クローポール型ロータ
【課題】構造を簡素化し、ステータへの供給磁束を増加する。
【解決手段】第1のクローポール鉄心20と第2のクローポール鉄心30との間の環形状の空洞に、回転軸方向に磁化した円環状の永久磁石40を嵌合・固定している。これにより、爪部22,32がN極またはS極となる。さらに、爪部22,32の先端に、径方向に磁化された永久磁石50,60を備えることにより、漏れ磁束の低減を図っている。
【解決手段】第1のクローポール鉄心20と第2のクローポール鉄心30との間の環形状の空洞に、回転軸方向に磁化した円環状の永久磁石40を嵌合・固定している。これにより、爪部22,32がN極またはS極となる。さらに、爪部22,32の先端に、径方向に磁化された永久磁石50,60を備えることにより、漏れ磁束の低減を図っている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクローポール型ロータに関し、構造を簡素化できると共に、ステータへの供給磁束を増加でき、モータとして組み立てたときに高トルクを発生できるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高トルクモータの代表格として、IPM(Interior Permanent Magnet:埋め込み磁石式)モータがある。IPMモータでは、ロータにおいてリラクタンストルクとマグネットトルクとを発生させる磁束を磁極に通すように、磁極部に、主として希土類磁石による永久磁石を収納して構成されている。
【0003】
この種のモータのロータとしては、例えば、ロータ構造の周方向に沿う1/4の部分を表す図11に示すように、薄板を軸方向に積層したロータコア1と、このロータコア1に所定ピッチで設けた矩形の永久磁石挿入穴2と、この永久磁石挿入穴2に挿入する永久磁石3よりなる永久磁石形同期回転電機のロータにおいて、永久磁石挿入穴2を1極ピッチおきに設け、径方向の磁極を同一とした永久磁石3を挿入し、永久磁石形同期回転電機のロータを構成する。
【0004】
しかし、従来のモータにおいて、ロータに高トルクを発生させるためには、一般的に永久磁石として希土類磁石が用いられるが、希土類磁石は高価であるという問題がある。
そこで、安価なフェライト磁石に置き換えることが考えられるが、残留磁束密度の小さいフェライト磁石では十分なトルクが発生できず、また、フェライト磁石は保持力が小さいため、特に弱め界磁制御の際に、ステータからの減磁界が加わった時に不可逆減磁となってトルクが更に低下する恐れがあった。
【0005】
また、ロータに永久磁石を備えたロータとしては、下記特許文献1,2に示すような、クローポール型ロータがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭11―341763号公報
【特許文献2】特開2010―213455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、ブラケットに固定された直流界磁巻線を、ギャップを介してクローポール鉄心に内蔵する構造が示されている。
しかしこの構造では、モータ駆動装置とは別に直流電力の供給装置が必要となり、システム全体が大型化する課題がある。また、直流界磁巻線に損失が発生し、効率低下を招くという問題もある。
【0008】
特許文献2には、クローポール鉄心に、回転軸方向に磁化された界磁用の永久磁石を内蔵し、無極性のクローポール鉄心を備えることで、マグネットトルクとリラクタンストルクを併用する構造が示されている。
しかしこの構造では、回転軸方向に磁化された永久磁石の漏れ磁束を減らすため、クローポール鉄心の爪部を永久磁石から径方向に遠ざける必要があり、ロータの外径寸法が大きくなるという問題がある。また、回転軸方向に磁化された永久磁石の漏れ磁束を減らすため、回転軸方向に磁化された永久磁石の外径を小さくしたとすると、磁束量が減ってマグネットトルクが減る、という問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来技術に鑑み、簡素な構造でステータへの供給磁束を増加できる、クローポール型ロータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の構成は、
中心部に回転軸が挿通するための穴が形成された円環状をなし、回転軸方向に磁化されて、一方の端面がN極またはS極のうちの一方の磁極となり、他方の端面がN極またはS極のうちの他方の磁極となっている永久磁石と、
前記一方の端面に当接する円環板部と、前記円環板部の周縁の複数箇所に配置されており配置個所から回転軸方向に沿い前記他方の端面に向かって伸びる複数の爪部とを備えた第1のクローポール鉄心と、
前記他方の端面に当接する円環板部と、前記円環板部の周縁の複数箇所に配置されており配置個所から回転軸方向に沿い前記一方の端面に向かって伸び、しかも周方向位置は前記第1のクローポール鉄心の爪部の間に位置する複数の爪部とを備えた第2のクローポール鉄心と、
第1のクローポール鉄心の各爪部と第2のクローポール鉄心の円環板部の周面との間にそれぞれ配置されており、径方向に磁化されて、外周側がN極またはS極のうちの一方の磁極となり、内周側がN極またはS極のうちの他方の磁極となっている永久磁石と、
