説明

クロロプレンゴム接着剤組成物

【課題】接着性及び耐熱性に優れ、且つホルムアルデヒドを放散しないクロロプレンゴム接着剤組成物を提供する。
【解決手段】クロロプレンゴム、ノボラック型フェノール樹脂及び有機溶媒を含有するクロロプレンゴム接着剤組成物であって、前記クロロプレンゴム100質量部に対して、前記ノボラック型フェノール樹脂を1〜100質量部含有するクロロプレンゴム接着剤組成物とする。また老化防止剤、金属酸化物、金属塩類及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つをさらに含有するクロロプレンゴム接着剤組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロプレンゴム接着剤組成物に関するものである。詳細には、車両、家電及び建築等の分野で用いられるクロロプレンゴム接着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クロロプレンゴムに、熱反応性レゾール型フェノール樹脂及び塩基性金属酸化物を加えたクロロプレンゴム接着剤組成物は、接着性と共に耐熱性にも優れていることから、工業的に有用であることが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。このような優れた耐熱性は、キレートを形成し得る熱反応性レゾール型フェノール樹脂のメチロール基、ジメチレンエーテル基及びフェノール性水酸基と、塩基性金属酸化物との錯体によりもたらされると考えられている。このため、現在、耐熱性が求められるクロロプレンゴム接着剤組成物には、メチロール基、ジメチレンエーテル基及びフェノール性水酸基を多く有する熱反応性レゾール型フェノール樹脂が使用されている。このような熱反応性レゾール型フェノール樹脂としては、例えば、昭和高分子株式会社製のショウノールCKM−1634等が挙げられる。
【0003】
近年、「シックスハウス症候群」及び「化学物質過敏症」の発生により、2003年7月に改正された建築基準法において、室内中のホルムアルデヒド濃度が厳しく制限されている。こうしたことから、低ホルムアルデヒド化、非ホルムアルデヒド化等の環境対応型のクロロプレンゴム接着剤組成物の開発が重要課題となっている。
しかしながら、上記従来のクロロプレンゴム接着剤組成物では、熱反応性レゾール型フェノール樹脂からホルムアルデヒドが徐々に放散されるという問題がある。この問題を解決するために、現状では、ホルムアルデヒドキャッチャー剤をクロロプレンゴム接着剤組成物に添加する方法や、ホルムアルデヒドキャッチャー剤を含むレゾール型フェノール樹脂(例えば、特許文献3参照)を使用する方法が用いられているが、これらの方法では、ホルムアルデヒド放散量を低減させているに過ぎず、接着性及び耐熱性に優れ、且つホルムアルデヒドを全く含まないクロロプレンゴム接着剤組成物というものは未だ開発されていない。
【0004】
【特許文献1】特公昭46−40877号公報
【特許文献2】特公昭54−7820号公報
【特許文献3】特開2001−164089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、従来から使用されているクロロプレンゴム接着剤組成物と同等以上の接着性及び耐熱性を有し、且つホルムアルデヒドを放散しないクロロプレンゴム接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは上記のような従来の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、意外なことに、塩基性金属酸化物と錯体を形成しないノボラック型フェノール樹脂をクロロプレンゴム及び有機溶媒に配合することが有効であることに想到し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、クロロプレンゴム、ノボラック型フェノール樹脂及び有機溶媒を含有するクロロプレンゴム接着剤組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接着性及び耐熱性に優れ、且つホルムアルデヒドを放散しないクロロプレンゴム接着剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のクロロプレンゴム接着剤組成物は、クロロプレンゴム、ノボラック型フェノール樹脂及び有機溶媒を含有する。このようなクロロプレンゴム接着剤組成物は、塩基性金属酸化物を用いなくても、耐熱性に優れている。また、従来の熱反応性レゾール型フェノール樹脂を用いたクロロプレンゴム接着剤と同等の優れた接着性を有しており、さらに、ノボラック型フェノール樹脂は、遊離ホルムアルデヒドを含まないので、本発明のクロロプレンゴム接着剤組成物は、ホルムアルデヒドを放散しない。
