説明

クロマン環を有する化合物を含有する液晶組成物

【課題】ネマチック相の広い温度範囲、低粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性を有する、新規なクロマン環を有する化合物を含有する液晶組成物を提供する。
【解決手段】第一成分として、特定のクロマン環を有する化合物,第二成分として、置換又は非置換の1,4−シクロヘキシレン,1,4−フェニレン環構造を有する特定の化合物,第三成分として置換又は非置換の1,4−シクロヘキシレン,1,4−フェニレン,1,4−ジオキサン環構造を有する特定の化合物を含有する正の誘電率異方性を有する液晶組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AM(active matrix)素子などに適する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子に関する。そして、この組成物の成分として使用される新規な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子において、液晶の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)などである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMはスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMはTFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)である。後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。
【0003】
これらの素子は適切な特性を有する液晶組成物を含有する。この液晶組成物はネマチック相を有する。良好な一般的特性を有するAM素子を得るには組成物の一般的特性を向上させる。2つの一般的特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の一般的特性を、市販されているAM素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は−20℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。従って、小さい粘度を有する組成物が好ましい。低い温度において小さい粘度を有する組成物がより好ましい。
【0004】

【0005】
組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。素子におけるコントラスト比を最大にするために、透過型のAM素子では組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn・d)を約0.45μmに設計する。したがって、組成物における光学異方性は主に0.08〜0.12の範囲である。一方、反射型および半透過型のAM素子におけるΔn・dは約0.25μmである。反射型および半透過型のAM素子におけるセルギャップは、応答時間と製造技術とを考慮して2.0〜4.0μmである。したがって、組成物における光学異方性は主に0.06〜0.075の範囲である。組成物における低いしきい値電圧は素子における小さな消費電力と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、低いしきい値電圧が好ましい。組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。
【0006】
従来の組成物は、下記の特許文献1〜3に開示されている。特許文献1および2は、強誘電性液晶組成物(スメクチック相を有する組成物)に関する。特許文献3は、ネマチック相を有し、そして誘電率異方性が正である液晶組成物に関する。特許文献4には、クロマン環を有するN型の液晶化合物が記載されている。
【特許文献1】特開平5−25158号公報
【特許文献2】特開平6−256337号公報
【特許文献3】特開平6−256339号公報
【特許文献4】特開2005−35986公報望ましいAM素子は、使用できる温度範囲が広い、応答時間が短い、コントラスト比が大きい、などの特性を有する。したがって、ネマチック相の広い温度範囲、小さな粘度、適切な値を有する光学異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性を有する組成物が特に望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ネマチック相の広い温度範囲、小さな粘度、適切な光学異方性、正に大きい誘電率異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性において、複数の特性を充足する液晶組成物を提供することである。この目的は、複数の特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物を提供することでもある。この目的は、この組成物を含有する液晶表示素子を提供することでもある。この目的は、透過型、反射型および半透過型素子のAM素子に対応できるように、0.06〜0.20の光学異方性、正に大きい誘電率異方性および低いしきい値電圧を有する組成物を含有し、そして大きな電圧保持率などの特性を有するAM素子を提供することでもある。この目的は、新規なクロマン環を有する化合物を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特定発明は、次の[1]項で示される。
[1] 第一成分として式(1−1)〜式(1−10)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、そして正の誘電率異方性を有する液晶組成物:


ここに、Rは水素、アルキルまたはアルケニルであり;Rはハロゲン、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルキル、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルケニル、または任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシであり;A、A、AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−(CH−、−CHO−または−CFO−であり;そして、Y、Y、YおよびYは独立して水素、フッ素またはメチルである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組成物は、ネマチック相の広い温度範囲、小さな粘度、適切な光学異方性、正に大きい誘電率異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性において、複数の特性を充足する。特に、本発明の組成物は正に大きい誘電率異方性を有する。この組成物は、複数の特性に関して適切なバランスを有する。本発明の素子は、この組成物を含有する。0.06〜0.20の光学異方性、正に大きい誘電率異方性および低いしきい値電圧を有する組成物は、透過型、反射型および半透過型素子のAM素子に適し、そしてこのような素子は大きな電圧保持率を有する。そして、新規なクロマン環を有する化合物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。本発明の液晶組成物または本発明の液晶表示素子をそれぞれ「組成物」または「素子」と略すことがある。液晶表示素子は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。「液晶性」の意味は、液晶相を有することだけに限定されない。それ自体は液晶相を持たなくても、他の液晶化合物と混合したときに、液晶組成物の成分として使用できる特性も、「液晶性」の意味に含まれる。「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意であることを示すが、個数が0である場合を含まない。式(1−1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を「化合物(1−1)」と略すことがある。式(1−1)で表される化合物の群も「化合物(1−1)」と略すことがある。他の式で表される化合物についても同様である。組成物におけるネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。組成物におけるネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。「比抵抗が大きい」は、化合物または組成物が初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有することを意味する。「電圧保持率が大きい」は、素子が初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな電圧保持率を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく高い温度でも大きな電圧保持率を有することを意味する。光学異方性などの特性を説明するときは、実施例に記載した方法で測定した値を用いる。液晶組成物における成分または液晶性化合物の割合(%)は、液晶組成物の全重量を基準とする重量%を意味する。
【0011】
本発明は、上記の[1]項と次に示す[2]〜[24]項で構成される。
[2] 第一成分が式(1−11)〜式(1−20)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、[1]項に記載の液晶組成物:


ここに、Rは水素、アルキルまたはアルケニルであり;Rは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルキルであり;A、A、AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,4−ジオキサン、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Xはフッ素、塩素、−CF、−OCFまたは−OCFHであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−(CH−、−CHO−または−CFO−であり;そして、YおよびYは独立して水素、フッ素またはメチルである。
【0012】
[3] 式(2)〜式(4)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を第二成分として含有する、[1]項または[2]項に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立してアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシメチルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルであり;環B、環Cおよび環Dは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;そして、ZおよびZは独立して単結合、−COO−、−C≡C−または−(CH−である。
【0013】
[4] 式(5)〜式(7)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を第三成分として含有する、[3]項に記載の液晶組成物:


ここに、Rはアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシメチルであり;Xはフッ素、塩素、任意の水素がフッ素で置き換えられたアルキル、または任意の水素がフッ素で置き換えられたアルコキシであり;環Eおよび環Fは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して単結合、−(CH−、−COO−、−CFO−または−OCF−であり;そして、LおよびLは独立して水素またはフッ素である。
【0014】
[5] 第一成分として式(1−41)〜式(1−44)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、そして正の誘電率異方性を有する液晶組成物:


ここに、Rはアルキルまたはアルケニルである。
[6] 第一成分として式(1−51)〜式(1−78)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、そして正の誘電率異方性を有する液晶組成物:


ここに、Rはアルキルまたはアルケニルである。
【0015】
[7] 下記の式(2−1)〜式(4−3)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を第二成分として含有する、[5]項または[6]項に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立してアルキルであり;R10はアルキル、アルケニル、アルコキシ、または任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルであり;R11はアルキルまたはアルコキシであり;そしてR12はアルキル、アルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルである。
【0016】
[8] 第二成分が式(2−1)および式(2−2)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、[7]項に記載の液晶組成物。
【0017】
[9] 第二成分が式(3−1)〜式(3−3)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、[7]項に記載の液晶組成物。
【0018】
[10] 第二成分が式(4−1)〜式(4−3)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、[7]項に記載の液晶組成物。
【0019】
[11] 第二成分が式(2−1)および式(2−2)のそれぞれで表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(3−1)〜式(3−3)のそれぞれで表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物との混合物である、[7]項に記載の液晶組成物。
【0020】
[12] 第二成分が式(2−1)および式(2−2)のそれぞれで表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(3−1)〜式(3−3)のそれぞれで表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(4−1)〜式(4−3)でのそれぞれ表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物との混合物である、[7]項に記載の液晶組成物。
【0021】
[13] 下記の式(5−1)〜式(7−2)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を第三成分として含有する、[7]〜[12]のいずれか1項に記載の液晶組成物:


ここに、Rはアルキルである。
【0022】
[14] 第三成分が式(5−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、[13]項に記載の液晶組成物。
【0023】
[15] 第三成分が式(6−2)〜式(6−4)、式(6−9)、式(6−10)、式(6−12)、式(6−14)、式(6−19)および式(6−20)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、[13]項に記載の液晶組成物。
【0024】
[16] 第三成分が式(7−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、[13]項に記載の液晶組成物。
【0025】
[17] 第三成分が式(5−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物と、式(6−2)〜式(6−4)、式(6−9)、式(6−10)、式(6−12)、式(6−14)、式(6−19)および式(6−20)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物との混合物である、[13]項に記載の液晶組成物。
【0026】
[18] 第三成分が式(6−2)〜式(6−4)、式(6−9)、式(6−10)、式(6−12)、式(6−14)、式(6−19)および式(6−20)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物と、式(7−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物との混合物である、[13]項に記載の液晶組成物。
【0027】
[19] 第三成分が式(5−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物と、式(6−2)〜式(6−4)、式(6−9)、式(6−10)、式(6−12)、式(6−14)、式(6−19)および式(6−20)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物と、式(7−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物との混合物である、[13]項に記載の液晶組成物。
【0028】
[20] [1]〜[19]のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【0029】
[21] 式(1−1)〜式(1−10)のいずれか1つで表される化合物:


ここに、Rは水素、アルキルまたはアルケニルであり;Rはハロゲン、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルキル、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルケニル、または任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシであり;A、A、AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−(CH−、−CHO−または−CFO−であり;そして、Y、Y、YおよびYは独立して水素、フッ素またはメチルである。
【0030】
[22] 式(1−11)〜式(1−20)のいずれか1つで表される化合物:


ここに、Rは水素、アルキルまたはアルケニルであり;Rは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルキルであり;A、A、AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,4−ジオキサン、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Xはフッ素、塩素、−CF、−OCFまたは−OCFHであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−(CH−、−CHO−または−CFO−であり;そして、YおよびYは独立して水素、フッ素またはメチルである。
【0031】
[23] 式(1−42)〜式(1−44)のいずれか1つで表される化合物:


ここに、Rはアルキルまたはアルケニルである。
【0032】
[24] 式(1−51)〜式(1−78)のいずれか1つで表される化合物:


ここに、Rはアルキルまたはアルケニルである。
【0033】
本発明のポイントは次のとおりである。第一のポイントは、ネマチック相を有し、正の誘電率異方性を有し、小さなしきい値電圧を有し、そして大きな電圧保持率を有する組成物を見いだしたことである。第二のポイントは、この組成物の成分には、クロマン環を有する化合物を混合すればよいことを見いだしたことである。この組成物の優れた特性および具体的な組成物の成分構成は、実施例に記載されている。第三のポイントは、この化合物がネマチック相を有し、正に大きな誘電率異方性、および大きな電圧保持率を有することを見いだしたことである。この化合物の優れた特性は、実施例に記載されている。
【0034】
本発明の液晶組成物は、下記の式(1−1)〜式(1−10)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を第一成分として含有し、そして正の誘電率異方性を有するように調整された液晶組成物である。


