説明

クロロフルオロアルケンの製造方法

ハイドロクロロフルオロアルケンを、X線非晶質の高表面積金属フッ化物またはX線非晶質のもしくはわずかに結晶性の金属酸化物フッ化物(ここで、金属は、元素の周期表の第2、第3もしくは第4主族または任意の亜族から選択される)上でのハイドロクロロフルオロアルカンの脱フッ化水素によって製造することができる。高表面積のフッ化アルミニウムまたはオキシフッ化アルミニウムが触媒として特に好適である。例えば、CFCHCHClFが反応してCFCH=CHClを生成し、CFCHCClFCHが反応してCFCHCCl=CHおよび/またはCFCH=CClCHを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロフルオロアルケンの製造方法、およびこの方法によって得られるある種のクロロフルオロアルケンに関する。
【背景技術】
【0002】
クロロフルオロアルケンは、化学合成における中間体である。これらは、例えば、モノマーであり、重合させることができる。(特許文献1)を参照されたい。これらを水素と反応させて、それぞれのフルオロアルケンを提供することができる。(特許文献2)を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/037902号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,243,103号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、クロロフルオロアルケンの製造方法を提供することである。別の目的は、新規なクロロフルオロアルケンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらのおよび他の目的は、本発明の方法および請求項に記載の特有のクロロフルオロアルケンによって達成される。
【0006】
本発明は、ハイドロクロロフルオロアルカンをX線非晶質の高表面積金属フッ化物またはX線非晶質のもしくはわずかに結晶性の金属酸化物フッ化物と接触させることによって、ハイドロクロロフルオロアルカンからハイドロクロロフルオロアルケンを製造する方法であって、金属が元素の周期表の第2、第3もしくは第4主族または任意の亜族から選択される方法を提供する。1つ以上の分子のHFがそれぞれのハイドロクロロフルオロアルカンから離脱し、こうして、ハイドロクロロフルオロアルケン、ハイドロクロロフルオロアルカジエン、またはトリエン、さらにまたはポリエンが形成される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施態様では、触媒は、完全触媒(full catalyst)である。別の実施態様では、触媒は担体に担持されている。
【0008】
ルイス(Lewis)酸性金属フッ化物、特にフッ化アルミニウム、フッ化クロム,
およびフッ化鉄が好ましい。フッ化アルミニウムおよびオキシフッ化アルミニウムが触媒として好ましい。(必要ならば、担体に担持された)フッ化アルミニウムが触媒として特に好ましい。
【0009】
本発明との関連で、用語「非晶質の」および「X線非晶質の」は互換性がある。
【0010】
この金属フッ化物は、従来技術のフッ化物と比較した場合に、ある種の新規な特性を有する。これらは好ましくは、約100〜300m/g(例えば、粉体工学ASAP 2001において、Nで測定される)の活性表面積を有する。これらは強ルイス酸である。これらは本質的に塩化物を含まない。この非晶質の金属フッ化物はX線非晶性であり、非常にひずんでいる。用語「X線非晶質の金属フッ化物」は、固体物質、すなわち、非晶質の金属フッ化物の微結晶性領域が20nm未満のサイズを有することを意味する。これらは、REM(反射電子顕微鏡法)によって明らかなように、メソ多孔性表面を有する。これらの特徴は、とりわけ、非晶質のフッ化アルミニウムにあてはまる。非晶質のフッ化アルミニウムは、AlF八面体の強くひずんだ構造を有する。これらの不規則性が、固体物質のX線非晶質の状態に寄与している。四重極結合定数QCCは、約1.5MHzである。IRスペクトルでは、むしろ単一の非常に幅広いバンド(667cm−1のAl−Fのν)だけが、結晶性構造よりむしろ非晶質の構造に割り当てられ得るように観察される。667cm−1でのAl−Fの原子価振動νの単一の幅広いバンドは、非晶質構造を示唆する。増大したルイス酸性度は、ピリジン吸収およびNH−TPD(NH昇温脱離)によって実証することができる。X線非晶質の触媒、特にAlFは、これらが吸湿性でないという利点を有する。
【0011】
このような高表面積フッ化アルミニウム(HS−AlF)、および他の高表面積の金属フッ化物は、米国特許出願公開第2006/0052649号明細書または欧州特許出願公開第1440939 A1号明細書(非晶質金属フッ化物の調製方法)、および欧州特許出願公開第1666411 A1号明細書(X線非晶質またはわずかに結晶性の金属オキシドフッ化物の調製方法およびそれの新しい使用)に記載されているように合成することができる。
【0012】
非晶質のまたはわずかに結晶性の金属酸化物フッ化物は、高度にひずんだ金属酸化物フッ化物と同じである。「X線非晶質の」とは、好ましくは、X線回折パターンがピークを全く示さないことを意味する。
【0013】
