説明

クリーンルーム、局所クリーン化システム、その使用方法及びクリーンルームセキュリティシステム

【課題】クリーンルーム内の必要な領域に必要なクリーン度を有する局所的なクリーン化領域を簡便に短時間で構築することができるクリーンルーム、局所クリーン化システム、その使用方法及びクリーンルームセキュリティシステムを実現することができるようにする。
【解決手段】クリーンルーム内に格子状に配置された搬送用レール6と、搬送用レール6に沿って自由に移動させることができる自走式ファンフィルタユニット8とにより、クリーンルーム内の任意の領域に必要なクリーン度を有する局所クリーン化領域20を形成することができる。また、自走式パーティションユニット9を局所クリーン化領域20を取り囲むように配置することにより、局所クリーン化領域20を他の領域から切り離すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置を製造する製造工場におけるクリーンルーム、局所クリーン化システム、その使用方法及びクリーンルームセキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスの微細化に伴い、プロセス環境のクリーン度に対する要求が高まってきている。このため、低コストで且つ制御性よくクリーン度をコントロールすることができる、局所クリーン化(ミニエンバイロメント)方式の採用が増加している。
【0003】
ミニエンバイロメント方式においては、半導体基板を雰囲気中に露出する局所領域であるミニエンバイロンメント内のクリーン度はクラス1(粒径0.1μm以上の異物が0.028m3(1立方フィート)当たり1個以下)に設定され、それ以外の領域のクリーン度はクラス1000(粒径0.1μm以上の異物が0.028m3当たり1000個以下)程度に設定されたクリーンルームを用いることが一般的である。
【0004】
しかし、設備メンテナンスやトラブルに対応する際には、ミニエンバイロメント内又はプロセスチャンバ内が、半導体基板を露出することを想定していないクリーン度の低い雰囲気にさらされるため、ミニエンバイロンメント等の内部が汚染される恐れがある。また、逆に設備メンテナンス作業の際に発生するパーティクル等により周辺の環境が汚染される恐れもある。
【0005】
これを防止するために、支柱とファンフィルタユニット、及びビニルカーテンにより構成される簡易な移動式の局所クリーンブースを形成し、任意の領域に高クリーン度のエリアを用意する方法が知られている(特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開平4−347435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような局所クリーンブースを組み立てる方法は、現地搬入及び組み立てに多くの人手と時間を必要とするため日常的な設備メンテナンスに使用するには適していないという問題がある。また、クリーンルーム面積の効率利用のため半導体装置の製造設備は可能な限り密集して配置されているため、支柱を必要とする局所クリーンブースを、クリーンルーム内に設置することは非常に困難である上、局所クリーンブース構築の際に、周囲の環境を汚染するという問題もある。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決し、クリーンルーム内の必要な領域に必要なクリーン度を有する局所的なクリーン化領域を簡便に短時間で構築することができる局所クリーン化システム、その使用方法及びクリーンルームセキュリティシステムを実現することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は、局所クリーン化システムを、クリーンルーム内に設けられた搬送用レールに沿って自走するファンフィルタユニットにより局所クリーン化領域が形成される構成とする。
【0009】
具体的に、本発明のクリーンルームは、半導体装置の製造設備が設置されたクリーンルームを対象とし、クリーンルームにおける天井の下側に格子状に配置された搬送用レールが設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明のクリーンルームは、天井の下側に搬送用レールが格子状に配置されているため、人手によらず、クリーンルーム内の任意の位置に資材、部品、装置その他を搬送することができるので、人間の移動によって生じるクリーンルーム内の汚染を防止することができる。また、搬送用レールを用いてファンフィルタユニットを移動させることにより、クリーンルーム内に局所的に高クリーン度の領域を形成することができる。従って、省力化とクリーン度の向上を両立することが可能となり、半導体装置の製造に適したクリーンルームを実現できる。
【0011】
