説明

クロロ芳香族化合物及びブロモ芳香族化合物を調整する方法

本発明は、式(II)で表される芳香族塩素化合物又は芳香族臭素化合物を調製するための新規方法に関し、ここで、該方法は、水性塩酸又は水性臭化水素酸の存在下で亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムを用いて式(I)をジアゾ化し、次いで、場合により追加量の塩化水素若しくは臭化水素又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩化物若しくは臭化物の存在下で、鉄(II)化合物又は鉄(III)化合物を用いて変換することによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロ芳香族化合物及びブロモ芳香族化合物を調製するための新規方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなクロロ芳香族化合物及びブロモ芳香族化合物は、数ある用途の中で、特に、2−アリールマロノニトリル類(Synlett 2006, 3167−9; WO 2004/050607)及びフェニル酢酸類(例えば、「Tetrahedron Letters 45 (2004) 4261−4」を参照されたい)を調製するための出発物質として有用である。そのような2−アリールマロノニトリル類及びフェニル酢酸類は、殺ダニ作用(例えば、DE−A−4216814を参照されたい)、殺虫作用(例えば、WO 98/5638を参照されたい)又は除草作用(例えば、WO 04/80962、WO 99/47525、WO 2000/78881を参照されたい)を有する化合物を調製するための重要な中間体である。
【0003】
クロロ芳香族化合物及びブロモ芳香族化合物は、以前から知られているさまざまな方法で調製することができる。そのような方法は、例えば、対応する芳香族化合物を直接に塩素化若しくは臭素化すること、又は、アニリンをサンドマイヤー反応(Houben−Weyl Vol. V/3, p.846ff.; Houben−Weyl Vol. V/4, p.437ff.)によって塩素若しくは臭素で置換されている芳香族化合物に変換することである。
【0004】
クロロ芳香族化合物又はブロモ芳香族化合物を対応するアニリンから調製するためのサンドマイヤー反応は、一般に、該アニリンを水溶液状態又は水性懸濁液状態で塩酸又は臭化水素酸の存在下に亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムを添加することでジアゾ化し、次いで、銅(I)塩(CuCl;CuBr)を添加することにより窒素を排除して塩素原子又は臭素原子を導入することにより実施する。該銅塩は、原則として、化学量論的な量より少ない量で使用することも可能である。しかしながら、これによって、場合により不充分な収率となってしまう。この反応を金属塩を添加することなく実施する方法も、知られている(WO 2000/78712、Ex.P1)。該ジアゾ化が水を用いることなく有機溶媒中で亜硝酸アルキルを用いて実施されるようにこの反応を実施することも、同様に知られている。それに続く変換は、さまざまな方法で実施することができる:化学量論的な量の銅塩を用いて;化学量論的な量より少ない量の銅塩及びHClガス又はHBrガスを用いて;又は、特定の場合には、遷移金属塩を全く添加することなく(WO 2006/084663)。
【0005】
亜硝酸アルキルは熱安定性が限られているので、技術的な観点から言えば、亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムを用いたジアゾ化が好ましい。
【0006】
該ジアゾニウム化合物をクロロ芳香族化合物又はブロモ芳香族化合物に変換するために銅塩を使用することは長い間工業的に実施されてきたが、それは、銅を含有している廃棄物を処理しなければならないという不利点を有している。該銅(I)塩は、一般に、化学量論的な量で使用される。塩化銅(I)又は臭化銅(I)を化学量論的な量より少ない割合で使用することによって銅を含有している廃棄物の量を低減する試みが成されれば、該反応によって、多くの場合、増大したレベルの望ましくない副産物(例えば、該ジアゾニウム塩が沸騰する結果としての対応するフェノール類など)が形成される。従って、サンドマイヤー反応を実施するために銅塩以外の金属塩を使用する試みが既に成されている。例えば、クロロ芳香族化合物を調製するために塩化鉄(III)を使用することは、知られている(J. Chemical Society 1944; 18−19; J. Chemical Society 1944; 393−5)。しかしながら、そのような塩化鉄(III)は、化学量論的な量より多い量で使用される。塩化鉄(II)の使用も知られている(Tetrahedron Letters 51 (1970) 4455−8)。化学量論的な量より少ない量の鉄(II)塩の存在下におけるサンドマイヤー反応によってクロロ芳香族化合物を調製することも既に知られているが、塩化銅(I)も同時に使用される(FR−A−2475535)。従って、銅を含有している廃棄物の問題は、完全には解決していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2004/050607号
【特許文献2】DE−A−4216814
【特許文献3】国際公開第98/5638号
【特許文献4】国際公開第04/80962号
【特許文献5】国際公開第99/47525号
【特許文献6】国際公開第2000/78881号
【特許文献7】国際公開第2000/78712号
【特許文献8】国際公開第2006/084663号
【特許文献9】FR−A−2475535
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Synlett 2006, 3167−9
【非特許文献2】Tetrahedron Letters 45 (2004) 4261−4
【非特許文献3】Houben−Weyl Vol. V/3, p.846ff.
【非特許文献4】Houben−Weyl Vol. V/4, p.437ff.
【非特許文献5】J. Chemical Society 1944 18−19
【非特許文献6】J. Chemical Society 1944 393−5
【非特許文献7】Tetrahedron Letters 51 (1970) 4455−8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、クロロ芳香族化合物又はブロモ芳香族化合物を調製するためのサンドマイヤー反応を実施するための今日までに知られている方法のうちの一部は、特に工業規模での実施に関して、少なからぬ不適切な点及び不利な点を有している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一段階において、水性塩酸又は水性臭化水素酸の存在下で亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムを用いて式(I)で表される対応するアニリンを既知方法でジアゾ化し、次いで、第二段階において、鉄(II)化合物又は鉄(III)化合物を添加し及び場合により塩素含有化合物又は臭素含有化合物を添加することにより式(II)で表されるクロロ芳香族化合物又はブロモ芳香族化合物に変換するといった方法で、クロロ芳香族化合物又はブロモ芳香族化合物を調製するためのサンドマイヤー反応を有利に実施することが出来るということが分かった。該鉄(II)化合物又は鉄(III)化合物は、好ましくは、化学量論的な量より少ない量で使用する。塩化銅(I)のような銅塩を使用することは、もはや必要ではない。
【0011】
式(II)で表される化合物を調製するための本発明による方法は、下記スキームによって例示することができる:
【0012】
【化1】

