説明

クロマトグラフィ装置

【課題】モジュール式クロマトグラフィ装置を提供する。
【解決手段】クロマトグラフィ装置は、ハウジングと、ハウジングへの流体入口と、ハウジングからの流体出口と、オプションベントと、ハウジング内のクロマトグラフィ充填床とを備える。他のこのようなクロマトグラフィ装置では、流体入口、流体出口、オプションベントは、流体入口と流体出口とを接続するコネクタを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年6月11日付出願の米国特許仮出願第61/131,640明細書の優先権を主張するものであり、この全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、クロマトグラフィ装置に関する。本発明は、特に、複数のクロマトグラフィモジュールが互いに接続されて並列流れ方式か直列流れ方式のいずれかでクロマトグラフィ処理の線形スケーリングを可能にするモジュール式クロマトグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
クロマトグラフィ処理は、現在、生物化学、臨床、環境、食品、石油化学などの多くの用途で使用されている。クロマトグラフィ処理では、典型的には、流体の成分の混合物が活性吸着作用を有するクロマトグラフィ媒体(ここでは、樹脂または媒体と呼ばれる)内で分解される。分解はさらに、サイズ排除クロマトグラフィのように成分の流体力学的サイズに基づいて行われ得る。この分離が発生するクロマトグラフィ装置は、通常、円筒状カラムの形をとる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クロマトグラフィでは、比較的小容量の処理から比較的大容量の処理のスケーラビリティを実現し、かつ本質的には同じ結果を得るのは容易ではない。クロマトグラフィ装置の容量のスケールアップが困難である理由の1つとして、壁効果がカラムサイズと共に線形にスケーリングしないためである。壁効果は、小さい直径(10から20cm未満)のカラムでは、大きい直径のカラムに比べて大きい。壁効果は、カラム壁の摩擦力を指す。これらの摩擦力により、所与の圧力降下でより大きい流量が得られる。しかし、これらの摩擦力はカラム壁のすぐ近傍のみに関係する。小さいカラム(10cm未満)の場合、これらの摩擦力が関係する領域が全体の断面積のかなりの割合を占め、液圧抵抗の一部を相殺するのを助ける時に、これらの摩擦力の寄与率は大きい。カラムサイズが増大すると、これらの力の相対的寄与率は、非線形式に低くなる。さらに、これらの力の相対寄与率は、充填される媒体の種類によって決まる。壁効果は、壁近くの流体の流れに影響を与えて不均一な流れプロフィールを形成し、さらに、クロマトグラフィ樹脂を機械的に支持して同じ圧力降下に対するより速い線速度を可能にする。
【0005】
第2の問題は、カラムサイズが増大すると、充填床内で均一な流れプロフィールを可能にする流れ分配器の設計の効果が一層大きくなるという点である。この効果は、カラムサイズと共に線形にスケーリングしない。
【0006】
第3の問題は、クロマトグラフィ処理における充填床の深さは、典型的には、スケールアップの際に一定に維持される点である。これは、主にクロマトグラフィ樹脂/媒体の液圧制限のためである。したがって、スケールアップの際に、アスペクト比(カラム長/カラム直径)は減少する。このことはまた、スケールアップの直線性に悪影響を及ぼす。
【0007】
第4の問題は、クロマトグラフィ充填量(容積または質量)は、対応する所要樹脂の容積に容易に合わせられない点である。現在では、クロマトグラフィのカラムは、個々のサイズで提供される。クロマトグラフィカラムの典型的な調達期間(3から6ヶ月)であれば、カラムサイズは、生産力の予測に基づいて決定されなければならない。このことにより、薬剤の需要や工場のスケジュールの変更時に媒体容積の増減が可能な柔軟性を低減してしまう。
【0008】
最後に、クロマトグラフィ媒体をカラム内に充填するのは労働集約的作業である。これは、規模と共に非線形的にスケーリングする。製造規模において、カラム充填を助けるのに必要な補助機器(媒体タンク、スラリー移送システム、カラム油圧など)は、かなりの設備投資と製造スペースの面積が必要である。
【0009】
