説明

クロロプロパンの製造方法

【課題】 1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン等の、少なくとも一つの水素原子と、該水素原子を有する炭素原子に隣接する炭素原子に結合した塩素原子とを有するポリクロロプロパンを蒸留精製するに際し、蒸留時の熱分解等による収量や純度の低下を抑制する。
【解決手段】 蒸留前の粗ポリクロロプロパンに対して、オイゲノール、o−アリルフェノールなどのアリル基で置換されたフェノール化合物を添加し、その後に蒸留する。アリル基の不飽和結合が、加熱により脱離して生じる塩化水素を捕捉することによって、該塩化水素が触媒又は反応基質として作用する副反応が抑制されるものと推測される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロプロパンの製造方法に関する。詳しくはクロロプロペンと塩素から合成した粗クロロプロパンを蒸留精製するに際し、クロロプロパンの分解を抑制して高効率で高純度のクロロプロパンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロロプロパンは、農薬原料の中間体をはじめ、各種工業製品の中間体として重要な塩素化合物である。例えば1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンから製造する1,1,2,3−テトラクロロプロペンは、トリクロロアリルジイソプロピルチオカルバメート除草剤を製造する際の重要な化学中間体であることが知られている。また、上記クロロプロパンの他の具体的な用途としては、その構造により、地球温暖化係数の低いフロンを得るための中間体としての用途が挙げられる。
【0003】
従来、前記クロロプロパンの代表的な製造方法としては、四塩化炭素とエチレンを反応させて、クロロプロパンを製造し、製造したクロロプロパンをアルカリ水溶液と第四級アンモニウム塩等の相間移動触媒を使用し、生成したクロロプロペンを塩素化して目的とするクロロプロパンを製造する方法が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら当該特許文献1には最終目的物であるクロロプロパンの精製方法については言及されていない。
【0005】
一方、鉄の存在下で1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン等のポリ塩素化アルカンを加熱するに際し、安定化剤としてフェノール類、特にアルコキシ置換フェノール類を添加する方法が知られている(特許文献2参照)
また炭素数1のクロロアルカンの保存安定性を向上させる方法として、フェノール類を、アルコール、アミン及び/又はエポキサイド等の他の化合物と併用して添加することが知られている(例えば特許文献3〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平2−47969号公報
【特許文献2】特表2004−534060号公報
【特許文献3】特開昭62−158228号公報
【特許文献4】特開昭57−018636号公報
【特許文献5】特開昭53−050106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最終製品に限らず、各種中間体においても望ましくない副反応の抑制や、有害物質の混入を防止するために、化合物の純度は高い方が好ましく、上記クロロプロパンにおいても例外ではない。クロロプロパンの精製方法としては蒸留が考えられるが、該蒸留に際しての加熱によってクロロプロパンが分解し、収率(収量)が低下するという問題があった。
【0008】
上記特許文献2に記載されたアルコキシ置換フェノール類を添加すると、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン等のポリ塩素化アルカンの加熱による分解は1/3〜1/4程度に抑制されるものの、未だ改善の余地があった。
【0009】
従って本発明は、蒸留によるクロロプロパンの精製において、より分解の少ない高効率の方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、アルコキシ基で置換されたフェノールよりも、アリル基で置換されたフェノールの方がより分解抑制効果の高いことを見出し、本発明を完成した。
【0011】
即ち本発明は、下記一般式(1)で示されるクロロプロペンを塩素と反応させて塩素化して下記一般式(2)で示されるクロロプロパンを得、次いで、該反応により得た粗クロロプロパンに対し、アリル基で置換されたフェノール化合物を添加した後に、これを蒸留することを特徴とする、精製されたクロロプロパンの製造方法である。
【0012】
CCl=CCl(2−m)(m−1)−CCl(3−n) (1)
CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
(上記式において、mは1又は2であり、かつmが1のときはnは0〜2の整数であり、mが2のときはnは0〜3の整数である)
本発明において、上記アリル基で置換されたフェノール化合物の添加量は、粗クロロプロパン100質量部に対して0.0020〜1.0質量部とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法によれば、上記式(2)で示されるクロロプロパンの熱分解が従来公知のアルコキシ置換フェノールを用いるよりも、さらに1/3程度に抑制される。