非晶質の金属フッ化物が脱フッ化水素触媒として好ましい。これは、欧州特許出願公開第1440939 A1号明細書に記載されているように調製することができる。非晶質の高表面積フッ化アルミニウム(または他の高表面積金属フッ化物)は、
a)Mx+(x−δ)−yの式を有する構造を含む、前駆体を準備する工程と、
b)この前駆体を、Mx+(x−δ)の式を有する非晶質金属フッ化物を生成させるフッ素化剤と反応させる工程と
を含む方法であって
Mが、元素の周期表の第2、第3もしくは第4主族の金属または任意の亜族からの金属、好ましくはアルミニウムであり;Bが配位結合した基であり;xがアルミニウムの場合には3であり;yが1〜3の任意の整数であり;δが0〜0.1であり;かつ、x−δがyより大である方法によって調製される。
【0014】
Bは好ましくはアルコキシド、エノレートまたはカルボン酸基、より好ましくは式−O−C2c+1(式中、cは1〜6の任意の整数である)のアルコキシドであり;Lは溶媒、好ましくは、アルコール、エーテル、ケトン、アルカン、芳香族化合物を含む群から選択される無水の有機溶媒であり;かつ、dは1以下である。
【0015】
欧州特許出願公開第1440939 A1号明細書によれば、この前駆体は、有機溶媒Lに溶解または懸濁させた、Mx+(式中、Bは好ましくはアルコキシドであり、金属Mがアルミニウムである場合、Bはより好ましくはプロポキシドである)を、有機溶媒L’ (溶媒L’は、前記溶媒Lのいずれかであってよく、Lと同じであってよい)に好ましくは溶解させた、2〜4当量の、好ましくは3当量の無水HFと反応させる工程と、引き続き350℃以下、好ましくは200℃以下、さらにより好ましくは100℃以下の温度で、減圧下で過剰の溶媒を除去する工程と;上に定義したような前駆体を提供する工程とによって得られる。
【0016】
前駆体の調製は、好ましくはアルコール、エーテル、ケトン、アルカン、石油エーテル、ギ酸、酢酸またはプロピオン酸からなる群から選択される、水を含まない溶媒中で好ましくは行う。c=1〜6、特に1〜3である式:C2c+1OHのアルコールが好ましい。
【0017】
こうして得られた前駆体を、第2工程で、さらにフッ素化、「活性化」する。このフッ素化には、ガス状フッ素化剤を高温で、好ましくはハイドロフルオロカーボンもしくはヒドロフルオロクロロカーボン、特にCHClF、さらにより好ましくは、CHを、最高で350℃までの間の温度で、またはガス状HFを50℃から最高で300℃まで、好ましくは75℃から最高で150℃までの温度で使用する。フッ素化剤を、好ましくは、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスと混ぜ合わせ、最高で95容量%までの不活性ガスとして使用することができ、上で定義した非晶質の金属フッ化物が得られる。HFを用いる活性化の場合、特に金属がアルミニウムである場合、得られた金属フッ化物は、吸着HFを含有し得る。これは、250℃以下の温度での不活性ガス流れにその後暴露することによって除去することができる。
【0018】
好ましい実施態様では、非晶質の高表面積金属フッ化物は、本質的にフッ化アルミニウムからなる。用語「本質的に」は、好ましくは、他の非晶質の金属フッ化物の含有率が3重量%以下、さらにより好ましくは2重量%以下であることを意味する。
【0019】
欧州特許出願公開第1440939 A1号明細書には、溶媒によって配位されていない、Mx+(x−δ)−yが出発原料として使用される、別の実施態様が開示されている。
【0020】
別の実施態様では、必要ならば、フッ化アルミニウムを、亜鉛、スズ、銅、クロム、バナジウム、鉄、またはマグネシウムの金属フッ化物でドープすることができる。
【0021】
上に示された詳細は完全触媒に関する。あるいは、触媒は、担持触媒の形態で使用することができる。よく知られているように、担持触媒は、キャリアまたは担体上の触媒コーティングを好ましくは意味する。キャリア上に担持された、金属が元素の周期表の第2、第3もしくは第4主族または任意の亜族から選択される、高表面積金属フッ化物触媒およびX線非晶質のまたはわずかに結晶性の金属酸化物フッ化物、ならびにそれらの調製は、その内容が参照により本明細書に援用される、まだ公開されていない国際出願PCT/EP2008/059112号明細書に開示されている。
【0022】
担持触媒は、次の通り調製することができる:
担体上の高表面積X線非晶質の金属フッ化物は、好ましくは担体としてのMgFを例外として、本発明の新規な、別の態様である。担持された高ルイス酸性の触媒は、試験した脱フッ化水素反応についてのその触媒活性が、(本発明との関連で関係がない)公知のバルク触媒の触媒活性と同等である。原則として、金属は、元素の周期表の第2、第3または第4族または亜族から選択することができる。勿論、必要ならば、担持触媒は、混合された非晶質の金属フッ化物を含んでいてもよい。好ましい非晶質の金属フッ化物は、Al、Cr、Fe、V、GaおよびMgのそれである。非晶質のフッ化アルミニウムは、担持触媒としてもまた好ましい金属フッ化物である。好ましくは、好適に形作られた形状を有し、触媒合成の条件下におよび触媒使用の条件下で化学的におよび熱的に安定であり、機械的に安定であり、触媒の性能を悪化させず、触媒反応を妨げず、かつ、HS−AlFの固定を可能にする、担体を選択する。これらの要件を満たす任意の担体を使用することができる。例えば、アルミニウムまたは遷移金属の酸化物、フッ化物およびオキシフッ化物が非常に好適である。通常、これらは結晶形態で存在する。活性炭も適用することができ;好ましい実施態様では、酸化アルミニウムまたはフッ化アルミニウムを担体として使用し;より好ましい実施態様では酸化アルミニウムを使用し;さらにより好ましい実施態様では、γ−Alを担体として使用する。この場合には、担持された金属フッ化物は、γ−Al上の高表面積金属フッ化物である。
