説明

グラフィック処理ユニット間を切り換えできるタイミングコントローラ

グラフィック処理ユニット(GPU)間を切り換えることのできるディスプレイシステムが開示される。ある実施形態は、ディスプレイと、ディスプレイに結合されたタイミングコントローラ(T−CON)とを備え、このT−CONが複数の受信器及び複数のGPUを含み、各GPUが複数の受信器の少なくとも1つに結合され、更に、T−CONが、複数のGPUを、一度に1つだけ選択的にディスプレイへ結合するようなディスプレイシステムを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子装置のグラフィック処理ユニット(GPU)に係り、より詳細には、電子装置の動作中に複数のGPU間を切り換えることに係る。
【0002】
関連出願の相互参照:本PCT出願は、2008年12月31日に出願された“TIMING CONTROLLER CAPABLE OF SWITCHING BETWEEN GRAPHICS PROCESSING UNITS”と題する米国ノンプロビジョナル特許出願第12/347,312号の優先権を主張するものであり、その開示を参考としてここに援用する。
【0003】
本出願は、次の出願にも関するもので、参考としてそれらをここに援用する。2008年12月31日に出願された“Improved Switch for Graphics Processing Units”と題する特許出願第12/347,364号(代理人管理番号第P7023US1(191006/US));2008年12月31日に出願された“Display System With Improved Graphics Abilities While Switching Graphics Processing Units”と題する特許出願第12/347,413号(代理人管理番号第P7024US1(191007/US));及び2008年12月31日に出願された“Improved Timing Controller for Graphics System”と題する特許出願第12/347,491号(代理人管理番号第P7025US1(191008/US))。
【背景技術】
【0004】
電子装置は、社会の至る所に存在し、腕時計からコンピュータまでのあらゆるものに見ることができる。これら電子装置の複雑さ及び精巧さは、通常、世代ごとに増大し、その結果、多くの場合、新しい電子装置ほど、それ以前のものより高いグラフィック能力を含む。例えば、電子装置は、単一のGPUではなく、複数のGPUを含み、複数のGPUの各々は、異なるグラフィック能力を有してもよい。このように、グラフィックオペレーションは、それら複数のGPU間で分担される。
【0005】
複数GPU環境では、多くの場合、ディスプレイ装置の制御を種々の理由で複数のGPU間で交換することが必要となる。例えば、高いグラフィック能力を有するGPUは、低いグラフィック能力を有するGPUより多量の電力を消費する。更に、新しい世代の電子装置は、携帯性が高いので、多くの場合、限定されたバッテリ寿命しかない。従って、バッテリ寿命を延ばすために、複雑なグラフィック能力と節電との間のバランスをとる試みにおいて、動作中に高電力GPUと低電力GPUとの間を交換することがしばしば望まれる。
【0006】
GPUを交換する動機に関わらず、動作中にGPUを交換すると、映像グリッチのような映像質欠陥を引き起こすことがある。例えば、従来の解決策は、現在GPUにより駆動されているディスプレイをフェードアウトし、ディスプレイからの現在GPU出力信号を減結合し、新たなGPU出力信号をディスプレイに結合することを含む。
【0007】
ある従来の解決策は、映像の質の視覚欠陥の発生を克服することができる。例えば、ある従来の解決策は、複数のGPU間を切り換えるためにデジタルマルチプレクサを具現化する。不都合なことに、これは、ディスプレイシステムの性能要件、電力使用量及びコストを高くする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、GPU間をより効率的に切り換える方法及び装置が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
グラフィック処理ユニット(GPU)間を切り換えることのできるディスプレイシステムが開示される。ある実施形態は、ディスプレイと、ディスプレイに結合されたタイミングコントローラ(T−CON)とを備え、このT−CONが複数の受信器及び複数のGPUを含み、各GPUが複数の受信器の少なくとも1つに結合され、更に、T−CONが、複数のGPUを、一度に1つだけ選択的にディスプレイへ結合するようなディスプレイシステムを包含する。
