説明

クロノグラフモードにおいて連結した振動体を備える時計

【課題】時刻またはクロノグラフシステムで計測した時間をより良い分解能で表示すると同時に、機械式腕時計の通常の頑健性および低消費動力を保証する。
【解決手段】第1の周波数で振動し、第1の歯車列5によって動力源9に接続される、時刻を表示するための第1の振動体15と、第1の歯車列5に連結デバイス44を介して接続される第2の歯車列25を備え、選択的に時間を計測するためのクロノグラフシステム51とを備える時計1に関する。クロノグラフシステム51はさらに、第2の歯車列25に接続されて第2の周波数で振動する第2の振動体35を備える。さらに、連結デバイス44が時間計測を許容するとき、同一の動力源9を用いる2つの振動体15、35の歩度を同期するために、第2の歯車列25は第1の歯車列5に弾性連結手段41によって接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロノグラフモードにおいて連結した振動体を備える時計、ならびに、2つの振動体を備え、1秒以下の少なくとも1つの値をより良い分解能および/またはより良い精度で表示することを目的とする、この種類の時計に関する。
【背景技術】
【0002】
分解能を改善するために、高周波数を用いる時計を形成することは既知である。しかし、高周波数を用いる時計は衝撃に弱く、または消費動力が高いことがあるため、普及には至っていない。
【0003】
したがって、時刻を表示するために一般的には4Hzの低周波数振動体を取り付け、計測時間をより良い分解能で表示するために、第1の振動体とは独立した、一般的には10Hzまたは50Hzの別の高周波数振動体を取り付けて、キャリバを製造する方が容易であるのは明らかである。しかし、数秒後には、2つの振動体の秒表示はすでに同一ではないことが観測され、それにより時計の品質が疑わしく見えかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、時刻またはクロノグラフシステムで計測した時間をより良い分解能で表示することができ、それと同時に機械式腕時計の通常の頑健性および低消費動力を保証し、計測時間が1分より長い場合であっても、時刻表示と計測時間表示との間のドリフトが最小となることを保証する時計を提示することにより、上記の欠点のすべてまたは一部を克服することである。。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、したがって、第1の周波数で振動し、第1の歯車列によって動力源に接続される、時刻を表示するための第1の振動体と、第1の歯車列に連結デバイスを介して接続される第2の歯車列を備える、選択的に時間を計測するためのクロノグラフシステムとを備える時計に関する。クロノグラフシステムはさらに、第2の歯車列に接続されて第2の周波数で振動する第2の振動体を備え、連結デバイスが時間計測を許容するとき、同一の動力源を用いる2つの振動体の歩度を同期するために、第2の歯車列は第1の歯車列に弾性連結手段によって接続することを本発明は特徴とする。
【0006】
したがって、衝撃が起きた場合であっても、2つの振動体を同期できる構成によって、歩度の誤差は最小限となる。その結果として、本発明による時計は、時刻および/またはクロノグラフシステムで計測した時間を、より良い分解能および/またはより良い精度で表示することができ、それと同時に高度な頑健性および低消費動力を保証し、計測時間が1分より長い場合であっても、時刻表示と計測時間表示との間のドリフトが最小となることを保証する。
【0007】
本発明の別の有利な特徴によると、
−弾性連結手段は、第1の歯車列の1つの歯車を第2の歯車列の別の歯車に接続するばねによって形成される。
−弾性連結手段は、第1の歯車列および第2の歯車列それぞれの四番車を接続する。
−第1の振動体は動力源から最大のトルクを受け、好ましくは、トルクの少なくとも75%を受ける。
−第2の振動体の同期を容易にするために、第1の振動体は第2の振動体よりも高品質な等時性を有する。
−第1の振動体は第2の振動体よりも高い性質係数を有する。
−より迅速に安定を得るために、第2の振動体は100より低い性質係数を有する。
−第1の実施形態によれば、第1および第2の周波数は同一である。
−2つの周波数は、時刻および計測時間の両方をより良い分解能および/またはより良い精度で表示するために、5Hzより高い。
−第2の実施形態によれば、時刻をより良い分解能および/またはより良い精度で表示するために、第1の周波数は第2の周波数より高い。
−第1の周波数は10Hz以上であり、第2の周波数は1Hzと5Hzとの間である。
−第3の実施形態によれば、計測時間をより良い分解能および/またはより良い精度で表示するように、第1の周波数は第2の周波数より低い。
