(長さと直径との比)が100以上のものである。本実施形態では、繊維13aを撚った糸13Aを用いた。
【0025】
また、ここでいう糸13Aは、非常に直径が小さいものである。例えば、直径(見かけ太さ)が80〜500μmであることが好ましい。相手部材に付着しているトナーは、粒径が例えば5〜10μmであり、このようなトナーを掻き取るのに好適なものとなるためである。また、この糸13Aを編むことによりできる空隙14が、トナー等の異物を掻き取って抱き込むのに好適な大きさとなるためである。さらに、クリーニングに十分な強度が得られるためである。糸の見かけ太さが80μm未満であると機械的強度が低下する虞があり、糸の見かけ太さが500μmよりも大きくなると上層13の柔軟性が損なわれてしまい、クリーニング性が低下する虞があるため好ましくない。
【0026】
上述した編物は、コースの幅(μm)及びウエールの幅(μm)が糸13Aの見かけ太さ(μm)に対して3〜10倍であるのが好ましく、特に3〜7倍が好ましい。なお、ここでいう糸の見かけ太さとは、デニールやデシテックスで表記される定長式番手法による太さではなく、顕微鏡等で観察される太さである。
【0027】
図3(a)に示すように、コースとはループ13A’の横に並んだ列(横列)、ウエールとはループ13A’の縦に並んだ列(縦列)のことである。そして、コースの幅とは横列の幅、具体的にはループ13A’の頂点間の距離であり、ウエールの幅とは縦列の幅、ここではループ13A’のピッチの幅のことである。コースの幅及びウエールの幅が糸の見かけ太さに対して3倍〜10倍である編物は、糸13Aが完全に固定された状態ではなく、上下左右に動くことができる状態である。すなわち、糸13Aが変化に対して追従性のある状態である。このため、当接部材と擦れる際、当接部材のトナー、紙粉、その他異物を掻き取りやすい。また、コースの幅及びウエールの幅が糸の見かけ太さに対して3倍〜10倍である編物は、比較的大きな空隙14Aができており、掻き取った異物を空隙14Aに抱き込むことができるだけではなく、空隙14Aから下層12の内部まで異物を落としみやすく、異物を大量に保持することができる。このため、クリーニングロール10は、より長期間に亘ってクリーニング性を維持することができる。なお、コースの幅又はウエールの幅が糸の見かけ太さに対して3倍未満の編物は、糸13Aの変化に対する追従性がなくなるだけではなく、掻き取った異物を保持し難くなる。また、コースの幅又はウエールの幅が糸の見かけ太さに対して10倍より大きい編物は、糸の変化に対する追従性は向上するが当接部材との接触面積が減少してしまい、クリーニング性が低下する虞がある。
【0028】
編物の編み方は特に限定されず、例えば、平編、ゴム編、タック編、浮き編、片畦編、両面編、レース編、添毛編等が挙げられる。
【0029】
本実施形態のクリーニングロールは、糸13Aがロールの回転方向に移動することで、相手部材のトナー等が掻き取られ、クリーニングされる。具体的には、糸13Aを構成する繊維13aのうちの少なくとも一部の繊維13aにトナー等が引っかかり、他の繊維13aがこれらを支えながらクリーニングロール10の回転方向へ移動することで相手部材のトナー等は掻き取られ、掻き取られたトナー等は糸13A同士の空隙14に落ち込む。このように繊維13aを撚った糸13Aを編んだ編物は、トナー、外部添加剤、紙粉、他の異物等を好適に除去することができる。
【0030】
本実施形態では、上層13として編物を用いたが、織物を用いてもよい。織物としては、平織、斜文織及び朱子織等の三元組織、重ね組織が挙げられる。
【0031】
上記織物は、縦糸同士の間隔(μm)が縦糸の見かけ太さ(μm)に対して3〜10倍で且つ横糸同士の間隔(μm)横糸の見かけ太さ(μm)に対して3〜10倍であるのが好ましく、特に3〜7倍が好ましい。図3(b)に示すように、縦糸13B同士の間隔又は横糸13C同士の間隔は、それぞれ隣接する糸の太さ方向の中心間距離のことである。縦糸13B同士の間隔(μm)が縦糸13Bの見かけ太さ(μm)に対して3倍〜10倍で且つ横糸13C同士の間隔(μm)が横糸13Cの見かけ太さ(μm)に対して3倍〜10倍である織物は、縦糸13B及び横糸13Cが完全に固定された状態ではなく、上下左右に動くことができる状態であり、また、比較的大きな空隙14Bができる。これにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、縦糸13B同士の間隔(μm)が縦糸13Bの見かけ太さ(μm)に対して3倍未満、又は横糸13C同士の間隔(μm)が横糸13Cの見かけ太さ(μm)に対して3倍未満の織物は、縦糸13B又は横糸13Cの変化に対する追従性がなくなるだけではなく、掻き取った異物を保持し難くなる。また、縦糸13B同士の間隔(μm)が縦糸13Bの見かけ太さ(μm)に対して10倍より大きい、又は横糸13C同士の間隔(μm)が横糸13Cの見かけ太さ(μm)に対して10倍より大きい織物は、縦糸13B又は横糸13Cの変化に対する追従性は向上するが当接部材との接触面積が減少してしまい、クリーニング性が低下する虞がある。
