説明

クーラント濾過方法及び濾過装置

【課題】比較的大きな切粉の回収に適するというヒンジベルトコンベア式の長所と、精密濾過が可能というドラムフィルター方式の長所を兼ね備え、シンプル且つコンパクトな構成で比較的廉価にて供給でき、設置に場所を取らず、メンテナンスも容易で、しかも、濾過効率の良いクーラント濾過方法及び装置を提供すること。
【解決手段】切粉を含むクーラントを一次濾過するためのコンベア手段3を備えた一次濾過槽1と、ドラムフィルター4を備えていて一次濾過槽1に連通する二次濾過槽2を設け、一次濾過槽1において一次濾過したクーラントを二次濾過槽2に導入してドラムフィルター4で二次濾過する。二次濾過槽2に、そこで捕捉される微細切粉50の回収排出手段15を設け、それによって回収排出される微細切粉50を一次濾過槽1に戻すための、一次濾過槽1と二次濾過槽2の連通路とは別の戻し経路17を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄や非鉄金属の切削作業に伴って発生する切粉等を含むダーティーなクーラント(ダーティー液)を、再利用に当たって濾過してクリーンなクーラント(クリーン液)にするための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄や非鉄金属の切削作業においては、切削工具の冷却、切削部位の冷却、切粉除去、切粉流し、潤滑等のためにクーラントが用いられるが、このクーラントは再利用に供される。その再利用に当たっては、ダーティー液中に含まれる切粉等のスラッジ(以下単に切粉とする)を濾過して除去する必要があり、そのために種々の機器が提案されている。
【0003】
従来のクーラント濾過機器は、ヒンジベルトコンベア方式、ドラムフィルターコンベア方式及びこれら両者の併用方式に大別できる。これらのうちヒンジベルトコンベア方式は、ヒンジを介して相互接続された多数の金属板を一連にキャタピラ状に連結して成るベルトコンベア上に、ダーティー液を流し込み、各金属板間の隙間(金属板として小孔を設けたものを用いることもある)や、両サイドのチェーンとレールの隙間等から通液させて、切粉を回収するものである。
【0004】
このヒンジベルトコンベア方式の場合、カール状やダンゴ状の比較的大きな切粉の回収には有効であるが、各金属板間の隙間や、両サイドのチェーンとレールの隙間等を通過してしまうような小さな切粉の回収ができないため、精密濾過には不向きという欠点がある。
【0005】
また、ドラムフィルターコンベア方式としては、例えば、特許文献1(特開平7−204427号公報)に記載のものが知られている。それは、ダーティー液槽内に配設されたスクレーパ付きコンベアにより、ダーティー液槽の内底に堆積した切粉を、スクレーパで掻き取りつつ、その底部から上向き延設部にかけて押送し、上向き延設部の上端部から排出する一方で、ダーティー液を、スクレーパ付きコンベアの内側に設置されてスクレーパ付きコンベアにより回転駆動されるドラムフィルターを通して精密濾過し、得られたクリーン液をドラムフィルターの内側から流出させるものである。
【0006】
このドラムフィルターコンベア方式は精密濾過に適しているが、カール状やダンゴ状の比較的大きな切粉の回収には不向きである。即ち、これらの切粉はスクレーパ付きコンベアによってある程度回収されるが、回収し切れなかった切粉が、ドラムフィルターコンベア内に搬出されずに堆積し、フィルターを破損させたり、スクレーパ付きコンベアやドラムフィルターの隙間に入り込んで、それらの回転を阻害したりするおそれがあるのである。
【0007】
ヒンジベルトコンベア方式とドラムフィルターコンベア方式を併用したものとしては、例えば、特許文献2(米国特許第5167839号公報)に記載のものが知られている。このシステムにおいては、ドラムフィルターを上記比較的大きな切粉から保護するための保護手段が講じられているが、ドラムフィルターがダーティー液槽内に配設されているために、その保護には限界があり、また、ヒンジベルトコンベアによって一次濾過した後に、ドラムフィルターによって二次濾過するというものではないため、ドラムフィルターによる精密濾過は望めない。
【0008】
更に、ヒンジベルトコンベア方式とドラムフィルター方式を併用したものとして、特許文献2(特開平9−300171号公報)に記載のものがあり、これは、ダーティー液槽を、互いに連通するヒンジベルト式コンベアによる一次濾過槽とドラムフィルターによる二次濾過槽とに分ける構成が提案されている。
