説明

グラウンド整地用トンボ

【課題】
天然木という天然資源の枯渇を抑制し、自然環境に配慮したグラウンド整地用トンボを提供することにある。
【解決手段】
地面を掻くレーキ板又は地面を平滑に均すトンボ板が、人工木で形成され、人工木が、製紙工場で紙を製造する過程で排出される製紙糟と家庭や事業所等から排出され粉砕された廃プラスチックとを混錬して押出成型されたもので、また、人工木が、再処理及び再成型することにより、レーキ板及びトンボ板として再利用可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球場や陸上競技場のグラウンドの土や砂の整地を行うためのグラウンド整地用トンボに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、野球場や陸上競技場のグラウンドの土や砂の整地を行うためにグラウンド整地用トンボが用いられている。例えば、特許文献1に示される従来のグラウンド整地用のトンボは、棒状の柄に略直角に整地板(トンボ板)を固定している。この特許文献1のトンボでは、整地板の辺に、地面を鋤き削る櫛状部を設け、整地板の辺の反対側の辺に、地面を平滑に均す平滑部を設け、柄及び整地板を木材で形成すると共に、櫛状部を金属製としている。この整地板を構成する木材は、天然木である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−143360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の地面を平滑に均す整地板(トンボ板)は、天然木である場合、地面と接して摩耗し、徐々に削れていってしまい、いずれはグラウンド整地用トンボ自体を破棄するか、整地板(トンボ板)を交換し摩耗した整地板(トンボ板)を破棄しなければならず、廃棄された部分は再生が不可能で、天然資源の一方的な消費にしかならない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、天然木という天然資源の枯渇を抑制し、自然環境に配慮したグラウンド整地用トンボを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のグラウンド整地用トンボは、地面を掻くレーキ板又は地面を平滑に均すトンボ板が、人工木で形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載のグラウンド整地用トンボは、人工木が、製紙工場で紙を製造する過程で排出される製紙糟と家庭や事業所等から排出され粉砕された廃プラスチックとを混錬して押出成型されたものであることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載のグラウンド整地用トンボは、人工木が、再処理及び再成型することにより、レーキ板及びトンボ板として再利用可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願の発明によれば、地面を掻くレーキ板又は地面を平滑に均すトンボ板に人工木を用い、その人工木が製紙工場で紙を製造する過程で排出される製紙糟と家庭や事業所等から排出され粉砕された廃プラスチックとを混錬して押出成型されたもので、再生及び再利用が可能なものであることから、天然木という天然資源の枯渇を抑制し、自然環境に配慮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るグラウンド整地用トンボの一例を示す斜視図である。
【図2】同グラウンド整地用トンボの下面を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るレーキ状のグラウンド整地用トンボの一例を示す斜視図である。
【図4】同レーキ状のグラウンド整地用トンボの下面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施の形態におけるグラウンド整地用トンボは、野球場や陸上競技場のグラウンドの土や砂の整地を行うものである。図1は、本発明に係るグラウンド整地用トンボの一例を示す斜視図である。図2は、同グラウンド整地用トンボの下面を示す斜視図である。
【0012】
以下、図1及び図2を用いて説明する。図1及び図2のグラウンド整地用トンボ1は、棒状の柄12と、略長方形の板状のトンボ板20等から構成されている。柄12は、円柱又は円筒上で、外周面の下端部から上方に向かって、三角形で底片14aが折り返された筋交板14が、ボルト16で固定されている。この柄12及び筋交板14は、木材や金属(鉄でもよいが軽量化の観点からアルミニウムが好ましい)で作られている。
【0013】
そして、筋交板14の底片14aの下側に、トンボ板20がボルト18で、柄12と直角に取り付けられている。このトンボ板20は、略長方形の板材で、長手方向中央の上部が、筋交板14の底片14aの幅に抉られるように削られ取付部24が形成されている。そして、トンボ板20が横に伸びた状態で、取付部24が筋交板14の底片14aに固定されている。尚、トンボ板20の横に伸びた整地部22の下面の柄12とは反対の角が面取りされ、柄12側の下面が整地面26となっている。
【0014】