【0035】
本発明の組成物は組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aはその他の化合物をさらに含有してもよい。その他の化合物は、液晶性化合物、添加物、不純物などである。この液晶性化合物は化合物(1−1)〜化合物(1−10)、および化合物(2)〜化合物(7)とは異なる化合物である。このような液晶性化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。この添加物は光学活性な化合物、色素などである。液晶のらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で光学活性な化合物が組成物に混合される。GH(Guest host)モードの素子に適合させるために色素が組成物に混合される。不純物は成分化合物の合成などの工程において混入した化合物などである。




【0036】
組成物Bは、化合物(1−1)〜化合物(1−10)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を必須成分として含有し、化合物(2)〜化合物(7)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を任意成分として含有し、そしてこれら以外に液晶性化合物を含有しない組成物である。組成物Bには、添加物、不純物などを含有してもよい。組成物Bは組成物Aに比較して成分の数が少ない。従って、コストを下げる目的のためには、組成物Bは組成物Aよりも好ましい。しかしながら、目的に合わせて特性をさらに調整するためには、その他の液晶性化合物を含有する組成物Aの方が組成物Bよりも好ましい。
【0037】
化合物(1−1)〜化合物(1−10)、および化合物(2)〜化合物(7)と異なる液晶性化合物には、シアノ基を有する化合物またはピリミジン環を有する化合物が含まれる。このような液晶性化合物はIPSなどのモードを有する素子に用いる組成物には混合されてもよい。しかし、この化合物は組成物の比抵抗を下げるので、TN−TFT素子などに用いる組成物には好ましくない。シアノ基を有する化合物またはピリミジン環を有する化合物の例は、式(8)または式(9)である。光学活性な化合物の例は式(Op−1)〜式(Op−12)である。


これらの式において、R13はアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシメチルであり;Xは−CNまたは−C≡C−CNであり;環Jは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたはピリミジン−2,5−ジイルであり;環Kは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、1,4−フェニレンまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Zは単結合、−(CH−、−COO−、−CFO−または−OCF−であり;LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そしてbおよびdは独立して0または1である。


【0038】
前記の[1]項または[2]項の組成物は、誘電率異方性が+2〜−2である液晶性化合物を含有することが好ましく、これによって素子の応答時間をさらに短くすることができる。そして、素子の応答時間をさらに短くし、かつ素子をより低い電圧で駆動させるために、誘電率異方性が+2〜−2である液晶性化合物を含有し、そして誘電率異方性が10以上である液晶性化合物をさらに含有することが好ましい。
【0039】
次に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の目的に従って表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。0は誘電率異方性がほぼゼロである(または極めて小さい)ことを意味する。


成分化合物が組成物に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1−1)〜化合物(1−10)は、組成物のしきい値電圧を下げ、粘度を上げる。化合物(2)〜(4)は、組成物のしきい値電圧を上げ、粘度を下げる。化合物(5)〜(7)は、組成物のしきい値電圧を下げ、粘度を上げる。
【0040】
次に、成分化合物の組成物全量を基準とする好ましい割合およびその根拠を説明する。第一成分の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために3%以上であり、組成物の粘度を下げる、または下限温度を下げるために80%以下である。さらに好ましい割合は、5%〜50%である。特に好ましい割合は、10〜40%である。
【0041】
第二成分を混合する場合、この成分の好ましい割合は、組成物の粘度を下げるために5%以上であり、組成物のしきい値電圧を下げるために80%以下である。さらに好ましい割合は、5〜60%である。特に好ましい割合は、10%〜40%である。
【0042】
第三成分を混合する場合、この成分の好ましい割合は、組成物のしきい値電圧を下げるために5%以上であり、組成物の粘度を下げるために60%以下である。さらに好ましい割合は、5%〜50%である。特に好ましい割合は、10%〜40%である。
【0043】
本発明の組成物において、第一成分、第二成分および第三成分の合計の好ましい割合は、良好な特性を得るために70%以上である。さらに好ましい割合は90%以上である。
【0044】
次に、成分化合物の好ましい形態を説明する。成分化合物を表す式において、Rの記号を複数の式に用いた。これらの化合物において、Rの意味は同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(1−1)のRがエチルであり、化合物(1−2)のRがエチルであるケースがある。化合物(1−1)のRがエチルであり、化合物(1−2)のRがプロピルであるケースもある。このルールは、R、環A、Z、Y、X、Lなどの記号についても適用される。
【0045】
は水素、アルキルまたはアルケニルである。好ましくはアルキルまたはアルケニルである。特に好ましくはアルキルである。
【0046】
はハロゲン、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルキル、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルケニル、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシである。好ましくは、ハロゲン、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルキルまたは任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシである。特に好ましくは、ハロゲンまたは任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルキルである。
【0047】
は任意の水素がフッ素で置き換えられたアルキルである。
【0048】
およびRは独立して、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシメチルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルである。好ましいRは、アルキル、アルケニル、アルコキシメチルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルである。好ましいRはアルキルまたはアルコキシである。
【0049】
はアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシメチルである。好ましくはアルキルまたはアルケニルである。特に好ましくはアルキルである。
【0050】
はアルキルまたはアルケニルである。好ましくはアルキルである。これらの中で、分岐も存在する場合は、直鎖の方が好ましい。
【0051】
およびRはアルキルである。RおよびRは同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。
【0052】
10はアルキル、アルケニル、アルコキシまたは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルである。
【0053】
11はアルキルまたはアルコキシである。
【0054】
12はアルキル、アルケニルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルである。
【0055】
13はアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシメチルである。好ましくは、アルキルまたはアルケニルである。
【0056】
はフッ素、塩素、−CF、−OCFまたは−OCFHである。好ましくは、フッ素、−CFまたは−OCFである。さらに好ましくは、フッ素または−CFである。
【0057】
はフッ素、塩素、任意の水素がフッ素で置き換えられたアルキル、または任意の水素がフッ素で置き換えられたアルコキシである。好ましくは、フッ素、塩素、または任意の水素がフッ素で置き換えられたアルコキシである。これらの中で、分岐も存在する場合は、直鎖の方が好ましい。
【0058】
は−CNまたは−C≡C−CNである。好ましくは、−CNである。
【0059】
好ましいハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。さらに好ましくは、フッ素または塩素である。特に好ましくは、フッ素である。
【0060】
本発明におけるアルキル、アルコキシおよびアルケニルは、それぞれ直鎖の基であってもよく、分岐の基であってもよいが、直鎖の基である方が好ましい。アルキルの好ましい炭素数は1〜10である。アルコキシの好ましい炭素数は1〜10である。アルケニルの好ましい炭素数は2〜10である。
【0061】
アルキルの好ましい例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルである。さらに好ましい例は、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘプチルである。
【0062】
アルケニルの好ましい例は、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニルおよび5−ヘキセニルである。さらに好ましい例は、ビニル、1−プロペニル、3−ブテニルおよび3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。
【0063】
アルコキシの好ましい例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシおよびヘプチルオキシである。さらに好ましい例はメトキシおよびエトキシである。
【0064】
任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルキルの好ましい例は、炭素数が1〜10であり、そして直鎖のフッ素化アルキルである。より好ましい例は−CF、−CHF、−CFCHFおよび−CHFCFであり、特に好ましい例は−CFである。
【0065】
任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルケニルの好ましい例は、炭素数が2〜10であり、そして直鎖のフッ素化アルケニルである。より好ましい例は、2,2−ジフルオロ−ビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、および5,5−ジフルオロ−4−ペンテニルである。さらに好ましい例は、2,2−ジフルオロ−ビニルおよび4,4−ジフルオロ−3−ブテニルである。
【0066】
任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシの好ましい例は、炭素数が1〜10であり、そして直鎖のフッ素化アルコキシである。より好ましい例は、−OCF、−OCHF、−OCFCHFおよび−OCHFCFである。さらに好ましい例は、−OCFおよび−OCHFであり、特に好ましい例は−OCFである。
【0067】
アルコキシメチルの好ましい例は、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチルおよびペンチルオキシメチルである。特に好ましい例はメトキシメチルである。
【0068】
、A、AおよびAは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンである。A、A、AまたはAの好ましい例は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンおよび任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンである。
【0069】
環B、環Cおよび環Dは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンである。好ましい環Dは、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである。
【0070】
環Eおよび環Fは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンである。
【0071】
環Gは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンである。環Gの好ましい例は、1,4−フェニレン、および任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンである。特に好ましい例は1,4−フェニレンである。
【0072】
本発明において、任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンの好ましい例は、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンおよび2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。
【0073】
記号中または構造式中の1,4−シクロヘキシレンまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルに関する立体配置は、シスよりもトランスが好ましい。2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンのフルオロ基は化合物の誘電率異方性を大きくするように位置している(例えば、化合物(1−43))。2−フルオロ−1,4−フェニレンのフルオロ基は、環の右側に位置してもよいし、または左側に位置してもよい。好ましい位置は、化合物(1−42)などのように右側である。
【0074】
、Z、ZおよびZは独立して単結合、−(CH−、−CHO−または−CFO−であり、単結合が好ましい。
【0075】
およびZは独立して、単結合、−COO−、−C≡C−または−(CH−である。ZまたはZの好ましい例は、単結合および−COO−であり、より好ましい例は単結合である。
【0076】
およびZは独立して、単結合、−(CH−、−COO−、−CFO−または−OCF−である。Zの好ましい例は、単結合、−(CH−および−COO−である。Zの好ましい例は、単結合、−(CH−、−COO−および−CFO−である。
【0077】
は、単結合、−(CH−、−COO−、−CFO−または−OCF−である。Zの好ましい例は単結合および−COO−であり、より好ましい例は単結合である。
【0078】
、Y、YおよびYは独立して、水素、フッ素またはメチルである。Y、Y、YまたはYの好ましい例は水素およびフッ素である。
【0079】
およびLは独立して水素またはフッ素である。組成物の粘度を下げるためには、LとLが同時に水素であることが好ましい。組成物のしきい値電圧を下げるためには、LとLが同時にフッ素であることが好ましい。
【0080】
bおよびdは独立して0または1であり、好ましくは0である。
【0081】
次に、成分化合物の具体的な例を示し、それらが組成物に与える効果について説明する。化合物(1−1)〜化合物(1−10)の好ましい例は、化合物(1−11)〜化合物(1−20)である。


【0082】
化合物(1−11)、化合物(1−12)、化合物(1−15)および化合物(1−16)は、組成物の上限温度を下げ、そして下限温度を下げる。化合物(1−13)、化合物(1−14)および化合物(1−17)〜化合物(1−20)は、組成物の上限温度を上げる。化合物(1−1)〜(1−10)のさらに好ましい例は、化合物(1−41)〜化合物(1−44)、化合物(1−51)〜化合物(1−78)、および後記の化合物(1−101)〜化合物(1−282)である。