【0010】
他の実施形態は、ディスプレイシステム内でGPU間を切り換える方法において、第1のGPUからディスプレイを更新し、第1のGPUがブランキングインターバルに入ったかどうか決定し、第1のGPUがブランキングインターバルに入った場合には、ディスプレイシステム内の別のコンポーネントがGPU切り換えを要求したかどうか決定し、ディスプレイシステム内の別のコンポーネントがGPU切り換えを要求した場合には、第2のGPUへ切り換え、この第2のGPUへの切り換えは、第2のGPUからのビデオ信号のタイミング信号を決定せずに行う、ことを含む方法を包含する。
【0011】
他の実施形態は、PLLを各々含む複数の受信器を備えたT−CONを包含し、このT−CONは、複数のGPUのうち、一度に1つのGPUのみに選択的に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】個別のデジタルマルチプレクサを使用せずにGPU間を切り換える規範的な解決策を示す。
【図2A】個別のデジタルマルチプレクサを使用する従来のGPU切り換え解決策を示す。
【図2B】個別のデジタルマルチプレクサを使用する従来のGPU切り換え解決策に基づく信号の規範的タイミング図である。
【図3】個別のデジタルマルチプレクサを使用しない一実施形態に基づく信号の規範的タイミング図である。
【図4】規範的なGPU切り換えオペレーションを示す。
【図5】水平ブランキングインターバル中の規範的GPU切り換えオペレーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
種々の図面において同様の又は同じ品目を指示するのに同じ参照番号を使用する。
【0014】
表示されている映像に視覚欠陥を招くことなくディスプレイシステムの動作中にGPU間を大きな融通性で切り換えることのできる種々の実施形態を以下に説明する。ある実施形態は、個別のマルチプレクサなしにGPU間を切り換えるタイミングコントローラを具現化する。このように、個別のマルチプレクサチップがシステムから排除されて、チップ面積、消費電力及びコストを下げることができる。又、個別のマルチプレクサなしにGPU間を切り換えるタイミングコントローラを具現化することで、GPUの切り換えに要する時間を短縮することができる。
【0015】
これら実施形態の1つ以上をコンピュータグラフィックシステムに関して詳細に説明するが、ここに開示する実施形態は、特許請求の範囲を含めて本開示の範囲を限定するものと解釈されてはならず、又そのように使用されてはならない。又、当業者であれば、以下の説明が広く適用されることが理解されよう。従って、実施形態の説明は、例示に過ぎず、特許請求の範囲を含めて、本開示の範囲がこれらの実施形態に限定されることを意味するものではない。
【0016】
図1は、個別のデジタルマルチプレクサを具現化せずに複数のGPU間を切り換えることのできるディスプレイシステム100の一例を示す。図1の仕様を検討する前に、図1に示されて以下に参照されるコンポーネントは、1つの考えられる具現化を例示するものに過ぎないことに注意されたい。他の具現化では、この詳細な説明の精神及び範囲から逸脱せずに、他のコンポーネント、バス、及び/又はプロトコルが使用されてもよい。又、ディスプレイシステム100の1つ以上のコンポーネントが個別のブロックを使用して表されているが、ディスプレイシステム100の1つ以上のコンポーネントが同じ集積回路の一部分であってもよいことが明らかであろう。
【0017】
図1を参照すれば、ディスプレイシステム100は、ホストコンピュータシステム105を備えている。ある実施形態では、このホストコンピュータシステム105は、デスクトップコンピュータ、企業のサーバー、又は壁電源から外れて動作するネットワークコンピュータ装置である。動作中に、ホストコンピュータシステム105は、制御信号及び他の通信信号をシステム内の種々の装置へ通信する。
【0018】
又、ディスプレイシステムは、複数のGPU110A−110nも備えている。これらのGPU110A−110nは、コンピュータシステム100内に種々の形態及び構成で存在することができる。ある実施形態では、GPU110Aは、システム100内の別のコンポーネントの一部分として具現化されてもよい。例えば、GPU110Aは、ホストコンピュータシステム105のチップセット(破線115で示す)の一部分でもよく、一方、他のGPU110B−110nは、そのチップセットの外部にあってもよい。このチップセットは、ノースブリッジ(Northbridge)チップセットのように、種々の集積回路、例えば、GPU110A−110nとホストコンピュータシステム105との間に通信リンクを確立する役割を果たす集積回路のセットを含んでもよい。
