説明

クリールにおける、又はクリールに関する改良

クリールは、ヤーンパッケージホルダ(4)に取り付けられた回転式のヤーンパッケージ(2)と、ヤーンガイド装置とを備える。ヤーンガイド装置は、第1ヤーンガイド手段(6)と、第2ヤーンガイド手段(8)と、第3ヤーンガイド手段(9)と、第4ヤーンガイド手段(10)と、を備える。第1ヤーンガイド手段は、旋回部材(12)の第1端部に取り付けられている。旋回部材は、第1端部(10)から離間した点(14)を中心として旋回する。使用の際、ヤーンは、ヤーンパッケージから第1、第2、第3、及び第4ヤーンガイド手段を通って引き出される。ヤーンに張力を加えることにより、ヤーンは解舒される。解舒の間、ヤーンがヤーンパッケージを離れる点は、ヤーン(15)パッケージを横切って軸方向前後に行き来する。第1ヤーンガイド手段(6)は旋回軸(14)を中心として自由に回動可能なので、ヤーンの張力は、ヤーンがヤーンパッケージを離れる点と実質的に並ぶ位置へ、第1ヤーンガイド手段(6)を移動させるように作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリールの巻取りヤーンパッケージからのヤーンの送出しにおける改良に関する。
【背景技術】
【0002】
クリールは通常、回転水平軸上に配列された巻取りヤーンパッケージを備えている。欧州特許0567497号は、水平に取り付けられたヤーンパッケージを備えるクリールを開示しており、そこではヤーンがヤーンパッケージから水平又は垂直方向に引き出され、ローラやピンのようなヤーンガイドを経由して、織物製造機械などのさらなる加工段階に送られる。ヤーンパッケージは比較的自由に回転でき、ヤーンに張力を加えることにより解舒される。
【0003】
米国特許5803134号は、ヤーンの張力が、ヤーンの切断又は供給された機械の停止により低下した場合でも、各ヤーンパッケージの回転軸を自動的に停止するための制動機構を開示している。この制動機構は、2つの水平ローラを備えており、そのうち第2のローラは旋回アームに装着されている。旋回アームには、ヤーンパッケージの心棒に巻きつけられたフレキシブル部材が装着されている。旋回アームは、第2のローラを下向きに回転させるように付勢され、それによりフレキシブル部材を締め付けて、ヤーンパッケージの心棒に制動力を加えるようになっている。張力がヤーンに加えられると、第2ローラは連結アームの旋回軸の周囲上向きに付勢され、それによりフレキシブル部材の張力が緩和されてヤーンパッケージの解舒が可能になる。
【0004】
ヤーンパッケージの解舒の際、ヤーンがヤーンパッケージを離れる位置は、ヤーンパッケージの幅を横切って行き来する。米国特許5803134号のクリールでは、ヤーンもローラを横切って行き来する。この移動によりヤーンには軸方向の張力が生じ、そのためヤーン綾振装置としてのヤーンパッケージ及びローラにおいて、下部ヤーン層及びローラにはそれぞれ、振動するせん断力が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
炭素繊維の解舒時などの用途において、ヤーンを構成する個々の繊維は、せん断力に対する感受性が高い。繊維の損傷は、短い繊維が製造工程に伴って機械を故障させ機械に付着するので、特に望ましからざるものである。これは、炉内において、損傷した繊維を炉から取り除くために、定期補修ダウンタイムが必要となるので、特に問題である。
【0006】
ローラを横切る移動により生じる繊維の損傷を低減するため、ローラは、一般的にセラミックで被覆されるか硬質陽極酸化される。
【0007】
ヤーンパッケージ交換の間の実行時間を最大にするため、クリールにはより大型のヤーンパッケージを組み込むことが望ましい。このため、300kg以上のヤーンパッケージを解舒可能なクリールが必要とされる。ヤーンパッケージが大型になると、その幅も広くなる。その結果、米国特許5803134号のクリールでは、ヤーンの解舒につれてヤーンがヤーンパッケージの全幅で行き来できるような、より幅広の第1及び第2ローラが必要となる。これによりクリールの費用及び寸法が格段に大きくなる。
【0008】
ヤーンパッケージを横切るヤーンの行き来により、クリール内のヤーンの移動距離が変化し、ヤーンの張力に変動が生じる。理想的には、張力は一定にすべきである。
【0009】
ヤーンパッケージにヤーンを巻く巻取り工程においても、同様の問題が発生する。ヤーンパッケージの幅を横切ってヤーンが行き来する際の距離の変動を打ち消すため弓形バーを用いることが知られている。小半径の周囲の曲がりによるヤーンへの損傷を低減するには、直径の大きいバーが必要となるので、弓形バーは解舒工程には不適切である。さらに、解舒工程においては、固定ガイドでなく転がりガイドを用いることが望ましい。弓形バーは湾曲しているので、回転する弓形バーを用いることは実用的でない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、上記又は他の不利益の少なくとも1つに対する克服を試みることにある。
【0011】
本発明のある態様によれば、クリールは、回転式のヤーンパッケージを取り付けるための少なくとも1つのヤーンパッケージホルダを備え、各ヤーンパッケージホルダは、可動第1ヤーンガイド手段を備える、対応するヤーンガイド装置を有しており、ヤーンは、ヤーンパッケージから、第1ヤーンガイド手段まで、張力を受けて引き出され、前記張力により、ヤーンがヤーンパッケージを離れる点(と実質的に並ぶ位置)へ、第1ヤーンガイド手段が移動する。
【0012】
好ましくは、第1ヤーンガイド手段は、ヤーンパッケージにおける、略縦方向に、移動可能である。
【0013】
適切には、各ヤーンガイド装置が案内手段を備えてもよく、第1ヤーンガイド手段は案内手段上にスライド可能に取り付けられてもよい。好ましくは、案内手段はヤーンパッケージの軸に対し垂直に配置されてもよい。案内手段は実質的に直線状であってもよい。代わりに、案内手段はアーチ状であってもよい。好ましくは、案内手段は実質的に一定の断面を有するロッド又は管を備えてもよい。
【0014】
代替的に、各ヤーンガイド装置は旋回部材を備えてもよく、その場合、第1ヤーンガイド手段は前記部材に装着されている。旋回部材は軸を中心として回動してもよく、可動第1ヤーンガイド手段は旋回軸から離間して配置してもよい。この軸は、ヤーンパッケージホルダの軸に対して固定されてもよい。この軸はヤーンパッケージホルダの軸に対し垂直であってもよく、好ましくは、回動軸は実質的に水平であってもよい。
【0015】
好ましくは、各ヤーンガイド装置は第2ヤーンガイド手段を備えてもよく、ヤーンは第1ヤーンガイド手段から第2ヤーンガイド手段まで引き出されてもよい。
【0016】
好ましくは、旋回部材は第1伸長部を備えてもよく、第1ヤーンガイド手段は伸長部の第1端部寄りに配置されてもよく、旋回軸は伸長部の第2端部に配置されてもよい。
【0017】
好ましくは、第2ヤーンガイド手段は旋回部材に装着されてもよく、好ましくは、旋回部材の回動軸に対し第1ヤーンガイド手段よりも近くに離間して配置されてもよい。好ましくは、第2ヤーンガイド手段の位置は、旋回軸の位置と実質的に対応するものであってもよい。
【0018】
好ましくは、ヤーンガイド手段の内の少なくとも1つは回転可能であってよく、好ましくはローラ又はプーリを備えてもよい。好ましくは、ローラの軸はヤーンパッケージホルダの軸と平行であってもよい。好ましくは、ヤーンがヤーンガイドの軸方向に大きく動かないよう、ローラがヤーンを保持してもよい。ローラは、ヤーンを保持するため変化する直径を有してもよく、又は一定の直径を有してもよく、その場合、ヤーンガイド手段はローラ上にヤーンを保持するため1以上のガイドを備える。好ましくは、ガイドはピンであってもよく、かつセラミックで被覆されていてもよい。
【0019】
好ましくは、ヤーンパッケージホルダは実質的水平に取り付けられてもよい。好ましくは、旋回軸はヤーンパッケージホルダの軸の上方に取り付けられる。好ましくは、第1ヤーンガイド手段はヤーンパッケージホルダの軸の下方に配置される。好ましくは、旋回可能部材は第2釣合い部を備えてもよく、第2釣合い部は、旋回軸に対して第1ヤーンガイド手段とは反対側に配置されてもよい。
【0020】
好ましくは、旋回軸周りに、ヤーンガイド手段に加えられた、回転力のみが、ヤーンの張力によって生じるように、前記釣合いの平衡がとられている。
【0021】