【0014】
なおこれは、上記式(2)で示されるクロロアルカンの加熱分解により生じる塩化水素が、さらに他の分解反応の触媒となってしまうことを、フェノール化合物の有するアリル基が、該塩化水素を捕捉することによって防止するためではないかと推測している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明ではまず、下記一般式(1)で示されるクロロプロペン(以下、特に断らない限り単に「クロロプロペンと記す」)を塩素と反応させて塩素化し、下記一般式(2)で示されるクロロプロパン(以下、特に断らない限り単に「クロロプロパンと記す」)を得る。
【0016】
CCl=CCl(2−m)(m−1)−CCl(3−n) (1)
CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
なお上記式において、mは1又は2であり、かつmが1のときはnは0〜2の整数であり、mが2のときはnは0〜3の整数である。本発明は後述する蒸留に際して、熱分解により発生する塩化水素を、添加するアリル基で置換されたフェノール化合物(以下、特に断らない限り「アリル置換フェノール」と記す)が捕捉する点に特徴を有する。従って、生成物である一般式(2)で示される化合物が少なくとも1つの水素原子を有している場合にその本質的効果を発揮するものである。そのため、mが1のときはnは0〜2の整数、mが2のときはnは0〜3の整数となっている必要がある。
【0017】
そのため、対応する原料化合物である式(1)で示される化合物も少なくとも1つの水素原子を有する化合物である。当該クロロプロペンとしては、1,1−ジクロロプロペン、1,1,2−トリクロロプロペン、1,1,3−トリクロロプロペン、1,1,2,2−テトラクロロプロペン、1,1,2,3−テトラクロロプロペン、1,1,3,3−テトラクロロプロペン、1,1,2,3,3−ペンタクロロプロペン、1,1,3,3,3−ペンタクロロプロペン、1,1,2,3,3,3−ヘキサクロロプロペン等が挙げられる。
【0018】
これら化合物のなかでも、生成した式(2)で示される化合物からの脱塩化水素が相対的に起こりやすい点で、mが2である化合物が好ましい。さらに生成化合物の有用性の観点から、1,1,3−トリクロロプロペンが最も好ましい。
【0019】
この塩素化反応は、クロロプロペンを気相の状態で行ってもよいし、液相で行ってもよい。
【0020】
気相反応させる場合の温度は、クロロプロペンが凝縮しない温度以上であれば特に限定されないが、副生物を少なくするために、好ましくは、クロロプロペンの沸点以上、300℃以下の温度が好ましい。また、供給する塩素量は、転化率、選択率を高く維持できる点で、好ましくは、クロロプロパンに対してモル比で0.9〜2.0の範囲で行えばよい。更に、塩素との反応滞在時間は、反応温度等により、副生物を低減するように適宜決定すればよいが、一般的には1〜60秒で十分である。
【0021】
一方、塩素化反応において、クロロプロペンを液相で反応させる場合の温度は、クロロプロペンが気化しない温度以下であればよいが、副生物を少なくするために、好ましくは、120℃以下で塩素化を行うとよい。また、供給する塩素量は,転化率、選択率を高く維持できる点で、好ましくは、クロロプロパンに対してモル比で0.9〜2.0の範囲で行えばよい。更に、塩素との反応滞在時間は、反応温度等により、副生物を低減するように適宜決定すればよいが、一般的には1〜10時間で十分である。
【0022】
反応を促進させるための方法としては、塩素の吹き込み方法を微細気泡とする方法、紫外光を照射することも好適な対応である。
【0023】
本発明のクロロプロペンの塩素化においては、一般的にクロロプロペン中に鉄はないほうが良い。これは、塩素化によって生成するクロロプロパンの分解が鉄によって促進されるからである。そのため本発明においては、上記クロロプロペンは、下記式(3)
CCl−CCl(2−m)−CCl(3−n) (3)
で示されるクロロプロパンを熱分解により脱塩化水素して得たものであることが好ましい。該方法によれば生成したクロロプロペン中に鉄はほとんど混入しない。当該熱分解の方法については後述する。
【0024】
このような塩素化反応により原料としたクロロプロペンの構造に対応したクロロプロパンが製造される。通常、上記条件で行えば、クロロプロペン基準での転化率は95〜100%、選択率が90〜99%で式(2)で示されるクロロプロパンが得られる。
【0025】
本発明においてはこのようにして塩素化反応を行い得られた粗クロロプロパンを蒸留して、精製されたクロロプロパンを得る。本発明の特徴は、当該蒸留に際し、粗クロロプロパンに対して、アリル基で置換されたフェノール化合物(アリル置換フェノール)を添加した後に蒸留(加熱)を行う点にある。
【0026】
当該アリル置換フェノールは、置換基としてアリル基を少なくとも1つ以上有していれば特に限定されるものでなく、アリル基以外の置換基、例えば低級アルキル基やハロゲン原子、低級アルコキシ基をさらに置換基として有していてもよい。またアリル基の置換位置もオルト位、メタ位及び/又はパラ位のいずれでもよい。
【0027】
好適なアリル置換フェノールを一般式で示すと、下記式(4)
【0028】
【化1】

【0029】
(式中、Rは炭素数1〜3の炭化水素基又は炭素数1〜3のアルコキシ基であり、nは0〜4の整数である)で示される化合物である。
【0030】
