説明

グラビアインク用の新規な顔料組成物の製造方法

本発明は、粗顔料を、樹脂と顔料誘導体、好ましくはさらに増量剤と場合により酸化防止剤と組み合わせて、比較的低い温度で乾式粉砕する、刊行物グラビアおよび包装のインクに用いるために、粗顔料(特に粗フタロシアニン)を粉砕するための、新規で、より単純な乾式粉砕方法に関連する。本発明はまた、このようにして得られた、並外れて容易に芳香族溶剤に分散する新しい組成物、ならびに刊行物グラビアインクもしくは包装のインクまたはインク濃縮物の製造のためのそれらの使用に関連する。好ましい組成物から得られた顔料分散体はまた、特許請求の範囲に記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粗顔料を、樹脂と顔料誘導体、好ましくはさらに増量剤と場合により酸化防止剤と組み合わせて、比較的低い温度で乾式粉砕する、刊行物グラビアおよび包装のインクに用いるために、粗顔料(特に粗フタロシアニン)を粉砕するための、新規で、より単純な乾式粉砕方法に関連する。本発明はまた、このようにして得られた、並外れて容易に芳香族溶剤に分散する新しい組成物、ならびに刊行物グラビアインクもしくは包装のインクまたはインク濃縮物の製造のためのそれらの使用に関連する。好ましい組成物から得られた顔料分散体はまた、特許請求の範囲に記載されている。
【0002】
フタロシアニンが、顔料の目的のためにそれ自体は有用でない粗顔料の典型例である。粗フタロシアニンの粗結晶は、酸でペーストにするか、またはより小さいサイズに粉砕しなければならず、合成より重要性の大きい方法であり、そして1936年に最初に記載された。塩化ナトリウムまたは無水硫酸ナトリウムのような水溶性塩を、乾燥状態またはアルコールのような少量の溶媒を有するかどちらかの、粉砕剤として使用される場合、高い色の濃さおよび良好な分散特性を得ることができる。水を用いて塩を洗い落として、色の強い顔料を得る。この単純な手順は、例えば界面活性剤、分散剤または樹脂を加えることによりしばしば変更されている。粗フタロシアニンはまた、乾燥状態で、粉砕助剤を用いず、しばしば界面活性剤を用いて細かくすることができる。しかしながら、この粉砕された生成物は、水非混和性有機溶媒中でさらなる処置をして、はじめて十分な顔料特性を示す(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry [2002], chapter about Phthalocyanines, § 4.4.2.を参照)。
【0003】
KR6370Bは、フタロシアニン誘導体の存在下で塩およびポリオールを用いて混練した粗フタロシアニンを開示している。JP H04/320458Aは、まず粗フタロシアニンをフタロシアニン誘導体と乾式粉砕して、次に塩およびポリエチレングリコールのような有機液体を用いて混練するだけのことにより、この典型的な方法においてエネルギー節約を実行できることを主張している。
【0004】
EP0819740B2(WO97/28224A1)は、80〜170℃、好ましくは115〜170℃の温度まで加熱する間、樹脂20〜80%を有する粗銅フタロシアニンを乾式粉砕して、そして混合物を乾式粉砕することを開示している。顔料誘導体を加えていない。次に、ミルベースを、アスペクト比が2未満になり、そしてほとんどのαフォームがβフォームに変換されるまで、脂肪族溶剤中で加熱する。しかしながら、分散体は、3本ロールミル中でさらに粉砕することを必要とする。最終オフセットインクの品質は、従来の塩と混練された顔料から得られたインクのものと同等であるといわれている。極めて類似しているのは、2工程において乾式粉砕方法で行うJP H11/035841Aである。
【0005】
JP2003/041173Aは、粗フタロシアニンを炭酸カルシウムのような増量剤と80〜150℃で乾式粉砕し、次に樹脂を加えて、得られた混合物を再度乾式粉砕するか、または分解を避けるために短時間激しく混合する、印刷用インクを生産するための方法を開示する。脂肪族溶媒中で、80〜170℃に加熱後、3本ロールミルに2回通し、そして希釈して、インクが得られる。従来の顔料誘導体のような分散剤を加えてもよい。
【0006】
JP2003/231829Aは、粗フタロシアニンを、まず溶媒中でロジンで表面処理して顔料前駆体に導き、それを乾燥し、次に一般に増量剤とさらなる樹脂とともに乾式粉砕して、印刷用インクを生産する方法を開示している。110〜120℃に2時間加熱し、続いて3本ロールミルに2回通すことによってインク濃縮物が得られ、次に飽和炭化水素の溶媒で希釈してインクが得られる。顔料誘導体を使用せず;反対に、純度≧97%を有する銅フタロシアニンを使用することが望ましい。
【0007】
JP2003/335997Aは、粗銅フタロシアニンを、165℃またはそれ以上の軟化温度を有する樹脂、好ましくは金属カチオンが不足している変性ロジン10〜20%とともに乾式粉砕することを提案している。EP0392334B2と同様に、より多量の樹脂は望ましくないことが開示されている。芳香族がほとんどない溶媒に基づくワニス中で120℃にミルベースを加熱し、次に3本ロールミル中で加工することにより、最終インクを製造する。粗フタロシアニン100部につき銅フタロシアニン誘導体0.1〜20部が開示されているが、増量剤はない。
【0008】
しかしながら、これらの先行技術の加工は、完全に満足できるものではない。混練法は低速であり、高額な機械と多量の水溶性塩を必要とし、そして溶媒を廃棄しなければならない。溶媒を含む組成物を、開放した装置中で、より高温に加熱する場合、環境保護、安全性および健康の懸念が生じる。3本ロールミルまたはビーズミル上で分散を引き延ばすことは、顔料粒子を再び粉砕するため、厳格な品質管理を必要とする。
【0009】
したがって、顔料製造業者からの、すでに完結した、容易に分散可能な顔料から開始すると同時に、彼らはそれらの効果をより良好なインク組成物を開発する努力をすることを好むインクメーカから特別な努力を必要とせずに印刷用インクにおける最高性能を示す顔料について強い需要がある。
【0010】
それゆえに、本発明の目標は、それらの特性を改善すると同時に、グラビアインクの全製造工程を単純化することであった。意外にも、これは顔料製造の新規な種類を提供することにより達成することができ、それは芳香族炭化水素の溶媒(場合により低分子量アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類またはそれらの混合物をさらに含む)に基づく無極性のインク中で撹拌することにより、単純に分散することができる。先行技術から予期することができるものより、さらに良好な結果が得られた。
【0011】
