説明

クーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板

【課題】スクリューコンベヤ又はスパイラルコンベヤの排出部から排出されたクーラントと切粉とを分離することができ、クーラントと分離した切粉を切粉受容箱内に受容し、切粉と分離したクーラントを回収できるようにしたクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板を提供すること。
【解決手段】クーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板19はクーラントと切粉とが混在する混合物を搬送するスクリューコンベヤ17又はスパイラルコンベヤの排出部18の下部に設けられる。クーラント誘導板19はクーラントを伝わせる垂直面部20と垂直面部20の下端に屈曲して延設された傾斜面部21とを備え、傾斜面部21が垂直面に対して鋭角θ1に切粉落下方向と離間する方向に傾斜している。クーラントは垂直面部20から傾斜面部21を伝わって流れ滴下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混濁クーラントに含まれる大小切粉を分離して搬出する切粉分離搬出コンベヤ装置において使用されるクーラント誘導板に関し、特に、クーラントと切粉とが混在する混合物を搬送するスクリューコンベヤ又はスパイラルコンベヤの排出部の下部に設けられるクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械で金属材料を切削、研削等の加工を行う場合、切削工具、研削工具、被加工材料等を冷却するために、切削油、潤滑剤を溶解した水等のクーラントが用いられている。従来、鉄系、アルミニウム系、銅系等金属の切削屑、研削屑等の大小切粉が混在する混濁クーラントを、ヒンジベルトが設けられた混濁クーラント処理槽に投入し、該混濁クーラントに含まれている大小切粉を切粉搬出コンベヤ装置で搬送して混濁クーラント処理槽から搬出する切粉搬出コンベヤ装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記従来の切粉搬出コンベヤ装置は、循環走行するヒンジベルトが設けられた混濁クーラント処理槽に、大小切粉が混在する混濁クーラントを上方から投入し、混濁クーラントに含まれる切粉を循環走行するヒンジベルトの搬出側ベルト上面でクーラントと分離して捕捉し、この捕捉した切粉を搬出側で該ヒンジベルトの反転により自重落下させて搬出すると共に、ヒンジベルトの搬出側ベルト下面に対峙して設けられた仕切板上に堆積した切粉及び戻り側ベルト上面で捕捉され、該ヒンジベルトの反転により仕切板上に移乗された切粉を仕切板上面に沿って摺動移送し、搬出側でスクリューコンベヤによりクーラントと切粉が混在する混合物を混濁クーラント処理槽の側方に排出するようにしたものである。
【特許文献1】特開2002−331438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の切粉搬出コンベヤ装置は、図10、図11に示すように、スクリューコンベヤ17で排出された混合物をクーラントと切粉とに分離する機能が備えられていないため、切粉受容箱内に切粉と共に排出したクーラントが溜まる、という問題がある。なお、図10、図11における符号14は仕切板、14aは仕切板の終端部、17はスクリューコンベヤ、18は排出部である。
【0005】
上記問題に鑑みて、クーラントと切粉とが混在する混合物をスクリューコンベヤで搬送するコンベヤトラフの一部分に穴を穿設し、その穴でクーラントと切粉とを分離する構造のものが採用されていたが、穴に切粉が詰まり、クーラントが穴を通過しない、という問題がある。そこで、図12、図13に示すようなクーラント・切粉分離装置31が考えられていた。従来のクーラント・切粉分離装置31は、スクリューコンベヤのコンベヤトラフ32に穴33を穿設すると共に、排出部近傍のトラフ32を持ち上げ、排出部34にクーラント誘導板35を設けたものである。クーラントと切粉とが混在する混合物は、穴33でクーラントが充分排出されないため、排出部34から排出されると、クーラントがクーラント誘導板35を伝わり、切粉と共に切粉受容箱36に排出される。切粉受容箱36内に溜まったクーラントは切粉と共に廃棄され回収されないので、クーラント回収箱内のクーラント量が減少し、クーラントの補給、補給に伴う手間が必要になる、という問題があり、また、切粉受容箱36の運搬時や切粉受容箱36の一時保管場所でクーラントが床や地面等にこぼれる可能性が大きく環境に悪い、という問題がある。