【0009】
しかるにこの構成は、ヒンジベルトコンベア式濾過装置と、特許文献1におけるようなドラムフィルターコンベア式濾過装置とを、単に隣り合わせに連結したに過ぎないものであって、大掛かりであって設置に多くのスペースが必要となるものであり、メンテナンスも容易ではないという欠点のあるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−204427号公報
【特許文献2】米国特許第5167839号公報
【特許文献3】特開平9−300171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記ヒンジベルトコンベア式とドラムフィルターコンベア方式の併用方式のものは、ヒンジベルトコンベア式とドラムフィルターコンベア方式の各長所を備える一方、それらの短所を補うものであるべきところ、上記従来の併用方式のものはそのような構成とはなっておらず、大掛かりで設置に多くのスペースが必要となるものであり、メンテナンスも容易ではないという欠点があった。
【0012】
そこで本発明は、比較的大きな切粉の回収に適するというヒンジベルトコンベア式の長所と、精密濾過が可能というドラムフィルターコンベア方式の長所を兼ね備え、シンプル且つコンパクトな構成で比較的廉価にて供給でき、設置に場所を取らず、メンテナンスも容易で、しかも、濾過効率の良いクーラント濾過方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、コンベア手段を備えていて切粉を含むクーラントを一次濾過する一次濾過槽を設けると共に、ドラムフィルターを備えていて前記一次濾過槽に連通する二次濾過槽を設けることにより、前記一次濾過槽において一次濾過したクーラントを前記二次濾過槽に導入し、前記二次濾過槽において捕捉した切粉を、前記一次濾過槽と前記二次濾過槽の連通路を通すことなく前記二次濾過槽外に導くことを特徴とするクーラント濾過方法を提供するものであり、前記二次濾過槽外に、前記二次濾過槽外に導かれた切粉を前記一次濾過槽に戻すための戻し経路を設け、あるいは、前記二次濾過槽外に、前記二次濾過槽外に導かれた切粉を回収する手段を設ける。
【0014】
上記課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、切粉を含むクーラントを一次濾過するためのコンベア手段を備えた一次濾過槽を設け、前記一次濾過槽の側部に、ドラムフィルターを備えていて前記一次濾過槽に連通する二次濾過槽を配設して前記一次濾過槽において一次濾過したクーラントを前記二次濾過槽に導入可能にし、前記ドラムフィルターに、前記二次濾過槽において捕捉される微細切粉の回収排出手段を設けたことを特徴とするクーラント濾過装置を提供するものである。
【0015】
本発明の一実施態様においては、前記二次濾過槽に、前記微細切粉の回収排出手段によって回収排出される微細切粉を前記一次濾過槽に戻すための、前記一次濾過槽と前記二次濾過槽の連通路とは別の戻し経路が配備され、あるいは、前記二次濾過槽の外側に、前記二次濾過槽外に導かれた切粉を回収する手段が配備される。
【0016】
また、前記コンベア手段はヒンジベルトコンベアとされ、前記戻し経路を通って戻される微細切粉が前記ヒンジベルトコンベア上に落下するようにされ、更に、前記戻し経路に、前記微細切粉を前記一次濾過槽に戻すための強制戻し手段が配設される。前記強制戻し手段としては、スパイラルコンベア、エアブロー、スクレーパ付きコンベアその他の機械的排出手段や物理的排出手段等を採用することができる。前記ヒンジベルトコンベアは、前記一次濾過槽の平坦部の後端部において液面下に位置するようにされ、前記平坦部の前端部において液面上に位置するようにされることがある。
【0017】
