説明

グラム陽性菌の血清耐性因子

新たに特定されたグラム陽性菌の血清耐性因子は、細菌感染症の処置又は予防に使用することができる。本発明のBibAポリペプチドは、BibAタンパク質のコイルドコイルドメイン、BibAタンパク質のリーダー配列及び該コイルドコイルドメイン、BibAタンパク質のプロリンリッチドメイン、BibAタンパク質のコイルドコイルドメイン及びプロリンリッチドメイン、並びに、BibAタンパク質のリーダー配列、コイルドコイルドメイン及びプロリンリッチドメインからなる群から選択されるBibAタンパク質の一部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、共に係属中である2005年5月13日に出願された仮特許出願第60/680,479号および2005年11月29日に出願された同第60/740,291号の利益を主張し、そしてこれらの出願を参考として援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は免疫学及びワクチン学の分野に関する。特に、新たに同定されたグラム陽性菌の血清耐性因子、及びその細菌感染症の処置及び予防のための組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
グラム陽性菌のB群ストレプトコッカス(GBS)は、新生児、妊婦、高齢者及び慢性疾患患者における致命的な細菌感染症の最も重要な原因の一つである。ストレプトコッカス・ピオゲネス(GBS)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Strep pneumo)及びスタフィロコッカス・アウレウス(Staph)等のその他のグラム陽性菌も、世界の重大な罹患率及び死亡率に関与している。
【0004】
種々のストレプトコッカスは、細菌の付着及び免疫成分の収集を媒介する表面多機能性タンパク質に発現し、宿主粘膜表面の良好なコロニー形成に寄与する(非特許文献1; Talay, 2005)特に、ストレプトコッカス・アガラクティエ(GBS)及びストレプトコッカス・ピオゲネス(GAS)は、ヒト免疫グロブリン(Boyle, 1998)及び液相補体制御因子の両方を結合する能力を特徴とする機能的に関連する多くのタンパク質を発現する(Jarvaら、2004; Lindahlら、2005)。GBSにおいては、IgA及び/又はIgG受容体はMタンパク質族に属し(Stenbergら、1992)、Mタンパク質は、免疫グロブリンの抗原結合部外のII型Fc領域と相互作用する(Cunningham, 2000)。
【0005】
GBSにおいて、Bacタンパク質(β抗原)は、高い親和性でヒト血清IgAのFc部(Bevanger, 1983; Johnson and Ferrieri, 1984; Lindahlら、1990; Russell−Jonesら、1984)及び補体制御H因子(FH)に結合し、GBS表面上のC3b沈着を回避する(Areschougら、2002)。IgAの結合部位は上記タンパク質のN末端側にあるが、FH結合領域はBacのC末端側にある(Areschougら、2002; Jarvaら、2002)。Bacは、構造上肺炎球菌のHicタンパク質と関係があり、同じ様にFHと結合する(Janulczykら、2000; Jarvaら、2004)。
【0006】
一方、GASはMタンパク質及びFbaによってFHを收集し、細菌が多核白血球の食作用を回避する能力に関与している(Horstmannら、1988; Pandiripallyら、2002; Pandiripallyら、2003)。Mタンパク質は、補体の古典的経路成分C3転化酵素(C4b2a)の重要な制御因子であるC4結合タンパク質(C4bp)の収集も媒介する(Berggardら、2001; Blomら、2004)。C4bに結合したMタンパク質は、別経路におけるFHと同様の方法でC4bの開裂における分解促進活性及び補助因子活性を示す(Carlssonら、2005; Perez−Caballeroら、2004; Thernら、1995)。
【0007】
GAS及びGBSは、ヒトC5aを不活性化し(非特許文献1;非特許文献2)フィブロネクチンに結合する多機能酵素C5aペプチダーゼも分泌し、上皮細胞の細菌侵入を促進する(非特許文献3;非特許文献4)。
【0008】
血清耐性因子は、これらのグラム陽性菌が宿主の免疫反応を回避するために使用する機序において役割を果たしていると考えられる。
【非特許文献1】Jarvaら、Complement resistance mechanisms of streptococci. Mol Immunol(2003)40:95−107
【非特許文献2】Wexlerら、Mechanism of action of the group A streptococcal C5a inactivator. Proc Natl Acad Sci U S A(1985)82:8144−8148
【非特許文献3】Beckmannら、Identification of novel adhesins from Group B streptococci by use of phage display reveals that C5a peptidase mediates fibronectin binding. Infect Immun(2002)70:2869−2876
【非特許文献4】Chengら、The group B streptococcal C5a peptidase is both a specific protease and an invasin. Infect Immun(2002)70:2408−2413
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、当該技術分野では、グラム陽性菌において細菌感染症の予防又は処置のための組成物を開発するために使用できる新しい血清耐性因子を特定する継続的な必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の詳細な説明)
出願者は、グラム陽性菌(GBS)において宿主細胞の補体活性化経路と相互作用し、侵入する細菌の補体抵抗性又は回避機序に関与すると考えられる血清耐性因子を特定した。この新たに特定された血清耐性因子は、本明細書においてB群ストレプトコッカス免疫グロブリン結合固着(BibA)と呼ばれる(又GBS 3とも呼ばれる)。BibAは広く発現されるタンパク質であり、分析した31種のGBS株の81%で存在する(表3)。
【0011】
重複がないGenBankデータベースにおけるBLAST検索により、BibA N末端領域は、S.ピオゲネスのMタンパク質族(22%の同一性)、S.アガラクティエのBac(20%の同一性)、S.ニューモニエのPspC(20%の同一性)及びS.ディスアガラクティエのMig(27%の同一性)のように一連のグラム陽性免疫グロブリン結合タンパク質と低い類似性が示された。vBibAは、S.ニューモニエのHic様タンパク質等の他のグラム陽性菌の耐性因子と幾つかの類似点を共有する。
【0012】
BibA遺伝子は、secE遺伝子及びnusG遺伝子間に位置する。secE及びnusGは、大腸菌において共転写され(Downingら、1990)、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の大きなパネルにおいて隣接している(Barreiroら、2001; Fullerら、1999; Jeongら、1993; Katayama, et al, 1996; Miyakeら、1994; Poplawskiら、2000; Puttikhuntら、1995; Sharp, 1994; Syvanenら、1996)。この証拠は、BibAの現在のゲノムのローカリゼーションが挿入事象に由来することを示唆する。興味深いことに、A909株に存在する2種類のトランスポサーゼは、GBS亜型分類のツールとして提案され(Tamuraら、2000)、その存在が多座シークエンスタイピング(MLST)によって分析されたS.アガラクティエ種の発生と関係付けられている(Hery−Arnaudら、2005)IS1381族に属す。
【0013】
7つのGBS完全なゲノムのコンピュータ解析により、BibAが調節タンパク質であることが明らかとなった。その配列変動は主としてN末端又はC末端領域におけるアミノ酸の短い繰り返し数の違いによる。全長のBibAは、N末端のヘリックスリッチ領域、C末端のプロリンリッチドメイン、細胞壁ペプチドグリカンにタンパク質を固着するLPXTG(配列番号3)モチーフ及び膜貫通領域からなる。図IA、2B BibAのコイルドコイルドメインは、S.アガラクティエの複数の血清型において十分保たれている。
【0014】
BibAは、構造的にS.ピオゲネス(GBS)(図IB)のM様タンパク質族と関係がある。Mタンパク質の2次構造は主として安定したダイマーを形成するα−ヘリカルコイルドコイル構造である(Phillipsら、1981)。コンピュータによるBibAの2次構造の予測(Bergerら、1995)により、N末端領域においてコイルドコイル配列を形成する傾向のあるヘリックスリッチ領域(283−294領域及び366−400領域)が示された。BibAの組み換え形態に関する研究により、Mタンパク質に関しては、BibAは非還元条件で開くダイマーを形成できることが示唆された。一方、2次構造のカノニカルエレメントはプロリンリッチドメイン内にあると予測され、分子のこの部分はポリプロリンヘリックス様構造を呈することができることを示唆する。
【0015】
BibAは幾つかのGBS株の表面上で発現されるが、GBS培養液の上清においても回収される。BibAは、細胞壁上に発現されても上清部分に分泌されたとしても、同一の明らかな分子量を有する。これは、BibAの分泌は細胞壁固定領域のタンパク質分解開裂による可能性があるこ又はタンパク質のソーティング障害は分泌が原因である可能性があることを示唆する。実際、BibAはシグナルペプチドにおいてYSSIRKg/s様モチーフ(配列番号64)を有するが、これは以前スタフィロコッカス・アウレウス及び他のグラム陽性菌にあると言われていた(Bae and Schneewind, 2003)。このようなモチーフは、殆どBibA中にあり、分析した8種類のGBS株全てにおいて保たれている。YSSIRK−G/S様モチーフ(配列番号64)は、タンパク質成熟の促進に関与しているとされている(Bae and Schneewind, 2003)。この証拠に基づき、本発明者等は、ソルターゼ成分はBibAの完全で効率的な固着を制限し、成熟したBibAの不十分なプロセス及び上清におけるタンパク質の放出が生じると仮定する。
【0016】
機能的な特性解析により、BibAはストレプトコッカスの表面に暴露された細菌のコロニー形成を媒介し、宿主免疫反応を調節する多機能性タンパク質群の一種として特定される(Jarvaら、2003; Lindahlら、2005)。しかしながら、BibAはヒト免疫グロブリン及び補体制御因子C4bpの両方に結合するというようなユニークな特徴を有する。IgA及びC4bpのBibA結合部位は、タンパク質のN末端領域にある。しかしながら、IgAに特異的なBac N末端領域に相同性はない(Lindahlら、1990)。マウス及びウシのIgGに結合しないことは、Bib Aが他のIg結合タンパク質について報告されているようにヒトに特異的な機能的役割を有することを示唆する。
【0017】
分泌されたBibAは、ヒト上皮細胞、補体(例えばC4結合タンパク質)、特にヒトIgG及びIgAに結合する。分泌されたBibAのプロリンリッチドメインは、ヒト上皮細胞との結合相互作用の原因である。実施例8及び9。プロリンリッチドメインには、8つのアミノ酸の周期性がある。プロリンは、モチーフのb位及びf位を占めそれが19回繰り返される。
【0018】
【化1】

プロリンリッチドメインは、存在する場合、BibAのC末端側に位置する。図2Aに示す通り、プロリンリッチドメインは一般的にアミノ酸400からC末端端に位置する。
【0019】
免疫グロブリンへのBibA結合領域を解明するため、タンパク質のN末端又はC末端部分からなる2つのコンストラクトを生成した。ヒトIgGに結合するBibAは、主にタンパク質のN末端領域に結合し、C末端領域にはあまり結合しない。一方、ヒトIgAへの結合は殆どBibAのN末端部分に関係する。この領域もBibAのC4bpへの結合の原因であった。又、組み換えBibAは約10−8Mの結合定数で起源の異なるヒト上皮細胞に結合する。
【0020】
コイルドコイルドメインは、種々のGBS株でよく保たれている。コイルドコイルドメインは、BibAのC4結合タンパク質のような補体との結合相互作用の原因である。実施例7。又、コイルドコイルドメインは、IgG及びIgAのようなヒト免疫グロブリンとの結合相互作用の原因である。実施例10、11及び12。IgA結合部位は、BibAのN末端部分(約200のアミノ酸)にあると思われる。BibAは、他のコイルドコイルタンパク質と同様にダイマーを形成する。実施例1。
【0021】
細菌がBibAを分泌した場合、タンパク質のプロリンリッチC末端領域は宿主上皮細胞に結合し、N末端のコイルドコイルドメインは血清因子に曝露されると考えられている。N末端のコイルドコイルドメインはC4結合タンパク質のような補体を引き寄せて侵入する細菌から排除すると考えられている。コイルドコイルドメインに結合した宿主細胞との補体結合相互作用は、補体活性を宿主細胞に引き寄せ、細菌の侵入を更に促進する。
【0022】
LPXTG(配列番号3)/プロリンリッチドメインがない株もある。図2A。プロリンリッチドメインがないか或いは別々に発現される場合、BibAは主として分泌され表面に露出されないと考えられている。しかしながら、開裂又は分岐したBibAでも標的宿主細胞に接近した時に免疫システムの注目を細菌から逸らすと考えられている。
【0023】
BibAノックアウト突然変異株が、ヒト頚部及び肺上皮細胞の両方に結合する能力の障害によって、GBSの細胞への付着におけるBibAの役割を確認した。突然変異の相補性はGBS付着型表現型を修復したが、BibAの過剰発現は上皮細胞結合を有意に増大した。これらの特性は、BibAは新しい多機能性タンパク質であり、恐らくGBSの病原性に関係することを示す。
【0024】
BibAタンパク質の溶解可能な形態では、予想分子量は約6OkDaであるが、SDSポリアクリルアミドゲル上での見かけの分子量は約80kDaである。タンパク質のプロリンリッチドメインは、BibAが束状に折畳まれることにより、この相違の原因である可能性がある。膜を伴う形態は容易に分解され、タンパク質のごく一部が8OkDとしてゲル上を進み、大部分が約60kDaの分子量で進む。これは、細胞膜結合型においてはプロリンリッチモチーフがまだ細胞壁成分に結合していて、直線状構造を保っていることを示す。実施例2〜4、6を参照されたい。
【0025】
細菌の宿主細胞への付着は第一手順であり、宿主の粘膜表面に無事コロニーを形成するための必要条件である。組み換えBibAの上皮細胞への結合の分析により、細胞への結合は推定約4×10−8Mの結合定数で飽和することが明らかとなった。特に、BibAの肺、腸、気管支及び頚部由来の上皮細胞系への結合は、遍在性の受容体の存在を示唆する。BibAは、Mタンパク質(Courtneyら、1994; Courtneyら、1997; Wang and Stinson, 1994)のように細菌の上皮細胞への付着を媒介する。同質遺伝子型のBibA陽性株及びBibA陰性株に関する研究により、BibA陽性株は上皮細胞に付着するが、BibA陰性株の付着は非常に少ないことが示された。又、表面にBibAを露出しない株におけるBibAの細胞壁固着型の発現は、その結合表現型を増大した。興味深いことに、このような結果はGBSコロニー形成の標的であるヒト頚部上皮細胞系(ME 180)及び肺上皮細胞系(A549)の両方において確認された。
【0026】
これらの機能特性は、BibAがGBSの病原性に関与する血清耐性因子であり、従ってS.アガラクティエ感染症の予防及びを処置するための組成物において活性因子として有用であることを示唆する。
【0027】
I. BibAポリペプチド
本発明の「BibAポリペプチド」は、(1)BibAタンパク質のコイルドコイルドメイン、(2)BibAタンパク質のリーダー配列及びコイルドコイルドメイン、(3)BibAタンパク質のプロリンリッチドメイン、(4)BibAタンパク質のコイルドコイル及びプロリンリッチドメイン、又は(5)BibAタンパク質のリーダー配列、コイルドコイルドメイン及びプロリンリッチドメインからなるBibAタンパク質の部分を含むがBibAタンパク質の他の連続するアミノ酸配列はない。本発明のBibAポリペプチドは、全長のBibAポリペプチドのアミノ酸配列を含まない。
【0028】
BibAポリペプチドは、図24の「I」、「II」及び「III」のポリペプチドを含む。
【0029】
GBS血清型V分離株 2603V/RのBibAタンパク質は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有している。
【0030】
【化2】

BibAは、N末端リーダー又は上記配列番号1の初めの下線を引いた配列によって示される信号配列領域及び上記配列番号1の末端の下線を引いた配列によって示されるC末端膜貫通領域を有する。BibAのリーダー又は信号配列領域から1つの以上アミノ酸が除去されることもある。このようなBibA断片の例を以下の配列番号2に示す。
【0031】
【化3】

BibAは、細胞壁アンカーを示すアミノ酸モチーフも有している。
【0032】
LPXTG(配列番号3、上記配列番号1の太字及びイタリック表示部分)。
【0033】
一実施形態において、リーダー又は信号配列領域、膜貫通領域及び細胞質領域、及び細胞壁アンカーモチーフはBibA配列から除去され、以下の配列番号4に示すコイルドコイル及びプロリンリッチセグメントを残す。
【0034】
【化4】

BibAのプロリンリッチドメインを、以下の配列番号5で示す。
【0035】
【化5】

BibAのコイルドコイルドメイン及びシグナルペプチド領域を以下の配列番号6で示す。
【0036】
【化6】

BibAの高度に保存されたコイルドコイルドメインは、タンパク質のN末端の方に位置し、以下のBibA配列番号1の配列における下線部分にある。下線を引いたBibAのコイルドコイルドメインに対応する断片を以下の配列番号7に示す。
配列番号1
【0037】
【化7】

配列番号7
【0038】
【化8】

BibAのシグナルペプチド(アミノ酸1〜36)、コイルドコイルドメイン及びプロリンリッチドメインを以下の配列番号8で示す。
【0039】
【化9】

II. BibAポリペプチドをコードする核酸分子
本発明には、BibAポリペプチドをコードする核酸分子が含まれる。本発明には、このような分子に対して少なくとも50%の配列同一性を有するヌクレオチド配列からなる核酸分子も含まれる。特定の配列によって、配列同一性の程度は好ましくは50%以上(例えば60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上)である。ヌクレオチド配列間の同一性は、好ましくはギャップ開始ペナルティ=12及びギャップ伸長ペナルティ=1のパラメータを使用したアフィンギャップ検索を使用したMPSRCHプログラム(Oxford Molecular)に実装されたSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定する。
【0040】
本発明は、これらの分子にハイブリッド化できる核酸分子も提供する。異なる「ストリンジェントな」条件下でハイブリダイゼーションを行うことができる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増大する条件は、当該技術分野で広く知られており公表されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 1989, p.7.52を参照されたい。(ストリンジェンシーを増大するための)適切な条件の例は以下のものを含む:25℃、37℃、50℃、55℃及び68℃の培養温度、10X SSC、6X SSC、IX SSC及び0.1X SSC(但し、SSCは0.15MのNaCl及び15のmMクエン酸緩衝液である)及び他の緩衝系を使用したそれらの同等物の緩衝液濃度、0%、25%、50%及び75%のホルムアミド濃度、5分〜24時間の培養時間、1回、2回又はそれ以上の洗浄処理、1分、2分又は15分の洗浄培養時間、及び6X SSC、IX SSC、0.1X SSC又は脱イオン水の洗浄液。ハイブリダイゼーション法及びそれらの最適化は当該技術分野で既知の。例えば、Sambrook, 1989; Ausubelら、eds., Short Protocols in Molecular Biology, 4th ed., 1999; U.S. Patent 5,707,829; Ausubelら、eds., Current Protocols in Molecular Biology. Supplement 30, 1987を参照されたい。
【0041】
幾つかの実施形態において、本発明の核酸分子は低ストリンジェントな条件下で標的にハイブリダイズし、他の実施形態において、本発明の核酸分子は中ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、好ましい実施形態において、本発明の核酸分子は高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。低ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、50℃及び1OX SSCである。中ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、55℃及びIX SSCである。高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、68℃及び0.1X SSCである。
【0042】
これらの配列の断片からなる核酸分子も本発明に含まれる。これらは、これらの配列の少なくともn個の連続するヌクレオチドを含み、特定の配列によってnは10以上(例えば12、14、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200以上)である。
【0043】
本発明の核酸(及びポリペプチド)には、以下の配列が含まれる場合がある:
(a)配列リストに開示する配列と同じ(即ち100%同じ)配列;
(b)配列リストに開示する配列との配列同一性を共有する配列;
(c)(a)若しくは(b)の配列と比較して別々の部位にあるか連続する1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個若しくは10個の単一ヌクレオチド又はアミノ酸変異(欠失、挿入、置換)を有する配列;及び
(d)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを使用して配列リストの特定の配列とアライメントした場合、初め(N末端又は5’)から終わり(C−末端又は3’)へ、p個のモノマー(但しp>×)まで及ぶアライメントについてこのようなウィンドウがp−×+1あり、各ウィンドウはアライメントされた同一のモノマーを少なくとも×−y個有するように移動する×モノマー(アミノ酸又はヌクレオチド)のムービングウィンドウ。但し、xは20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択し、yは0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択し、x−yが整数でない場合は四捨五入して整数にする。好ましいペアワイズアラインメントアルゴリズムはNeedleman−Wunschのグローバルアラインメントアルゴリズム[Needleman & Wunsch (1970) J. MoI. Biol. 48, 443−453]であり、デフォルトのパラメータを使用する(例えばギャップ開始ペナルティ=10.0、ギャップ伸長ペナルティ=0.5及びEBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用)。このアルゴリズムは、便利なことにEMBOSSパッケージのニードルツールに実装されている[Riceら、(2000) Trends Genet. 16:276−277]。
【0044】
本発明の核酸及びポリペプチドは、これらの配列(a)〜(d)に更にN末端/5’及び/又はC末端/3’に対して更に配列を有してもよい。
【0045】
本発明の核酸分子は一本鎖であっても二本鎖であってもよく、例えば、in vitro(即ち組換えタンパク質)又はin vivo(即ちDNAワクチン)でのBibAポリペプチドの生成に使用することができる。本発明は、本発明の他の核酸分子に好ましくは「高ストリンジェントな」条件(例えば0.1xSSC、0.5%のSDS溶液内で65℃)下でハイブリダイズすることができる一本鎖核酸分子も提供する。
【0046】
本発明の核酸分子は、修飾骨格を有するアナログ(例えばホスホロチオエート等)及びペプチド核酸(PNA)等を含めDNA又はRNAを含んでもよい。本発明の核酸分子は、ゲノムDNA、cDNA又はmRNAの一部を含んでもよい。本発明の核酸分子は全長のBibAタンパク質をコードしない。
【0047】
BibAポリペプチドをコードする部分を得ることができる全長のBibAタンパク質をコードする核酸分子の例を以下の配列番号16に示す。
【0048】
【化10】

本発明の他の実施形態は、BibAポリペプチドのプロリンリッチドメインをコードする核酸分子を提供する。このような核酸分子の例を以下の配列番号17に示す。
【0049】
【化11】