意外にも、樹脂と顔料誘導体の一定量の存在下で、好ましくは、過熱を回避すると同時に増量剤および場合により酸化防止剤のさらなる存在下で粗顔料を乾式粉砕することにより、特筆すべき進展が得られることが、今や見出された。得られた顔料組成物は、芳香族およびその他の溶媒ならびに上記のような溶媒を含むワニスに非常に良好に分散する。したがって、もちろんこれを必要に応じて用いてもよいが、混練機またはビーズミルのような高エネルギーの装置を使用する必要がない。加えて、色の濃さが改善される。インクの乾燥および硬化の特性は、この酸化防止剤の量にも関わらず満たしている。
【0012】
それゆえに、本発明は、顔料組成物を生産するための方法に関係し、
(a) 粗顔料;
(b) スルホ;SO;アルカリ、アルカリ土類もしくはNスルホナト;SONR;CHNR、フタルイミドメチル、N−ピラゾリルメチルまたはN−サッカリニルメチル(ここで、R、R、RおよびRは、他から互いに独立しており、水素か、あるいはそれぞれ非置換またはヒドロキシおよび/もしくはハロゲンにより置換されたC−C24アルキル、C−C24シクロアルキル、C−C24アルケニル、C−C24アラルキル、またはC−C24アリールであり、それによってアルキルは、連続するか、または場合によってはO、N(C−Cアルキル)もしくはNHにより1〜10回中断されていてもよく、そしてフタルイミドは非置換か、またはハロゲンもしくはニトロにより置換される)により置換された発色団:粗顔料(a)の量に基づいて、8〜15重量%、好ましくは10〜12重量%;
(c) 樹脂:粗顔料(a)の量に基づいて、20〜55重量%、好ましくは25〜50重量%;
(d) 増量剤:(a)と(b)の総重量に基づいて、好ましくは2〜18重量%、より好ましくは5〜18重量%、最も好ましくは10〜18重量%;そして
(e) 酸化防止剤:粗顔料(a)の量に基づいて、好ましくは1〜10重量%を含む、場合により、さらなる成分
(ここで、組成物は、粉砕の間、粉末または粒状で残存する)
を含む組成物とともに粉砕の工程を含む。
【0013】
(b)の発色団は、顔料発色団に適切である。成分(a)と(b)は、好ましくは同じ顔料発色団クラスに関係する。特定の好みにより、(b)の発色団部分は、(a)と同一であり−すなわち、(b)は(a)の誘導体である(ここで、(a)はスルホ;SO;アルカリ、アルカリ土類もしくはNスルホナト;SONR;CHNR、フタルイミドメチル、N−ピラゾリルメチルまたはN−サッカリニルメチルにより置換される)。最も好ましくは、フタロシアニン発色団であり、特にフタロシアニン顔料と組み合わされる。
【0014】
粗顔料は、その合成から、乾燥後に得られたような顔料であり、一次粒子および/またはサイズ≧10μmの凝集体10〜100重量%を含む。しかしながら、乾燥は、少量の残留水分(水および/または有機溶媒)の存在を排除しない。一般に、酸ペースト化または再結晶化されなかった粗製物が好ましい。適した粗顔料は、無機および有機の両方であり、好ましくは有機顔料またはカーボンブラック、最も好ましくは多環式顔料、特にフタロシアニン、とりわけ、カラーインデックスのピグメントブルー15:1、15:3、15:6もしくは16、同様にピグメントグリーン7、36もしくは37のような銅フタロシアニン、ならびにピグメントバイオレット23もしくは37のようなジオキサジンである。
粗銅フタロシアニンは、モリブデン酸アンモニウムのような遷移金属化合物の触媒量の存在で、無水フタル酸と尿素および銅塩との反応として十分に確立された方法で、ニトロベンゼンのような高沸点の芳香族溶媒中で高温で、あるいは「乾式焼成」溶融法で溶媒の存在なしに実施する反応のいずれかにより製造される。粗銅フタロシアニンの製造のための標準的な方法は、F. H. MoserおよびA. L. Thomas, Vol. II / chapter 2, (登録商標) CRC press 1983による"The Phthalocyanines"に詳述され、その開示は、引用することにより本明細書に組み込まれる。これらの方法に従って生産された粗銅フタロシアニンは、典型的には10μm−100μmに及ぶ非顔料サイズである。
【0015】
ジオキサン誘導体を製造するために、一般に、クロルアニルをまず酸結合剤(例えば酢酸ナトリウム)の存在下で芳香族アミンと反応させて、2,5−ジアリールアミノ−3,6−ジクロロベンゾキノンを形成する。対応するジクロロジフェンジオキサジンは、環化温度を低下させる触媒(例えば、塩化アルミニウムまたはベンゼンスルホクロリド)の存在下、高沸点の溶媒中で、後者の酸化的環化により得られる。
【0016】
顔料として使用するためのカーボンブラックは、産業的に製造された製品であり、それは注意深く管理された条件下で生産され、そして極めて小さい粒子(化学的に結合した水素、酸素、窒素および硫黄を含有してもよい)を有する元素炭素からなる。それは油、脂肪または樹脂性材料を単に焼成し、そして冷却面上(インピンジメントブラック)または特別な煙道中(ランプブラック)のどちらかで消炎するか冷却して、製造することができる。そのような方法はまた、「デグサ・ガス・ブラック法(Degussa gas black process)」として公知である。最も重要なものは、ファーネスブラック法(1930年代に米国で開発され、1945年以後、実質的に改善された)であり、注意深く管理された条件下で、さまざまなカーボンブラックの等級の生産をする連続法である。サーマルブラックおよびアセチレンブラックの方法として公知のさらなる方法は、特殊製品の生産のために使用される。
【0017】
しかしながら、意外にも本発明の方法は、フタロシアニン、ジオキサジンおよびカーボンブラックの顔料にとって好都合なだけではない。それどころか、カラーインデックスに記載されているか、または他に知られているもの、例えば、ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、17、24、34、42、53、62、73、74、83、93、95、108、109、110、111、119、120、123、128、129、139、147、150、151、154、164、168、173、174、175、180、181、184、185、188、191、191:1、191:2、193、194および199;ピグメントオレンジ5、13、16、22、31、34、40、43、48、49、51、61、64、71、73および81;ピグメントレッド2、4、5、23、48、48:1、48:2、48:3、48:4、52:2、53:1、57、57:1、88、89、101、104、112、122、144、146、149、166、168、170、177、178、179、181、184、185、190、192、194、202、204、206、207、209、214、216、220、221、222、224、226、242、248、254、255、262、264、270および272;ピグメントブラウン23、24、25、33、41、42、43および44;ピグメントバイオレット19、23、29、31、37および42;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、25、26、28、29、60、64および66;ピグメントグリーン7、17、36、37および50;ピグメントホワイト6、6:1および7;ピグメントブラック6、7、8、10、12、27、30、31、32および37;バットレッド74;3,6−ジ(3’,4’−ジクロロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン,3,6−ジ(4’−シアノ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオンおよび3−フェニル−6−(4’−tert−ブチル−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン;ならびに混合物およびその固溶体として知られているさらに多くの顔料に、顕著に役立つ。