また、本発明の別の態様においては、前記ドラムフィルターは、専用の駆動手段によって回転駆動され、あるいは、前記一次濾過槽のコンベア手段と同一の駆動手段に由来して回転駆動される。前記二次濾過槽は、前記一次濾過槽の両側に設置されることがある。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るは、コンベア手段によってクーラントを一次濾過する一次濾過槽を設けると共に、前記一次濾過槽に連通するドラムフィルターを備えた二次濾過槽を設けることにより、一次濾過槽において一次濾過したクーラントを二次濾過槽に導入し、二次濾過槽において捕捉した微細切粉を、一次濾過槽から二次濾過槽への導入路とは別の経路を経て一次濾過槽に戻すことを特徴とするものであり、また、本発明に係る装置はこの方法を実施するためのものであるので、本発明によれば、比較的大きな切粉の回収に適するヒンジベルトコンベア式の長所と、精密濾過が可能というドラムフィルター方式の長所を兼ね備えることができるために濾過効率が良く、しかも、シンプル且つコンパクトな構成で比較的廉価にて供給でき、メンテナンスも容易という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るクーラント濾過装置の構成例を示す概略側面図である。
【図2】本発明に係るクーラント濾過装置の構成例を示す概略平面図である。
【図3】図2のA−A線断面拡大図である。
【図4】本発明に係るクーラント濾過装置におけるドラムフィルターとスパイラルコンベアの駆動方法の一例を示す平面図である。
【図5】図4のB−B線断面拡大図である。
【図6】本発明に係るクーラント濾過装置におけるドラムフィルターとスパイラルコンベアの駆動方法の他の構成縦断面図である。
【図7】本発明に係るクーラント濾過装置の他の構成例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための形態について説明する。本発明に係るクーラント濾過方法は、コンベア手段によってクーラントを一次濾過する一次濾過槽を設けると共に、前記一次濾過槽に連通するドラムフィルターを備えた二次濾過槽を設けることにより、前記一次濾過槽において一次濾過したクーラントを前記二次濾過槽に導入し、前記二次濾過槽において捕捉したスラッジを、前記一次濾過槽から前記二次濾過槽への連通路を通すことなく前記二次濾過槽外に導くことを特徴とし、前記二次濾過槽外に、前記二次濾過槽外に導かれた切粉を前記一次濾過槽に戻すための戻し経路を設け、あるいは、前記二次濾過槽外に、前記二次濾過槽外に導かれた切粉を回収する手段を設けるものである。
【0021】
添付図面は、上記クーラント濾過方法を実施するための装置の実施形態を示すもので、該装置は、ダーティー液を一次濾過するためのコンベア手段を備えた、ダーティー液を供給して貯留する一次濾過槽1と、ドラムフィルター4を備えていて一次濾過槽1の側部に配置され、一次濾過槽1に連通状態にされる二次濾過槽2とを備えて構成される。一次濾過槽1はその一端部に、斜め上方に延びる上方延設部5を有していて、一次濾過槽1の平坦部6から上方延設部5にかけてコンベア手段が配設される。
【0022】
ここにおけるコンベア手段としては、スクレーパ付きベルトコンベア等を採用することもできるが、好ましくは、ヒンジベルトコンベア3が採用される。このヒンジベルトコンベア3は、ヒンジを介して相互接続された多数の金属板(多数の小孔が設けられることもある)を一連にキャタピラ状に連結して成るもので、その基本的構成は、従来のものと特に変わりはない。ヒンジベルトコンベア3は、上方延設部5の上部に設置されるモータ7によって、矢示方向に循環駆動され、その上半部が液面上に出るように配置される。
【0023】
一次濾過槽1にはダーティー液が、その上方延設部5設置側とは反対側の端部上に設けられるダーティー液導入口8から、一次濾過槽1中を移動するヒンジベルトコンベア3の往路側ベルト面に向けて流し込まれる。それによりダーティー液は、ヒンジベルトコンベア3を構成する金属板間の隙間や両サイドのチェーンとレールの隙間等から流れ落ち、一次濾過槽1中の一次クリーン液中に混ざる。
【0024】
一方、ダーティー液中のカール状やダンゴ状になった比較的大きな切粉は、ヒンジベルトコンベア3によって漉き取られて回収される(一次濾過)。その後、ベルト面上に乗ったまま、ヒンジベルトコンベア3の循環動作に伴い、上方延設部5の上端部に下向きに開口するように形成されている排出口9まで搬送され、自重で排出口9から落下して回収される。
【0025】
なお、ヒンジベルトコンベア3の上半部は一次濾過槽1の平坦部6において傾斜状態にされ、平坦部6の後端側、即ち、ダーティー液導入口8側においては液面下に位置するようにされ、前端側、即ち、上方延設部5側においては液面上に位置するようにされることがある(図7参照)。この場合のダーティー液導入口8は、通例、ヒンジベルトコンベア3が液面上に位置している部分上に配置される。この実施形態の場合は、浮上切粉の回収も可能となる。