当該化合物を具体的に例示すると、o−アリルフェノール、m−アリルフェノール、p−アリルフェノール、4−アリル−2−メトキシフェノール(オイゲノール)、2−メトキシ−4−(1−プロペニル)フェノール(イソオイゲノール)等が挙げられる。これらアリル置換フェノールは単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
【0031】
アリル置換フェノールの使用量は適宜決定すればよいが、一般的には粗クロロプロパン100質量部に対して0.0020〜0.1質量部、好ましくは0.005〜0.05質量部である。
【0032】
また蒸留に際しては、アリル置換フェノール以外のフェノールを分解抑制剤として併用しても構わない。さらに、分子内に二重結合を有する直鎖状、分枝状、又は環状の不飽和炭化水素、具体的には、アミレン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等も分解抑制剤として好適に併用できる。
【0033】
本発明において、粗クロロプロパンの蒸留は公知の方法で行うことができる。
具体的には、段塔または充填塔が好ましいものとしてあげることができる。
【0034】
段塔としては、例えば十字流トレイ、シャワートレイなどを用いることができる。これらの具体例としては、十字流トレイとして、例えば多孔板トレイ、泡鐘トレイ、バルブトレイ、ターボグリッドトレイ等を、シャワートレイとして、例えばターボグリッドトレイ、リップルトレイなどを、それぞれ挙げることができる。これらのうち、十字流トレイを用いることが好ましい。
【0035】
充填塔としては、規則充填物、不規則充填物を充填した蒸留塔を使用することができる。上記不規則充填物としては、例えば、ラシヒリング、ベルサドル、マクマホン、ナッターリング、ポーリング、カスケードミニリング、ヘリパック等を挙げることができる。これらのうち、規則充填物またはカスケードミニリングを充填した蒸留塔を使用することが、蒸留効率を高くすることができる点で好ましい。
【0036】
蒸留温度が高い方が蒸留の際の圧力を高くすることができる一方、クロロプロパンの分解も起こりやすいが、本発明によれば、アリル置換フェノールを粗クロロプロパンに添加してから蒸留することにより、従来は分解が激しく、収率の著しい低下を招いていた180℃程度の温度でも、良好な収率で蒸留が可能となっている。蒸留温度は、好ましくは60〜140℃であり、より好ましくは80〜130℃である。
【0037】
蒸留圧力は、前記の好ましい温度における蒸留操作を維持しうる圧力を設定することが好ましく、例えば、1〜20kPaとすることができる。
【0038】
前述のとおり本発明において原料として用いるクロロプロペンは、前記式(3)で示されるクロロプロパンを熱分解して得たものであることが好ましい。当該熱分解の方法を以下に述べる。
【0039】
熱分解反応は、前記式(3)で表されるクロロプロパンを、その熱分解温度以上の温度において加熱する方法によることができる。
【0040】
この熱分解反応は気相で行われることが好ましく、その反応方式は、流通方式及びバッチ方式のいずれによってもよい。しかしながら、熱分解反応は短い反応時間で高い反応転化率を達成することができるので、流通方式によることが、反応の効率性の面から好ましい。
【0041】
上記加熱温度としては好ましくは300〜600℃であり、より好ましくは350〜550℃である。加熱時間(滞在時間)は、例えば1〜10秒とすることが好ましく、1〜5秒とすることがより好ましく、さらに1〜3秒とすることが好ましい。ここで、加熱温度が300℃未満であるか或いは加熱時間が1秒未満であると熱分解が困難となり、一方、加熱温度600℃を超えるかあるいは加熱時間が10秒を超えると反応の選択率が低くなる場合がある。
【0042】
当該熱分解のための加熱は、公知の方法により行うことができる。反応器としては、外壁に加熱装置を備えた反応管(分解炉)が好適である。反応器を構成する材質としては、例えば石英、セラミック、金属等を例示することができる。加熱装置としては、例えばバーナー、電気ヒーター、高周波加熱装置等を使用することができる。
【0043】
この反応において、前記式(3)で示されるクロロプロパンを反応器に供給する方法としては、例えば気化器によって化合物を気化し、ガスとして反応器に導入する方法、あるいは液状の化合物を噴霧して反応器に導入する方法等を採用することができる。このとき反応器には、前記式(3)で示されるクロロプロパンのみを供給してもよく、あるいは前記式(3)で示されるクロロプロパンと適当な希釈ガスとの混合物を導入してもよい。ここで使用される希釈ガスとしては、不活性ガスを使用することが好ましく、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等を好ましく使用することができるが、希釈ガスに要するコストの観点から特に窒素を用いることが好ましい。また熱分解に供するガス(希釈ガスを用いる場合は、希釈ガスとの混合ガス)中の酸素濃度は1重量%以下に調整することが好ましい。
【0044】
熱分解による脱塩化水素によって得られる生成物(前記式(3)で示されるクロロプロパン)が水を含んでいると、その除去のために余分の精製工程が必要となり、経済上の不利益となる。これを避けるため、熱分解に供する前にガス(希釈ガスを用いる場合は、希釈ガスとの混合ガス)中の水分濃度を1000重量ppm以下としておくことが好ましい。
【0045】