さらに、排出部34近傍のコンベヤトラフ32を高さ方向に持ち上げる構造とするため、上方に余分なスペースが必要になる、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題点を解決し、切粉排出用のスクリューコンベヤ又はスパイラルコンベヤの排出部から排出されたクーラントと切粉とを分離することができ、クーラントと分離した切粉を切粉受容箱内に受容し、切粉と分離したクーラントを回収できるようにしたクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に係る本発明は、クーラントと切粉とが混在する混合物を搬送するスクリューコンベヤ又はスパイラルコンベヤの排出部の下部に設けられるクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板であって、前記クーラント誘導板がクーラントを伝わせる垂直面部と該垂直面部の下端に屈曲して延設された傾斜面部とを備え、該垂直面部及び該傾斜面部が同一の幅に形成されると共に、該傾斜面部が垂直面に対して鋭角に切粉落下方向と離間する方向に傾斜しているクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板、という構成としたものである。
【0008】
請求項2に係る本発明は、クーラントと切粉とが混在する混合物を搬送するスクリューコンベヤ又はスパイラルコンベヤの排出部の下部に設けられるクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板であって、前記クーラント誘導板がクーラントを伝わせる垂直面部と該垂直面部の下端に屈曲して延設された傾斜面部とを備え、前記垂直面部が下端部に向けて徐々に幅が縮小する扇形状に形成されていると共に、前記傾斜面部が前記垂直面部の下端部と同じ幅に形成され、前記傾斜面部が垂直面に対して鋭角に切粉落下方向と離間する方向に傾斜しているクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板、という構成としたものである。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記請求項2に係る本発明のクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板において、前記垂直面部の表面には、クーラントの落下速度を制御可能とする軽妙な溝が垂直面部中央の両側に傾斜態様で複数形成されている、という構成としたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る本発明のクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板によれば、クーラント誘導板がクーラントを伝わせる垂直面部と該垂直面部の下端に屈曲して延設された傾斜面部とを備え、該垂直面部及び該傾斜面部が同一の幅に形成されると共に、該傾斜面部が垂直面に対して鋭角に切粉落下方向と離間する方向に傾斜しているので、排出部からこぼれ出るように排出されたクーラントと切粉とが混在する混合物は自重落下するが、クーラントがある程度の粘性を有するため、垂直面部及び傾斜面部の表面にクーラントを伝わらせて流し落とすことができ、垂直面部の下端における傾斜面部との屈曲箇所でクーラントと分離した切粉を垂直に落下させることができる。その結果、クーラントを切粉受容箱と別のクーラント回収箱に滴下させ、クーラント回収箱あるいは混濁クーラント処理槽に戻すことができ、長時間の使用においてもクーラントの減少を防止でき、余分なスペースを設けることなくクーラントと切粉とを分離することができる。
【0011】
請求項2に係る本発明のクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板によれば、クーラント誘導板がクーラントを伝わせる垂直面部と該垂直面部の下端に屈曲して延設された傾斜面部とを備え、前記垂直面部が下端部に向けて徐々に幅が縮小する扇形状に形成されていると共に、前記傾斜面部が前記垂直面部の下端部と同じ幅に形成され、前記傾斜面部が垂直面に対して鋭角に切粉落下方向と離間する方向に傾斜しているので、垂直面部及び傾斜面部に沿って伝わり流れるクーラントを集約させることができ、回収部分のスペースを小さくすることができる。
【0012】