【0026】
一次濾過槽1において一次濾過されて成る一次クリーン液は、一次濾過槽1に連通状態にして設置される一次クリーン液タンク10内に貯留され、一部は、一次濾過槽1と二次濾過槽2とを仕切る仕切り壁11に形成された連通口12から、二次濾過槽2内に流入する。連通口12は、例えば図3に示されるような、半円形のものとされる。
【0027】
二次濾過槽2内にはドラムフィルター4が、回転自在にして内装される。即ち、ドラムフィルター4は、その回転軸4aがヒンジベルトコンベア3の回転軸と平行になるように配置され、例えば、その一次濾過槽1側の端部が仕切り壁11において軸支され、また、その反対側端部が、二次濾過槽2に連設される二次クリーン液タンク13との間の仕切り壁14において軸支されることにより、ヒンジベルトコンベア3の回転方向と同じ方向に回転するように支持される(図3参照)。
【0028】
ドラムフィルター4は、その周側面に適宜間隔置きにスクレーパ15を備えており、二次濾過槽2の内底面16は、ドラムフィルター4のスクレーパ15の回転軌跡に沿う半円形状とされる(特に図5参照)。そして、スクレーパ15が下方から上がってくる側の二次濾過槽2の上面に、ドラムフィルター4の回転軸4a方向に延び、一次濾過槽1にまで達して戻し経路として機能する戻し溝17が形成される。
【0029】
戻し溝17は、スクレーパ15によって掻き上げられてくる微細切粉50を一次濾過槽1に戻すためのもので、通例、断面半円形状を呈するものとされるが、これに限られる訳ではない。戻し溝17は、微細切粉50の戻りを促進させるために、一次濾過槽1に向けて下り傾斜するように形成されることもある。好ましくは、微細切粉50を漏れなくスムーズに一次濾過槽1に戻すために、戻し溝17に強制戻し手段が配設される。
【0030】
この強制戻し手段としては、例えば、軸上に螺旋状に延びる羽根を有するスパイラルコンベア18(スクリュウコンベアとかラセンコンベアと称されているもの全般を含む)を用いることができる。このスパイラルコンベア18は、その羽根が螺旋回転することにより、戻し溝17内の微細切粉50を一次濾過槽1に向けて強制的に押送するものである。
【0031】
図2及び図4に示した例では、スパイラルコンベア18の駆動源とドラムフィルター4の駆動源とが共通のものとされている。即ち、図4に示されるように、二次クリーンタンク13の外壁に設置された駆動モータ19の駆動軸がスパイラルコンベア18の回転軸20に直結され、その回転軸20の途中に駆動ギア21が固定されている。そして、ドラムフィルター4の端縁に、駆動ギア21に噛合する環状の被動ギア22が設置されている。かくして駆動モータ19が動作すると、スパイラルコンベア18が直接回転駆動され、また、ドラムフィルター4が、駆動ギア21と被動ギア22を介して回転駆動される。
【0032】
また逆に、ドラムフィルター4の被動ギア22を駆動ギアにし、スパイラルコンベア18の駆動ギア21を被動ギアにし、ドラムフィルター4の回転をスパイラルコンベア18に伝達してスパイラルコンベア18を駆動することとしてもよい。
【0033】
図6に示す例は、ドラムフィルター4及びスパイラルコンベア18の駆動源をヒンジベルトコンベア3に求めたものである。即ち、ヒンジベルトコンベア3の内側の一次濾過槽1の側面板40と仕切り壁11との間において回転シャフト41が軸支され、この回転シャフト41にヒンジベルトコンベア3の駆動チェーン3aに噛み合うスプロケット42が固定される。そして、回転シャフト41の一端部又は両端部に二次濾過槽2側端部が二次濾過槽2内にまで延ばされ、ドラムフィルター4の端面閉塞板43に固定される。ドラムフィルター4の反対側の開口端面には、一部が二次濾過槽2の外側側面板44から突出する軸筒45が固定され、軸筒45にスプロケット46が取り付けられる。軸筒45は、側面板44において、水密状態に軸支される。
【0034】
一方、スパイラルコンベア18の駆動軸18aは、二次濾過槽2の外側側面板44から突出し、その先端部にスプロケット47が固定され、スプロケット46とスプロケット47にチェーン48が巻き掛けられる。かくしてヒンジベルトコンベア3の動きが、駆動チェーン3a、スプロケット42及び回転シャフト41を介してドラムフィルター4に伝達されてドラムフィルター4が回転駆動され、更に、その回転駆動力が、ドラムフィルター4から軸筒45、スプロケット46、チェーン48、スプロケット47を経て駆動軸18aに伝達されてスパイラルコンベア18が回転駆動される。