【0083】


【0084】
これらの中で、組成物の粘度を下げるためには、化合物(1−41)〜化合物(1−44)が好ましい。組成物のしきい値電圧を下げるためには、化合物(1−51)〜化合物(1−78)が好ましい。組成物の下限温度をより下げるためには、化合物(1−51)〜化合物(1−58)が好ましい。組成物の上限温度をより上げるためには、化合物(1−59)〜化合物(1−78)が好ましい。組成物の光学異方性をより小さくするために、化合物(1−51)、化合物(1−55)、化合物(1−59)および化合物(1−63)が好ましい。組成物の光学異方性を大きくするためには、化合物(1−52)〜化合物(1−54)、化合物(1−56)〜化合物(1−58)、化合物(1−60)〜化合物(1−62)、および化合物(1−64)〜化合物(1−78)が好ましい。組成物のしきい値電圧をより下げるために、化合物(1−51)〜化合物(1−54)、および化合物(1−67)〜化合物(1−69)が好ましい。組成物のしきい値電圧をより下げ、そして下限温度を下げるためには、化合物(1−55)〜化合物(1−58)、化合物(1−63)〜化合物(1−66)、および化合物(1−70)〜化合物(1−72)が好ましい。組成物の上限温度を上げ、しきい値電圧をより下げ、そして光学異方性を大きくするために、化合物(1−73)〜化合物(1−78)が好ましい。
【0085】
化合物(2)〜化合物(4)の好ましい例は、下記の化合物(2−1)〜化合物(4−3)である。


【0086】
これらの中で、組成物の粘度をより下げるために、化合物(2−1)が好ましい。組成物の下限温度をより下げるために、化合物(2−2)が好ましい。組成物の上限温度を上げ、そして粘度を下げるために、化合物(3−1)が好ましい。化合物の光学異方性を上げ、そして粘度を下げるために、化合物(3−2)および化合物(3−3)が好ましい。組成物の上限温度を上げ、光学異方性を大きくするために、化合物(4−1)が好ましい。組成物の上限温度を上げ、粘度を下げるために、化合物(4−2)が好ましい。組成物の上限温度を上げ、光学異方性を小さくするために、化合物(4−3)が好ましい。
【0087】
化合物(5)〜化合物(7)の好ましい例は、下記の化合物(5−1)〜化合物(7−2)である。


【0088】
これらの中で、組成物の粘度を下げ、下限温度を下げるために、化合物(5−1)が好ましい。組成物の上限温度を上げ、下限温度を下げるために、化合物(6−2)〜化合物(6−4)が好ましい。組成物のしきい値電圧を下げ、粘度を下げるために、化合物(6−9)、化合物(6−1)、化合物(6−12)、化合物(6−14)が好ましい。組成物のしきい値電圧をより下げるために、化合物(6−19)、化合物(6−20)が好ましい。組成物の上限温度を上げ、しきい値電圧を下げるために、化合物(7−1)が好ましい。
【0089】
次に、化合物(1−1)〜(1−10)のさらに好ましい具体例として、化合物(1−101)〜化合物(1−282)を示す。これらの式における記号の意味は前述の通りである。
【0090】


【0091】


【0092】


【0093】


【0094】


【0095】


【0096】


【0097】


【0098】
次に、化合物(1−1)〜化合物(1−10)の合成方法を説明する。これらの化合物は、有機合成化学における手法を適切に組み合わせることにより合成できる。出発物に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、Organic Syntheses(John Wiley & Sons, Inc)、Organic Reactions(John Wiley & Sons, Inc)、Comprehensive Organic Synthesis(Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などに記載されている。
【0099】
結合基Z、Z、ZまたはZを生成する方法の一例に関して、最初にスキームを示し、次に項(I)〜項(XI)でスキームを説明する。このスキームにおいて、MSGまたはMSGは少なくとも1つの環を有する1価の有機基である。スキームで用いた複数のMSG(またはMSG)は、同一であってもよいし、または異なってもよい。化合物(1A)から(1K)は化合物(1)に相当する。


【0100】
(I)単結合の生成
アリールホウ酸(21)と公知の方法で合成される化合物(22)とを、炭酸塩水溶液とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で反応させて化合物(1A)を合成する。この化合物(1A)は、公知の方法で合成される化合物(23)にn−ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で化合物(22)を反応させることによっても合成される。
【0101】
(II)−CFO−の生成
化合物(1B)をローソン試薬のような硫黄化剤で処理して化合物(24)を得る。化合物(26)をフッ化水素ピリジン錯体とN−ブロモスクシンイミド(NBS)でフッ素化し、−CFO−を有する化合物(1C)を合成する(M. Kuroboshi et al., Chemlett., 1992,827.を参照)。化合物(1C)は化合物(24)を(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド(DAST)でフッ素化しても合成される(W. H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768.を参照)。Peer. Kirsch et al., Anbew. Chem. Int. Ed. 2001, 40, 1480.に記載の方法によってこれらの結合基を生成させることも可能である。
【0102】
(III)−(CH−の生成
化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理した後、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などのホルムアミドと反応させてアルデヒド(25)を得る。公知の方法で合成されるホスホニウム塩(27)をカリウム塩(26)をカリウムt−ブトキシドのような塩基で処理して発生させたリンイリドを、アルデヒド(28)に反応させて化合物(27)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。化合物(27)をパラジウム炭素のような触媒の存在下で水素化することにより、化合物(1D)を合成する。
【0103】
(IV)−CHO−の生成
化合物(28)を水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で還元して化合物(29)を得る。これを臭化水素酸などでハロゲン化して化合物(30)を得る。炭酸カリウムなどの存在下で、化合物(30)を化合物(31)と反応させて化合物(1E)を合成する。
【0104】
次に、環A、A、Aまたは環Aに関して説明する。1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンなどの環は出発物が市販されているか、または合成法がよく知られており、容易に準備できる。
【0105】
次にクロマン環を生成する方法について説明する。最初に、クロマン環を有する化合物を合成するために、下記に示す化合物(q1a)を合成し、化合物(q1a)を出発原料として化合物(1−1)〜(1−10)を合成する方法を説明する。




【0106】
出発原料となる化合物(52)は、例えば下記のスキームに示すような公知の方法により、容易に合成することができる。
(A−1)Aがシクロヘキシレンなどであり、かつZが単結合である場合の化合物(52)、およびZがアルキレンである場合の化合物(52)の合成法

(これらの式において、Pは保護基を示し、TIPSはトリイソプロピルシリル、TBDMSはt−ブチルジメチルシリル、Bnはベンジルを表す。)
最初に有機合成化学の方法に従ってシクロヘキサノン誘導体(50a)またはカルボニル誘導体(50b)を準備し、適切なグリニァール試薬(51)を用いたグリニァール反応、酸による脱水反応、およびPd触媒を用いた水素還元を順次行い、その後は必要により塩化アルミニウムを用いた異性化反応を行うことにより、容易に化合物(52)に誘導することができる。
【0107】
(A−2)Aがフェニレンなどであり、かつZが単結合である場合の化合物(52)、Zが−CHO−である場合の化合物(52)、およびZが−CFO−である場合の化合物(52)の合成法


(これらの式において、Xは臭素、ヨウ素またはトリフラート(OTf)を表し、下記の表記は任意の水素がフッ素で置き換えられていても良いフェニレンを表す。


最初に有機合成化学の方法に従って化合物(53a)、化合物(53b)または化合物(53c)を準備する。化合物(53a)から、例えばボロン酸誘導体(54)などとカップリッグ反応を行う方法、または化合物(53b)から、フェノール誘導体(55)などとエーテル化を行う方法、または化合物(53c)から、フェノール誘導体(55)などとエステル化を行い、その後に上記に示した合成スキーム(II)を用いることによって、容易に化合物(52)に誘導することができる。
【0108】
次に、化合物(52)から化合物(q1a)を合成する方法について説明する。まず、化合物(52)から化合物(58)に誘導するスキームを下記に示す。


化合物(52)を臭素化し、次いでブチルリチウムで処理した後に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などを作用させてアルデヒド体(57)を得る。その後、ジエチルホスホノ酢酸エチルを水素化ナトリウムのような塩基で処理して発生させたリンイリドを、化合物(57)と反応させて、化合物(58)を得る。
【0109】
(B−1) 化合物(61)の合成
化合物(61)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(58)をパラジウム触媒下で水素還元を行い、ついでProtective Groups in Organic Synthesis(Greene, John Wiley & Sons, Inc)などに記載されている一般的な脱保護の条件により、フェノールの保護基を取り除く。得られた化合物(60)をp−トルエンスルホン酸などを用いて脱水環化反応を行うことにより、化合物(61)を得ることができる。
【0110】
(B−2) 化合物(65)の合成
化合物(65)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(58)をm−クロロ過安息香酸と作用させてエポキシ(62)に誘導し、さらに酢酸ナトリウムを加えることで化合物(63)を得る。次いで、この化合物(63)をジエチルアミノサルファートリフルオライド(DAST)などのフッ素化剤を用いてフッ素化し、その後は(B−1)に記した方法と同様の方法を用いて、脱保護、脱水環化反応を行うことにより、化合物(65)を得ることができる。
【0111】
(B−3) 化合物(67)の合成
化合物(67)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(63)から、Wittig反応、次いで水素還元を行って化合物(65)に誘導し、その後に(B−1)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(67)を得ることができる。
【0112】
(B−4)化合物(70)の合成
化合物(70)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(64)から、塩素との光反応を行って塩素化物(68)とし、さらにフッ化アンチモンを作用させてフッ素化を行うことにより化合物(69)に誘導する。その後は、(B−1)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(70)を得ることができる。
【0113】
(B−5)化合物(74)の合成
化合物(74)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(52)とシアノ酢酸クロライドの混合物に塩化アルミニウムを作用させて化合物(71)とし、ついでエタノールと塩基により化合物(72)に誘導する。そして、DASTを用いてフッ素化し、その後は(B−1)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(74)を得ることができる。
【0114】
(B−6)化合物(76)の合成
化合物(76)は、例えば下記のような方法で合成することができる。



化合物(72)から、Wittig反応、次いで水素還元を行って化合物(75)に誘導し、その後に(B−1)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(76)を得ることができる。
【0115】
(B−7)化合物(78)の合成
化合物(78)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


化合物(62)にフッ化水素ピリジンを作用させ、ついでDASTを用いてフッ素化を行うことにより化合物(77)が得られる。その後は(B−1)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(78)を得ることができる。
【0116】
次に、化合物(q1a)から化合物(1−1)〜(1−10)に誘導する方法について説明する。
(C−1) 化合物(81)および化合物(82)の生成
化合物(81)および化合物(82)の合成スキームの一例を下記に示す。


化合物(q1a)に、例えばトリフルオロメチルトリメチルシランとテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)を作用させると化合物(79)が得られる。この化合物(79)に塩化チオニルを作用させて化合物(80)に誘導し、さらに水素還元を行うと、化合物(81)が得られる。また、化合物(80)にフッ化水素ピリジンをさせると、化合物(82)を得ることができる。
【0117】
(C−2) 化合物(85)の生成
化合物(85)は、例えば下記のような方法で合成することができる。


例えば、ヨードパーフルオロエタンに金属リチウム作用させたものを、化合物(q1a)と反応させて化合物(83)とする。その後は、(II−1)に記した方法と同様の方法を用いることによって、化合物(126)を得ることができる。
【0118】
(C−3) 化合物(87)、化合物(88)および化合物(89)の生成
化合物(128)、化合物(129)および化合物(130)の合成スキームの一例を下記に示す。