本発明の局所クリーン化システムは、クリーンルームにおける天井の下側に格子状に配置された搬送用レールと、搬送用レールに沿って搬送可能な自走式ファンフィルタユニットとを備え、自走式ファンフィルタユニットを、搬送用レールを用いてクリーンルーム内の所定の領域に移動させることにより、クリーンルーム内の所定の領域に該所定の領域を除く領域と比べてクリーン度が高い局所クリーン化領域を形成することを特徴とする。
【0012】
本発明の局所クリーン化システムによれば、クリーンルーム内に格子状に配置された搬送用レールに沿って搬送可能な自走式ファンフィルタユニットを備えているため、ファンフィルタユニットを移動させるだけでクリーンルーム内の所定の位置に所定の広さの局所クリーン化領域を簡便に短時間で形成することができる。従って、設備メンテナンスの際や異常発生の際にすばやく対応することができ、その結果、設備の生産性を向上することができる。
【0013】
また、局所クリーンブースのように支柱を設置する場所を確保する必要がないのでクリーンルーム内のスペースを有効に利用することが可能となる。さらに、組み立て作業が不要であり、省力化が可能であると共に組み立て作業に伴うクリーンルームの汚染を防止することができる。
【0014】
本発明の局所クリーン化システムにおいて、自走式ファンフィルタユニットは、パーティクル除去用フィルタ及びケミカルフィルタの少なくとも1つを有していることが好ましい。このような構成とすることにより、必要なクリーン度の環境を確実に構築することができる。
【0015】
本発明の局所クリーン化システムは、搬送用レールに沿って搬送可能で且つ空気の流れを遮断するパーティションを形成する自走式パーティションユニットをさらに備え、自走式パーティションユニットを局所クリーン化領域の周囲に配置することにより、局所クリーン化領域と該局所クリーン化領域を除く領域との間の空気の流れを遮断することが好ましい。このような構成とすることにより、局所クリーン化領域内に他の領域からエアが流入することにより、局所クリーン化領域内のクリーン度が低下することを確実に防止することができる。
【0016】
また、この場合において、自走式パーティションユニットは、空気を噴出してエアカーテンを形成するエアカーテンユニットであることが好ましい。また、ロールカーテンを収納可能に搭載したロールカーテンユニットであってもよい。このような構成とすることにより確実に、局所クリーン化領域と他の領域とを区切ることができる。
【0017】
本発明の局所クリーン化システムは、自走式ファンフィルタユニット及び自走式パーティションユニットを収納する収納エリアがクリーンルームの外部に設けられていることが好ましい。このようにすることにより、クリーンルーム内のスペースを有効に利用することができる。
【0018】
本発明の第1の局所クリーン化システムを使用する方法は、クリーンルーム内に半導体装置の製造設備が設けられている場合に、半導体装置の製造設備が設置されている領域に局所クリーン化領域を形成する工程と、局所クリーン化領域において半導体装置の製造設備をメンテナンスする工程とを備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明の局所クリーン化システムの使用方法によれば、本発明の局所クリーン化システムを用いて、半導体装置の製造設備の周辺領域を局所的にクリーン化するため、メンテナンスを行う半導体装置の製造設備の周辺を簡単に且つ迅速に所定のクリーン度とすることができる。従って、メンテナンスにかかる工数を大幅に削減できると共に、メンテナンスの際に半導体装置の製造設備が汚染されることを防止できる。
【0020】
第1の局所クリーン化システムを使用する方法は、半導体装置の製造設備をメンテナンスする工程において使用するパーツ、治具又は備品を、搬送用レールを用いて局所クリーン化領域に搬送する工程をさらに備えていることが好ましい。このようにすることにより、メンテナンス用の資材の搬入が容易になると共に、環境を汚染することが防止できる。
【0021】
本発明の第2の局所クリーン化システムを使用する方法は、半導体装置の製造設備をクリーンルームに設けられた搬入出口から搬入出する場合に、搬入出口付近の領域及び搬入出経路となる領域に局所クリーン化領域を形成する工程と、局所クリーン化領域とされた搬入出経路に沿って半導体装置の製造設備を搬入出する工程とを備えていることを特徴とする。
【0022】
第2の局所クリーン化システムを使用する方法によれば、本発明の局所クリーン化システムを用いて局所クリーン化領域を半導体装置の製造設備を搬入出する搬入出口付近及び搬入出経路に配置するため、極めて容易に設備の搬入出口及び搬入出経路を局所的にクリーン化することができるので、クリーンな環境を保ったまま設備の搬入及び搬出ができる。また、搬入出口及び搬入出経路とクリーンルーム内の他の領域との間の空気の流れを遮断できるので、設備の搬入及び搬出の際にクリーンルーム内が汚染されることを防止することができる。