−第2の周波数は10Hz以上であり、第1の周波数は3Hzと5Hzとの間である。
【0008】
その他の特徴および利点は、添付図を参照して非限定的な例として示される、以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による時計の実施例である。
【図2】本発明による弾性連結手段の実施例である。
【図3】本発明による実施例の時計の同期をシミュレーションした図である。
【図4】本発明による別の実施例の時計の同期をシミュレーションした図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1および図2に示すように、本発明は時計1に関する。時計1は第1の共振器3を含み、第1の歯車列5によって第1の脱進機7を介して動力源9に接続される。したがって、第1の共振器3および第1の脱進機7は、第1の周波数f1で振動して時刻を表示する第1の振動体15を形成する。時計1はまた、クロノグラフシステム51を含む。クロノグラフシステム51は、第1の歯車列5に連結デバイス44を介して接続される第2の歯車列25を備え、選択的に時間を計測する。
【0011】
本発明によると、有利には、クロノグラフシステム51はさらに、第2の歯車列25に接続され、第2の周波数f2で振動する、第2の振動体35を含む。さらに、本発明によれば、連結デバイス44が時間計測を許容するとき、同じ動力源9を用いる2つの振動体15、35の歩度を同期するために、第2の歯車列25を第1の歯車列5に弾性連結手段41によって接続する。
【0012】
図1の実施例に示すように、動力源9は好ましくは香箱であり、つまり、機械的動力蓄積源である。さらに、図1において、第2の振動体35は、第2の脱進機27を介して第2の歯車列25に接続される第2の共振器23を備える。
【0013】
本発明によると、好ましくは、弾性連結手段41はばね43によって形成される。ばね43は、第1の歯車列5の1つの歯車を第2の歯車列25の別の歯車に接続する。図2に示すように、本発明によると、好ましくは、連結デバイス44が連結位置にあるとき、つまり、連結デバイス44が受けるトルクをすべて伝達する位置にあるとき、弾性連結手段41は第1の歯車列5および第2の歯車列25それぞれの四番車を接続する。
【0014】
本発明によると、好ましくは、二重の歯車42を用いることが示されている。図2に明瞭に示すように、二重の歯車42は、連結デバイス44の中間車46を介して第1の歯車列5に接続される第1の板45から形成される。二重の歯車42はさらに、クロノグラフシステム51の第2の歯車列25に直接的または間接的に接続される、1つの第2の板47を含む。2つの板45、47のうち、板45は緩く、板47はしっかりとアーバ48にそれぞれ固定される。最後に、弾性連結手段41のばね43を、好ましくは、板45の外縁に固定された留め具49とアーバ48のカラー50との間に取り付ける。したがって、板45および板47、ならびに付随的に歯車列5および歯車列25は、連結デバイス44が連結位置にあるとき、ばね43の弾性連結によって、角度を付けて移動できることは明らかである。
【0015】
本発明によると、好ましくは、時刻表示、つまり時間、分および場合により秒の表示は第1の歯車列5を用いて実現する。一方、クロノグラフシステム51が計測する時間の表示は、好ましくは第2の歯車列25を用いて実現する。
【0016】
所望する時計の適用によって、第1の周波数f1および第2の周波数f2は、同一であっても、異なっていてもよい。したがって、第1の実施形態では、時刻と計測時間の両方をより良い分解能および/またはより良い精度で表示するように、第1の周波数f1と第2の周波数f2は同一であり、好ましくは5Hzより高い。本実施形態では、周波数f1およびf2は、たとえば、1/20秒または1/100秒をそれぞれ表示するために、10Hzまたは50Hzと等しくてもよい。
【0017】
第2の実施形態では、時刻をより良い分解能および/またはより良い精度で表示するために、第1の周波数f1は第2の周波数f2よりも高い。第1の実施形態と同様の方法で、第1の周波数f1は10Hz以上であり、第2の周波数f2は好ましくは1Hzと5Hzの間である。実際に、一例として、計測時間の秒は1秒に一段階ずつ増加することが望ましく、つまり第2の周波数f2は、クオーツ時計と「同様」に、1Hzに等しい。
【0018】
第3の実施形態では、時刻をより良い分解能および/またはより良い精度で表示するために、第1の周波数f1は第2の周波数f2より低い。本実施形態は第2の実施形態を逆にしたものであるが、第2の周波数f2は10Hz以上であり、第1の周波数f1は好ましくは3Hzと5Hzの間である。
【0019】