好ましくは、旋回可能部材の旋回軸は、ヤーンパッケージホルダ軸の幅の中央と同じ高さに配置されてもよい。代替的に、旋回軸はヤーンパッケージホルダの片側に配置されてもよい。好ましくは、回転半径は、ヤーンパッケージホルダの幅より十分に長くてもよい。好ましくは、この半径は、パッケージホルダの幅の少なくとも2倍であってもよい。好ましくは、この半径は、パッケージホルダの幅の少なくとも3倍であってもよい。好ましくは、この半径は、パッケージホルダの幅の少なくとも4倍であってもよい。好ましくは、第1ヤーンガイド手段は、ヤーンパッケージホルダに対してクリールの後部寄りに配置される。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも1つの回転式ヤーンパッケージを解舒する方法は、クリールの各ヤーンパッケージから送出されるヤーンに張力をかけることを備えており、各ヤーンパッケージに関して、クリールは、ヤーンパッケージを取り付けるためのヤーンパッケージホルダと、可動第1ヤーンガイド手段を備える対応するヤーンガイド装置と、を備え、ヤーンは、ヤーンパッケージから第1ヤーンガイド手段を経由して張力を受けて引き出され、前記張力により、第1ヤーンガイド手段は、ヤーンがヤーンパッケージを離れる点と実質的に並ぶ位置まで、移動する。
【0023】
本発明は、本明細書で言及された特徴又は制限のいかなる組み合わせをも含んでいる。
【0024】
本発明は様々な方式での実現が可能であるが、いくつかの実施形態を、添付図面を参照して例示的に以下説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
クリールは一般的に、フレーム上に格子状に配列された、複数のヤーンパッケージを備える。各ヤーンパッケージはフレーム上の所定の面積内に取り付けられ、各面積は実質的に同一かつ本明細書で記述されるクリ−ルに応じたものである。
【0026】
図1に示すように、クリールの好適な実施形態は、ヤーンパッケージホルダ4に取り付けられたヤーンパッケージ2と、ヤーンガイド装置とを備える。図4に示すように、ヤーンガイド装置は、第1ヤーンガイド手段6と、第2ヤーンガイド手段8と、第3ヤーンガイド手段9と、第4ヤーンガイド手段10と、旋回軸14を中心として回動する旋回部材12とを備えている。ヤーン16は、第1、第2、第3、及び第4ヤーンガイド手段によりヤーンパッケージからクリールを通って引き出される。
【0027】
ヤーンパッケージ2は、ヤーン16がヤーンパッケージを往復式に横切ってらせん状に巻き取られる回転式のものである。ヤーンパッケージホルダ4は周知の回転式のものであり、ヤーンパッケージが自由に回転できるように、ヤーンパッケージがホルダに取り付けられている。第1実施形態では、ヤーンパッケージの軸は実質的に水平である。ヤーンパッケージホルダはフレーム18に取り付けられる。
【0028】
旋回部材12は旋回軸14を中心として揺動する。旋回部材12は略伸長形であり、直線状ロッドとして図面に示されている。第1ヤーンガイド手段6は、スタッブアクスルにより部材12の第1端部に装着されている。旋回軸は、第1ヤーンガイド手段とは離間して、部材の第2端部寄りに取り付けられている。部材の第2端部は、旋回軸に関してヤーンガイド手段6とは反対側にあり、釣合い部22を備えている。例えばクリールに十分な空間がなく、釣合い部を取り外して釣合い部なしにクリールを運転することが必要な場合、釣合い部は、旋回部材から取り外し可能であってもよい。釣合い部なしにクリールを運転すると、本明細書で記述されるような旋回部材の曲げモーメントが正味ゼロとなる有利な効果が失われることが了解されよう。しかし、部材の重量を低減することにより、平衡を失った旋回部材をその中心点へ付勢する曲げモーメントを最小化することができる。したがって、ヤーンに十分な張力があれば、旋回部材は、ヤーンがヤーンパッケージを離れる点と実質的に一致して移動するであろう。釣合い部は、部材12の先端から約90°の角度で延びるロッドを備える。部材の釣合いを変更できるように、ロッドには釣合いおもり24が移動可能に装着されている。釣合い部は何らかの周知の方法で動作する。
【0029】
旋回軸14は、旋回部材が軸を中心として揺動するようにフレームに装着されている。旋回軸は、部材12が垂直平面内で揺動するように、ヤーンパッケージの軸に対し実質的垂直に、かつ水平面内に配置される。理想的には、釣合いおもりは、第1端部に対する完全なカウンタバランスとして作用するように配置され、それにより、独立した、回転部材は、旋回軸を中心とした正味ゼロの曲げモーメントを生じ、以下で明らかとなるように、使用の際、部材に作用する力はヤーンの張力のみにより生じる。
