説明

グラビティー溶接器の脚

【目的】 半自動化の作業範囲の拡大と作業効率の向上を図ろうとするものである。
【構成】 半自動のグラビティー式の溶接器は、三脚の脚6,6,7とホルダー5によって構成されており、三脚の脚6,6,7は、短く同じ長さの脚6,6が2本とスライドバー7いわゆる他の2本より長い脚の1本の三脚で支持され、また、短い脚6,6には、それぞれにパイプ式の補助脚10が設けられている。

【考案の詳細な説明】
【0010】
【産業上の利用分野】
この考案は、半自動のグラビティー溶接器の治具に関するものである。
【0020】
【従来の技術】
従来、この種の考案は、図4に示すように、基盤33の上面に定盤の脚34が同じ寸法で立設している。
【0030】
鋼板31に平鋼32を連続すみ肉溶接する場合、該定盤の脚34上に鋼板31を水平に設置し、該鋼板31の上面に平鋼32を所定の寸法又は一定間隔に仮付されていた。
【0040】
仮付された平鋼32と鋼板31の連続すみ肉溶接は、半自動のグラビティー式の溶接器が使用され、ホルダー35は短く同じ長さの脚36が2本とスライドバー37いわゆる他の2本より長い脚の1本の三脚で支持されており、該スライドバー37の傾斜角度は30〜40度に調整されている。
【0050】
また、グラビティー式の溶接器において、溶接品質の良い条件はスライドバー37の傾斜角度が30〜40度に調整された場合が溶接棒38の入射角が適当となるのである。
【0060】
ホルダー35は、数個のローラ39を有しており、スライドバー37をローラ39が挟持し、傾斜をホルダー35が滑り落ちるようになっている。
【0070】
ホルダー35は、溶接棒38を挟着し、溶接棒38の先端は、平鋼32と鋼板31の隅部に当てられ、アークが発生し、溶接棒38は燃焼し、短くなり、ホルダー35の自重により傾斜を滑り落ち、連続溶接が行える。
【0080】
【考案が解決しようとする課題】
従来の技術で述べたように、グラビティー式の溶接器は、いつも使用条件の良い状態では使用されない。鋼板には、障害物があったり、鋼板の耳だけであったり、例えば、図5に示すように、鋼板31には開口が開いてあり、溶接器のスライドバー37を溶接部に位置決めすると、短い脚36の一方又は両方が鋼板31いわゆる水平面から外れ、三脚が立設せず、スライドバー37の傾斜角が一定に保つことができなく、使用できなかった。しかるに、使用条件によっては手動によるアーク溶接を行っていた。
【0090】
この考案は、従来の技術の有するこのような不十分な点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、半自動化の作業範囲の拡大と作業効率の向上を図ろうとするものである。
【0100】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この考案は、半自動のグラビティー式の溶接器の短い脚の一方又は両方の長さの調整を行なう。
【0110】
【作用】
この考案は、短い脚の脚下が低くなった場合に、一方又は両方の長さの調整を行なうことにより、スライドバーの傾斜角度を30〜40度を保つことができ、溶接棒の入射角が適当となり、溶接品質の良い溶接ができる。
【0120】
【実施例】
実施例について、図面を用いて説明すると、図1、図2および図3に示すように、半自動のグラビティー式の溶接器は、三脚の脚6,6,7とホルダー5によって構成されており、三脚の脚6,6,7は、短く同じ長さの脚6,6が2本とスライドバー7いわゆる他の2本より長い脚の1本の三脚で支持されている。該スライドバー7の傾斜角度は、それぞれの脚6,6,7の下を水平面に置くと30〜40度になるよう脚の長さが調整されている。
【0130】
また、短い脚6,6には、それぞれにパイプ式の補助脚10が設けられている。
【0140】
図2に示すように、二連の円環11に上方から脚6を挿入し、円環11の胴部にネジ穴を設け、蝶ネジ12で螺着する。また、他方の円環11にも補助脚10を挿入し、他方の円環11の胴部にもネジ穴を設け、蝶ネジ12で螺着する。