式(I)及び式(II)において、
Xは、塩素又は臭素であり;
、R及びRは、同一であるか又は異なっていて、独立して、水素、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、場合により置換されていてもよいC−C−シクロアルキル若しくはC−C−シクロアルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、場合により置換されていてもよいフェニル、フェノキシ、ヘテロシクリル若しくはヘタリール、又は、シアノ、C−C−アルキルアミノ若しくはジ(C−C−アルキル)アミノであり;
は、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、場合により置換されていてもよいC−C−シクロアルキル若しくはC−C−シクロアルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、場合により置換されていてもよいフェニル、フェノキシ、ヘテロシクリル若しくはヘタリール、又は、シアノ、C−C−アルキルアミノ若しくはジ(C−C−アルキル)アミノであり;
、R及びRは、好ましくは、同一であるか又は異なっていて、独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、場合により置換されていてもよいシクロプロピル若しくはシクロペンチル、C−C−アルコキシ、場合により置換されていてもよいフェニル若しくはフェノキシ、又は、シアノであり;
は、好ましくは、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、場合により置換されていてもよいシクロプロピル若しくはシクロペンチル、C−C−アルコキシ、場合により置換されていてもよいフェニル若しくはフェノキシ、又は、シアノであり;
、R及びRは、さらに好ましくは、同一であるか又は異なっていて、独立して、水素、塩素、臭素、メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル又はシクロプロピルであり;
は、さらに好ましくは、塩素、臭素、メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル又はシクロプロピルであり;
は、最も好ましくは、C−C−アルキルであり(ここで、メチル、エチル又はイソプロピルは重要である);
は、最も好ましくは、水素、C−C−アルキル又はハロゲンであり(ここで、水素、メチル又は塩素は重要である);
は、最も好ましくは、水素又はC−C−アルキルであり(ここで、水素、メチル又はエチルは重要である);
nは、0、1又は2であり;
nは、好ましくは、0又は1であり;
nは、 さらに好ましくは、0又は1であり;
nは、最も好ましくは、0である。
【0013】
上記式中で与えられている記号の定義においては、総称が用いられており、ここで、該総称は、概して以下の置換基を表している。
【0014】
ハロゲン: フッ素、塩素、臭素、及び、ヨウ素。
【0015】
アルキル: 1〜8個の炭素原子を有している直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素ラジカル、例えば、C−C−アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、及び、1−エチル−2−メチルプロピル;ヘキシル、オクチル。
【0016】
ハロアルキル: 1〜8個の炭素原子を有している直鎖又は分枝鎖のアルキル基において、水素原子の一部又は全部が上記で示されているハロゲン原子で置き換えられているもの、例えば、C−C−ハロアルキル、例えば、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ−2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、及び、1,1,1−トリフルオロプロパ−2−イル。
【0017】
アルケニル: 2〜8個の炭素原子といずれかの位置に1つの二重結合を有している直鎖又は分枝鎖の不飽和炭化水素ラジカル、例えば、C−C−アルケニル、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−1−ブテニル、2−メチル−1−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−1−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−1−ペンテニル、2−メチル−1−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、4−メチル−1−ペンテニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1−メチル−3−ペンテニル、2−メチル−3−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−1−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−1−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、3,3−ジメチル−1−ブテニル、3,3−ジメチル−2−ブテニル、1−エチル−1−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル、1−エチル−2−メチル−1−プロペニル、及び、1−エチル−2−メチル−2−プロペニル。
【0018】
アルキニル: 2〜8個の炭素原子といずれかの位置に1つの三重結合を有している直鎖又は分枝鎖の炭化水素ラジカル、例えば、C−C−アルキニル、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、3−メチル−1−ブチニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル、1−エチル−2−プロピニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、1−メチル−4−ペンチニル、2−メチル−3−ペンチニル、2−メチル−4−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、3−メチル−4−ペンチニル、4−メチル−1−ペンチニル、4−メチル−2−ペンチニル、1,1−ジメチル−2−ブチニル、1,1−ジメチル−3−ブチニル、1,2−ジメチル−3−ブチニル、2,2−ジメチル−3−ブチニル、3,3−ジメチル−1−ブチニル、1−エチル−2−ブチニル、1−エチル−3−ブチニル、2−エチル−3−ブチニル、及び、1−エチル−1−メチル−2−プロピニル。
【0019】
シクロアルキル: 3〜8の炭素環員を有している単環式飽和炭化水素基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及び、シクロオクチル。
【0020】
シクロアルケニル: 少なくとも1の二重結合を有する4〜8の炭素環員を有している単環式非芳香族炭化水素基、例えば、シクロペンテン−1−イル、シクロヘキセン−1−イル、シクロヘプタ−1,3−ジエン−1−イル。
【0021】
ヘテロシクリル/ヘタリール: 最大で4個までの窒素原子を含んでいるか又は1個の窒素原子とN、O及びSから選択される最大で2個までのさらなるヘテロ原子を含んでいる、置換されていないか又は置換されている、不飽和若しくは完全に飽和している若しくは部分的に飽和している5員〜7員のヘテロ環式環、又は、不飽和若しくは完全に飽和している若しくは部分的に飽和している3員〜8員のヘテロ環式環、例えば、オキシラニル、アジリジニル、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチエニル、3−テトラヒドロチエニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、3−イソオキサゾリジニル、4−イソオキサゾリジニル、5−イソオキサゾリジニル、3−イソチアゾリジニル、4−イソチアゾリジニル、5−イソチアゾリジニル、3−ピラゾリジニル、4−ピラゾリジニル、5−ピラゾリジニル、2−オキサゾリジニル、4−オキサゾリジニル、5−オキサゾリジニル、2−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、5−チアゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、1,2,4−オキサジアゾリジン−3−イル、1,2,4−オキサジアゾリジン−5−イル、1,2,4−チアジアゾリジン−3−イル、1,2,4−チアジアゾリジン−5−イル、1,2,4−トリアゾリジン−3−イル、1,3,4−オキサジアゾリジン−2−イル、1,3,4−チアジアゾリジン−2−イル、1,3,4−トリアゾリジン−2−イル、2,3−ジヒドロフラ−2−イル、2,3−ジヒドロフラ−3−イル、2,4−ジヒドロフラ−2−イル、2,3−ジヒドロチエン−2−イル、2,3−ジヒドロチエン−3−イル、2,4−ジヒドロチエン−2−イル、2−ピロリン−2−イル、2−ピロリン−3−イル、3−ピロリン−2−イル、3−ピロリン−3−イル、2−イソオキサゾリン−3−イル、3−イソオキサゾリン−3−イル、4−イソオキサゾリン−3−イル、2−イソオキサゾリン−4−イル、3−イソオキサゾリン−4−イル、4−イソオキサゾリン−4−イル、2−イソオキサゾリン−5−イル、3−イソオキサゾリン−5−イル、4−イソオキサゾリン−5−イル、2−イソチアゾリン−3−イル、3−イソチアゾリン−3−イル、4−イソチアゾリン−3−イル、2−イソチアゾリン−4−イル、3−イソチアゾリン−4−イル、4−イソチアゾリン−4−イル、2−イソチアゾリン−5−イル、3−イソチアゾリン−5−イル、4−イソチアゾリン−5−イル、2,3−ジヒドロピラゾール−1−イル、2,3−ジヒドロピラゾール−2−イル、2,3−ジヒドロピラゾール−3−イル、2,3−ジヒドロピラゾール−4−イル、2,3−ジヒドロピラゾール−5−イル、3,4−ジヒドロピラゾール−1−イル、3,4−ジヒドロピラゾール−3−イル、3,4−ジヒドロピラゾール−4−イル、3,4−ジヒドロピラゾール−5−イル、4,5−ジヒドロピラゾール−1−イル、4,5−ジヒドロピラゾール−3−イル、4,5−ジヒドロピラゾール−4−イル、4,5−ジヒドロピラゾール−5−イル、2,3−ジヒドロオキサゾール−2−イル、2,3−ジヒドロオキサゾール−3−イル、2,3−ジヒドロオキサゾール−4−イル、2,3−ジヒドロオキサゾール−5−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−2−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−3−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−4−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−5−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−2−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−3−イル、3,4−ジヒドロオキサゾール−4−イル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、1,3−ジオキサン−5−イル、2−テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロチエニル、3−ヘキサヒドロピリダジニル、4−ヘキサヒドロピリダジニル、2−ヘキサヒドロピリミジニル、4−ヘキサヒドロピリミジニル、5−ヘキサヒドロピリミジニル、2−ピペラジニル、1,3,5−ヘキサヒドロトリアジン−2−イル、及び、1,2,4−ヘキサヒドロトリアジン−3−イル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、及び、1,3,4−トリアゾール−2−イル、1−ピロリル、1−ピラゾリル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,3,4−トリアゾール−1−イル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イル、及び、1,2,4−トリアジン−3−イル。
【発明を実施するための形態】
【0022】
驚くべきことに、本発明の調製方法によって、式(II)で表される化合物を以前から知られている調製方法と比較して良好な選択性及び高い収量で調製することが可能である。
【0023】
本発明の調製方法における反応に関して使用される溶媒は、水、及び、塩化水素又は臭化水素の水溶液である。
【0024】
本発明の調製方法におけるジアゾ化に関して使用される塩化水素又は臭化水素の量は、広い範囲内で変えることができる。使用される量は、少なくとも、亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムの存在下において式(I)で表されるアニリンを完全にジアゾ化するために既知調製方法によって必要とされる量である。
【0025】
本発明の調製方法の第一段階にけるジアゾ化のための亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムの量は、ちょうど必要とされる量以下の量が使用されるように既知方法によって選択されるか、又は、僅かに過剰な量であり、これは、ジアゾ化の完了後、既知方法で、例えば、スルファミン酸を添加することによって再度除去される。
【0026】
該ジアゾ化は、既知方法で、−20〜+60℃の温度で実施することができる。−10〜+30℃の温度が好ましい。
【0027】
本発明の調製方法の第一段階の反応時間は、1〜6時間である。
【0028】
本発明の調製方法の第二段階では、ジアゾニウム塩は、鉄(II)塩又は鉄(III)塩の存在下において、式(II)で表されるクロロ芳香族化合物又はブロモ芳香族化合物に変換される。
【0029】
本発明の調製方法における使用に関して、鉄(II)化合物又は鉄(III)化合物の量は重要ではない。例えば、アニリン1モル当たり、0.005〜2molの鉄(II)化合物又は鉄(III)化合物を使用することが可能である。好ましくは、アニリン1モル当たり、0.01〜1molである。特に好ましくは、アニリン1モル当たり、0.05〜0.75molである。
【0030】
鉄(II)化合物又は鉄(III)化合物の例としては、以下のものを挙げることができる: 硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、フッ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、酢酸鉄(II)、プロピオン酸鉄(II)、ステアリン酸鉄(II)、スルファミン酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、グルコン酸鉄(II)、鉄(II)アセチルアセトネート、鉄(III)アセチルアセトネート、硝酸鉄(III)、リン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(III)、酸化鉄(II,III)、及び、酸化鉄(III)。硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)及び臭化鉄(III)が好ましい。
【0031】
これら鉄化合物の一覧は、何れの場合にも、存在する水和物形態も意味する。
【0032】
本発明の調製方法の第二段階において、当該ジアゾニウム塩の塩素化合物又は臭素化合物への最大の変換を達成するために、ジアゾ化において使用される塩化水素又は臭化水素に加えて、付加的な量の塩化水素又は臭化水素を使用することは、有利であり得る。
【0033】
塩化水素又は臭化水素の代わりに、ここで、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物又は臭化物を使用することも可能である。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物又は臭化物の例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム及び臭化マグネシウムなどを挙げることができる。
【0034】
塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム及び臭化カリウムが好まし。
【0035】
本発明の調製方法の第二段階において付加的に使用される塩化物又は臭化物の量は、広い範囲内で変えることができる。それらは、典型的には、式(I)で表されるアニリン1モル当たり、0〜20mol、好ましくは、式(I)で表されるアニリン1モル当たり、0.5〜15molである。
【0036】
本発明の調製方法の第二段階に関して使用される溶媒は、好ましくは、水である。水の量は、それぞれの場合において使用される塩化物若しくは臭化物の量及び溶解度に左右されるか、又は、使用される塩化水素水溶液又は臭化水素水溶液の濃度に起因する。一般に、高い空時収量は、この水の量をできるだけ少なくするように選択することによって達成される。
【0037】
本発明の調製方法の第二段階は、20〜120℃の温度で実施する。30〜100℃の温度が好ましい。
【0038】
本発明の調製方法の第二段階の反応時間は、1〜6時間である。
【0039】
式(II)で表される化合物を調製するための本発明の調製方法は、好ましくは、当該段階が中間体を単離することなく連続して実施されるように構成される。
【0040】
本発明の調製方法による式(II)の化合物の調製について、以下の調製実施例によって例証する。
【実施例】
【0041】
実施例1
4−クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン
【0042】
【化2】

