説明

クリーンベンチ

【課題】クリーンベンチの作業空間における火炎の存在を作業者に知らせる。
【解決手段】クリーンベンチ100は、作業空間10の清浄度を周辺空間20よりも高くするように構成される。クリーンベンチ100は、作業空間10における火炎32を感知する火炎感知センサ40と、火炎感知センサ40の出力に基づいて警告を行う警告ユニット50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業空間の清浄度を周辺空間よりも高くするクリーンベンチに関する。
【背景技術】
【0002】
室内に局所的に周辺空間よりも清浄度が高い作業空間を形成するためにクリーンベンチが使用される。クリーンベンチの使用は、室内の全体の清浄度を所望清浄度に維持するよりもコスト面で有利である。クリーンベンチでは、作業空間に対してフィルタで浄化されたエアーを提供する。
【0003】
微生物試験を行う際に、作業のために使用するピンセットやスライドガラスのような用具をクリーンベンチの作業空間で殺菌することがある。この際に、用具に消毒用アルコールを塗布した後にそのアルコールを燃焼させることがある。
【特許文献1】特開2000−93814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルコールを燃焼させた火炎は、通常は淡い色をしているので、非常に見難い。したがって、作業者は、アルコールの燃焼が終了したとの錯覚を起こしたり、燃焼していることを忘れたりすることがある。そのために、作業者が火傷をしたり、火炎が予期せずアルコールに引火したりする危険性がある。また、アルコールに火をつけるためのガスバーナー或いはアルコールランプの火炎を消火しないままで錯誤により作業者がクリーンベンチを離れることは危険である。
【0005】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、例えば、クリーンベンチの作業空間における火炎の存在を作業者に知らせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作業空間の清浄度を周辺空間よりも高くするクリーンベンチに係り、該クリーンベンチは、前記作業空間における火炎を感知する火炎感知センサと、前記火炎感知センサの出力に基づいて警告を行う警告ユニットとを備える。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記火炎感知センサは、例えば、熱感センサを含みうる。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、人を感知する人感センサを更に備えることができ、この場合において、前記警告ユニットは、前記火炎感知センサによって火炎が感知され、かつ、前記人感センサによって人が感知されている場合には第1の警告を行い、前記火炎感知センサによって火炎が感知され、かつ、前記人感センサによって人が感知されていない場合には、前記第1の警告と区別が可能な第2の警告を行うことが好ましい。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記人感センサは、例えば、作業空間の前の空間における人の存在を感知するように構成されうる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば、クリーンベンチの作業空間における火炎の存在を作業者に知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の好適な実施形態のクリーンベンチ100の構成を模式的に示す図である。図2は、図1に示すクリーンベンチ100における警告システムの構成を概略的に示す図である。
【0013】
本発明の好適な実施形態のクリーンベンチ100は、作業空間10の清浄度を周辺空間20よりも高くするように構成される。このようなクリーンベンチ100の基本部分について、通常のクリーンベンチを流用することができる。
【0014】
クリーンベンチ100の作業空間10では、例えば、前述のような消毒の目的で、火炎32をつくる火炎手段(例えば、ガスバーナー、アルコールランプ)30が使用されうる。
【0015】
クリーンベンチ100は、作業空間10における火炎32又はそれを使って点火された火炎を感知する火炎感知センサ40と、火炎感知センサ40の出力に基づいて警告を行う警告ユニット50とを備えている。ここで、火炎感知センサ40は、熱を感知する熱感センサ、例えば、赤外線センサを含みうる。警告ユニット50は、光(ランプ)及び/又は音(スピーカ)によって作業者に警告を発する。
【0016】
クリーンベンチ100は、更に、人(作業者)を感知する人感センサ60を付加的に備えることができる。人感センサ60としては、種々のセンサを採用することができる。人感センサ60としては、例えば、図1に例示的に示すようにクリーンベンチ100を使用する作業者のフットスペースに配置されて作業者の体重に基づいて作業者を感知する圧力センサが好適である。このような圧力センサによって、作業空間10の前の空間(クリーンベンチ100を利用する作業者が立つ位置)における人の存在を高い確度で感知することができる。人感センサ60としては、その他、作業者の体温に基づいて作業者を感知する赤外線センサ等を採用することができる。
【0017】
警告ユニット50は、火炎感知センサ40によって火炎が感知され、かつ、人感センサ60によって人が感知されている場合には第1の警告を行い、火炎感知センサ40によって火炎が感知され、かつ、人感センサ60によって人が感知されていない場合には、第1の警告と区別が可能な第2の警告を行うように構成されうる。第1の警告は、第1の警告器54によって行なわれ、第2の警告は、第2の警告器56によって行われうるが、双方の警告に区別がつく限り、同一の警告器によってなれてもよい。
【0018】
警告ユニット50は、火炎感知センサ40の出力及び人感センサ60の出力に基づいて第1の警告器56及び第2の警告器56を駆動する制御器52を含みうる。制御器52は、例えば、火炎感知センサ40の出力がアクティブ状態(火炎を感知した状態)かつ人感センサ60の出力がアクティブ状態(人を感知した状態)において出力をアクティブ状態として第1の警告器54を駆動する第1の論理手段52aと、火炎感知センサ40の出力がアクティブ状態(火炎を感知した状態)かつ人感センサ60の出力がインアクティブ状態(人を感知していない状態)において出力をアクティブ状態にして第2の警告器56を駆動する第2の論理手段52bとを含んで構成されうる。
【0019】
以上のように、クリーンベンチ100の作業空間10における火炎を感知して警告を発することによって、作業者の火傷や、アルコール等の可燃物への引火といった問題の発生を未然に防止することができる。また、このような警告によって、火炎手段30の火炎を消火しないまま作業者がクリーンベンチ100を離れることも防止することができる。
【0020】
更に、人感センサ60を設けて、上記のように第1の警告と第2の警告とを区別することにより、火炎手段30やそれによって火をつけた用具などの消火を忘れたまま作業者がクリーンベンチ100を離れることをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な実施形態のクリーンベンチの構成を模式的に示す図である。
【図2】図1に示すクリーンベンチにおける警告システムの構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0022】
10 作業空間
20 周辺空間
30 火炎手段
32 火炎
40 火炎感知センサ
50 警告ユニット
52 制御器
52a 第1の論理手段
52b 第2の論理手段
54 第1の警告器
56 第2の警告器
60 人感センサ
100 クリーンベンチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業空間の清浄度を周辺空間よりも高くするクリーンベンチであって、
前記作業空間における火炎を感知する火炎感知センサと、
前記火炎感知センサの出力に基づいて警告を行う警告ユニットと、
を備えることを特徴とするクリーンベンチ。
【請求項2】
前記火炎感知センサは、熱感センサを含むことを特徴とする請求項1に記載のクリーンベンチ。
【請求項3】
人を感知する人感センサを更に備え、
前記警告ユニットは、前記火炎感知センサによって火炎が感知され、かつ、前記人感センサによって人が感知されている場合には第1の警告を行い、前記火炎感知センサによって火炎が感知され、かつ、前記人感センサによって人が感知されていない場合には、前記第1の警告と区別が可能な第2の警告を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のクリーンベンチ。
【請求項4】
前記人感センサは、前記作業空間の前の空間における人の存在を感知することを特徴とする請求項3に記載のクリーンベンチ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−253203(P2008−253203A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99712(P2007−99712)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】