請求項3に係る本発明のクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板によれば、クーラント誘導板の垂直面部の表面には、クーラントの落下速度を制御可能とする軽妙な溝が垂直面部中央の両側に傾斜態様で複数形成されているので、垂直面部の表面に沿って伝わり流れるクーラントの速度を制御でき、よりクーラントの回収能力を大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板の実施例1について図1〜図7を参照して説明する。以下詳述するように、切粉分離搬出コンベヤ装置1は、概略混濁クーラント処理槽2内部に設けられて循環走行する無端状のヒンジベルト3と、ヒンジベルト3の搬出側ベルト3a下面に対峙して、戻り側ベルト3b上方に設けられた仕切板14と、仕切板終端部14aに設けられたスクリューコンベヤ17で構成される。そして、スクリューコンベヤ17の排出部18の下部にクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板19が設けられる。なお、スクリューコンベヤ17に代えてスパイラルコンベヤを用いても構わない。
【0014】
混濁クーラント処理槽2は、処理槽長手方向に亘って形成された水平底板2aと、該水平底板2aに斜め上向きに延設した傾斜底板2bと、コンベヤテール部側Tにおけるテールカバー2cとで形成され、クーラント流出口2dを備えている。無端状ヒンジベルト3は、上側を走行する搬出側ベルト3aが水平方向に走行した後、斜め上向き方向に走行し、戻り側ベルト3bが水平底板2a、傾斜底板2bと略々平行に走行する。なお、各図における符号Cはヒンジベルト3の進行方向である。
【0015】
ヒンジベルト3は、図2〜図4に示すように、ヒンジプレート4が一対のローラチェーンからなるサイドチェーン5間で、連結部であるヒンジパイプ4aに挿入されたベルトピン6により、蝶番方式で連結されて形成されている。サイドチェーン5は、リンクプレート7とローラ8とからなり、このローラ8は、ベルトピン6に嵌入されている。また、ヒンジプレート4それぞれの両側端には、ヒンジベルト3上面に捕捉された大小切粉K1,K2がこぼれ落ちるのを防止するためのサイドウイング9が取着板9aにより取り付けられている。
【0016】
ヒンジベルト3の外周面には、数個置きのヒンジプレート4に外クリート10が間隔を開けて取り付けられ、また内周面には、間隔を開けて内クリート11が取り付けられている。この外クリート10は、戻り側ベルト3bが走行するとき、処理槽2の槽底2a,2b、特に水平底板2a上に沈降、堆積した切粉K2が、ある程度嵩高になったとき、掻き取り搬送するためのものであり、搬出側ベルト3aが排出口16側に向かって斜め上方に走行するとき、搬出側ベルト3a上の切粉を支えるためのものである。
【0017】
また、内クリート11は、コンベヤテール部側Tにおける戻り側ベルト3bの反転走行の際に、戻り側ベルト3b上に捕捉した切粉K2を支持することにより、上記仕切板14上に移乗し易くすると共に、このように移乗された切粉K2を仕切板14上に堆積した切粉K2と一緒にクーラントが含まれた混合物の状態で摺動搬送するためのものである。
【0018】
循環走行するヒンジベルト3の搬出側ベルト3aと戻り側ベルト3bとの間に、平面板状の底面を有する仕切板14が設けられる。すなわち、この仕切板14は、該搬出側ベルト3aの下部に、該搬出側ベルト3aに対峙して長手方向に亘って設けられる。仕切板14は、図4に示すように、中央部の幅方向に亘って形成された平面板14bと、該平面板14bの両外端側で傾斜して立ち上げられた傾斜板14cとで凹溝状に形成され、傾斜板14cの先端水平部は搬出側ベルト3aのガイドレールも兼ねている。
【0019】
循環走行するヒンジベルト3が、コンベヤテール部側Tで下側から上側に反転走行する反転部には、ヒンジベルト3のサイドチェーン5を案内支持するガイド部材である一対のテールディスク13が設けられ、この一対のテールディスク13間に円筒部材15が設けられる。
【0020】
この円筒部材15は、ヒンジベルト3が下側から上側に反転走行する際、戻り側ベルト3b上に捕捉された小さい切粉K2を、内クリート11で支持しながら円筒部材15の外周面に沿って上方に搬送し、仕切板14上に移乗する補助部材として機能するもので、回転してもしなくてもよい。なお、図4における符号2eは戻り側レール、2fは押さえレールである。
【0021】
混濁クーラント処理槽2の斜め上方頂部には、搬出側ベルト3aの内クリート11により仕切板14上に沿って摺動搬送されたクーラントと切粉との混合物を搬出するためのスクリューコンベヤ17が設けられる。このスクリューコンベヤ17は、仕切板14の仕切板終端部14aから落ち込んだ混合物を受け取り、排出部18から処理槽2の側方外部に排出する。
【0022】