【0023】
非常に好ましくは、担持された非晶質の金属フッ化物触媒は、担体上のHS−AlF、例えばγ−Al上のHS−AlFである。必要ならば、フッ化アルミニウムを、1つ以上の他の金属フッ化物、例えば、亜鉛、スズ、銅、鉄、クロム、バナジウムまたはマグネシウムのフッ化物でドープすることができる。かかるドープされた担持触媒は、加水分解性金属化合物、例えば、金属アルコキシドを加水分解性アルミニウム化合物に添加することによって調製することができる。
【0024】
好ましくは、担持触媒中の、被覆させた非晶質金属フッ化物の、特にAlFの総量は、3重量%以上、より好ましくは4重量%以上である。好ましくは、担持触媒中のフッ化アルミニウムの含有率は、30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。幾つかの用途では、含有率は10重量%以下であることができる。例えば脱フッ化水素反応において、良好な結果が得られる範囲は4〜20重量%である。4〜8重量%の範囲も良好な結果を与える。
【0025】
下記で、キャリアに担持された、非晶質金属フッ化物、特に非晶質フッ化アルミニウム(HS−AlF)の調製を記載する。用語「キャリア」および「担体」は、本発明の枠組みにおいて互換性がある。
【0026】
高表面積フッ化アルミニウム(HS−AlF)、コーティング、ならびに他の高表面積金属フッ化物のコーティングの合成は、米国特許出願公開第2006/0052649号明細書または欧州特許出願公開第1440939 A1号明細書(非晶質の金属フッ化物の調製方法)、および欧州特許出願公開第1666411 A1号明細書(X線非晶質のまたはわずかに結晶性の金属オキシドフッ化物の調製方法およびそれの新しい使用)に記載されているものと同様に行うことができる。欧州特許出願公開第1440939 A1号明細書に記載されているような非晶質の金属フッ化物のコーティングが好ましい。好ましい実施態様では、非晶質の高表面積金属フッ化物は、本質的にフッ化アルミニウムからなる。用語「本質的に」は好ましくは、コーティング中の他の非晶質の金属フッ化物の含有率が3重量%以下、さらにより好ましくは2重量%以下であることを意味する。
【0027】
担体上の担持された高表面積金属フッ化物、好ましくは担体上のフッ化アルミニウム(HS−AlF/担体)の合成は、欧州特許出願公開第1440939 A1号明細書および上記でHS−AlFについて概説されている、HS−AlF合成の適切な段階で好適な担体に固定する工程に及ぶ合成経路に基本的には従う。
【0028】
欧州特許出願公開第1666411 A1号明細書から、非晶質の高表面積フッ化アルミニウムのルイス酸性は、オキシドによってフルオリドが部分的に置換されると低下するため、その結果として、オキシフッ化物の形成が回避されるべきである場合には、熱的前処理によって担体の吸着水および/または固有のOH基を減らすと、ルイス酸性、すなわち、固定されたHS−AlFの、すなわち最終触媒の触媒性能が保持されることが知られている。それ故、担体、例えばγ−Alを、好ましくは、コーティング手順の前に加熱する。加熱は、好ましくは、有利には担体の望ましくない変換をもたらさない温度で、48時間以下、好ましくは12時間以下の間行う。例えば、γ−Alをα−Alへ変換する(これは粉末X線回折によって測定することができる)ことを回避する。例えば、γ−Alは400℃〜900℃の温度に加熱することができる。好ましくは、γ−Alを600℃以上の温度に加熱する。好ましくは、γ−Alを、空気中で900℃以下の温度に加熱し、その後湿気の排除下で室温に冷却する。
【0029】
本発明のこの態様によれば、非晶質の高表面積金属フッ化物は、
a)Mx+(x−δ)−yの式を有する構造を含む、担体上に被覆された前駆体を準備する工程と、
b)この前駆体を、担体上にMx+(x−δ)の式を有する非晶質の金属フッ化物を生成させるフッ素化剤と反応させる工程と
を含む方法であって、
Mが元素の周期表の第2、第3もしくは第4主族の金属または任意の亜族からの金属、好ましくはアルミニウムであり;Bが配位結合した基であり;xがアルミニウムの場合には3であり;yが1〜3の任意の整数であり;δが0〜0.1であり;かつ、x−δはyより大である方法によって調製する。
【0030】
Bは、好ましくはアルコキシド、エノレートまたはカルボン酸基、より好ましくは式−O−C2c+1(式中、cは1〜6の任意の整数である)のアルコキシドであり;Lは溶媒、好ましくは、アルコール、エーテル、ケトン、アルカン、芳香族化合物を含む群から選択された無水の有機溶媒であり;かつ、dは1以下である。一実施態様では、dは0である。
【0031】
担持前駆体の調製は、好ましくはアルコール、エーテル、ケトン、アルカン、石油エーテル、ギ酸、酢酸またはプロピオン酸からなる群から選択される、水を含まない溶媒中で好ましくは行う。c=1〜6、特に1〜3の式C2c+1OHのアルコールが好ましい。
【0032】
