説明

クロスコネクトパッチ案内システム

クロスコネクトパッチング環境におけるパッチコードプラグを接続および切断する処理において案内、監視、および報告を補助するための知的なネットワークパッチフィールド管理システムおよび専門のクロスコネクトケーブルが提供される。パッチコードまたはプラグの挿入または取り外しを検出するために、システムはさらにパッチコード接続を監視することもできる。ケーブルプラグの両方にLEDを有するクロスコネクトケーブルが提供される。クロスコネクトケーブルの一つのプラグのみがポートに差し込まれた場合には、そのプラグに組み込まれたLEDは回路から切り離されるが、抜かれたプラグ内のLEDは回路内に残り、システムにおいて依然として発光できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ネットワーク文書化および改訂システムに関し、より具体的には、知的なクロスコネクトパッチングおよび案内を実施するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークは数および複雑さにおいて成長し続けており、顧客のニーズを満足させるよう絶え間なく相互接続され続けている。パッチパネルは、(コンピュータおよび電話などの)エンドポイント装置と、ネットワークスイッチなどの上流装置との間の中間素子として通信ネットワークに用いられる。例えば、LANではパッチパネルはネットワークのコンピュータを、LANをインターネットまたは他の広域ネットワーク(WAN)に接続可能なスイッチまたはルータに接続する。接続にはパッチコードが用いられる。パッチコードを差し込むおよび抜くことにより、パッチパネルは接続を配列および再配列できる。
【0003】
エンドポイント装置とネットワークスイッチとの間の物理的な接続が追加、移動、または取り外されると、技術者がパッチフィールド内において必要となるパッチコードの取り付けまたは取り外しを達成できる位置にパッチパネルは配置される。パッチパネルは選択された信号の経路を技術者が迅速に変更可能であるという利点をもたらす。
【0004】
パッチパネルはクロスコネクトとインタコネクトとの2つの構造のうちの一つにおいて通常は配列される。クロスコネクト構造では、2つのパッチパネルがエンドユーザ装置とネットワークスイッチとの間に配置され、インタコネクト構造では、一つのパッチパネルのみがエンドユーザ装置とネットワークスイッチとの間に配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ネットワーク通信設備の部品間での物理ケーブル接続の実施および保守に関連する人為的な誤りは、ネットワークに重大な悪影響をもたらす可能性がある。このような悪影響は、ネットワーク技術者により実施されるネットワークケーブルの取り付けおよび取り外しの作業命令の管理および検証を改善することにより回避できる。パッチフィールドにおいてコードおよび接続をパッチングするために、移動、追加および変更(MAC)を実行する際に、MAC処置中に従うべき工程についての目視による案内を含む、技術者が従うための容易に理解できる指示システムを提供することがさらに望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一部の実施形態では、クロスコネクト配列におけるパッチコードの取り付けおよび取り外しを案内するためのシステムが提供される。パッチコードには、パッチコードプラグ内に回路および発行ダイオード(LED)などの光源が提供される。これにより、クロスコネクトパッチフィールドにおいてパッチコードMACを実行する技術者に容易に従うべき指示を示すことができる。
【0007】
本発明に従うシステムは、パッチコードを管理する目的のために提供された導体および接点を有するパッチコードを利用する。本発明の実施形態に従うパッチコードは、「10芯」パッチコードである。この用語は4つの導体の対を備える従来の「8芯」の銅のイーサネット(登録商標)パッチコードとの接続に用いられる。本発明に従う「10芯」パッチコードは、パッチコード管理専用の、「パッチコード管理導体」とも呼ばれてもよい2つの追加的な導体を有する。用語「10芯」並びに「第9の」および「第10の」導体が本発明を説明するために用いられるが、本発明の原理は8より多いまたはより少ない導体を有する銅のパッチコード、さらには光パッチコードおよび銅繊維ハイブリッドパッチコードにも拡張できることが理解される。
【0008】
本発明のこれらおよび他の態様は、図面を参照する下記の詳細な記述により当業者に説明される。本明細書に記載された実施形態が、本発明の範囲を制限することを意図しないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に用いられる、10芯パッチコードにより接続されたクロスコネクト配列における知的なパッチパネルのパッチパネルポートを示す図である。
【図2】クロスコネクト構造における知的なパッチパネル内の回路、および10芯パッチコードを示す配線図である。