【0032】
また、織物の縦糸及び横糸の見かけ太さは特に限定されない。また、織物は、縦糸と横糸とが材質や見かけ太さが異なるものであってもよい。
【0033】
上層13を構成する糸(編物)、縦糸及び横糸(織物)は、繊維を束ねたものであるが、勿論、繊維を撚ったものでも、繊維を編んだものでもよく、クリーニング性を損なわない範囲で飾り糸(繊維)を含む繊維を束ねたものであってもよい。また、糸(編物)、縦糸及び横糸(織物)を構成する繊維は、太さが5〜100μmであることが好ましい。繊維の太さが5μm未満となると、十分な強度の糸が得られ難くなり、繊維の太さが100μmよりも大きくなると、上層13の柔軟性が得られ難くなり、クリーニング性が低下する虞があるからである。
【0034】
編物又は織物は、それぞれ上述した条件を満たす糸、又は縦糸及び横糸以外に、クリーニング性を損なわない範囲で他の糸が存在していてもよく、例えば、糸、又は縦糸及び横糸よりも細く縮れた糸が存在していてもよく、起毛した状態の糸が存在していてもよい。
【0035】
糸(編物)、縦糸及び横糸(織物)の材質はいずれも特に限定されず、例えば、コットン、麻、ウール、シルク、ポリエステル、ナイロン、アクリル等が挙げられるが、耐久性・コストの面からポリエステル、ナイロン、アクリルが好ましい。
【0036】
また、上層13は、見掛け厚さが0.5mm以上であることが好ましい。機械的強度や耐摩耗性等の機械的特性に優れたものとなるためである。
【0037】
なお、上層13はトナー等の異物を好適に除去できるものであれば、織物や編物を複数積層したものであってもよい。織物や編物を複数積層して上層13とする場合は、互いに異なるもの、例えば織物と編物とを積層したものでもよく、勿論、同じもの(織物と織物、編物と編物)を積層したものであってもよい。また、例えば同じ織物を積層する場合であっても、異なる繊維からなる織物を積層してもよく、勿論、同じ繊維からなる織物を積層してもよい。
【0038】
また、上層13は、上述したものに限定されるものではなく、パイル組織からなる織物であってもよい。パイル組織とは、地糸とは別にパイル用の縦糸又は横糸を使って、織物の表面にパイル(輪奈や切毛)を織り込んだ織物のことである。
【0039】
パイル組織から形成した上層は、厚さが0.5〜3.0mmであることが好ましい。厚さが0.5未満になると十分なニップ量が得られなくなり、3.0mmより厚くなるとクリーニング効果は得られるが、クリーニングロールとしたときに、ロールの径が太くなってしまうため、複合OA機器の小型化には不適となる。
【0040】
パイル組織の単繊維は、太さが5〜500デシテックスであることが好ましい。クリーニングに十分な強度が得られるためである。単繊維が5デシテックス未満であると機械的強度が低下する虞があり、単繊維が500デシテックスよりも大きくなると上層13の柔軟性が損なわれてしまい、当接部材を傷つける虞があるため好ましくない。
【0041】
また、パイル組織の糸の密度は、6400〜46000本/cmであることが好ましい。糸の密度がこの範囲となることにより、上層13において異物が十分に保持される。
【0042】
パイル組織の単繊維の材質は特に限定されず、例えば、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0043】
上述したように、本実施形態のクリーニングロール10を使用することで、当接部材のトナー等の異物は、上層13に掻き取られる。そして、上層13に付着したトナー等は下層12の接着層にも保持される。このため、本実施形態のクリーニングロール10は、長期間に亘って相手部材のトナー等の異物を良好にクリーニングできる。
【0044】
また、本実施形態のクリーニングロール10は、長期間に亘って使用してクリーニング性が低下した際には、下層12を芯体11から容易に剥がすことができるので、芯体11を再利用することができる。使用後のクリーニングロールを回収して芯体11を再利用することで、クリーニングロール10はさらに低コストとすることができる。
【0045】