この熱分解による脱塩化水素の際の反応圧力は特に限定されず、常圧下、減圧下或いは加圧下で実施することが可能である。加圧下の方が反応器を小さくすることが可能であるが、反応圧を高くするほど配管への炭素の析出が起こりやすい傾向にある。装置コスト、反応効率等を考慮すると常圧で行うことが最も好ましい。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を具体的に説明するため、実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではない。
【0047】
<一般式(1)で示される化合物の製造>
四塩化炭素とエチレンを反応させて製造し、蒸留により精製した1,1,1,3−テトラクロロプロパン(GC純度約100%)を原料とした。該1,1,1,3−テトラクロロプロパンを200℃の予熱器で気化し、入口ガス流量を基準として滞在時間が2.5秒になるように流量を調整し、電気炉によって500℃に加熱した反応管(材質SUS316、内径4.35mm、長さ300mm)中にガス状で導入し、常圧にて気相で熱分解反応を行った。
【0048】
このとき、得られた生成ガスの一部を0℃に冷却し、液化してガスクロマトグラフィーにより分析し、転化率及び選択率を求めた。その結果、転化率は99.7%、1,1,3−トリクロロプロペンへの選択率は99.0%であった。
【0049】
上記反応の生成ガスを0℃に冷却したうえで、塩化水素ガスを分離し、液相を以下の実施例、比較例での塩素化工程に供した。
【0050】
実施例1
容積1000mlのフラスコに1,1,3−トリクロロプロペンを9mol入れ、同液中に塩素を400ml/minの速度で供給し、反応温度100℃で塩素化反応を8時間行った。その結果、転化率は95%、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン選択率98%であった。
【0051】
この粗クロロプロパン100質量部に対して、0.01質量部のオイゲノールを添加し、内部に柴田科学(株)製ガラスパッキンを高さ500ml充填した塔径30mmφの蒸留塔において、蒸留圧力10kPa、蒸留温度135℃にてバッチ蒸留を行った。
【0052】
得られた精製1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの純度は99.5%、収率は75%であった。また、この蒸留の過程で分解した1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンは、蒸留留出分と蒸留残渣を合わせて分析した結果1.5%であった。
【0053】
比較例1
オイゲノールを添加せずに蒸留を行った以外は実施例1と同様にして精製1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの製造を行った。
【0054】
その結果、得られた精製1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンの純度は98%、収率は70%であった。また、この蒸留の過程で分解した1,1,1,2,3−クロロプロパンは2.6%であった。
【0055】
実施例2、3、比較例2〜6
実施例1と同様の方法で製造して得た粗1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン100質量部に対して、0.01質量部のオイゲノール等の各種フェノール化合物を添加し、170〜175℃で5時間加熱した。その後、1,1,1,2,3−クロロプロパンの分解率を再度ガスクロマトグラフィーで分析した。添加したフェノール化合物の種類と、分解率の測定結果を表1に示す。
【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるクロロプロペンを塩素と反応させて塩素化して下記一般式(2)で示されるクロロプロパンを得、次いで、該反応により得た粗クロロプロパンに対し、アリル基で置換されたフェノール化合物を添加した後に、これを蒸留することを特徴とする、精製されたクロロプロパンの製造方法。
CCl=CCl(2−m)(m−1)−CCl(3−n) (1)
CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
(上記式において、mは1又は2であり、かつmが1のときはnは0〜2の整数であり、mが2のときはnは0〜3の整数である)
【請求項2】
アリル基で置換されたフェノール化合物の添加量を、粗クロロプロパン100質量部に対して0.0020〜1.0質量部とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
下記一般式(2)で示されるクロロプロパンを蒸留して精製するに際し、蒸留前の組成物に対してアリル基で置換されたフェノール化合物を添加し、その後に蒸留することを特徴とする、精製されたクロロプロパンの製造方法。
CCl−CCl(3−m)(m−1)−CCl(3−n) (2)
(上記式において、mは1又は2であり、かつmが1のときはnは0〜2の整数、であり、mが2のときはnは0〜3の整数である)

【公開番号】特開2012−41289(P2012−41289A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182765(P2010−182765)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【Fターム(参考)】