化合物(q1a)を、DIBALを用いて還元すると、化合物(86)が得られる。この化合物にフッ化水素ピリジンを作用させると、化合物(87)が得られる。また、化合物(86)に塩化チオニルを作用させると化合物(88)、また化合物(86)にヨードトリフルオロメタンを作用させてエーテル化を行うと化合物(89)が得られる。
【0119】
(C−4) 化合物(90)の生成
化合物(90)の合成スキームの一例を下記に示す。



化合物(q1a)を、ローソン試薬を使用してチオエステル化合物に誘導した後、フッ化水素ピリジンを作用させることにより、化合物(90)を得ることができる。
【0120】
(C−5) 化合物(92)および化合物(93)の生成
化合物(92)および化合物(93)の合成スキームの一例を下記に示す。




のハロゲン化物に金属リチウムを作用させたものを、化合物(q1a)と反応させて化合物(91)とし、次いで塩化チオニルを用いた塩素化、さらには水素還元を行うと化合物(92)が得られる。また、化合物(91)にフッ化水素ピリジンを作用させると、化合物(93)を得ることができる。
【0121】
(C−6) 化合物(96)および化合物(97)の生成
化合物(96)および化合物(97)の合成スキームの一例を下記に示す。


シクロヘキセン誘導体のハロゲン化物(94)に金属リチウムを作用させたものを、化合物(q1a)と反応させると、化合物(95)が得られる。この化合物(95)を(II−3)と同様の方法で塩素化し、ついで水素還元を行うと化合物(96)が得られる。また、フッ化水素ピリジンを作用させた後に水素還元を行うと、化合物(97)を得ることができる。
【0122】
化合物(1−1)〜(1−10)を生成するための別法の一例として、下記のようなスキームを挙げる。


まず、上記の(C−1)〜(C−6)に記した方法と同様の方法を用いることにより、化合物(98)から化合物(99)を合成することができる。この化合物(99)を、ホウ酸トリメチルなどを用いることによりボロン酸誘導体(101)に変換する。その後、この化合物(101)とQのハロゲン化物(102)などを、パラジウム触媒などを用いてカップリング反応を行うことにより、化合物(1−1)〜(1−10)を得ることができる。
【0123】
官能基や環の化学的性質、または合成の簡便さなどの様々な要因を考慮した上で、化合物(1−1)〜(1−10)の化合物の適切な合成方法を選択する。
【0124】
化合物(2)〜化合物(7)は既知の方法によって合成できる。例えば、化合物(2−1)は、特開昭59−70624号公報に記載された方法で合成する。化合物(3−3)は、特開昭60−51135号公報に記載された方法で合成する。化合物(4−1)は、特開平2−237949号公報に記載された方法で合成する。化合物(5−1)は、特開昭58−126823号公報に記載された方法で合成する。化合物(6−9)は、特開平2−233626号公報に記載された方法で合成する。化合物(7−1)は、特開平2−233626号公報に記載された方法を修飾することによって合成する。
【0125】
化合物(2)〜化合物(7)において合成法を記載しなかった化合物、および化合物(8)、化合物(9)、化合物(Op−1)〜化合物(Op−12)は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。組成物は、このようにして得た化合物から公知の方法によって調製される。例えば、成分である化合物を混合し、加熱によって互いに溶解させる。
【0126】
組成物および化合物の用途を説明する。本発明の組成物はAM素子に適する。PM素子への使用も可能である。この組成物は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VAなどのモードを有する素子への使用も可能である。TN、ECB、OCB、またはIPSのモードを有する素子への使用は好ましい。これらの素子が反射型、透過型または半透過型であってもよい。非結晶シリコン−TFT素子または多結晶シリコン−TFT素子への使用も可能である。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)素子、例えばPN(polymer network)素子にも使用できる。
【0127】
本発明の化合物(1−1)〜化合物(1−10)は、AM素子用の組成物に適する。この化合物は、PM素子用の組成物への使用も可能である。この化合物は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VAなどのモードを有する素子用の組成物への使用も可能である。この化合物は、TN、ECB、OCB、またはIPSのモードを有する素子用の組成物への使用は好ましい。これらの素子が反射型、透過型または半透過型であってもよい。非結晶シリコン−TFT素子または多結晶シリコン−TFT素子用の組成物への使用も可能である。この化合物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子用の組成物や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)素子用の組成物、例えばPN(polymer network)素子用の組成物にも使用できる。
【0128】
本発明は、次の項も含む。1)ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、そしてネマチック相の下限温度が−20℃以下である上記の組成物、2)光学活性な化合物をさらに含有する上記の組成物、3)上記の組成物を含有するAM素子、4)上記の組成物を含有し、そしてTN、ECB、OCB、またはIPSのモードを有する素子、5)上記の組成物を含有する透過型の素子、6)上記の組成物を、ネマチック相を有する組成物としての使用、7)上記の組成物に光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用。8)上記化合物をネマチック相を有する組成物成分としての使用。9)上記化合物をAM素子用の組成物成分としての使用。
【実施例】
【0129】
実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は下記の実施例によって限定されない。化合物の実施例において、相転移温度である結晶、ネマチック相および等方相は、それぞれC、NおよびIで表す場合がある。相転移温度において、かっこ内の値は、その化合物がモノトロピックであることを示す。この相転移温度の単位は℃である。得られた化合物は核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトルなどで同定した。核磁気共鳴スペクトルにおいて、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレットである。
【0130】
組成物の比較例、および組成物の実施例における化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号により表した。表3において、1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルに関する立体配置はトランスである。−CH=CH−の結合基に関する立体配置はトランスである。組成物の実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は好ましい化合物の番号に対応する。組成物の比較例、および実施例における液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶性化合物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。組成物の比較例および実施例においては、最後に組成物の特性値をまとめた。
【0131】


【0132】
組成物は、液晶性化合物などの成分の重量を測定してから混合することによって調製される。したがって、成分の重量%を算出するのは容易である。しかし、組成物をガスクロマト分析することによって成分の割合を正確に算出するのは容易でない。補正係数が液晶性化合物の種類に依存するからである。幸いなことに補正係数はほぼ1である。さらに、成分化合物における1重量%の差異が組成物の特性に与える影響は小さい。したがって、本発明においてはガスクロマトグラフにおける成分ピークの面積比を成分化合物の重量%と見なすことができる。つまり、ガスクロマト分析の結果(ピークの面積比)は、補正することなしに液晶性化合物の重量%と等価であると考えてよい。
【0133】
試料が組成物のときはそのまま測定し、得られた値を記載した。試料が化合物のときは、15重量%の化合物および80重量%の母液晶Aを混合することによって試料を調製した。測定によって得られた値から外挿法よって化合物の特性値を算出した。外挿値=(試料の測定値−0.85×母液晶Aの測定値)/0.15。この割合でスメクチック相(または結晶)が25℃で析出するときは、化合物と母液晶Aの割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更した。この外挿法によって化合物に関する上限温度、光学異方性、粘度、および誘電率異方性の値を求めた。
【0134】
母液晶Aの組成およびこの母液晶Aの特性は下記のとおりである。


NI=71.7℃、Δn=0.137、Δε=11.0、η=27.0mPa・s.
【0135】
特性値の測定は下記の方法にしたがった。それらの多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
【0136】
ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0137】
ネマチック相の下限温度(T;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、Tを≦−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0138】
化合物の低温相溶性(T;%):20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、3重量%、1重量%の化合物を母液晶Bに混合し、試料を調製する。この試料をガラス瓶に入れ、−20℃のフリーザーへ30日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、20重量%の濃度で結晶またはスメクチック相であり、15重量%の濃度でネマチック相であれば、その化合物のTを15重量%とした(T=15重量%)。
【0139】
母液晶Bの組成は、次のとおりである。


【0140】
<粘度(η;20℃で測定;mPa・s)>
測定にはE型粘度計を用いた。
【0141】
<光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定)>
測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0142】
<誘電率異方性(Δε;25℃で測定)>
2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0143】
<しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)>
測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧である。
【0144】
<電圧保持率(VHR;25℃と100℃で測定;%)>
測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は6μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。25℃で測定して得られた電圧保持率をVHR−1で表した。100℃で測定して得られた電圧保持率をVHR−2で表した。次に、このTN素子を100℃、250時間加熱した。VHR−3は、加熱後の素子を25℃で測定して得られた電圧保持率である。VHR−4は、加熱後の素子を100℃で測定して得られた電圧保持率である。VHR−1およびVHR−2は、初期段階における評価に相当する。VHR−3およびVHR−4は、素子を長時間使用した後の評価に相当する。
【0145】
<らせんピッチ>
測定は、グランジャンーカノーくさび法と呼ばれる方法によって、25℃にて行った。
【0146】
<ガスクロマト分析>
測定には島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2ml/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はアセトン溶液(0.1重量%)に調製したあと、その1μlを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R5A型Chromatopac、またはその同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
【0147】
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリーカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は成分化合物の割合に相当する。成分化合物の重量%は各ピークの面積比と完全には同一ではない。しかし、本発明においては、これらのキャピラリカラムを用いるときは、成分化合物の重量%は各ピークの面積比と同一であると見なしてよい。成分化合物における補正係数に大きな差異がないからである。
【0148】
[比較例1]
特開平6−256339号公報に開示されている化合物の中から、実施例2の化合物を合成した。この化合物は、2−ブチル−6−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)カルボニルオキシクロマンである。この化合物の誘電率異方性は、2.8であった。この化合物の誘電率異方性は小さい。
【0149】
[実施例1]
<2−トリフルオロメチル−6−(トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−8−フルオロクロマン(化合物(M1):Rがプロピルである式(1−41)の化合物)の合成>