トンボ板20の材質は、人工木で、製紙工場で紙を製造する過程で排出される製紙糟(ペーパースラッジ)と家庭や事業所等から排出され粉砕された廃プラスチックとを混錬して押出成型されたものである。ペーパースラッジとは、製紙工場で、古紙や紙パック等をリサイクルするときに排出される再生紙にならない短い繊維の糟のことである。また、廃プラスチックは、自治体が分別回収しているプラスチック容器や樹脂製梱包材等をリサイクルした再生プラスチックである。この廃材であるペーパースラッジや廃プラスチックを用いた人工木としては、例えば、鈴与商事株式会社製のECOPARMA/エコパルマ(登録商標)がある。実際に人工木をトンボ板20として使用する場合には、裁断や削り出しを行うことで、前述のようなトンボ板20の形状に加工している。
【0015】
このグラウンド整地用トンボ1を使用する場合には、地面にトンボ板20の整地面26を擦りつけるようにして、地面を平滑に均していく。尚、柄12や筋交板14の材質や形状により制限されるものではない。そして、グラウンド整備を繰り返す中で、当然にトンボ板20の整地面26が摩耗して整地が困難になってくるが、この場合は、トンボ板20を新しいものに交換するようにすればよい。そして、摩耗して取り外されたトンボ板20は、再処理及び再成型することにより、トンボ板20として再利用するようにする(トンボ板20に限らず後述するレーキ板30として再利用することも可能)。このため、トンボ板20の人工木としては、再生し再利用可能な材質が好ましく、上述のECOPARMA/エコパルマは、それが可能である。
【0016】
トンボ板20が取り付けられているグラウンド整地用トンボ1は、地面を平滑に均すものであるが、地面を掻く通称ガリと言われるものもある。図3及び図4に示すグラウンド整地用トンボ2が、そのガリに相当する。図3は、本発明に係るレーキ状のグラウンド整地用トンボの一例を示す斜視図である。図4は、同レーキ状のグラウンド整地用トンボの下面を示す斜視図である。
【0017】
図3及び図4に示すグラウンド整地用トンボ2は、柄12、筋交板14は同一である。そして、筋交板14の底片14aの下側に、レーキ板30がボルト18で、柄12と直角に取り付けられている。このレーキ板30は、略長方形の板材で、横臥した状態の下面に複数の四角錐であるレーキ部34が、横並びに並ぶように切削されている。そして、レーキ板30の横長の平らな板部分が筋交板14の底片14aに固定されている。尚、レーキ板30の材質は、前述のトンボ板20と同様である。
【0018】
このグラウンド整地用トンボ2を使用する場合には、地面にレーキ板30のレーキ部34の先端を擦りつけるようにして、地面を掻いていく。尚、柄12や筋交板14の材質や形状により制限されるものではない。そして、グラウンド整備を繰り返す中で、当然にレーキ板30のレーキ部34が摩耗したり欠けたりして地面を掻くことが困難になってくるが、この場合は、レーキ板30を新しいものに交換するようにすればよい。そして、摩耗や欠けて取り外されたレーキ板30は、再処理及び再成型することにより、レーキ板30として再利用するようにする(レーキ板30に限らずトンボ板20として再利用することも可能)。このため、レーキ板30の人工木としては、再生し再利用可能な材質が好ましく、上述のECOPARMA/エコパルマは、それが可能である。
【0019】
このような構造のグラウンド整地用トンボ1,2によれば、地面を掻くレーキ板30又は地面を平滑に均すトンボ板20に人工木を用い、その人工木が製紙工場で紙を製造する過程で排出される製紙糟と家庭や事業所等から排出され粉砕された廃プラスチックとを混錬して押出成型されたもので、再生及び再利用が可能なものであることから、天然木という天然資源の枯渇を抑制し、自然環境に配慮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上のように、本発明によれば、天然木という天然資源の枯渇を抑制し、自然環境に配慮したグラウンド整地用トンボを提供することができる。
【符号の説明】
【0021】
1・・・・・グラウンド整地用トンボ
2・・・・・グラウンド整地用トンボ
12・・・・柄
14・・・・筋交板
14a・・・底片
16・・・・ボルト
18・・・・ボルト
20・・・・トンボ板
22・・・・整地部
24・・・・取付部
26・・・・整地面
30・・・・レーキ板
32・・・・取付部
34・・・・レーキ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野球場や陸上競技場のグラウンドの土や砂の整地を行うグラウンド整地用トンボにおいて、
地面を掻くレーキ板又は地面を平滑に均すトンボ板が、人工木で形成されていることを特徴とするグラウンド整地用トンボ。
【請求項2】
前記人工木が、製紙工場で紙を製造する過程で排出される製紙糟と家庭や事業所等から排出され粉砕された廃プラスチックとを混錬して押出成型されたものであることを特徴とする請求項1記載のグラウンド整地用トンボ。
【請求項3】
前記人工木が、再処理及び再成型することにより、前記レーキ板及び前記トンボ板として再利用可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のグラウンド整地用トンボ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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