以下、2つの振動体15と35との間の同期を説明するために、シミュレーションを展開する。説明を目的として、第3の実施形態を任意に選択した。したがって、振動体15を低周波数振動体とし、第1の振動体と称する。その結果として、以下の例では、第2の振動体は高周波数振動体35であり、低周波数振動体15と同期する。
【0020】
本発明によると、好ましくは、第2の振動体35は振幅にしたがって強い非等時性を持つよう選択され、非等時性斜線Γ、および振幅A20によって表される。このときの歩度はゼロである。さらに、第1の振動体15は振幅を微妙に変化させることによって、常に略ゼロの歩度を有する。
【0021】
シミュレーションによると、2つの振動体15、35の変化が分かる。つまり時間の経過と共に、振動体の振幅および位相差の状態が分かり、したがって、第2の振動体35を第1の振動体15と同期させることが可能かどうかを確認できることを意味する。
【0022】
好ましくは、第2の振動体35を、振幅A20で振動するときには歩度がゼロとなり、A20より高い振幅で振動するときには歩度がプラスになり、A20より低い振幅で振動するときには歩度がマイナスになるように構成する。
【0023】
さらに、弾性連結手段41を次のように考案する。第2の歯車列25に伝達されるトルクは、2つの歯車列5、25が同じ速度で回転するときには一定を保ち、第2の歯車列25が第1の歯車列5よりも早く進むときには(ばね43は緩む)減少し、第1の歯車列5が第2の歯車列25より早く進むときには(ばね43は巻き上げられる)増加する。
【0024】
上記の条件を満たす場合は、時計は常に安定した状態に向かって動く。この安定した状態では、第2の振動体35は振幅A20で振動し、ばね43は、第2の振動体35を振幅A20に保つために必要なトルクM2を第2の歯車列25に伝達する。
【0025】
その結果として、第2の振動体35がM2より低いトルクを受けると、その振幅は減少する。つまり第2の振動体35の振幅はA20より小さくなる。前述したように、第2の振動体35の歩度はマイナスになり、つまり、第2の振動体35は第1の振動体15よりも遅れる。
【0026】
したがって、連結ばね43を巻き上げている間、つまり、第2の歯車列25に伝達されるトルクが増加している間に、第2の歯車列25の回転が第1の歯車列5よりも遅くなることは明らかである。その結果としてトルクが増加するため、第2の振動体35の振幅は自動的に補正される。したがって、第2の振動体35のトルクおよび振幅は安定したトルクM2および安定した振幅A20と構造的に同期する。
【0027】
同様に、受けるトルクがトルクM2よりも大きい場合は、第2の振動体35の振幅は値A20よりも大きくなり、第2の振動体35の歩度はプラスになる。そのため、第2の歯車列25は、ばね43が緩まる間に第1の歯車列5よりも進む。その結果として、第2の歯車列25に加わるトルクは安定したトルクM2に向かって減少し、第2の振動体35の振幅は安定した振幅A20に再び向かう傾向がある。
【0028】
したがって、時計が起動するときであるか、または衝撃後であるかの状況に関わらず、システムは常に、第2の歯車列25に加わるトルクが値M2を有し、第2の振動体35の振幅が値A20を有する、安定した状況における安定に向けて動くことが分かる。
【0029】
本発明によると、好ましくは、香箱9のトルクおよび2つの振動体15、35の周波数f1、f2は任意のパラメータであると想定されている。したがって、それ以外に選択されるパラメータが以下のようになるのは明らかである。
−2つの振動体15、35(たとえば、共振器3、23がひげぜんまい付きテンプである場合の慣性ブロックI1、I2)の「大きさ」。
−2つの振動体15、35の性質係数:Q1、Q2(振動体の大きさの関数)。
−第2の振動体の非等時傾斜:Γ。
−第2の振動体の歩度がゼロのときの第2の振動体の振幅:A20
−ばね43のトルクM2
−ばね43の角剛性K。
【0030】
本発明によれば、好ましくは、パラメータを次のように選択する。
−総トルクのうち、第2の振動体に伝達することを所望する割合。これがトルク値M2となる。本発明によれば、第1の振動体15は動力源9から最大のトルクを受け、好ましくは、少なくとも75%を受ける。
−第2の振動体が安定するために必要な振幅A20(したがって、第2の振動体をこの振幅での歩度が略ゼロとなるように考案しなければならない)。
−第2の振動体がトルクM2を受けるとき、安定振幅がA20となるような、第2の振動体(たとえば、慣性ブロック)の大きさ(性質係数を介して)。
−安定振幅が許容可能であるような、第1の振動体(たとえば、慣性ブロック)の大きさ(性質係数を介して)。
−第2の振動体35の非等時傾斜:Γ。
−ばね43の角剛性K。
【0031】