65mLの48%水性HBrを最初に入れ、それに、15.56g[0.1mol]の4−クロロ−2,6−ジメチルアニリンを何回かに分けて添加する。得られた粘性が高い懸濁液を80℃で5分間撹拌する。次いで、それを−10℃まで冷却し、8g[0.116mol]のNaNOを35mLの水に溶解させた溶液を、温度が−5℃を超えないような速度で約40分間以内で滴下して加える。80mgのスルファミン酸を添加する。次いで、該ジアゾニウム塩の懸濁液を−10℃まで冷却し、それを、28.6g[0.103mol]のFeSO×7HOを65mLの62%水性HBrに溶解させて80℃まで加熱した溶液に約25分以内で計量供給する。次いで、その反応混合物を80℃でさらに1時間撹拌し、室温まで冷却し、125mLの水と混合させる。相を分離させ、その水相を毎回50mLの塩化メチレンで3回抽出する。その有機相を合して毎回25mLの水で2回洗浄し、脱水し、減圧下に濃縮する。これにより、17.2gの油状物が得られ、これは、GCによれば、95.6%の4−クロロ−2,6ジメチルブロモベンゼン(理論値の75%)を含んでいる。
【0043】
実施例2
4−クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン
手順は、わずかに13.9g[0.05mol]のFeSO×7HOを使用する以外は、実施例1と同様である。これにより、19.7gの油状物が得られ、これは、GCによれば、97.7%の4クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン(理論値の87%)を含んでいる。
【0044】
実施例3
4−クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン
手順は、わずかに6.95g[0.025mol]のFeSO×7HOを使用する以外は、実施例1と同様である。これにより、20.7gの油状物が得られ、これは、GCによれば、97.1%の4クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン(理論値の91%)を含んでいる。
【0045】
実施例4
4−クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン
手順は、わずかに3.475g[0.0125mol]のFeSO×7HOを使用する以外は、実施例1と同様である。これにより、21.5gの油状物が得られ、これは、GCによれば、92%の4クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン(理論値の90%)を含んでいる。
【0046】
実施例5
4−クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン
手順は、わずかに1.668g[0.006mol]のFeSO×7HOを使用する以外は、実施例1と同様である。これにより、21.4gのの油状物が得られ、これは、GCによれば、84.8%の4クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン(理論値の83%)を含んでいる。
【0047】
比較例1
4−クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン
75mLの48%水性HBrを最初に入れ、それに、19.67g[0.12mol]の4−クロロ−2,6−ジメチルアニリンを何回かに分けて添加する。得られた粘性が高い懸濁液を80℃で15分間撹拌する。次いで、その混合物を−10℃まで冷却し、9.6g[0.139mol]のNaNOを45mLの水に溶解させた溶液を、温度が−5℃を超えないような速度で約1時間以内で滴下して加える。100mgのスルファミン酸を添加する。次いで、該ジアゾニウム塩の懸濁液を−10℃まで冷却し、それを、17.93g[0.125mol]のCu(I)Brを75mLの62%水性HBrに溶解させて80℃まで加熱した溶液の中に約35分以内で計量添加する。次いで、その反応混合物を80℃でさらに1時間撹拌し、室温まで冷却し125mLの水と混合させる。相を分離させ、その水相を毎回50mLの塩化メチレンで3回抽出する。その有機相を合して毎回25mLの水で2回洗浄し、脱水し、減圧下に濃縮する。これにより、20.2gの油状物が得られ、これは、GCによれば、95.5%の4−クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン(理論値の73%)を含んでいる。
【0048】
比較例2
4−クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン
手順は、わずかに8.607g[0.06mol]のCu(I)Brを使用する以外は、比較例1と同様である。これにより、23.6gの油状物が得られ、これは、GCによれば、81.9%の4−クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン(理論値の73%)を含んでいる。
【0049】
比較例3
4−クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン
手順は、わずかに4.304g[0.03mol]のCu(I)Brを使用する以外は、比較例1と同様である。これにより、23.7gの油状物が得られ、これは、GCによれば、82%の4−クロロ−2,6−ジメチルブロモベンゼン(理論値の74%)を含んでいる。
【0050】
実施例6
2,6−ジエチル−4−メチルブロモベンゼン
【0051】
【化3】