第2のクローポール鉄心の各爪部と第1のクローポール鉄心の円環板部の周面との間にそれぞれ配置されており、径方向に磁化されて、外周側がN極またはS極のうちの他方の磁極となり、内周側がN極またはS極のうちの一方の磁極となっている永久磁石と、
を有することを特徴とする。
【0011】
また本発明の構成は、回転軸方向に磁化された前記永久磁石及び径方向に磁化された前記各永久磁石は、全てがフェライト磁石であること、または、全てが希土類磁石であること、
または、回転軸方向に磁化された前記永久磁石はフェライト磁石であり、径方向に磁化された前記各永久磁石は希土類磁石であることを特徴とする。
【0012】
また本発明の構成は、前記のいずれかのクローポール型ロータが、回転軸方向に複数個ならんで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回転軸方向に磁化された永久磁石により、第1および第2のクローポール鉄心の爪部をN極およびS極に磁化でき、しかも、回転軸方向に磁化された永久磁石は円環状の大寸法とすることができるため、ステータへ大量の磁束の供給が可能となる。
【0014】
また、クローポール鉄心の爪部の先端に、径方向に磁化された永久磁石を配置することで、漏れ磁束を低減するとともに、回転軸方向に磁化された永久磁石の磁束と合わせて、ステータへ供給される磁束量を更に増大させることができ、残留磁束密度の小さいフェライト磁石を用いても、従来の希土類磁石を用いた従来の回転機と同等の磁束量を確保することができる。
【0015】
また、本発明のクローポール型ロータを、回転軸方向に複数個並べ、回転軸方向に磁化された永久磁石の表面積が最大となるように構成すれば、ステータへ供給できる磁束量を最大化することができる。
【0016】
また、本発明のクローポール型ロータにおいて、回転軸方向に磁化された永久磁石をフェライト磁石、径方向に磁化された永久磁石を希土類磁石で構成すれば、希土類磁石量は、従来の希土類磁石を用いたIPMモータより40%削減でき、従来の希土類磁石を用いたIPMモータよりもステータへ大量の磁束の供給が可能となる。
さらに、回転軸方向に磁化された永久磁石も希土類磁石とすれば、より高トルクのクローポール型モータを実現することすることができる。
【0017】
更に、永久磁石として、樹脂にネオジウム等の希土類磁石の粉末を混合した安価なボンド系磁石を採用した場合には、永久磁石をフェライト磁石とした場合と同様に、磁石コストが低減するので、クローポール型モータのコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係るクローポール型ロータを示す斜視図。
【図2】本発明の実施例に係るクローポール型ロータを示す分解斜視図。
【図3】クローポール鉄心における漏れ磁束の状態を示し、図3(a)は径方向に磁化された磁石が無い場合、図3(b)は径方向に磁化された磁石を備えた場合の状態を示す状態図。
【図4】本発明の実施例に係る2段構成の複合クローポール型ロータを示す構成図。
【図5】第1の検討・比較例を示す構成図であり、図5(a)は、全ての永久磁石をフェライト磁石とした2段構成の複合クローポール型ロータを示し、図5(b)は、径方向に磁化された永久磁石をなくした2段構成の複合クローポール型ロータを示す構成図。
【図6】第1の検討・比較例におけるギャップの磁束密度を示す特性図。
【図7】第2の検討・比較例を示す2段構成の複合クローポール型ロータを示す構成図。
【図8】第2の検討・比較例におけるギャップの磁束密度を示す特性図。
【図9】第3の検討・比較例を示す構成図であり、図9(a)は、1段構成のクローポール型ロータを示し、図9(b)は、2段構成の複合クローポール型ロータを示す構成図。
【図10】第3の検討・比較例におけるギャップの磁束密度を示す特性図。
【図11】永久磁石形同期回転電機の従来のロータを示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
図1は本発明の実施例に係るクローポール型ロータ10を示す斜視図であり、図2はその分解斜視図である。なお、図1,図2において、回転軸方向を細線矢印Aで示している。また、図2において、各永久磁石の磁化方向を、太線矢印で示している。
【0021】
このクローポール型ロータ10は8極のロータであり、第1のクローポール鉄心20と第2のクローポール鉄心30との間の環形状の空洞に、界磁用の永久磁石40を嵌合・固定して構成されている。
【0022】
永久磁石40は、中心部に回転軸(図示省略)が挿通する穴41が形成された円環状をなしている。この永久磁石40は、回転軸方向に磁化されており、一方の端面(例えば図1,図2において上側のリング状の端面)は、N極の磁極になっており、他方の端面(例えば図1,図2において下側のリング状の端面)は、S極の磁極になっている。
【0023】
第1のクローポール鉄心20は、円環板部21と、4つの爪部22を一体的に備えている。
円環板部21は、中心部に回転軸(図示省略)が挿通する穴21aが形成された円環状をなしており、永久磁石40の一方の端面(例えば図1,図2において上側のリング状の端面)に当接する。穴21aは、永久磁石40の穴41に合わせた位置に形成されている。