前駆体は、有機溶媒Lに溶解または懸濁させた、Mx+(式中、Bは好ましくはアルコキシドであり、金属Mがアルミニウムである場合、Bはより好ましくはプロポキシドである)を、有機溶媒L’(L’は、溶媒Lのいずれかであってよく、Lと同じであってよい)に好ましくは溶解させた、無水HFと反応させることによって得ることができる。これは、ゾル−ゲル型反応である。
【0033】
担体上にこの前駆体のコーティングを適用するための方法を、担持触媒としての非晶質のフッ化アルミニウムの好ましい実施態様について、以下に詳細に説明する。
【0034】
コーティング手順は、触媒担体上に触媒コーティングを調製するために主として知られている方法で行うことができる。2つの特定の代替手段が好ましい。両代替手段は、工程a)、あるいは、第2の代替手段に関しては、前駆体Mx+(x−δ)−yまたはMx+(x−δ)−yで被覆された担体が形成される工程b)と、活性化が起こる工程c)とを含む。
【0035】
代替手段a):第1の好ましい代替手段によれば、担体を、アルミニウム化合物Mx+(式中、M、B、xおよびyは上に示した意味を有する)に含浸させる。含浸後に、好ましくは溶媒中で適用される、HFとのゾル−ゲル反応を行わせて、前駆体を得る。
【0036】
詳細には、担体、好ましくは熱的に前処理したγ−Alを、好ましくは撹拌下で、無水有機溶媒、好ましくはアルコール中の、好適な有機アルミニウム化合物、好ましくはアルミニウムアルコキシド、より好ましくはアルミニウムイソプロポキシドまたはメトキシドの溶液に浸す。ドープされた担持触媒を製造すべきである場合、それぞれの金属の適切な有機金属化合物を添加する。好ましくは撹拌下で、担体とアルミニウム化合物との接触を、所望の程度の含浸を達成するのに十分な時間続行させる。例えば、アルミニウム化合物の添加後に、接触を、10分間以上、好ましくは、20分間以上続行させることができる。接触は、必要ならば、非常に長い時間、例えば、6時間超まで延ばすことができる。接触が長ければ長いほど、アルミニウム化合物または前駆体は、担体中へより深く浸透するであろう。好ましくは、担体とアルミニウム化合物との接触は、6時間以下、さらにより好ましくは2時間以下である。多くの場合、20分〜45分が非常に好適である。
【0037】
次に、Mx+(ここで、Mは好ましくはAlである)を、HFと反応させて、前駆体に変換する。有機溶媒中、好ましくはC1〜C3アルコール中またはジエチルエーテル中の無水フッ化水素の溶液を、好ましくは継続する撹拌下で、担体とアルミニウム化合物Mx+(M=Al)との系に添加する。HFの量は、HF:Alのモル比が好ましくは2以上となるように選択する。好ましくは、HF:Alのモル比は4以下である。非常に好ましくは、HF:Alのモル比は3±0.1である、最も好ましくは、モル比は3である。好ましくは、系内の(HS−AlF相に転化される)アルミニウム化合物出発原料の総量は、3重量%以上、より好ましくは4重量%以上の最終触媒のAlF含有率に相当するように調節する。好ましくは、担持触媒中のフッ化アルミニウムの含有率は、30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、時には10重量%以下さえである。多くの場合、その量は、担持触媒中のHS−AlF相の含有率が4〜20重量%である非常に好ましい範囲間となるように調節する。多くの場合、4〜8重量%HS−AlFの担持触媒を製造する。
【0038】
代替手段b):第2の好ましい代替手段によれば、有機金属化合物、好ましくは溶液の形態での、好ましくはアルミニウム化合物を、先ず、好ましくは撹拌下で、適切な量のHF溶液とゾル−ゲル型反応で反応させ、次いで、それぞれの担体を添加する。ここで、使用する材料およびそれらの相対的な量は、特に代替手段a)について上記した通りである。
【0039】
アルミニウム化合物とHFとが反応して前駆体の形成が起こった後に、それが第1代替手段によるキャリアの含浸の後であろうと、第2代替手段によるキャリアとの接触の前であろうと、過剰の溶媒を除去する。好ましくは、これは、穏やかな方法で、好ましくは減圧下で行う。この除去は、有利には、加温または加熱によって支援される。好ましくは、この温度は25℃以上であり、より好ましくは、それは30℃以上である。好ましくは、この温度は200℃以下であり、より好ましくは、それは150℃以下である。好ましい範囲は40〜90℃である。a)またはb)と、その後の溶媒除去との両手順によって、担持前駆体が得られ、この前駆体は、γ−Alを担体として使用する場合には、Mx+(x−δ)−y/γ−Alの式(M、F、x、y、δ、B、Lおよびdは上に示した通りである)で最も良く表現することができる、あるいは、欧州特許第1440939号明細書の他の実施態様による場合には、Mx+(x−δ)−y/γ−Alで最も良く表現することができる。
【0040】
前駆体は、既に触媒活性を有する。触媒活性は、前駆体が高温でガス状フッ素化剤を用いるその後のフッ素化、例えば、特に1もしくは2個の炭素原子を有する1種以上のハイドロクロロフルオロカーボンまたはハイドロフルオロカーボンを用いる、あるいはHFを用いるその後のフッ素化によって活性化される場合に、大きく高められる。フッ素化剤を、好ましくは、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスと混ぜ合わせて、10%から最高で95容量%までの不活性ガスとして使用することができる。好ましい方法では、この活性化を、
A1)CHClFもしくはCHもしくはCHFもしくはCHF、または