BibAポリペプチドの高度に保存されたコイルドコイルドメイン及びプロリンリッチドメインをコードする核酸分子を以下の配列番号18に示す。
【0050】
【化12】

BibAの細胞壁アンカーをコードする核酸分子を以下の配列番号19に示す。配列番号19:TTACCATCAACGGGT。
【0051】
III. 核酸分子の調製
本発明の核酸分子は、例えば、化学合成によってゲノム又はcDNAライブラリーから(例えば、PCRのようなプライマー増幅法を使用)、微生物自体から等、種々の方法で調製することができる、種々の形態(例えば一本鎖、二本鎖、ベクター、プローブ等)をとることができる。これらは、好ましくは極めて純粋な(即ち、他のGBS又は宿主細胞の核酸が殆どない)形態で調製される。
【0052】
核酸分子は、当該技術分野で既知の化学的方法を使用して、全体的に又は部分的に合成することができる。Caruthersら、Nucl. Acids Res. Symp. Ser. 215−223, 1980; Hornら、Nucl Acids Res. Symp. Ser. 225−232, 1980; Hunkapillerら、(1984), Nature 310: 105−111; Granthamら、(1981), Nucleic Acids Res. 9: r43−r74を参照されたい。
【0053】
cDNA分子は、テンプレートとしてmRNAを使用することにより標準の分子生物学的手法で生成することができる。その後cDNA分子は当該技術分野で周知の分子生物学的手法を使用して複製することができる。テンプレートとしてゲノムDNA又はcDNAを使用してPCR等の増幅法を使用して、本発明のポリヌクレオチドの追加の複製を得ることができる。
【0054】
必要に応じて、種々の理由(ポリペプチド又はmRNA生成物のクローニング、プロセシング及び/又は発現を修飾する改変を含むがこれに限定されるものではない)でコード配列を改変するために当該技術分野で一般的に知られている方法を使用してヌクレオチド配列を遺伝子操作してもよい。無作為な断片化によるDNAシャフリング及び遺伝子断片及び合成オリゴヌクレオチドのPCR再結合を使用してヌクレオチド配列を遺伝子操作してもよい例えば、新しい制限部位の挿入、グリコシル化パターンの改変、コンドン選択性の変更、スプライスバリアントの生成、突然変異の導入等を行うために部位特異的変異誘発を使用することができる。
【0055】
精製タグ配列の追加又はコドン最適化等の配列の修飾は、発現を促進するために使用することができる。例えば、N末端リーダー配列は、ポリヒスチジン(HIS)又はグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)等のタグタンパク質のの配列コードと置換される場合がある。発現されたタンパク質の精製、検出及び安定を促進するために、このようなタグタンパク質を使用してもよい。特定の原核又は真核宿主に選択されるコドンは、タンパク質の発現率を増大するため、或いは天然の配列から発生した転写よりも長い半減期のような所望の性質を有するRNA転写の生成するために選択することができる。これらの方法は当該技術分野で周知であり、WO05/032582に詳述されている。
【0056】
IV. BibAポリペプチドの生成
BibAポリペプチドは、例えば、ポリペプチド発現を許容する条件下で本発明の核酸分子で形質転換した宿主細胞を培養することによって組み換えで生成することができる。BibAポリペプチドは、化学的手段によって合成するか、或いはS.アガラクティエから単離した全長BibAタンパク質から調製することができる。
【0057】
A. ポリペプチドの組み換え生成
1. 核酸分子
上記ポリペプチドを組み換えで生成するために特定のBibAポリペプチドをコードする任意の核酸分子を使用することができる。ポリペプチドをタグタンパク質及びGBSポリペプチドからなる融合タンパク質として発現するようにインフレームのタグタンパク質をBibAポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にコードするヌクレオチド配列を加えることによってBibAポリペプチドの組み換え生成を促進することができる。このようなタグタンパク質は、発現されたタンパク質の精製、検出及び安定度を促進することができる。本発明において使用するのに好適なタグタンパク質には、ポリアルギニンタグ(アルギニンタグ)、ポリヒスチジンタグ(ヒスチジンタグ)、FLAGタグ、Streタグ、c−mycタグ(Sタグ)、カルモジュリン結合ペプチド、セルロース結合領域、SBPタグ、キチン結合領域、グルタチオンSトランスフェラーゼタグ(GST)、マルトース結合タンパク質、抗転写終結因子(NusA)、大腸菌チオレドキシン(TrxA)、及びタンパク質ジスルフィドイソメラーゼI(DsbA)等がある。好ましいタグタンパク質は、Hisタグ及びGST等である。Terpeら、Appl Microbiol Biotechnol (2003) 60:523−33を参照されたい。
【0058】
精製後、タグタンパク質は、場合により、当該技術分野で既知の特別に調整した酵素処理によって、発現された融合タンパク質から除去される場合がある。一般的に使用されるプロテアーゼは、エンテロキナーゼ、タバコエッチウイルス(TEV)、トロンビン及びXa因子等である。
【0059】
2. 発現コンストラクト
ポリペプチドをコードする核酸分子を、挿入されたコード配列の転写及び翻訳に必要な要素を含む発現コンストラクトに挿入することができる。コード配列及び適切な転写及び翻訳調節要素を含む発現コンストラクトの構築を行うために、当業者に周知の方法を使用することができる。これらの方法には、in vitroの組み換えDNA技術、合成技術、及びin vivoの遺伝子組み換え技術が含まれる。
【0060】
3. 宿主細胞
異種宿主は原核生物であっても真核生物であってもよい。大腸菌は好ましい宿主細胞であるが、他に適切な宿主としてはバシラスサチリス、ビブリオコレラ、サルモネラチフィ、サルモネラチフィムリウム、ナイセリアラクタミカ、ナイセリアシネレア、マイコバクテリア(例えばM.チューバキュロウセス)、イースト等がある。
【0061】
宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節する能力又は発現されたポリペプチドを所望の方法で処理する能力によって選択することができる。このようなポリペプチドの修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシレーション、リン酸化、脂質化及びアシル化が含まれるが、これらに限定されない。ポリペプチドのプレプロ体を開裂する翻訳後プロセシングも、正しい挿入、折り畳み及び機能を促進するために使用することができる。翻訳後の活性のための特殊な細胞機構及び特有の機序を有する種々の宿主細胞が米国菌株保存機関(ATCC; 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110−2209)から入手可能であり、異種タンパク質の正しい修飾及び処理を確実にするために選択することができる。WO 01/98340を参照されたい。
【0062】
十分確立された手法(トランスフェリンポリカチオン媒介性DNA転移、裸又はカプセル封入された核酸の転移、リポソーム媒介性細胞融合、DNAコーティングラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、「遺伝子銃」法、及びDEAE又はリン酸カルシウム媒介性トランスフェクション等が含まれるがこれらに限定されない)を使用して、発現コンストラクトを宿主細胞に導入することができる。
【0063】
発現コンストラクトで形質転換した宿主細胞は、細胞培養からのタンパク質の発現及び回収に好適な条件下で培養できる。形質転換細胞生成タンパク質は、ヌクレオチド配列及び/又は使用された発現コンストラクトによって分泌又は細胞内に貯蔵される。当業者は、発現コンストラクトが原核又は真核細胞膜を通して可溶性ポリペプチドの分泌を誘導する信号配列を含むよう設計することができることを理解できる。
【0064】
B. 精製
本発明のBibAポリペプチドは、適切なストレプトコッカス・アガラクティエ菌或いは遺伝子操作した宿主細胞から単離することができる。精製したBibAポリペプチドは、当該技術分野で周知の方法を使用して、タンパク質、炭水化物又は脂質等細胞の他の成分から分離される。このような方法には、粒径排除クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム分画法、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、及びプレパラティブゲル電気泳動が含まれるが、これらに限定されない。精製したBibAポリペプチドの製剤は少なくとも純度80%であり、好ましくは、製剤は純度90%、95%又は99%である。製剤の純度は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動等当該技術分野で既知の任意の手段によって評価することができる。適切な場合は、ポリペプチドは例えば尿素を使用して可溶化することができる。
【0065】
C. 化学合成
本発明のBibAポリペプチドは、例えば固相法を使用して合成することができる。例えば、Merrifield, J Am. Chem. Soc. 85, 2149−54, 1963; Robergeら、Science 269, 202−04, 1995を参照されたい。合成は手動又は自動で行うことができる。自動合成は、例えば、Applied Biosystems 43 IA ペプチド合成装置(Perkin Elmer)を使用して達成することができる。場合により、ポリペプチドの断片は、別々に合成され、化学的方法を使用して組み合わされ、最終的な分子を生成してもよい。
【0066】
V. 抗体
抗体はBibAポリペプチド又は他の抗原に特異的に結合するよう生成することができ、又、治療又は診断に使用することができる。「抗体」という用語は、完全な免疫グロブリン分子並びに抗原を結合することができるその断片を指す。これらには、ハイブリッド(キメラ)抗体分子(例えばWinterら、Nature 349, 293−99, 1991; U.S. Patent 4,816,567)、F(ab’)及びF(ab)断片及びF分子、非共有結合ヘテロダイマー(例えば、Inbarら、Proc. Natl. Acad. ScL U.S.A. 69, 2659−62, 1972; Ehrlichら、Biochem 19, 4091−96, 1980)、一本鎖F分子(sF)(例えば、Hustonら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85, 5897−83, 1988)、二量体抗体又は三量体抗体断片コンストラクト、ミニボディー(例えば、Packら、Biochem 31, 1579−84, 1992; Cumberら、J. Immunology 149B, 120−26, 1992)、ヒト化抗体分子(例えば、Riechmannら、Nature 332, 323−27, 1988; Verhoeyanら、Science 239, 1534−36, 1988; and U.K. Patent Publication No. GB 2,276,169, published 21 September 1994)、及びこのような分子から得られた任意の機能的断片並びにファージディスプレイのような非従来的なプロセスにより得られた抗体が含まれる。好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体を得る方法は、当該技術分野で周知である。
【0067】
本発明の好ましい抗体は、BibAのN末端領域コイルドコイルドメイン又はプロリンリッチドメインのエピトープに特異的に結合する。一般的に、エピトープを形成するためには少なくとも6個、7個、8個、10個又は12個の連続するアミノ酸が必要である。しかし、非連続性のアミノ酸を有するエピトープは、更に多くのアミノ酸、例えば少なくとも15個、25個又は50個のアミノ酸が必要な場合もある。所望の特異性を有する抗体を特定するために、種々の免疫測定法(例えばウェスタンブロット法、酵素免疫測定、放射性免疫分析、免疫組織化学分析、免疫沈降又は当該技術分野で既知の他の免疫化学的分析)を使用することができる。当該技術分野において、競合的結合又は免疫放射定量測定法については、多数のプロトコルが周知である。このような免疫測定は、一般的に免疫原及び免疫原に特異的に結合する抗体の間の錯体形成の測定を行う。特定の抗原に特異的に結合する抗体の製剤により得られる検出信号は、一般的に、免疫化学的分析法において他のタンパク質を使用した場合に得られる検出信号の少なくとも5倍、10倍又は20倍強い。好ましくは、抗体は免疫化学的分析において他のタンパク質を検出せず、溶液から特定の抗原を免疫沈殿させることができる。
【0068】
マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル又はヒト等哺乳動物を免疫化してポリクローナル抗体の生成するためにポリペプチドを使用することができる。必要に応じて、抗原をウシ血清アルブミン、チログロブリン及びキーホールリンペットヘモシニアン等の担体タンパク質に結合させることもできる。宿主種によって、免疫反応を増大するために種々のアジュバントを使用することができる。このようなアジュバントには、フロイントアジュバント及びミネラルゲル(例えば水酸化アルミニウム)、及び表面作用物質(例えばリソレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシニアン及びジニトロフェノール)が含まれるが、これらに限定されない。ヒトに使用されるアジュバントの中で、BCG(バチルス・ルメット・ゲラン)及びコリネバクテリウム・パルブムは特に有用である。
【0069】
抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体は、培養した連続継代細胞系によって抗体分子を生成する方法を使用して調製することができる。これらの方法には、ハイブリドーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法及びEBVハイブリドーマ法(Kohlerら、Nature 256, 495−497, 1985; Kozborら、J. Immunol. Methods 81, 31−42, 1985; Coteら、Proc. Natl. Acad. Sci. 80, 2026−2030, 1983; Coleら、Mol. Cell Biol. 62, 109−120, 1984)が含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
又、「キメラ抗体」を生成するために開発された方法、適切な抗原特異性及び生物活性を有する分子を得るためのマウス抗体遺伝子のヒト抗体遺伝子へのスプライシングを使用することができる(Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. 81, 6851−6855, 1984; Neubergerら、Nature 312, 604−608, 1984; Takedaら、Nature 314, 452−454, 1985)。モノクローナル及び他の抗体も、治療に使用した場合に患者が抗体に対して免疫反応を起こすことを予防するために「ヒト化」することができる。このような抗体は、配列が治療に直接使用されるヒト抗体に十分類似しているか或いは少数のキー残基の改変を必要とする場合がある。げっ歯類の抗体及びヒト配列の間の配列の相違は、ヒト配列のものと異なる残基を個々の残基の部位特異的突然変異誘発或いは相補性決定領域のグレーティングによって置き換えることにより最小化することができる。
【0071】
或いは、以下に記載の通り組み換え法を使用してヒト化抗体を生成することができる。特定の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体は、米国特許第5,565,332号に開示されている通り、部分的に又は完全にヒト化される抗原結合部位を含んでもよい。
【0072】
或いは、当該技術分野で既知の特定の抗原に特異的に結合する一本鎖モノクローナル抗体を生成する方法を使用して一本鎖モノクローナル抗体の生成で説明した方法を応用することができる。関連する特異性を有するが異なるイディオタイプの組成物のモノクローナル抗体は、無作為な組換え免疫グロブリンライブラリー(Burton, Proc. Natl. Acad. Sci. 88, 11120−23, 1991)からのチェインシャフリングによって生成することができる。
【0073】
一本鎖モノクローナル抗体は、テンプレートとしてハイブリドーマcDNAを使用し、PCRのようなDNA増幅法を使用しても構築することができる(Thirionら、1996, Eur. J. Cancer Prev. 5, 507−11)。一本鎖モノクローナル抗体は、単一特異性又は二重特異性であってもよく、又2価又は4価であってもよい。4価の二重特異性一本鎖モノクローナル抗体の構築は、例えばColoma & Morrison, 1997, Nat. Biotechnol. 15, 159−63で説明されている。2価の二重特異性一本鎖モノクローナル抗体の構築は、Mallender & Voss, 1994, J. Biol. Chem. 269, 199−206で説明されている。
【0074】
以下に記載の通り、一本鎖抗体をコードするヌクレオチド配列は、手動又は自動ヌクレオチド合成を使用して構築し、標準組換えDNA方法を使用して発現コンストラクトにクローニングし、コード配列を発現するよう細胞に導入することができる。或いは、例えば線維状ファージ法(Verhaarら、1995, Int. J. Cancer 61, 497− 501; Nichollsら、1993, J. Immunol. Meth. 165, 81−91)を使用して一本鎖モノクローナル抗体を直接生成することができる。
【0075】
特定の抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体は、文献(Orlandiら、Proc. Natl. Acad. Sci. 86, 3833−3837, 1989; Winterら、Nature 349, 293−299, 1991)に開示されている通り、リンパ球群内のin vivo生成の誘導により或いは高度に特異的な結合試薬の免疫グロブリンライブラリー又はパネルをスクリーニングすることによって生成することができる。
【0076】
WO 93/03151に開示されている通りキメラ抗体を構築することができる。WO 94/13804に記載の「2重特異性抗体(ディアボディ)」のような、免疫グロブリンに由来し、多価性及び多選択性の結合タンパク質も調製することができる。
【0077】
抗体は、当該技術分野で周知の方法で精製することができる。例えば、適切な抗原を結合するカラムに通すことによって抗体を親和性精製することができる。次に、高塩濃度の緩衝液を使用して、結合した抗体をカラムから溶出することができる。
【0078】
VI.1つ以上の活性物質を含有する組成物
本発明は、S.アガラクティエ感染症を予防及び処置するための組成物を提供する。本発明の組成物は、少なくとも1つの活性物質を含有する。活性物質は、BibAポリペプチド、BibAポリペプチドをコードする核酸分子、又はBibAポリペプチドに特異的に結合する抗体である。好適なBibAポリペプチドには、例えば、図24の第「I」群、第「II」群及び第「III」群において特定されたものが含まれる。本発明の組成物には、これらの群の2つ以上からの1つ以上のBibAポリペプチドが含まれてもよい。
【0079】
本発明の組成物には、1つ以上の補助活性物質が含まれてもよい。このような活性物質には、1つ以上の(a)GBS抗原、(b)非GBS抗原、(c)(a)又は(b)をコードする核酸分子、及び(a)又は(b)に特異的に結合する抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
A. GB抗原
本発明の組成物に含まれてもよいGBS抗原には、全体が参考として本明細書に組み入れられているWO 02/34771に開示されたGBSタンパク質(例えばGBS1−GBS689)の抗原部分が含まれる。好ましい抗原には、GBS 80、GBS 104、GBS 322、GBS 67、GBS 276及びGBS 59が含まれる。
【0081】
B. 非GB抗原
本発明の組成物は、本発明の治療、予防又は診断法に使用するために一つ以上の抗原と共に投与される場合がある。本発明の組成物は、場合によりS.アガラクティエタンパク質に由来しない補助的なポリペプチド抗原を1つ以上含んでもよい。好ましい抗原には、以下に記載するものが含まれる。更に、本発明の組成物は以下に記載する病原による感染症を処置又は予防するために使用してもよい。以下に記載の抗原との組み合わせの他に、本発明の組成物は又、本明細書に記載の通りアジュバントと組み合わされる場合もある。
【0082】
本発明と共に使用する抗原には、以下に記載する1つ以上の抗原、又は以下に記載する1つ以上の病原に由来する抗原が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
1. 細菌抗原
本発明において使用するのに好適な細菌抗原には、細菌から単離、精製或いは得られたタンパク質、多糖類、リポ多糖類及び外膜小胞が含まれる。又、細菌抗原には細菌溶解物及び不活性化された細菌製剤が含まれる場合がある。細菌抗原は、組み換え発現によって生成してもよい。細菌抗原には、好ましくは少なくともライフサイクルの1時期に細菌の表面上の露出されるエピトープが含まれる。細菌抗原は、好ましくは複数の血清型で保存される。細菌抗原には、以下に特定する特異性抗原例だけでなく以下に記載する1つ以上の細菌に由来する抗原が含まれる。
【0084】
ナイセリア・メニンギイテイデイス:メニンギイテイデイス抗原には、タンパク質(例えば参考文献1〜7において特定されたタンパク質)、糖類(多糖類、少糖類又はリポ多糖類を含む)、又はA、C、W135、Y、及び/又はB等のN.メニンギイテイデイス血清型群から精製又は得られた外膜小胞(参考文献8、9、10、11)が含まれる場合がある。メニンギイテイデイスタンパク質抗原は、アドヒージョン、オートトランスポーター、トキシン、鉄取込みタンパク質、及び膜結合タンパク質(好ましくは完全な外膜タンパク質)から選択される場合がある。
【0085】
ストレプトコッカス・ニューモニエ:ストレプトコッカス・ニューモニエ抗原には、糖類(多糖類又は少糖類を含む)及び/又はストレプトコッカス・ニューモニエ由来のタンパク質が含まれる場合がある。糖類抗原は、血清型1型、2型、3型、4型、5型、6B型、7F型、8型、9N型、9V型、10A型、11A型、12F型、14型、15B型、17F型、18C型、19A型、19F型、20型、22F型、23F型及び33F型から選択してもよい。タンパク質抗原は、WO 98/18931、WO 98/18930米国特許第6,699,703号、米国特許第6,800,744号、WO 97/43303及びWO 97/37026において特定されているタンパク質から選択される場合がある。ストレプトコッカス・ニューモニエタンパク質は、ポリヒスチジントライアッド族(PhtX)、コリン結合タンパク質族(CbpX)、CbpXトランケート、LytX族、LytXトランケート、CbpXトランケート−LytXトランケートキメラタンパク質、ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Spl28、Sp101、Spl30、Spl25又はSpl33から選択される場合がある。
【0086】
ストレプトコッカス・ピオゲネス(A群ストレプトコッカス):A群ストレプトコッカス抗原には、WO 02/34771又はWO 2005/032582で特定されているタンパク質(GBS 40を含む)、GBS Mタンパク質の断片の融合物(WO 02/094851、及びDale, Vaccine (1999) 17:193−200、及びDale, Vaccine 14(10): 944−948に記載のものを含む)、フィブロネクチン結合タンパク質(Sfbl)、ストレプトコッカスヘム結合タンパク質(Shp)、及びストレプトリジンS(SagA)が含まれる場合がある。
【0087】
モラクセラ・カタラーリス:モラクセラ抗原には、WO 02/18595及びWO 99/58562で特定されている抗原、外膜タンパク質抗原(HMW−OMP)、C抗原及び/又はLPSが含まれる。
【0088】
ボルデテラ・ペルツッシス:ペルツッシス抗原には、B.ペルツッシス由来のペルツッシス・ホロトキシン(PT)及び線維状ヘマグルチニン(FHA)、並びに場合によりパータクチン及び/又は凝集原2・3抗原との組み合わせも含まれる。
【0089】
スタフィロコッカス・アウレウス:スタフィロコッカス・アウレウス抗原には、場合により無毒な組み換えシュードモナス・エルジノーサ・エキソトキシンAに結合したS.アウレウス型5・8莢膜多糖類、例えばStaph VAXTM、又は表面タンパク質由来の抗原、インベーシン(ロイコシジン、キナーゼ、ヒアルロニダーゼ)、食細胞の貪食を阻害する表面因子(莢膜、Aタンパク質)、カロチノイド、カタラーゼ生成、Aタンパク質、コアグラーゼ、凝固因子、及び/又は真核細胞膜を溶解する膜傷害毒素(ヘモリジン、ロイコトキシン、ロイコシジン)(場合により解毒される)が含まれる。
【0090】
スタフィロコッカス・エピデルミディス:S.エピデルミディス抗原には粘液関連抗原(SAA)が含まれる。
【0091】
クロストリジウム・テタニ(テタヌス):テタヌス抗原には、好ましくは担体タンパク質として本発明の組成物と共に又は結合して使用されるテタヌス・トキソイド(TT)が含まれる。
【0092】
コリネバクテリウム・ジフテリア(ジフテリア):ジフテリア抗原には、好ましくはCRM197のように解毒されるジフテリア毒素が含まれる。更にADPリボシル化を調節・阻害できるか或いは関与する抗原は、本発明の組成物と組み合わせ/同時投与/配合が考えられる。ジフテリアトキソイドは、担体タンパク質として使用してもよい。
【0093】
ヘモフィルス・インフルエンザ B(Hib):Hib抗原には、Hib糖類抗原が含まれる。
【0094】
シュードモナス・エルジノーサ:シュードモナス抗原には、エンドトキシンA、Wzzタンパク質、P.エルジノーサLPS、特にPAO1(O5血清型)から単離されたLPS、及び/又は外膜タンパク質F(OprF)を含む外膜タンパク質(Infect Immun. 2001 May; 69(5): 3510−3515)が含まれる。
【0095】
レジオネラ・ニューモフィラ:細菌抗原は、レジオネラ−ニューモフィラに由来する場合がある。
【0096】
ストレプトコッカス・アガラクティエ(B群ストレプトコッカス):B群ストレプトコッカス抗原には、WO 02/34771、WO 03/093306、WO 04/041157又はWO 2005/002619で特定されているタンパク質又は糖類抗原が含まれる(タンパク質GBS 80、GBS 104、GBS 276及びGBS 322を含み、血清型Ia、Ib、Ia/c、II、III、IV、V、VI、VII及びVIII由来の糖類抗原を含む)。
【0097】
ナイセリア・ゴノレエ:ゴノレエ抗原には、Por(又はポリン)タンパク質、例えばPorB(Zhuら、Vaccine (2004) 22:660−669を参照)、輸送結合タンパク質、例えばTbpA及びTbpB(Priceら、Infection and Immunity (2004) 71(1):277−283を参照)、不透明タンパク質(例えばOpa)、還元修飾タンパク質(Rmp)、及び外膜小胞(OMV)製剤(Planteら、J Infectious Disease (2000) 182:848−855を参照;又、例えばWO99/24578、WO99/36544、WO99/57280、WO02/079243も参照)が含まれる。
【0098】
クラミジア・トラコマーティス:クラミジア・トラコマーティスの抗原には、血清型A、B、Ba及びC(失明の原因となるトラホームの病因)、血清型L1、L2及びL3(性病性リンパ肉芽腫症に関与する)及び血清型D〜K由来の抗原が含まれる。クラミジア・トラコーマ抗原には、WO 00/37494、WO 03/049762、WO 03/068811又はWO 05/002619で特定されている抗原が含まれる場合もあり、PepA(CT045)、LcrE(CT089)、ArtJ(CT381)、DnaK(CT396)、CT398、OmpH様(CT242)、L7/L12(CT316)、OmcA(CT444)、AtosS(CT467)、CT547、Eno(CT587)、HrtA(CT823)及びMurG(CT761)が含まれる。
【0099】
トレポネーマ・パリダム(シフィリス):シフィリス抗原には、TmpA抗原が含まれる。
【0100】
ヘモフィルス・デュクレイ(軟性下疳を引き起こす):デュクレイ抗原には、外膜タンパク質(DsrA)が含まれる。
【0101】
エンテロコッカス・フェカーリス又はエンテロコッカス・フェシウム:抗原には、三糖反復、又は米国特許第6,756,361号に示されるその他のエンテロコッカス由来の抗原が含まれる。
【0102】
ヘリコバクター・ピロリ:H.ピロリ抗原には、Cag、Vac、Nap、HopX、HopY及び/又はウレアーゼ抗原が含まれる。
【0103】
スタフィロコッカス・サプロフィチカス:抗原には、S.サプロフィチカス抗原の160 IdDaヘマグルチニンが含まれる。
【0104】
エルシニア・エンテロコリチカ抗原には、LPS(Infect Immun. 2002 August; 70(8): 4414)が含まれる。
【0105】
大腸菌:大腸菌抗原は、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)、腸管凝集性大腸菌(EAggEC)、分散接着性大腸菌(DAEC)、病原大腸菌(EPEC)、及び/又は腸管出血性大腸菌(EHEC)に由来する場合がある。
【0106】
バシラス・アンスラシス(アンスラックス):B.アンスラシス抗原は、場合により解毒され、感染防御抗原(PA)と呼ばれる一般的なB成分を共有することができるA成分(致死因子(LF)及び浮腫因子(EF))から選択される場合がある。
【0107】
エルシニア・ペスティス(ペスト):ペスト抗原には、F1莢膜抗原(Infect Immun. 2003 Jan; 71(1): 374−383)、LPS (Infect Immun. 1999 Oct; 67(10): 5395)、エルシニア・ペスティスV抗原(Infect Immun. 1997 Nov; 65(11): 4476−4482)が含まれる。