有利には、本発明によると、KおよびΓを次のように「調整」することが好ましい。
−歯車列25に伝達されるトルクは決してゼロにならない。
−第2の振動体35の歩度はゼロ周波数の近くに留まる。
−「起動時」の2つの振動体15と35との間の状態のドリフトが小さい。
−安定時間が十分に短い。
【0032】
継続する近似値において同じ安定時間を得るために、KとΓの積を同一に保つことが好ましいことが実験的に実証された。したがって、Kが増加すると(したがって同じ量だけΓが減少すると)、振幅およびトルクの変動が減少する(したがってトルクが相殺されることを防ぐ)。ただしそれにより、安定する前の最大の状態のドリフトおよび瞬間歩度が増加し、極端に増加する可能性もある。したがって、これらの2つの効果の間で妥協点を探す必要がある。
【0033】
(上記第2の振動体35と)同期する振動体の周波数が増加すると、安定時間が減少することも観察された。最終的に、試験において(上記第2の振動体35と)同期する振動体の性質係数が減少することによっても、安定時間が減少することが実証された。
【0034】
図3および図4は例示的実施として実行したシミュレーションを示す。図3では、f1=4Hz、f2=10Hz、Q1=200、Q2=50であり、図4では、f1=4Hz、f2=50Hz、Q1=200、Q2=50であり、各シミュレーションのKとΓの積は同一である。
【0035】
各図のAは、各振動体が動力源からすべてのトルクを受ける場合に、基準振幅に対する各振動体の振幅の割合に対応する。図3Aおよび図4Aの実施例では、第2の振動体に対して選択した振幅A20はおよそ1/3であることに注意されたい。したがって、それぞれ2秒後および1.5秒後には、各振動体は同期した振幅で安定する。
【0036】
各図のBは、各振動体が動力源から受けるトルクの割合に対応する。図3Bおよび図4Bの実施例では、第2の振動体に対して選択したトルクの比率は約10%であることに注意されたい。したがって、それぞれ2秒後および1.5秒後には、各振動体は安定した方法でそれぞれの比率に応じたトルクを受ける。
【0037】
各図のCは、第2の振動体の歩度に対応する。したがって、それぞれ5.5秒後および2秒後には、第2の振動体は歩度ゼロの周辺で安定することに注意されたい。
【0038】
最後に、各図のDは、各振動体の秒の状態の差に対応する。したがって、それぞれ5秒後および2秒後には、差は値ゼロで安定することに注意されたい。
【0039】
このように、図3および図4のAからDで、上述した結論を完全に示している。したがって、衝撃を受けた際には、2つの振動体が同期できる構成により、歩度の変動は最小限となることは明らかである。その結果として、本発明による時計は、時刻および/またはクロノグラフシステムで計測した時間をより良い分解能および/またはより良い精度で表示することができ、それと同時に高度な頑健性および低消費動力を保証し、計測時間が1分より長い場合であっても、時刻表示と計測時間表示との間のドリフトが最小となることを保証する。
【0040】
さらに、試験中に、第2の振動体の同期を容易にするために、第1の振動体が第2の振動体よりも高品質な等時性を有することが好ましいだけではなく、より迅速に、つまり一般的には2秒以下で安定を得るために、第2の振動体が第1の振動体よりも低い性質係数、好ましくは100より低い性質係数を有することが好ましいことが示された。
【0041】
もちろん、本発明は例示した実施例に限定されるわけではなく、様々な変形および修正が可能であることは、当業者には明らかであろう。具体的には、計測時間の時間表示をするために第2の歯車列25に減速装置を追加しなくても済むように、第2の連結機構を第1の歯車列5の筒車に取り付けてもよい。したがって、第2の連結機構は連結デバイス44に属し、同時に解放されることは明らかである。有利には、本発明によると、両方の振動体が同期されるため、時間表示も同期された方法において増加することになる。
【0042】
さらに、第3の実施形態に関する結論は第1および第2の実施形態にも有効である。したがって、上記例とは反対に、第1の振動体が高周波数振動体であるとき、衝撃によって高周波数振動体に伝搬するトルクを制限するために、時刻表示は第1の歯車列5を用いる時間および分に限定されることもある。この場合は、秒は好ましくは第2の歯車列25によってのみ表示される。
【0043】
さらに、第1および/または第2の振動体が高周波数振動体である場合、つまり5Hz以上の振動体である場合は、クリフォード振動体を用いてもよい(たとえば,本明細書に参照して取り込む、スイス特許第386344号を参照のこと)。一方、振動体の周波数が1Hzから5Hzまでの場合、振動体は、好ましくはスイスレバー脱進機を備えるひげぜんまい付きテンプ振動体である。
【0044】