したがって、容易に、正確にスケーリング可能なクロマトグラフィ装置を提供するのが望ましい。さらに、クロマトグラフィ媒体/樹脂の利用できる容積範囲の広いクロマトグラフィ装置を提供するのが望ましい。さらに、クロマトグラフィ装置のスケールアップが要求どおりに労働集約的でないクロマトグラフィ装置を提供することが望ましい。このようなクロマトグラフィ装置は、クロマトグラフィ能力に対する柔軟性を提供すると共に、規模をスケールアップした時にも正確な結果を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、互いに結合されて流体をモジュール内に流れ込ませ、流体をモジュール内部の粒子のクロマトグラフィ充填床を貫流させ、流体をモジュールから流出させる1つまたは複数の同一のモジュールから形成されるクロマトグラフィ装置を提供する。モジュールは、1つまたは複数の流体入口および流体出口、任意でベントを有するハウジングを備える。入口および出口はそれぞれ1つまたは複数のこのようなモジュールの入口および1つまたは複数のこのようなモジュールの出口に接続されて、モジュールが並列または直列で動作可能にすることができる。各モジュールは、ほぼ同じ容積の粒子のクロマトグラフィ充填床を含む。
【0011】
スケーラビリティは、所望の有効容積のクロマトグラフィ充填床を得るために望ましいモジュールの数を結合することにより達成される。モジュールが同一のサイズおよび形状を有するので、各モジュール内の壁効果は残りのモジュール内の壁効果と同じである。このことは、スケーラビリティを線形にできる利点がある。さらに、これらのモジュールを使用することで、クロマトグラフィ媒体の広い範囲の有効容積を使用することができる。このことは、さまざまなクロマトグラフィ処理を最適に動作させる利点がある。さらに、本発明は、使い捨ての樹脂ベースのクロマトグラフィ動作を可能にする。クロマトグラフィモジュールは、並行流れで動作されるのが好ましい。直列流れも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】複数のモジュールを接続するための手段を含む本発明のモジュールの斜視図である。
【図2】図1のモジュールの横断面図である。
【図3】互いに結合される図2の複数のモジュールの分解図である。
【図4A】直列流れ方式で互いに結合された複数のモジュールの横断面図である。
【図4B】直列流れ方式で互いに結合された複数のモジュールの横断面図である。
【図5A】本発明のヘッダ構造の横断面図である。
【図5B】本発明のヘッダ構造の横断面図である。
【図5C】本発明のヘッダ構造の横断面図である。
【図6】図2のモジュールの横断面図である。
【図7】実施例のデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
クロマトグラフィ装置は、クロマトグラフィ充填床の有効容積が容易に特定のクロマトグラフィ処理に合わせられるという点で、さまざまなクロマトグラフィ処理の要求を満たす柔軟性を提供する。必要なのは、直列または並列の流れ構造に関係なく本発明のクロマトグラフィモジュールの数を特定し、これらのモジュールを接続してモジュール内の充填床を貫流する所望の流体流れにし、流出液を回収または当分野でよく知られている方法でクロマトグラフィ充填床により保持される所望の成分を回収することである。複数のクロマトグラフィモジュールはほぼ同じ構造であり、モジュール内の壁効果はほぼ同じである。さらに、これらモジュールはほぼ同じ容積であり、互いにほぼ等しく充填されるので、モジュール間に検出可能な性能差はほとんどない、好ましくは全くない。したがって、モジュールを追加してクロマトグラフィ処理をスケールアップすると、スケーラビリティはほぼ線形になる。このことにより、拡大された処理の結果の予測が先行技術に比べてはるかに容易になる。
【0014】
図1には、本発明のクロマトグラフィ装置10が示されている。クロマトグラフィ装置10のモジュール17(この場合、2つのモジュールが示されている)の各々は、ハウジング12、オプションベント9、1つまたは複数の流体入口14を備え、流体入口14は、ほぼ同一の第2のモジュールの1つまたは複数の第2の流体入口14にその表面16で接続され、2つ以上のモジュールが使用される場合は末端のモジュールの位置でキャップされ、モジュールが直列流れ方式で使用される場合には各モジュール上でキャップされる。1つまたは複数のモジュールは、エンドプレート19、ボルト23、およびナット21を備える支持機構上に配置される。モジュール17の接続は、当分野でよく知られている方法で油圧シリンダ(図示せず)を使用してエンドプレート19に1000から2000psiのような圧力を加圧することで行われ、接触ガスケット13で封止がなされる。本発明で有用な支持機構の1つは、Millipore Corporation(マサチューセッツ州、ビレリカ)から入手可能なPODフィルタホルダである。油圧加圧時に、ボルト23のナット21が締められる。流体は、矢印18で示されるように、入口14を通ってモジュール17に入る。
【0015】