爪部22は、円環板部21の周縁の4箇所に均等間隔を明けて配置されている。4つの各爪部22は、円環板部21の周縁の配置位置から、回転軸方向に沿い、永久磁石40の一方の端面から他方の端面に向かって(下側に向かって)伸びている。しかも、4つの爪部22は、永久磁石40の外周面に対して、間隔を明けつつ外周側に位置している。
【0024】
第2のクローポール鉄心30は、円環板部31と、4つの爪部32を一体的に備えている。
円環板部31は、中心部に回転軸(図示省略)が挿通する穴31aが形成された円環状をなしており、永久磁石40の他方の端面(例えば図1,図2において下側のリング状の端面)に当接する。穴31aは、永久磁石40の穴41に合わせた位置に形成されている。
爪部32は、円環板部31の周縁の4箇所に均等間隔を明けて配置されている。4つの各爪部32は、円環板部31の周縁の配置位置から、回転軸方向に沿い、永久磁石40の他方の端面から一方の端面に向かって(上側に向かって)伸びている。しかも、4つの爪部32は、永久磁石40の外周面に対して、間隔を明けつつ外周側に位置している。
【0025】
周方向位置に関しては、第1のクローポール鉄心20の爪部22の間の位置に、第2のクローポール鉄心30の爪部32が位置している。
また、軸方向に関しては、第1のクローポール鉄心20の爪部22の先端面(下端面)が、第2のクローポール鉄心30の円環板部31の下面の位置にまで伸びており、第2のクローポール鉄心30の爪部32の先端面(上端面)が、第1のクローポール鉄心20の円環板部21の上面の位置にまで伸びている。
【0026】
第1のクローポール鉄心20の爪部22の先端部(下端部)の内周面と、第2のクローポール鉄心30の円環板部31の周面との間には、それぞれ、径方向に磁化された漏れ磁束防止用の永久磁石50が配置されている。本例では、各永久磁石50は、外周側がN極の磁極になっており、内周側がS極の磁極になっている。
詳細は後述するが、永久磁石50を配置することにより、漏れ磁束を低減させることができる。
【0027】
第2のクローポール鉄心30の爪部32の先端部(上端部)の内周面と、第1のクローポール鉄心20の円環板部21の周面との間には、それぞれ、径方向に磁化された漏れ磁束防止用の永久磁石60が配置されている。本例では、各永久磁石60は、外周側がS極の磁極になっており、内周側がN極の磁極になっている。
詳細は後述するが、永久磁石60を配置することにより、漏れ磁束を低減させることができる。
【0028】
本実施例では、永久磁石40,50,60として、フェライト磁石を採用することができる。
また、永久磁石40をフェライト磁石とし、永久磁石50,60を希土類磁石とすることもできる。
さらに、永久磁石40,50,60を、全て希土類磁石とすることもできる。
【0029】
このような構成となっているクローポール型ロータ10を、三相巻線が巻装されたステータ内に組み込むことにより、クローポール型の永久磁石形同期電動機を実現することができる。
【0030】
本実施例のクローポール型ロータ10は、回転軸方向に磁化された永久磁石40により、第1のクローポール鉄心20の爪部22をN極に磁化し、第2のクローポール鉄心30の爪部32をS極に磁化する。回転軸方向に磁化された永久磁石40は、環形状で径方向に大寸法とすることができるため、ステータへの大量の磁束の供給が可能となる。
【0031】
また仮に、永久磁石として回転軸方向に磁化された永久磁石40のみを用い、径方向に磁化された永久磁石50,60を用いなかったとすると、図3(a)に示すように、クローポール鉄心20の爪部22の先端で漏れ磁束φlが発生し、ステータへ供給される磁束量が減少してしまう。
同様に、クローポール鉄心30の爪部32の先端でも、漏れ磁束が発生し、ステータへ供給される磁束量が減少してしまう。
【0032】
そこで、本実施例では、図3(b)に示すように、クローポール型ロータ10の爪部22の先端に、径方向に磁化されて外周側がN極となり内周側がS極となっている永久磁石50を配置することで、漏れ磁束φlを低減するとともに、回転軸方向に磁化された永久磁石40の磁束と合わせて、ステータへ供給される磁束量を更に増大させることができる。
同様に、クローポール型ロータ10の爪部32の先端に、径方向に磁化されて外周側がS極となり内周側がN極となっている永久磁石60を配置することで、漏れ磁束を低減するとともに、回転軸方向に磁化された永久磁石40の磁束と合わせて、ステータへ供給される磁束量を更に増大させることができる。
つまり、永久磁石50,60は、永久磁石40の漏れ磁束φlを妨げる方向に磁化されている。
この結果、永久磁石40,50,60として、残留磁束密度の小さいフェライト磁石を用いても、図11の希土類磁石を用いた従来の回転機と同等の磁束量を確保することができる。
【0033】
更に、クローポール型ロータ10を、回転軸方向に複数個並べ、回転軸方向に磁化された永久磁石の表面積が最大となるように構成すれば、ステータへ供給できる磁束量を最大化することができる。
例えば、ロータ構造の周方向に沿う1/4の部分を特に抽出した図4に示すものは、2つのクローポール型ロータ10を、回転軸方向に並べた、2段構成の複合クローポール型ロータである。
【0034】
8極36スロットの従来の希土類磁石を用いたIPMモータと、ステータはIPMモータと同じで、ロータを本発明のクローポール型ロータ10に置き換えた場合の磁界解析を行い、ギャップの磁束密度の検討・比較を行った。