【0035】
切粉強制戻し手段としては、上述したスパイラルコンベア18による方法の他に、エアブローを用いる方法が考えられる。その場合は、戻し溝17に沿い、且つ、一次濾過槽1に向けてエアを噴出させるエアブロー手段が配備される。また、更に他の手段として、スクレーパ付きコンベアを採用することが考えられる。なお、スクレーパ付きコンベアを採用する場合には、戻し溝17は、当該スクレーパに対応する断面四角形状にされる。
【0036】
図中30は逆洗用ノズル、31は逆洗用ノズル30に逆洗水を供給するパイプ、32はオイルスキマ−、33、34はポンプを示す。逆洗用ノズル30は、ドラムフィルター4を逆洗すると共に、回収されてスクレーパ15に乗ってくる切粉50を、戻し溝17に向けて流し落とす役割を果たす。
【0037】
上記構成において、ダーティー液がダーティー液導入口8から供給されると、ダーティー液はヒンジベルトコンベア3において一次濾過され、比較的大きな切粉がヒンジベルトコンベア3上に取り残され、その状態で上方延設部5を経て排出口9にまで搬送され、そこにおいて、ヒンジベルトコンベア3の折り返しに伴って自重で回収箱等内に落下し、適宜回収される。
【0038】
一方、ヒンジベルトコンベア3の隙間や両サイドのチェーンとレールの隙間等から流下することにより一次濾過されて成る一次クリーン液は、一次濾過槽1又は一次クリーン液タンク10内に貯留され、適時導入口12から二次濾過槽2内に流入し、ドラムフィルター4の外周に沿って回り込む。そして、ドラムフィルター4周面のフィルターを通過することによって精密濾過(二次濾過)されて成る二次クリーン液は、ドラムフィルター4の内部から、二次クリーン液槽13に流出し、そこから再利用に供される。
【0039】
二次濾過槽2内においてドラムフィルター4により捕捉された微細切粉50は、フィルターに付着し、あるいは、落下して二次濾過槽2の内底面16に堆積するが、この堆積した微細切粉50は、ドラムフィルター4がヒンジベルトコンベア3と同期して又は同期することなく回転し続け、そのスクレーパ15が内底面16に沿って回転することにより、逐次掻き取られる。
【0040】
掻き取られた微細切粉50は、スクレーパ15に乗って二次濾過槽2の内面に沿って押し上げられ、戻し溝17の高さに至って自重で、並びに、逆洗ノズル30の作用で戻し溝17に落ちる。戻し溝17内に落ちた微細切粉50は、強制戻し手段の作用で、迅速且つ確実に、一次濾過槽1の液面上にあるヒンジベルトコンベア3上に落とされ、再度一次濾過処理される。
【0041】
図示した例では、駆動モータ19が作動して、あるいは、ヒンジベルトコンベア3の動きに由来してスパイラルコンベア18が駆動されることにより、戻し溝17内に落ちた微細切粉50が、その螺旋回転する羽根によって押送されて、ヒンジベルトコンベア3の上面上に落とされる。
【0042】
このように本発明に係る方法及び装置によれば、一次濾過槽1内において、ヒンジベルトコンベア3等のコンベア手段によって比較的大きな切粉の回収がなされ(一次濾過)、次いで、一次濾過されて成る一次クリーン液が、二次濾過槽2内において、ドラムフィルター4によって二次濾過されて微細切粉50を除去されて二次クリーン液とされ、これが再利用に供される。その際、二次濾過によって回収された微細切粉50は、二次クリーン液にはもちろん、一次クリーン液にも混じることなく一次濾過槽1に戻されるので、非常に濾過効率が良いのである。
【0043】
上述した実施例においては、二次濾過槽2において捕捉した切粉を、一次濾過槽1と二次濾過槽2の連通路を通すことなく二次濾過槽2から排出し、戻し溝17を介して一次濾過槽1に戻すようにしているが、二次濾過槽2から排出した切粉を、そのまま外部に出して回収箱等において回収するようにすることもできる。
【0044】
上述した説明は、あくまで本発明の好ましい実施形態についてのものであって、この発明の精神と範囲に反することなしに他の異なる実施形態を構成することができることは言うまでもないところであり、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
1 一次濾過槽
2 二次濾過槽
3 ヒンジベルトコンベア
4 ドラムフィルター
5 上方延設部
6 平坦部
7 モータ
8 ダーティー液導入口
9 排出口