各モジュール17はさらに、流体出口11を備える。各々の流体入口14および流体出口11は、各モジュールのフラットな外面15まで伸びるガスケット13で囲まれている。ハウジング12は、クロマトグラフィ充填床(図示せず。図2の要素32を参照)を含む。給液18はこのクロマトグラフィ充填床を通過し、流出液20は流体出口11を通って除去される。給液18から得られた給液の一部22は第2のモジュールに向けられる。第2のモジュールがない場合、給液は終了され、給液全部がクロマトグラフィ床を通過する。典型的な適切なコネクタは、ガスケット、Oリングなどが挙げられる。あるいは、適切に封止されるプラスチックまたは金属製パイプなどの小さい導管がモジュール間に使用されてモジュール接続がなされてもよい。外壁15は、隣接するモジュール17を接続する導管の長さが最小化され得るようにフラットであるのが好ましい。接続の例示的な形態は、以下の通りである。図1の入口14および出口11は周囲に溝を備えてガスケット13を受承する。隣接するデバイスのガスケット13同士は対合し、油圧を加圧することにより封止がなされる。流体流れが並列流れ方式で入口から入りクロマトグラフィ床を通り出口から出る場合、モジュールを互いに接続するための任意の利用可能な手段が使用できることは理解されたい。
【0016】
図2では、図1のモジュールの断面を通る流体の流路が示されている。モジュール17は、クロマトグラフィ粒子32の充填床を含む。その厚さは、選択されるモジュールの設計に応じて変化することができる。モジュール17は、流体入口34および流体出口36を備える。床32は、流体浸透性フリット38、40によりハウジング12内に保持される。ヘッダ42下の流体入口34の一部は流体浸透性であるか、または好ましくは開口スペース35である。下部ヘッダ44上方の流体出口36の一部も流体浸透性であるか、また好ましくは開口スペース37である。給液46は入口34を通ってヘッダ42下のスペース35に入り、上位フリット38、床32、下位フリット40を通過し、流出液41として出口36から出る。所望の生成物が流出液41として回収されるか、または当業者に知られているような適切な溶離条件下で床32から回収される。スペース35、37はそれぞれ、床32の前後でシステム内の流体の分配領域および回収領域となるように設計される。本実施形態で示されるように、このスペースは、最両端部における高さが入口34または出口36がそれぞれ示されている中央に最も近い高さより低くなるように放物形である。入口および出口36は、さまざまな方法でスペース35、37と連通することができる。一実施形態では、連通はスロット/ノズルを介してなされてもよい。スロット/ノズルのサイズや数は、圧力損失を最小化できるように選択される。他の実施形態では、入口34の下半分全体および出口36の上半分全体が多孔質であってもよい。このことにより、デバイスはスペース35、37に隣接する充填床32の表面にわたる圧力降下を最小にするように動作することができ、全てのクロマトグラフィ媒体が効果的に均一に使用されるように確実に充填床32全体に流体が均一に分配される。好ましくは、スペース35、37は、良好な分配と圧力降下の特性が得られるまで、最小化される。一般に、スペース35、37の高さと全容積が小さいほど特性は良好である。
【0017】
図3に示されるように、図1および図2の複数のモジュールは互いに接続される。モジュール50、51は、流体入口54、55および流体出口60、61で互いに結合される。並列流体流れは、モジュール50、51を介して達成される。入口55はキャップされるか、または別のモジュールと対合されてもよい。出口60はキャップされるか、別のモジュールからの流体を受け入れてもよい。各モジュールを通る流れは、入口から入りモジュール内のクロマトグラフィ床を通り出口から出る形で、ほぼ同じであるべきである。
【0018】
図4Aは、直列流れ方式で配置された2つのモジュールを示す。第1のモジュール80は、スペース35に供給する入口84を有する。流体は上位フリット38を通過し、充填床32に入る。その後、流体は下位フリット40、スペース37を通って出口86から流出する。次に、流体は第2のモジュール82の入口88に流入し、スペース35、フリット38 40を通って床32に入り、フリット40 38、スペース37から出て出口90に流れる。入口84の第2の端部は、キャップまたは中実壁92Aでキャップされる。同様に、出口86の第1の端部、入口88の第2の端部、出口90の第1の端部は、キャップまたは中実壁92B、92C、および92Dでそれぞれキャップされて、直列流れにされる。さらに、必要であれば、示されたのと同じ構成でモジュールが追加されてもよい。図4Aのモジュールは、理解しやすくするために分解図で示されているが、実際のアセンブリおよび実用においては図1から図3に関して上述されたように互いに結合される。単に、第1のモジュールに対する第2のモジュールの向きを逆にして、示されたような直列流れにすることも可能である。あるいは、図4Bに示されたように、出口86と接続する入口95および入口88に接続する出口97を有するが、媒体またはフリットまたはヘッダのない空モジュールまたはダイバータプレート93を形成して、それを第1モジュールと第2のモジュールとの間に置いて、全ての入口が片端に配置されるように流体が出口86から入口88の第1の端部に運ばれるようにしてもよい。