【0009】
本発明のクロロプレンゴム接着剤組成物におけるノボラック型フェノール樹脂の含有量は、クロロプレンゴム100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、10〜90質量部であることがより好ましい。前記含有量が、1質量部未満又は100質量部を超えると、所望の接着性能が得られ難くなるので好ましくない。
【0010】
本発明におけるクロロプレンゴムとしては、特に限定されず、2−クロロ−1,3−ブタジエン(クロロプレン)単独で重合したものや、他の単量体と共重合したものを使用することができる。ここで、他の単量体としては、2−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能なものであれば特に限定されず、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン等を、100質量部の2−クロロ−1,3−ブタジエンに対して、1〜10質量部で使用すればよい。また、重合方法は、ラジカル重合及びイオン重合等の公知の重合方法を使用すればよい。
さらに、本発明におけるクロロプレンゴムは、硬度上昇開始所要時間が50時間以下のものであることが好ましく、25時間以下のものであることがより好ましい。硬度上昇開始所要時間が50時間を超えると、所望の接着性能が得られ難くなるので好ましくない。ここで、硬度上昇開始所要時間とは、クロロプレンゴムのチップをプレスして作製した平板を70℃のオーブンに入れ、1時間保温して除晶した後、−10℃の低温恒温槽中、JIS A硬度計を用いて平板の硬度の経時変化を測定した際に、硬度が測定開始の値から10%以上上昇するまでの時間を意味する。
このようなクロロプレンゴムは、既に市販されており、Aタイプと呼ばれている接着剤用クロロプレンゴム、例えば、昭和電工株式会社製のショウプレンAD及びAC(登録商標)や、Wタイプと呼ばれている接着剤用クロロプレンゴム、例えば、昭和電工株式会社製のショウプレンW及びWHV(登録商標)等が挙げられる。中でも、耐熱性の観点から、ショウプレンW及びWHV(登録商標)が好ましい。
【0011】
本発明におけるノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、酸性触媒の下で反応させることによって得ることができる。
フェノール類としては、一般的なフェノール樹脂の製造に使用されるものであればよく、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ナフトール、ナフタレンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等を単独又は2種以上混合して使用することができる。中でも、クロロプレンゴムとの相溶性の観点からブチルフェノール等のようなアルキルフェノールを使用することが好ましい。
【0012】
アルデヒド類としては、一般的なフェノール樹脂の製造に使用されるものであればよく、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール等を単独又は2種以上混合して使用することができる。
また、アルデヒド類の配合量は、フェノール類1モルに対して、0.1〜2.0モルであることが好ましい。フェノール類の配合量が0.1モル未満又は2.0モルを超えると、所望の重量平均分子量を有するノボラック型フェノール樹脂が得られ難くなるので好ましくない。
【0013】
酸性触媒としては、一般的なフェノール樹脂の製造に使用されるものであればよく、例えば、蓚酸、塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸亜鉛等を単独又は2種以上混合して使用することができる。
また、酸性触媒の配合量は、フェノール類100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましい。酸性触媒の配合量が0.1質量部未満であると、所望の重量平均分子量を有するノボラック型フェノール樹脂が得られ難くなり、50質量部を超えると、残存触媒の影響によって所望の接着性能が得られ難くなるので好ましくない。
【0014】