【0108】
マイコバクテリウム・ツベルクローシス:ツベルクローシス抗原には、リポタンパク質、LPS、BCG抗原、場合によりカチオン性脂質小胞に形成した抗原85B(Ag85B)及び/又はESAT−6の融合タンパク質(Infect Immun. 2004 October; 72(10): 6148)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mtb)イソシトレート・デヒドロゲナーゼ関連抗原(Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 Aug 24; 101(34): 12652)、及び/又はMPT51抗原(Infect Immun. 2004 July; 72(7): 3829)が含まれる。
【0109】
リケッチア:抗原には、外膜タンパク質A及び/又はB(OmpB) (Biochim Biophys Acta. 2004 Nov 1; 1702(2): 145)、LPS、及び表面タンパク質抗原(SPA)(J Autoimmun. 1989 Jun;2 Suppl:81)を含む外膜タンパク質が含まれる。
【0110】
リステリア・モノサイトゲネス:細菌抗原はリステリア・モノサイトゲネスに由来する場合がある。
【0111】
クラミジア・ニューモニエ:抗原には、WO 02/02606で特定されているものが含まれる。
【0112】
ビブリオコレラ:抗原には、プロテイナーゼ抗原、LPS、特にビブリオコレラIIのリポ多糖類、O1イナバ型O特異的多糖類、V.コレラ0139、IEM108ワクチン抗原(Infect Immun. 2003 Oct; 71(10):5498−504)、及び/又は閉鎖帯毒素(Zot)が含まれる。
【0113】
サルモネラチフィ(腸チフス):抗原には、莢膜多糖類好ましくは結合体(Vi即ちvax−TyVi)が含まれる。
【0114】
ボレリア・ブルグドルフェリ(ライム病):抗原には、リポタンパク質(例えばOspA、OspB、Osp C及びOsp D)、他の表面タンパク質、例えばOspE結合タンパク質(Erps)、デコリン結合タンパク質(例えばDbpA)、及び抗原性変異VIタンパク質、例えばP39及びP13関連抗原(完全な膜タンパク質、Infect Immun. 2001 May; 69(5): 3323−3334)、VIsE抗原変異タンパク質(J Clin Microbiol. 1999 Dec; 37(12): 3997)が含まれる。
【0115】
ポルフィロモナス・ジンジバリス:抗原には、P.ジンジバリス外膜タンパク質(OMP)が含まれる。
【0116】
クレブシェラ:抗原には、OMP A、又は場合により破傷風トキソイドに結合した多糖類を含むOMPが含まれる。
【0117】
更に、本発明の細菌抗原は、上記の莢膜抗原、多糖類抗原又はタンパク質抗原の何れであってもよい。更に、細菌抗原には、外膜小胞(OMV)製剤が含まれる場合もある。更に、抗原には前記細菌の生の、弱毒化及び/又は精製した抗原が含まれる。本発明の抗原は、グラム陰性菌又はグラム陽性菌に由来する場合がある。本発明の抗原は好気性細菌又は嫌気性細菌に由来する場合がある。
【0118】
更に、上記の細菌由来糖類(多糖類、LPS、LOS又は少糖類)は、別の作用物質又は抗原、例えば担体タンパク質(例えばCRM197)に結合することができる。このような結合は、米国特許第5,360,897号及びCan J Biochem Cell Biol. 1984 May;62(5):270−5に示されているように糖類のカルボニル部分の還元的アミノ化によって影響されるタンパク質のアミノ基への直接結合であってもよい。或いは、糖類はリンカーによって、例えばBioconjugate Techniques, 1996及びCRC, Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking, 1993に示された琥珀酸アミド又は他の結合で結合してもよい。
【0119】
2. ウイルス抗原
本発明において使用するのに好適なウイルス抗原には、不活性化(或いは殺滅)ウイルス、弱毒化ウイルス、スプリットウイルス製剤、精製したサブユニット製剤、ウイルスから単離、精製、抽出されるウイルスタンパク質、及びウイルス様粒子(VLP)が含まれる。ウイルス抗原は、細胞培養又は他の基質上で増殖したウイルスに由来する場合がある。或いは、ウイルス抗原を組み換えで発現してもよい。ウイルス抗原には、好ましくはウイルスの表面上にその生周期の少なくとも1時期に露出されるエピトープが含まれる。ウイルス抗原は、好ましくは複数の血清型又は分離株で保たれる。ウイルス抗原には、以下に特定する特異性抗原例だけでなく以下に記載する1つ以上のウイルスに由来する抗原も含まれる。
【0120】
オルソミクソウイルス:ウイルス抗原は、オルソミクソウイルス、例えばインフルエンザA、B及びC型に由来する場合がある。オルソミクソウイルス抗原は、ヘマグルチニン(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、核タンパク質(NP)、マトリックスタンパク質(M1)、膜タンパク質(M2)、1つ以上の転写酵素成分(PB1、PB2及びPA)を含むウイルスタンパク質から1つ以上を選択してもよい。好ましい抗原には、HA及びNAが含まれる。
【0121】
インフルエンザ抗原は、流行間(年間)のインフルエンザ株に由来する場合がある。或いは、インフルエンザ抗原は、広範囲に流行する可能性のある菌株(即ち現在流行している菌株と比較して新しいヘマグルチニンを有するインフルエンザ株、或いは鳥類に対して病原性でヒト集団に水平に伝搬される可能性を有するインフルエンザ株、又はヒトに対して病原性のインフルエンザ株)に由来する場合がある。
【0122】
パラミクソビリダエウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソビリダエウイルス、例えばニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)及びモルビリウイルス(麻疹)に由来する場合がある。
【0123】
ニューモウイルス:ウイルス抗原は、ニューモウイルス、例えばRSウイルス(RSV)、ウシRSウイルス、マウス肺炎ウイルス及びシチメンチョウ鼻気管炎ウイルスに由来する場合がある。好ましくは、ニューモウイルスはRSVである。ニューモウイルス抗原は、表面融合(F)タンパク質、糖タンパク質(G)及び小疎水性タンパク質(SH)、マトリックスタンパク質M及びM2、ヌクレオカプシドタンパク質N、P及びL、及び非構造タンパク質NS1及びNS2を含む以下のタンパク質から1つ以上を選択してもよい。好ましいニューモウイルス抗原には、F、G及びMが含まれる。例えば、J Gen Virol. 2004 Nov; 85(Pt 11):3229を参照されたい。ニューモウイルス抗原は、キメラウイルス内で形成するか又はキメラウイルスに由来する場合がある。例えば、キメラRSV/PIVウイルスは、RSV及びPIVの両成分を含む場合がある。
【0124】
パラミクソウイルス:ウイルス抗原は、パラミクソウイルス、例えばパラインフルエンザウイルス1〜4型(PIV)、ムンプスウイルス、センダイウイルス、シミアンウイルス5型、ウシパラインフルエンザウイルス及びニューカッスル病ウイルスから得てもよい。好ましくは、パラミクソウイルスはPIV又はムンプスウイルスである。パラミクソウイルス抗原は、以下のタンパク質から1つ以上選択してもよい:ヘマグルチニン−ノイラミニダーゼ(HN)、融合タンパク質F1及びF2、核タンパク質(NP)、リンタンパク質(P)、巨大タンパク質(L)及びマトリックスタンパク質(M)。好ましいパラミクソウイルスタンパク質には、HN、F1及びF2が含まれる。パラミクソウイルス抗原は、キメラウイルス内で形成するか又はキメラウイルスに由来する場合がある。例えば、キメラRSV/PIVウイルスは、RSV及びPIVの両成分を含む場合がある。市販のムンプスワクチンには、単価或いは麻疹及び風疹ワクチンと組み合わせた弱毒生ムンプスウイルスが含まれる(MMR)。
【0125】
モルビリウイルス:ウイルス抗原は、モルビリウイルス、例えば麻疹ウイルスに由来する場合がある。モルビリウイルス抗原は、以下のタンパク質から1つ以上を選択してもよい:ヘマグルチニン(H)、糖タンパク質(G)、融合因子(F)、巨大タンパク質(L)、核タンパク質(NP)、ポリメラーゼリンタンパク質(P)及びマトリックス(M)。市販の麻疹ワクチンには、一般的にムンプスワクチン及び風疹ワクチンと組み合わせた弱毒生麻疹ウイルスが含まれる(MMR)。
【0126】
ピコルナウイルス:ウイルス抗原は、ピコルナウイルス、例えばエンテロウイルス、ライノウイルス、Heparnavirus、カルジオウイルス及びアフタウイルスに由来する場合がある。エンテロウイルス、例えばポリオウイルスから得た抗原は好ましい。
【0127】
エンテロウイルス:ウイルス抗原は、エンテロウイルス、例えばポリオウイルス1型、2型又は3型、コクサッキーA群ウイルス1〜22型及び24型、コクサッキーB群ウイルス1〜6型、エコーウイルス(ECHO)ウイルス1〜9型、11〜27型及び29〜34型及びエンテロウイルス68〜71型に由来する場合がある。好ましくは、エンテロウイルスはポリオウイルスである。エンテロウイルス抗原は、好ましくは以下のカプシドタンパク質VP1、VP2、VP3及びVP4から1つ以上選択される。市販のポリオワクチンには、不活性ポリオワクチン(IPV)及び経口ポリオウイルスワクチン(OPV)が含まれる。
【0128】
Heparnavirus:ウイルス抗原は、Heparnavirus、例えばA型肝炎ウイルス(HAV)に由来する場合がある。市販のHAVワクチンには、不活性化したHAVワクチンが含まれる。
【0129】
トガウイルス:ウイルス抗原は、トガウイルス、例えばルビウイルス、アルファウイルス又はアルテリウイルスに由来する場合がある。ルビウイルス、例えば風疹ウイルスに由来する抗原が好ましい。トガウイルス抗原は、E1、E2、E3、C、NSP−I、NSPO−2、NSP−3又はNSP−4から選択される場合がある。トガウイルス抗原は、好ましくはE1、E2又はE3から選択される。市販の風疹ワクチンには、一般的にムンプスワクチン及び麻疹ワクチンと組み合わせた低温適応生ウイルスが含まれる(MMR)。
【0130】
フラビウイルス:ウイルス抗原は、フラビウイルス、例えばダニ媒介脳炎(TBE)ウイルス、デング熱ウイルス(1型、2型、3型又は4型)、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、西ナイル脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、ポワッサン脳炎ウイルスに由来する場合がある。フラビウイルス抗原は、PrM、M、C、E、NS−1、NS−2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4b及びNS5から選択される場合がある。フラビウイルス抗原は、好ましくはPrM、M及びEから選択される。市販のTBEワクチンには、不活化ウイルスワクチンが含まれる。
【0131】
ペスチウイルス:ウイルス抗原は、ペスチウイルス、例えばウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、ブタコレラウイルス(CSFV)又はボーダー病ウイルス(BDV)に由来する場合がある。
【0132】
ヘパドナウイルス:ウイルス抗原は、ヘパドナウイルス、例えばB型肝炎ウイルスに由来する場合がある。ヘパドナウイルス抗原は、表面抗原(L、M及びS)、コア抗原(HBc、HBe)から選択される場合がある。市販のHBVワクチンには、表面抗原Sタンパク質を含むサブユニットワクチンが含まれる。
【0133】
C型肝炎ウイルス:ウイルス抗原は、C型肝炎ウイルス(HCV)に由来する場合がある。HCV抗原は、E1、E2、E1/E2、NS345ポリプロテイン、NS 345コアポリプロテイン、コア、及び/又は非構造的領域のペプチド(Houghtonら、Hepatology (1991) 14:381)から1つ以上選択してもよい。
【0134】
ラブドウイルス:ウイルス抗原は、ラブドウイルス、例えばリッサウイルス(狂犬病ウイルス)及びベシクロウイルス(VSV)に由来する場合がある。ラブドウイルス抗原は、糖タンパク質(G)、核タンパク質(N)、巨大タンパク質(L)、非構造タンパク質(NS)から選択される場合がある。市販の狂犬病ウイルスワクチンは、ヒト2倍体細胞又はアカゲザル胎児肺細胞で増殖させた死滅ウイルスを含む。
【0135】
カリシウイルス:ウイルス抗原は、カリシウイルス、例えばノーウォーク・ウイルス及びノーウォーク様ウイルス、例えばハワイウイルス及びスノーマウンテンウイルスに由来する場合がある。
【0136】
コロナウイルス:ウイルス抗原は、コロナウイルス、SARS、ヒト呼吸器コロナウイルス、鳥伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)及びブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)に由来する場合がある。コロナウイルス抗原は、スパイク(S)、エンベロープ(E)、マトリックス(M)、ヌクレオカプシド(N)及びヘマグルチニン・エステラーゼ糖タンパク質(HE)から選択される場合がある。好ましくは、コロナウイルス抗原はSARSウイルスに由来する。SARSウイルス抗原は、WO 04/92360に記載されている。
【0137】
レトロウイルス:ウイルス抗原は、レトロウイルス、例えば腫瘍ウイルス、レンチウイルス又はスプーマウイルスに由来する場合がある。腫瘍ウイルス抗原は、HTLV−1、HTL V−2又はHTL V−5に由来する場合がある。レンチウイルス抗原は、HIV−1又はHIV−2に由来する場合がある。レトロウイルス抗原は、gag、pol、env、tax、tat、rex、rev、nef、vif、vpu及びvprから選択される場合がある。HIV抗原は、gag (p24gag及びp55gag)、env (gρl60及びgp41)、pol、tat、nef、rev vpu、小タンパク質、(好ましくはp55 gag及びgpl40vデリート)から選択される場合がある。HIV抗原は、以下の菌株の1つ以上に由来する場合がある:HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN、HIV−1CM235(HIV−1US4)。
【0138】
レオウイルス:ウイルス抗原は、レオウイルス、例えばオルトレオウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス又はコルティウイルスに由来する場合がある。レオウイルス抗原は、構造タンパク質λ1、λ2、λ3、μ1、μ2、σ1、σ2又はσ3、或いは非構造タンパク質σNS、μNS又はσ1sから選択される場合がある。好ましいレオウイルス抗原は、ロタウイルスに由来する場合がある。ロタウイルス抗原は、VP1、VP2、VP3、VP4(又は開裂生成物VP5及びVP8)、NSP1、VP6、NSP3、NSP2、VP7、NSP4又はNSP5から選択される場合がある。好ましいロタウイルス抗原には、VP4(又は開裂生成物VP5及びVP8)、及びVP7が含まれる。
【0139】
パルボウイルス:ウイルス抗原は、パルボウイルス、例えばパルボウイルスB19に由来する場合がある。パルボウイルス抗原は、VP−1、VP−2、VP−3、NS−1及びNS−2から選択される場合がある。好ましくは、パルボウイルス抗原はカプシドタンパク質VP−2である。
【0140】
δ肝炎ウイルス(HDV):ウイルス抗原は、HDV、特にHDVのδ抗原に由来する場合がある(例えば米国特許第5,378,814号を参照)。
【0141】
E型肝炎ウイルス(HEV):ウイルス抗原は、HEVに由来する場合がある。
【0142】
G型肝炎ウイルス(HGV):ウイルス抗原は、HGVに由来する場合がある。
【0143】
ヒトヘルペスウイルス:ウイルス抗原は、ヒトヘルペスウイルス、例えば単純ヘルペスウイルス(HSV)、バリセラゾスターウイルス(VZV)、エプスタインバーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)、ヒトヘルペスウイルス7型(HHV7)及びヒトヘルペスウイルス8型(HHV8)に由来する場合がある。ヒトヘルペスウイルス抗原は、即初期タンパク質(α)、初期タンパク質(β)及び後期タンパク質(γ)から選択される場合がある。HSV抗原は、HSV−1株又はHSV−2株に由来する場合がある。HSV抗原は、糖タンパク質gB、gC、gD及びgH、融合タンパク質(gB)又は免疫回避タンパク質(gC、gE又はgI)から選択される場合がある。VZV抗原は、コアタンパク質、ヌクレオカプシドタンパク質、テグメントタンパク質又はエンベロープタンパク質からを選択してもよい。弱毒生VZVワクチンが市販されている。EBV抗原は、早期抗原(EA)タンパク質、ウイルスカプシド抗原(VCA)、及び膜抗原(MA)の糖タンパク質から選択される場合がある。CMV抗原は、カプシドタンパク質、エンベロープ糖タンパク質(例えばgB及びgH)、及びテグメントタンパク質から選択される場合がある。
【0144】
パポバウイルス:抗原は、パポバウイルス、例えばパピロマウイルス及びポリオーマウイルスに由来する場合がある。パピロマウイルスには、HPV血清型1型、2型、4型、5型、6型、8型、11型、13型、16型、18型、31型、33型、35型、39型、41型、42型、47型、51型、57型、58型、63型及び65型が含まれる。好ましくは、HPV抗原は血清型6型、11型、16型又は18型に由来する。HPV抗原は、カプシドタンパク質(L1)及び(L2)、又はE1〜E7、又はその融合体から選択される場合がある。HPV抗原は、好ましくはウイルス様粒子(VLP)に形成される。ポリオーマウイルスには、BKウイルス及びJKウイルスが含まれる。ポリオーマウイルス抗原は、VP1、VP2又はVP3から選択される場合がある。
【0145】
更に、本発明の組成物と関連して考えられる、Vaccines, 4th Edition(Plotkin and Orenstein ed. 2004);Medical Microbiology 4th Edition (Murrayら、ed. 2002); Virology, 3rd Edition (W.K. Joklik ed. 1988); Fundamental Virology, 2nd Edition (B.N. Fields and D.M. Knipe, eds. 1991)に記載の抗原、組成物、方法、及び微生物も提供される。
【0146】
3. 真菌抗原
本発明で使用する真菌抗原は、以下に記載する真菌類の1つ以上に由来する場合がある。
【0147】
真菌抗原は、以下を含めた皮膚糸状菌に由来する場合がある:エピデルモフィトン・フロックソム、ミクロスポルム・オドウニ、ミクロスポルム・カニス、ミクロスポルム・ディストルツム、ミクロスポルム・エクイヌム、ミクロスポルム・ジプサム、ミクロスポルム・ナヌム、トリコフィトン・コンセントリカム、トリコフィトン・エクイヌム、トリコフィトン・ガリネ、トリコフィトン・ジプセウム、トリコフィトン・メグニニ、トリコフィトン・メンタグロフィテス、トリコフィトン・クインケアナム、トリコフィトン・ルブルム、トリコフィトン・シェーンライニ、トリコフィトン・トンズランス、トリコフィトン・ベルコサム、T.ベルコサムvar.アルバム、var.ディスコイデス、var.オクラセウム、トリコフィトン・ビオラセウム、及び/又はトリコフィトンfaviforme。
【0148】
真菌性病原は、アスペルギルス・フミガーツス、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・ニドゥランス、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・シドウィ、アスペルギルスflavatus、アスペルギルス・グラウカス、Blastoschizomyces capitatus、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・エノラーゼ、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラシローシス、カンジダ・ステラトイデア、カンジダ・クセイ、カンジダparakwsei、カンジダlusitaniae、カンジダ・プソイドトロピカリス、カンジダ・ギリエルモンジィ、クラドスポリウム・カリオニイ、コクシジオイデス・クシジオイデス・イミチス、ブラストマイセス・デルマティディス、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ゲオトリクム・クラバタム、ヒストプラスマ・カプスラーツム、クレブシエラ・ニューモニエ、パラコクシジオイデス・ラジリエンシス、ニューモシスティス・カリニ、ピチウムインシディオサム、ピチロスポルム・オバーレ、サッカロミセス・セレビシェ、サッカロミセス・ブラウディ、サッカロミセス・ポンベ、セドスポリウム・アピオスペルム、スポロトリクス・シェンキー、トリコスポロン・ベイゲリ、トキソプラスマ、ペニシリウム・マルネッフェイ、マラセジア属、フォンセセア属、ワンギエラ属、スポロトリクス属、バシディオボールス属、コニディオボルス属、リゾープス属、ケカビ属、アブシジア属、モルティエラ属、クンニングアメラ属、サクセネア属、アルタナリア属、クルブラリア属、ヘルミントスポリウム属、フザリウム属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、モニリニア属、リゾクトニア属、ペシロマイセス属、ピトミセス属及びクラドスポリウム属に由来する場合がある。
【0149】
真菌抗原を生成するプロセスは、当該技術分野で周知の(米国特許第6,333,164号を参照)。細胞壁を実質的に除去したか或いは少なくとも部分的に除去した真菌性細胞から得られる不溶部分から抽出され分離された可溶部分を得る好ましい方法において、プロセスは生きた真菌細胞を得るプロセス、実質的に細胞壁を除去したか或いは少なくとも部分的に除去した真菌性細胞を得るプロセス、実質的に細胞壁を除去したか或いは少なくとも部分的に除去した真菌性細胞を破裂させるプロセス、不溶部分を得るプロセス、及び不溶部分から可溶部分を抽出し分離するプロセスを含むことを特徴とする。
【0150】
4. STD抗原
本発明の組成物には、性感染症(STD)に由来する1つ以上の抗原が含まれる場合がある。このような抗原は、STD、例えばクラミジア、陰部ヘルペス、肝炎(例えばHCV)、性器疣贅、淋病、梅毒及び/又は軟性下疳(WO00/15255を参照)の予防又は治療に提供してもよい。抗原は、ウイルス性又は細菌性STDの1つ以上に由来する場合がある。本発明で使用するウイルス性STD抗原は、例えばHIV、単純ヘルペスウイルス(HSV−1及びHSV−2)、ヒトパピローマウイルス(HPV)及び肝炎(HCV)に由来する場合がある。本発明で使用する細菌性STD抗原は、例えばナイセリア・ゴノレエ、クラミジア・トラコマーティス、トレポネーマ・パリダム、ヘモフィルス・デュクレイ、大腸菌及びストレプトコッカス・アガラクティエに由来する場合がある。これらの病原菌に由来する特異性抗原の例は、上に記載されている。
【0151】
5. 呼吸器系抗原
本発明の組成物には、呼吸器系疾患を引き起こす病原菌に由来する1つ以上の抗原が含まれる場合がある。例えば、呼吸器系疾患抗原は、呼吸器系ウイルス、例えばオルソミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV)、モルビリウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、VZV及びコロナウイルス(SARS)に由来する場合がある。呼吸器系抗原は、呼吸器系疾患を引き起こす細菌、例えばストレプトコッカス・ニューモニエ、シュードモナス・エルジノーサ、ボルデテラ・ペルツッシス、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコプラズマ・ニューモニエ、クラミジア・ニューモニエ、バシラス・アンスラシス及びモラクセラ・カタラーリスに由来する場合がある。これらの病原菌に由来する特異性抗原の例は、上に記載されている。
【0152】
6. 小児用ワクチン抗原
本発明の組成物には、小児患者に使用するのに好適な1つ以上の抗原が含まれる場合がある。小児患者は一般的に約3歳未満、或いは約2歳未満、或いは約1歳未満である。小児抗原は、6ヶ月、1年、2年又は3年にわたり複数回投与される場合がある。小児抗原は、小児群を標的とするウイルス及び/又は小児群が感染しやすいウイルスに由来する場合がある。小児ウイルス抗原には、オルソミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV)、パラミクソウイルス(PIV及びムンプス)、モルビリウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)及びバリセラゾスターウイルス(VZV)、エプスタインバールウイルス(EBV)の1つ以上に由来する抗原が含まれる。小児細菌抗原には、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ナイセリア・メニンギイテイデイス、ストレプトコッカス・ピオゲネス(A群ストレプトコッカス)、モラクセラ・カタラーリス、ボルデテラ・ペルツッシス、スタフィロコッカス・アウレウス、クロストリジウム・テタニ(テタヌス)、コリネバクテリウム・ジフテリア(ジフテリア)、ヘモフィルス・インフルエンザB型(Hib)、シュードモナス・エルジノーサ、ストレプトコッカス・アガラクティエ(B群ストレプトコッカス)及び大腸菌の1つ以上に由来する抗原が含まれる。これらの病原菌に由来する特異性抗原の例は、上に記載されている。
【0153】
7. 高齢の個体又は免疫不全の個体に使用するのに好適な抗原
本発明の組成物には、高齢の個体又は免疫不全の個体に使用するのに好適な1つ以上の抗原が含まれる場合がある。このような患者は、標的抗原への免疫反応を向上するために高用量で、又はアジュバント製剤と共に、より頻繁に予防注射を受ける必要があることもある。高齢の個体又は免疫不全の個体において使用対象とされる抗原には、以下の病原菌の1つ以上に由来する抗原が含まれる:ナイセリア・メニンギイテイデイス、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ストレプトコッカス・ピオゲネス(A群ストレプトコッカス)、モラクセラ・カタラーリス、ボルデテラ・ペルツッシス、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミス、クロストリジウム・テタニ(テタヌス)、コリネバクテリウム・ジフテリア(ジフテリア)、ヘモフィルス・インフルエンザB型(Hib)、シュードモナス・エルジノーサ、レジオネラ・ニューモフィラ、ストレプトコッカス・アガラクティエ(B群ストレプトコッカス)、エンテロコッカス・フェカーリス、ヘリコバクター/ピロリ、クラミジア・ニューモニエ、オルソミクソウイルス(インフルエンザ)、ニューモウイルス(RSV),パラミクソウイルス(PIV及びムンプス)、モルビリウイルス(麻疹)、トガウイルス(風疹)、エンテロウイルス(ポリオ)、HBV、コロナウイルス(SARS)、バリセラゾスターウイルス(VZV)、エプスタインバールウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)。これらの病原菌に由来する特異性抗原の例は、上に記載されている。
【0154】
8. 青年用ワクチンにおいて使用するのに好適な抗原
本発明の組成物には、青年患者に使用するのに好適な1つ以上の抗原が含まれる場合がある。青年期は、以前に投与された小児用抗原の増強を必要とする場合がある。青年期に使用するのに好適な小児用抗原については、上に記載されている。又、性活動を開始する前に予防的・治療的免疫性を確実にするため、青年期をSTD病原菌に由来する抗原を投与する対象にする場合もある。青年期に使用するのに好適なSTD抗原については、上に記載されている。
【0155】
9. 抗原製剤
本発明の他の態様では、抗原を吸着した微粒子の生成法を提供する。この方法は以下のプロセスからなる:(a)(i)水、(ii)界面活性剤、(iii)有機溶媒、及び(iv)ポリ(αヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物及びポリシアノアクリレートからなる群から選択される生分解性高分子を含む混合物を分散させることによりエマルジョンを生成するプロセス。高分子は、一般的に有機溶媒に対して約1〜30%の濃度で混合液中に存在し、界面活性剤は、一般的に界面活性剤と高分子の重量比が約0.00001:1〜0.1:1(より一般的には約0.0001:1〜0.1:1、約0.001:1〜0.1:1又は約0.005:1〜0.1:1)で混合液中に存在する;(b)エマルジョンから有機溶媒を除去するプロセス;及び(c)微粒子の表面に抗原を吸着させるプロセス。特定の実施形態において、生分解性高分子は有機溶媒に対して約3%〜10%の濃度で存在する。
【0156】
本明細書で使用する微粒子は、滅菌可能で非毒性、生分解性の材料から形成される。このような材料には、ポリ(αヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、PACA及びポリシアノアクリレートが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明で使用する微粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、特に、ポリ(ラクチド)(PLA)又はD,L−ラクチド、及びグリコリド又はグリコール酸の共重合体、例えばポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド))(PLG又はPLGA)、又はD,L−ラクチド及びカプロラクトンの共重合体に由来する。微粒子は、種々の分子量を有する種々の高分子出発物質に由来する場合があり、PLGのような共重合体の場合には、種々のラクチド:グリコリド比の選択は、大部分は部分的に同時投与する高分子に依存する選択の問題となる。これらのパラメータについては、以下で詳細に考察する。
【0157】
更なる抗原には、外膜小胞(OMV)製剤が含まれる場合もある。
【0158】
補助的な製剤方法及び抗原(特に腫瘍抗原)については、米国特許シリアル番号09/581,772に示されている。
【0159】
10. 抗原の参考文献
以下の参考文献には、本発明の組成物に関して有用な抗原が含まれる。
【0160】
【化13】