【0052】
65mLの48%水性HBrを最初に入れ、それに、16.33g[0.1mol]の2,6−ジエチル−4−メチルアニリンを何回かに分けて添加する。得られた粘性が高い懸濁液を80℃で15分間撹拌する。次いで、それを−10℃まで冷却し、8g[0.116mol]のNaNOを35mLの水に溶解させた溶液を、温度が−5℃を超えないような速度で約1時間以内で滴下して加える。80mgのスルファミン酸を添加する。次いで、該ジアゾニウム塩の懸濁液を−10℃まで冷却し、それを、13.9g[0.05mol]のFeSO×7HOを65mLの62%水性HBrに溶解させて80℃まで加熱した溶液に約30分以内で計量供給する。次いで、その反応混合物を80℃でさらに1時間撹拌し、室温まで冷却し、125mLの水と混合させる。相を分離させ、その水相を毎回50mLの塩化メチレンで3回抽出する。その有機相を合して毎回25mLの水で2回洗浄し、脱水し、減圧下に濃縮する。これにより、21.3gの油状物が得られ、これは、GCによれば、94.6%の2,6−ジエチル−4−メチルブロモベンゼン(理論値の89%)を含んでいる。
【0053】
実施例7
2,6−ジエチル−4−メチルブロモベンゼン
手順は、当該調製方法の第二段階において、臭化水素酸の代わりに7.5g[0.75mol]のNaBrを70mLの水に溶解させた溶液を使用する以外は、実施例6と同様である。これにより、21.9gの油状物が得られ、これは、GCによれば、93.3%の2,6−ジエチル−4−メチルブロモベンゼン(理論値の90%)を含んでいる。
【0054】
実施例8
2,6−ジメチルブロモベンゼン
【0055】
【化4】