フェノール類とアルデヒド類との反応は、一般的なフェノール樹脂の製造に使用される公知の方法を用いればよく、例えば、フェノール類、アルデヒド類及び酸性触媒を一括で仕込み、反応させる方法や、フェノール類及び酸性触媒を仕込み、所定の反応温度にてアルデヒド類を添加する方法等を用いればよい。このときの反応温度は、50℃〜150℃であることが好ましい。反応温度が50℃未満であると、十分な反応速度が得られ難くなり、150℃を超えると、十分な温度制御が得られ難くなるので好ましくない。また、反応時間は、特に制限されることはなく、各成分の配合量及び反応温度等に応じて適宜調整すればよい。
前記反応により得られたノボラック型フェノール樹脂は、さらに変性、例えば、油変性及びゴム変性等を行ってもよい。
【0015】
このようにして得られたノボラック型フェノール樹脂は、好ましくは300〜10000、より好ましくは300〜8000の重量平均分子量を有するものをクロロプレンゴム接着剤組成物の原料として使用する。前記重量平均分子量が300未満又は10000を超えると、所望の接着性能が得られ難くなるので好ましくない。
【0016】
本発明における有機溶媒としては、一般的なクロロプレンゴム接着剤組成物に使用されるものであればよく、例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族溶剤、MEK、MIBK、ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチル−1−ペンテン、酢酸エチル、アセトン並びにゴム用揮発油等を単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0017】
本発明のクロロプレンゴム接着剤組成物は、老化防止剤、金属酸化物及び金属塩類をさらに含有することもできる。
老化防止剤としては、BHT(2,6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等の公知のフェノール類酸化防止剤が挙げられ、これらを単独又は2種以上混合して使用することができる。
また、本発明のクロロプレンゴム接着剤組成物における老化防止剤の含有量は、クロロプレンゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜7質量部であることがより好ましい。前記含有量が0.1質量部未満であると所望の老化防止効果が得られ難くなり、また10質量部を超えると所望の接着性能が得られ難くなるので好ましくない。
【0018】
金属酸化物としては、MgO及びZnO等が挙げられる。また金属塩類としては、酢酸マグネシウム及び酢酸亜鉛等が挙げられる。これら金属酸化物及び金属塩類は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
また、本発明のクロロプレンゴム接着剤組成物における金属酸化物及び金属塩類の含有量は、クロロプレンゴム100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましい。前記含有量が0.1質量部未満であると、所望の耐熱性が得られ難くなり、また30質量部を超えると所望の接着性能が得られ難くなるので好ましくない。中でも、MgOを単独で含有する場合は、クロロプレンゴム100質量部に対して、MgOを0.1〜20質量部含有することが好ましい。また、ZnO及び/又は金属塩類を含有する場合は、クロロプレンゴム100質量部に対して、ZnO及び/又は金属塩類を1〜30質量部含有することが好ましく、1〜20質量部含有することがより好ましい。
【0019】
本発明のクロロプレンゴム接着剤組成物の調製方法は、特に限定されることはなく、一般的なクロロプレンゴム接着剤組成物の調製方法を用いればよい。このような調製方法としては、例えば、有機溶媒にクロロプレンゴム、ノボラック型フェノール樹脂、老化防止剤、金属酸化物及び金属塩類を直接溶解させる方法、クロロプレンゴム、老化防止剤、金属酸化物及び金属塩類をロール機等で均一に混合した後に、ノボラック型フェノール樹脂と共に有機溶媒に溶解させる方法等が挙げられる。
このようにして得られたクロロプレンゴム接着剤組成物の固形成分含有量は、所望の用途に応じて調製することができるが、一般的に1〜90質量%であり、10〜50質量%が好ましい。固形成分含有量が1質量%未満であると、所望の接着性能が得られ難くなり、90質量%を超えると、接着剤組成物を使用する際に所望の作業性が得られ難くなるので好ましくない。
【実施例】
