説明

クリープ試験機

【課題】複数の設定温度下において複数の試験片のクリープ試験を行うことができるクリープ試験機を提供する。
【解決手段】それぞれが独立する恒温槽2を複数配置し、各恒温槽2内にクリープ試験部4を設け、各恒温槽2を各別の設定温度下に設定する。また、試験機本体1に隣接して制御パネル5を設け、この制御パネル5に各別の恒温槽2に対応する各別の温度設定パネル6を設る。
【効果】予備試験及び本試験を同時に一括でできると共に設定温度の異なる試験も同時にでき、その結果、試験時間の短縮ができ、使用エネルギー量の削減を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験片に荷重を加えて試験片の変形量を計測するクリープ試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂材、金属材等の材料の変形を計測するため、材料である試験片に圧縮荷重又は引張荷重を加えて、この荷重による試験片の変形量を計測するクリープ試験機は公知である。
恒温槽内において、試験片を試験片受台上に載置し、設定温度に加熱した試験片上に荷重を加える圧子を接触させ、該圧子に圧縮荷重を加えて試験片の変形量を計測する圧縮クリープ試験機は知られている(例えば特許文献1)。
同じく、恒温槽内において、試験片の両端を挟持する一対のチャックを設け、この一対のチャックにより試験片をチャックし、設定温度に加熱した試験片に引張荷重を加えて、試験片の変形量を計測する引張クリープ試験機も知られている(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2000−321187号公報
【特許文献2】特開2000−65704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の先行例は、ただ1つの恒温槽内でただ1つの試験片に圧縮荷重を加えて試験片の変形量を計測する圧縮クリープ試験機である。従って予備試験と本試験は各別に行わなければならないし、恒温槽内の設定温度を変更する毎に各別に予備試験及び本試験を行わなければならない。
この点、上記特許文献2の先行例は、1つの恒温槽内に複数の試験片の試験を同時に行うことができるように、試験室を並列に複数設けてある引張クリープ試験機である。従って、同一の設定温度で複数の試験片の試験を同時に行うことができる利点がある。
しかし、何れの先行例においても設定温度を変更して試験を行う場合には、試験毎に恒温槽の温度を変更しなければならないという課題がある。
本発明は、上記の課題に鑑み、複数の設定温度下において複数の試験片のクリープ試験を行うことができるクリープ試験機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのために、本発明クリープ試験機は、それぞれが独立する恒温槽を複数配置し、各恒温槽内にクリープ試験部を設け、各恒温槽を各別の設定温度下に設定するようにしてあることを特徴とする。
また、本発明クリープ試験機は、上記複数の恒温槽を並列に配置してあることを特徴とする。
さらに、本発明クリープ試験機は、それぞれが独立する恒温槽を複数配置する試験機本体に隣接して制御パネルを設け、この制御パネルに各別の恒温槽に対応する各別の温度設定パネルを設けてあることを特長とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明クリープ試験機は、それぞれが独立する恒温槽を複数配置し、各恒温槽内にクリープ試験部を設け、各恒温槽を同一又は各別の設定温度下に設定するようにしてあることを特徴とするから、予備試験及び本試験を同時に一括でできると共に設定温度の異なる試験も同時にでき、その結果、試験時間の短縮ができ、使用エネルギー量の削減を可能とする効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面に示した実施例により、本発明の詳細を説明する。
図1に本発明クリープ試験機の正面を示してあり、クリープ試験機本体1に、それぞれが独立する複数の恒温槽2を並列に備え付けてある。図示した実施例では6個の恒温槽2を一体に構成してあり、その前部を開放して開閉可能の扉3を設けてある。
これらそれぞれの恒温槽2は、各別に設定温度下に設定するようにしてあり、各恒温槽2を例えば30℃〜80度℃のそれぞれ各別の温度に設定することができるようにしてある。勿論各恒温槽2を同一の温度に設定することもできる。
そのために、試験機本体1に隣接して制御パネル5を設け、この制御パネル5に各別の恒温槽2に対応する各別の温度設定パネル6を設けてある。
【0007】
これらそれぞれの恒温槽2内にはクリープ試験部4を設けてある。図示した実施例のクリープ試験部4は圧縮クリープ試験部であるが、このクリープ試験部4は引張クリープ試験部であってもよい。
圧縮クリープ試験部4は、図3及び図4に示してある。各恒温槽2の上壁から垂下固定した4本の支柱7の下部に試験片受台8を固設してあり、この試験片受台8の両端に試験片10を支持する支持突部9を設け、この支持突部9の両側に試験片10のための位置決めピン11を起立させてある。
【0008】
各恒温槽2の上部には荷重駆動部12が設けてあり、この荷重駆動部12から垂下し、恒温槽2の上壁を貫通して恒温槽2内に配した押圧杆13の下端に圧子14を設け、この圧子14により試験片10に圧縮荷重を加える。
上記押圧杆13の恒温槽2より外に位置する上部に変位測定部15を設け、この変位測定部15で試験片10の変位量を測定するようにしてある。
【0009】
本発明クリープ試験機は、請求項1に示す通り、それぞれが独立する恒温槽を複数配置し、各恒温槽内にクリープ試験部を設け、各恒温槽を各別に設定温度下に設定するようにしてあることを特徴とするから、各恒温槽の温度を各別にして同時に試験することができ、また適当に選別して複数の恒温槽を同温下にして試験することもできる。従って、試験時間の短縮、使用エネルギー量の削減を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明クリープ試験機全体の正面図で、一部を切欠し、恒温槽内部を示してある。
【図2】本発明クリープ試験機の側面図で、同じく一部を切欠し、恒温槽内部を示してある。
【図3】クリープ試験部の拡大正面図である。
【図4】クリープ試験部の拡大側面図である。
【図5】試験片の変位を測定する変位測定部の拡大側面図である。
【符号の説明】
【0011】
1 クリープ試験機本体
2 恒温槽
3 扉
4 クリープ試験部
5 制御パネル
6 温度設定パネル
7 支柱
8 試験片受台
9 支持突部
10 試験片
11 位置決めピン
12 荷重駆動部
13 押圧杆
14 圧子
15 変位測定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが独立する恒温槽を複数配置し、各恒温槽内にクリープ試験部を設け、各恒温槽を各別の設定温度下に設定するようにしてあることを特徴とするクリープ試験機。
【請求項2】
上記複数の恒温槽を並列に配置してある上記請求項1に記載のクリープ試験機。
【請求項3】
それぞれが独立する恒温槽を複数配置する試験機本体に隣接して制御パネルを設け、この制御パネルに各別の恒温槽に対応する各別の温度設定パネルを設けてある上記請求項1又は2に記載のクリープ試験機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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