以下に、各種の検討・比較例を示す。
【0035】
[検討・比較例1]
本発明のクローポール型ロータ10において、回転軸方向に磁化された永久磁石40および径方向に磁化された永久磁石50,60として、フェライト磁石を用いたときの構成を図5(a)に、ギャップの磁束密度の比較を図6に示す。なお、径方向に磁化された永久磁石をなくした場合(図5(b))の解析も行った。なお、図5(a),(b)において、フェライト磁石の部分には、符号(f)を付している。
【0036】
従来の希土類磁石を用いたIPMモータのギャップの磁束密度の最大値は約0.8Tに対し、全てフェライト磁石を用いた本発明のクローポール型ロータ10では約0.7Tであり、全てフェライト磁石で構成しても従来の希土類磁石を用いたIPMモータとほぼ同等の磁束密度を得ることができる。
また、本発明のクローポール型ロータの径方向に磁化された永久磁石40,50をなくした場合(図5(b)の構成の場合)のギャップの磁束密度の最大値は約0.5Tであり、径方向に磁化された永久磁石の有用性が確認できた。
【0037】
[検討・比較例2]
本発明のクローポール型ロータ10において、回転軸方向に磁化された永久磁石40をフェライト磁石、径方向に磁化された永久磁石50,60を希土類磁石で構成したときの構成を図7に、ギャップの磁束密度を図8に示す。なお、希土類磁石量は、従来の希土類磁石を用いたIPMモータより40%削減されている。なお、図7において、フェライト磁石の部分には、符号(f)を付し、希土類磁石の部分には、符号(r)を付している。
【0038】
この例では、ギャップの磁束密度の最大値は約1.1Tであり、本発明のクローポール型ロータ10は希土類磁石量を減らして、従来の希土類磁石を用いたIPMモータよりも大きな磁束密度を得ることができる。
更には、回転軸方向に磁化された永久磁石40をも希土類磁石とすれば、より高トルクのクローポール型モータとすることができる。
また、永久磁石として、樹脂にネオジウム等の希土類磁石の粉末を混合した安価なボンド系磁石としても良い。この場合、永久磁石をフェライト磁石とした場合と同様に、磁石コストが低減するので、クローポール型モータのコストを低減させることができる。
【0039】
[検討・比較例3]
本発明のクローポール型ロータ10を、回転軸方向の1段構成とした場合(図9(a))と、回転軸方向の2段構成とした場合(図9(b))の磁界解析を行い、ギャップの磁束密度の比較を行った。なお、永久磁石は全てフェライト磁石とした。ギャップの磁束密度を図10に示す。なお、図9(a),(b)において、フェライト磁石の部分には、符号(f)を付している。
【0040】
図10に示すように、1段構成のギャップの磁束密度の最大値は約0.4Tであり、2段構成よりも小さい。2段構成の方が永久磁石の表面積が大きいためであり、モータの軸方向の寸法によって、回転軸方向に並べるロータの個数を適切に選ぶことで、ステータへ供給できる磁束量を最大化できることがわかる。
【符号の説明】
【0041】
1 ロータコア
2 永久磁石挿入穴
3 永久磁石
10 クローポール型ロータ
20 第1のクローポール鉄心
21 円環板部
21a 穴
22 爪部
30 第2のクローポール鉄心
31 円環板部
31a 穴
32 爪部
40 永久磁石
41 穴
50,60 永久磁石
【技術分野】
【0001】
本発明はクローポール型ロータに関し、構造を簡素化できると共に、ステータへの供給磁束を増加でき、モータとして組み立てたときに高トルクを発生できるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高トルクモータの代表格として、IPM(Interior Permanent Magnet:埋め込み磁石式)モータがある。IPMモータでは、ロータにおいてリラクタンストルクとマグネットトルクとを発生させる磁束を磁極に通すように、磁極部に、主として希土類磁石による永久磁石を収納して構成されている。
【0003】
この種のモータのロータとしては、例えば、ロータ構造の周方向に沿う1/4の部分を表す図11に示すように、薄板を軸方向に積層したロータコア1と、このロータコア1に所定ピッチで設けた矩形の永久磁石挿入穴2と、この永久磁石挿入穴2に挿入する永久磁石3よりなる永久磁石形同期回転電機のロータにおいて、永久磁石挿入穴2を1極ピッチおきに設け、径方向の磁極を同一とした永久磁石3を挿入し、永久磁石形同期回転電機のロータを構成する。
【0004】
しかし、従来のモータにおいて、ロータに高トルクを発生させるためには、一般的に永久磁石として希土類磁石が用いられるが、希土類磁石は高価であるという問題がある。
そこで、安価なフェライト磁石に置き換えることが考えられるが、残留磁束密度の小さいフェライト磁石では十分なトルクが発生できず、また、フェライト磁石は保持力が小さいため、特に弱め界磁制御の際に、ステータからの減磁界が加わった時に不可逆減磁となってトルクが更に低下する恐れがあった。
【0005】
また、ロータに永久磁石を備えたロータとしては、下記特許文献1,2に示すような、クローポール型ロータがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭11―341763号公報