【図3】パッチコードの一つのプラグが知的なパッチパネルポート内に差し込まれた場合の操作を説明する、知的なパッチパネル内の回路および10芯パッチコードを示す配線図である。
【図4】パッチコードの両方のプラグが知的なパッチパネルポート内に差し込まれた場合の操作を説明する、知的なパッチパネル内の回路および10芯パッチコードを示す配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の一実施形態に用いられる10芯クロスコネクトパッチコード10を示す。10芯クロスコネクトパッチコード10は、第1の知的なパッチパネル16のポート14内への挿入に適した第1のプラグ12、および第2の知的なパッチパネル22のポート20への挿入に適した第2のプラグ18を備える。第1のプラグ12および第2のプラグ18は本発明に用いられるために特別に設計されるが、一実施形態ではこれらのプラグは、任意のRJ−45ジャック内に挿入可能なように設計される。パッチパネルごとに一つのポートのみを示したが、本発明に従うパッチパネルは多くのポートと共に提供されることが好ましいことが理解される。例えば、一実施形態では各パッチパネルに24個のポートが提供されてもよい。
【0011】
第1のプラグ12は、標準通信接点23に加えて、第1の知的なパッチパネル16のポート14に提供される第9および第10のパネル接点25aおよび25bとの接触に適した第9および第10の接点24aおよび24bを有する。第2のプラグ18もまた、第2の知的なパッチパネル22のポート20に提供される第9および第10のパネル接点27aおよび27bとの接触に適した第9および第10の接点26aおよび26bを備える。第1および第2のプラグ12および18各々は、それぞれ、スイッチ機構28および30を備える。これにより、さらに詳しく下記するように、プラグが知的なパッチパネルのポート内に挿入されているか否かを判定することができる。
【0012】
図1に示すように、ポート14および20はそれぞれ、水平通信ケーブル32および34に接続される。知的なパッチパネル16および22はフレームおよび基礎構造の接地36に接続される。
【0013】
図2に示すように、知的なパッチパネル16および22は、制御および検出回路38および40を備える。制御および検出回路38および40は、第9および第10のワイヤに与えられる電圧を制御し、生じた電気状態に基づいてパッチコードプラグの挿入または取り外し状態を検出できる。各制御および検出回路は電圧入力46および複数の制御w、x、およびzを備える。デジタル入力/出力ゲート48および49がさらに提供され、(さらにネットワーク管理システムに接続されてもよい)パッチパネル内の接続管理信号の生成および経路指定に加えて、パッチパネル間のデジタル通信を可能にする。
【0014】
第1および第2のプラグ12および18各々は、それぞれプラグ回路50および52を備える。各プラグのプラグ回路はスイッチ機構30a、30b内に、コンデンサ54a、54b、発光ダイオード56a、56b、およびプランジャ60a、60bにより作動するスイッチ58a、58bを備える。一実施形態に従うと、コンデンサ54a、54bは同一のものであり、4.7μFのキャパシタンスを有する。
【0015】
図2では、パッチコード10はどちらの知的なパッチパネルポート内にも差し込まれていない。そしてそれ故、パネルの第9のパネル接点と、第10のパネル接点と(25aと25bと、および27aと27bと)、パッチコード10の第9の接点と、第10の接点と(24aと24bと、および26aと27bと)の間にいかなる電気的接続も存在しない。知的なパッチパネルポート14および20は「準備完了」状態にあり、パッチパネルポート14または20のどちらかへの、プラグ12または18のどちらかの挿入を検出する用意ができている。図2に示された実施形態では、第1の知的なパッチパネルポート14の制御および検出回路38は、第2の知的なパッチパネルポート20の制御および検出回路40と同一であり、第1のプラグ12のプラグ回路50は、第2のプラグ18のプラグ回路52と同一である。
【0016】
図2に示す状態における一実施形態では、制御w=on、制御x=off、および制御z=onの場合に、知的なパッチパネル回路におけるデジタル入力/出力ゲート48または49を読み出すことによって、いずれの知的なパッチパネルのポート内にもコードが挿入されてないという検出結果が判定される。デジタル入力/出力ゲートにおける読み出し値が論理的に高く、デジタル入力/出力ゲート48および49を通じたパネル間の通信が存在しない場合には、その結果、どちらのパッチパネルポートにもパッチコードが挿入されていないことが判定される。デジタル入力/出力ゲート48における読み出し値が論理的に低いか、デジタル入力/出力ゲート48および49間に通信が存在する場合には、その結果、システムはコードが挿入されていることが判定され、次にコードの種類が判定されなければならない。
【0017】