【0056】
65mLの48%水性HBrを最初に入れ、それに、12.12g[0.1mol]の2,6−ジメチルアニリンを何回かに分けて添加する。得られた粘性が高い懸濁液を80℃で15分間撹拌する。次いで、それを−10℃まで冷却し、8g[0.116mol]のNaNOを35mLの水に溶解させた溶液を、温度が−5℃を超えないような速度で約1時間以内で滴下して加える。80mgのスルファミン酸を添加する。次いで、該ジアゾニウム塩の懸濁液を−10℃まで冷却し、それを、13.9g[0.05mol]のFeSO×7HOを65mLの62%水性HBrに溶解させて80℃まで加熱した溶液に約30分以内で計量供給する。次いで、その反応混合物を80℃でさらに1時間撹拌し、室温まで冷却し、125mLの水と混合させる。相を分離させ、その水相を毎回50mLの塩化メチレンで3回抽出する。その有機相を合して毎回25mLの水で2回洗浄し、脱水し、減圧下に濃縮する。これにより、17.4gの油状物が得られ、これは、GCによれば、83%の2,6−ジメチルメチルブロモベンゼン(理論値の78%)を含んでいる。
【0057】
比較例4
2,6−ジメチルブロモベンゼン
【0058】
【化5】

【0059】
125mLの48%水性HBrを最初に入れ、それに、24.24g[0.2mol]の2,6−ジメチルアニリンを何回かに分けて添加する。得られた粘性が高い懸濁液を80℃で15分間撹拌する。次いで、それを−10℃まで冷却し、16g[0.232mol]のNaNOを70mLの水に溶解させた溶液を、温度が−5℃を超えないような速度で約1時間以内で滴下して加える。160mgのスルファミン酸を添加する。次いで、該ジアゾニウム塩の懸濁液を−10℃まで冷却し、それを、31.6g[0.22mol]のCu(I)Brを130mLの62%水性HBrに溶解させて60℃まで加熱した溶液に約45分以内で計量供給する。次いで、その反応混合物を80℃でさらに1時間撹拌し、室温まで冷却し、250mLの水と混合させる。相を分離させ、その水相を毎回100mLの塩化メチレンで3回抽出する。その有機相を合して毎回50mLの水及び飽和水性NaCl溶液で洗浄し、脱水し、減圧下に濃縮する。これにより、33.3gの油状物が得られ、これは、GCによれば、75.6%の2,6−ジメチルメチルブロモベンゼン(理論値の68%)を含んでいる。
【0060】
実施例9
2,6−ジエチル−4−メチルクロロベンゼン
【0061】
【化6】

【0062】
65mLの36%水性HClを最初に入れ、それに、16.33g[0.1mol]の2,6−ジエチル−4−メチルアニリンを何回かに分けて添加する。得られた粘性が高い懸濁液を65℃で5分間撹拌する。次いで、それを−10℃まで冷却し、8g[0.116mol]のNaNOを35mLの水に溶解させた溶液を、温度が−5℃を超えないような速度で約1時間以内で滴下して加える。80mgのスルファミン酸を添加する。次いで、該ジアゾニウム塩の懸濁液を−10℃まで冷却し、それを、13.9g[0.05mol]のFeSO×7HOを65mLの36%水性HClに溶解させて70℃まで加熱した溶液に約30分以内で計量供給する。次いで、その反応混合物を65−75℃でさらに1時間撹拌し、室温まで冷却し、200mLの水と混合させる。相を分離させ、その水相を毎回50mLの塩化メチレンで3回抽出する。その有機相を合して毎回25mLの水で2回洗浄し、脱水し、減圧下に濃縮する。これにより、17.3gの油状物が得られ、これは、GCによれば、87.6%の2,6−ジエチル−4−メチルクロロベンゼン(理論値の83%)を含んでいる。
【0063】
実施例10
2,6−ジエチル−4−メチルクロロベンゼン
【0064】
【化7】