【0030】
旋回軸は、クリールパッケージの幅の中心と実質的に同一直線上に配置されるように図示されているが、本発明は、旋回軸がいずれかの側に配置されていても同様に作用するであろう。
【0031】
図4は、旋回軸の位置と第1ヤーンガイド6とを示している。旋回軸は、クリールパッケージ軸の後方かつ上方に配置されている。第1ヤーンガイドは、クリールパッケージの後方かつ下方に配置されている。
【0032】
第2ヤーンガイド手段8は、旋回点14より前方の位置において回動部材に装着されているものとして図面に示されている。しかし、理想的には第2ヤーンガイド手段は、その移動を最小化するようできる限り旋回位置に近接して配置すべきであるが、本発明は、第2ヤーンガイド手段が部材12上のいかなる位置に装着されても、又はフレーム上のいかなる適切な位置に装着されても同様に作用するであろうことが了解されよう。
【0033】
図4に示すように、第3ヤーンガイド手段9及び第4ヤーンガイド手段10は、制動部材26に装着されている。制動部材は、フレームに対し固定された軸を有するロッド28を中心として回動可能である。第3ヤーンガイド手段は、ロッド前方の制動部材上かつ制動部材の第1端部に配置される。第4ヤーンガイド手段は、ロッド後方の、制動部材の第2端部に装着されている。ロープ30などのフレキシブル部材の第1端部は、制動部材の第2端部に固定される。ロープは、その第2端部がフレームに固定されて、クリールパッケージホルダ4の径方向表面を覆うように配置される。制動部材は、ばね32によって第3ヤーンガイド手段を下向きに回動させるように付勢される。このような回動により、ロープ30には張力がかかり、クリールパッケージホルダに制動力が加わり、クリールパッケージが回転しにくくなる。
【0034】
第1、第2、第3及び第4ヤーンガイド手段の各々は、ヤーンガイド手段上のヤーンの位置を保持しながら、経路周辺でヤーンを案内することが可能な周知の構成、例えば固定ロッド又はローラを備えている。ロッド又はローラの軸は、ヤーンパッケージの軸と平行に配置される。図1から6においてヤーンガイド手段は、直径が変化する周知のプーリ型のローラを備えるものとして図示されている。ローラの直径は、中央部から外側へ径方向縁部に向かって大きくなる。このようなローラの形状により、ローラ中央の最小直径部分に向けてヤーンが付勢され、ローラに対するヤーンの位置が保持されることは周知である。
【0035】
使用の際、ヤーンは、ヤーンパッケージから後方、第1ヤーンガイド手段の周囲、さらに上方へ、そして第2ヤーンガイド手段の周囲へと引き出される。ヤーンは、周知のクリールの設計にしたがって、図面に示すように、前方へ、そして第3及び第4ヤーンガイド手段をそれぞれ通して送ってもよい。第4ヤーンガイド手段を過ぎると、ヤーンはさらなるヤーンガイド手段により上方へ、さらにクリールから外部へ案内され、変成炉又は織物製造機械などの製造工程へと案内される。
【0036】
ヤーンに張力を加えることによりヤーンは解舒される。ヤーンが張力を受けると、第4ヤーンガイド手段10は、ばね32の付勢力に抗して上方に付勢される。これによりロープ30の張力が緩和され、ロープ30によりヤーンパッケージホルダに加えられていた制動力が解放され、ヤーンパッケージホルダの回転が可能になる。このようにしてヤーンは解舒される。張力が低下ないし消失すると、第4ヤーンガイド手段は、ばねによって下方に付勢され、ヤーンパッケージが回転しないようヤーンパッケージホルダに制動力が再び加わる。
【0037】
ヤーンの張力が加わってヤーンが解舒されるにつれて、ヤーンがヤーンパッケージを離れる位置は、ヤーンパッケージを横切って軸方向前後に行き来し、そのためヤーンパッケージに対して軸方向の力が発生する。第1ヤーンガイド手段は旋回軸14を中心として自由に回動可能であり、ヤーンパッケージを横切ってややアーチ形の経路で行き来可能なので、ヤーンがヤーンパッケージを離れる点と実質的に並ぶ位置へ第1ヤーンガイド手段6を移動させるように、前記張力は作用する。その結果、ヤーンはヤーンパッケージの軸に対し実質的に垂直な直線状にヤーンパッケージから引き出される。