【0018】
上述の最も好ましい多環式顔料のほかに、ジスアゾイエロー顔料またはレーキアゾレッド顔料のようなアゾ顔料は、特に興味深い。好ましいジスアゾイエロー顔料またはレーキアゾレッド顔料は、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド52:2、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57またはピグメントレッド57:1である。
【0019】
アゾ顔料は、一般に、例えばアゾカップリング、および該当する場合、縮合または金属(好ましくは二価)とレーキ化する公知の手段において製造される。
【0020】
乾式粉砕するために粗顔料に加える第二の必須成分(b)は、スルホ;SO;アルカリ、アルカリ土類もしくはNスルホナト;SONR;CHNR、フタルイミドメチル、N−ピラゾリルメチルまたはN−サッカリニルメチル(ここで、R、R、RおよびRは、他から互いに独立しており、水素、あるいはそれぞれ非置換またはヒドロキシおよび/もしくはハロゲンにより置換されたC−C24アルキル、C−C24シクロアルキル、C−C24アルケニル、C−C24アラルキル、またはC−C24アリールであり、それによってアルキルは、連続するか、または場合によっては、O、N(C−Cアルキル)もしくはNHにより1〜10回中断されていてもよく、そしてフタルイミドは非置換か、またはハロゲンもしくはニトロにより置換される)により置換された発色団である。
【0021】
ほとんどの化合物(b)は、結晶成長抑制剤、レオロジー改良剤または分散剤として周知の顔料誘導体であり、ここで発色団の核部(時には、還元型または酸化型)が、望ましくは、金属またはスルホン酸アンモニウム(例えば、ヒドロキシ基をさらに有してもよい、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸ラウリルアンモニウムまたはスルホン酸第四級アルキル(アラルキル)アンモニウム)によるか、あるいは第三級アミノメチル(例えば、ジメチルアミノメチル)またはフタルイミドメチル基により置換される。
【0022】
好ましい発色団は、フタロシアニン、1,4−ジケト−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール、ジオキサジン、ペリレンおよび/またはキナクリドン(キナクリドンキノンおよび6,13−ジヒドロキナクリドンを包含する)の核部である。無色であるか、または粉砕される顔料の色に類似した色を示す(Δh≦30 TiOを50:50で有する上色中)誘導体(b)を使用することが、最も適しており、発色団と同じまたは近い関係にあることは、好ましいが必要ではない。
【0023】
乾式粉砕にとって第三の必須成分は、樹脂(c)である。樹脂が乾式粉砕の間、粉末のままであり、そして芳香族溶剤に可溶である限りは、樹脂の種類は、特に制限がない。適切な樹脂の典型例は、ロジン;一価または二価の金属のロジン塩;フェノール変性された、水素化された、脱水素化された、または不均衡化されたロジンのような、化学変性ロジン;二量化または重合されたロジン;エステル化ロジンまたは部分エステル化ロジン;変性マレイン酸ロジン;化学変性ロジンの一価または二価の金属の塩;炭化水素樹脂および変性炭化水素樹脂;アルキド樹脂;ポリアミド樹脂;セルロース樹脂、あるいはそのいずれか2個以上の混合物である。
【0024】
ロジンの主要な成分は、アビエチン酸(微量成分が、ネオアビエチン酸、レボピマル酸、ピマル酸、イソピマル酸および/またはパルストリン酸のような、その異性体および/または同族体である)である。一価または二価の金属のロジン塩は、例えばロジン酸ナトリウム、ロジン酸カリウム、ロジン酸カルシウム、ロジン酸亜鉛またはロジン酸マグネシウムである。フェノール変性ロジン(たとえロジンが量および特徴において一般に優位であるとしても、ロジン変性フェノール樹脂または合成コパールとも呼ばれる)は、従来技術において周知である。エステル化されたロジンは、そのカルボキシ基は、例えば2〜12個、好ましくはグリセリンまたはペンタエリトールのような、3〜6個のヒドロキシ基を有する多価アルコールを用いてエステル化されたロジンである。変性炭化水素樹脂は、場合によりハイブリッド炭化水素樹脂であってもよい。ポリアミド樹脂は、低分子(約15000以下の平均分子量M)が好ましい。すべての適切な樹脂は、この分野において公知である。
【0025】
好ましい樹脂は、ロジン、フェノール変性ロジン、ロジン金属塩、化学変性ロジン金属塩ならびにそれらの混合物である。好ましいセルロース樹脂はニトロセルロースである。
【0026】
ポリマーの分子量分布は、例えば超遠心分離およびゲルパーミエーションのような周知の方法により、測定することができる。
軟化点は、例えば環球法による、従来技術において周知である方法により、適切に測定される。
【0027】
増量剤(d)はまた、好ましくは乾式粉砕の段階で加えてもよい。適切な増量剤は、一般に白色または透明な無機化合物であって、それを、被覆力、不透過度または分散性のような、インクにおけるそれらの特性を改善するために、場合により化学変性または表面処理をすることができる。典型例は、ケイ酸アルミニウム(カオリン)、ケイ酸マグネシウムアルミニウム(フレンチ・チョーク)、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸バリウム−硫化亜鉛(リトポン)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、三水和アルミナ(ヒドラルギル石、ギブス石)、二酸化チタンならびにそれらの混合物である。
【0028】
化学変性または表面処理のない、あるいは粗い粒度を有する増量剤を使用できるようにするとともに、乾式粉砕の段階ですでに増量剤を加えることは、付加的な技術的利点を提供することが、意外にも見出された。これは好ましい増量剤の場合に特に好都合であり、それは、金属酸化物、硫化物、硫酸塩およびケイ酸塩、最も好ましいものはAl、Si、Ti、ZnまたはZrの酸化物、そして特に、場合によりさらに微量の遷移金属を含んでもよいAl、Ba、Be、Ca、K、Mg、Na、Ti、Znおよび/またはZrのケイ酸塩、ヒドロキシケイ酸塩またはオキシケイ酸塩である。