【0150】
補助脚10の長さは、蝶ネジ12を緩めスライドさせることにより、調節できるようになっており、他方の蝶ネジ12を緩めることにより、取り外しも簡単となっている。
【0160】
図3に示すように、補助脚10より少し直径の大きいスリーブ13を設け、該スリーブ13に補助脚10の片方端の先端を差し込み、溶着する。スリーブ13の反対側には脚6が挿入される。
【0170】
また、補助脚10の長さは、定盤の高さとほぼ同じ長さとする。
【0180】
さらに、この考案の使用方法について、図1で説明すると、基盤3の上面に定盤の脚4が碁盤状に同じ高さで立設している。
【0190】
鋼板1に平鋼2を連続すみ肉溶接する場合、該定盤の脚4上に鋼板1を水平に設置し、該鋼板1の上面に平鋼2を所定の寸法又は一定間隔に仮付する。
【0200】
仮付された平鋼2と鋼板1の連続すみ肉溶接は、半自動のグラビティー式の溶接器が使用され、ホルダー5は、脚6,6が2本とスライドバー7の三脚で支持されており、該スライドバー7の傾斜角度は30〜40度に調整される。
【0210】
この場合、鋼板には、障害物があったり、鋼板1の耳だけであったり、例えば、図5に示すように、鋼板1には開口が開いてたり、溶接器のスライドバー7を溶接部に位置決めすると、短い脚6の一方又は両方が鋼板1いわゆる水平面から外れる場合がある。このような場合に、短い脚6の一方又は両方に補助脚10を設け、該補助脚10の脚下は基盤3に立設し、スライドバー7の傾斜角は30〜40度に調整することができる。
【0220】
ホルダー5は、数個のローラ9を有しており、スライドバー7をローラ9が挟持し、傾斜をホルダー5が滑り落ちるようになっている。
【0230】
ホルダー5は、溶接棒8を挟着し、溶接棒8の先端は、平鋼2と鋼板1の隅部に当てられ、アークが発生し、溶接棒8は燃焼し、短くなり、ホルダー5の自重により傾斜を滑り落ち、連続溶接が行える。
【0240】
【考案の効果】
この考案は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を奏する。
この考案は、半自動のグラビティー式の溶接器の短い脚の一方又は両方に補助脚を設けることにより、鋼板の障害物、鋼板の耳だけ又は鋼板の開口があっても、スライドバーのセッティングができるので作業範囲の拡大ができ、又、作業効率が向上する。
【提出日】平成7年5月2日

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 半自動のグラビティー式の溶接器は、三脚の脚とホルダーによって構成されており、三脚の脚は、短く同じ長さの脚が2本とスライドバーいわゆる他の2本より長い脚の1本の三脚おいて、短い脚にそれぞれにパイプ式の補助脚が設けることを特徴とするグラビティー溶接器の脚。
【請求項2】 二連の円環に上方から脚を挿入し、円環の胴部にネジ穴を設け、蝶ネジで螺着し、また、他方の円環にも補助脚を挿入し、他方の円環の胴部にもネジ穴を設け、蝶ネジで螺着する請求項1記載の補助脚。
【請求項3】 補助脚より少し直径の大きいスリーブを設け、該スリーブに補助脚の片方端の先端を差し込み、溶着し、スリーブの反対側には脚が挿入する請求項1の補助脚。
【請求項4】 補助脚の長さは、定盤の高さとほぼ同じ長さとする請求項4の補助脚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】第3032458号
【登録日】平成8年(1996)10月9日
【発行日】平成8年(1996)12月24日
【考案の名称】グラビティー溶接器の脚
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−15654
【出願日】平成6年(1994)11月26日
【出願人】(000146814)株式会社新来島どっく (101)