図5〜図7に示すように、スクリューコンベヤ17の排出部18の下部には、板状体からなるクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板19が設けられる。このクーラント誘導板19はクーラントを伝わせる垂直面部20と、垂直面部20の下端に屈曲して延設された傾斜面部21とを備えている。垂直面部20と傾斜面部21と同一の幅に形成されると共に、傾斜面部21が垂直面に対して、すなわち傾斜面部21が垂直面部20の下方延長線上にある垂直面に対して、鋭角θ1をなして切粉が自重落下する方向から徐々に離間する方向に傾斜している(図6参照)。
【0023】
上記構成からなる切粉分離搬出コンベヤ装置1は、混濁クーラント処理槽2に大小切粉K1,K2が混在している混濁クーラントMXが投入されると、大きい切粉K1はヒンジベルト3の搬出側ベルト3a上面で捕捉される。
【0024】
また、搬出側ベルト3a上面で捕捉されない小さい切粉K2は、図4に矢印で示すように、ヒンジベルト3の隙間や処理槽側壁の隙間から入り込んで仕切板14上に堆積したり、ヒンジベルト3の戻り側ベルト3b上面で捕捉されたり、水平底板2a上に沈降、堆積したりする。ヒンジベルト3の戻り側ベルト3b上面で捕捉されないで、水平底板2a上に沈降、堆積した小さい切粉K2は、戻り側ベルト3bの外クリート10でコンベヤテール部側Tに向かって水平底板2aに沿って摺動移送され、コンベヤテール部側Tでの戻り側ベルト3bの反転走行により外クリート10で掻き上げられて、上側を走行するようになった搬出側ベルト3a上面に乗り移って、前記の大きい切粉K1と一緒に搬送される。この搬送中に液切りして混濁クーラント処理槽2の上方における搬出部側Hで排出口16から外部に自然落下して排出され、切粉受容箱22に受容される。また、クーラント流出口2dから流出したクーラントは受容槽23に回収される。
【0025】
一方、ヒンジベルト3の戻り側ベルト3b上面で捕捉された小さい切粉K2は、コンベヤテール部側Tまで戻り側ベルト3b上面に載ったまま搬送され、コンベヤテール部側Tにおけるヒンジベルト3の反転走行の際に、ヒンジベルト3と円筒部材15との間で内クリート11に支持されながら仕切板14上に移乗され、次いで、仕切板14上に堆積していた小さい切粉K2と一緒にクーラントを含んだまま摺動移送されて仕切板終端部14bでスクリューコンベヤ17の中に落ち込み、スクリューコンベヤ17により排出部18から混濁クーラント処理槽2の側方に排出され自重落下する。
【0026】
上記のようにクーラントと切粉が混在する混合物が自重落下するとき、クーラント誘導板19により、クーラントと切粉K2とが分離されて、クーラントは混濁クーラント処理槽2あるいはクーラント回収箱に戻され、切粉K2は切粉受容箱22に落下する。この場合、クーラントがある程度の粘性を有するため、排出部18からこぼれ出るように切粉K2と共に流れ出たクーラントは、垂直面部20及び傾斜面部21の表面を伝わって流れ、傾斜面部21の先端からクーラント回収箱(図示略)に滴下する。一方、排出部18から出た切粉K2はそのまま、あるいは傾斜面部21上方の屈曲箇所でクーラントと分離して切粉受容箱22に自重落下する。
【0027】
本発明のクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板の実施例2を図8に基づいて説明する。前記実施例1と同様に、クーラント誘導板24は、切粉分離搬出コンベヤ装置1の仕切板終端部14aに設けられたスクリューコンベヤ17の排出部18の下部に設けられる。
【0028】
クーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板24は板状体からなり、クーラントを伝わせる垂直面部25と、垂直面部25の下端に屈曲して延設された傾斜面部26とを備えている。垂直面部25は下端部25aに向けて徐々に幅が縮小する扇形状(傾斜角度θ2)に形成され、傾斜面部26は垂直面部の下端部25aと同じ幅に形成されている。傾斜面部26は、前記実施例1と同様に垂直面に対して鋭角をなして切粉が自重落下する方向から徐々に離間する方向に傾斜している。
【0029】
クーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板24の作用について以下説明する。前記実施例と同じように、仕切板14上沿って摺動移送されたクーラントと切粉が混在する混合物は、仕切板終端部14bでスクリューコンベヤ17の中に落ち込み、スクリューコンベヤ17により排出部18から混濁クーラント処理槽2の側方に排出され自重落下する。
【0030】