【0161】
【化14】

上に引用した特許、特許出願及び論文全ての内容は、本明細書で詳述されているかのように参考として組み入れられている。
【0162】
糖類又は糖鎖抗原を使用する場合は、好ましくは免疫原性を増強するために担体タンパク質と結合している。Ramsayら、(2001) Lancet 357(9251):195−196; Lindberg (1999) Vaccine 17 Suppl 2: S28−36; Buttery & Moxon (2000) J R Coll Physicians Lond 34:163−168; Ahmad & Chapnick (1999) Infect Dis Clin North Am 13:113−133, vii; Goldblatt (1998) J. Med. Microbiol. 47:563−567; 欧州特許第0 477 508号; 米国特許第5,306,492号; WO98/42721; Conjugate Vaccines (eds. Cruse, et al.) ISBN 3805549326, particularly vol. 10:48−114; Hermanson (1996) Bioconjugate Techniques ISBN: 0123423368又は012342335Xを参照されたい。好ましい担体タンパク質は、細菌毒素又はトキソイド、例えばジフテリアトキソイド又は破傷風トキソイドである。特にCRM 197ジフテリアトキソイドが好ましい。
【0163】
その他の担体ポリペプチドには、N.メニンジティディス外膜タンパク質(EP−A−0372501)、合成ペプチド(EPA−0378881及びEPA 0427347)、熱ショックタンパク質(WO 93/17712及びWO 94/03208)、百日咳タンパク質(WO 98/58668及びEP A 0471177)、H.influenzaeのDタンパク質(WO 00/56360)、サイトカイン(WO 91/01146)、C.ディフィシレのリンホカイン、ホルモン、成長因子、トキシンA又はトキシンB(WO 00/61761)、鉄吸収タンパク質(WO 01/72337)等が含まれる。混合物がセリグラフA及びセリグラフCの両方からのカプセル状糖類を含む場合は、MenA糖類:MenC糖類の比率(w/w)は1以上(例えば2:1、3:1、4:1、5:1、10:1以上)であることが好ましい。異なる糖類が、種類が同じ又は異なる担体タンパク質と結合してもよい。必要に応じて、適切な共役結合反応を適切なリンカーと共に使用してもよい。
【0164】
必要に応じて、毒性タンパク質抗原が解毒される場合がある(例えば、化学的及び/又はによる遺伝学的手段による百日咳毒素の解毒)。
【0165】
VII. 薬学的組成物
幾つかの実施形態において、本発明の薬学的組成物はBibAポリペプチドを含む(上に開示した通り他の活性因子を含む場合も含まない場合もある)。他の実施形態において、薬学的組成物は、BibAポリペプチドをコードする核酸分子を含む(上述のように他の活性因子をコードする核酸分子を含む場合も含まない場合もある)。核酸ワクチンについては、例えば以下の文献に記載されている:Robinson & Torres (1997) Seminars in Immunology 9:271−283; Donnellyら、(1997) Ann. Rev Immunol 15:617−648; Scott−Taylor & Dalgleish (2000) Expert Opin Investig Drugs 9:471−480; Apostolopoulos & Plebanski (2000) Curr Opin MoI Ther 2:441−447; Ilan (1999) Curr Opin MoI Ther 1:116−120; Dubenskyら、(2000) MoI Med 6:723−732; Robinson & Pertmer (2000) Adv Virus Res 55:1−74; Donnellyら、(2000) Am J Respir Crit Care Med 162(4 Pt 2):S190−193Davis (1999) Mt. Sinai J. Med. 66:84−90。一般的に、核酸分子は例えばプラスミド状のDNA分子である。他の実施形態において、薬学的組成物は、BibAポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む。
【0166】
本発明の免疫原性成分は好ましくはワクチン成分である。このような成分のpHは、好ましくは6〜8の間、好ましくは7である。pHは、緩衝液を使用して維持することができる。成分は、無菌及び/又はパイロジェン・フリーとすることができる。成分はヒトに対して等張とすることができる。本発明によるワクチンは、予防又は治療に使用することができるが、一般的に予防用であり、動物(ペット及び実験用哺乳動物を含む)、特にヒトの処置に使用することができる。
【0167】
A. 薬学的に許容される担体
本発明の組成物は、一般的に上述の成分の他に「薬学的に許容される担体」を1つ以上含む。これらには、それ自体が組成物の被投与者に害を及ぼす抗体の生成を誘導しない担体が含まれる。適切な担体は、一般的に大きく、徐々に代謝される高分子、例えばタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー及び脂質凝集物(例えば油滴又はリポソーム)等である。このような担体は、当業者に周知である。組成物は、希釈液、例えば水、生理的食塩水、グリセロール等を含む場合もある。更に、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤等の補助剤が存在してもよい。薬学的に許容される成分については、以下の文献で十分に考察されている:Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy. 20th ed., ISBN:0683306472。
【0168】
B. Immunoregulatory Agents
1. アジュバント
本発明のワクチンは、他の免疫調節剤と共に投与される場合がある。特に、組成物には通常アジュバントが含まれる。本発明で使用するアジュバントには、以下に記載するものの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。
【0169】
a. 組成物含有ミネラル
本発明においてアジュバントとして使用するのに好適な組成物含有ミネラルには、ミネラル塩類、例えばアルミニウム塩類及びカルシウム塩類が含まれる。本発明には、ミネラル塩類、例えば水酸化物(例えばオキシ水酸化物)、リン酸塩(例えばヒドロキシリン酸塩、オルソリン酸塩)、硫酸塩等(例えばVaccine Design... (1995) eds. Powell & Newman. ISBN: 030644867X. Plenum, chs 8 & 9を参照)、又は異なるミネラル化合物の混合物(例えば、場合によりリン酸塩を多めに含む、リン酸塩及び水酸化物アジュバントの混合物、)が、適切な形態(例えばゲル、結晶、非結晶、等)の化合物と共に、好ましくは塩類に吸着して含まれる。組成物含有ミネラルは、金属塩粒子として調製される場合もある(WO00/23105)。
【0170】
本発明のワクチンには、Al3+の用量が1用量当たり0.2〜1.0mgとなるようにアルミニウム塩類が含まれる場合がある。
【0171】
一実施形態において、本発明で使用するアルミニウムを基剤とするアジュバントは、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO))、又はリン酸塩緩衝液において抗原をミョウバンと混合し、塩基、例えば水酸化アンモニウム又は水酸化ナトリウムを使用して滴定及び沈殿してin−situで形成したミョウバン誘導体である。
【0172】
本発明のワクチン製剤で使用する別のアルミニウム系アジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH)3)又はオキシ水酸化アルミニウム結晶(AlOOH)であり、優れた吸着剤であって、ほぼ500m2/gの表面積を有する。或いは、水酸化アルミニウムアジュバントの水酸基の一部又は全てを置換したリン酸基を含むリン酸アルミニウムアジュバント(AlPO4)又はアルミニウムヒドロキシホスフェートが提供される。本明細書に示される好ましいリン酸アルミニウムアジュバントは、非晶質で酸性、塩基性及び中性媒体において可溶性である。
【0173】
別の実施形態において、本発明のアジュバントはリン酸アルミニウム及び水酸化アルミニウムの両方を含む。より特定のその実施形態において、アジュバントは、水酸化アルミニウムよりリン酸アルミニウムを多く含み、例えばリン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムの重量比が2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1或いはそれ以上となる。更に特定の実施形態において、ワクチン中のアルミニウム塩類は、ワクチン1用量当たり0.4〜1.0mg、又はワクチン1用量当たり0.4〜0.8mg、又はワクチン1用量当たり0.5〜0.7mg、又はワクチン1用量当たり約0.6mg存在する。
【0174】
一般的に、アルミニウムを基剤とする好ましいアジュバント、又はアルミニウムを基剤とする複数のアジュバント、例えばリン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムの割合は、所望のpHで抗原がアジュバントと反対の電荷を帯びるような分子間の静電引力の最適化によって選択される。例えば、リン酸アルミニウムアジュバント(等電位点=4)は、pH 7.4でアルブミンではなくリゾチームを吸着する。アルブミンが標的ならば、水酸化アルミニウムアジュバントが選択される(等電位点=11.4)。或いは、リン酸塩による水酸化アルミニウムの前処理はその等電位点を低下させ、塩基性の抗原に対して好ましいアジュバントになる。
【0175】
b. 油エマルジョン
本発明においてアジュバントとして使用するのに好適な油エマルジョン成分には、スクアレン−水エマルジョン、例えばMF59(5%のスクアレン、0.5%のTWEENTM 80及び0.5%のスパン85、マイクロフルイダイザーを使用してサブミクロン粒子に調製)が含まれる。WO90/14837を参照されたい。又、Podda, Vaccine (2001) 19: 2673−2680; Freyら、Vaccine (2003) 21:4234−4237も参照されたい。MF59は、インフルエンザウイルス3価サブユニットワクチンFLUADTMにおいてアジュバントとして使用する。
【0176】
これらの組成物において使用する特に好ましいアジュバントは、サブミクロンの水中油エマルジョンである。本明細書で使用するのに好ましいサブミクロンの水中油エマルジョンは、場合により異なる量のMTP−PE、例えば4−5% w/vのスクアレン、0.25−1.0%w/vのTWEENTM 80D(ポリオキシエチレンエチレンソルビタン・モノオレエート)、及び/又は0.25−1.0%のSPAN 85TM(ソルビタントリオレエート)、及び場合によりN−アセチル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−(ヒドロキシ−ホスホリルオキシ))エチルアミド(MTP−PE)、例えば、「MF59」と呼ばれるサブミクロンの水中油エマルジョン(国際公開番号WO90/14837、米国特許第6,299,884号及び6,451,325号、及びOttら、in Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach (Powell, M.F. and Newman, MJ. eds.) Plenum Press, New York, 1995, pp. 277−296)を含むサブミクロンの水中油エマルジョンを含むスクアレン/水エマルジョンである。MF59は、4−5%w/vのスクアレン(例えば4.3%)、0.25−0.5%w/vのTWEENTM 80、及び0.5%w/vのSPAN 85TMを含み、場合によりマイクロフルイダイザー、例えばモデルHOYマイクロフルイダイザー(Microfluidics[米国マサチューセッツ州ニュートン])を使用してサブミクロン粒子に調製した種々の量のMTP−PEを含む。本明細書で使用される「MF59−0」という用語は、上記のサブミクロンのMTP−PE非含有水中油エマルジョンを指し、MF59−MTPという用語は、MTP−PE含有製剤を表す。例えば、「MF59−100」は1用量当たり100μgのMTP−PEを含む。本明細書で使用する別のサブミクロンの水中油エマルジョンであるMF69は、4.3%w/vのスクアレン、0.25%w/vのTWEENTM 80及び0.75%w/vのSPAN 85TM、及び場合によりMTP−PEを含む。更に別のサブミクロンの水中油エマルジョンはSAFとも呼ばれるMF75であり、10%のスクアレン、0.4%のTWEENTM 80、5%のプルロニックブロックポリマーL121、及びサブミクロンのエマルジョンにミクロ流体化したthr−MDPを含む。MF75−MTPは、例えば1用量当たり100−400μgのMTP−PEからのMTPを含むMF75製剤を表す。
【0177】
組成物に使用するためのサブミクロンの水中油エマルジョン、これ及び免疫刺激剤、例えばムラミルペプチドの生成法は、WO90/14837及び米国特許第6,299,884号及び第6,451,325号に詳述されている。
【0178】
完全フロイントアジュバント(CFA)及び不完全フロインドアジュバント(IFA)も本発明におけるアジュバントとして使用してもよい。
【0179】
c. サポニン製剤
サポニン製剤も、本発明におけるアジュバントとして使用してもよい。サポニンは、種々の植物類の樹皮、葉、幹、根、及び花に含まれるステロールグリコシド及びトリテルペノイドグリコシドの異種群である。バラ科植物キラヤ(Quillaia saponaria Molina)の樹皮から単離されたサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。Smilax ornata (sarsaprilla)、 Gypsophilla paniculata (brides veil)、及びSaponaria officianalis (soap root)のサポニンも市販されている。サポニンアジュバント製剤には、QS21等の脂質製剤、並びにISCOM等の精製した製剤が含まれる。
【0180】
サポニン成分は、高性能薄層クロマトグラフィー(HP−TLC)及び逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を使用して精製されている。これらの方法を使用して精製した特定の画分は特定されており、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−B及びQH−Cを含む。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の生成法については、米国特許第5,057,540号に開示されている。サポニン製剤には、コレステロール等のステロールが含まれるもある(WO96/33739を参照)。
【0181】
サポニン及びコレステロールの組み合わせは、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれるユニークな粒子の形成に使用することができる。ISCOMには、一般的にリン脂質、例えばホスファチジルエタノールアミン又はホスファチジルコリンも含まれる。任意の既知のサポニンをISCOMに使用することができる。好ましくは、ISCOMにはQuil A、QHA及びQHCの1つ以上が含まれる。ISCOMについては、EP0109942、WO96/11711及びWO96/33739に詳述されている。場合により、ISCOMSは界面活性剤が無添加である場合がある。WOOO/07621を参照されたい。
【0182】
サポニンを基剤とするアジュバントの開発のレビューは、Barrら、Advanced Drug Delivery Reviews (1998) 32:247−271を参照されたい。又、Sjolanderら、Advanced Drug Delivery Reviews (1998) 32:321−338. d. Virosoraes and Virus Like Particles (VLPs)も参照されたい。
【0183】
ビロゾーム及びウイルス様粒子(VLP)も本発明におけるアジュバントとして使用することができる。これらの構造体は、一般的に場合によりリン脂質と組み合わせた又は調製された1つ以上のウイルスタンパク質を含む。これらは一般的に非病原性、非複製性であり、一般的に天然のウイルスゲノムを含んでいない。ウイルスタンパク質は、組み換えで生成しても全ウイルスから単離してもよい。ビロゾーム又はVLPで使用するのに好適なこれらのウイルスタンパク質は、インフルエンザウイルス(例えばHA又はNA)、B型肝炎ウイルス(例えばコア又はカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォーク・ウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、HIV、RNAファージ、Qβファージ(例えばコートタンパク質)、GAファージ、fr−ファージ、AP205ファージ及びTy(例えばレトロトランスポゾンTyタンパク質p1)から得たタンパク質を含む。VLPについては、以下の文献で詳しく考察されている:WO03/024480, WO03/024481, and Niikuraら、Virology (2002) 293:273−280; Lenzら、Journal of Immunology (2001) 5246−5355; Pintoら、Journal of Infectious Diseases (2003) 188:327−338;及びGerberら、Journal of Virology (2001) 75(10):4752−4760。ビロゾームについは、例えば以下の文献で詳しく考察されている:Gluckら、Vaccine (2002) 20:B10−B 16。免疫増強再構成インフルエンザ・ビロゾーム(IRIV)は、鼻腔内の3価のINFLEXALTM製品{Mischler & Metcalfe (2002) Vaccine 20 Suppl 5 :B 17−23}及びINFLUVAC PLUSTM製品においてサブユニット抗原送達システムとして使用される。
【0184】
e. 細菌又は微生物誘導体
本発明において使用するのに好適なアジュバントには、以下のような細菌又は微生物の誘導体が含まれる。
【0185】
i. 腸内細菌のリポ多糖類(LPS)の無毒な誘導体
このような誘導体には、モノホスホリル・リピドA(MPL)及び3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が含まれる。3dMPLは、3 De−O−アシル化モノホスホリル・リピドAと4本、5本又は6本のアシル化された鎖の混合物である。好ましい「小粒子」形の3 De−O−アシル化モノホスホリル・リピドAは、EP 0 689 454に開示されている。3dMPLのこのような「小粒子」は、0.22μの膜を通して無菌濾過できるほど小さい(EP 0 689 454を参照)。その他の非毒性LPS誘導体には、モノホスホリル・リピドAの模倣体、例えばアミノアルキル・グルコサミニド・リン酸塩誘導体、例えばRC 529が含まれる。Johnsonら、(1999) Bioorg Med Chem Lett 9:2273−2278を参照されたい。
【0186】
ii. リピドA誘導体
リピドA誘導体には、大腸菌、例えばOM−174のリピドA誘導体が含まれる。OM−174については、例えばMeraldiら、Vaccine (2003) 21:2485−2491;及びPajakら、Vaccine (2003) 21:836−842に記載されている。
【0187】
f. 免疫刺激性オリゴヌクレオチド
本発明においてアジュバントとして使用するのに好適な免疫刺激性オリゴヌクレオチドには、CpGモチーフ(グアノシンが後続しリン酸結合によって連結された非メチル化シトシンを含む配列)を含むヌクレオチド配列が含まれる。回文配列又はポリ(dG)配列を含む細菌の2本鎖RNA又はオリゴヌクレオチドも免疫刺激性であることが示されている。
【0188】
CpGには、ヌクレオチド修飾/アナログ、例えばホスホロチオエート修飾が含まれてもよく、又、二本鎖であっても一本鎖であってもよい。場合によりグアノシンは、アナログ、例えば2’−デオキシ−7−デアザグアノシンと置き換えられる場合もある。可能なアナログ置換の例については、Kandimallaら、Nucleic Acids Research (2003) 31(9): 2393−2400; WO02/26757及びWO99/62923を参照されたい。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果については、以下の文献で詳しく考察されている:Krieg, Nature Medicine (2003) 9(7): 831−835; McCluskieら、FEMS Immunology and Medical Microbiology (2002) 32:179−185; WO98/40100;米国特許第6,207,646号;米国特許第6,239,116号及び米国特許第 6,429,199号。
【0189】
CpG配列は、TLR9、例えばモチーフGTCGTT又はTTCGTTに向けられてもよい。Kandimallaら、Biochemical Society Transactions (2003) 31 (part 3): 654−658を参照されたい。CpG配列は、Th1免疫反応の誘導、例えばCpG−A ODNに対して特異的であってもよく、或いはB細胞反応の誘導、例えばCpG−A ODNに対してより特異的であってもよい。CpG−A及びCpG−B ODNについては、以下の文献で考察されている:Blackwellら、J. Immunol. (2003) 170(8):4061−4068; Krieg, TRENDS in Immunology (2002) 23(2): 64−65及びWOO 1/95935。好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。
【0190】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドを、5’末端が受容体認識アクセスできるように構築する。場合により、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列は、それらの3’末端に結合し「イミュノマー」を形成する場合もある。例えば、Kandimallaら、BBRC (2003) 306:948−953; Kandimallaら、Biochemical Society Transactions (2003) 31(ρart 3):664−658; Bhagatら、BBRC (2003) 300:853−861及びWO03/035836を参照されたい。
【0191】
g. ADPリボシル化毒素及びその解毒された誘導体
細菌性のADPリボシル化毒素及びその解毒された誘導体は、本発明においてアジュバントとして使用してもよい。好ましくは、タンパク質は大腸菌(即ち大腸菌易熱性エンテロトキシン(LT))、コレラ(CT)、又はペルツッシス(PT)に由来する。解毒されたADPリボシル化毒素の粘膜アジュバントとしての使用についてはWO95/17211に、非経口アジュバントとしての使用についてはWO98/42375に記載されている。好ましくは、アジュバントは解毒されたLT変異体、例えばLT−K63、LT−R72及びLTR192Gである。ADPリボシル化毒素及びその解毒された誘導体、特にLT−K63及びLT−R72のアジュバントとしての使用は、以下の参考文献で見ることができる:Beignonら、Infection and Immunity (2002) 70(6):3012−3019; Pizzaら、Vaccine (2001) 19:2534−2541; Pizzaら、Int. J. Med. Microbiol (2000) 290(4−5):455−461; Scharton−Kerstenら、Infection and Immunity (2000) 68(9):5306−5313; Ryanら、Infection and Immunity (1999) 67(12): 6270−6280; Partidosら、Immunol. Lett. (1999) 67(3):209−216; Peppoloniら、Vaccines (2003) 2(2):285−293; and Pineら、(2002) J. Control Release (2002) 85(l−3):263−270。アミノ酸置換の参照番号は、好ましくはDomenighiniら、Mol. Microbiol (1995) 15(6):1165−1167に記載のADPリボシル化毒素のサブユニットA及びサブユニットBの配列に基づく。
【0192】
h. 生体付着剤及び粘膜付着剤
本発明におけるアジュバントとして生体付着剤及び粘膜付着剤を使用してもよい。好適な生体付着剤には、エステル化ヒアルロン酸微粒子(Singhら、(2001) J. Cont. Rele. 70:267−276) 又は粘膜付着剤、例えばポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類及びカルボキシメチルセルロースの架橋結合された誘導体が含まれる。キトサン及びその誘導体を本発明におけるアジュバントとして使用してもよい。WO99/27960を参照されたい。
【0193】
i. 微粒子
微粒子を本発明におけるアジュバントとして使用してもよい。生分解性で無毒性材料(例えばポリ(αヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトン等)とポリ(ラクチド−コ−グリコリド)から形成された微粒子(即ち、直径約100nm〜150μm、より好ましくは直径約200nm〜30μm、最も好ましくは直径約500nm〜10μmの粒子)が好ましく、場合により、負に帯電した表面(例えばSDSで)又は正に帯電した表面(例えば陽イオン清浄剤、例えばCTABで)を有するように処理される。
【0194】
j. リポソーム
アジュバントとして使用するのに好適なリポソーム製剤の例は、米国特許第6,090,406号、米国特許第5,916,588号及びEP 0 626 169に記載されている。
【0195】
k. ポリオキシエチレンエーテル及びポリオキシエチレンエステル製剤
本発明において使用するのに好適なアジュバントには、ポリオキシエチレンエーテル及びポリオキシエチレンエステルが含まれる。WO99/52549。更にこのような製剤には、オクトキシノール(WOO 1/21207)と組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤、並びに少なくとも1つの補助的な非イオン性界面活性剤、例えばオクトキシノール(WOO 1/21152)と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテル又はエステル界面活性剤も含まれる。
【0196】
好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン−9−ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル及びポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0197】
l. ポリホスファゼン(PCPP)
PCPP製剤については、例えば、以下の文献に記載されている:Andrianovら、“Preparation of hydrogel microspheres by coacervation of aqueous polyphophazene solutions”, Biomaterials (1998) 19(1−3): 109−115;及びPayneら、“Protein Release from Polyphosphazene Matrices”, Adv. Drug. Delivery Review (1998) 31(3):185−196。
【0198】
m. ムラミルペプチド
本発明においてアジュバントとして使用するのに好適なムラミルペプチドの例には、N−アセチル−ムラミルL−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−1−アラニル−d−イソグルタミン(nor−MDP)、及びNアセチルムラミル−l−アラニル−d−イソグルタミニル−l−アラニン−2−(r−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PEが含まれる。
【0199】
n. イミダゾキノリン化合物
本発明においてアジュバントとして使用するのに好適なイミダゾキノリン化合物の例には、イミキモド及びそのアナログが含まれるが、詳細は以下の文献に記載されている:Stanley, Clin Exp Dermatol (2002) 27(7):571−577; Jones, Curr Opin Investig Drugs (2003) 4(2):214−218;及び、米国特許第4,689,338号、第5,389,640号、第5,268,376号、第4,929,624号、第5,266,575号、第5,352,784号、第5,494,916号、第5,482,936号、第5,346,905号、第5,395,937号、第5,238,944号、及び第5,525,612号。
【0200】
o. チオセミカルバゾン化合物
チオセミカルバゾン化合物、並びに本発明においてアジュバントとして使用するのに好適な全化合物の調製法、製造法及びスクリーニング法には、WO04/60308に記載されるものが含まれる。チオセミカルバゾンは、サイトカイン、例えばTNF−αの生成のためのヒト末梢血単核細胞の刺激に特に効果的である。
【0201】
p. トリプタントリン化合物
トリプタントリン化合物の例、並びに本発明においてアジュバントとして使用するのに好適な全化合物の調製法、製造法及びスクリーニング法には、WO04/64759に記載されるものが含まれる。トリプタントリン化合物は、サイトカイン、例えばTNF−αの生成のためのヒト末梢血単核細胞の刺激に特に効果的である。
【0202】
本発明は、上に特定した1つ以上のアジュバントの態様の組み合わせを含む場合もある。例えば、本発明において以下のアジュバント成分が使用される場合がある:
(1)サポニン及び水中油エマルジョン(WO99/11241);
(2)サポニン(例えばQS21)+無毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)(WO94/00153を参照);
(3)サポニン(例えばQS21)+無毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えばQS21)+3dMPL+IL 12(場合により+ステロール)(WO98/57659);
(5)3dMPLと例えばQS21及び/又は水中油エマルジョンの組み合わせ(欧州特許出願第0835318号、第0735898号及び第0761231号を参照);
(6)10%のスクアラン、0.4%のTWEEN 80、5%のプルロニックブロックポリマーL 121及びthr−MDPを含み、サブミクロンエマルジョンにミクロ流体化されたか、又はより大きな粒子径のエマルジョンを生成するために撹拌されたSAF;
(7)2%のスクアレン、0.2%のTWEEN 80及びモノホスホリル・リピドA(MPL)及びトレハロースジミコレート(TDM)及び細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(DetoxTM)からなる群の1つ以上の細菌細胞壁成分を含むRibiTMアジュバントシステム(RAS)、(Ribi Immunochem);
(8)1つ以上のミネラル塩(例えばアルミニウム塩)+LPSの無毒性誘導体(例えば3dPML);及び
(9)1つ以上のミネラル塩(例えばアルミニウム塩)+免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えばCpGモチーフを含むヌクレオチド配列)。
【0203】
q. ヒト免疫調節薬
本発明においてアジュバントとして使用するのに好適なヒト免疫調節薬には、サイトカイン、例えばインターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12等)、インターフェロン(例えばインターフェロンγ)、マクロファージコロニー刺激因子及び腫瘍壊死因子が含まれる。
【0204】
アルミニウム塩類及びMF59は、注射可能なインフルエンザワクチンとの使用に好ましいアジュバントである。細菌毒素及び生体付着剤は、経粘膜送達ワクチン、例えば点鼻ワクチンとの使用に好ましいアジュバントである。
【0205】
上で引用した特許、特許出願及び論文全ての内容は、本明細書で詳述されているかのように参考として組み入れられている。
【0206】
VIII. 治療法
本発明は、上記組成物を使用してS.アガラクティエへの免疫反応を誘導又は増大する方法を提供する。免疫反応は好ましくは予防的であり、抗体及び/又は細胞媒介性免疫(全身的及び粘膜の免疫性を含んで)を含んでもよい。免疫反応には既往反応が含まれる。抗体を含む組成物は、S.アガラクティエ感染症の処置に使用することができる。
【0207】
本発明によって治療可能なGBSによる疾患には、敗血症、新生児脳膜炎及び新生児肺炎が含まれるが、これらに限定されない。これらの組成物は、その他のストレプトコッカス菌、例えばGBSに対しても効果的である。
【0208】
A. 免疫反応の有効性を判定する試験
治療の有効性を評価する1つの方法は、本発明の組成物投与後のGBS感染症をモニターする。予防的治療の有効性を評価する1つの方法は、本発明の組成物投与後の上記組成物におけるGBS抗原に対する免疫反応をモニターする。
【0209】
本発明の免疫原性成分のタンパク質成分の免疫原性を評価する別の方法は、タンパク質を組み換えにより発現すること、及び免疫ブロット法によって患者血清又は粘膜分泌をスクリーニングすることである。タンパク質と患者血清の間の陽性反応は、患者が以前、問題のタンパク質に対する免疫反応起こしたことがある、即ちそのタンパク質が免疫原であることを示す。この方法は、主要抗原タンパク質及び/又はエピトープを特定するために使用してもよい。
【0210】
治療の有効性を確認する別の方法は、本発明の組成物投与後のGBS感染症をモニターすることである。予防的治療の有効性を確認する1つの方法は、本発明の組成物投与後の本組成物におけるGBS抗原に対する免疫反応を全身的にモニターする(例えばIgG1及びIgG2a生成レベルをモニターする)及び粘膜的にモニターする(例えばIgA生成レベルをモニターする)。一般的に、GBS血清特異抗体反応は免疫処置後であるが接種前に判定するが、粘膜のGBS特異抗体反応は免疫処置後及び接種後に判定する。
【0211】
本発明のワクチン成分は、宿主(例えばヒト)に投与する前に、in vitro及びin vivoの動物モデルにおいて評価することができる。特に有用なマウスモデルは、以下の実施例21に記載する能動母体免疫化試験である。これは、試験抗原組成物でメスのマウスを免疫化するin vivo保護試験である。続いて、雌マウスを飼育し、致死量のGBSをその仔獣に接種する。免疫化計画中の雌マウスの血清滴定量を、接種後の仔獣の生存時間と共に測定する。
【0212】
例えば、6〜8週齡の4 CD−1非近交系雌マウス群(Charles River Laboratories, Calco Italy)を1つ以上のGBS抗原(例えば100μLのPBSに懸濁したBibAポリペプチド20μg)で免疫化する。各群に0日目、21日目、35日目に3回投与する。初回投与は等量の完全フロイントアジュバント(CFA)、以下の2回の投与は不完全フロインドアジュバント(IFA)と共にタンパク質を腹腔内注射して免疫化を行う。各免疫化スキームにおいて、陰性及び陽性対照群を使用する。0日目及び49日目に得られた血清サンプルを使用して免疫反応をモニターする。各マウス群からのプールとして血清を分析する。
【0213】
免疫反応は、TH1免疫反応及びTH2免疫反応の1つ又は両方である。免疫反応は、改善或いは増強或いは変質した免疫反応である。免疫反応は、全身及び粘膜免疫反応の1つ又は両方である。好ましくは、免疫反応は増強されたシステム及び/又は粘膜反応である。
【0214】
増強された全身及び/又は粘膜免疫は、増強されたTH1及び/又はTH2免疫反応に反映される。好ましくは、増強された免疫反応には、IgG1及び/又はIgG2a及び/又はIgAの生成の上昇が含まれる。
【0215】
好ましくは、粘膜免疫反応はTH2免疫反応である。好ましくは、粘膜免疫反応にはIgA生成の上昇が含まれる。
【0216】
活性化されたTH2細胞は抗体生成を増強し、従って細胞外感染に対して有用である。活性化されたTH2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6及びIL−10の1つ以上を分泌する。TH2免疫反応は、将来の保護のためIgG1、IgE、IgA及び記憶B細胞を生成する場合がある。
【0217】
TH2免疫反応には、TH2免疫反応に関連する1つ以上のサイトカイン(例えばIL−4、IL−5、IL−6及びIL−1O)の1つ以上の上昇又はIgG1、IgE、IgA及び記憶B細胞の生成の上昇が含まれる。好ましくは、増強されたTH2免疫反応には、IgG1生成の上昇が含まれる。
【0218】
TH1免疫反応には、CTLの上昇、TH1免疫反応に関連する1つ以上のサイトカイン(例えばIL−2、IFNγ及びTNFβ)の上昇、活性化マクロファージの上昇、NK活性の上昇、又はIgG2a生成の上昇の1つ以上が含まれる。好ましくは、増強されたTH1免疫反応には、IgG2a生成の上昇が含まれる。
【0219】
本発明の免疫原性成分、特に本発明のBibAポリペプチド(又はBibAポリペプチドをコードする核酸分子)を含む免疫原性成分は、単独で或いはその他のGBS抗原と組み合わせて場合によりTh1及び/又はTh2反応を誘発することができる免疫調節剤と共に使用される場合がある。
【0220】
本発明は又、1つ以上の免疫調節剤、例えばミネラル塩、例えばアルミニウム塩及びCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドを含む免疫原性成分も含む。最も好ましくは、免疫原性成分には、アルミニウム塩、及びCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドの何れも含まれる。或いは、免疫原性成分には、ADPリボシル化毒素、例えば解毒されたADPリボシル化毒素、及びCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドが含まれる。好ましくは、免疫調節剤の1つ以上にはアジュバントが含まれる。アジュバントは、以下に詳述するTH1アジュバント及びTH2アジュバントからなる1つ以上の群から選択される場合がある。
【0221】
本発明の組成物は、好ましくはGBS感染症に効果的に対応するために細胞性免疫反応並びに体液免疫反応の両方を誘発する。この免疫反応は、好ましくは持続性の(例えば中和)抗体及びBibAポリペプチド曝露に迅速に対応することができる細胞性免疫を誘導する。
【0222】
BibAポリペプチド(又はBibAポリペプチドをコードする核酸分子)の他に、免疫原性成分は中和抗体反応を誘発する1つ以上のGBS抗原及び細胞性免疫反応を誘発する1つ以上のGBS抗原を含んでもよい。このように、中和抗体反応は初期のGBS感染症を予防又は阻害するが、増強されたTh1細胞反応を誘発することができる細胞媒介免疫反応は、更にGBS感染症の拡大を予防する。好ましくは、免疫原性成分は1つ以上のGBS表面抗原及び1つ以上のGBS細胞質抗原、例えばTh1細胞反応を誘発することができる細胞質抗原を含む。
【0223】
B. 組成物の調製
本発明の組成物は、種々の形態で調製してもよい。例えば、組成物は溶液又は懸濁液として注射可能に調製することができる。注射前に液体溶媒に溶解又は懸濁することに適した固体製剤も調製することができる(例えば凍結乾燥組成物)。組成物は、経口投与用に、例えば錠剤又はカプセル、スプレー、又はシロップとして(場合により味付けして)調製することができる。組成物は、例えば微粉又はスプレーを使用する吸入剤として肺内投与用に調製することができる。組成物は、坐薬又はペッサリーとして調製することができる。組成物は、例えば滴剤として点鼻、点耳、点眼投与用に調製することができる。組成物は、患者に投与する直前に混合組成物を再構成するように設計されたキットの形態にすることができる。このようなキットは、液状の形態において1つ以上のGBS又は他の抗原及び1つ以上の凍結乾燥抗原を含む場合がある。
【0224】
ワクチンとして使用される免疫原性成分は、免疫学的有効量のBibAポリペプチド(又はBibAポリペプチドをコードする核酸分子)又はBibA抗体を含む。「免疫学的有効量」とは、単回投与又は連続投与の一部として個体に投与された場合、測定可能な免疫反応を増大するか又は臨床症状を予防又は軽減する量である。
【0225】
別の実施形態においては、本発明の組成物又は本発明の表面露出型及び/又は表面結合型GBS抗原を1つ以上含む組成物の投与後に抗生物質が投与される。GBS感染症の処置に使用するのに好適な抗生物質の例には、ペニシリン又はその誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0226】
C. 投与法
本発明の組成物は、一般的に患者に直接投与される。本発明の組成物は、単独で又は組成物の一部として種々の異なる径路で投与される場合がある。特定の組成物については、より効果的な免疫反応、好ましくはCMI反応が生じるよう、或いは副作用を誘発しないよう、或いは投与し易くなるような特定の径路が好ましい。
【0227】
送達法には、注射(例えば皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、筋肉内注射、又は間質注射)及び経直腸投与、経口投与(例えば錠剤、スプレー)、経膣投与、局所投与、経皮投与(例えば、WO 99/27961を参照)、経皮投与(例えば、WO02/074244及びWO02/064162を参照)、鼻腔内(例えばWO03/028760を参照)、眼内、耳内及び肺内の粘膜投与が含まれる。
【0228】
例として、本発明の組成物は、全身的径路又は粘膜径路又は経皮的径路で投与される場合もあれば、特定の組織に直接投与される場合がある。本明細書で使用される「全身的投与」という用語には、非経口投与経路が含まれるが、これに限定されない。特に、非経口投与には、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、動脈内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、或いは静脈内注入、動脈内注入、或いは腎臓透析注入法が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、全身的、非経口投与は筋肉内注射である。本明細書で使用される「粘膜投与」という用語には、経口投与、鼻内投与、膣内投与、直腸内投与、気管内投与、腸内投与及び眼内投与が含まれるが、これらに限定されない。
【0229】
ティーンエイジャー及び幼児・乳児を含む小児には、予防目的でワクチンを投与することができるが、治療ワクチンは一般的にティーンエイジャー又は成人に投与される。小児用ワクチンは、例えば安全性、用量、免疫原性、等を評価するために成人に投与される場合がある。
【0230】
本発明の免疫原性成分は、抗生物質治療計画と組み合わせて投与される場合がある。一実施形態においては、本発明の組成物を投与する前に抗生物質が投与される。
【0231】
投与治療は、単回投与計画であっても、複数回投与計画であってもよい。複数回投与は、一次免疫処置計画及び/又は追加免疫処置計画において使用される場合がある。複数回投与計画においては、種々の用量を同一又は異なる径路、例えば非経口プライムと粘膜ブースト、粘膜プライムと非経口ブースト等によって投与される場合がある。
【0232】
組成物における活性因子の量は、治療される個体の健康及び身体的状態、年齢、治療される個体の分類群(例えばヒト以外の霊長類、霊長類等)、個体の免疫システムの抗体合成能力、必要な保護度、ワクチンの調製、治療医による病状の評価、及びその他の関連要因によって異なる。その量は、ルーチン試験を通じて決定することができる比較的広範囲に及ぶ。
【0233】
IX. キット
本発明は、本発明の組成物又はその成分を含む1つ以上の容器からなる1つ以上のキットも提供する。組成物は、組成物の個々の成分と同様に液体又は凍結乾燥にすることができる。組成物に好適な容器には、例えば瓶、バイアル、シリンジ及び試験管が含まれる。容器は、ガラス又はプラスチックを含め種々の材料からを形成することができる。容器は、無菌のアクセスポートが付いていてもよい(例えば、容器は静脈用注射液バッグ又は皮下注射ニードルによって貫通できるストッパーの付いたバイアルであってもよい)。
【0234】
キットは更に、薬学的に好ましい緩衝液、例えば燐酸塩緩衝食塩水、リンゲル液又はデキストロース溶液を含む第2の容器を含んでもよい。又、その他の緩衝液、賦形剤、フィルター、ニードル及びシリンジを含め、エンドユーザにとって有用なその他の材料を含んでもよい。キットは、別の活性因子、例えば抗生物質の入った第2又は第3の容器を含んでもよい。
【0235】
キットは、S.アガラクティエに対する免疫を誘発する方法が書かれた説明書を含む添付文書を含んでもよい。添付文書は、未公認の草案の添付文書であっても、或いは米国食品薬品局(FDA)又は他の規制団体によって承認された添付文書であってもよい。
【0236】
X. スクリーニング法
本発明は、BibAに結合するか又は活性を修飾する試験化合物をスクリーニングするための試験を提供する。試験化合物は、好ましくは(1)コイルドコイルドメインに結合し、BibAの補体、例えばC4結合タンパク質との相互作用又はBibAダイマーの形成を阻害する;或いは(b)プロリンリッチドメインに結合し、BibAの宿主上皮細胞への結合を阻害する;(c)BibAのN末端領域に結合し、BibAのIgAへの結合を阻害する;或いは(d)BibAの種々の部分に結合し、IgGのタンパク質への結合を阻害する。試験は、本発明の全長のBibAタンパク質又はBibAポリペプチドを使用して実行してもよい。
【0237】
A. 試験化合物
試験化合物は、当該技術分野で既知の薬理作用物質であっても、或いは薬理作用も有することが以前に知られていなかった化合物であってもよい。化合物は天然であっても、実験室で設計されてもよい。これらは、微生物、動物又は植物から単離されてもよければ、組み換えで生成されてもよく、当該技術分野で既知の化学的方法によって合成されてもよく、或いは当該技術分野で種々のコンビナトリアルライブラリー法(生物学的ライブラリー、空間的にアドレス可能な平行固相又は液相ライブラリー、デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法、「1ビーズ1化合物」ライブラリー法、及び親和性クロマトグラフィー選別を利用した合成ライブラリー法を含むが、これらに限定されない)を使用して得てもよい。
【0238】
B. 試験
当該技術分野で既知の何れの方法も、試験化合物とBibA領域の結合の検出又はBibA領域とその生物学的標的との結合を分離するために使用してよい。
【0239】
幾つかの結合試験においては、試験化合物又はBibAタンパク質又はポリペプチドの何れかが、検知可能なラベル、例えば蛍光、ラジオアイソトープ、化学発光又は酵素ラベル、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ又はルシフェラーゼを含んでもよい。このようなラベルの検出法は、当該技術分野で周知である。或いは、反応体のどちらかを標識せずに結合を判定してもよい。例えば、McConnellら、Science 257, 1906−12, 1992を参照されたい。リアルタイムの二分子相互作用分析(BIA)(Sjolander & Urbaniczky, Anal. Chem. 63, 2338−2345, 1991, and Szaboら、Curr. Opin. Struct. Biol. 5, 699−705, 1995)のような技術を使用してもよい。
【0240】
他の実施形態において、BibAタンパク質又はポリペプチドは、BibAの種々の領域に結合するか相互作用する他のタンパク質を特定するために2ハイブリッド試験又は3ハイブリッド試験における「ベイトタンパク質」として使用してもよい(例えば、以下の文献を参照:米国特許第5,283,317号;Zervosら、Cell 72, 223−232, 1993; Maduraら、J. Biol. Chem. 268, 12046−12054, 1993; Bartelら、BioTechniques 14, 920−924, 1993; Iwabuchiら、Oncogene 8, 1693−1696, 1993; 及びBrent W094/10300)。
【0241】
以下の実施例に記載するような試験は、BibAの種々の領域とそれらの領域の生物学的標的の間の結合が試験化合物によって阻害又は妨害されるかどうか検知するために使用することができる。
【0242】
本開示内容で引用される全ての特許、特許出願及び参考文献は、全体が参考として本明細書に明示的に組み入れらている。上記の開示内容は、本発明の概要であり、以下の特定の実施例を参照することでより詳細に理解することができるが、これらの実施例は単に例示を目的としたものであって、本発明の適用範囲を限定することを目的としたものではない。
【実施例】
【0243】
(実施例1)
BibAのダイマー形成可能性
本実施例は、BibAがダイマーを形成することができることを実証する。高解像度分画法では、分子は大きい順にマトリックスの細孔から溶出する。小さな分子ほどマトリックスの細孔にアクセスし易く、従ってカラムを下降する。図3A及び3Bを参照されたい。
【0244】
(実施例2)
BibAタンパク質の表面結合
GBS細菌を二次的なFITC結合αマウスIgG抗体のみで培養した。陰性対照としてフロイントアジュバント(αPBS)で免疫化されたマウス血清でも細菌を処理した。図4A及び4Bの「α−PBS」とラベルしたグラフは陰性対照を示す。BibAレベルは、α−BibA血清及び免疫前血清で処理した細胞間の蛍光の平均値の変化で表す。蛍光の平均(Δ平均)の変化を得るため、免疫前血清で培養した細菌をα−BibA血清で処理した細菌と比較した。
【0245】
2603株、18RS21株及びH36B株のBibAタンパク質は表面結合を示したが、515株及びCJB 111株は結合を示さなかった(Δ平均=0)。図5も参照されたい。
【0246】
(実施例3)
BibAタンパク質クラスター
GBS 515株(pAM401−SAG2063)をTHB培地(10mL)で一晩培養した。一晩培養物1mLの細菌細胞を新鮮なTHB培地5mLに再懸濁し、37℃でOD 0.5(固定相)まで培養した。次に、細菌を室温、3000rpmで10分間遠心分離し、洗浄後1mLのPBSに再懸濁した。ホルムバール・カーボンコートしたニッケルグリッドをGBS懸濁液の小滴に10分間浮かべた。次に、グリッドを2%のPFAで15分間固定し、遮断溶液(1%の正常ウサギ血清及び1%のBSAを含むPBS)に入れた。次に、グリッドをBibAに対する一次抗血清(mαBibA)の小滴(遮断溶液で1:50に希釈)に室温で30分間浮かし、6滴の遮断溶液で洗浄後、10nmの金粒子に結合した二次抗体(1%のBSAに1:25に希釈)に30分間浮かべた。次に、4滴のPBS、続いて4滴の蒸留水でグリッドを洗浄した後、空気乾燥させた。GEOL 1200 EX 11透過型電子顕微鏡を使用してグリッドを検査した。
【0247】
図6は、BibAタンパク質クラスターの存在を示す。
【0248】
(実施例4)
515 pAM401株の表面におけるBibA発現
図7Aに示す通り、BamH1及びSalI制限部位を使用して、それ自体のプロモーター及びターミネーターを含むBibA遺伝子(SAG2063)をpAM401ベクターにクローニングした。GBS 2603V/R株及び515 Ia株をこの構成で形質転換した。
【0249】
FACS分析は、BibAタンパク質が高レベルで515(pAM401−SAG2063)株表面に露出されることを示した。図7B。
【0250】
(実施例5)
2603株表面におけるBibA発現の増加
FACS分析は、2603(pAM401−SAG2063)株表面におけるBibAタンパク質の露出が2603 wt株に対して増大することを示した。結果を図8に示す。
【0251】
(実施例6)
BibAの分泌された形態
GBSタンパク質抽出物をSDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に移した。次に、タンパク質をマウスα−BibAポリクローナル抗体でオーバーレイし、HRP結合二次抗体で染色した。図10に示す通り、BibA 515株及びCJB111株の分離では、培養液上清(分泌されたタンパク質分画)においてのみBibAタンパク質が見られた。これは、BibA 515株及びCJB111株においてプロリンリッチモチーフを欠くBibAタンパク質の短縮形態が分泌物中に発現されることを実証する。図10を参照されたい。
【0252】
(実施例7)
BibAのC4結合タンパク質(C4BP)への結合
組み換えBibAタンパク質をニトロセルロース膜上で乾燥させ、組み換えc4結合タンパク質で培養した。次に、マウスa−C4BPモノクローナル抗体を使用して結合タンパク質を検出し、HRP結合抗体で染色した。図11Aは、異なる濃度のBibAタンパク質をHRP結合抗体で染色したドットブロットであるが、BibAがC4結合タンパク質に結合することを実証している。
【0253】
組み換えBibAタンパク質をSDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜上にブロットした後、組み換えC4結合タンパク質で培養した。次に、マウスa−C4BPモノクローナル抗体を使用して結合タンパク質を検出し、HRP結合抗体で染色した。図11Bは、BibAがC4結合タンパク質に結合することを確証するウェスタンブロットを示す。
【0254】
(実施例8)
BibAタンパク質の上皮細胞表面への結合
BibAタンパク質の存在下及び非存在下でME180頚部細胞を培養し、次にマウスα−BibAポリクローナル抗体を添加した。次に、ME180頚部細胞をFITC結合αマウスIgG二次抗体で染色した。ME 180頚部細胞をFITC結合αマウスIgG二次抗体のみで(即ちマウスα−BibAポリクローナル抗体の非存在下で)処理することによって陽性対照を得た。分析をCaco2腸細胞、A549肺胞細胞及び16HBE140の気管支細胞で繰り返した。陰性対照として、BibAと同様にクローニングしたGBS7タンパク質を使用した。
【0255】
Dmeanチャンネル値で表したBibA結合を、BibAの存在下及び非存在下で培養した細胞間の蛍光強度の差としてFACScan血球計算器によって測定した。結果を図12に示す。「二次抗体のみ」の領域は、FITC結合抗体でのみで処理された細胞を示す。Dmeanチャンネル値で表したBibA結合を、BibAの存在下及び非存在下で培養した細胞間の蛍光強度の差としてFACScan血球計算器によって測定した。陰性対照として、BibAと同様にクローニングしたGBS7タンパク質を使用した。
【0256】
(実施例9)
プロリンリッチモチーフによるBibAの上皮細胞表面への結合
ビオチニル化BibAタンパク質又はビオチニル化BibA断片の存在下で上皮細胞を培養し、次にFITC結合ストレプトアビジンで染色した。紫の領域は、FITC結合ストレプトアビジンのみで処理した細胞を示す。δ平均チャンネル値として表したBibA結合を、タンパク質の存在下及び非存在下で培養した細胞間の蛍光強度の差としてFACScan血球計算器によって測定した。
【0257】
結果を図13に示す。これらの結果は、BibAがプロリンリッチモチーフによって上皮細胞表面に結合することを実証する。図25A及び25B、図26も参照されたい。
【0258】
(実施例10)
精製ヒトIgGのBibAタンパク質への結合
精製したGBS3−His、GBS3Nt〜His(Nt)、GBS3−Nt1−His(Nt1)、GBS3−T−His(T)、GBS3−Ct−His(Ct)、GBS Mタンパク質(M1)(陽性対照)及びGBS 104(陰性対照)をSDS−4%−12%PAGEゲル(200V)で分離し、ニトロセルロース膜(35V、1時間、15分)に移した。ニトロセルロース膜を5%Milk−PBS−0.1% Tween20(PBS−T)を使用してRTで1時間遮断し、PBS−T内でRTで1時間免疫グロブリン(ヒトIgA又はヒトIgG)でオーバーレイした。膜をPBS−Tで3回洗浄し、5%Milk−PBS−0.1% Tween20において二次HRP結合抗体(1:1000)でオーバーレイした後、PBS−Tで3回洗浄した。ECLTM基質を使用して、免疫グロブリンへの陽性結合を検出した。
【0259】
結果を図14に示す。結果は、全長のタンパク質及びタンパク質断片が異なる親和性でヒトIgGに結合することを実証する。
【0260】
(実施例11)
ヒト及びウサギIgGに対するBibA−Hisの特異性
BibA−HisをSDS−PAGEで分離し、次にニトロセルロース膜に移した。遮断後に、膜を異なる種の血清で培養し、次にHRP結合抗IgG抗体で標識した。比色定量キットでタンパク質を明らかにした。
【0261】
結果を図17及び表1に示す。これらの結果は、BibA−Hisがヒト及びウサギIgGに対して特異的であり、マウスIgGを結合しないことを実証する。
【0262】
(実施例12)
精製ヒトIgAのBibAタンパク質への結合
精製したBibA−His、BibA−Nt−His(Nt)、BibA−Nt1−His(Nt1)、BibA−T−His(T)、BibA−Ct−His(Ct)、GBS Mタンパク質(M1)(陽性対照)及びGBS104(陰性対照)をSDS−4%−12%PAGEゲル(200V)で分離し、ニトロセルロース膜(35V、1時間、15分)に移した。ニトロセルロース膜を5%Milk−PBS−0.1% Tween 20(PBS−T)を使用してRTで1時間遮断し、PBS−T内で結合したヒト−IgAHRPを使用してRTで1時間オーバーレイした。膜をPBS−Tで3回洗浄した。ECLTM基質を使用して、免疫グロブリンへの陽性結合を検出した。膜を5%Milk−PBS−Tを使用してRTで1時間培養することによってタンパク質を遮断した。膜をPBS−T内でヒトIgGHRP(5μg/mL)を使用して1.5時間培養し、次にPBS−Tで3回洗浄した。ECLTM基質(PIERCEキット: SuperSignal West Pico化学発光基質)及び4−CNキット(BIO−RAD)を使用して、免疫グロブリンへの陽性結合を検出した。
【0263】
天然のBibAタンパク質及びBibAの一部をドットブロットによって検査した。
【0264】
結果を図15及び表2に示す。これらの結果は、BibAのN末端部が精製ヒトIgAに結合することを実証する。
【0265】
BibA−His及びBibA断片をトリプシンで15分間消化し、SDS−PAGEゲルで分離した。h−IgAHRP(1mL/mL)をニトロセルロース膜に移すタンパク質にオーバーレイした。結果を図16に示す。トリプシンによる消化は、まだh−IgAに結合する32kDaの断片を生成する。
【0266】
2603−BibA過剰発現突然変異株の表面に結合するヒト−IgAFITCを図9に示す。FACS分析は、BibA過剰発現突然変異株の表面に結合するIgAの増加を明らかにした。
【0267】
(実施例13)
BibAタンパク質の完全型又は短縮型の生成
BibAタンパク質の完全型又は短縮型をコードするプラスミドを以下のように構築した。2603ゲノムをテンプレートとして使用して、BibA領域をPCRによって増幅した。使用したオリゴヌクレオチドプライマーを表1に示す。順方向プライマーは全てNdeI制限部位を含んでいた。逆方向プライマーは全てXhoI制限部位を含んでいた。PCR生成物は、NdeI及びXhoIで消化され、NdeI及びXhoI制限pET21b(+)でゲル精製及び連結された。全構成は、DNA塩基配列決定によって確認された。組換え型タンパク質は、発現されたHis−tagタンパク質であった。
【0268】
GBS3−Hisは、BibA(GBS3)の完全型である。
【0269】
GBS3−Nt−Hisは、BibAのコイルドコイルドメインである。
【0270】
GBS3−Nt1−Hisは、最初の180 aaのないコイルドコイルドメインである。
【0271】
GBS3〜Ct−Hisは、BibAのプロリンリッチドメインである。
【0272】
GBS3−Nt3−Hisは、プロリンリッチドメイン及びコイルドコイルドメインの一部を含んでいた。
【0273】
GBS3−T−Hisは最初の180 aaを含んでいた。
【0274】
GBS3−His
34aa〜609aa
【0275】
【化15】