第1のプラグ12が第1の知的なパッチパネルポート14内に差し込まれているが、第2のプラグ18がいかなるパッチパネルポート内にも差し込まれていない場合における電気的接続の状態を図3に示す。説明の都合により、プラグ12はポート14内に物理的に差し込まれるようには示されていないが、接点25aと24aとの間、および25bと24bとの間における電気的接続各々を線62により示す。ポート14内にプラグ12が差し込まれるとプランジャ60は押し下げられ、このため、スイッチ58aは生じた回路において発光ダイオード56aから効率的に取り外される。抜かれたプラグ18、プランジャ60bはその伸長した状態を少しの間維持する。それ故、スイッチ58bにより発光ダイオード56bは回路内に存続し、電流が第9および第10のワイヤ42および44を通って流れると発光する。
【0018】
第1のポート14において制御w=on、制御x=off、および制御z=onである場合に、制御および検出回路38において図3の矢印付きの線によって示されるように電流が流れる。コンデンサ54bに起因する特性キャパシタンスを読み出すことにより、パッチコードの存在を検出できる。制御wおよびzをonにすると、LED56bは発光し、これにより、パッチコードの「接続されていない端部」を発光させて、取り付け操作中の技術者に示すことができる。
【0019】
第1のプラグ12が第1の知的なパッチパネルポート14内に差し込まれ、第2のプラグ18が第2の知的なパッチパネルポート20内に差し込まれた場合における電気的接続の状態を図4に示す。前の図と同様に、プラグ12および18はポート14および20内に物理的に差し込まれるようには示さないが、知的なパッチパネルポート14および20の第9および第10の接点と、パッチコード10におけるそれぞれの第9および第10の接点との間の電気的接続を線62が示す。この状態で、ポート14および20内にプラグ12および18各々が挿入されると、プランジャ60aおよび60bの両方が押し下げられる。それ故、LED56aおよび56bの両方が、生じた回路から効率的に取り外される。この状態では、第9および第10のワイヤ42および44に流れる電流によってLED56aおよび56bは発光することができない。そしてそれ故、LED56aおよび56bからの干渉なしに、第1のポート14と第2のポート20との間に信号を運ぶために第9および第10のワイヤ42および44を用いることができる。ワイヤ42および44は「第9および第10の」ワイヤと呼ばれるが、これらは、第1および第2のパッチコード管理導体とみなされてもよいことに留意されたい。プラグ12および18両方のポート14および20それぞれへの挿入状態は、例えばデジタル入力/出力ゲート48および49を通じて互いに通信するポート14および20の能力により検出することができる。パッチコード10がポートに接続する場合に、ポート14とポート20との間の信号経路を示すために、制御および検出回路38および40内に矢印を示す。
【0020】
本発明に従う知的なパッチパネルシステムは、10芯クロスコネクトパッチコードと連携して、クロスコネクト配列におけるパッチコードの追加および取り外しにおける案内を含む、多数の機能を実行可能な回路および論理を備えることが好ましい。
【0021】
可視によるパッチコードトレース操作では、知的なパッチパネルポートに隣接して提供されたLEDを発光させることにより、2つの知的なパッチパネルポート間に接続された特定のパッチコードのパッチコードエンドポイントを、システムは視覚的に認識することもできる。前述のようなパッチコード接続の検出は、パッチパネルポートにおける未許可のパッチコードの取り外しまたは挿入の監視および報告を可能にする。
【0022】
図1を参照すると、知的なパッチパネルポート14および20が、それぞれ、パッチコードプラグを差し込むための正しいポートに技術者を案内するために発光するポートLED64および66を有する場合に、本発明の一実施形態に従う例示のパッチコード追加処理は開始される。パッチコード10の第1のプラグは、次に、ポートの一つに差し込まれ、対応するプラグ内に提供されたLEDは、信号の経路から外れるように切り替えられる。例えば、図1を参照すると、第1のプラグ12が第1のポート14内に挿入された場合には、第1のプラグ12に対応するLED56aは、この工程においてパッチコード10の第9および第10のワイヤを備える信号経路から外される。次に、抜かれたプラグ18に組み込まれたLED56bは発光し、第2のポート20(そのLED66は依然として発光している)に差し込まれるべき正しいプラグを技術者に示し、技術者をポートに案内する。正しいポートが接続されたことをシステムが確認すると、ポート14および20に組み込まれたLED64および66は消される。そして、LED56aおよび56bは2つのポート間の信号経路から外れたままとなる。
【0023】