【特許文献2】特開2010―213455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、ブラケットに固定された直流界磁巻線を、ギャップを介してクローポール鉄心に内蔵する構造が示されている。
しかしこの構造では、モータ駆動装置とは別に直流電力の供給装置が必要となり、システム全体が大型化する課題がある。また、直流界磁巻線に損失が発生し、効率低下を招くという問題もある。
【0008】
特許文献2には、クローポール鉄心に、回転軸方向に磁化された界磁用の永久磁石を内蔵し、無極性のクローポール鉄心を備えることで、マグネットトルクとリラクタンストルクを併用する構造が示されている。
しかしこの構造では、回転軸方向に磁化された永久磁石の漏れ磁束を減らすため、クローポール鉄心の爪部を永久磁石から径方向に遠ざける必要があり、ロータの外径寸法が大きくなるという問題がある。また、回転軸方向に磁化された永久磁石の漏れ磁束を減らすため、回転軸方向に磁化された永久磁石の外径を小さくしたとすると、磁束量が減ってマグネットトルクが減る、という問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来技術に鑑み、簡素な構造でステータへの供給磁束を増加できる、クローポール型ロータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の構成は、
中心部に回転軸が挿通するための穴が形成された円環状をなし、回転軸方向に磁化されて、一方の端面がN極またはS極のうちの一方の磁極となり、他方の端面がN極またはS極のうちの他方の磁極となっている永久磁石と、
前記一方の端面に当接する円環板部と、前記円環板部の周縁の複数箇所に配置されており配置個所から回転軸方向に沿い前記他方の端面に向かって伸びる複数の爪部とを備えた第1のクローポール鉄心と、
前記他方の端面に当接する円環板部と、前記円環板部の周縁の複数箇所に配置されており配置個所から回転軸方向に沿い前記一方の端面に向かって伸び、しかも周方向位置は前記第1のクローポール鉄心の爪部の間に位置する複数の爪部とを備えた第2のクローポール鉄心と、
第1のクローポール鉄心の各爪部と第2のクローポール鉄心の円環板部の周面との間にそれぞれ配置されており、径方向に磁化されて、外周側がN極またはS極のうちの一方の磁極となり、内周側がN極またはS極のうちの他方の磁極となっている永久磁石と、
第2のクローポール鉄心の各爪部と第1のクローポール鉄心の円環板部の周面との間にそれぞれ配置されており、径方向に磁化されて、外周側がN極またはS極のうちの他方の磁極となり、内周側がN極またはS極のうちの一方の磁極となっている永久磁石と、
を有することを特徴とする。
【0011】
また本発明の構成は、回転軸方向に磁化された前記永久磁石及び径方向に磁化された前記各永久磁石は、全てがフェライト磁石であること、または、全てが希土類磁石であること、
または、回転軸方向に磁化された前記永久磁石はフェライト磁石であり、径方向に磁化された前記各永久磁石は希土類磁石であることを特徴とする。
【0012】
また本発明の構成は、前記のいずれかのクローポール型ロータが、回転軸方向に複数個ならんで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回転軸方向に磁化された永久磁石により、第1および第2のクローポール鉄心の爪部をN極およびS極に磁化でき、しかも、回転軸方向に磁化された永久磁石は円環状の大寸法とすることができるため、ステータへ大量の磁束の供給が可能となる。
【0014】
また、クローポール鉄心の爪部の先端に、径方向に磁化された永久磁石を配置することで、漏れ磁束を低減するとともに、回転軸方向に磁化された永久磁石の磁束と合わせて、ステータへ供給される磁束量を更に増大させることができ、残留磁束密度の小さいフェライト磁石を用いても、従来の希土類磁石を用いた従来の回転機と同等の磁束量を確保することができる。
【0015】
また、本発明のクローポール型ロータを、回転軸方向に複数個並べ、回転軸方向に磁化された永久磁石の表面積が最大となるように構成すれば、ステータへ供給できる磁束量を最大化することができる。
【0016】
また、本発明のクローポール型ロータにおいて、回転軸方向に磁化された永久磁石をフェライト磁石、径方向に磁化された永久磁石を希土類磁石で構成すれば、希土類磁石量は、従来の希土類磁石を用いたIPMモータより40%削減でき、従来の希土類磁石を用いたIPMモータよりもステータへ大量の磁束の供給が可能となる。
さらに、回転軸方向に磁化された永久磁石も希土類磁石とすれば、より高トルクのクローポール型モータを実現することすることができる。
【0017】
更に、永久磁石として、樹脂にネオジウム等の希土類磁石の粉末を混合した安価なボンド系磁石を採用した場合には、永久磁石をフェライト磁石とした場合と同様に、磁石コストが低減するので、クローポール型モータのコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係るクローポール型ロータを示す斜視図。
【図2】本発明の実施例に係るクローポール型ロータを示す分解斜視図。