【0019】
各クロマトグラフィモジュールは、以下のようにして使用するために作成され得る。各モジュールは、図2で示されるような上部70、下部74、および中央部72の3つの部分を有する。上部と下部とは同一にしてもよく、フリット、ステンレス鋼メッシュ、または親水性ポリエチレンメッシュもしくはスクリーンなどの床支持体38、40を組み込む。上部ヘッダ42および下部ヘッダ44は機械加工され得、3つの部分はOリングやガスケットなどの適切な封止機構を使用して、ナット、ボルト、ねじなどと対合にされてもよい。あるいは、3つの部品全体を共に収容するプラスチック製の被覆物でオーバーモールド技術が使用されてもよい。あるいは、3つの部品は、熱接着により、または接着剤を使用して結合されてもよい。他の実施形態では、上部70もしくは下部74のいずれかが中央部72と一体成形されてもよいし、または上部70もしくは下部74のいずれかが中央部72にオーバーモールドされてもよい。
【0020】
図5Aから図5Cは、本発明で使用できるヘッダの別の設計を示す。図5Aは、入口34から外縁76の隣接領域にかけて線形のテーパを有するヘッダ42Aを示す。図5Bは、双曲線(図2のヘッダとは反対に)のヘッダ42Bを示す。図5Cは、入口34から外縁76の隣接領域にかけて線形の2段階のテーパを有するヘッダ42Cを示す。図5Cは、可変傾斜の2つの線形テーパを有するヘッダを示す。当業者であれば、他のヘッダも容易に考えられるであろう。ヘッダの上部の構造および下部の構造は、必要であれば、流れを逆にして、下部から入り上部から出ることができるように、同一構造であるのが好ましい。
【0021】
図6は、デバイスの外側ケーシングを含む図2の製品の一実施形態を示す。この実施形態のデバイスは、上部70、中央部72、および下部74を有する3部品設計である。この実施形態では、部品(70、72、74)は、上部70と中央部72との間および下部74と中央部72との間で一連のねじ100および封止ガスケット102により互いに保持される。
【0022】
デバイス内にクロマトグラフィ媒体を充填するために、振動が引き起こされて、最小の空隙で媒体を充填することができる。クロマトグラフィ媒体の好適な例として、ProSep(R)A樹脂(Millipore Corporation(マサチューセッツ州、ビレリカ)製の媒体)、イオン交換媒体、アガロース系媒体、シリカ、炭素、細孔性ガラス、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
【0023】
ビーズ、特に多孔質ビーズ、モノリスマットもしくは繊維質マットを含む任意のクロマトグラフィ媒体が使用されてもよい。精製される物質の例としては、タンパク質、遺伝子組み換え型もしくは天然型、抗体、酵素、DNAもしくはRNA断片、プラスミドもしくは他の生体分子、オリゴヌクレオチドなどの合成分子、他の特定分子などが挙げられる。
【0024】
モジュール用の好適なポリマー材料の例として、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、PTFE樹脂もしくは他のフッ素重合体、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂および共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABSおよびその合金および混合物、ポリオレフィン(例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンおよびその共重合体)、ポリプロピレンおよびその共重合体、メタロセン生成ポリオレフィン、熱硬化性樹脂、ゴム、およびポリウレタンなどの他の硬化性ポリマー材料、エポキシ、繊維ガラス、強化エポキシ、シリコンなどの合成ゴムなどが挙げられるが、これらに限られるわけではない。
【0025】