【0019】
GPU110A−110nは、更に、複数の受信器126A−126nを経てタイミングコントローラ(T−CON)125に結合される。動作中に、T−CON125内の受信器126A−126nは、システム内の種々のコンポーネントからビデオ映像及びフレームデータを受け取る。T−CON125は、これらの信号を受信すると、それらを処理し、そしてT−CON125に結合されたディスプレイ130に適合するフォーマットで(送信器127を経て)送出することができる。ディスプレイ130は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、陰極線管(CRT)、等を含む種々のものでよい。同様に、T−CON125からディスプレイ130へ通信されるビデオデータのフォーマットは、ディスプレイポート(DP)、低電圧差動シグナリング(LVDS)、等の種々様々なフォーマットを含んでもよい。
【0020】
ビデオシステム100の動作中に、GPU110A−110nは、フレーム及び線同期信号と共にビデオ映像データを発生する。例えば、フレーム同期信号は、ビデオデータの連続するフレーム間に垂直ブランキングインターバル(VBI)を含む。更に、線同期信号は、ビデオデータの連続する線間に水平ブランキングインターバル(HBI)を含む。GPU110A−110nにより発生されたデータは、T−CON125へ通信される。
【0021】
T−CON125は、これらの信号を受信すると、それらを処理し、そしてT−CON125に結合されたディスプレイ130に適合するフォーマット、例えば、DP、LVDS、等でそれらを送出する。ある実施形態では、この処理は、VBI及び/又はHBIがどこで行われる決定することを含む。
【0022】
図1を更に参照すると、GPU110A−110nは、異なる動作能力を有する。例えば、上述したように、GPU110Aは、ディスプレイシステム100の別の装置、例えば、ホストコンピュータ105のCPU内に一体化することができ、従って、GPU110Aは、スタンドアローン型の個別集積回路であるGPU110と同じグラフィック能力でなくてもよい。異なる動作能力を有するのに加えて、GPU110A−110nは、異なる両の電力を消費する。そのため、GPU110A−110nの間を切り換えることにより、GPU110B(即ち、グラフィック能力がより高い)を使用する希望と、GPU110A(即ち、消費電力がより低い)を使用する希望とのバランスをとる必要がある。
【0023】
グリッチ又はスクリーンの亀裂のような視覚欠陥を招くことなくGPU110A−110n間を切り換えるために、GPU110A−110n間の切り換えは、VBI及び/又はHBIの間に行わねばならない。図2Aは、従来の切り換え構成を示す。図示されたように、従来の切り換え構成は、デジタルマルチプレクサ(D−MUX)200をしばしば使用し、これは、GPU110A−110nに各々結合された複数の受信器205A−205nと、T−CON125内の受信器212に結合された送信器210とを備えている。動作中、D−MUX200は、受信器205A−205nを経て受信されたビデオデータをデコードし、切り換え窓が存在するかどうか決定する。ある実施形態では、切り換え窓は、現在GPU及び新たなGPUの両方におけるビデオデータ内のVBI又はHBIの位置に一致する。例えば、切り換え窓は、現在GPUのブランキング(例えば、VBI又はHBI)と、新たなGPUのブランキング(例えば、VBI又はHBI)とが重畳するときに生じる。他の実施形態では、切り換え窓は、現在GPUがVBI又はHBIに入りそして新たなGPUがVBI又はHBIにまだ入らねばならないときに生じる。D−MUX200は、それが切り換え窓の位置を決定すると、この時間中にGPU110A−110n間を切り換え、そしてビデオデータを再エンコードしてから、それをT−CON125へ送信する。しかしながら、そのような従来の解決策は、システム100の性能要件、電力使用量及びコストをしばしば高める。例えば、D−MUX200が信号間を切り換えるたびに、T−CON125は、各信号内のタイミング信号に対してロックしなければならず、GPUの切り換えを行うのに長時間を要するようになる。
【0024】
図2Bは、従来の技術を使用したブランキング中のGPU切り換えを示す。図示されたように、GPU110A及びGPU110Bは、若干周波数の異なる信号を出力する。例えば、GPU110A及び110Bの相対的な周波数は、周波数の差が1%であって、2つの波形を互いにシフトさせる。このように、各信号のブランキング周期は、時々重畳する。ブランキング周期が重畳すると、D−MUX200は、GPU110Aと110Bとの間を切り換える。図2Bは、GPUの切り換えに関連した種々のコンポーネントT1、T2及びT3を示す。