ヌクレオチド配列(配列番号22)
【0276】
【化16】

【0277】
【化17】

【0278】
【化18】

【0279】
【化19】

【0280】
【化20】

【0281】
【化21】

(実施例14)
実験手順
細胞の培養
ヒト頚部上皮細胞株ME 180を米国菌株保存機関(ATCC;米国メリーランド州ロックヴィル)から購入した。ME180細胞を熱不活性化したウシ胎児血清(FBS)10%が入ったRPMI 1640培地において培養した。肺癌細胞株A549(II型肺胞上皮細胞)及び結腸癌上皮細胞株Caco2もATCCから購入し、10%のFBS、4.5g/Lのグルコース及び非必須アミノ酸を添加したDMEMにおいて培養した。SV40ラージT抗原で形質転換したヒト気管支上皮細胞株16HBE 14(Grifantiniら、2002)を、10%のFBS、1.5mMのグルタミン及び100μg/mLの硫酸カナマイシンを添加したDMEMにおいて培養した。
【0282】
菌株及び増殖条件
本研究では、S.アガラクティエ2603V/R株及び515 Ia株を使用した。BibAタンパク質保存を判定するために、S.アガラクティエ株のパネルを分析した。大腸菌DH5α及びDH10BT1をクローン目的に、大腸菌BL21(DE3)をBibA融合タンパク質の発現用に使用した。S.アガラクティエを37℃のトッド・ヒューウィット培地(THB)においてOD600 0.4まで増殖した。プラスミドpAM401bibAを有するS.アガラクティエ株をクロラムフェニコール(10μg/mL)の存在下で培養した。大腸菌は、ルリア培地において培養した。プラスミドpAM401bibA、pJRS233ΔbibA又はpET21(b)+誘導体を有する大腸菌クローンをクロラムフェニコール(20μg/mL)、エリスロマイシン(400μg/mL)又はそれぞれアンピシリン(100μg/mL)の存在下で培養した。
【0283】
2603 V/R BibA欠損変異株の構築
Lauerら、2005に記載されている手順に従ってBibA遺伝子をS.アガラクティエ2603V/R株から除去した。プライマー
【0284】
【化22】