【図3】クローポール鉄心における漏れ磁束の状態を示し、図3(a)は径方向に磁化された磁石が無い場合、図3(b)は径方向に磁化された磁石を備えた場合の状態を示す状態図。
【図4】本発明の実施例に係る2段構成の複合クローポール型ロータを示す構成図。
【図5】第1の検討・比較例を示す構成図であり、図5(a)は、全ての永久磁石をフェライト磁石とした2段構成の複合クローポール型ロータを示し、図5(b)は、径方向に磁化された永久磁石をなくした2段構成の複合クローポール型ロータを示す構成図。
【図6】第1の検討・比較例におけるギャップの磁束密度を示す特性図。
【図7】第2の検討・比較例を示す2段構成の複合クローポール型ロータを示す構成図。
【図8】第2の検討・比較例におけるギャップの磁束密度を示す特性図。
【図9】第3の検討・比較例を示す構成図であり、図9(a)は、1段構成のクローポール型ロータを示し、図9(b)は、2段構成の複合クローポール型ロータを示す構成図。
【図10】第3の検討・比較例におけるギャップの磁束密度を示す特性図。
【図11】永久磁石形同期回転電機の従来のロータを示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
図1は本発明の実施例に係るクローポール型ロータ10を示す斜視図であり、図2はその分解斜視図である。なお、図1,図2において、回転軸方向を細線矢印Aで示している。また、図2において、各永久磁石の磁化方向を、太線矢印で示している。
【0021】
このクローポール型ロータ10は8極のロータであり、第1のクローポール鉄心20と第2のクローポール鉄心30との間の環形状の空洞に、界磁用の永久磁石40を嵌合・固定して構成されている。
【0022】
永久磁石40は、中心部に回転軸(図示省略)が挿通する穴41が形成された円環状をなしている。この永久磁石40は、回転軸方向に磁化されており、一方の端面(例えば図1,図2において上側のリング状の端面)は、N極の磁極になっており、他方の端面(例えば図1,図2において下側のリング状の端面)は、S極の磁極になっている。
【0023】
第1のクローポール鉄心20は、円環板部21と、4つの爪部22を一体的に備えている。
円環板部21は、中心部に回転軸(図示省略)が挿通する穴21aが形成された円環状をなしており、永久磁石40の一方の端面(例えば図1,図2において上側のリング状の端面)に当接する。穴21aは、永久磁石40の穴41に合わせた位置に形成されている。
爪部22は、円環板部21の周縁の4箇所に均等間隔を明けて配置されている。4つの各爪部22は、円環板部21の周縁の配置位置から、回転軸方向に沿い、永久磁石40の一方の端面から他方の端面に向かって(下側に向かって)伸びている。しかも、4つの爪部22は、永久磁石40の外周面に対して、間隔を明けつつ外周側に位置している。
【0024】
第2のクローポール鉄心30は、円環板部31と、4つの爪部32を一体的に備えている。
円環板部31は、中心部に回転軸(図示省略)が挿通する穴31aが形成された円環状をなしており、永久磁石40の他方の端面(例えば図1,図2において下側のリング状の端面)に当接する。穴31aは、永久磁石40の穴41に合わせた位置に形成されている。
爪部32は、円環板部31の周縁の4箇所に均等間隔を明けて配置されている。4つの各爪部32は、円環板部31の周縁の配置位置から、回転軸方向に沿い、永久磁石40の他方の端面から一方の端面に向かって(上側に向かって)伸びている。しかも、4つの爪部32は、永久磁石40の外周面に対して、間隔を明けつつ外周側に位置している。
【0025】
周方向位置に関しては、第1のクローポール鉄心20の爪部22の間の位置に、第2のクローポール鉄心30の爪部32が位置している。
また、軸方向に関しては、第1のクローポール鉄心20の爪部22の先端面(下端面)が、第2のクローポール鉄心30の円環板部31の下面の位置にまで伸びており、第2のクローポール鉄心30の爪部32の先端面(上端面)が、第1のクローポール鉄心20の円環板部21の上面の位置にまで伸びている。
【0026】
第1のクローポール鉄心20の爪部22の先端部(下端部)の内周面と、第2のクローポール鉄心30の円環板部31の周面との間には、それぞれ、径方向に磁化された漏れ磁束防止用の永久磁石50が配置されている。本例では、各永久磁石50は、外周側がN極の磁極になっており、内周側がS極の磁極になっている。
詳細は後述するが、永久磁石50を配置することにより、漏れ磁束を低減させることができる。
【0027】
第2のクローポール鉄心30の爪部32の先端部(上端部)の内周面と、第1のクローポール鉄心20の円環板部21の周面との間には、それぞれ、径方向に磁化された漏れ磁束防止用の永久磁石60が配置されている。本例では、各永久磁石60は、外周側がS極の磁極になっており、内周側がN極の磁極になっている。
詳細は後述するが、永久磁石60を配置することにより、漏れ磁束を低減させることができる。
【0028】
本実施例では、永久磁石40,50,60として、フェライト磁石を採用することができる。
また、永久磁石40をフェライト磁石とし、永久磁石50,60を希土類磁石とすることもできる。
さらに、永久磁石40,50,60を、全て希土類磁石とすることもできる。
【0029】