【0038】
前記張力は、部分的にはヤーンとヤーンガイド手段との間の摩擦により、さらにはプーリの形状によって、第1ヤーンガイド手段を移動させる。第1ヤーンガイド手段は、力の平衡を求めるように移動する。したがって、ヤーンがヤーンパッケージの左手側付近から解舒されているとき、回動部材は、ヤーンの張力によって図2に示す位置へ付勢される。ヤーンが解舒を続けヤーンパッケージの中央に戻るように行き来するにつれ、回動部材は、図1に示す中央位置に向かって移動する。ヤーンがさらに解舒されると、ヤーンの張力により回動部材は、図3に示す位置に向けて付勢され、図3は、ヤーンパッケージの右手側付近にあるときに解舒されているヤーンを示している。
【0039】
以上から、使用中、回動部材は、図2及び3にそれぞれ示す2つの極限位置の間で往復回動することが了解されよう。止め具(図示せず)を用いて、慣性によるヤーンパッケージの先端を越える回動部材の移動を制限してもよい。回動部材は、慣性効果を低減するため、旋回点内に存するか回動部材に外的に作用する周知の減衰手段(図示せず)、例えばばねを備えてもよい。
【0040】
図6は、ローラ34が一定の直径を有する、いずれかのヤーンガイド手段に関する付加的又は代替的構成を示している。用途によっては、ローラ上のヤーンの位置を保持するため、ヤーンの張力によりヤーンとローラとの間に十分な摩擦が生じ、第1ヤーンガイド手段の場合に、ローラを動かすのに必要な力が発生する。他の用途では、この摩擦力は十分なものでなく、ヤーンガイド手段は2本のロッド36、37を備える。ヤーンの軸方向移動を制限するため、2本のロッドは、ローラの軸に対して固定され、ヤーンのいずれかの側に配置される。
【0041】
別の実施形態では、旋回軸14は、ヤーンパッケージの軸に対し垂直であるが水平位置に対してある角度傾斜して配置される。垂直を除くすべての場合において、使用の際、旋回軸を中心として加えられた回転力のみが、ヤーンの張力によって生じるように、部材14を釣りあわせてもよい。垂直位置に対して傾斜させた場合、この構成はなお、本発明にしたがって動作するが、第1ヤーンガイド手段を移動させる前に、ヤーンの張力がまず、部材の慣性を超えていなければならない。同様に、独立して、部材の正味の曲げモーメントが部材を垂直位置に向けて付勢するように、釣合いを構成してもよい。
【0042】
さらに別の実施形態では、第1ヤーンガイド手段は、レールやロッドなどのガイド部材上に、スライド可能に取り付けられる。ロッドはヤーンパッケージの軸に平行かつ軸に沿って配置され、その両端がフレームに装着されている。本実施形態は、ガイド部材の位置とは同等に無関係に動作するが、本明細書ではガイド部材はヤーンパッケージの軸の後方かつ下方に配置されるものとして説明される。第2ヤーンガイド手段は、第1実施形態と同様、ヤーンパッケージの軸の後方かつ上方に配置されるが、フレームに装着されている。第3及び第4のヤーンガイド手段は、実質的に上記と同様、かつ第1実施形態に従って配置される。
【0043】
第1ヤーンガイド手段は、ローラの軸と一致する取付け孔を備えている以外は、実質的に第1実施形態と一致している。ロッドが取付け孔内に配置されて、第1ヤーンガイド手段がそのロッド上に取り付けられるように、取付け孔は軸受を備えており、軸受はロッドと協働して、ヤーンガイドが最小の摩擦でロッドに沿って軸方向にスライドできるようになっている。使用中、ヤーンの張力は、上記第1実施形態と実質的同様に、ロッドを横切ってヤーンガイドを前後にスライドさせるように作用する。
【0044】
ガイド部材は直線状であってもよく、又は、ヤーンパッケージと第2ヤーンガイド手段との間で変化するヤーンの長さを補償するため、アーチ状であってもよい。
【0045】
本発明のクリールは、既存のクリールに対していくつかの利点を有している。ヤーンガイド手段の幅は縮小される。ヤーンの行き来による、ヤーンパッケージから第1ヤーンガイド手段を通って第2ヤーンガイド手段までで計測される、ヤーンの長さの変動も低減される。さらに、ローラを横切ってヤーンを行き来させることなくヤーンが解舒される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ヤーンパッケージの中央付近から解舒されているヤーンに対応する第1位置にある、本発明のクリールのあるヤーンパッケージの背面図である。