使用時に、本発明による、かつ特定の媒体を含む1つまたは複数のモジュールは支持装置上に取り付けられる。少なくとも、好ましくは、支持機構の1つのエンドプレートは対応する入口、出口、およびオプションベントを有し、入口、出口、およびオプションベントを有するエンドプレートに接触して位置付けられる1つまたは複数のモジュールのうちのモジュールの入口、出口、およびオプションベントと一直線に並ぶ。エンドプレートの1つまたは両方に取り付けられる油圧プレスは、液体封止が形成されるまでエンドプレートを互いに向かって、1つまたは複数のモジュールおよびモジュールの入口、出口、およびオプションベントにあるガスケットに接触するように移動させるのに使用される。液体(原料供給流、平衡緩衝液、洗浄緩衝液、溶離緩衝液)の供給口からエンドプレートの入口までのステンレス鋼パイプもしくは、ゴム製もしくはプラスチック製のホースもしくはチューブなどの導管が取り付けられる。濾過側に伸びる導管もしくはホースは、出口に取り付けられる。この時に、任意で、この導管もしくはホースは貯蔵タンクなどの下流要素、または濾過処理で使用される機器の次の部品に取り付けられる。この部品は、同様に設計されたモジュールに異なる媒体を含む別の支持機構、ポリシャ、ウィルスフィルタ、または接線流濾過(TFF)装置などが挙げられる。ベントは、Millipore Corporation(マサチューセッツ州、ビレリカ)から入手可能なAERVENT(R)ガスフィルタなどのベントフィルタに取り付けられてもよい。
【0026】
液体は入口を通って導管/ホース内に注入され、モジュール内に入る。液体はモジュールを出て、出口から出る。モジュール内の媒体が不純物を捕集する場合、所望の生成物は第1の濾液内にある。媒体が、所望の生成物に結合される場合、次いで、不純物は第1の濾液内にある。この場合、次に1回または複数回の洗浄がなされて緩く結合した不純物を除去され、その後、当分野でよく知られている溶離緩衝液(例えば、異なるpH、塩濃度、伝導度などを有する液体)が床を通過されて、所望の生成物が溶離され、この生成物がシステムの出口から出る。
【0027】
さらに、必要に応じて、バルブ、ポンプ、および一般的に使用されるデバイスがシステムに取り付けられてもよい。
【0028】
(実施例)
本出願で説明された装置の2つの試作品は、図2および図6の装置と同様の形式にした。試作品は、ねじにより互いに結合された3部品設計でステンレス鋼スクリーンフリットを使用したポリプロピレンから形成されたものである。
【0029】
試作品から予想できる前端曲線(frontal curve)の形状を予測するために、この設計でCFD(計算流体力学)のシミュレーションが行われた。
【0030】
2つの試作品は、各々12リットルのMillipore CorporationのProSep(R)Aタンパク質Aクロマトグラフィ樹脂で充填された。OLI,Inc製のOR65振動器を使用した気圧50psiの振動充填(約15000から20000振動/秒)が、1分間振動、2分間、無振動の周期で、20から30周期の間行われ、この樹脂の安定した強固な充填床が形成された。
【0031】
その後、試作品は精製水で平衡化され、精製水内で1Mの塩化ナトリウムの前端のステップにかけられた。塩化ナトリウムは樹脂上に残らず、充填床の能力を判断するトレーサー分子として働いた。図7は、これらの試作品で得られた前端曲線を従来のカラムで得られた前端曲線およびシミュレーションから得られた前端曲線と比較したものである。この試作品で2つの異なる充填が行われた。これらの充填は、図内では充填A、充填Bと示されている。「カラム」と表示されているデータは、Millipore QuikScale(R)QS450(450mm直径)カラムで生成されたデータである。
【0032】
図7から明らかなように、試作品で得られた前端曲線は、シミュレーションで予測されたものより急である。ヘッダの容積および形状を最適化することで、保持容積を最小化し、装置の効率をさらに一層改善することになる。
【符号の説明】
【0033】
9 オプションベント
10 クロマトグラフィ装置
11、36、60、61、86、90、97 流体出口
12 ハウジング
13、102 ガスケット
14、34、54、55、84、88、95 流体入口
15 外壁
16 表面
17、50、51 モジュール
18、46 給液
19 エンドプレート
21 ナット
22 給液の一部
23 ボルト
32 充填床
35、37 開口スペース
38 上位フリット
40 下位フリット
41 流出液
42A、42B、42C 上部ヘッダ
44 下部ヘッダ
70 上部
72 中央部
74 下部
80 第1のモジュール
82 第2のモジュール
92A、92B、92C、92D 中実壁
93 ダイバータプレート
100 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールと、
モジュールへの流体入口と、
モジュールからの流体出口と、
流体入口と流体出口との間のモジュール内に位置付けられたクロマトグラフィ充填床とを備え、
充填床は入口に隣接して配置された第1の流体浸透性フリットと、出口に隣接して配置された第2の流体浸透性フリットとによりモジュール内に保持され、
入口の一部および出口の一部は流体浸透性であり、各々のフリットおよび充填床と流体連通している、クロマトグラフィ装置。
【請求項2】