このような構成となっているクローポール型ロータ10を、三相巻線が巻装されたステータ内に組み込むことにより、クローポール型の永久磁石形同期電動機を実現することができる。
【0030】
本実施例のクローポール型ロータ10は、回転軸方向に磁化された永久磁石40により、第1のクローポール鉄心20の爪部22をN極に磁化し、第2のクローポール鉄心30の爪部32をS極に磁化する。回転軸方向に磁化された永久磁石40は、環形状で径方向に大寸法とすることができるため、ステータへの大量の磁束の供給が可能となる。
【0031】
また仮に、永久磁石として回転軸方向に磁化された永久磁石40のみを用い、径方向に磁化された永久磁石50,60を用いなかったとすると、図3(a)に示すように、クローポール鉄心20の爪部22の先端で漏れ磁束φlが発生し、ステータへ供給される磁束量が減少してしまう。
同様に、クローポール鉄心30の爪部32の先端でも、漏れ磁束が発生し、ステータへ供給される磁束量が減少してしまう。
【0032】
そこで、本実施例では、図3(b)に示すように、クローポール型ロータ10の爪部22の先端に、径方向に磁化されて外周側がN極となり内周側がS極となっている永久磁石50を配置することで、漏れ磁束φlを低減するとともに、回転軸方向に磁化された永久磁石40の磁束と合わせて、ステータへ供給される磁束量を更に増大させることができる。
同様に、クローポール型ロータ10の爪部32の先端に、径方向に磁化されて外周側がS極となり内周側がN極となっている永久磁石60を配置することで、漏れ磁束を低減するとともに、回転軸方向に磁化された永久磁石40の磁束と合わせて、ステータへ供給される磁束量を更に増大させることができる。
つまり、永久磁石50,60は、永久磁石40の漏れ磁束φlを妨げる方向に磁化されている。
この結果、永久磁石40,50,60として、残留磁束密度の小さいフェライト磁石を用いても、図11の希土類磁石を用いた従来の回転機と同等の磁束量を確保することができる。
【0033】
更に、クローポール型ロータ10を、回転軸方向に複数個並べ、回転軸方向に磁化された永久磁石の表面積が最大となるように構成すれば、ステータへ供給できる磁束量を最大化することができる。
例えば、ロータ構造の周方向に沿う1/4の部分を特に抽出した図4に示すものは、2つのクローポール型ロータ10を、回転軸方向に並べた、2段構成の複合クローポール型ロータである。
【0034】
8極36スロットの従来の希土類磁石を用いたIPMモータと、ステータはIPMモータと同じで、ロータを本発明のクローポール型ロータ10に置き換えた場合の磁界解析を行い、ギャップの磁束密度の検討・比較を行った。
以下に、各種の検討・比較例を示す。
【0035】
[検討・比較例1]
本発明のクローポール型ロータ10において、回転軸方向に磁化された永久磁石40および径方向に磁化された永久磁石50,60として、フェライト磁石を用いたときの構成を図5(a)に、ギャップの磁束密度の比較を図6に示す。なお、径方向に磁化された永久磁石をなくした場合(図5(b))の解析も行った。なお、図5(a),(b)において、フェライト磁石の部分には、符号(f)を付している。
【0036】
従来の希土類磁石を用いたIPMモータのギャップの磁束密度の最大値は約0.8Tに対し、全てフェライト磁石を用いた本発明のクローポール型ロータ10では約0.7Tであり、全てフェライト磁石で構成しても従来の希土類磁石を用いたIPMモータとほぼ同等の磁束密度を得ることができる。
また、本発明のクローポール型ロータの径方向に磁化された永久磁石40,50をなくした場合(図5(b)の構成の場合)のギャップの磁束密度の最大値は約0.5Tであり、径方向に磁化された永久磁石の有用性が確認できた。
【0037】
[検討・比較例2]
本発明のクローポール型ロータ10において、回転軸方向に磁化された永久磁石40をフェライト磁石、径方向に磁化された永久磁石50,60を希土類磁石で構成したときの構成を図7に、ギャップの磁束密度を図8に示す。なお、希土類磁石量は、従来の希土類磁石を用いたIPMモータより40%削減されている。なお、図7において、フェライト磁石の部分には、符号(f)を付し、希土類磁石の部分には、符号(r)を付している。
【0038】
この例では、ギャップの磁束密度の最大値は約1.1Tであり、本発明のクローポール型ロータ10は希土類磁石量を減らして、従来の希土類磁石を用いたIPMモータよりも大きな磁束密度を得ることができる。
更には、回転軸方向に磁化された永久磁石40をも希土類磁石とすれば、より高トルクのクローポール型モータとすることができる。
また、永久磁石として、樹脂にネオジウム等の希土類磁石の粉末を混合した安価なボンド系磁石としても良い。この場合、永久磁石をフェライト磁石とした場合と同様に、磁石コストが低減するので、クローポール型モータのコストを低減させることができる。
【0039】
[検討・比較例3]
本発明のクローポール型ロータ10を、回転軸方向の1段構成とした場合(図9(a))と、回転軸方向の2段構成とした場合(図9(b))の磁界解析を行い、ギャップの磁束密度の比較を行った。なお、永久磁石は全てフェライト磁石とした。ギャップの磁束密度を図10に示す。なお、図9(a),(b)において、フェライト磁石の部分には、符号(f)を付している。
【0040】