10 一次クリーンタンク
11 仕切り壁
12 連通口
13 二次クリーン液タンク
14 仕切り壁
15 スクレーパ
16 二次濾過槽内底面
17 戻し溝
18 スパイラルコンベア
19 駆動モータ
20 回転軸
21 駆動ギア
22 被動ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア手段を備えていて切粉を含むクーラントを一次濾過する一次濾過槽を設けると共に、ドラムフィルターを備えていて前記一次濾過槽に連通する二次濾過槽を設けることにより、前記一次濾過槽において一次濾過したクーラントを前記二次濾過槽に導入し、前記二次濾過槽において捕捉した切粉を、前記一次濾過槽と前記二次濾過槽の連通路を通すことなく前記二次濾過槽外に導くことを特徴とするクーラント濾過方法。
【請求項2】
前記二次濾過槽外に、前記二次濾過槽外に導かれた切粉を前記一次濾過槽に戻すための戻し経路を設ける、請求項1に記載のクーラント濾過方法。
【請求項3】
前記二次濾過槽外に、前記二次濾過槽外に導かれた切粉を回収する手段を設ける、請求項1に記載のクーラント濾過方法。
【請求項4】
前記コンベア手段としてヒンジベルトコンベアを用い、前記戻し経路を経て前記二次濾過槽から前記一次濾過槽に戻される切粉を、前記ヒンジベルトコンベア上に落下させることを特徴とする、請求項2に記載のクーラント濾過方法。
【請求項5】
前記ヒンジベルトコンベアは、前記一次濾過槽の平坦部の後端部において液面下に位置するようにされ、前記平坦部の前端部において液面上に位置するようにされる、請求項4に記載のクーラント濾過方法。
【請求項6】
切粉を含むクーラントを一次濾過するためのコンベア手段を備えた一次濾過槽を設け、前記一次濾過槽の側部に、ドラムフィルターを備えていて前記一次濾過槽に連通する二次濾過槽を配設して、前記一次濾過槽において一次濾過したクーラントを前記二次濾過槽に導入可能にし、前記ドラムフィルターに、前記二次濾過槽において捕捉される微細切粉の回収排出手段を設けたことを特徴とするクーラント濾過装置。
【請求項7】
前記二次濾過槽に、前記微細切粉の回収排出手段によって回収排出される微細切粉を前記一次濾過槽に戻すための、前記一次濾過槽と前記二次濾過槽の連通路とは別の戻し経路を設けた、請求項6に記載のクーラント濾過装置。
【請求項8】
前記二次濾過槽の外側に、前記二次濾過槽外に導かれた切粉を回収する手段を設けた、請求項7に記載のクーラント濾過装置。
【請求項9】
前記コンベア手段はヒンジベルトコンベアその他のベルトコンベアであり、前記戻し経路を通って戻される微細切粉が、前記コンベア上に落下するようにされた、請求項6に記載のクーラント濾過装置。
【請求項10】
前記コンベア手段は、前記一次濾過槽の平坦部の後端部において液面下に位置するようにされ、前記平坦部の前端部において液面上に位置するようにされている、請求項9に記載のクーラント濾過方法。
【請求項11】
前記戻し経路に、前記微細切粉を前記一次濾過槽に戻すための強制戻し手段を配設した、請求項7に記載のクーラント濾過装置。
【請求項12】
前記強制戻し手段は、スパイラルコンベアである、請求項11に記載のクーラント濾過装置。
【請求項13】
前記強制戻し手段は、エアブローである、請求項11に記載のクーラント濾過装置。
【請求項14】
前記強制戻し手段は、スクレーパ付きコンベアである、請求項11に記載のクーラント濾過装置。
【請求項15】
前記ドラムフィルターは、専用の駆動手段によって回転駆動される、請求項6乃至14のいずれかに記載のクーラント濾過装置。
【請求項16】
前記ドラムフィルターは、前記一次濾過槽のコンベア手段と同一の駆動手段に由来して回転駆動される、請求項6乃至14のいずれかに記載のクーラント濾過装置。
【請求項17】
前記二次濾過槽は、前記一次濾過槽の両側に設置される、請求項6乃至16のいずれかに記載のクーラント濾過装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−650(P2011−650A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143396(P2009−143396)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(593107362)株式会社ジェイピーシー (10)
【Fターム(参考)】