一つのプラグのみがポート内に差し込まれた場合には、さらにパッチコードトレース機能が有効になる。このトレース機能ではポートに組み込まれたポートLEDは発光し、これにより、パッチコードの抜かれたプラグに提供されたLEDも発光する。パッチフィールド内にいくつかのパッチコードが存在する場合にこれは特別な利点となり、どのパッチコードプラグが正しいかの判定は、そうでなければ、パッチパネルポートからパッチコードの抜かれた端部における正しいプラグまで、時間のかかるパッチコードの手動の追跡が必要となる可能性がある。
【0024】
「第9の」および「第10の」という用語は、本明細書では接点、導体などに用いられるが、4対のイーサネット(登録商標)ケーブルにおける例示の状況においてもこれは用いられる。本発明の管理機能の観点から、それらは第1および第2の要素と考えられてもよい。
【0025】
本発明の特定の実施形態が示され、記載されたが、本開示の一般的な範囲から逸脱せずに、変更および変形が達成される場合があることは当業者に明らかである。前述の記載および添付図面に記述された事項は、説明のためのみに提供され、制限するために提供されたものではない。本発明の実際の範囲は、先行技術に基づくそれらの適切な観点により考慮される場合に、下記の請求項により定義されるように意図される。
【符号の説明】
【0026】
12 第1のプラグ
16 第1の知的なパッチパネル
18 第2のプラグ
22 第2の知的なパッチパネル
23 標準通信接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッチコードの挿入および取り外しを案内するためのシステムであって、
第1のプラグおよび第2のプラグを有し、第1および第2のパッチコード管理導体を備えるパッチコードであって、前記第1のプラグは前記第1および第2のパッチコード管理導体と、それぞれ、電気接触を持つ第1および第2のプラグ接点を有し、前記第2のプラグは前記第1および第2のパッチコード管理導体と、それぞれ、電気接触を持つ第1および第2のプラグ接点を有する、パッチコードと、
複数のポートを備える第1の知的なパッチパネルであって、前記ポートの各々は第1および第2のパネル接点を備え、前記第1および第2のパネル接点は、前記プラグが前記ポート内に差し込まれる際に、前記プラグの第1および第2のプラグ接点との接触を持つように適合され、第1の制御および検出回路をさらに備える第1の知的なパッチパネルと、
複数のポートを備える第2の知的なパッチパネルであって、前記ポートの各々は第1および第2のパネル接点を備え、前記第1および第2のパネル接点は、前記プラグが前記ポート内に差し込まれる際に、前記プラグの第1および第2のプラグ接点と接触を持つように適合され、第2の制御および検出回路をさらに備える第2の知的なパッチパネルと、を備え、
前記第1および第2の制御および検出回路は、制御回路およびデジタル入力/出力ゲートを備え、前記第1および第2の知的なパッチパネルの前記ポート内へのパッチコードの挿入の検出は、前記制御回路が所定の状態に設置されたときに、前記デジタル入力/出力ゲートの状況を読み出すことにより達成される、システム。
【請求項2】
前記第1および第2のプラグの各々は、発光ダイオードを備えるプラグ回路をともなって提供される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1および第2のプラグの各々の前記プラグ回路は、スイッチをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1および第2のプラグの各々は、前記スイッチを作動させるプランジャをさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1および第2のプラグの前記スイッチは、前記スイッチが開かれているか、閉じられているかに応じて前記発光ダイオードを有効または無効にする、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記プラグが前記ポートのいずれかに差し込まれた場合に、前記第1および第2のプラグいずれかの前記発光ダイオードは無効になる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1および第2のプラグの各々は、コンデンサを備えるプラグ回路をともなって提供され、前記コンデンサに起因する特性キャパシタンスを読み出すことにより、前記知的なパッチパネルの前記ポートにおけるプラグの存在および不在が検出される、請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−518951(P2012−518951A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551246(P2011−551246)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/024717
【国際公開番号】WO2010/096643
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(507202736)パンドウィット・コーポレーション (70)
【Fターム(参考)】