【0150】
(工程1)
窒素雰囲気下で、化合物(M1−01)(30.0g)のジクロロメタン(200ml)溶液を0℃に冷却して、臭素(17.3g)を滴下し、そのまま30分間攪拌した。反応液を水にあけてジクロロメタン(100ml)を追加し、常法により、チオ硫酸ナトリウム水溶液、水で順次洗浄して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物(M1−02)(18.9g)を得た。次に、窒素雰囲気下で、化合物(M1−02)(18.9g)のテトラヒドロフラン(THF)(200ml)溶液を−65℃まで冷却し、sec−ブチルリチウム/シクロヘキサン溶液(69ml)を滴下した。そのままの温度で1時間攪拌した後、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(5.04g)のTHF溶液(10ml)を滴下し、さらに1時間攪拌した。反応液を1N−HCl水溶液にあけてトルエン(500ml)で2回抽出し、常法にて水で洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M1−03)(9.11g)を得た。
【0151】
(工程2)
窒素雰囲気下で、ジエチルホスホノ酢酸エチル(6.81g)のTHF(60ml)溶液を−40℃に冷却し、t−ブトキシカリウム(3.41g)をゆっくりと加えた。そのまま1時間攪拌した後に、化合物(M1−03)(9.11g)のTHF(30ml)溶液を滴下し、さらに1時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(200ml)で抽出し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M1−04)(9.47g)を得た。この化合物(M1−04)(9.47g)のトルエン(30ml)/イソプロピルアルコール(30ml)混合溶液に触媒としてパラジウムカーボン粉末(Pd/C)(0.50g)を加え、反応器内に1.0kPaの水素圧をかけて常温にて1日間攪拌した。反応液をろ過した後、常法にて濃縮し、化合物(M1−05)(9.22g)を得た。
この化合物(M1−05)(9.22g)のジクロロメタン(70ml)溶液を0℃まで冷却し、三臭化ホウ素(6.95g)を滴下して室温に戻した後、5時間攪拌した。反応液を氷水にあけてトルエン(200ml)で2回抽出し、常法にて、水、重曹水、水で順次洗浄、次いで濃縮した。その後、この濃縮物のトルエン(80ml)溶液にp−トルエンスルホン酸水和物(0.50g)を加え、ディーンスターク装置を用いて、生成したエタノールをトルエンとともに留去しながら1時間加熱還流した。この後、さらにトルエン(20ml)を追加し、さらに1時間加熱還流した。反応物を水にあけてトルエン(100ml)を追加し、常法にて、重曹水、水で順次洗浄、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M1−06)(6.29g)を得た。
【0152】
(工程3)
窒素雰囲気下で、化合物(M1−06)(1.57g)のTHF(10ml)溶液を0℃に冷却し、(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(0.78g)のTHF(4ml)溶液を滴下し、その後にテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)/THF溶液(1.0mol/L)を少量加えた。室温にて1時間攪拌した後、さらにTBAF/THF溶液(5.5ml)を滴下し、そのまま3時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(30ml)で2回抽出し、常法にて水で洗浄、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M1−07)(1.66g)を得た。
【0153】
(工程4)
窒素雰囲気下で、化合物(M1−07)(1.66g)のトルエン(10ml)溶液に少量のピリジンを加え、45℃で塩化チオニル(0.49g)を滴下し、そのまま1時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエンを追加し、常法にて水、重曹水、水にて順次洗浄、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M1−08)(1.68g)を得た。この化合物(M1−08)(1.68g)のトルエン(5ml)/イソプロピルアルコール(5ml)の混合液にトリエチルアミンを少量加え、さらに触媒としてPd/C(0.20g)を加えて、反応器内に3kPaの水素圧をかけて、室温にて2日間攪拌する。反応液をろ過した後、トルエン(50ml)を加えて、常法にて1N−HCl水溶液、水、重曹水、水で順次洗浄、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製して標題化合物(M1)(1.06g)を得た。
1H-NMR (CDCl3, ppm): δ0.859(t, 3H), 0.874-1.33(m, 15H), 1.71-1.87(m, 8H), 2.03-2.10(m, 1H), 2.20-2.24(m, 1H), 2.21-2.25(m, 1H), 2.31-2.35(m, 1H), 2.85(m, 2H), 4.37-4.46(m, 1H), 6.66(s, 1H), 6.78-6.81(dd, 1H).
19F-NMR (CDCl3, ppm): δ-79.0(d, 3F), -137.1(d, 1F).
MS: 426(M+)
【0154】
[実施例2]
<2−トリフルオロメチル−6−(2−フルオロ−4−(4−ペンチルフェニル)フェニル)−8−フルオロクロマン(化合物(M2):Rがペンチルである(1−42)の化合物)の合成>






【0155】
実施例1の(工程1)〜(工程4)に記載した方法と同様の方法を用いることによって、化合物(M2−01)(15.0g)から標題化合物(M2)(1.20g)を得た。
1H-NMR (CDCl3, ppm): δ0.910(t, 3H), 1.34-1.37(m, 4H), 1.63-1.69(m, 2H), 2.09-2.17(m, 1H), 2.28-2.34(m, 1H), 2.66(t, 2H), 2.96-2.99(m, 2H), 4.47-4.51(m, 1H), 7.11(s, 1H), 7.22(d, 1H), 7.28(d, 2H), 7.37(d, 1H), 7.42-7.45(m, 2H), 7.53(d, 2H).
19F-NMR (CDCl3, ppm): δ-78.9(d, 3F), -118.5(m, 1F), 136.4(d, 1F).
MS: 460(M+)
【0156】
[実施例3]
<2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−6−(4−プロピルフェニル)−8−フルオロクロマン (化合物(M3):Rがプロピルである(1−44)の化合物)の合成>




【0157】
(工程1)
実施例1の(工程1)に記載した方法と同様の方法を用いることによって、化合物(M3−01)(22.3g)から化合物(M3−02)(12.2g)を合成した。
次に、窒素雰囲気下で、(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド(11.4g)とTHF(50mL)の混合溶液を−30℃まで冷却し、t−ブトキシカリウム(2.97g)をゆっくりと加えた。そのままの温度で1時間攪拌した後に、化合物(M3−02)(6.00g)のTHF(20mL)溶液を滴下した。徐々に室温に戻して1時間攪拌した後、反応液を水にあけてトルエン(100mL)にて2回抽出し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して目的物を単離した。その単離した化合物(6.10g)のトルエン(15mL)/イソプロパノール(15mL)の混合液に、触媒としてPd/C(0.50g)を加え、反応器内に1kPaの水素圧をかけて常温にて1日間撹拌した。反応液をろ過した後、そのまま濃縮して化合物(M3−03)(6.00g)を得た。
【0158】
(工程2)
化合物(M3−03)(6.00g)、ぎ酸(18mL)、およびトルエン(30mL)の混合溶液を、80℃で2時間加熱還流した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)を追加し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行い、化合物(M3−04)(4.30g)を得た。次に、窒素雰囲気下で、マグネシウム(0.383g)とTHF(10mL)の混合液を40℃まで加熱し、その後、氷水浴などを用いて40℃程度に保ちながら1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼン(3.33g)のTHF(10mL)溶液をゆっくりと滴下してGrignard試薬を調整した。そのままの温度で1時間攪拌した後、さらに化合物(M3−04)(4.30g)のTHF(20mL)溶液を滴下し、さらに1時間攪拌した。反応液を1N−HCl水溶液にあけてトルエン(50mL)にて2回抽出し、常法により水、重曹水、水にて順次洗浄、次いで濃縮を行うことにより化合物(M3−05)(6.00g)を得た。
【0159】
(工程3)
窒素雰囲気下で、化合物(M3−05)(5.80g)のジクロロメタン(30mL)溶液を−20℃まで冷却し、三臭化ホウ素(4.04g)を滴下して、その後除々に室温に戻して1時間攪拌した。反応液を水にあけてジクロロメタン(100mL)を追加し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行うことにより目的物を得た。次に、得られた化合物(5.10g)、水酸化カリウム(2.84g)、およびジオキサン(50mL)の混合液にトシルクロリド(2.91g)を加え、3時間加熱還流した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)にて2回抽出し、常法により水、重曹水、水にて順次洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製して標題化合物(M3)(2.20g)を得た。
1H-NMR (CDCl3, ppm): δ0.969(t, 3H), 1.64-1.71(m, 2H), 2.03-2.10(m, 2H), 2.25-2.29(m, 2H), 2.62(t, 2H), 2.84-2.90(m, 1H), 3.01-3.08(m, 1H), 5.07-5.10(m, 1H), 7.08(m, 3H), 7.18-7.21(m, 1H), 7.23(d, 2H), 7.43-7.44(m, 2H).
19F-NMR (CDCl3, ppm): δ-134.1(m, 2F), -137.0(d, 1F), -161.7(d, 1F).
MS: 400(M
【0160】
[実施例4]
<2,2−ジフルオロ−6−(2−フルオロ−4−(4−ペンチルフェニル)フェニル)−8−フルオロクロマン(化合物(M4):Rがペンチルである(1−71)の化合物)の合成>



【0161】
(工程1)
実施例1の(工程1)に記載した方法と同様の方法を用いることによって、化合物(M4−01)(10.0g)から化合物(M4−02)(5.92g)を合成した。
次に、窒素雰囲気下で、メトキシメチルホスホニムクロライド(4.23g)のTHF(20mL)溶液を−30℃まで冷却し、t−ブトキシカリウム(1.39g)をゆっくりと加えた。そのままの温度で1時間攪拌した後に、化合物(M4−02)(4.05g)のTHF(20mL)溶液を滴下した。徐々に室温に戻して1時間攪拌した後、反応液を水にあけてトルエン(100mL)にて2回抽出し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して目的物を単離した。その後、この単離した化合物(4.00g)、3N−HCl水溶液(10mL)、およびアセトン(30mL)の混合溶液を、60℃で2時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)にて抽出し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行い、化合物(M4−03)(2.39g)を得た。
【0162】
(工程2)
窒素雰囲気下で、ジブロモジフルオロメタン(2.69g)のTHF(6mL)溶液を0℃まで冷却し、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィン(6.56g)のTHF(15mL)溶液をゆっくりと滴下した。常温にて1時間攪拌した後、さらに化合物(M4−03)(2.39g)のTHF(10mL)溶液をゆっくりと滴下し、40℃で4時間攪拌した。反応液を水にあけてトルエン(100mL)にて2回抽出し、常法にて水、3N−HCl水溶液、重曹水、水にて順次洗浄、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M4−04)(2.30g)を得た。次に、窒素雰囲気下で、この化合物(M4−04)(2.30g)のジクロロメタン(20mL)溶液を−10℃まで冷却し、臭素(0.88g)を滴下した。そのままの温度で30分間攪拌した後、反応液を水にあけてジクロロメタン(50mL)を追加し、常法にて水、チオ硫酸ナトリウム水溶液、水にて順次洗浄、次いで濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、化合物(M4−05)(1.24g)を得た。
【0163】
(工程3)
化合物(M4−05)(1.24g)のトルエン(10mL)/イソプロピルアルコール(10mL)/トリエチルアミン(0.50mL)の混合液に、触媒としてPd/C(0.15g)を加え、反応器内に3kPaの水素圧をかけて常温にて2日間攪拌した。反応液をろ過した後、トルエン(80mL)を加えて、常法にて1N−HCl水溶液、水、重曹水、水で順次洗浄し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製して標題化合物(M4)(0.710g)を得た。
1H-NMR (CDCl3, ppm): δ0.910(t, 3H), 1.30-1.40(m, 4H), 1.62-1.66(m, 2H), 2.37-2.44(m, 2H), 2.65(t, 2H), 3.08(t, 1H), 7.11(s, 1H), 7.21(d, 1H), 7.26(d, 2H), 7.37(d, 1H), 7.42-7.44(m, 2H), 7.51(m, 2H).
19F-NMR (CDCl3, ppm): δ-69.9(t, 2F), -118.3(m, 1F), -134.6(d, 1F).
MS: 428(M
【0164】
[実施例5]
<2−トリフルオロメチル−3,3−ジフルオロ−6−(トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−8−フルオロクロマン(化合物(M5):Rがプロピルである(1−59)の化合物)の合成>