【0023】
本発明の第3の局所クリーン化システムを使用する方法は、クリーンルーム内で半導体装置を製造する場合に、クリーンルーム内において半導体装置が製造される領域に局所クリーン化領域を形成する工程を備えていることを特徴とする。
【0024】
第3の局所クリーン化システムを使用する方法によれば、半導体基板が露出される領域を、本発明の局所クリーン化システムを用いて局所的にクリーン化するため、半導体基板が雰囲気により汚染されることを防止することができる。また、クリーンルーム全体を高度にクリーン化する必要がないため、半導体装置の製造設備を省力化することが可能となる。
【0025】
本発明のクリーンルームセキュリティシステムは、クリーンルームにおける天井の下側に格子状に配置された搬送用レールと、ガス検出装置又は視認用のカメラ装置を搭載し且つ搬送用レールに沿って搬送可能な自走式監視ユニットとを備え、クリーンルーム内の状況を確認すると共に、異常が発生した際には監視ユニットを用いて異常発生箇所の状態をクリーンルームの外部から確認することを特徴とする
本発明のクリーンルームセキュリティシステムによれば、クリーンルーム内に格子状に配置されたレールに沿って搬送可能な、ガス検出機構及び視認用のカメラを搭載た自走式の監視ユニットを用いるため、監視ユニットをクリーンルーム内の任意の位置に容易に移動させることができるので、監視ユニットをクリーンルーム内の状況を的確に監視することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のクリーンルーム、局所クリーン化システム、その使用方法及びクリーンルームセキュリティシステムによれば、クリーンルーム内の必要な領域に必要なクリーン度を有する局所的なクリーン化領域を簡便に短時間で構築することができるため、これを用いることにより半導体装置の製造設備の日常的なメンテナンス及び搬入出等を効率よく行うことが可能となると共に、クリーンルーム内の汚染を防止できる。さらには、クリーンルーム全体を高度にクリーン化する必要がないため製造設備の省力化を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して説明する。図1は本発明の局所空調システムを備えたクリーンルームの断面構成を示している。図1に示すようにクリーンルームのシステム天井1には、フィルタ部とファン部とからなる固定ファンフィルタユニット2が配置され、固定ファンフィルタユニット2からフリーアクセスフロア3に向けてダウンフロー(層流)でクリーンエアを供給する。フリーアクセスフロア3はグレーチングとなっており、ファンフィルタユニット2から供給されたクリーンエアはグレーチングの網目を通って床下へ抜ける。床下に抜けたクリーンエアは、クリーンルームの内壁と外壁との間に設けられたリターンシャフト4へ回収され、続いてリターンシャフト4内に設けられたドライコイルユニット5により空調された後、ファンフィルタユニット2に再供給されて、クリーンルーム内を循環する。このような構成によりクリーンルーム内の環境を、クラス1000(粒径0.1μm以上の異物が0.028m3当たり1000個以下)としている。
【0028】
システム天井1とフリーアクセスフロア3との間には搬送用レール6がシステム天井1から吊り下げられて設置されており、フィルタ部とファン部とが組み込まれた搬送体である自走式ファンフィルタユニット8を、搬送用レール6に沿って自走させることができる。搬送用レール6は、クリーンルーム内の全エリアに格子状に配置されており、搬送体を搬送用レール6に沿ってクリーンルーム内の任意の位置に移動させることができる。また、搬送用レール6の一部は、クリーンルーム外に設けられた外部保管エリア7まで延長されており、使用していない搬送体を収納することができる。なお、搬送用レール6には、通常用いられている任意のタイプの搬送用レールを用いることができ、例えば、レールの上を搬送体が走行するタイプの搬送用レール又はレールの下に搬送体を吊り下げるタイプの搬送用レールを用いればよい。
【0029】
自走式ファンフィルタユニット8は搬送用レール6の格子サイズに合わせて設計されており、複数の自走式ファンフィルタユニット8を組み合わせて、格子に沿って並べることができる。従って、必要数量の自走式ファンフィルタユニット8を必要な位置に移動させることにより、クリーンルーム内の任意の領域に局所クリーン化領域20を形成することができる。また、使用しない自走式ファンフィルタユニット8は、クリーンルーム外に設けられた外部保管エリア7に移動させて保管することができる。
【0030】
自走式ファンフィルタユニット8のフィルタ部に用いるフィルタには、形成する局所クリーン化領域20のクリーン度に応じて、パーティクル除去用フィルタであるヘパフィルタ又はウルパフィルタ等を用いればよい。また、必要に応じて化学物質を除去するケミカルフィルタを単独で又はパーティクル除去用のフィルタと組み合わせて用いてもよい。