本発明のクリーニング部材は、クリーニングロールとして好適なものである。特に、複写機、プリンタ、ファクシミリ等に用いられる帯電ロールや感光体に付着するトナーを除去するクリーニングロールとして好適なものである。
【0046】
以下、具体的な実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものでないことは言う
までもない。
【0047】
(実施例1)
硬度がAsker Cで69°で室温での圧縮永久歪みが13%のアクリル系発泡体を具備する厚さ1.3mmの両面テープ(超強力両面テープ:3M社製)の片面にレーヨンからなる帯状編物(糸の見掛け太さ80μm、縦糸同士の間隔約500μm、横糸同士の間隔約600μm、見掛け厚さ500μm)を接着し、これをφ6mmの芯金にスパイラル状に巻回して所定の大きさに突っ切りすることで、実施例1のクリーニングロールを成形した。
【0048】
(実施例2)
両面テープ(超強力両面テープ:3M社製)の代わりに、硬度がAsker Cで58°で室温での圧縮永久歪みが3%のポリエチレン系発泡体を具備する厚さ1.1mmの両面テープ(超強力両面テープ:NITTO社製)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例2のクリーニングロールを得た。
【0049】
(実施例3)
両面テープ(超強力両面テープ:3M社製)の代わりに、硬度がAsker Cで63°で室温での圧縮永久歪みが16%のアクリル系発泡体を具備する厚さ0.8mmの両面テープ(超強力両面テープ:3M社製)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例3のクリーニングロールを得た。
【0050】
(実施例4)
両面テープ(超強力両面テープ:3M社製)の代わりに、硬度がAsker Cで72°で室温での圧縮永久歪みが10%のアクリル系発泡体を具備する厚さ0.4mmの両面テープ(超強力両面テープ:寺岡製作所社製)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例4のクリーニングロールを得た。
【0051】
(実施例5)
両面テープ(超強力両面テープ:3M社製)の代わりに、硬度がAsker Cで53°で室温での圧縮永久歪みが4%のポリオレフィン系発泡体を具備する厚さ1.0mmの両面テープ(超強力両面テープ:LINTEC社製)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例5のクリーニングロールを得た。
【0052】
(実施例6)
両面テープ(超強力両面テープ:3M社製)の代わりに、硬度がAsker Cで69°で室温での圧縮永久歪みが13%のアクリル系発泡体を具備する厚さ0.9mmの両面テープ(超強力両面テープ:スリオンテック社製)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例6のクリーニングロールを得た。
【0053】
(実施例7)
硬度がAsker Cで69°で室温での圧縮永久歪みが13%のアクリル系発泡体を具備する厚さ1.3mmの両面テープ(超強力両面テープ:3M社製)をφ6mmの芯金にスパイラル状に巻回して下層を形成した。その後、下層上に織物(ナイロンからなる太さ110デシテックスの単繊維からなり、33000本/cmで厚さ1.9mmのパイル組織)を被覆して所定の大きさに突っ切りすることで、実施例7のクリーニングロールを成形した。
【0054】
(実施例8)
織物として、ナイロンからなる太さ110デシテックスの単繊維からなり、27000本/cmで厚さ1.8mmのパイル組織を用いた以外は実施例7と同様にして実施例8のクリーニングロールを得た。
【0055】
(実施例9)
織物として、アセテートからなる太さ130デシテックスの単繊維からなり、19800本/cmで厚さ1.9mmのパイル組織を用いた以外は実施例7と同様にして実施例9のクリーニングロールを得た。
【0056】
(実施例10)
織物として、エステルからなる太さ84/2デシテックス(84デシックスの単繊維を2分割したもの)の単繊維からなり、34000本/cmで厚さ1.9mmのパイル組織を用いた以外は実施例7と同様にして実施例10のクリーニングロールを得た。
【0057】
(比較例1)
メラミン樹脂発泡体(BASF社製)を角状にスライスし、芯体を挿入する穴をあけた。これに接着剤を塗布した芯体を挿入し、熱融着後、表面を研磨してロール形状とし、所定の大きさに突っ切りすることで比較例1のクリーニングロールを得た。
【0058】
(比較例2)