【0165】
(工程1)
実施例1で合成した化合物(M1−04)を出発原料とする。窒素雰囲気下で、化合物(M1−04)のジクロロメタン溶液を0℃に冷却して、m−クロロ過安息香酸を滴下し、室温で20時間攪拌する。反応液を水にあけてジクロロメタンを追加し、常法により、チオ硫酸ナトリウム水溶液、水で順次洗浄、次いで濃縮して、化合物(M5−01)を単離する。窒素雰囲気下で、化合物(M5−01)、酢酸ナトリウムおよびトルエンの混合溶液を、2時間加熱還流する。反応液を水にあけてトルエンを追加し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらに再結晶ろ過にて精製して化合物(M5−02)を単離する。
【0166】
(工程2)
窒素雰囲気下で、化合物(M5−02)のジクロロメタン溶液を0℃まで冷却し、DAST(ジエチルアミノサルファートリフルオリド)をゆっくりと滴下し、室温にて20時間攪拌する。反応液を水にあけてジクロロメタンを追加し、常法により水で洗浄、次いで濃縮を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M5−03)を単離する。この化合物(M5−03)のジクロロメタン溶液を0℃まで冷却し、三臭化ホウ素を滴下して室温に戻した後、5時間攪拌する。反応液を氷水にあけてトルエンで2回抽出し、常法にて、水、重曹水、水で順次洗浄、次いで濃縮する。その後、この濃縮物のトルエン溶液にp−トルエンスルホン酸水和物を加え、ディーンスターク装置を用いて、生成したエタノールをトルエンとともに留去しながら1時間加熱還流する。この後、さらにトルエンを追加し、さらに1時間加熱還流する。反応液を水にあけてトルエンを追加し、常法にて、重曹水、水で順次洗浄、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M5−04)を得る。
【0167】
(工程3)
化合物(M5−04)から、実施例1の(工程3)および(工程4)と同様の方法にて、標題化合物(M5)を得る。
【0168】
[実施例6]
<2−トリフルオロメチル−3−メチル−6−(トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−8−フルオロクロマン(化合物(M6):Rがプロピルである(1−146)の化合物)の合成>




【0169】
(工程1)
実施例5で合成した化合物(M5−02)を出発原料とする。窒素雰囲気下で、メチルトリフェニルホスホニウムブロミドのTHF溶液を−30℃まで冷却し、t−ブトキシカリウムをゆっくりと加え、そのままの温度で1時間攪拌する。この後、化合物(M5−02)のTHF溶液をゆっくりと滴下し、室温にもどしてさらに1時間攪拌する。反応液を水にあけてトルエンにて2回抽出し、常法にて水で洗浄、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して目的物を単離する。単離した化合物をのトルエン/イソプロピルアルコールの混合液に、触媒としてPd/Cを加え、反応器内に3kPaの水素圧をかけて常温にて2日間攪拌する。反応液をろ過した後、トルエンを加えて、常法にて1N−HCl水溶液、水、重曹水、水で順次洗浄し、次いで濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、化合物(M6−01)を単離する。この化合物(M6−01)のジクロロメタン溶液を0℃まで冷却し、三臭化ホウ素を滴下して室温に戻した後、5時間攪拌する。反応液を氷水にあけてトルエンで2回抽出し、常法にて、水、重曹水、水で順次洗浄、次いで濃縮する。この濃縮物のトルエン溶液にp−トルエンスルホン酸水和物を加え、ディーンスターク装置を用いて、生成したエタノールをトルエンとともに留去しながら1時間加熱還流する。この後、さらにトルエンを追加し、さらに1時間加熱還流する。反応液を水にあけてトルエンを追加し、常法にて、重曹水、水で順次洗浄、次いで濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M6−02)を得る。
【0170】
(工程2)
化合物(M6−02)から、実施例1の(工程3)および(工程4)と同様の方法にて、標題化合物(M6)を得る。
【0171】
[実施例7]
<2−(3,4,5−トリフルオロフェニル)−3,3−ジフルオロ−6−(4−プロピルフェニル)−8−フルオロクロマン(化合物(M7):Rがプロピルである(1−78)の化合物)の合成>