【図2】ヤーンパッケージの左側端部付近から解舒されているヤーンに対応する第2位置にある、クリールの背面図である。
【図3】ヤーンパッケージの右側端部付近から解舒されているヤーンに対応する第3位置にある、クリールの背面図である。
【図4】クリールの側面図である。
【図5】クリールの上面図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるクリールを部分的に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式のヤーンパッケージを取り付けるための少なくとも1つのヤーンパッケージホルダを備えるクリールであって、
各ヤーンパッケージホルダは、可動第1ヤーンガイド手段を備える、対応するヤーンガイド装置を有しており、
ヤーンは、前記ヤーンパッケージから、前記第1ヤーンガイド手段まで、張力を受けて引き出され、
前記張力により、前記ヤーンが前記ヤーンパッケージを離れる点に向かって、前記第1ヤーンガイド手段が移動することを特徴とするクリール。
【請求項2】
前記張力により、前記ヤーンが前記ヤーンパッケージを離れる点と実質的に並ぶ位置へ、前記第1ヤーンガイド手段が移動する、請求項1に記載のクリール。
【請求項3】
前記第1ヤーンガイド手段は、前記ヤーンパッケージにおける、略縦方向に、移動可能である、前記請求項のいずれか1つに記載のクリール。
【請求項4】
各ヤーンガイド装置が、旋回部材を備えており、
前記第1ヤーンガイド手段が、前記部材に装着されている、前記請求項のいずれか1つに記載のクリール。
【請求項5】
各ヤーンガイド装置が、第2ヤーンガイド手段を備えており、
前記ヤーンは、前記第1ヤーンガイド手段から前記第2ヤーンガイド手段まで引き出され、
前記第2ヤーンガイド手段の位置が、旋回軸の位置と実質的に一致している、前記請求項のいずれか1つに記載のクリール。
【請求項6】
前記ヤーンガイド手段の内の少なくとも1つが、回転可能なローラである、前記請求項のいずれか1つに記載のクリール。
【請求項7】
前記ヤーンが、前記ヤーンガイドの軸方向に大きく動かないよう、各ローラが前記ヤーンを保持する、請求項6に記載のクリール。
【請求項8】
旋回可能部材が、第2釣合い部を備えており、
前記第2釣合い部が、前記旋回軸に対して、前記第1ヤーンガイド手段とは反対側に配置される、前記請求項のいずれか1つに記載のクリール。
【請求項9】
前記旋回軸周りに、前記ヤーンガイド手段に加えられた、回転力のみが、前記ヤーンの張力によって生じるように、前記釣合いの平衡がとられている、請求項8に記載のクリール。
【請求項10】
回転半径が、前記ヤーンパッケージホルダの幅より十分に長い、前記請求項のいずれか1つに記載のクリール。
【請求項11】
少なくとも1つの回転式ヤーンパッケージを解舒する方法であって、
クリールの各ヤーンパッケージから送出されるヤーンに張力をかけることを備えており、
各ヤーンパッケージに関して、前記クリールは、前記ヤーンパッケージを取り付けるためのヤーンパッケージホルダと、可動第1ヤーンガイド手段を備える対応するヤーンガイド装置と、を備え、
前記ヤーンは、前記ヤーンパッケージから前記第1ヤーンガイド手段を経由して張力を受けて引き出され、
前記張力により、前記第1ヤーンガイド手段は、前記ヤーンが前記ヤーンパッケージを離れる点と実質的に並ぶ位置まで、移動する、ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−523682(P2009−523682A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550857(P2008−550857)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050024
【国際公開番号】WO2007/083163
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508218062)テックスキムプ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】TEXKIMP LIMITED
【Fターム(参考)】