A2)ガス状HFを適用する工程、引き続き任意選択的に
B)不活性ガス、好ましくは窒素または希ガス、例えば、アルゴンでのフラッシングする工程によって行って、
好ましくは式AlF3−δ/γ−Alのγ−Al上の、高度にルイス酸性の担持HS−AlF触媒を得る。
【0041】
工程A1)において、CHClFは好ましいフッ素化剤である。これは、最高で95%(v/v)までの窒素または希ガスなどの不活性ガス、好ましくはアルゴンと混合して、適用することができる。ここで、不活性ガスの含有率は好ましくは75%(v/v)以上であり、好ましくは90%(v/v)以下である。特に好ましくは、不活性ガス含有率は83±2%(v/v)である。工程A1)における温度は、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上である。好ましくは、この温度は400℃以下である。340℃〜360℃が非常に好ましい範囲である。
【0042】
HFをフッ素化剤として使用する代わりの工程A2)において、処理中の温度は、好ましくは200℃以下であり、好ましくは、90℃以上である。75℃〜150℃の温度範囲が非常に好ましく、110℃〜130℃の範囲がさらにより好ましい。HFは、好ましくは、80%(v/v)以上の不活性ガス、例えば、窒素または希ガス、好ましくはアルゴンで希釈する。好ましくは、不活性ガス含有率は、97.5%(v/v)以下である。不活性ガスの特に好ましい含有率は、不活性ガスの95±2%(v/v)の範囲である。
【0043】
工程B)において、フラッシングを、揮発性物質を触媒から除去するために任意選択的に行う。フラッシング工程を行うことが好ましい。フラッシングは、所望の程度の精製が達成されたときに停止することができる。フラッシングは、長時間、例えば、最高で10時間まで、あるいはそれ以上の間行うことができる。好ましくは、フラッシングは6時間以下行う。好ましくは、それは1時間以上行う。フラッシング中の温度は、好ましくは200℃以上である。好ましくは、300℃以下である、240℃〜260℃の温度範囲が非常に好適である。これは、活性化をHFを使用して行う場合に特に有利である。
【0044】
担体上のオキシフッ化物は、国際公開第2006/058794号に記載されているように調製することができる。この調製は、前駆体をX線非晶質のオキシド/ヒドロキシフッ化物へ転化する工程を含む。この転化は、前駆体が金属−酸素結合を含有する場合、前駆体の加水分解または熱処理によって行うことができる。
【0045】
本明細書に記載する本発明による担持触媒の製造は、他の金属フッ化物にも、特に、ドープされた系によってもたらされる異種の金属フッ化物の混合物にも適用できることに注目されたい。
【0046】
担持触媒は、粉末の形態で、ペレット、ビーズ、押出物および他の成形物体の形態で調製することができる。例えば、1〜10mmの範囲の直径のビーズが、脱フッ化水素法に非常に好適である。
【0047】
用語「ハイドロクロロフルオロアルカン」および「ハイドロクロロフルオロアルケン」は、塩素、フッ素、水素および炭素からなる化合物を意味し;ハイドロクロロフルオロアルカンは、少なくとも1個の塩素原子および少なくとも2個のフッ素原子を有し、ハイドロクロロフルオロアルケンは、少なくとも1個の塩素原子および少なくとも1個のフッ素原子を有する。用語「ハイドロフルオロアルケン」には、1つ、2つ、あるいはそれ以上のC−C二重結合を有する化合物を包含する。ハイドロクロロフルオロアルカンおよびハイドロクロロフルオロアルケンは線状であっても分岐であってもよい。
【0048】
ハイドロクロロフルオロアルカンおよびハイドロクロロフルオロアルケンは、少なくとも2個の炭素原子を有する。好ましくは、これらは少なくとも3個の炭素原子を有する。
【0049】
好ましいハイドロクロロフルオロアルケンおよびハイドロクロロフルオロアルカンは、10個以下の炭素原子を有する。非常に好ましくは、これらは8個以下の炭素原子を有する。特に好ましくは、これらは6個以下の炭素原子を有する。非常に好ましくは、これらは3〜6個の炭素原子を有する。
【0050】
好ましいハイドロクロロフルオロアルケンおよびハイドロクロロフルオロアルカンは、1〜4個の塩素原子を有する。非常に好ましくは、これらは、1〜3個の塩素原子、より好ましくは、1または2個の塩素原子を有する。1個の塩素原子が特に好ましい。
【0051】
好ましいハイドロクロロフルオロアルカンは少なくとも2個のフッ素原子を有する。非常に好ましくは、これらは少なくとも3個のフッ素原子を有する。好ましいハイドロクロロフルオロアルケンは少なくとも1個のフッ素原子を有し、非常に好ましくは、これらは少なくとも2個のフッ素原子を有する。
【0052】
とりわけ好ましいハイドロクロロフルオロアルカンは、一般式(I):
ClF2m+1−n (I)
(式中、mは3〜6であり、nは(m−1)〜(2m−1)である);
式(II):
Cl2m−n (II):
(式中、mは3〜6であり、nは(m−1)〜(2m−2)である);または
式(III):
Cl2m−n−1 (III)
(式中、mは3〜6であり、nは(m−1)〜(2m−3)である)
を有する。
ただし、式(I)、(II)および(III)の化合物中の塩素原子、フッ素原子および水素原子の合計は、2m+2である。
【0053】