【0172】
(工程1)
化合物(M7−01)から、実施例5の(工程1)および(工程2)と同様の方法にて化合物(M7−02)を得る。
【0173】
(工程2)
窒素雰囲気下で、細かく切ったリチウムおよびジエチルエーテルの混合液に、室温で化合物(M7−03)のジエチルエーテル溶液をゆっくりと滴下し、その後に1時間加熱還流する。反応液を1N−HCl水にあけてトルエンで3回抽出し、常法にて、水、重曹水、水にて順次洗浄、次いで濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して化合物(M7−04)を得る。
【0174】
(工程3)
化合物(M7−04)から、実施例1の(工程4)と同様の方法にて、標題化合物(M7)を得る。
【0175】
実施例1〜7および前記の合成法をもとに、前記の化合物(1−41)〜化合物(1−44)、化合物(1−51)〜化合物(1−78)および化合物(1−101)〜化合物(1−282)を合成することができる。
【0176】
[実施例8]
母液晶A90重量%と、実施例1で得られた化合物(M1)10重量%とからなる組成物Cを調整した。組成物Cの物性値を外挿して化合物(M1)の物性値を算出した。
光学異方性(Δn)=0.095
誘電率異方性(Δε)=10.2
【0177】
[実施例9]
母液晶A85重量%と、実施例2で得られた化合物(M2)15重量%とからなる組成物Dを調整した。組成物Dの物性値を外挿して化合物(M2)の物性値を算出した。
光学異方性(Δn)=0.190
誘電率異方性(Δε)=16.9
【0178】
[実施例10]
母液晶A85重量%と、実施例3で得られた化合物(M3)15重量%とからなる組成物Eを調整した。組成物Eの物性値を外挿して化合物(M3)の物性値を算出した。
光学異方性(Δn)=0.124
誘電率異方性(Δε)=17.7
【0179】
[実施例11]
母液晶A90重量%と、実施例4で得られた化合物(M4)10重量%とからなる組成物Fを調整した。組成物Fの物性値を外挿して化合物(M4)の物性値を算出した。
光学異方性(Δn)=0.197
誘電率異方性(Δε)=21.9
【0180】
[実施例12]
母液晶A90重量%と、実施例5で得られた化合物(M5)10重量%とからなる組成物Gを調整した。組成物Gの物性値を外挿して化合物(M5)の物性値を算出した。
光学異方性(Δn)=0.195
誘電率異方性(Δε)=17.9
【0181】
[比較例2]
特開平6−256339号公報に開示されている組成物の中から、実施例5の組成物を調製した。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。この組成物はNIが低く、VHR−1およびVHR−2が小さい。
3−HEA−4 25%
3−HB−C 30%
5−HB−C 22.5%
7−HB−C 22.5%
NI=49.2℃;Δn=0.100;Δε=9.7;Vth=1.43V;VHR−1=97.5%;VHR−2=53.5%.
【0182】
[実施例13]
下記の組成物を調製した。
2−HHCro1(8F)−CF3 (1−41) 3%
3−HHCro1(8F)−CF3 (1−41) 4%
3−HH−4 (2−1) 17%
3−HHB−1 (3−1) 7%
3−HB−CL (5−1) 20%
3−HHB−F (6−1) 4%
3−HHB−CL (6−2) 6%
5−HHB−CL (6−2) 6%
3−HHB(F,F)−F (6−9) 5%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 10%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 10%
2−HHBB(F,F)−F (7−1) 4%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 4%
この組成物のΔεは5.6であった。
【0183】
[実施例14]
下記の組成物を調製する。
2−BB(F)Cro1(8F)−CF3 (1−42) 5%
3−BB(F)Cro1(8F)−CF3 (1−42) 5%
5−BB(F)Cro1(8F)−CF3 (1−42) 5%
3−HH−4 (2−1) 7%
3−HHEB−F (6−4) 7%
5−HHEB−F (6−4) 7%
3−HHB(F,F)−F (6−9) 7%
3−H2HB(F,F)−F (6−10) 10%
3−HHEB(F,F)−F (6−14) 10%
4−HHEB(F,F)−F (6−14) 3%
5−HHEB(F,F)−F (6−14) 3%
3−HGB(F,F)−F (6−16) 5%
4−HGB(F,F)−F (6−16) 5%
5−HGB(F,F)−F (6−16) 5%
3−H2GB(F,F)−F (6−17) 5%
5−GHB(F,F)−F (6−18) 11%
NI=92.4℃;Δn=0.089;Δε=12.0;Vth=1.21V;η=33.1mPa・s;VHR−1=98.9%;VHR−2=98.0%.
【0184】
[実施例15]
下記の組成物を調製する。
2−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3(1−43) 5%
3−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3(1−43) 5%
5−HBB(F)B−2 (4−1) 9%
5−HBB(F)B−3 (4−1) 8%
5−H2B(F)−F (5−2) 5%
7−HB(F,F)−F (5−4) 7%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 25%
5−HBB(F,F)−F (6−12) 25%
2−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
4−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
5−HHBB(F,F)−F (7−1) 2%
NI=99.1℃;Δn=0.147;Δε=8.5;Vth=1.60V;η=52.1mPa・s;VHR−1=99.0%;VHR−2=98.1%.
【0185】
[実施例16]
下記の組成物を調製する。
2−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 5%
3−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 5%
4−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 5%
5−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 4%
5−HBB(F)B−2 (4−1) 12%
5−HBB(F)B−3 (4−1) 12%
2−HBB(F)−F (6−7) 2%
2−HBB(F,F)−F (6−12) 10%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 30%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 15%
NI=95.7℃;Δn=0.159;Δε=9.8;Vth=1.51V;η=71.3mPa・s;VHR−1=98.7%;VHR−2=97.8%.
【0186】
[実施例17]
下記の組成物を調製する。
3−HHCro1(8F)−CF3 (1−41) 5%
2−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3(1−43) 5%
3−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 5%
3−HB−O2 (2−2) 10%
5−HBB(F)B−2 (4−1) 8%
5−HBB(F)B−3 (4−1) 8%
5−HB−CL (5−1) 10%
3−HHB−CL (6−2) 3%
2−HBB(F)−F (6−7) 6%
3−HBB(F)−F (6−7) 6%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 16%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 18%
NI=79.0℃;Δn=0.142;Δε=8.3;Vth=1.53V;η=40.0mPa・s;VHR−1=98.8%;VHR−2=97.9%.
追加データ
【0187】
[実施例18]
3−BB(F)Cro1(8F)−CF3 (1−42) 10%
3−HH−V (2−1) 15%
V−HHB−1 (3−1) 5%
2−BB(F)B−3 (3−2) 3%
1O1−HBBH−3 (4−2) 4%
3−HHEBH−3 (4−3) 3%
3−HB−CL (5−1) 5%
3−HHB−CL (6−2) 5%
1−HHB(F,F)−F (6−9) 3%
3−HHB(F,F)−F (6−9) 3%
1−HHXB(F,F)−F (6−19) 5%
3−HHXB(F,F)−F (6−19) 17%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 19%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
NI=83.6℃;Δn=0.109;Δε=8.9;Vth=1.49V;η=30.3mPa・s;VHR−1=98.9%;VHR−2=97.7%.
【0188】
[実施例19]
3−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3(1−43) 10%
3−HH−V (2−1) 15%
V−HHB−1 (3−1) 5%
2−BB(F)B−3 (3−2) 3%
1O1−HBBH−3 (4−2) 4%
3−HHEBH−3 (4−3) 3%
3−HB−CL (5−1) 5%
3−HHB−CL (6−2) 5%
1−HHB(F,F)−F (6−9) 3%
3−HHB(F,F)−F (6−9) 3%
1−HHXB(F,F)−F (6−19) 5%
3−HHXB(F,F)−F (6−19) 17%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 19%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
NI=80.1℃;Δn=0.108;Δε=9.4;Vth=1.44V;η=33.2mPa・s;VHR−1=98.9%;VHR−2=98.0%.
【0189】
[実施例20]
3−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 10%
3−HH−V (2−1) 15%
V−HHB−1 (3−1) 5%
2−BB(F)B−3 (3−2) 3%
1O1−HBBH−3 (4−2) 4%
3−HHEBH−3 (4−3) 3%
3−HB−CL (5−1) 5%
3−HHB−CL (6−2) 5%
1−HHB(F,F)−F (6−9) 3%
3−HHB(F,F)−F (6−9) 3%
1−HHXB(F,F)−F (6−19) 5%
3−HHXB(F,F)−F (6−19) 17%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 19%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
NI=77.2℃;Δn=0.108;Δε=9.0;Vth=1.47V;η=28.5mPa・s;VHR−1=98.7%;VHR−2=97.5%.
【0190】
[実施例21]
3−BB(F)Cro1(8F)−CF3 (1−42) 12%
2−BB(2F,5F)B−3 (3−3) 8%
3−BB(2F,5F)B−3 (3−3) 10%
5−HBB(F)B−2 (4−1) 9%
5−HBB(F)B−3 (4−1) 7%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 21%
5−HBB(F,F)−F (6−12) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 20%
2−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 5%
NI=108.6℃;Δn=0.185;Δε=10.6;Vth=1.43V;η=78.1mPa・s;VHR−1=98.9%;VHR−2=98.0%.
【0191】
[侍史例22]
3−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3(1−43) 12%
2−BB(2F,5F)B−3 (3−3) 8%
3−BB(2F,5F)B−3 (3−3) 10%
5−HBB(F)B−2 (4−1) 9%
5−HBB(F)B−3 (4−1) 7%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 21%
5−HBB(F,F)−F (6−12) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 20%
2−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 5%
NI=104.4℃;Δn=0.183;Δε=11.2;Vth=1.34V;η=81.7mPa・s;VHR−1=98.7%;VHR−2=97.6%.
【0192】
[実施例23]
3−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 12%
2−BB(2F,5F)B−3 (3−3) 8%
3−BB(2F,5F)B−3 (3−3) 10%
5−HBB(F)B−2 (4−1) 9%
5−HBB(F)B−3 (4−1) 7%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 21%
5−HBB(F,F)−F (6−12) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 20%
2−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 5%
NI=101.0℃;Δn=0.177;Δε=10.7;Vth=1.40V;η=76.0mPa・s;VHR−1=98.6%;VHR−2=98.1%.
【0193】
[実施例24]
3−BB(F)Cro1(8F)−CF3 (1−42) 7%
3−HH−4 (2−1) 17%
3−HHB−1 (3−1) 7%
3−HB−CL (5−1) 20%
3−HHB−F (6−1) 4%
3−HHB−CL (6−2) 6%
5−HHB−CL (6−2) 6%
3−HHB(F,F)−F (6−9) 5%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 10%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 10%
2−HHBB(F,F)−F (7−1) 4%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 4%
NI=80.5℃;Δn=0.103;Δε=5.8;Vth=1.80V;η=25.9mPa・s;VHR−1=98.8%;VHR−2=98.1%.
【0194】
[実施例25]
3−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3(1−43) 7%
3−HH−4 (2−1) 17%
3−HHB−1 (3−1) 7%
3−HB−CL (5−1) 20%
3−HHB−F (6−1) 4%
3−HHB−CL (6−2) 6%
5−HHB−CL (6−2) 6%
3−HHB(F,F)−F (6−9) 5%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 10%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 10%
2−HHBB(F,F)−F (7−1) 4%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 4%
NI=78.1℃;Δn=0.102;Δε=6.2;Vth=1.75V;η=28.1mPa・s;VHR−1=98.7%;VHR−2=98.0%.
【0195】
[実施例26]
3−BCro1(8F)B(F,F)−F(1−44) 7%
3−HH−4 (2−1) 17%
3−HHB−1 (3−1) 7%
3−HB−CL (5−1) 20%
3−HHB−F (6−1) 4%
3−HHB−CL (6−2) 6%
5−HHB−CL (6−2) 6%
3−HHB(F,F)−F (6−9) 5%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 10%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 10%
2−HHBB(F,F)−F (7−1) 4%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 4%
NI=76.4℃;Δn=0.098;Δε=5.9;Vth=1.79V;η=24.7mPa・s;VHR−1=98.9%;VHR−2=98.1%.
【0196】
[実施例27]
3−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3(1−43) 15%
3−HH−4 (2−1) 7%
3−HHEB−F (6−4) 7%
5−HHEB−F (6−4) 7%
3−HHB(F,F)−F (6−9) 7%
3−H2HB(F,F)−F (6−10) 10%
3−HHEB(F,F)−F (6−14) 10%
4−HHEB(F,F)−F (6−14) 3%
5−HHEB(F,F)−F (6−14) 3%
3−HGB(F,F)−F (6−16) 5%
4−HGB(F,F)−F (6−16) 5%
5−HGB(F,F)−F (6−16) 5%
3−H2GB(F,F)−F (6−17) 5%
5−GHB(F,F)−F (6−18) 11%
NI=87.3℃;Δn=0.088;Δε=12.7;Vth=1.10V;η=48.8mPa・s;VHR−1=98.6%;VHR−2=97.3%.
【0197】
[実施例28]
2−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 8%
3−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 7%
3−HH−4 (2−1) 7%
3−HHEB−F (6−4) 7%
5−HHEB−F (6−4) 7%
3−HHB(F,F)−F (6−9) 7%
3−H2HB(F,F)−F (6−10) 10%
3−HHEB(F,F)−F (6−14) 10%
4−HHEB(F,F)−F (6−14) 3%
5−HHEB(F,F)−F (6−14) 3%
3−HGB(F,F)−F (6−16) 5%
4−HGB(F,F)−F (6−16) 5%
5−HGB(F,F)−F (6−16) 5%
3−H2GB(F,F)−F (6−17) 5%
5−GHB(F,F)−F (6−18) 11%
NI=82.9℃;Δn=0.080;Δε=12.0;Vth=1.15V;η=42.0mPa・s;VHR−1=98.7%;VHR−2=97.8%.
【0198】
[実施例29]
3−BB(F)Cro1(8F)−CF3 (1−42) 10%
5−HBB(F)B−2 (4−1) 9%
5−HBB(F)B−3 (4−1) 8%
5−H2B(F)−F (5−2) 5%
7−HB(F,F)−F (5−4) 7%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 25%
5−HBB(F,F)−F (6−12) 25%
2−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
4−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
5−HHBB(F,F)−F (7−1) 2%
NI=102.2℃;Δn=0.148;Δε=8.0;Vth=1.66V;η=48.1mPa・s;VHR−1=98.7%;VHR−2=98.1%.
【0199】
[実施例30]
3−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 10%
5−HBB(F)B−2 (4−1) 9%
5−HBB(F)B−3 (4−1) 8%
5−H2B(F)−F (5−2) 5%
7−HB(F,F)−F (5−4) 7%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 25%
5−HBB(F,F)−F (6−12) 25%
2−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
3−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
4−HHBB(F,F)−F (7−1) 3%
5−HHBB(F,F)−F (7−1) 2%
NI=96.0℃;Δn=0.141;Δε=8.1;Vth=1.66V;η=46.9mPa・s;VHR−1=98.8%;VHR−2=98.0%.
【0200】
[実施例31]
2−BB(F)Cro1(8F)−CF3 (1−42) 5%
3−BB(F)Cro1(8F)−CF3(1−42) 5%
5−BB(F)Cro1(8F)−CF3(1−42) 5%
1V2−BB(F)Cro1(8F)−CF3(1−42) 4%
5−HBB(F)B−2 (4−1) 12%
5−HBB(F)B−3 (4−1) 12%
2−HBB(F)−F (6−7) 2%
2−HBB(F,F)−F (6−12) 10%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 30%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 15%
NI=107.5℃;Δn=0.172;Δε=9.6;Vth=1.54V;η=74.1mPa・s;VHR−1=98.7%;VHR−2=97.7%.
【0201】
[実施例32]
2−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3 (1−43) 5%
3−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3(1−43) 5%
4−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3(1−43) 5%
5−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3(1−43) 4%
5−HBB(F)B−2 (4−1) 12%
5−HBB(F)B−3 (4−1) 12%
2−HBB(F)−F (6−7) 2%
2−HBB(F,F)−F (6−12) 10%
3−HBB(F,F)−F (6−12) 30%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−20) 15%
NI=101.3℃;Δn=0.170;Δε=10.6;Vth=1.44V;η=80.1mPa・s;VHR−1=98.6%;VHR−2=98.0%.
【0202】
[実施例33]
3−HHCro1(2F2)−CF3 (1−59) 5%
3−HHCro1(F2)(8F) (1−63) 5%
2−BEB(F)−C 5%
3−BEB(F)−C 4%
4−BEB(F)−C 12%
1V2−BEB(F,F)−C 16%
3−HB−O2 4%
3−HH−4 3%
3−HHB−F 3%
3−HHB−1 4%
3−HHB−O1 4%
3−HBEB−F 4%
3−HHEB−F 7%
5−HHEB−F 7%
3−H2BTB−2 4%
3−H2BTB−3 4%
3−H2BTB−4 4%
3−HB(F)TB−2 5%
【0203】
[実施例34]
3−BB(F)Cro1(F2)(8F) (1−71) 8%
2−HB−C 5%
3−HB−C 12%
3−HB−O2 15%
2−BTB−1 3%
3−HHB−F 4%
3−HHB−1 8%
3−HHB−O1 5%
3−HHB−3 14%
3−HHEB−F 4%
5−HHEB−F 4%
2−HHB(F)−F 4%
3−HHB(F)−F 4%
5−HHB(F)−F 5%
3−HHB(F,F)−F 5%
【0204】
[実施例35]
3−B(F)Cro1(2F2)B(F,F)−F(1−204)5%
3−BB(F,F)Cro1(F2) (1−72) 5%
3−BEB(F)−C 8%
3−HB−C 8%
V−HB−C 8%
1V−HB−C 8%
3−HB−O2 3%
3−HH−2V 11%
3−HH−2V1 7%
V2−HHB−1 8%
3−HHB−1 5%
3−HHEB−F 7%
3−H2BTB−2 6%
3−H2BTB−3 6%
3−H2BTB−4 5%
【0205】
[実施例36]
3−HHCro1(8F)−CF3 (1−41) 3%
3−BB(F)Cro1(8F)−CF3 (1−43) 3%
5−BEB(F)−C 5%
V−HB−C 11%
5−PyB−C 6%
4−BB−3 8%
3−HH−2V 10%
5−HH−V 11%
V−HHB−1 7%
V2−HHB−1 12%
3−HHB−1 9%
1V2−HBB−2 10%
3−HHEBH−3 5%
【0206】
[実施例37]
3−BB(F)Cro1(F2)(8F) (1−72) 6%
1V2−BEB(F,F)−C 6%
3−HB−C 18%
2−BTB−1 10%
5−HH−VFF 24%
3−HHB−1 4%
VFF−HHB−1 8%
VFF2−HHB−1 11%
3−H2BTB−2 5%
3−H2BTB−3 4%
3−H2BTB−4 4%
【0207】
[実施例38]
3−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 7%
5−HB−CL 16%
3−HH−4 12%
3−HH−5 4%
3−HHB−F 4%
3−HHB−CL 3%
4−HHB−CL 4%
3−HHB(F)−F 8%
4−HHB(F)−F 7%
5−HHB(F)−F 7%
7−HHB(F)−F 7%
5−HBB(F)−F 4%
1O1−HBBH−5 3%
3−HHBB(F,F)−F 2%
4−HHBB(F,F)−F 3%
5−HHBB(F,F)−F 3%
3−HH2BB(F,F)−F 3%
4−HH2BB(F,F)−F 3%
NI=108.7℃;Δn=0.094;Δε=4.6;Vth=2.20V;η=26.8mPa・s.
上記組成物100部にOp05を0.25部添加したときのらせんピッチは61.2μmであった
【0208】
[実施例39]
3−HHCro1(8F)−CF3 (1−41) 5%
3−HHCro1(2F2)−CF3 (1−59) 6%
3−HHB(F,F)−F 9%
3−H2HB(F,F)−F 8%
4−H2HB(F,F)−F 8%
5−H2HB(F,F)−F 8%
3−HBB(F,F)−F 20%
5−HBB(F,F)−F 15%
3−H2BB(F,F)−F 5%
5−HHBB(F,F)−F 3%
5−HHEBB−F 3%
3−HH2BB(F,F)−F 2%
1O1−HBBH−4 4%
1O1−HBBH−5 4%
【0209】
[実施例40]
3−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3 (1−43) 10%
5−HB−F 12%
6−HB−F 9%
7−HB−F 7%
2−HHB−OCF3 7%
3−HHB−OCF3 7%
4−HHB−OCF3 7%
5−HHB−OCF3 5%
3−HH2B−OCF3 4%
5−HH2B−OCF3 4%
3−HHB(F,F)−OCF2H 4%
3−HHB(F,F)−OCF3 5%
3−HH2B(F)−F 3%
3−HBB(F)−F 5%
5−HBB(F)−F 5%
5−HBBH−3 3%
3−HB(F)BH−3 3%
NI=78.8℃;Δn=0.088;Δε=4.7;Vth=1.95V;η=20.7mPa・s.
【0210】
[実施例41]
3−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 12%
5−HB−CL 11%
3−HH−4 8%
3−HHB−1 5%
3−HHB(F,F)−F 8%
3−HBB(F,F)−F 13%
5−HBB(F,F)−F 10%
3−HHEB(F,F)−F 10%
4−HHEB(F,F)−F 3%
5−HHEB(F,F)−F 3%
2−HBEB(F,F)−F 3%
3−HBEB(F,F)−F 5%
5−HBEB(F,F)−F 3%
3−HHBB(F,F)−F 6%
NI=75.8℃;Δn=0.104;Δε=9.5;Vth=1.41V;η=33.6mPa・s.
【0211】
[実施例42]
3−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3 (1−43) 4%
3−BCro1(8F)B(F,F)−F (1−44) 4%
3−HB−CL 6%
5−HB−CL 4%
3−HHB−OCF3 5%
3−H2HB−OCF3 5%
5−H4HB−OCF3 14%
V−HHB(F)−F 5%
3−HHB(F)−F 5%
5−HHB(F)−F 5%
3−H4HB(F,F)−CF3 8%
5−H4HB(F,F)−CF3 10%
5−H2HB(F,F)−F 5%
5−H4HB(F,F)−F 7%
2−H2BB(F)−F 3%
3−H2BB(F)−F 5%
3−HBEB(F,F)−F 5%
NI=66.2℃;Δn=0.099;Δε=9.3;Vth=1.43V;η=35.4mPa・s.
【0212】
[実施例43]
3−BB(F,F)Cro1(F2) (1−72) 5%
3−BB(F,F)Cro1(8F)−CF3 (1−43) 4%
5−HB−CL 17%
7−HB(F,F)−F 3%
3−HH−4 10%
3−HH−5 5%
3−HB−O2 10%
3−HHB−1 8%
3−HHB−O1 5%
2−HHB(F)−F 5%
3−HHB(F)−F 7%
5−HHB(F)−F 5%
3−HHB(F,F)−F 6%
3−H2HB(F,F)−F 5%
4−H2HB(F,F)−F 5%
NI=70.2℃;Δn=0.084;Δε=4.4;Vth=1.75V;η=27.0mPa・s.
【0213】
[実施例44]
3−BB(F)Cro1(2F2)−CF3 (1−68) 8%
5−HB−CL 3%
7−HB(F)−F 7%
3−HH−4 9%
3−HH−EMe 15%
3−HHEB−F 8%
5−HHEB−F 8%
3−HHEB(F,F)−F 10%
4−HHEB(F,F)−F 5%
4−HGB(F,F)−F 5%
5−HGB(F,F)−F 6%
2−H2GB(F,F)−F 4%
3−H2GB(F,F)−F 5%
5−GHB(F,F)−F 7%
【0214】
[実施例45]
3−BB(F)Cro1(8F)−CF3 (1−43) 10%
3−HH−4 8%
3−HHB−1 6%
3−HHB(F,F)−F 10%
3−H2HB(F,F)−F 9%
3−HBB(F,F)−F 15%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F 25%
1O1−HBBH−5 7%
2−HHBB(F,F)−F 3%
3−HHBB(F,F)−F 3%
3−HH2BB(F,F)−F 4%
NI=88.9℃;Δn=0.123;Δε=11.2;Vth=1.58V;η=39.6mPa・s.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一成分として式(1−1)〜式(1−10)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、そして正の誘電率異方性を有する液晶組成物:


ここに、Rは水素、アルキルまたはアルケニルであり;Rはハロゲン、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルキル、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルケニル、または任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシであり;A、A、AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−(CH−、−CHO−または−CFO−であり;そして、Y、Y、YおよびYは独立して水素、フッ素またはメチルである。
【請求項2】
第一成分が式(1−11)〜式(1−20)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項1に記載の液晶組成物:


ここに、Rは水素、アルキルまたはアルケニルであり;Rは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルキルであり;A、A、AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,4−ジオキサン、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Xはフッ素、塩素、−CF、−OCFまたは−OCFHであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−(CH−、−CHO−または−CFO−であり;そして、YおよびYは独立して水素、フッ素またはメチルである。
【請求項3】
式(2)〜式(4)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を第二成分として含有する、請求項1または2に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立してアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシメチルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルであり;環B、環Cおよび環Dは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;そして、ZおよびZは独立して単結合、−COO−、−C≡C−または−(CH−である。
【請求項4】
式(5)〜式(7)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を第三成分として含有する、請求項3に記載の液晶組成物:


ここに、Rはアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルコキシメチルであり;Xはフッ素、塩素、任意の水素がフッ素で置き換えられたアルキル、または任意の水素がフッ素で置き換えられたアルコキシであり;環Eおよび環Fは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して単結合、−(CH−、−COO−、−CFO−または−OCF−であり;そして、LおよびLは独立して水素またはフッ素である。
【請求項5】
第一成分として式(1−41)〜式(1−44)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、そして正の誘電率異方性を有する液晶組成物:


ここに、Rはアルキルまたはアルケニルである。
【請求項6】
第一成分として式(1−51)〜式(1−78)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、そして正の誘電率異方性を有する液晶組成物:


ここに、Rはアルキルまたはアルケニルである。
【請求項7】
下記の式(2−1)〜式(4−3)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を第二成分として含有する、請求項5または6に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立してアルキルであり;R10はアルキル、アルケニル、アルコキシ、または任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルであり;R11はアルキルまたはアルコキシであり;そしてR12はアルキル、アルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられたアルケニルである。
【請求項8】
第二成分が式(2−1)および式(2−2)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項7に記載の液晶組成物。
【請求項9】
第二成分が式(3−1)〜式(3−3)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項7に記載の液晶組成物。
【請求項10】
第二成分が式(4−1)〜式(4−3)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項7に記載の液晶組成物。
【請求項11】
第二成分が式(2−1)および式(2−2)のそれぞれで表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(3−1)〜式(3−3)のそれぞれで表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物との混合物である、請求項7に記載の液晶組成物。
【請求項12】
第二成分が式(2−1)および式(2−2)のそれぞれで表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(3−1)〜式(3−3)のそれぞれで表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物と、式(4−1)〜式(4−3)でのそれぞれ表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物との混合物である、請求項7に記載の液晶組成物。
【請求項13】
下記の式(5−1)〜式(7−2)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を第三成分として含有する、請求項7〜12のいずれか1項に記載の液晶組成物:


ここに、Rはアルキルである。
【請求項14】
第三成分が式(5−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項13に記載の液晶組成物。
【請求項15】
第三成分が式(6−2)〜式(6−4)、式(6−9)、式(6−10)、式(6−12)、式(6−14)、式(6−19)および式(6−20)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項13に記載の液晶組成物。
【請求項16】
第三成分が式(7−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項13に記載の液晶組成物。
【請求項17】
第三成分が式(5−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物と、式(6−2)〜式(6−4)、式(6−9)、式(6−10)、式(6−12)、式(6−14)、式(6−19)および式(6−20)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物との混合物である、請求項13に記載の液晶組成物。
【請求項18】
第三成分が式(6−2)〜式(6−4)、式(6−9)、式(6−10)、式(6−12)、式(6−14)、式(6−19)および式(6−20)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物と、式(7−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物との混合物である、請求項13に記載の液晶組成物。
【請求項19】
第三成分が式(5−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物と、式(6−2)〜式(6−4)、式(6−9)、式(6−10)、式(6−12)、式(6−14)、式(6−19)および式(6−20)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物と、式(7−1)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物との混合物である、請求項13に記載の液晶組成物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【請求項21】
式(1−1)〜式(1−10)のいずれか1つで表される化合物:


ここに、Rは水素、アルキルまたはアルケニルであり;Rはハロゲン、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルキル、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルケニル、または任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシであり;A、A、AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−(CH−、−CHO−または−CFO−であり;そして、Y、Y、YおよびYは独立して水素、フッ素またはメチルである。
【請求項22】
式(1−11)〜式(1−20)のいずれか1つで表される化合物:


ここに、Rは水素、アルキルまたはアルケニルであり;Rは任意の水素がフッ素で置き換えられたアルキルであり;A、A、AおよびAは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,4−ジオキサン、または任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Xはフッ素、塩素、−CF、−OCFまたは−OCFHであり;Z、Z、ZおよびZは独立して単結合、−(CH−、−CHO−または−CFO−であり;そして、YおよびYは独立して水素、フッ素またはメチルである。
【請求項23】
式(1−42)〜式(1−44)のいずれか1つで表される化合物:


ここに、Rはアルキルまたはアルケニルである。
【請求項24】
式(1−51)〜式(1−78)のいずれか1つで表される化合物:


ここに、Rはアルキルまたはアルケニルである。

【公開番号】特開2006−199941(P2006−199941A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362829(P2005−362829)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】