【0020】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例で得られたクロロプレンゴム接着剤組成物の特性評価は、次の測定によって行った。
(1)接着性及び耐熱性評価
接着性及び耐熱性評価は、JIS K−6854−1994のT型剥離接着強さ試験に準拠して行った。
(1−1)常態強度
クロロプレンゴム接着剤組成物を、25×150mmの11号帆布の25×75mmの面積に、刷毛を用いて0.03g/cm塗布し、室温に1時間放置した。この操作を3回繰り返した後、室温に20分間放置し、2枚ずつ貼り合わせ、5kgのハンドロールで片道5回圧着し、恒温恒湿室(25℃、湿度60%)で1週間養生した。その後、テンシロンを用いて、25℃雰囲気下、200mm/minの速度で引き剥がし、その平均強度を測定した。なお、試験片は5片測定した。
(1−2)耐熱強度
1週間養生した常態強度と同様の測定用試験片を、80℃雰囲気下で20分間放置後、80℃雰囲気下で常態強度と同様の試験を行った。
【0021】
(2)ホルムアルデヒド放散速度評価
ホルムアルデヒド放散速度試験は、JIS A−1901−2003「建築材料の揮発性有機化合物(VOC)、ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散測定方法−小形チャンバー法」に準拠して行った。
【0022】
本発明におけるノボラック型フェノール樹脂(樹脂A〜E)の合成例を以下に示す。
(樹脂Aの合成)
PTBP(p−tert−ブチルフェノール) 50.0質量部、フェノール 50質量部、37.0質量%ホルマリン水溶液 30質量部、及び蓚酸 1.0質量部の混合物を、撹拌器及び温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、100℃で3時間反応させた。その後、減圧脱水して、1050の重量平均分子量を有するノボラック型フェノール樹脂(樹脂A)111.1質量部を得た。
(樹脂Bの合成)
37.0質量%ホルマリン水溶液 50.0質量部、及び蓚酸 2.0質量部を用いたこと以外は樹脂Aと同様に合成を行い、2100の重量平均分子量を有するノボラック型フェノール樹脂(樹脂B)118.5質量部を得た。
(樹脂Cの合成)
37.0質量%ホルマリン水溶液 70.0質量部、及び蓚酸 3.0質量部を用いたこと以外は樹脂Aと同様に合成を行い、5100の重量平均分子量を有するノボラック型フェノール樹脂(樹脂C)125.9質量部を得た。
(樹脂Dの合成)
PTBP 66.7質量部、フェノール 33.3質量部を用いたこと以外は樹脂Bと同様に合成を行い、2010の重量平均分子量を有するノボラック型フェノール樹脂(樹脂D)118.5質量部を得た。
(樹脂Eの合成)
フェノールの代わりに3,5−キシレノールを用い、また37.0質量%ホルマリン水溶液 40.0質量部を用いたこと以外は樹脂Bと同様に合成を行い、3020の重量平均分子量を有するノボラック型フェノール樹脂(樹脂E)118.5質量部を得た。
【0023】
比較例として、レゾール型フェノール樹脂(樹脂F)の合成例を以下に示す。
(樹脂Fの合成)
PTBP 100.0質量部、37.0質量%ホルマリン水溶液 200.0質量部、及び10.0質量%のカセイソーダ水溶液 10.0質量部を、撹拌器及び温度計を備えた4つ口フラスコに仕込み、100℃で2時間反応させた。反応終了後、トルエン 100.0質量部及び10.0%硫酸水溶液 2.0質量部を加えて中和した後、静置し、下層の水を除去した。さらに100.0質量部の水を加えて混合し、再度静置し、前と同様に下層の水を除去した。その後、減圧脱水して、レゾール型フェノール樹脂(樹脂F)を150.0質量部得た。
前記クレゾール型フェノール樹脂(樹脂A〜E)及びレゾール型フェノール樹脂(樹脂F)の配合組成を表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
次に、本発明のクロロプレンゴム接着剤組成物の調製例を以下に示す。
[実施例1]
前記樹脂A 50.0質量部を、MEK 50.0質量部に溶解させ、樹脂 50質量%の樹脂溶液1を100質量部得た。
クロロプレンゴム 100.0質量部(昭和電工株式会社製:ショウプレンWHV)を2本ロール機で60℃以下、20分間混練を行い、MEK 100.0質量部、酢酸エチル 150.0質量部及びシクロヘキサン 150.0質量部の混合溶媒に溶解させて、ゴム溶液2を得た。