式(I)、(II)および(III)の化合物から製造することができるアルケンは、対応するアルカン出発原料よりそれぞれ少なくとも1原子少ない水素およびフッ素を有する(離脱する水素原子の数とフッ素原子の数とは同じでなければならないことは明らかである)。鎖長および分子の特質次第で、それぞれ2原子以上の水素およびフッ素を離脱させることができる。
【0054】
ハイドロクロロフルオロプロパン、ハイドロクロロフルオロブタン、およびハイドロクロロフルオロペンタンが、とりわけ好ましい出発原料である。さらにより好ましい出発原料は、C1およびC3原子上に塩素および/またはフッ素だけが置換されているクロロフルオロプロパン、およびC1およびC3原子上に塩素および/またはフッ素だけが置換されているハイドロクロロフルオロブタンである。ここで、C2、およびブタンの場合にはC2およびC4原子は、水素だけで置換されている。
【0055】
ハイドロクロロフルオロアルカン出発化合物は公知である。これらは、それぞれのハイドロクロロアルカンの不完全なフッ素化によって製造することができる。例えば、これらはフッ素化反応での副生成物であってよい。3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロブタンは、それぞれのペンタクロロブタン化合物からの1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの製造方法における副生成物であることがであってよい。この化合物および他のクロロフルオロブタンは、例えば、米国特許第5,739,406号明細書および同第7,074,434号明細書に記載されている。出発化合物は、所望の反応生成物より少なくとも1個多い塩素原子と、少なくとも1個少ないフッ素原子とを有するハイドロクロロフルオロアルカンの塩素−フッ素交換によって製造することもできる。これらは、それぞれのハイドロフルオロアルケンまたはハイドロクロロフルオロアルケンへのHClの付加によって製造することもできる。一般に、出発化合物の合成は、当該技術分野ではよく知られている。好ましい出発化合物および反応生成物は以下の通りである:
【化1A】

【化1B】

【0056】
必要ならば、脱フッ化水素反応は、液相中、出発原料が液相に存在する圧力および温度で行うことができる。脱フッ化水素反応は、好ましくは気相で行う。ここでも、温度および圧力は、出発原料および反応生成物が触媒との接触の間、気相に存在するように選択する。
【0057】
脱フッ化水素は、妥当な反応速度での選択的な反応が可能となる条件下で行う。記述したように好ましいタイプである気相反応は、好ましくは、0.5バール(絶対)以上の圧力で行う。好ましくは、10バール(絶対)以下の圧力で行う。脱フッ化水素を、2バール(絶対)以下の圧力で行うことが好ましい。反応を、1.5バール(絶対)以下の圧力で、特に周囲圧力(約1バール)で行うことがとりわけ好ましい。脱フッ化水素は多くの場合、周囲温度(約20℃)で既に起こる。反応温度は、好ましくは50℃以上である。好ましくは、500℃以下である。より好ましくは、脱フッ化水素化中の反応温度は350℃以下である。一層より好ましくは、300℃以下である。反応は、例えば、100〜250℃の温度で、良好な収率で行うことができる。
【0058】
得られた反応混合物は、公知の方法で分離することができる。多くの場合、反応混合物は、未反応の出発原料、HF、所望のハイドロクロロフルオロアルケン、および、時には、副反応から生じた生成物を含有する可能性がある。例えば、反応混合物は、酸性成分、例えば、HFまたはHClを除去するために水で洗浄することができる。あるいは、HFは、反応混合物をHF用吸着剤(例えば、KFまたはNaF)上に通すことによって除去することもできる。除去されない成分(大部分は有機化合物である)は、必要ならば高圧下で、蒸留することができる。
【0059】
本方法によって得られる化合物は、クロロフルオロポリマーを製造するためのモノマーとして有用である。これらは、化学合成における中間体として使用することもできる。これらは、例えば、水素化して飽和クロロフルオロアルカンを得ることができる。本発明の方法で得られる化合物は、例えば、溶媒もしくは冷媒としてまたはそれらの一部として、それ自体好適でもある。
【0060】
本発明の別の態様は、新規なハイドロクロロフルオロアルケンに関する。これらは、CF−CCl=CH−CClFCH(E)および(Z);CF−CCl=CH−CHClF(E)および(Z);CF−CClF−CH=CHCl(E)および(Z);CF−CCl=CH−CClF−CF(E)および(Z);CF−CCl=CH−CClF−CH−CF;CF−CClF−CH=CCl−CH−CF;CF−CClF−CH−CCl=CH−CF;CHCl=CCl−CH−CF(E)および(Z);CHCl−CCl=CH−CF(E)および(Z);CClF=CCl−CH−CF(E)および(Z);CHCl−CCl=CH−CF(E)および(Z);CHCl=CCl−CHCl−CF(E)および(Z);CHCl−CCl=CCl−CF(E)および(Z);CClF=CCl−CClF−CF(E)および(Z);CClF=CCl−CHCl−CF(E)および(Z);CHClF−CCl=CCl−CF(E)および(Z);CClF=CCl−CClF−CF(E)および(Z);CH=CCl−CHCl−CF;CH−CCl=CCl−CF(E)および(Z);CH=CCl−CClF−CF;CF−CCl=CCl−CH−CF(E)および(Z);CF−CHCl−CCl=CH−CF(E)および(Z);CF−CClF−CCl=CH−CF(E)および(Z);CF−CHCl−CCl=CCl−CF(E)および(Z)からなる群から選択される化合物である。