を使用して、スプライシングオーバーラップ伸長(SOE)PCR法によりインフレーム欠失断片を得た。この断片をXhoI消化pJRS233プラスミドにクローニングするため、XhoI制限酵素開裂部位をプライマーの5’末端(太字イタリック体)に組み込んだ。インフレーム欠失断片をpJRS233にクローニングした後、プラスミドpJRS233ΔbibAを得た。
【0285】
次に、電気穿孔法によってプラスミドpJRS233ΔbibAを2603V/R株に形質転換し、1μg/mLエリスロマイシンを含む30℃の寒天プレートにおいて培養後に形質転換細胞を選択した。次に、Maguinら、1996の記載に従って、形質転換細胞を37℃のエリスロマイシン選択で培養した。組み込み株をエリスロマイシン選択のない30℃の液体培地において5日間連続して継代培養してプラスミドpJRS233ΔbibAの除去を促進させ、染色体上のBibAを欠失させた。連続継代培養物の希釈液を寒天プレートに塗布し、pJRS233ΔbibAの除去を確認するため単一コロニーのエリスロマイシン感受性を試験した。
【0286】
S.アガラクティエにおけるBibAのプラスミドを介した発現
それ自体のプロモーター及びターミネーターを含むBibA遺伝子を、プライマー
【0287】
【化23】

を使用して、PCR法によってS.アガラクティエ2603V/R株の染色体DNAから増幅した。PCR生成物をBamHI/SalI消化大腸菌ストレプトコッカスpAM401発現コンストラクトにクローニングするため、制限酵素開裂部位BamHI及びSalIをプライマーの5’末端(太字のイタリック体)に組み込んだ。BibA遺伝子をpAM401にクローニングすることによってプラスミドpAM401bibAを得た。電気穿孔法によりプラスミドpAM401bibAを以下のクロラムフェニコール選択で2603V/R株及び515 I株に転換した。
【0288】
BibA組換え型タンパク質の発現及び精製
BibAの組み換え型を発現するため、テンプレートとしてS.アガラクティエ2603株のBibA遺伝子のオープンリーディングフレームを使用した。以下のNdeI及びXhoIの制限酵素部位を導入した特定のプライマーを使用したPCRによってコンストラクトを増幅した:
5’−GGAATTCCATATGCACGCGGATACTAGTTCAGGA−3’(配列番号50)、及び
5’−CCCGCTCGAGAATTGCTAAGAGTGGACTTGC−3’(配列番号51)。
【0289】
BibA N末端コンストラクト(aa 34−394)の場合には、以下の増幅プライマーを使用した:
5’−GGAATTCCATATGCACGCGGATACTAGTTCAGGA−3’(配列番号52)、及び
5’−CCCGCTCGAGACCTCTGGTAAGGTCTTGAA−3’(配列番号53)。
【0290】
BibA C末端コンストラクト(aa 389−622)については、以下のプライマーを使用した:
5’−GGAATTCCATATGCCAGACCTTACCAGAGGT−3’(配列番号54)、及び
5’−CCCGCTCGAGCGTAATAAGACCTGCACTT−3’(配列番号55)。
【0291】
PCR生成物をpET21(b)+ベクターにクローニングし、大腸菌BL21(DE3)細胞を転換するために使用した。BL21(DE3)細胞をLB−Amp(100のμg/mLのアンピシリン)で培養し、最終濃度1mMのIPTGで3時間誘導した。得られたバイオマスを0.3MのNaCl、50mMのNa−PO4緩衝液(pH 8.0)に懸濁し、ベーシックZモデル細胞破砕機(Constant Systems[英国ダベントリー])を使用して18,000psiで細胞を2代まで溶解した。次に、サンプルを5mL/minの流量でHis−Trap Ni−ActivatedキレーティングセファロースFFカラム(Amersham Biosciences[イタリア ミラノ])に投入した。次に、500mMのイミダゾール、0.3MのNaCl、50mM のNaリン酸塩緩衝液(12 CVにおいてpH 8.0)の0〜50%の勾配を通すことによって結合タンパク質をカラムから溶出した。IMAC(固定化金属アフィニティカラム)に溶出した物質を2.5mL画分に収集し、BibA−Hisタンパク質を含む画分をプールした。次に、収集したプールをHiLoad 26/60 Superdex 200ゲル濾過カラム(Amersham Biosciences[イタリア ミラノ])に投入した。タンパク質を2.5mL/分の流量で均一濃度溶出し、2.5mLの画分を収集した。
【0292】
細菌抽出物
細菌をOD600 0.4まで増殖し、GBSタンパク質抽出物を調製した。得られたペレットをPBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤及びムタノリシン400 U/mL(SIGMA[米国モンタナ州])を含む37℃のトリス塩酸5OmM(pH6.8)500μLにおいて1時間培養した。次に、細菌懸濁液をペレットにし、ペプチドグリカン結合タンパク質を含む上清を使用してBibAのウェスタンブロット分析を行った。分泌されたタンパク質分画を含むGBS抽出物を調製するため、OD600 0.4まで増殖した細菌培養物の上清を収集し、PAGEにおいて直接使用した。
【0293】
蛍光標示式細胞分取器分析
細菌表面におけるBibAの露出を定量化するため、GBSをOD600 0.4まで増殖し、0.1%のBSAと20%の正常子ウシ血清(NCS)を加えた4℃のウサギ抗BibA血清又はウサギ抗PBS血清(陰性対照)において1時間培養した。次に、細菌を0.1%のBSAを含むPBSで洗浄し、4℃のフィコエリトリン(PE)結合二次抗体(Jackson Immuno Research[米国ペンシルベニア州])において45分培養した。洗浄後、2%のPFAにてRTで20分細菌を固定、200μLのPBSに再懸濁して、FACSscanフローサイトメーター(Becton Dickinson)によってBecton DickinsonのCell Questソフトウェアプログラムを使用して分析した。
【0294】
結合試験において、ME180又はA549細胞を異なる濃度のBibAと混合し、4℃で1時間培養した。次に、細胞を5%のFCS中のウサギ抗BibA血清で、4℃で45分培養した。次に、細胞をPBSで2度洗浄し、4℃のPE結合二次抗体で45分培養した。細胞結合蛍光を、細胞探究プログラムを使用してFACSで分析した。タンパク質の存在下又は非存在下で培養した細胞のMFI値を比較した。
【0295】
結合試験
200μLに2%のFBSを加えた感染培地(抗生物質を含まない基本培地)において、ME180及びA549上皮細胞を約10細菌/細胞で感染させた。5%のCO2(v/v)における37℃で3時間の培養終了時に、ウェル内容物に1%のサポニンを添加後に総コロニー形成単位(c.f.u)を推定した。試験中に存在する総c.f.uに対する細胞内c.f.uの割合の決定により粘着性を定量化した。
【0296】
免疫金ラベル及び電子顕微鏡
GBS株2603V/R、2603ΔbibA、515 Ia及び515pAM401bibAをTHB培地(10mL)にて一晩培養した。一晩培養物1mLの細菌細胞を新鮮なTHB培地5mLに再懸濁し、37℃でOD 0.3(指数増殖期)まで増殖した。次に、細菌を3000rpm(RT)で10分間遠心分離し、洗浄後、1mLのPBSに再懸濁した。ホルムバール・カーボンコートしたニッケルグリッドをGBS懸濁液の小滴に5分間浮かべた。次に、グリッドを2%のPFAにおいて5分間固定し、遮断溶液(1%の正常ウサギ血清及び1%のBSAを含むPBS)に30分浸した。次に、遮断溶液においてグリッドをBibAタンパク質に対して1:20に希釈した一次抗血清の小滴にRTで30分浮かべ、6滴の遮断溶液で洗浄し、1%のBSAにおいて1:10に希釈した10nmの金粒子に結合した二次抗体に30分浮かべた。TEM GEOL 1200EX II透過型電子顕微鏡を使用して、グリッドを検査した。
【0297】
共焦点免疫蛍光顕微鏡
A549細胞を10%のFBS、4.5g/Lのグルコース及び非必須アミノ酸を加えた1mLのDMEMにおけるLab−TekIIチャンバースライドシステム(Nalgene)において密集するまで増殖させた。次に、細胞をMOI 10:1で細菌に感染させ、37℃で2時間培養した。次に、細胞を2%のパラホルムアルデヒドにおいて室温(RT)で30分又は4℃で一晩固定した。固定後、単一層を3%のBSAで遮断し、1%のBSAに希釈したマウス抗カプセル及びウサギ抗BibAポリクローナル抗体の混合物と共にRTで1時間培養した。次に、細菌をヤギ抗マウス及び抗ウサギのAlexa fluor(Molecular Probes)結合抗体(それぞれ568nm及び488nmで励起)によりRTで1時間染色した。F−アクチンをAlexa Fluor 622結合ファロイジンで染色した。次に、スライド・グラスからチャンバー壁を除去した。スローフェード試薬キット(Molecular Probes)を使用してカバーグラスを載せた。Bio−Rad共焦点走査型顕微鏡を使用してスライドを観察した。
【0298】
ドットブロット及びウェスタンブロット分析
ドットブロット分析において、BIORADドットブロットシステムを使用して精製した組み換えBibAタンパク質(範囲約2〜0.01μg)をニトロセルロース膜に吸収させた。5%のミルクで飽和後、膜を0.5μg/mLの血清精製ヒトIgA(Pierce)又はヒトIgG(SIGMA)で培養した。洗浄後、膜をHRP結合ウサギ抗ヒトIgA(Dako)或いはHRP結合ヤギ抗ヒトIgG(BD)で培養し、ECLによって陽性結合を検出した。
【0299】
BibAのC4BPへの結合を試験するため同じプロトコルを使用した。ヒトクエン酸血漿から得た精製C4BPをKordia Life Science(オランダ ライデン)から購入した。BibAのC4BPへの結合を明らかにするために、マウスモノクローナル抗C4BP抗体(BIOTREND Chemikalien[ドイツ ケルン])を使用した。
【0300】
ニトロセルロース膜(Portran)にSDS−PAGE分離タンパク質を移すことによって、BibAのIg又はC4BPへの結合のウェスタンブロット分析を行った。次に、膜を5%のミルクにおいて遮断し、5μg/mLの(a)正常ヒト血清から精製したIgG(SIGMA)、(b)正常マウス血清から精製したIgG(SIGMA)c)ウシ血清から精製したIgG(SIGMA)、d)ヒト血清から精製したIgA(Pierce)、(e)ヒト初乳から精製したIgA(SIGMA)、或いは(f)ヒト血漿C4BP(Kordia Life Science[オランダ])で1時間オーバーレイした。洗浄後、膜をそれぞれのHRP結合二次抗体で培養し、ECLにて検出を行った。
【0301】
配列分析
ClustalW(Thompsonら、1994)を使用して、2603V/R株(GenBank受入番号NP_689049;配列番号56)、18RS21株(AAJO00000000;配列番号57)、515 Ia株(AAJP00000000;配列番号58)、NEM316株(NP_736451;配列番号59)、H36B株(AAJS000000O0;配列番号60)、CJB111株(AAJQ00000000;配列番号61)、A909株(YP_330593;配列番号62;配列番号67も参照)及びCOH1株(AAJR00000000;配列番号63)のアライメントを行った。
【0302】
(実施例15)
BibAがGBS表面に露出されることを示す追加の証拠
図19Aに示す通り、指数増殖期(OD600=0.35)で増殖した2603V/R株のFACS分析は、抗BibA抗体染色後の細菌蛍光の変化を明らかにした。これは、BibAがGBS表面に暴露されることを示した。この結果は、2603V/R表面上のBibAの陽性免疫金ラベルを示す透過型免疫電子顕微鏡(IEM)によって更に確認された(図19B)。2603V/Rの細菌抽出物のウェスタンブロット分析は、ペプチドグリカン結合タンパク分画及び細菌上清の両方において抗BibA抗体によって認識された単一バンドの存在を示した(図19C)。BibAとして同定されたバンドは、予想では66kDMWであるのに対して見かけ上は約80kDmWであった(図19C)。BibAのC末端領域のプロリンリッチモチーフの存在は、このような差によるものと考えられる。実際、プロリンリッチドメインがタンパク質の電気泳動の移動を遅らせることが分かっている(Hollingsheadら、1986)。指数増殖期又は定常期で増殖した細菌の比較分析は、表面露出又は分泌タンパク質としてのBibAの発現の差を示さなかった(データ非表示)。予想通り、BibAノックアウト突然変異株は、BibA FACS陽性蛍光又は免疫金表面標識を示さなかった(図19D及び19E)。
【0303】
BibAの細胞壁への固着がLPXTG(配列番号3)モチーフの存在によることを実証するため、フレームシフトによりタンパク質がLPXTG(配列番号3)モチーフを欠き、従って短縮型で発現されると予測される515 Ia株におけるBibAの表面露出を調べた(Tettelinら、2005)。FACS分析及びIEMは何れも、このような株では、BibAは表面に露出されなかったことを立証した(図19E及び19F)。更に、ウェスタンブロット分析は、BibAが515 Iaの細菌上清において見られるが、ペプチドグリカン結合画分では見られないことを示した(図19G)。見かけの分子量38kDは、予測された短縮型と一致している。BibA遺伝子及びその調節要素(pAM401bibA)を含む2603V/R領域を有するプラスミドを515 Ia株に導入した場合、ウェスタンブロット、FACS及びIEM分析によって実証されたようにBibAは転座、細菌表面に固定された(図19H、19I及び19L)。
【0304】
(実施例16)
BibAのヒト免疫グロブリンへの特異的結合
BibAの配列分析がストレプトコッカスの免疫グロブリン結合タンパク質との類似性を示したため、精製した血清由来免疫グロブリン(Ig)でオーバーレイした組み換えBibAのウェスタンブロット分析を行った。実験的な陽性対照は、IgG及びIgA結合タンパク質であるGBSのM1タンパク質であった(Cunningham, 2000)。最近報告されたGBS線毛成分のタンパク質GBS 104 (Lauerら、2005)を無関係な陰性対照として使用した。図20Aに示す通り、BibAは精製ヒト血清IgGに特異的に結合するがマウス又はウシIgGには結合しない。一方、M1タンパク質はヒト、マウス及びウシIgGアイソフォームと同レベルで反応した。
【0305】
又、精製されたヒト血清又は分泌性初乳に由来するIgAへのBibA結合も試験された。M1タンパク質については、BibAは血清由来IgA及び分泌型IgAの両方を明確に認識する(図20B)。結合特性がゲル変性条件によらないことを実証するため、固有のドットブロット実験を行った。組み換えBibAタンパク質をニトロセルロース膜上で連続して希釈し、0.5μg/mLの精製ヒト血清IgG及びIgAで調べた。図20C及び20Dに示す通り、天然BibAのIgによるプロービングはヒトIgG及びIgAへの結合を立証した。ヒトIgAに対するBibAの反応性はヒトIgGより強いことが示された。実際、IgAへの陽性結合は既に0.4μgのBibA濃度で観察されたが、IgGでは結合に必要なBibA濃度は1.0μgであった(図20D)。一方、BibAへの強い結合はIgGでのみ検出された(図20C)。
【0306】
Igに対するBibAの結合領域を明らかにするため、BibAのN末端部分(aa 34−394)又はC末端部分(aa 400−600)を含む2つのコンストラクトを生成した。オーバーレイ免疫ブロット試験により、これら2つのBibAコンストラクトのヒトIgG及びIgAへの結合について試験した。図20Eに示す通り、ヒトIgGに結合するBibAは主にタンパク質のN末端領域に存在するが、C末端部分が関与する結合も観察された。一方、ヒトIgAへの結合は専らBibAのN末端部分が関与した(図20F)。
【0307】
(実施例17)
BibAのヒト補体制御因子C4bpへの結合
BibA及びMタンパク質の両方がヒトIgAに結合するため、以前に記載された(Carlssonら、2003)Mタンパク質がC4b結合タンパク質(C4bp)と結合する能力がBibAにもあるか調べた。変性条件及び非変性条件の両方において、C4bpオーバーレイブロットによってBibA結合活性を試験した。図21に示す通り、SDS−ゲル電気泳動で分離した組み換えBibA(図21A)或いはニトロセルロース膜上に天然型で点在した組み換えBibA(図21B)は、5μg/mLでC4bpオーバーレイと高度に反応する。M1も両条件において同様にC4bpに結合したが、2603V/Rゲノムから無作為選択した陰性対照タンパク質(GBS201)は結合しなかった。興味深いことに、BibAは、補体活性化第2経路制御H因子に対して結合を示さなかった。BibAのN末端及びC末端コンストラクトをC4bp結合についても試験した。図21Cに示す通り、SDS−PAGE分離BibAのオーバーレイブロットは、タンパク質のN末端領域がC4bpに特異的に結合するのに十分であることを示した。C末端部分では、結合が見られなかった。
【0308】
(実施例18)
BibA組換え型タンパク質の上皮細胞への結合
BibAがコイルドコイルドメインを形成する傾向のコンピュータシミュレーションによる予測は、接着型表現型を示唆した。最初に2603V/R株に発現された組み換えBibAのME 180頚部上皮細胞に結合する能力を試験した。異なる濃度の組換え型タンパク質で細胞を、4℃で1時間培養してBibA結合を行った。組み換えBibAを免疫原として得たウサギポリクローナル血清を一次抗体として使用し、結合をRフィコエリトリン結合二次抗体によって検出した。抗体非特異的結合を決定するために、タンパク質の非存在下で一次ポリクローナル抗体により細胞を培養した。BibAの濃度を増加したME 180細胞の培養後、BibAの結合は約5μg/mL濃度でプラトーに達することを発見した。
【0309】
図22Aに示す通り、BibAのME180細胞への結合が飽和する可能性があるため、遊離BibA濃度に対するBibA受容体複合体の蛍光強度の平均値をプロットすることによって組み換えBibAの推定受容体に対する親和性を評価した(図22B)。次に、Kd値を細胞上の推定受容体の50%の飽和を決定するBibA濃度として計算し、約4×10−8Mのレベルと評価した。組み換えBibAの腸(Caco2)、肺(A549)及び気管支(16HBE)上皮細胞株への結合も試験した。これらの細胞を10μg/mLの組み換えBibAにおいて培養した場合、偏移強度が細胞型によって異なっても、BibA−受容体複合体の蛍光の平均値は有意に増加した(図22C)。
【0310】
(実施例19)
GBSの上皮細胞への付着におけるBibAの関与
組み換えBibAの付着性が上皮細胞との相互作用における機能的役割に関係することを確認するため、2603V/R野生型株を細菌表面にタンパク質を発現しない同質遺伝子型BibAノックアウト突然変異株と比較する結合試験を行った(図19D)。図23A及びBに示す通り、2603V/R株表面のBibAの欠如はGBSがME 180及びA549細胞の両方に結合する能力を有意に減少させた(p<0.05)。pAM401bibAプラスミドの挿入による突然変異の補充は接着型表現型を復元した(データ非表示)。2603ΔbibA株が上皮細胞に付着する能力の阻害も、共焦点イメージング実験から明らかであった。2603V/R野生型株及び同質遺伝子型BibAノックアウト突然変異株をウサギ抗BibA及びマウス抗血清型Vポリクローナル抗体で染色した。
【0311】
図23C及び23Dに示す通り、顕微鏡視野(倍率20倍)において見られた上皮細胞結合細菌数は、BibA突然変異株において減少した。これらの結果は、結合試験によって得られた結果と全体的に一致した。pAM401bibAプラスミドによる2603V/R野生型株の形質転換を細菌表面のBibA露出を増加させるツールとして使用した。FACS実験は、2603 pAM401bibA株が野生型株と比較して蛍光強度チャンネル数を30%上昇したことを立証した。結合試験は、BibA過剰発現がGBSの上皮細胞に付着する能力と機能的に関係することを実証した。実際、野生型株2603と比較して、pAM401bibA株はME180及びA549細胞の両方に対して付着の増加を示した(図23A及び23B)。
【0312】
既に図19に示した通り、表面にBibAを露出しない515 Ia株において2603V/R型のBibA(515 pAM401bibA)を発現することができた。
このような発現が2603V/Rの野生型株の場合と同様に機能的な接着型表現型に関連することを実証するため、515 Ia野生型株及び515 pAM401bibAの間の上皮細胞への結合レベルを比較した。515 Ia表面のBibA露出により、ME 180及びA549細胞の両方に結合する細菌の割合が有意に増加した(図23A及び23B)。この表現型は、共焦点顕微鏡イメージングによっても明らかであった(図23E及び23F)。
【0313】
(実施例20)
BibAゲノムの特性解析
最近ゲノム配列が決定された2603V/R(Tettelinら、2002)、NEM316 III型(Glaserら、2002)、COH1 III型、CJB111 V型、515 Ia型、18RS21 II型及びA909 Ia型(Tettelinら、2005)株におけるゲノム分析によると、bibAはこれらの全株に存在するが、A909の反対のストランドにおける2つの推定トランスポザーゼの挿入によって阻害されることが示された。この挿入は、ヌクレオチド580におけるリーディングフレームを阻害する。515 Ia株に存在するbibA遺伝子は、タンパク質がN末端376アミノ酸から成りプロリンリッチ及び細胞壁固定領域を欠く短縮型となるフレームシフトを示す(図19G)。類似したフレームシフトはCJB111株にも生じ、N末端469アミノ酸が翻訳される。このようなタンパク質断片は、CJB111の上清に見られた。最も一般的な血清型を代表する31の菌株のGBS上清のウェスタンブロット分析は、BibAが菌株の81%に存在することを明らかにした(表4)。
【0314】
一方、FACS分析では、BibAは58%の菌株の表面に発現されるが、その19%ではBibAが専ら細菌上清において回収されることが示された。しかし、BibAの細菌表面の露出は、上清における存在と完全に関係していた。
【0315】
一般的に、異なるBibAタンパク質において2つの異なるタイプの配列変異性が観察される。1つは、N末端領域又はプロリンリッチドメインに見られる短いアミノ酸モジュールの可変性配列数の存在である。特に、IKAESIN(配列番号65)及びKIQXKXNT(配列番号66)の反復を有する91アミノ酸領域の存在がA909、CJB11及びH36BのN末端領域に見られるが、PEAK/PDVKモジュールの複写数は17〜42の間で変動する(表3を参照)。これは、転置要素の挿入/除去を示唆する。
【0316】
配列変動の第二の原因は、プロリンリッチドメイン内の97の残基の非反復領域から成り、515、NEM316、H36B、CJB111及びA909株を特徴付ける。総体として、配列分析により、タンパク質は3つの異なる変異型で存在し、1つは2603、18RS21及びCOH1株によって形成され、もう1つはNEM316及び515株によって形成され、最後の1つはCJB111、H36B及びA909株によって形成されることが明らかとなった(図24)。しかし、BibAアミノ酸配列の複数のアライメントは、タンパク質が一般的に十分に保存される(アミノ酸同一性は、異なる菌株のN末端領域の63.3〜100%の範囲である)ことを示すが、COH1の例外で、N末端領域は他の対立形質に対して平均で約25%アミノ酸同一性を示す。
【0317】
(実施例21)
能動的母体免疫試験
マウスにおける抗原の予防効果を確認するために、GBS感染症の母体免疫/新生仔チャレンジモデルを使用する。Rodewaldら、J. Infect. Diseases 166, 635, 1992を参照されたい。CD−1雌マウス(週齢6〜8週)を出産前に免疫化する。マウスに、単一の抗原で免疫化する場合は1用量当たり20μgのタンパク質を投与し、抗原を組み合わせて免疫化する場合は1用量当たり60μgのタンパク質(各抗原15μg)を投与する。マウスは最後の免疫接種の2−7日後に出産する。誕生から48時間以内に、仔獣にGBS培養物50μlを腹腔内注射する。使用前に冷凍培養物から開始しTHBで適切な濃度に希釈してチャレンジ接種物を調製する。予備実験において、試験株毎に1仔獣当たりのチャレンジ用量を、死亡率が90%となるように決定する。仔獣の生存をチャレンジの2日後にモニターする。予防率を100×(対照群死亡率−ワクチン投与群死亡率)/対照群死亡率で計算する。フィッシャーの正確確率検定によりデータの統計的有意性を評価する。
【0318】
(実施例22)
ヒト血液におけるBibAノックアウト突然変異株の除去の容易性
ヒトドナーから採血した新鮮な血液において、in vivoの細菌生存におけるBibA発現の重要性を評価した。GBSをOD600 0.4まで増殖し、洗浄後、PBSに再懸濁した。100μL中10 CFUの接種原を、抗凝血剤としてヘパリンを使用してヒトから採血した新鮮な血液300μLと混合した。試験管を37℃で撹拌しながら3時間培養し、CFUを測定するため希釈液を塗布した。
【0319】
表5に示す通り、2603V/R野生型株及び同質遺伝子型2603ΔbibAノックアウト突然変異株のヒト全血液における複製能力について比較した。試験終了時に回収された細菌数の時間0の細菌に対する割合として、細菌の生存指数を計算した。5人のドナーについて試験し、2603V/R野生型株は、ヒト血液において2603ΔbibA突然変異株より5倍効率的に増殖することを発見した。しかし、生存率はドナーによって異なった。血液において野生型株が徐々に複製した(5〜14回)3人のドナーにおいては、bibAノックアウト突然変異株は殆ど除去された。対照的に、野生型株が血液において高度に複製した(77回及び41回)2人のドナーでは、より非効率的であるが(それぞれ37回及び5回)bibA突然変異株はなお増殖した。これらの結果は、抗細菌活性の低下したドナーにおいては、血液中のGBS生存に対するBibAの寄与はあまり顕著でないことを示唆する。
【0320】
(実施例23)
BibA発現によって影響される多核白血球(PMN)による補体媒介GBS殺滅
ヒト血液によるGBSの食細胞クリアランスは、主として補体存在下でオプソニン化細菌を殺滅するPMNが媒介する。ヒトPMNによる2603V/R野生型株及びbibA突然変異株の殺滅を比較した。PMNを、Maioneら、Science 309, 148−50の記載に従ってデキストラン沈降、フィコール−ハイパーク密度勾配遠心分離法及び残余赤血球の低張溶解によって、正常で健康なボランティアのヘパリン抗凝固処理静脈血から得た。
【0321】
殺滅実験用の細菌を調製するため、THB培地において増殖した2603V/R及び2603ΔbibAを増殖の中対数期(OD600 0.4)に収集し、HBSS(Gibco−BRL)で洗浄後、10 CFU/mLの濃度に調整した。GB(10 CFU)を、抗GBS抗体を含む、37℃、5%のヒト血清で15分間オプソニン化した。細菌をPMNで3時間培養し、TSAプレート上の定量接種によって生存細菌数を決定した。
【0322】
ヒト血清のみによるGBSの培養では、殺滅は見られなかった。図30に示す通り、3時間の培養終了時、bibA突然変異株は野生型株より効率的に殺滅された。実際、PMNの食作用に対して野生型株の30%が生存したが、変異体細菌では7%のみが生存した。補体の熱不活性化により、野生型及びbibA突然変異株の両方が生存し、実験中5〜6倍複製した(図30)。
【0323】
【化24】