【0025】
時間T1は、GPU110Aが垂直ブランキングに入るときと、D−MUX200が切り換えできる以前の時間との間の期間に対応する。ある実施形態では、時間T1は、0秒と、ディスプレイ130に3本の走査線を描くに要する時間との間の範囲である。時間T2は、D−MUX200の切り換え窓に関連した時間に対応する。LVDSを具現化するもののような実施形態では、時間T2は、4つのLVDSクロックサイクルである。時間T3は、受信器212内の位相固定ループ(PLL)が、GPU110Bから到来する新たな信号におけるタイミング信号にロックする時間に対応する。図2Bに示す波形の検討から明らかなように、時間T3は、新たなGPU110Bがそのブランキング周期を終了するときに、終了となる。
【0026】
しかしながら、ある実施形態は、D−MUX200を使用せずにGPU間を切り換えることにより、システム性能、電力使用量及びコストを改善することができる。例えば、図1の実施形態に示すように、T−CON125は、GPU110A−110nに直結される。T−CON125は、現在GPU及び新たなGPUの両方に対してブランキングインターバルがどこで生じるか既に知っているので、T−CON125は、受信器205A−205nをT−CON125に一体化することにより(図1に126A−126nとして示す)、D−MUX200のデコーディングを行わずにどこで切り換えるべきか決定することができる。これは、従来の解決策に勝る幾つかの効果を発揮する。第1に、D−MUX200、並びに送信器210及び受信器212をシステム100から完全に除去することができ、全体的なシステムコスト、電力使用量、及びチップ面積を減少することができる。第2に、T−CON125は、切り換えを行う前に現在及び新たなGPUデータの両方に同時にアクセスするので、T−CON125は、それがGPU間を切り換えるたびに新たなGPUのタイミング信号に再ロックする必要がなく、それ故、GPU間を切り換えるのに要する時間は、個別のマルチプレクサを具現化する解決策より短い。
【0027】
図3は、個別のマルチプレクサなしでのGPUの切り換えを示す(図1の実施形態を参照)。図1と共に図3を参照すれば、受信器126A−126nの各々は、各GPU110A−110nに別々に結合されるので、T−CON125が種々のGPU110A−110n間で選択を行うときに、T−CON125は、各信号のタイミング信号と既に同期される。従って、PLLを新たなGPUに再ロックすることに関連した期間T3(図2A及び2Bを参照)を排除することができ、GPU間を切り換えるのに要する時間を短縮することができる。
【0028】
図4は、GPUの切り換え中にディスプレイシステム100により遂行される規範的なオペレーションを示す。ブロック402では、これらのオペレーションは、ディスプレイ130が現在GPUから更新されるようにして開始される。次いで、ブロック405において、T−CON125は、切り換え窓が存在することを決定する。切り換え窓が存在しない場合には、制御がブロック402へ戻り、ディスプレイ130が現在GPUから更新される。ある実施形態では、T−CON125は、現在GPUのブランキングにおいて切り換え窓が存在することを決定する。
【0029】
図4を再び参照すれば、切り換え窓が存在することをT−CON125が検出した場合には、制御がブロック420へ進み、ここで、T−CON125は、ホストコンピュータ105がGPU切り換えを要求するのを待機する。上述したように、GPU切り換え要求は、ホストコンピュータ105が電力を消費し過ぎるか又はホストコンピュータ105がより高いグラフィック処理能力を要求するために生じる。
【0030】
切り換え窓が存在することをT−CON125が指示した後に、T−CON125は、「切り換え予想」モードに入り、現在スクリーンを保持する。例えば、一実施形態では、T−CON125は、それがGPU切り換えを完了するまでフレームバッファ(図1には特に示さず)からの映像をディスプレイ130に繰り消し描く。これは、GPU切り換えから生じる視覚欠陥の全体的な数を減少する。
【0031】
図4を更に参照すれば、ブロック420に示したように、ホストコンピュータ105がまだGPU切り換えを要求しなければならない場合に、制御がブロック405へ戻り、そこで、切り換え窓が存在するかどうか決定される。しかしながら、ホストコンピュータ105はGPU切り換えを要求したが、切り換え窓が存在する場合には、ブロック425に示すように、切り換えが遂行される。
【0032】