【0029】
非常に好ましいのは、酸化防止剤も加えられる。安定させる顔料と樹脂が接触する密接な表面を提供することにより、酸化防止剤の効力の、本来の粉砕工程の結果として有益な効果があることが見出された。酸化防止剤を、最も好ましくは粗顔料に基づいて2〜6重量%の量で加える。
【0030】
全ての公知の酸化防止剤、例えばアルキルフェノール類、アルキルチオメチルフェノール類、オイゲノール類、第二級アミン類、チオエーテル、亜リン酸エステル、亜ホスホン酸エステル、ジチオカルバマート、没食子酸エステル、マロン酸エステル、プロピオン酸エステル、酢酸エステルおよびその他エステル、カルボキサミド、ヒドロキノン、アスコルビン酸、トリアジン類、ベンジル化合物ならびにトコフェロールおよび類似のテルペン類が適している。そのような酸化防止剤は、例えばWO02/100960(13頁/1−20行)または商標IRGANOX(登録商標)およびTINUVIN(登録商標)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社)のもとに示された出典より当業者に知られており、そしてまた市販されている。酸化防止剤についての一般的な情報は、Taschenbuch der Kunststoff-Additive (R. GachterとH. Muller, Carl Hanser Verlag Munchen Wien, 2. Ausgabe 1983, ISBN 3-446-13689-4)またはPlastics Additives Handbook (H. Zweifel, 5th Ed. 2001, Hanser Publishers Munich, ISBN 3-446-21654-5)においても見つけることができる。
【0031】
好ましい酸化防止剤は、ヒンダードアルキルフェノール類であり、特に融点が71℃である2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールである。したがって、乾式粉砕が特に好ましく、70℃以下、例えば0〜70℃の温度で実行される。それにもかかわらず、同じ温度範囲は他の酸化防止剤にも有効である。乾式粉砕が熱を発生するにつれて、乾式粉砕が、好ましくは50〜65℃、最も好ましくは55〜62℃の内部温度を保持するために、効率よく冷却すべきである。より低い温度が適しているが、いかなる利点を提供することなしに、さらに冷却エネルギーが必要である。酸化防止剤のちょうど融点未満または樹脂/酸化防止剤の混合物のちょうど軟化点未満に至るまでの、より高い温度はまた適しているが、いかなる局部過熱をも避けるために、厳しく制御しなければならない。
【0032】
ヒンダードアルキルフェノール類は、少なくとも1個の、そして好ましくはフェノール性水酸基に対してオルトの2個のアルキル基を有するフェノールである。1個または好ましくはフェノール性水酸基に対してオルトである両方のアルキル基は、好ましくは第二級または第三級アルキル、最も好ましいのは第三級アルキル、特にtert−ブチル、tert−アミル、または1,1,3,3−テトラメチルブチルである。
【0033】
さらなる任意の成分は、当業界で周知である。例えば、少量の一般的な液体溶媒(例えば、塩素化炭化水素または芳香族炭化水素あるいはアルコール)は、ミルベース組成物が、粉砕の間、粉末または粒状で残存することを提供し、相利御剤(phase directors)として使用することができる。これらの溶媒は、乾燥した粗顔料において、残留「水分」として存在してもよい。超分散剤、ワックス、増量剤および/または染料を、必要に応じて通常量をさらに加えることができる。好ましくは、さらなる成分はまた、結晶成長抑制剤、レオロジー改良剤および/または分散剤を包含する。
【0034】
顔料誘導体(b)および樹脂(c)の両方が、少なくとも乾式粉砕の最終工程の間に、さらに好ましくは粗顔料(a)の全乾式粉砕工程の間に存在していることが、本発明にとって必須である。乾式粉砕の最終工程は、顔料の平均粒径を、その最終値に対して、係数2、好ましくは係数1 1/2に(例えば、それぞれ0.8μm〜0.4μm、または0.9μm〜0.6μm)、最終的に減少する工程である。増量剤(d)を、場合によりすでに乾式粉砕の前または間に、好ましくは乾式粉砕の最終段階の前に加えるが、代わりに省略するか、または乾式粉砕後に乾式混合してもよい。しかしながら、全般的なインクの性能は、増量剤が粉砕の間に存在する場合に改善される。増量剤(d)が全乾式粉砕工程間に存在するのが最も好ましい。酸化防止剤は必須ではないが、それにもかかわらず一般に組成物の特性を改善する。
【0035】
しかしながら、意外にも本発明にとって必須なことは、樹脂の総量を狭く規定することである。粗顔料(a)の量に基づいて樹脂が20重量%未満ものは、意外にも、より不十分な分散性、分散の発達、光沢および透明性をもたらし、一方で粗顔料に基づいて樹脂の55重量%を超えるものは、より不十分な流れをもたらし、組成の柔軟性を制限して、そして不経済である。樹脂の総量は、粗顔料(a)の量に基づいて、好ましくは25重量%〜50重量%である。
【0036】
成分の好ましい量は、好ましくはともに組み合わされている。すなわち、粗顔料(a)の重量に基づいて、発色団誘導体(b)の好ましくは10〜12重量%が、樹脂(c)の好ましくは25〜50重量%、および/または(a)と(b)の総重量に基づいて、増量剤(d)の5〜18重量%、最も好ましくは10〜18重量%とともに使用される。
【0037】
任意のさらなる成分、それぞれは、他から独立して乾式粉砕の前、間もしくは後のいずれかの工程段階に、一度にまたは分割して加えることができ、その量は、顔料の量が総組成物の55〜75重量%、好ましくは60〜70重量%になるように、顔料、顔料誘導体、樹脂および酸化防止剤の量に従って適切に選択される。
【0038】
本明細書で定義されるように、粉砕は、固体が、それによって磨砕、粉砕または粒子径減少を達成するのと同じことを受ける方法を意味する。この場合、関連する粉砕技術は、実質的に液体のない径減少のための方法を意味する乾式粉砕である。しかしながら、液体の低い水準は、得られた粉砕された材料が自由流動性の乾燥粉末であり、例えば残存する湿度または溶媒を残存する限り、粉砕段階の間に存在してもよい。乾式粉砕のための適切な装置は、例えば回分式または連続的ないずれかが動く、回転または振動ボールミルか、あるいはジェットミルまたは高速ミルであってもよい。
【0039】
乾式粉砕の工程は、特に成分が別々に加えられる場合、成分、特に酸化防止剤の融点未満の温度で最も適切に作用する。しかしながら、例えば、最初に酸化防止剤をフェノール変性するか、または他の樹脂に組み込み、次に、酸化防止剤の融点より高いが、樹脂/酸化防止剤の混合物の軟化点より低い温度で粉砕することも可能である。