前記樹脂溶液1及び前記ゴム溶液2を撹拌器により均一に混合し、クロロプレンゴム接着剤組成物 600.0質量部を得た。このクロロプレンゴム接着剤組成物の固形分は、25.0質量%であった。
[実施例2]
樹脂溶液1を、実施例1と同様にして得た。
ゴム溶液2を、BHT(大内新興化学工業株式会社製:ノクラック200)2.0質量部をさらに添加した以外は実施例1と同様にして得た。
前記樹脂溶液1及び前記ゴム溶液2を撹拌器により均一に混合し、クロロプレンゴム接着剤組成物 602.0質量部を得た。このクロロプレンゴム接着剤組成物の固形分は、25.2質量%であった。
[実施例3〜18]
実施例1及び2と同様の方法を用いて、表2に示す配合割合で樹脂溶液1及びゴム溶液2を調製した後、撹拌器により均一に混合することによって接着剤組成物を得た。
【0026】
[比較例1]
攪拌器、温度計を備えた反応装置に、樹脂F 50.0質量部、トルエン 50.0質量部を仕込み、内温を50℃に昇温して溶解させた。その後、MgO(協和化学工業株式会社製:キョーワマグ150) 3.5質量部、及び水 0.5質量部を加え、そのまま5時間キレート化反応を行うことによって、104.0質量部のレゾール型フェノール樹脂のキレート化物(樹脂溶液1)を得た。
ゴム溶液2を、実施例1と同様にして得た。
前記樹脂溶液1の100質量部、及び前記ゴム溶液2を撹拌器により均一に混合し、クロロプレンゴム接着剤組成物611.0質量部を得た。このクロロプレンゴム接着剤組成物の固形分は、26.3質量%であった。
前記実施例1〜18及び比較例1のクロロプレン接着剤組成物において、各成分の含有量及び特性評価について表2に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
表2に示されるように、実施例1〜18のクロロプレンゴム接着剤組成物は、いずれもホルムアルデヒドを放散しなかった。また、実施例1〜3、6〜7及び10のクロロプレンゴム接着剤組成物は、塩基性金属酸化物を含有していないにもかかわらず、比較例1と同等の常態強度、及び比較例1と同等又はより優れた耐熱強度を有していた。さらに、実施例7及び12のクロロプレンゴム接着剤組成物は、より優れた耐熱強度を有していた。
従って、本発明のクロロプレンゴム接着剤組成物は、接着性及び耐熱性に優れ、且つホルムアルデヒドを放散しないものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロプレンゴム、ノボラック型フェノール樹脂及び有機溶媒を含有することを特徴とするクロロプレンゴム接着剤組成物。
【請求項2】
前記クロロプレンゴム100質量部に対して、前記ノボラック型フェノール樹脂を1〜100質量部含有することを特徴とする請求項1に記載のクロロプレンゴム接着剤組成物。
【請求項3】
前記ノボラック型フェノール樹脂が、300〜10000の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のクロロプレンゴム接着剤組成物。
【請求項4】
前記クロロプレンゴム100質量部に対して、老化防止剤を0.1〜10質量部さらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のクロロプレンゴム接着剤組成物。
【請求項5】
前記クロロプレンゴム100質量部に対して、金属酸化物、金属塩類及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つを0.1〜30質量部さらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のクロロプレンゴム接着剤組成物。
【請求項6】
前記金属酸化物が、MgO又はZnOであることを特徴とする請求項5に記載のクロロプレンゴム接着剤組成物。
【請求項7】
前記金属塩類が、酢酸マグネシウム又は酢酸亜鉛であることを特徴とする請求項5に記載のクロロプレンゴム接着剤組成物。
【請求項8】
固形分が1〜90質量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のクロロプレンゴム接着剤組成物。

【公開番号】特開2006−160909(P2006−160909A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355463(P2004−355463)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000187068)昭和高分子株式会社 (224)
【Fターム(参考)】