T−CON125は、それがGPUを切り換えると、新たなビデオデータにブランキングインターバルを見るまで待機し、その後、フレームバッファからの古い映像をディスプレイ130に再描写するのを停止し、新たなGPUからの映像の描写を開始する。ブロック430に示したように、T−CON125は、新たなGPUがブランキング周期に入るまで待機し、その後、新たなGPUからのディスプレイ130の描写を開始する(ブロック435に示すように)。このように、新たなGPUがブランキング周期に入るのをT−CON125が待機する間に制御はブロック430へ戻る。
【0033】
上述したように、GPU切り換えは、VBI又はHBIの間に行われる。図5は、HBIの間にGPU切り換えを遂行するための規範的オペレーションを示す。ビデオデータのフレームは、所定の割合、例えば、毎秒60回で、ディスプレイに描写され、連続するフレーム間にVBIが存在する。又、各フレームは、ビデオデータの複数の走査線をピクセル形態で含み、連続する走査線間にHBIが存在する。ブロック520では、T−CON125は、現在GPUがHBIを受けているかどうか決定する。例えば、T−CON125は、ディスプレイシステム100のタイミング信号(図には特に示さず)で動作し、そして走査線を表す所定数のピクセルがディスプレイ130に描かれていて且つ現在GPUがHBIにあるときに注目する。
【0034】
HBIの間にGPUを切り換えることは、VBIの間に切り換えるより複雑である。というのは、新たなGPUと正しい走査線との同期のためである。例えば、現在GPUが表示走査線nを描写した後にGPU切り換えが生じる場合には、新たなGPUは、表示走査線n+1の始めにディスプレイ130の更新を開始する必要がある。このように、新たなGPUは、GPU切り換え以来生じた走査線の数をカウントバックする必要がある。従って、現在GPUがHBIを受けている場合には、T−CON125(図1に示す)内のカウンタ510は、ブロック521に関してインクリメントされ、現在GPUへの切り換え以来生じたHBIの全数に注目する。
【0035】
次いで、T−CON125は、ブロック522において切り換え要求が生じたかどうか決定する。図1に示すように、この切り換え要求は、ホストコンピュータ105から到来するが、切り換え要求がシステム100内の別のブロックから発生される他の実施形態も考えられる。切り換え要求を発生すべき場合には、T−CON125は、ブロック523について、現在GPUがまだHBIを受けているかどうか決定する。現在GPUがまだHBIを受けている場合には、制御がブロック522へループバックし、切り換え要求が生じたかどうか再び決定する。現在GPUがまだHBIを受けていない場合には、制御がブロック520へループバックし、そこで、T−CON125は、現在GPUがHBIに入る状態を監視する。
【0036】
ブロック522を更に参照すれば、切り換え要求が生じた場合に、ブロック524において、グリッチのないGPU切り換えを遂行することができる。新たなGPUがまだVBIに到達しない場合には、新たなGPIがVBIに入るまで、制御はブロック525へ戻る。他方、新たなGPUがVBIに入るときには、ブロック530において、カウンタ510の値を読み取り、それを使用して、新たなGPUに対するVBIからの走査線の数をカウントバックし、同期をとることができる。図示されたように、新たなGPUがVBIに入るまで、制御はブロック525へループバックする。換言すれば、カウンタ510の値は、VBIからのオフセットとして使用し、新たなGPUがデータの描写を開始すべきところのビデオデータのフレーム内の位置を決定して、ディスプレイ130においてグリッチのない切り換えが生じるようにする。この同期の後に、T−CON125は、新たなGPUを使用して、ディスプレイ130を駆動することができる。
【符号の説明】
【0037】
100:ディスプレイシステム
105:ホストコンピュータシステム
110A−110n:グラフィック処理ユニット(GPU)
125:タイミングコントローラ(T−CON)
126A−126n:受信器
130:ディスプレイ
200:デジタルマルチプレクサ(D−MUX)
205A−205n:受信器
210:送信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイに結合され、複数の受信器を含むタイミングコントローラ(T−CON)と、
前記複数の受信器の少なくとも1つに各々結合された複数のGPUと、
を備え、前記T−CONがその複数のGPUを一度に1つだけ選択的に前記ディスプレイに結合するようにしたディスプレイシステム。
【請求項2】