【0040】
粉砕は、必要に応じて、CO、NまたはArのような不活性ガスで部分的または全体的に不活性化することができる。しかしながら、一般に不活性化は重要な利点を提供しない。
【0041】
本発明の方法によって得られた組成物はまた新しい。それゆえに、本発明はまた
(a) 乾式粉砕した顔料:組成物に基づいて、55〜75重量%;
(b) スルホ;SO;アルカリ、アルカリ土類もしくはNスルホナト;SONR;CHNR、フタルイミドメチル、N−ピラゾリルメチルまたはN−サッカリニルメチル(ここで、R、R、RおよびRは、他から互に独立して、水素か、あるいはそれぞれ非置換またはヒドロキシおよび/もしくはハロゲンにより置換されたC−C24アルキル、C−C24シクロアルキル、C−C24アルケニル、C−C24アラルキル、またはC−C24アリールであり、それによってアルキルは、連続するか、または場合によりO、N(C−Cアルキル)もしくはNHにより1〜10回中断されていてもよく、そしてフタルイミドは非置換か、またはハロゲンもしくはニトロにより置換される);により置換された発色団:粗顔料(a)量に基づいて、8〜15重量%、好ましくは10〜12重量%;
(c) 樹脂:粗顔料(a)の量に基づいて、20〜55重量%、好ましくは25〜50重量%;
(d) 増量剤:(a)と(b)の総重量に基づいて、好ましくは2〜18重量%、より好ましくは5〜18重量%、最も好ましくは10〜18重量%;そして
(e) 酸化防止剤:粗顔料(a)の量に基づいて、好ましくは1〜10重量%を含む、場合により、さらなる成分
を含む粉末組成物または粒状組成物に関連する。
【0042】
当業者は、明らかに、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の量がお互いに依存し、場合によりさらなる成分を含む組成物の総重量が、常に100%であることを理解するであろう。例えば、さらなる成分がない場合、(a)の量に依存して、(b)、(c)、(d)および(e)の合計が組成物の25〜45重量%である。
【0043】
本発明の乾式粉砕された顔料は、その結晶化度、結晶相、粒子形状、粒度または粒度分布を実質的に修正または改良するために、溶媒処理のために乾式粉砕した後に、さらに処理を受けないで本発明の方法で得られるような顔料であることを理解すべきである。上記に開示しているように、また、さらなる成分を含んでもよい本発明の組成物は、刊行物グラビアまたは包装の印刷用インクのワニスのような、液体の芳香族炭化水素、または液体の芳香族炭化水素を含んでいる組成物に容易に分散する。
【0044】
液体の芳香族炭化水素は、例えばベンゼン、トルエン、キシレンまたはメシチレン、好ましくはトルエンまたはキシレンである。一般に、本発明の顔料を、本発明の顔料の量に基づいて、芳香族炭化水素の少なくとも100重量%、好ましくは芳香族炭化水素の少なくとも200重量%で分散することが適している。芳香族炭化水素は、単独または2種以上の混合物(例えば、キシレン異性体の混合物)、場合によりグラビアまたは包装のインクとして従来使用されているもののように、芳香族炭化水素と混合可能な、さらなるインク溶媒と組み合わせて使用してもよい。
【0045】
好ましくは、芳香族炭化水素と場合によりさらなる溶媒(本発明の顔料組成物が意外にも容易に分散する)を含むワニスの総量が、本発明の組成物の量に基づいて、約200〜500%重量部であり、たとえば、顔料を含むワニスに基づいて顔料を約12〜25重量%含む、濃縮された顔料のワニスを得る。次に、この濃縮されたワニスを、刊行物グラビアまたは包装のインクに基づいて、好ましくは6〜9重量%の顔料を含む刊行物グラビアインクまたは包装のインクを得るために、普通はさらなる溶媒またはインク用ワニスでさらに希釈する。
【0046】
それゆえに、本発明はまた、本発明の組成物を、粗顔料(a)の重量に基づいて、100〜600重量%の芳香族炭化水素または芳香族炭化水素の混合物を含む液体と混合し、そして撹拌手段により分散する工程を含む、顔料分散体を製造するための方法に関連する。特定の実施態様において、液体は、芳香族炭化水素または芳香族炭化水素の混合物の重量に基づいて、芳香族炭化水素と混合可能であるインク溶媒またはインク溶媒の混合物を、好ましくは、0.001〜500重量%の割合の芳香族炭化水素と混合可能なインク溶媒またはインク溶媒の混合物をさらに含む。さらなるインク溶媒は、芳香族炭化水素と十分に異なる。好ましいさらなるインク溶媒は、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類またはそれらの混合物である。
【0047】
芳香族炭化水素は、そのままで、または通常インク用ワニスに含まれているもののようなその中で溶解もしくは分散されるさらなる成分と組み合わせて、加えることができる。そのようなさらなる成分は、当技術分野で周知であり、そしてここで詳細に列挙する必要はない。必要に応じてハンドブック、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, (登録商標) 2000, Printing Inks - Offset Printingを参考にしてもよい。典型的な例は、最終インク形成のために適切な濃度で変性したフェノール樹脂、ワックス、増量剤、ハイパー分散剤およびその他の樹脂である。
【0048】
芳香族炭化水素は、好ましくは10Paで100〜350℃の沸点を有し、適切には処理温度で液体でありそして好ましくは20℃で液体である。
【0049】
顔料は、一般に、低い分散エネルギーで分散して、乾式粉砕することによって得られたようなその典型的な特性を有利に保持する。例えば、銅フタロシアニンは、α結晶相とβ結晶相の混合物で、代表的にはα結晶相が15〜70重量%、好ましくは25〜50重量%で残存する。また、破損した稜と隅を有する粒子の形態は、乾式粉砕に特有である。したがって、再結晶した顔料からの区別は、これが顔料の化学的同一性に非常に依存するにもかかわらず、通常は容易である。
【0050】
本発明の組成物は、溶媒、またはバインダーを含む溶媒に、適切な撹拌ヘッド(例えば、高速Dispermat(商標)、あるいはコールズ翼、三枚羽根翼またはバタフライ翼を備えた予備混合撹拌機、撹拌のためのアンカー・パドル型撹拌機を使用し、低速撹拌の性能がある従来の撹拌機を含む低せん断撹拌機)を備えた低速および高速撹拌機または混合機のような、適切な低せん断分散装置を使用して、容易に分散させることができる。しかしながら、代わりに押出機、混練機またはビーズミルのような従来の粉砕装置またはミリング装置を、好ましくは穏和な操作条件下で、使用することができる。
【0051】
好ましくは、分散体を、加熱なしで、特に冷却して得る。
【0052】
適切な低せん断分散装置は、例えば上述のような分散機である。しかしながら、代わりに押出機または3本ロールミルもしくはビーズミルのようなより高いせん断に到達するために適切な装置を、好ましくは穏和な操作条件下で、使用することもできる。