もちろん、弾性連結手段は、図1および図2に例示されるように、ばね43と恊働する二重の歯車42に限定されない。その他の弾性連結手段を考案してもよい。たとえば、特許文献PCT/EP2011/061244が開示する連結手段を用いてもよい。
【0045】
最後に、第2の振動体の非等時性が非線形であるとき、システムの動作をさらに最適化することが可能である。一例として、第2の振動体は平衡振幅周辺で低い非等時性を有し、平衡振幅から大きく離れて強い非等時性を有してもよい。また、逆の場合も同様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数(f1)で振動し、第1の歯車列(5)によって動力源(9)に接続される、時刻を表示するための第1の振動体(15)と、前記第1の歯車列(5)に連結デバイス(44)を介して接続される第2の歯車列(25)を備える、選択的に時間を計測するためのクロノグラフシステム(51)とを備える時計(1)であって、
前記クロノグラフシステム(51)はさらに、前記第2の歯車列(25)に接続されて第2の周波数(f2)で振動する第2の振動体(35)を含み、前記連結デバイス(44)が前記時間計測を許容するとき、前記同一の動力源(9)を用いる前記2つの振動体(15、35)の歩度を同期するために、前記第2の歯車列(25)は前記第1の歯車列(5)に弾性連結手段(41)によって接続することを特徴とする、時計(1)。
【請求項2】
前記弾性連結手段(41)は、前記第1の歯車列(5)の1つの歯車を前記第2の歯車列(25)の別の歯車に接続するばね(43)によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の時計(1)。
【請求項3】
前記弾性連結手段(41)は、前記第1の歯車列(5)および前記第2の歯車列(25)それぞれの四番車を接続することを特徴とする、請求項2に記載の時計(1)。
【請求項4】
前記第1の振動体(15)は、前記動力源(9)から最大のトルクを受けることを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の時計(1)。
【請求項5】
前記第1の振動体(15)は、前記動力源(9)が供給する前記トルクのうち、少なくとも75%を受けることを特徴とする、請求項4に記載の時計(1)。
【請求項6】
前記第1の振動体(15)は、前記第2の振動体(35)の同期を容易にするために、前記第2の振動体(35)よりも高品質な等時性を有することを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の時計(1)。
【請求項7】
前記第1の振動体(15)は、前記第2の振動体(35)より高い品質要因(Q1>Q2)を有することを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の時計(1)。
【請求項8】
前記第2の振動体(35)は、より迅速に安定を得るために、100より低い品質要因(Q2)を有することを特徴とする、請求項7に記載の時計(1)。
【請求項9】
前記第1の周波数(f1)および第2の周波数(f2)は同一であることを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の時計(1)。
【請求項10】
時刻および計測時間の両方を、より良い分解能および/またはより良い精度で表示するために、前記2つの周波数(f2、f1)は5Hzより高いことを特徴とする、請求項9に記載の時計(1)。
【請求項11】
時刻をより良い分解能および/またはより良い精度で表示するために、前記第1の周波数(f1)は前記第2の周波数(f2)より高いことを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の時計(1)。
【請求項12】
前記第1の周波数(f1)は10Hz以上であり、前記第2の周波数(f2)は1Hzから5Hzの間であることを特徴とする、請求項11に記載の時計(1)。
【請求項13】
計測時間をより良い分解能および/またはより良い精度で表示するために、前記第1の周波数(f1)は前記第2の周波数(f2)より低いことを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の時計(1)。
【請求項14】
前記第2の周波数(f2)は10Hz以上であり、前記第1の周波数(f1)は3Hzから5Hzの間であることを特徴とする、請求項13に記載の時計(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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