【0065】
65mLの36%水性HClを最初に入れ、それに、16.33g[0.1mol]の2,6−ジエチル−4−メチルアニリンを何回かに分けて添加する。得られた粘性が高い懸濁液を65℃で5分間撹拌する。次いで、それを−10℃まで冷却し、8g[0.116mol]のNaNOを35mLの水に溶解させた溶液を、温度が−5℃を超えないような速度で約1時間以内で滴下して加える。80mgのスルファミン酸を添加する。次いで、該ジアゾニウム塩の懸濁液を−10℃まで冷却し、それを、8.36g[0.05mol]のFeClを65mLの36%水性HClに溶解させて70℃まで加熱した溶液に約30分以内で計量供給する。次いで、その反応混合物を65−75℃でさらに1時間撹拌し、室温まで冷却し、200mLの水と混合させる。相を分離させ、その水相を毎回50mLの塩化メチレンで3回抽出する。その有機相を合して毎回25mLの水で2回洗浄し、脱水し、減圧下に濃縮する。これにより、18.1gの油状物が得られ、これは、GCによれば、89%の2,6−ジエチル−4−メチルクロロベンゼン(理論値の88%)を含んでいる。
【0066】
実施例11
2,6−ジエチル−4−メチルクロロベンゼン
【0067】
【化8】

【0068】
65mLの36%水性HClを最初に入れ、それに、16.33g[0.1mol]の2,6−ジエチル−4−メチルアニリンを何回かに分けて添加する。得られた粘性が高い懸濁液を50℃で5分間撹拌する。次いで、それを−10℃まで冷却し、8g[0.116mol]のNaNOを35mLの水に溶解させた溶液を、温度が−5℃を超えないような速度で約1時間以内で滴下して加える。80mgのスルファミン酸を添加する。次いで、該ジアゾニウム塩の懸濁液を−10℃まで冷却し、それを、4.18g[0.025mol]のFeClを65mLの36%水性HClに溶解させて65℃まで加熱した溶液に約30分以内で計量供給する。次いで、その反応混合物を65℃でさらに1時間撹拌し、室温まで冷却し、200mLの水と混合させる。相を分離させ、その水相を毎回50mLの塩化メチレンで3回抽出する。その有機相を合して毎回25mLの水で2回洗浄し、脱水し、減圧下に濃縮する。これにより、17.9gの油状物が得られ、これは、GCによれば、93.1%の2,6−ジエチル−4−メチルクロロベンゼン(理論値の91%)を含んでいる。
【0069】
実施例12
2,6−ジエチル−4−メチルクロロベンゼン
手順は、第二段階において、塩酸の代わりに7.85g[0.785mol]のLiClを40mLの水に溶解させた溶液を使用する以外は、実施例10と同様である。これにより、17gの油状物が得られ、これは、GCによれば、90.3%の2,6−ジエチル−4−メチルクロロベンゼン(理論値の84%)を含んでいる。
【0070】
実施例13
2−イソプロピルブロモベンゼン
【0071】
【化9】

【0072】
65mLの48%水性HBrを最初に入れ、それに、13.5g[0.1mol]の2−イソプロピルアニリンを何回かに分けて添加する。得られた粘性が高い懸濁液を80℃で15分間撹拌する。次いで、それを−10℃まで冷却し、8g[0.116mol]のNaNOを35mLの水に溶解させた溶液を、温度が−5℃を超えないような速度で約1時間以内で滴下して加える。80mgのスルファミン酸を添加する。次いで、該ジアゾニウム塩の粘性が低い懸濁液を−10℃まで冷却し、それを、13.9g[0.05mol]のFeSO×7HOを65mLの62%水性HBrに溶解させて70℃まで加熱した溶液に約30分以内で計量供給する。次いで、その反応混合物をそれ以上加熱することなくさらに1時間撹拌し、室温まで冷却し、125mLの水と混合させる。相を分離させ、その水相を毎回50mLの塩化メチレンで3回抽出する。その有機相を合して毎回25mLの水で2回洗浄し、脱水し、減圧下に濃縮する。これにより、18.75gの油状物が得られ、これは、GCによれば、82.3%の2−イソプロピルブロモベンゼン(理論値の77.5%)を含んでいる。
【0073】
比較例5
2−イソプロピルブロモベンゼン
【0074】
【化10】