【0031】
また、ファン部の運転、停止及び風量調整等を各ユニットごとに独立して行うことができるようにすることにより、局所クリーン化領域20内のエアの流れを均一にし、より高度なクリーン度を達成することが可能となる。また、不要なユニットを停止させることにより、省力化することも可能である。
【0032】
さらに、局所クリーン化領域20の周囲に自走式パーティションユニット9を配置することにより、局所クリーン化領域20と他の領域との間の空気の流れを遮断することができる。これにより局所クリーン化領域20内が外部から汚染されることを防止できると共に、局所クリーン化領域20内においてメンテナンスを行う際に汚染物質が発生した場合にも汚染物質の外部への拡散を防止することができる。
【0033】
自走式パーティションユニット9としては、例えばエアカーテンユニット21やロールカーテンユニット22等を用いることができる。エアカーテンユニット21は、フリーアクセスフロア3に向けて任意の風量でクリーンエアを噴出するファンを搬送体に搭載したユニットであり、各ユニットごとに独立して風量調整が可能である。
【0034】
ロールカーテンユニット22は塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート又はフッ素樹脂等からなる帯電防止シートのカーテンを収納可能に搭載した搬送体のユニットであり、各ユニットごとにカーテンを引き出し、フリーアクセスフロア3に向けて任意の位置までカーテンを展開することが可能である。また、カーテンの端部11はフリーアクセスフロア3に固定することができる。
【0035】
次に、本実施形態の局所クリーン化システムの使用方法について説明する。図2は自走式ファンフィルタユニット8と自走式パーティションユニット9とにより形成した局所クリーン化領域20をクリーンルームの上部方向から見た平面配置を示している。
【0036】
図2に示すように、半導体装置の製造設備14が設置されている領域の上部における搬送用レール6の各格子には、20個の自走式ファンフィルタユニット8が配置され、半導体装置の製造設備14の周囲に局所クリーン化領域20が形成されている。
【0037】
自走式ファンフィルタユニット8のフィルタ部にはウルパフィルタが用いられており、局所クリーン化領域20の内部はクラス1(粒径0.1μm以上の異物が0.028m3当たり1個以下)のクリーン度に設定されている。従って例えば、半導体装置の製造設備14のチャンバ内をメンテナンスする場合においても、チャンバ内が雰囲気によって汚染されることを防止できる。
【0038】
また、局所クリーン化領域20を取り囲むように16個の自走式パーティションユニット9が配置されており、局所クリーン化領域20は、他の領域から切り離されている。これにより、局所クリーン化領域20の内部へ外部から汚染物質が侵入することを防止すると共に、メンテナンス作業の際に発生した汚染物質が外部に拡散することを防止できる。
【0039】
また、半導体装置の製造設備14を完全に局所クリーン化領域20内に収める例を示したが、必要に応じて半導体装置の製造設備14のメンテナンスを行う一部分の領域のみを局所クリーン化してもよい。
【0040】
また、局所クリーン化領域20の内部のクリーン度は、内部で行う作業に応じて必要なクリーン度に設定すればよい。クリーン度の制御は、局所クリーン化領域20に配置する自走式ファンフィルタユニット8の数量並びにフィルタ部に用いるフィルタの種類及び供給するクリーンエアの流量等によって行うことができる。また、外部への汚染物質の拡散を防止するパーティションユニット9のみを配置してもよい。
【0041】
さらに、メンテナンスの際に用いるパーツ、治具、工具又は資材等を汎用の搬送ユニットに積載し搬送用レール6を用いて搬送することにより、クリーンルーム内の人間の移動を極力減らすことができるため、クリーンルーム内及び局所クリーン化領域内の汚染をより低減することが可能となる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の局所クリーン化システムによれば、簡便に短時間でクリーンルーム内の任意の領域を必要とするクリーン度を有する局所クリーン化領域とすることができると共に、局所クリーン化領域と他の領域とを切り離すことができるため、製造設備のメンテナンス等を迅速に行うことが可能となるので、半導体装置の製造設備の稼働率を高めることができる。また、メンテナンスの際に製造設備が汚染されたり、逆に周辺環境が汚染されたりすることを防止できるので、半導体装置製造工程の歩留まりを向上させることができる。
【0043】
(第2の実施形態)
以下に本発明の第2の実施形態について図を参照して説明する。図3は本発明の局所クリーン化システムを備えたクリーンルームから設備を搬出する際の状態を上部方向から見た平面配置を示している。なお、図3において図2と同一の構成要素については同一の記号を付与することにより説明を省略する。