成形型により弾性層を成形し、表面を研磨することで、芯体の表面にウレタンからなる弾性層を成形した。この弾性層の表面に接着剤(サイビノールHM−680:サイデン化学株式会社製)を塗布してこれに実施例1と同様の帯状編物を被覆し、所定の大きさに突っ切りすることで、比較例2のクリーニングロールを得た。
【0059】
各実施例のクリーニングロールと各比較例のクリーニングロールの製造工程を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
各実施例のクリーニングロールは、比較例1及び2のクリーニングロールに比べて製造工程が少ないことが明らかである。これより、本発明のクリーニングロールは、製造工程が少なく、低コストで製造することができるクリーニングロールであることがわかる。
【0062】
(試験例1)
感光体に当接させた帯電ロールに、各実施例及び各比較例のクリーニングロールを食い込み量0.1mmとなるように当接させた。その後、帯電ロールの幅100mmにトナー約0.03gを均一に塗布し、駆動モータにより感光体を300rpmで回転させた。なお、このとき帯電ロール及びクリーニングロールは連れ回りする。
【0063】
駆動モータを15分間運転した後の帯電ロールの表面のクリーニング状態を観察し、帯電ロールの表面が良好にクリーニングされている場合は、同様の操作を再び行った。帯電ロールがクリーニングされなくなった時点で操作を終了した。結果を表2に示す。
【0064】
<トナーの種類>
デジタルトナー(コミカミノルタ社製)
スチレン系レジン:6μm
シリコーン系外部添加剤
+0.6μm酸化チタン
【0065】
【表2】

【0066】
(結果のまとめ)
表2に示すように、実施例1〜6のクリーニングロールは、比較例1や比較例2のクリーニングロールのように長期間に亘って帯電ロール等を良好にクリーニングできるものであることがわかった。また、実施例7〜10のクリーニングロールはいずれも、比較例1及び比較例2のクリーニングロールよりも長期間に亘って良好なクリーニング性を維持することができるものであった。
【0067】
以上より、本発明のクリーニング部材は、製造工程が少なく、低コストで製造することができるものであり、長期間の亘って良好なクリーニング性を維持することがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明のクリーニング部材の一例であるクリーニングロールを示す図である。
【図2】図1のクリーニングロールの製造方法を示す図である。
【図3】クリーニングロールの表面(上層)の一部を拡大した概略図である。
【符号の説明】
【0069】
10 クリーニングロール
11 芯体
12 下層
13 上層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯体の表面にスポンジ部材の両面に接着層を具備した両面テープを巻回して形成した下層と、前記下層の外表面に設けられた上層とからなり、前記上層は、織物又は編物からなる繊維層の少なくとも1層からなることを特徴とするクリーニング部材。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング部材において、前記両面テープの厚さが0.4〜3.0mmであることを特徴とするクリーニング部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクリーニング部材において、前記スポンジ部材がポリオレフィン、又はアクリルゴムからなることを特徴とするクリーニング部材。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のクリーニング部材において、前記上層は、同種又は異種の繊維層を複数積層して形成したものであることを特徴とするクリーニング部材。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のクリーニング部材において、前記クリーニング部材がロール形状であることを特徴とするクリーニング部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−282006(P2008−282006A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101860(P2008−101860)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000227412)シンジーテック株式会社 (99)
【Fターム(参考)】