【0075】
手順は、FeSO×7HOの代わりに7.17g[0.05mol]のCu(I)Brの存在下で反応を実施する以外は、実施例13と同様である。これにより、18.2gの油状物が得られ、これは、GCによれば、65.4%の2−イソプロピルブロモベンゼン(理論値の65.4%)を含んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化1】

〔式中、
Xは、塩素又は臭素であり;
、R及びRは、同一であるか又は異なっていて、独立して、水素、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、場合により置換されていてもよいC−C−シクロアルキル若しくはC−C−シクロアルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、場合により置換されていてもよいフェニル、フェノキシ、ヘテロシクリル若しくはヘタリール、又は、シアノ、C−C−アルキルアミノ若しくはジ(C−C−アルキル)アミノであり;
は、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、場合により置換されていてもよいC−C−シクロアルキル若しくはC−C−シクロアルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、場合により置換されていてもよいフェニル、フェノキシ、ヘテロシクリル若しくはヘタリール、又は、シアノ、C−C−アルキルアミノ若しくはジ(C−C−アルキル)アミノであり;
nは、0、1又は2である〕
で表される化合物を調製する方法であって、式(I)
【化2】

〔式中、R、R、R、R及びnは、それぞれ、上記で定義されているとおりである〕
で表される化合物を、水性塩酸又は水性臭化水素酸の存在下で亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムを用いて、ジアゾ化し、次いで、鉄(II)化合物又は鉄(III)化合物を添加し及び場合により追加量の塩化水素若しくは臭化水素又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩化物若しくは臭化物を添加することにより、変換することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
Xが、塩素又は臭素であり;
、R及びRが、同一であるか又は異なっていて、独立して、水素、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、場合により置換されていてもよいC−C−シクロアルキル若しくはC−C−シクロアルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、場合により置換されていてもよいフェニル、フェノキシ、ヘテロシクリル若しくはヘタリール、又は、シアノ、C−C−アルキルアミノ若しくはジ(C−C−アルキル)アミノであり;
が、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、場合により置換されていてもよいC−C−シクロアルキル若しくはC−C−シクロアルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、場合により置換されていてもよいフェニル、フェノキシ、ヘテロシクリル若しくはヘタリール、又は、シアノ、C−C−アルキルアミノ若しくはジ(C−C−アルキル)アミノであり;
nが、0、1又は2である;
請求項1に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項3】
Xが、塩素又は臭素であり;
、R及びRが、同一であるか又は異なっていて、独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、場合により置換されていてもよいシクロプロピル若しくはシクロペンチル、C−C−アルコキシ、場合により置換されていてもよいフェニル若しくはフェノキシ、又は、シアノであり;
が、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、場合により置換されていてもよいシクロプロピル若しくはシクロペンチル、C−C−アルコキシ、場合により置換されていてもよいフェニル若しくはフェノキシ、又は、シアノであり;
nが、0又は1である;
請求項1に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項4】
Xが、塩素又は臭素であり;
、R及びRが、同一であるか又は異なっていて、独立して、水素、塩素、臭素、メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル又はシクロプロピルであり;
が、塩素、臭素、メチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル又はシクロプロピルであり;
nが、0又は1である;
請求項1に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項5】
Xが、塩素又は臭素であり;
が、C−C−アルキルであり;
が、水素、C−C−アルキル又はハロゲンであり;
が、水素又はC−C−アルキルであり;
nが、0である;
請求項1に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項6】
前記鉄(II)化合物又は鉄(III)化合物を化学量論的な量より少ない量で使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記鉄(II)化合物又は鉄(III)化合物を式(I)で表されるアニリン1モル当たり0.01〜1molの量で使用することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記鉄(II)化合物又は鉄(III)化合物を式(I)で表されるアニリン1モル当たり0.05〜0.75molの量で使用することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
使用される前記鉄化合物が、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、フッ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、酢酸鉄(II)、プロピオン酸鉄(II)、ステアリン酸鉄(II)、スルファミン酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、グルコン酸鉄(II)、鉄(II)アセチルアセトネート、鉄(III)アセチルアセトネート、硝酸鉄(III)、リン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(III)、酸化鉄(II,III)、酸化鉄(III)であるか、又は、存在する場合には、特定の水和物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
使用される前記鉄化合物が、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、又は、存在する場合には、特定の水和物であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第二段階において使用される付加的な塩化物源又は臭化物源がアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物又は臭化物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム又は臭化マグネシウムを使用することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第二段階において使用される付加的な塩化物源又は臭化物源が塩化水素又は臭化水素であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
銅塩は使用しない、請求項1〜13に記載の方法。

【公表番号】特表2012−520243(P2012−520243A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553334(P2011−553334)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001395
【国際公開番号】WO2010/102761
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】