上記のように混合物が自重落下するとき、クーラント誘導板24により、クーラントと切粉K2とが分離されて、クーラントは混濁クーラント処理槽2あるいはクーラント回収箱に戻され、切粉K2は切粉受容箱に落下する。この場合、排出部18から切粉K2と共に流れ出たクーラントは、垂直面部25及び傾斜面部26の表面を伝わって流れ、傾斜面部26からクーラント回収箱に滴下する。また、垂直面部25は下端部25aに向けて徐々に幅が縮小する扇形状(傾斜角度θ2)に形成され、傾斜面部26は垂直面部の下端部25aと同じ幅に形成されていることにより、垂直面部25及び傾斜面部26表面を伝わり流れるクーラントが集約されて傾斜面部26から滴下する。このため回収部分のスペースを小さくすることが可能となる。一方、排出部18から出た切粉K2はそのまま、あるいは傾斜面部21上方の屈曲箇所でクーラントと分離して切粉受容箱に自重落下する。
【0031】
本発明のクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板の実施例3を図9に基づいて説明する。前記実施例1,2と同様に、クーラント誘導板27は、切粉分離搬出コンベヤ装置1の仕切板終端部14aに設けられたスクリューコンベヤ17の排出部18の下部に設けられる。以下詳述するが、このクーラント誘導板27は、前記実施例2のクーラント誘導板24において、垂直面部に溝28aを形成したものに相当する。
【0032】
クーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板27は板状体からなり、クーラントを伝わせる垂直面部28と、垂直面部28の下端に屈曲して延設された傾斜面部29とを備えている。垂直面部28は下端部28aに向けて徐々に幅が縮小する扇形状に形成され、傾斜面部29は垂直面部の下端部28aと同じ幅に形成されている。傾斜面部29は、前記実施例1,2と同様に垂直面に対して鋭角をなして切粉が自重落下する方向から徐々に離間する方向に傾斜している。前記垂直面部28の表面には、クーラントの落下速度を制御可能とする軽妙な溝28bが垂直面部中央の両側に傾斜態様で複数形成されている。ここで、軽妙な溝とは、溝に切粉が溜まらない程度の若干の深さの溝を意味する。
【0033】
クーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板27の作用について以下説明する。前記実施例1,2と同じように、仕切板14上沿って摺動移送されたクーラントと切粉が混在する混合物は、仕切板終端部14bでスクリューコンベヤ17の中に落ち込み、スクリューコンベヤ17により排出部18から混濁クーラント処理槽2の側方に排出され自重落下する。
【0034】
上記のように混合物が自重落下するとき、クーラント誘導板27により、クーラントと切粉K2とが分離されて、クーラントは混濁クーラント処理槽2あるいはクーラント回収箱に戻され、切粉K2は切粉受容箱に落下する。この場合、排出部18から切粉K2と共に流れ出たクーラントは、垂直面部28及び傾斜面部29の表面を伝わって流れ、傾斜面部29からクーラント回収箱に滴下するが、垂直面部28に溝28bが形成されていることにより、クーラントは流れ下ちるスピードとその向きがコントロールされ、垂直面部28の中央から傾斜面部29に向かって、殆ど切粉を含まずに集約して伝わり流下し、傾斜面部29の先端から滴下する。このため回収部分のスペースを小さくすることが可能となり、クーラントの回収能力を大きくすることが可能となる。一方、排出部18から出た切粉K2はそのまま、あるいは傾斜面部21上方の屈曲箇所でクーラントと分離して切粉受容箱に自重落下する。
【0035】
以上のように、各実施例のクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板によれば、余分なスペースを要することなくスクリューコンベヤの排出部から排出されたクーラントと切粉とを分離することができ、長時間での混濁クーラント処理においてもクーラントの減少を防止することができる。
【0036】
以上、実施例について説明したが、クーラントと切粉との混合物を搬出する排出用コンベヤとしては、実施例として説明したスクリューコンベヤに代えて、スパイラルコンベヤ(回転するコイルの推力を応用したコンベヤ)を用いても構わない。切粉分離搬出コンベヤ装置の仕切板としては、実施例として説明したような底面を有する凹溝状のものに限らず、全体的に平板面状となっている仕切板を用いても構わない。また、クーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板が用いられる切粉分離搬出コンベヤ装置は、実施例で示したものに限らず、コンベヤケースが水平に設置された水平方向に走行する切粉分離搬出コンベヤ装置に用いられるものとしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明実施例1のクーラント誘導板が設けられた切粉分離搬出コンベヤ装置の概略側面図である。