【0053】
分散体の総重量に基づいて5〜30重量%の濃度レベルで顔料を分散させることが適している。好ましくは、顔料を、分散体の総重量に基づいて、6〜25重量%の濃度レベルに分散させる。本発明の特定の態様において、顔料を最初に分散体の総重量に基づいて、12〜25重量%の濃度レベル、次にさらに、分散体の総重量に基づいて、6〜9重量%のレベルに分散させる。
【0054】
それゆえに、本発明はまた、
(a) 乾式粉砕した顔料:分散体の総重量に基づいて6〜25重量%;
(b) スルホ;SO;アルカリ、アルカリ土類もしくはNスルホナト;SONR;CHNR、フタルイミドメチル、N−ピラゾリルメチルまたはN−サッカリニルメチル(ここで、R、R、RおよびRは、他から互いに独立して、水素か、あるいはそれぞれ非置換またはヒドロキシおよび/もしくはハロゲンにより置換されたC−C24アルキル、C−C24シクロアルキル、C−C24アルケニル、C−C24アラルキル、またはC−C24アリールであり、それによってアルキルは、連続するか、または場合によってはO、N(C−Cアルキル)もしくはNHにより1〜10回中断されていてもよく、そしてフタルイミドは非置換か、またはハロゲンもしくはニトロにより置換される);により置換された発色団:粗顔料(a)量に基づいて、8〜15重量%、好ましくは10〜12重量%;
(c) 樹脂:粗顔料(a)の量に基づいて、20〜55重量%、好ましくは25〜50重量%;
(d) 増量剤:(a)と(b)の総重量に基づいて、好ましくは2〜18重量%、より好ましくは5〜18重量%、最も好ましくは10〜18重量%;
(e) 酸化防止剤:粗顔料(a)の量に基づいて、好ましくは1〜10重量%を含む場合により、さらなる成分;そして
(f) 芳香族炭化水素または芳香族炭化水素の混合物:顔料(a)の重量に基づいて、100〜600重量%を含む液体
を含む顔料分散体に関連する。
【0055】
顔料分散体はまた、例えば通常のさらなる溶媒のようなさらなる成分を、場合により含有してもよい。
【0056】
本発明の顔料分散体は、刊行物グラビアインクまたは包装の印刷用インクの製造のために有利に使用される。刊行物グラビアまたは包装の印刷用インクを製造する技術は、当技術分野で周知である。
【0057】
もちろん、本発明の組成物はまた、混練または押出しにより固体結合剤に組み込むことができ、このようにマスターバッチまたはインク濃縮物を生産する。このように、本発明はまた、顔料組成物の製造のための方法(ここで、乾式粉砕することにより、本発明によって得られた組成物は、場合により20℃で固体である結合剤を乾式粉砕することにより得られた顔料組成物に基づいて0〜300重量%とともに、混練または押出しされる)に関連する。この方法は、それら自身が本発明の乾式粉砕法に適していない特定の結合剤を含む組成物の製造を可能にする。実用的な結合剤は、例えばWO05/044924に開示されたもの包含する。これらの顔料組成物は、通常の方法に従うか、または本発明の乾式粉砕された組成物と同様に低いせん断力でインクにさらに加工してもよい。
【0058】
本発明によって得られる刊行物グラビアまたは包装のインクは、優れた分散度、色の濃さ、光沢および取り消し線のような、予期しなかった素晴らしい適用性を有する。
【0059】
続く例は、本発明を例証し、いかなる方法においてそれを制限することはない(“%”は、他に指定のない限り重量によるものである)。
【0060】
比較例1
粗銅フタロシアニン 90.25gおよびSolsperse(商標)5000(1−2テトラアルキルアンモニウムスルファト基により置換された銅フタロシアニン)9.75gを、相転移によってα含有量30%〜60%の間を得るまでボールミル中、≦65℃でともに粉砕した。粉砕した材料36.0gを、金属樹脂酸塩62.6gを含むトルエン137.0gと混合した。混合物を、水冷下でコールズ翼4.2cmを使用して4000rmp、15分間で予備混合した。次に、コールズ翼を三重ディスク翼と取り替え、2mmのグラスビーズ 320gを加えて、予備混合したインクを2000rpmで、30分間ビーズミルした。この分散体を、金属樹脂酸塩(50%) 46.85gを含むトルエン 113.5gで、続けてGSカップ中で30秒の流れを得ることができるように、さらなるトルエンで希釈した。No.0K−Barを使用して、コート紙またはコーティングされていない紙の上に予備混合段階およびビーズミル段階のそれぞれの後、分散体のドローダウンによって、例証品を製造した。色の濃さ、光沢、色相および透明度を、常法で評価した。それぞれの印刷のための印刷濃度を、濃度計(Gretag D19C)を使用して、測定した。光沢を、Erichsenミニグロスマスターを使用して60°で同等のフィルム重量で測定した。分散体を、顕微鏡評価により特徴づけた。
【0061】
例1
粗銅フタロシアニン 71.05g、Solsperse(商標)5000 7.90gおよびフェノール変性された樹脂(M〜12000) 21.05を、相転移によってα含有量30%〜60%の間を得るまでボールミル中、≦65℃で、ともに粉砕した。粉砕した材料 48.0gを、金属樹脂酸塩 53.1gを含むトルエン 157.0gと混合した。混合物を、水冷下でコールズ翼4.2cmを使用して4000rpmで、15分間予備混合した。次に、コールズ翼を三重ディスク翼と取り替え、2mmのグラスビーズ 320gを加えて、予備混合したインクを2000rpmで、30分間ビーズミルした。このようにして得られた分散体を、金属樹脂酸塩(50%) 46.85gを含むトルエン 113.5gで、続けてGSカップ中で30秒の流れを得ることができるようにさらなるトルエンで希釈した。No.0K−Barを使用してコート紙またはコーティングされていない紙の上に、予備混合段階およびビーズミル段階のそれぞれの後、分散体のドローダウンによって、例証品を製造した。色の濃さ、光沢、色相および透明度を、比較例1と同じ方法で評価した。
【0062】
例2
粗銅フタロシアニン 71.05g、Solsperse(商標)5000 7.90gおよび変性した樹脂酸Zn/Caロジン 21.05を、相転移によってα含有量30%〜60%の間を得るまで、ボールミル中、≦65℃で、ともに粉砕した。粉砕した材料 21.3gを、金属樹脂酸塩 43.2gを含むトルエン 135.5gと混合した。混合物を、水冷下でコールズ翼4.2cmを使用して4000rpmで、15分間予備混合した。次に、コールズ翼を三重ディスク翼と取り替え、2mmのグラスビーズ 320gを加えて、予備混合したインクを2000rpmで、30分間ビーズミルした。次に、さらなるトルエンを、GSカップ中で30秒の流れを得ることができるように加えた。例証品を、No.0K−Barを使用して、コート紙またはコーティングされていない紙の上に、予備混合段階およびビーズミル段階のそれぞれの後、分散体のドローダウンにより製造した。色の濃さ、光沢、色相および透明度を、比較例1と同じ方法で評価した。