【0044】
図3に示すように搬出する半導体装置の製造設備14から搬入出口17までの間の搬出経路16の上部には自走式ファンフィルタユニット8が隙間なく配置されており、搬入出口17付近及び搬出経路16に当たる領域のクリーン度を他の領域と比べて高くしている。これにより、搬出作業の際に半導体装置の製造設備が汚染されることを防止することができる。
【0045】
また、自走式ファンフィルタユニット8が配置され、局所的にクリーン化された領域の周囲には自走式パーティションユニット9が配置されており、局所的にクリーン化された領域を他の領域から切り離している。これにより搬出作業の際に発生する汚染物質がクリーンルーム内に拡散されることを防止することができる。さらに、搬入出口17付近に配置された自走式パーティションユニット9によりクリーンルーム外からクリーンルーム内に汚染物質が侵入することを防止している。
【0046】
なお、本実施形態においては設備を搬出する場合について説明したが、設備を搬入する場合にも同様の効果が得られる。
【0047】
(第3の実施形態)
以下に本発明の第3の実施形態について図を参照して説明する。図4は本発明のクリーンルーム監視システムを備えたクリーンルームの断面構成を示している。なお、図4において図1と同一の構成要素には同一の符号を付与することにより説明を省略する。
【0048】
図4に示すように搬送用レール6の上には、自走式監視ユニット24が配置されており、クリーンルーム内の状態を監視することができる。自走式監視ユニット24は、例えばガス検出装置12や視認用のカメラ装置13等を搬送体に搭載したものであればよい。また、複数の装置を組み合わせて搭載していてもよい。
【0049】
自走式監視ユニット24は、搬送用レール6の格子サイズに合わせて設計されており、搬送用レールに沿って外部からの指示によって自由に移動させることができる。また、自走式監視ユニットが取得したクリーンルーム内のデータは無線通信により常時外部に発信することができる。
【0050】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に自走式ファンフィルタユニット8及び自走式パーティションユニット9と自走式監視ユニット24とを併用することにより、局所クリーン化領域20を形成し、形成した局所クリーン化領域20の状況をクリーンルーム外部から監視することが可能となる。
【0051】
以上説明したように本実施形態のクリーンルーム監視システムによれば、自走式監視ユニット24によりクリーンルーム内の任意の位置の状態を外部から常時監視することができる。また、搬送用レール6を用いてクリーンルームの上部から監視を行うため、人間が入ることができない半導体装置の製造設備の裏側等の位置についても監視することが可能であり、人間の移動に伴う汚染物質の発生も防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のクリーンルーム、局所クリーン化システム、その使用方法及びクリーンルームセキュリティシステムは、クリーンルーム内の必要な領域に必要なクリーン度を有する局所的なクリーン化領域を簡便に短時間で構築することができるため、これを用いることにより半導体装置の製造設備の日常的なメンテナンス及び搬入出等を効率よく行うことが可能となると共に、クリーンルーム内の汚染を防止できる。さらには、クリーンルーム全体を高度にクリーン化する必要がないため製造設備の省力化を行うことができるので、半導体装置を製造する製造工場におけるクリーンルーム、局所クリーン化システム、その使用方法及びクリーンルームセキュリティシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る局所クリーン化システムを備えたクリーンルームの構造を示す断面概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る局所クリーン化システムを備えたクリーンルームを上部方向から見た平面配置図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る局所クリーン化システムを備えたクリーンルームを上部方向から見た平面配置図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係るクリーンルームセキュリティシステムを備えたクリーンルームの構造を示す断面概略図である。
【符号の説明】
【0054】
1 システム天井
2 固定ファンフィルタユニット
3 フリーアクセスフロア
4 リターンシャフト
5 ドライコイルユニット
6 搬送用レール
7 保管エリア
8 自走式ファンフィルタユニット
9 自走式パーティションユニット
11 カーテン端部
12 ガス検知装置