【図2】コンベヤテール部の拡大断面図である。
【図3】図2におけるX3−X3線方向矢視図である。
【図4】図2におけるX4−X4線方向矢視図である。
【図5】実施例1のクーラント誘導板の設置状態を示す説明図である。
【図6】排出部に設けられたクーラント誘導板の側面図である。
【図7】クーラント誘導板の正面図である。
【図8】実施例2のクーラント誘導板の正面図である。
【図9】実施例3のクーラント誘導板の正面図である。
【図10】従来例を示し、排出部の概略正面図である。
【図11】同上、排出部の概略側面図である。
【図12】従来のクーラント・切粉分離装置の側面図である。
【図13】クーラント・切粉分離装置の正面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 切粉分離搬出コンベヤ装置 2 混濁クーラント処理槽
2a 水平底板 2b 傾斜底板
2c テールカバー 2d クーラント流出口
2e 戻り側レール 2f 押さえレール
3 ヒンジベルト 3a 搬出側ベルト
3b 戻り側ベルト 5 サイドチェーン
4 ヒンジプレート 4a ヒンジパイプ
5 サイドチェーン 6 ベルトピン
7 リンクプレート 8 ローラ
9 サイドウイング 9a 取着板
10 外クリート 11 内クリート
12 駆動側スプロケット 13 テールディスク
14 仕切板 14a 仕切板終端部
14b 平面板 14c 傾斜板
15 円筒部材 16 排出口
17 スクリューコンベヤ 18 排出部
19 クーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板
20 垂直面部 21 傾斜面部
22 切粉受容箱 23 受容槽
24 クーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板
25 垂直面部 25a 下端部
26 傾斜面部
27 クーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板
28 垂直面部 28a 下端部
28b 溝 29 傾斜面部
MX 混濁クーラント K1 大きい切粉
K2 小さい切粉 H 搬出部側
T コンベヤテール部側 C ヒンジベルトの進行方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クーラントと切粉とが混在する混合物を搬送するスクリューコンベヤ又はスパイラルコンベヤの排出部の下部に設けられるクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板であって、
前記クーラント誘導板がクーラントを伝わせる垂直面部と該垂直面部の下端に屈曲して延設された傾斜面部とを備え、該垂直面部及び該傾斜面部が同一の幅に形成されると共に、該傾斜面部が垂直面に対して鋭角に切粉落下方向と離間する方向に傾斜していることを特徴とするクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板。
【請求項2】
クーラントと切粉とが混在する混合物を搬送するスクリューコンベヤ又はスパイラルコンベヤの排出部の下部に設けられるクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板であって、
前記クーラント誘導板がクーラントを伝わせる垂直面部と該垂直面部の下端に屈曲して延設された傾斜面部とを備え、前記垂直面部が下端部に向けて徐々に幅が縮小する扇形状に形成されていると共に、前記傾斜面部が前記垂直面部の下端部と同じ幅に形成され、前記傾斜面部が垂直面に対して鋭角に切粉落下方向と離間する方向に傾斜していることを特徴とするクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板。
【請求項3】
前記垂直面部の表面には、クーラントの落下速度を制御可能とする軽妙な溝が垂直面部中央の両側に傾斜態様で複数形成されていることを特徴とする請求項2記載のクーラント・切粉分離機能を有するクーラント誘導板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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