【0063】
例3
粗銅フタロシアニン 71.05g、Solsperse(商標)5000 7.90gおよび変性した樹脂酸Zn/Caロジン 21.05を、相転移によってα含有量30%〜60%の間のを得るまで、ボールミル中、≦65℃で、ともに粉砕した。次に、得られた混合物を、含水ケイ酸アルミニウム粉末 11.1gと乾式混合した。粉砕した材料 23.6gを、金属樹脂酸塩 43.2gを含むトルエン 133.2gと混合した。混合物を、水冷下でコールズ翼4.2cmを使用して4000rpm、15分間で予備混合した。次に、コールズ翼を三重ディスク翼と取り替え、2mmのグラスビーズ 320gを加えて、予備混合したインクを2000rpmで、30分間ビーズミルした。次に、さらなるトルエンを、GSカップ中で30秒の流れを得ることができるように加えた。No.0K−Barを使用してコート紙またはコーティングされていない紙の上に、予備混合段階およびビーズミル段階のそれぞれの後、分散体のドローダウンによって、例証品を製造した。色の濃さ、光沢、色相および透明度を、比較例1と同じ方法で評価した。
【0064】
例4
粗銅フタロシアニン 63.64g、Solsperse(商標)5000 6.82g、変性した樹脂酸Zn/Caロジン 20.45および含水ケイ酸アルミニウム粉末 9.09gを、相転移によってα含有量30%〜60%の間を得るまでボールミル中、≦65℃で、ともに粉砕した。粉砕した材料 22.6gを、金属樹脂酸塩 43.1gを含むトルエン 134.3gと混合した。混合物を、水冷下でコールズ翼4.2cmを使用して4000rpmで、15分間予備混合した。次に、コールズ翼を三重ディスク翼と取り替え、2mmのグラスビーズ 320gを加えて、予備混合したインクを2000rpmで、30分間ビーズミルした。次に、さらなるトルエンを、GSカップ中で30秒の流れを得ることができるように加えた。No.0K−Barを使用して、コート紙またはコーティングされていない紙の上に、予備混合段階およびビーズミル段階のそれぞれの後、分散体のドローダウンによって、例証品を製造した。色の濃さ、光沢、色相および透明度を、比較例1と同じ方法で評価した。インクは、例2および3のインクと比較して非常に改善された流れを有する。
【0065】
例5
粗銅フタロシアニン 63.64g、n−トリデシルアンモニウム銅フタロシアニン モノスルホン酸塩 6.82g、変性した樹脂酸Zn/Caロジン 20.45および含水ケイ酸アルミニウム粉末 9.09gを、相転移によってα含有量30%〜60%の間を得るまで、ボールミル中、≦65℃で、ともに粉砕した。粉砕した材料 21.3gを、金属樹脂酸塩 43.2gを含むトルエン 135.5gと混合した。混合物を、水冷下でコールズ翼4.2cmを使用して4000rpmで、15分間で予備混合した。次に、コールズ翼を三重ディスク翼と取り替え、2mmのグラスビーズ 320gを加えて、予備混合したインクを2000rpmで、30分間ビーズミルした。次に、さらなるトルエンを、GSカップ中で30秒の流れを得ることができるように加えた。No.0K−Barを使用して、コート紙またはコーティングされていない紙の上に、予備混合段階およびビーズミル段階のそれぞれの後、分散体のドローダウンによって、例証品を製造した。色の濃さ、光沢、色相および透明度を、比較例1と同じ方法で評価した。
【0066】
例6
粗銅フタロシアニン 55.55g、SOLSPERSE(商標)5000 5.95g、変性した樹脂酸Zn/Caロジン 30.55gおよび含水ケイ酸アルミニウム粉末 7.95gを、相転移によってα含有量30%〜60%の間を得るまでボールミル中、≦65℃で、ともに粉砕した。粉砕した材料 24.4gを、金属樹脂酸塩 40.09gを含むトルエン 135.5gと混合した。混合物を、水冷下でコールズ翼4.2cmを使用して4000rpm、15分間で予備混合した。次に、コールズ翼を三重ディスク翼と取り替え、2mmのグラスビーズ 320gを加えて、予備混合したインクを2000rpmで、30分間ビーズミルした。次に、さらなるトルエンを、GSカップ中で30秒の流れを得ることができるように加えた。No.0K−Barを使用してコート紙またはコーティングされていない紙の上に予備混合段階およびビーズミル段階のそれぞれの後、分散体のドローダウンによって、例証品を製造した。色の濃さ、光沢、色相および透明度を、比較例1と同じ方法で評価した。
【0067】
例7
粗銅フタロシアニン 63.64g、SOLSPERSE(商標)5000 6.82g、変性した樹脂酸Zn/Caロジン 20.45および処理した炭酸カルシウム(SOCAL(商標)U1S2) 9.09gを、相転移によってα含有量30%〜60%の間を得るまでボールミル中、≦65℃で、ともに粉砕した。粉砕した材料 21.3gを、金属樹脂酸塩 43.2gを含むトルエン 135.5gと混合した。混合物を、水冷下でコールズ翼4.2cmを使用して4000rpmで、15分間予備混合した。次に、コールズ翼を三重ディスク翼と取り替え、2mmのグラスビーズ 320gを加えて、予備混合したインクを2000rpmで、30分間ビーズミルした。次に、さらなるトルエンを、GSカップ中で30秒の流れを得ることができるように加えた。No.0K−Barを使用して、コート紙またはコーティングされていない紙の上に、予備混合段階およびビーズミル段階のそれぞれの後、分散体のドローダウンによって、例証品を製造した。色の濃さ、光沢、色相および透明度を、比較例1と同じ方法で評価した。
【0068】
色特性の比較(ビーズミル後のビーズミルされた市販の製品を標準として比較)
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
データは、乾式粉砕した混合物の組成物が必須であることを明確に示す。乾式粉砕間の増量剤の存在は、色の濃さおよび光沢にわずかにしか作用しない一方で、意外にも流れを大いに増大させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 粗顔料;
(b) スルホ;SO;アルカリ、アルカリ土類もしくはNスルホナト;SONR;CHNR、フタルイミドメチル、N−ピラゾリルメチルまたはN−サッカリニルメチル(ここで、R、R、RおよびRは、他から互いに独立して、水素か、あるいはそれぞれ非置換またはヒドロキシおよび/もしくはハロゲンにより置換されたC−C24アルキル、C−C24シクロアルキル、C−C24アルケニル、C−C24アラルキル、またはC−C24アリールであり、それによってアルキルは、連続するか、または場合によりO、N(C−Cアルキル)もしくはNHにより1〜10回中断されていてもよく、そしてフタルイミドは非置換か、またはハロゲンもしくはニトロにより置換される)により置換された発色団:粗顔料(a)の量に基づいて、8〜15重量%、好ましくは10〜12重量%;