第2のモジュールの第2の流体入口へ流体接続するための流体入口の第1の接続手段と、第2のモジュールの第2の流体出口へ流体接続するための流体出口の第2の接続手段とをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数のモジュールが、各々の流体入口および流体出口で互いに結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
流体入口と流体出口とが貫通して伸びる2つの対向するフラットな外壁を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
複数のモジュールが各々の流体入口および流体出口で互いに結合され、かつ各モジュールは流体入口と流体出口とが貫通して伸びる2つの対向するフラットな外壁を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
ベントを有するモジュールをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
第1のエンドプレート、第2のエンドプレート、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとを接続する1つまたは複数のボルトおよびナットを有する支持機構と、
1つまたは複数のモジュールと、
該モジュールは各モジュール内に位置付けられたクロマトグラフィ充填床を有し、さらに
モジュールへの流体入口と、
モジュールからの流体出口と、
エンドプレートおよび1つまたは複数の追加のモジュールからなる群から選択されるデバイスとの液体封止を確立するためのモジュールの入口および出口に位置する封止手段と
を備える、クロマトグラフィ装置。
【請求項8】
少なくとも第1のエンドプレートが、モジュールの入口および出口と一直線に並び、液体封止できる入口および出口を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
モジュールの数が2つ以上であり、各モジュールは、隣接モジュールの流体入口に流体接続するための次のモジュールに隣接するモジュールの流体入口に位置する第1の接続手段と、隣接モジュールの流体出口に流体接続するための次のモジュールに隣接するモジュールの流体出口に位置する第2の接続手段とを有する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
第1のエンドプレート、第2のエンドプレート、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとを接続する1つまたは複数のボルトおよびナットを有する支持機構と、
1つまたは複数のモジュールと、
該モジュールの各々は流体入口およびモジュールからの流体出口を有し、さらに
流体入口と流体出口との間のモジュール内に位置付けられるクロマトグラフィ充填床とを備え、
充填床は入口に隣接して配置された第1の流体浸透性フリットと、出口に隣接して配置された第2の流体浸透性フリットとによりモジュール内に保持され、
入口の一部および出口の一部は流体浸透性であり、各々のフリットおよび充填床と流体連通しており、さらに、
エンドプレートおよび1つまたは複数の追加のモジュールからなる群から選択されるデバイスとの液体封止を確立するためのモジュールの入口および出口に位置する封止手段とを備える、クロマトグラフィ装置。
【請求項11】
複数のモジュールが各々の流体入口および流体出口で互いに結合され、かつ各モジュールは流体入口と流体出口とが貫通して伸びる2つの対向するフラットな外壁を有し、モジュールは並列方式で動作される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
複数のモジュールが各々の流体入口および流体出口で互いに結合され、かつ各モジュールは流体入口と流体出口とが貫通して伸びる2つの対向するフラットな外壁を有し、モジュールは直列方式で動作される、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
複数のモジュールが各々の流体入口および流体出口で互いに結合され、流体が一対の第1のモジュールの出口から該対の第2のモジュールの入口へ運ばれるように各対のモジュール間にダイバープレートが置かれて、全ての入口が片端に配置され、かつモジュールは並列方式で動作される、請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−8410(P2010−8410A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−144985(P2009−144985)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】