前記複数のGPUの少なくとも1つは、前記ディスプレイに選択的に結合されるまで電源オフされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の受信器の少なくとも1つは、中間マルチプレクサなしに前記GPUの少なくとも1つに直結される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記T−CONは、更に、カウンタを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記カウンタの値を使用して、前記ディスプレイ内の表示位置を決定する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記T−CONは、少なくとも1つのGPUのブランキング周期中にGPUの少なくとも1つを前記ディスプレイに選択的に結合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記T−CONは、システム内の別のコンポーネントからの要求の後にGPUの少なくとも1つを選択的に結合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
各受信器は、位相固定ループ(PLL)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記PLLは、前記ディスプレイに選択的に結合された少なくとも1つのGPUからの信号からタイミング信号を抽出する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
ディスプレイシステム内のGPU間を切り換える方法において、
第1のGPUからディスプレイを更新するステップと、
第1のGPUがブランキングインターバルに入ったかどうか決定するステップと、
第1のGPUがブランキングインターバルに入った場合には、ディスプレイシステム内の別のコンポーネントがGPU切り換えを要求したかどうか決定するステップと、
前記ディスプレイシステム内の別のコンポーネントがGPU切り換えを要求した場合に第2のGPUへ切り換えるステップであって、この第2のGPUへ切り換える動作を、この第2のGPUからのビデオ信号のタイミング信号を決定せずに行うステップと、
を備えた方法。
【請求項11】
前記切り換え動作は、タイミング信号に位相固定せずに行う、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のGPUは、チップセットの一部分であり、前記第2のGPUは、チップセットの一部分ではない、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のGPUへ切り換える動作は、前記第2のGPUがブランキング周期にある間に行う、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1及び第2のGPUのブランキング周期は、前記切り換え動作中に重畳する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
T−CONにおけるカウンタを更新する動作を更に備えた、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記カウンタの値を使用して、前記第2のGPUが前記ディスプレイにビデオデータを描写するための開始点を計算する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1及び第2のGPUは、T−CON内の第1受信器及び第2受信器へ直結され、各受信器は、PLLを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
PLLを各々含む複数の受信器を備え、複数のGPUの、一度に1つのみに、選択的に結合されるT−CON。
【請求項19】
前記複数のGPUの少なくとも1つは、電源オフされる、請求項18に記載のT−CON。
【請求項20】
前記T−CONは、カウンタを更に備え、そのカウンタの値を使用して、前記ディスプレイに選択的に結合された前記複数のGPUの少なくとも1つに対する前記ディスプレイ内の表示位置を決定する、請求項18に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−514441(P2012−514441A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544607(P2011−544607)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/069851
【国際公開番号】WO2010/078448
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】