(c) 樹脂:粗顔料(a)の量に基づいて、20〜55重量%、好ましくは25〜50重量%;
(d) 増量剤:(a)と(b)の総重量に基づいて、好ましくは2〜18重量%、より好ましくは5〜18重量%、最も好ましくは10〜18重量%;そして
(e) 酸化防止剤:粗顔料(a)の量に基づいて、好ましくは1〜10重量%を含む、場合により、さらなる成分
(ここで、組成物は、粉砕の間、粉末または粒状で残存する)
を含む組成物とともに粉砕の工程を含む、顔料組成物を生産するための方法。
【請求項2】
温度が0〜70℃である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
(a) 乾式粉砕された顔料:組成物に基づいて、55〜75重量%;
(b) スルホ;SO;アルカリ、アルカリ土類もしくはNスルホナト;SONR;CHNR、フタルイミドメチル、N−ピラゾリルメチルまたはN−サッカリニルメチル(ここで、R、R、RおよびRは、他から互いに独立して、水素か、あるいはそれぞれ非置換またはヒドロキシおよび/もしくはハロゲンにより置換されたC−C24アルキル、C−C24シクロアルキル、C−C24アルケニル、C−C24アラルキル、またはC−C24アリールであり、それによってアルキルは、連続するか、または場合によりO、N(C−Cアルキル)もしくはNHにより1〜10回中断されていてもよく、そしてフタルイミドは非置換か、またはハロゲンもしくはニトロにより置換される);により置換された発色団:粗顔料(a)の量に基づいて、8〜15重量%、好ましくは10〜12重量%;
(c) 樹脂:顔料量に基づく粗顔料(a)の量に基づいて、20〜55重量%、好ましくは25〜50重量%;
(d) 増量剤:(a)と(b)の総重量に基づいて、好ましくは2〜18重量%、より好ましくは5〜18重量%、最も好ましくは10〜18重量%;そして
(e) 酸化防止剤:粗顔料(a)の量に基づいて、好ましくは1〜10重量%を含む、場合により、さらなる成分
を含む粉末組成物または粒状組成物。
【請求項4】
請求項3記載の組成物を、顔料(a)の重量に基づいて、100〜600重量%の芳香族炭化水素または芳香族炭化水素の混合物を含む液体と混合する工程を含む、顔料分散体を製造するための方法。
【請求項5】
樹脂(c)が、ロジン、フェノール変性ロジン、ロジン金属塩、化学変性ロジン金属塩ならびにその混合物からなる群より選択される、請求項1、2または4記載の方法。
【請求項6】
請求項3記載の組成物が、混練されるか、または押出され、請求項3記載の組成物に基づいて、場合により0〜300重量%の20℃で固体である結合剤を有する、顔料組成物の製造のための方法。
【請求項7】
樹脂(c)が、ロジン、フェノール変性ロジン、ロジン金属塩、化学変性ロジン金属塩ならびにその混合物からなる群より選択される、請求項3記載の組成物。
【請求項8】
(a) 乾式粉砕した顔料:分散体の総重量に基づいて、6〜25重量%;
(b) スルホ;SO;アルカリ、アルカリ土類もしくはNスルホナト;SONR;CHNR、フタルイミドメチル、N−ピラゾリルメチルまたはN−サッカリニルメチル(ここで、R、R、RおよびRは、他から互いに独立して、水素か、あるいはそれぞれ非置換またはヒドロキシおよび/もしくはハロゲンにより置換されたC−C24アルキル、C−C24シクロアルキル、C−C24アルケニル、C−C24アラルキル、またはC−C24アリールであり、それによってアルキルは、連続するか、または場合によりO、N(C−Cアルキル)もしくはNHにより1〜10回中断されてもよく、そしてフタルイミドは非置換またはハロゲンもしくはニトロにより置換される)により置換された発色団:粗顔料(a)の量に基づいて、8〜15重量%、好ましくは10〜12重量%;
(c) 樹脂:顔料量に基づく粗顔料(a)の量に基づいて、20〜55重量%、好ましくは25〜50重量%;
(d) 増量剤:(a)と(b)の総重量に基づいて、好ましくは2〜18重量%、より好ましくは5〜18重量%、最も好ましくは10〜18重量%;
(e) 酸化防止剤:粗顔料(a)の量に基づいて、好ましくは1〜10重量%を含む、場合によりさらなる成分;そして
(f) 芳香族炭化水素または芳香族炭化水素の混合物:顔料(a)の重量に基づいて、100〜600重量%を含む液体
を含む顔料分散体。
【請求項9】
芳香族炭化水素または芳香族炭化水素の混合物の重量に基づいて、0.001〜500重量%の芳香族炭化水素と混合可能なインク溶媒またはインク溶媒の混合物をさらに含む、請求項8記載の顔料分散体。
【請求項10】
樹脂(c)が、ロジン、フェノール変性ロジン、ロジン金属塩、化学変性ロジン金属塩ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項7、8または9記載の組成物または顔料分散体。
【請求項11】
印刷用インク、好ましくは刊行物グラビアまたは包装の印刷用インクの製造のための、請求項3または7記載の組成物の使用。
【請求項12】
印刷用インク、好ましくは刊行物グラビアまたは包装の印刷用インクの製造のための、請求項7、8または9記載の顔料分散体の使用。
【請求項13】
顔料分散体が、分散剤を用いてか、または押出機中に単一パスを用いて、好ましくは分散剤を用いて製造される、請求項11または12記載の使用。
【請求項14】
請求項1、2、4、5または6記載の方法、請求項3、7または10記載の組成物、請求項11、12または13記載の使用、あるいは顔料が、フタロシアニン、ジオキサジンまたはカーボンブラック、好ましくはカラーインデックスのピグメントブルー15:1、15:3、15:6もしくは16、ピグメントグリーン7、36もしくは37、ピグメントバイオレット23もしくは37またはピグメントブラック6、7もしくは8である、請求項8または9記載の顔料分散体。
【請求項15】
請求項1、2、4、5または6記載の方法、請求項3、7または10記載の組成物、請求項11、12または13記載の使用、あるいは、顔料が、アゾ顔料、好ましくはジスアゾイエロー顔料またはレーキアゾレッド顔料、最も好ましくはピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド52:2、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57またはピグメントレッド57:1である請求項8または9記載の顔料分散体。

【公表番号】特表2009−507098(P2009−507098A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528486(P2008−528486)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065668
【国際公開番号】WO2007/025932
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】