【0061】
本発明の方法の利点は、比較的低い温度で、例えば、350℃以下またはさらに300℃でも行うことができることである。100〜250℃での脱フッ化水素でさえ成功する。
【0062】
本発明を、限定することが全く意図されていない以下の実施例でさらに説明する。
【実施例】
【0063】
[実施例1]:γ−Al担持HS−AlFの製造
(1.1):γ−Al担持HS−AlF前駆体の製造
最初に、空気中900℃で12時間カ焼したγ−Al(このγ−Alは、カ焼の結果、X線回折分析においてα−Alへの転化が全く検出できなかった)(10g、ペレット3mm直径)を、無水イソプロパノール(15mL)中のアルミニウムトリイソプロポキシド(Al(OPr))(1.2g)の撹拌溶液に添加した。撹拌を、約0.5時間続行し、次に、無水イソプロパノール(6ml)に溶解させた18ミリモルのフッ化水素を添加し、約1.5時間さらに撹拌した。この混合物を、次に、ロータリーエバポレーターにセットし、減圧下、70℃で溶媒を除去し、約11gのγ−Al担持HS−AlF前駆体を得た。
【0064】
(1.2):γ−Al担持HS−AlF(HS−AlF/γ−Al)の製造
実施例1.1に従って調製した担持前駆体(約2g)を、垂直ステンレススチールチューブ反応器内の銀ウールプラグ上に装填した。CHClF(4mL/分)とN(20mL/分)との混合物をこの試料に通し、反応器の温度を250℃までゆっくり上げた。全体で6時間後に反応器を冷却し、Al上の4.9%HS−AlF装着に相当する、約1.9gの触媒を湿気の排除下で取り出した。
【0065】
[実施例2]:バルクHS−AlF
バルク高表面積AlFを、欧州特許出願公開第1440939号明細書に記載されているとおりに調製した。
【0066】
[実施例3]:クロロトリフルオロブテンの製造
実施例1に記載したとおりに製造した、キャリア上に担持された25gの高表面積AlFを、垂直ステンレススチールチューブ反応器内の銀ウールプラグ上に装填した。3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロブタンと窒素との混合物を、周囲圧力および200℃の温度で、触媒上に通した。3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロブタンの転化率は90%であった。
【0067】
反応混合物を、NaFを含有する塔に通してHFを除去した。その後、生じたガス混合物を、ガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0068】
GC分析により、以下の3つの脱フッ化水素生成物が明らかになった。
【0069】
【表1】

【0070】
これらの化合物は、例えば、蒸留によって分離することができる。これらは、例えば、化学合成における中間体として有用である。例えば、フッ素を付加させて、ハイドロクロロフルオロアルケンを製造するための出発原料として使用したアルカンより1個多いフッ素原子を有するクロロフルオロブタンを製造することができる。
【0071】
[実施例4]:バルク触媒を使用するクロロトリフルオロブテンの製造
実施例3を、バルクHS−AlF触媒を使用して繰り返す。CF−CH=CCl-CH(E)、CF−CH=CCl−CH(Z)、およびCF−CH−CCl=CHが実施例3と同じ比で生成する。
【0072】
[実施例5]:担持触媒を使用するクロロトリフルオロプロペンの製造
実施例3を繰り返す。1:4の容積比で窒素と混合したCFCHCHClFを、実施例1に記載したとおりに調製した担持触媒上に通す。CFCH=CHClが両異性体〔(E)異性体および(Z)異性体〕の形態で生成する。これらの化合物は、国際公開第2008/121783号パンフレットに記載されているように、発泡剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロクロロフルオロアルカンからのハイドロクロロフルオロアルケンの製造方法であって、
前記ハイドロクロロフルオロアルカンを、X線非晶質の高表面積金属フッ化物またはX線非晶質のもしくはわずかに結晶性の金属酸化物フッ化物(前記前記金属は、元素の周期表の第2、第3もしくは第4主族または任意の亜族から選択される)と接触させることによる、方法。
【請求項2】
前記X線非晶質の高表面積金属フッ化物またはX線非晶質のもしくはわずかに結晶性の金属酸化物フッ化物が、キャリア上に担持されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属フッ化物がフッ化アルミニウムであるか、または前記金属酸化物フッ化物がオキシフッ化アルミニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
2〜10個の炭素原子のハイドロクロロフルオロアルケンが、2〜10個の炭素原子を有する対応するハイドロクロロフルオロアルカンから製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
3〜8個の炭素原子のハイドロクロロフルオロアルケンが、3〜8個の炭素原子を有する対応するハイドロクロロフルオロアルカンから製造される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