13 視認用カメラ装置
14 半導体装置の製造設備
16 搬出経路
17 搬入出口
20 局所クリーン化領域
21 エアカーテンユニット
22 ロールカーテンユニット
24 自走式監視ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の製造設備が設置されたクリーンルームであって、
前記クリーンルームにおける天井の下側に格子状に配置された搬送用レールが設けられていることを特徴とするクリーンルーム。
【請求項2】
クリーンルームにおける天井の下側に格子状に配置された搬送用レールと、
前記搬送用レールに沿って搬送可能な自走式ファンフィルタユニットとを備え、
前記自走式ファンフィルタユニットを、前記搬送用レールを用いて前記クリーンルーム内の所定の領域に移動させることにより、前記クリーンルーム内の前記所定の領域に該所定の領域を除く領域と比べてクリーン度が高い局所クリーン化領域を形成することを特徴とする局所クリーン化システム。
【請求項3】
前記自走式ファンフィルタユニットは、パーティクル除去用フィルタ及びケミカルフィルタの少なくとも1つを有していることを特徴とする請求項2に記載の局所クリーン化システム。
【請求項4】
前記搬送用レールに沿って搬送可能で且つ空気の流れを遮断するパーティションを形成する自走式パーティションユニットをさらに備え、
前記自走式パーティションユニットを前記局所クリーン化領域の周囲に配置することにより、前記局所クリーン化領域と該局所クリーン化領域を除く領域との間の空気の流れを遮断することを特徴とする請求項2又は3に記載の局所クリーン化システム。
【請求項5】
前記自走式パーティションユニットは、空気を噴出してエアカーテンを形成するエアカーテンユニットであることを特徴とする請求項4に記載の局所クリーン化システム。
【請求項6】
前記自走式パーティションユニットは、ロールカーテンを収納可能に搭載したロールカーテンユニットであることを特徴とする請求項4に記載の局所クリーン化システム。
【請求項7】
前記自走式ファンフィルタユニット及び前記自走式パーティションユニットを収納する収納エリアが前記クリーンルームの外部に設けられていることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の局所クリーン化システム。
【請求項8】
前記クリーンルーム内に半導体装置の製造設備が設けられている場合に、
前記半導体装置の製造設備が設置されている領域に前記局所クリーン化領域を形成する工程と、
前記局所クリーン化領域において前記半導体装置の製造設備をメンテナンスする工程とを備えていることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の局所クリーン化システムの使用方法。
【請求項9】
前記半導体装置の製造設備をメンテナンスする工程において使用するパーツ、治具又は備品を、前記搬送用レールを用いて前記局所クリーン化領域に搬送する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項8に記載の局所クリーン化システムの使用方法。
【請求項10】
半導体装置の製造設備を前記クリーンルームに設けられた搬入出口から搬入出する場合に、
前記搬入出口付近の領域及び前記搬入出経路となる領域に前記局所クリーン化領域を形成する工程と、
前記局所クリーン化領域とされた前記搬入出経路に沿って前記半導体装置の製造設備を搬入出する工程とを備えていることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の局所クリーン化システムの使用方法。
【請求項11】
前記クリーンルーム内で半導体装置を製造する場合に、
前記クリーンルーム内において前記半導体装置が製造される領域に前記局所クリーン化領域を形成する工程を備えていることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の局所クリーン化システムの使用方法。
【請求項12】
クリーンルームにおける天井の下側に格子状に配置された搬送用レールと、
ガス検出装置又は視認用のカメラ装置を搭載し且つ前記搬送用レールに沿って搬送可能な自走式監視ユニットとを備え、
前記クリーンルーム内の状況を確認すると共に、異常が発生した際には前記監視ユニットを用いて異常発生箇所の状態を前記クリーンルームの外部から確認することを特徴とするクリーンルームセキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−2972(P2006−2972A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178032(P2004−178032)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】