図10に示すように、1段構成のギャップの磁束密度の最大値は約0.4Tであり、2段構成よりも小さい。2段構成の方が永久磁石の表面積が大きいためであり、モータの軸方向の寸法によって、回転軸方向に並べるロータの個数を適切に選ぶことで、ステータへ供給できる磁束量を最大化できることがわかる。
【符号の説明】
【0041】
1 ロータコア
2 永久磁石挿入穴
3 永久磁石
10 クローポール型ロータ
20 第1のクローポール鉄心
21 円環板部
21a 穴
22 爪部
30 第2のクローポール鉄心
31 円環板部
31a 穴
32 爪部
40 永久磁石
41 穴
50,60 永久磁石
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部に回転軸が挿通するための穴が形成された円環状をなし、回転軸方向に磁化されて、一方の端面がN極またはS極のうちの一方の磁極となり、他方の端面がN極またはS極のうちの他方の磁極となっている永久磁石と、
前記一方の端面に当接する円環板部と、前記円環板部の周縁の複数箇所に配置されており配置個所から回転軸方向に沿い前記他方の端面に向かって伸びる複数の爪部とを備えた第1のクローポール鉄心と、
前記他方の端面に当接する円環板部と、前記円環板部の周縁の複数箇所に配置されており配置個所から回転軸方向に沿い前記一方の端面に向かって伸び、しかも周方向位置は前記第1のクローポール鉄心の爪部の間に位置する複数の爪部とを備えた第2のクローポール鉄心と、
第1のクローポール鉄心の各爪部と第2のクローポール鉄心の円環板部の周面との間にそれぞれ配置されており、径方向に磁化されて、外周側がN極またはS極のうちの一方の磁極となり、内周側がN極またはS極のうちの他方の磁極となっている永久磁石と、
第2のクローポール鉄心の各爪部と第1のクローポール鉄心の円環板部の周面との間にそれぞれ配置されており、径方向に磁化されて、外周側がN極またはS極のうちの他方の磁極となり、内周側がN極またはS極のうちの一方の磁極となっている永久磁石と、
を有することを特徴とするクローポール型ロータ。
【請求項2】
請求項1において、
回転軸方向に磁化された前記永久磁石及び径方向に磁化された前記各永久磁石は、全てがフェライト磁石であること、または、全てが希土類磁石であることを特徴とするクローポール型ロータ。
【請求項3】
請求項1において、
回転軸方向に磁化された前記永久磁石はフェライト磁石であり、径方向に磁化された前記各永久磁石は希土類磁石であることを特徴とするクローポール型ロータ。
【請求項4】
請求項1のクローポール型ロータまたは請求項2のクローポール型ロータまたは請求項3のクローポール型ロータのいずれかが、回転軸方向に複数個ならんで構成されていることを特徴とする複合クローポール型ロータ。
【請求項1】
中心部に回転軸が挿通するための穴が形成された円環状をなし、回転軸方向に磁化されて、一方の端面がN極またはS極のうちの一方の磁極となり、他方の端面がN極またはS極のうちの他方の磁極となっている永久磁石と、
前記一方の端面に当接する円環板部と、前記円環板部の周縁の複数箇所に配置されており配置個所から回転軸方向に沿い前記他方の端面に向かって伸びる複数の爪部とを備えた第1のクローポール鉄心と、
前記他方の端面に当接する円環板部と、前記円環板部の周縁の複数箇所に配置されており配置個所から回転軸方向に沿い前記一方の端面に向かって伸び、しかも周方向位置は前記第1のクローポール鉄心の爪部の間に位置する複数の爪部とを備えた第2のクローポール鉄心と、
第1のクローポール鉄心の各爪部と第2のクローポール鉄心の円環板部の周面との間にそれぞれ配置されており、径方向に磁化されて、外周側がN極またはS極のうちの一方の磁極となり、内周側がN極またはS極のうちの他方の磁極となっている永久磁石と、
第2のクローポール鉄心の各爪部と第1のクローポール鉄心の円環板部の周面との間にそれぞれ配置されており、径方向に磁化されて、外周側がN極またはS極のうちの他方の磁極となり、内周側がN極またはS極のうちの一方の磁極となっている永久磁石と、
を有することを特徴とするクローポール型ロータ。
【請求項2】
請求項1において、
回転軸方向に磁化された前記永久磁石及び径方向に磁化された前記各永久磁石は、全てがフェライト磁石であること、または、全てが希土類磁石であることを特徴とするクローポール型ロータ。
【請求項3】
請求項1において、
回転軸方向に磁化された前記永久磁石はフェライト磁石であり、径方向に磁化された前記各永久磁石は希土類磁石であることを特徴とするクローポール型ロータ。
【請求項4】
請求項1のクローポール型ロータまたは請求項2のクローポール型ロータまたは請求項3のクローポール型ロータのいずれかが、回転軸方向に複数個ならんで構成されていることを特徴とする複合クローポール型ロータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−46508(P2013−46508A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183461(P2011−183461)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
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