3〜6個の炭素原子のハイドロクロロフルオロアルケンが、3〜6個の炭素原子を有する対応するハイドロクロロフルオロアルカンから製造される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ハイドロクロロフルオロアルカンが、1〜3個の塩素原子および少なくとも2個のフッ素原子で置換されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ハイドロクロロフルオロアルカンが、一般式(I):
ClF2m+1−n (I)
(式中、mは3〜6であり、nは(m−1)〜(2m−1)である);
式(II):
Cl2m−n (II)
(式中、mは3〜6であり、nは(m−1)〜(2m−2)である);または、
式(III):
Cl2m−n−1 (III)
(式中、mは3〜6であり、nは(m−1)〜(2m−3)である)
を有する〔ただし、式(I)、(II)および(III)の化合物中の塩素原子、フッ素原子および水素原子の合計は、2m+2である〕、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ハイドロクロロフルオロアルカンが、CFCHCClFCH、CF−CClF−CH−CHClF、CF−CClF−CH−CClF−CH、CF−CClF−CH−CClF−CF、CF−CClF−CH−CClF−CH−CF、CF−CH−CClF−CH、CF−CH−CHClF、CF−CFCl−CH、CF−CHCl−CHF、CF−CH−CClF−CF、CF−CH−CClF−CH−CF、CHCl−CClF−CH−CF、CHClF−CClF−CH−CF、CHClF−CClF−CClF−CF、CF−CClF−CH−CF、CHCl−CClF−CHCl−CF、CHClF−CClF−CHCl−CF、CF−CClF−CHCl−CF、CHClF−CClF−CClF−CF、CH−CClF−CHCl−CF、CH−CClF−CClF−CF、CF−CHCl−CClF−CH−CF、CF−CClF−CClF−CH−CF、CF−CHCl−CClF−CHCl−CF、CF−CClF−CClF−CHCl−CF、CF−CHCl−CClF−CClF−CF、およびCF−CClF−CClF−CHCl−CFからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
CFCHCHClFを反応させて、CFCH=CHClを製造する、またはCFCHCClFCHを反応させて、CFCHCCl=CHおよび/またはCFCH=CClCHを生成させる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記反応を、0.5バール(絶対)以上、および2バール(絶対)以下の圧力で気相で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記反応を、20℃以上、および500℃以下の温度で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記反応を、50℃以上の温度で行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反応を、350℃以下の温度で行う、請求項1、12または13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
CF−CCl=CH−CClFCH(E)および(Z);CF−CCl=CH−CHClF(E)および(Z);CF−CClF−CH=CHCl(E)および(Z);CF−CCl=CH−CClF−CF(E)および(Z);CF−CCl=CH−CClF−CH−CF;CF−CClF−CH=CCl−CH−CF;CF−CClF−CH−CCl=CH−CF;CHCl=CCl−CH−CF(E)および(Z);CHCl−CCl=CH−CF(E)および(Z);CClF=CCl−CH−CF(E)および(Z);CHCl−CCl=CH−CF(E)および(Z);CHCl=CCl−CHCl−CF(E)および(Z);CHCl−CCl=CCl−CF(E)および(Z);CClF=CCl−CClF−CF(E)および(Z);CClF=CCl−CHCl−CF(E)および(Z);CHClF−CCl=CCl−CF(E)および(Z);CClF=CCl−CClF−CF(E)および(Z);CH=CCl−CHCl−CF;CH−CCl=CCl−CF(E)および(Z);CH=CCl−CClF−CF;CF−CCl=CCl−CH−CF(E)および(Z);CF−CHCl−CCl=CH−CF(E)および(Z);CF−CClF−CCl=CH−CF(E)および(Z);CF−CHCl−CCl=CCl−CF(E)および(Z)からなる群から選択される化合物。

【公表番号】特表2012−509857(P2012−509857A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536874(P2011−536874)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065565
【国際公開番号】WO2010/060868
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】