【0324】
【化25】

【0325】
【化26】

【図面の簡単な説明】
【0326】
【図1A】図1A 細胞膜に挿入されたBibAの図。
【図1B】図1B BibA及びMタンパク質の構造の比較。
【図2A】図2A 異なるGBS株におけるBibAタンパク質領域。
【図2B】図2b 予測された機能領域に基づくBibAクローニング断片の表示。
【図3】図3A〜B 組み換えBibAタンパク質がダイマーを形成することを実証する実験結果。図3A 組み換えBibAのゲルろ過。図3B クマシ染色。
【図4A】GBS株におけるBibAタンパク質の表面結合。2603、18RS21及びH36B株。
【図4B】GBS株におけるBibAタンパク質の表面結合。515及びCJB111株。
【図5A】BibAタンパク質が細菌細胞膜或いはGBS培養上澄み液に含まれていることを実証するデータ。FACS分析及びウェスタンブロット(2603株V型及び18RS21株II型)。
【図5B】BibAタンパク質が細菌細胞膜或いはGBS培養上澄み液に含まれていることを実証するデータ。FACS分析及びウェスタンブロット(H36B株Ib型)。
【図6】図6 2603V/R株のBibAタンパク質を発現する515株の免疫金染色を示す顕微鏡写真。
【図7】図7A pAM401ベクターにクローニングされた2063株のBibA遺伝子を示す図。図7B 515 pAM401株の表面上でBibAが発現されたことを実証するFACS分析。
【図8A】図8A 2603株の表面上でBibA発現が増加したことを実証するFACS分析。
【図8B】図8B 515株の表面のBibA発現を実証するFACS分析。
【図9】図9 突然変異株を過剰発現する2603−BibAの表面へのヒト−IgAFITC結合を実証するFACS分析。
【図10A】細菌細胞膜或いはGBS培養上澄み液に含まれているBibA部分を実証するデータ。515株Ia型。
【図10B】細菌細胞膜或いはGBS培養上澄み液に含まれているBibA部分を実証するデータ。CJB111株V型。
【図10C】細菌細胞膜或いはGBS培養上澄み液に含まれているBibA部分を実証するデータ。2603V/R株。
【図10D】細菌細胞膜或いはGBS培養上澄み液に含まれているBibA部分を実証するデータ。図10D 18RS21株。
【図10E】細菌細胞膜或いはGBS培養上澄み液に含まれているBibA部分を実証するデータ。図10E H36B株。
【図11A】BibAがC4結合タンパク質(C4BP)に結合することを示すブロット。図11A C4BPでオーバーレイし抗C4BP抗体で調べられた天然GBSタンパク質及びGBS mLタンパク質のドットブロット。
【図11B】BibAがC4結合タンパク質(C4BP)に結合することを示すブロット。図11B C4BPでオーバーレイし、抗C4BP抗体で調べられた組み換えGBSタンパク質のウェスタンブロット解析(左:ポンソー染色)。
【図12】種々の上皮細胞表面に結合したBibAのFACS分析。
【図13】上皮細胞に結合したBibA断片のFACS分析。
【図14A】精製したヒトIgGでオーバーレイし抗ヒトIgGHRP結合抗体で標識されたBibAタンパク質のウェスタンブロット。5mg/mLの精製ヒトIgGオーバーレイした7.5pMolの各タンパク質。
【図14B】精製したヒトIgGでオーバーレイし抗ヒトIgGHRP結合抗体で標識されたBibAタンパク質のウェスタンブロット。1mg/mLの精製ヒトIgGでオーバーレイした7.5pMolの各タンパク質。
【図14C】精製したヒトIgGでオーバーレイし抗ヒトIgGHRP結合抗体で標識されたBibAタンパク質のウェスタンブロット。5 μg/mLの精製ヒトIgGでオーバーレイした15pMolのBibA。
【図15】BibAタンパク質に結合した精製ヒトIgAを示すブロット。左の2つのブロットは、精製ヒトIgAHRPで覆った変性BibAのウェスタンブロット分析。右のブロットは、精製ヒトIgAHRPでオーバーレイした天然BibAのドットブロット分析。
【図16】BibAのトリプシン消化断片のIgAへの結合を示すウェスタンブロット。
【図17】図17A〜C BibA−Hisがヒト及びラビットIgGに特異的であることを実証するブロット。図17A ヒト血清ヤギ−α−ヒト−IgG−HRP、図17B ウサギ血清ヤギ−α−ウサギ−IgG−HRP、図17C マウス血清ウサギ−α−マウス−IgG−HRP。
【図18】BibAがヒトIgG(レーンC)、ヒト血清IgA(レーンE)及びC4BP(レーンG)に結合することを示すウェスタンブロット。GBSのMタンパク質を陽性対照(レーンD、F、H)として使用した。
【図19】図19A〜L GBS 2603 V/R株においてBibAが発現され、表面暴露及び分泌されたことを実証するデータ。図19A GBS 2603 V/R株の表面上のBibAのフローサイトメトリー分析。細菌をポリクローン性マウス抗BibA抗体で培養し、FITC結合抗マウスIgG抗体で染色した(実線のヒストグラム)。点線のヒストグラムは、一次及び二次抗体のみで処理した細菌を示す。図19B GBS 2603V/R株におけるBibA発現の免疫金電子顕微鏡。ホルムバール−炭素コーティングを施したニッケルグリッドに細菌を吸収させ、次に2%のPFAにて固定した。グリッドを数滴の一次抗血清抗BibAタンパク質に浮かし、次に10nmの金粒子に結合した二次抗体上に浮かした。 図19C GBS 2603V/R株タンパク質抽出物におけるBibAの存在のウェスタンブロット解析。Pペプチドグリカンに伴うタンパク分画及びS細菌上澄みタンパク分画。GBSタンパク分画をSDS−10% PAGEゲル上で分離し、ニトロセルロース膜に移した。タンパク質をマウス抗BibAポリクローナル抗体で覆い、HRP結合抗体で染色した。ECLにより陽性バンドを検出した。図19D 2603 AbibA株の表面上のBibAのフローサイトメトリー分析。ポリクローナルマウス抗BibA抗体で細菌を培養し、FITC結合抗マウスのIgG抗体で染色した(実線のヒストグラム)。点線のヒストグラムは、一次及び二次抗体でのみ処理した細菌を示す。図19E GBS 2603 AbibA株におけるBibA発現の免疫金電子顕微鏡。ホルムバール−炭素コーティングを施したニッケルグリッドに細菌を吸収させ、次に2%のPFAにて固定した。グリッドを数滴の一次抗血清抗BibAタンパク質に浮かし、次に10nmの金粒子に結合した二次抗体上に浮かした。図19F 515 Ia株表面上のBibAのフローサイトメトリー分析。細菌をポリクローナルマウス抗BibA抗体で培養し、FITC結合抗マウスIgG抗体で染色した(実線のヒストグラム)。点線のヒストグラムは、一次及び二次抗体でのみ処理した細菌を示す。図19G GBS株515 IaにおけるBibA発現の免疫金電子顕微鏡。ホルムバール−炭素コーティングを施したニッケルグリッドに細菌を吸収させ、次に2%のPFAにて固定した。グリッドを数滴の一次抗血清抗BibAタンパク質に浮かし、次に10nmの金粒子に結合した二次抗体上に浮かした。図19H GBS 515 Ia及び515pAM401bibA株のタンパク質抽出物におけるBibAの存在のウェスタンブロット解析。Pペプチドグリカンに伴うタンパク分画及びS細菌上澄みタンパク分画。GBSタンパク分画をSDS−10% PAGEゲル上で分離し、ニトロセルロース膜に移した。タンパク質をマウス抗BibAポリクローナル抗体で覆い、HRP結合抗体で染色した。ECLにより陽性バンドを検出した。図19I 515pAM401bibA株表面上のBibAのフローサイトメトリー分析。細菌をポリクローナルマウス抗BibA抗体で培養し、FITC結合抗マウスIgG抗体で染色した(実線のヒストグラム)。点線のヒストグラムは、一次及び二次抗体でのみ処理した細菌を示す。図19L GBS 515pAM401bibA株におけるBibA発現の免疫金電子顕微鏡。ホルムバール−炭素コーティングを施したニッケルグリッドに細菌を吸収させ、次に2%のPFAにて固定した。グリッドを数滴の一次抗血清抗BibAタンパク質に浮かし、次に10nmの金粒子に結合した二次抗体上に浮かした。
【図20】図20A〜F BibAがヒト免疫グロブリンに結合することを実証するウェスタンブロット。図20A SDS PAGEの上で分離し、ニトロセルロース膜上でブロットした組み換えBibA。次に、膜をヒト、マウス又はウシの精製血清IgG 0.5μg/mLで覆い、異なるIgG種に対する二次抗体よってIgGへの陽性結合を明らかにした。この結合を評価するためECL検出を行った。GBSのM1タンパク質を陽性対照として使用したが、GBS104を非特異的結合の対照として使用した。図20B 0.5μg/mLの濃度でオーバーレイしたヒト血清又は分泌型IgAへの結合試験以外は図20Aと同じ。ブロットは、少なくとも三回行った実験の代表である。図20C及び図20DPBS内の異なる濃度の精製した組み換えBibAをニトロセルロース膜上につけ、図20Aと同様にオーバーレイ試験を行った。図20C ヒト血清IgGによるオーバーレイ。図20D ヒト血清IgAによるオーバーレイ。図20E SDS−PAGE分離したBibAのN末端及びCN末端構造のヒトIgGによるオーバーレイブロット。図20F SDS−PAGE分離したBibAのN末端及びCN末端構造のヒトIgAによるオーバーレイブロット。
【図21】図21A〜C BibAがヒトC4BPに結合することを実証するデータ。図21A SDS PAGEで分離し、ニトロセルロース膜にブロットした組み換えBibA。膜を5μg/mLのヒトC4BPとオーバーレイし、二次抗体対C4BPによって明らかにされた結合。GBSのM1タンパク質を陽性対照とし使用したが、GBS201を非特異的結合の対照として使用した。図21B 図21Aの場合と同様にニトロセルロース膜上につけ5μg/mLのC4BPでオーバーレイした天然の組み換えBibAの異なる濃度のドットブロット。図21C SDS−PAGEで分離し、ヒトC4BPでオーバーレイしたBibAのN末端及びC−末端構造のウェスタンブロット。実験的なブロッティング条件は図21Aの場合と同じである。
【図22】図22A〜C 上皮細胞への組み換えのBibAの結合を実証するグラフ。図22A ME180細胞を、組み換えBibAの濃度を0.01〜62.5μg/mLの範囲で増加させて4℃で1時間培養した。次に、細胞を洗浄し、マウス抗BibAモノクローナル抗体で培養し、次にFITC結合二次抗マウス抗体で培養した。MFI平均蛍光強度。このプロットは3つの独立した実験の代表である。図22B ME180細胞に対するBibA結合の飽和曲線。パネルAに報告したデータについて分析を行った。Kd値を細胞に存在する受容体の50%の飽和を決定するBibA濃度として求めた。図22C 10μg/mLのBibAのA549、Caco2及び16HBE上皮細胞への結合の代表的なフローサイトメトリープロファイル。結合実験条件及び分析は図22Aと同じ。点線のヒストグラムは、対照細胞のMFIを表す。
【図23】図23A〜F BibA発現がGBSの上皮細胞に付着する能力を調節することを実証するデータ。図23A 24ウェルプレートにおいて増殖させたME180細胞をGBS 2603V/R、2603ΔbibA及び2603pAM401bibA株に3時間感染させた。付着しなかった細菌を静かに洗い流し、細胞を結合試験用サポニンで溶解した。白いカラムは野生型株において結合細菌の割合を示し、ライトグレーのカラムはBibAの同質遺伝子型の突然変異株の結合率を示し、ダークグレーのカラムはBibAを過剰発現する野生型株の結合を示す。図23B A549細胞に感染させた以外は図23Aと同じ。3つの個々の実験の平均±標準偏差。スチューデントのt検定によって評価されたデータは信頼度95%であった。図23C BibA遺伝子を欠く同質遺伝子型の突然変異株(図23D)と比較した2603V/R株のA549肺上皮細胞への結合の共焦点画像解析の顕微鏡写真。スライドガラス上に増殖させたA549細胞をGBSに3時間感染させた。次に、V型莢膜多糖及びウサギポリクローナル抗BibAモノクローナル抗体で飼育したマウスのポリクローナル抗血清で細菌を染色した。カプセル及びBibAをそれぞれアレクサ・フルオル562レッド及び488グリーン結合二次抗体で標識した。A549細胞F−アクチンをアレクサ・フルオル622結合ファロイジンブルーで標識した。図に示す結果は、複数の実験の典型例である。図23E 515 Ia野生型株及びA549上皮細胞に関連する515 pAM40lbibA遺伝子(図23F)を含有するプラスミドを有する同系遺伝子型株の共焦点画像解析。
【図24】BibAタンパク質の配列構成の概要。Expasyウェブサーバ(ドメイン名:expasy.org)のPaircoilプログラム(Bergerら、1995)を使用して得られた予測によると、N末端領域はヘリックスリッチ構造を形成すると予測されている。典型的LPXTG(配列番号3)細胞壁固着モチーフ及び膜貫通領域の位置も示されている。
【図25】BibAがGBSの上皮細胞への付着に関与していることを実証するデータの概要。
【図26】BibAの過剰発現によってGBSの上皮細胞への付着が増大することを実証するデータの概要。
【図27】515 Ia表面上のBibAの発現によって上皮細胞への付着が増加することを実証するデータの概要。
【図28】IgAが組み換えBibAのN末端部分に結合することを実証するデータの概要。
【図29】IgA結合領域がBibAの最初の200個のアミノ酸内に含まれていることを実証するデータの概要。
【図30】BibAは、多形核白血球による殺菌に対するGBSの生存を促進する。ヒト血清(白い棒グラフ)又は補体不活性化ヒト血清(グレーの棒グラフ)の存在下において、ヒト好中球をGBS 2603V/R及び2603AMbA突然変異株(MOI 1:1)と共に3時間培養した。好中球と共に培養後の生菌の割合を測定した。3回行った典型的な実験を示す。実験を少なくとも3回繰り返したが、同じ結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)BibAタンパク質のコイルドコイルドメイン;
(2)該BibAタンパク質のリーダー配列及び該コイルドコイルドメイン;
(3)該BibAタンパク質のプロリンリッチドメイン;
(4)該BibAタンパク質の該コイルドコイルドメイン及び該プロリンリッチドメイン;並びに
(5)該BibAタンパク質の該リーダー配列、該コイルドコイルドメイン及び該プロリンリッチドメイン
からなる群から選択されるBibAタンパク質の一部を含むBibAポリペプチドであって、
該BibAタンパク質の一部が該BibAタンパク質のその他の隣接したアミノ酸配列を含まない、ポリペプチド。

【請求項2】
前記BibAタンパク質のアミノ酸配列が、配列番号1と少なくとも95%同一である、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項3】
前記BibAタンパク質のアミノ酸配列が配列番号1である、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項4】
前記プロリンリッチドメインのアミノ酸配列が、配列番号5と少なくとも95%同一である、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項5】
前記プロリンリッチドメインのアミノ酸配列が配列番号5である、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項6】
前記コイルドコイルドメインのアミノ酸配列が、配列番号7と少なくとも95%同一である、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項7】
前記コイルドコイルドメインのアミノ酸配列が配列番号7である、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項8】
前記リーダー配列のアミノ酸配列が、配列番号1のアミノ酸1〜36と少なくとも95%同一である、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項9】
前記リーダー配列のアミノ酸配列が、配列番号1のアミノ酸1〜36である、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項10】
前記一部が前記コイルドコイルドメインからなる、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項11】
前記一部が前記リーダー配列及び前記コイルドコイルドメインからなる、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項12】
前記一部のアミノ酸配列が、配列番号6と少なくとも95%同一である、請求項11に記載のBibAポリペプチド。
【請求項13】
前記一部のアミノ酸配列が配列番号6である、請求項11に記載のBibAポリペプチド。
【請求項14】
前記一部が前記プロリンリッチドメインからなる、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項15】
前記一部が前記コイルドコイルドメイン及び前記プロリンリッチドメインからなる、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項16】
前記一部のアミノ酸配列が、配列番号4と少なくとも95%同一である、請求項15に記載のBibAポリペプチド。
【請求項17】
前記一部のアミノ酸配列が配列番号4である、請求項15に記載のBibAポリペプチド。
【請求項18】
前記一部が前記リーダー配列、前記コイルドコイルドメイン、及び前記プロリンリッチドメインからなる、請求項1に記載のBibAポリペプチド。
【請求項19】
前記一部のアミノ酸配列が、配列番号8と少なくとも95%同一である、請求項18に記載のBibAポリペプチド。
【請求項20】
前記一部のアミノ酸配列が配列番号8である、請求項18に記載のBibAポリペプチド。
【請求項21】
請求項1〜20の何れかに記載のBibAポリペプチド;及び
薬学的に許容される担体
を含む組成物。
【請求項22】
第2のポリペプチドを更に含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ポリペプチドが、GBS1〜GBS689からなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1〜20の何れかに記載のBibAポリペプチドをコードする単離核酸分子。
【請求項25】
配列番号16から得られるヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の単離核酸分子。
【請求項26】
請求項24又は25に記載の核酸分子;及び
薬学的に許容される担体
を含む組成物。
【請求項27】
第2のポリペプチドをコードする第2の核酸分子を更に含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記第2のポリペプチドが、GBS1〜GBS689からなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記ポリペプチドの少なくとも1つが担体タンパク質と結合している、請求項21〜23の何れかに記載の組成物。
【請求項30】
前記担体タンパク質が、細菌毒素、細菌トキソイド、N.メニンジティディス外膜タンパク質、熱ショックタンパク質、百日咳タンパク質、H.influenzaeタンパク質D、サイトカイン、リンホカイン、ホルモン、成長因子、C.ディフィシレトキシンA、C.ディフィシレトキシンB、及び鉄取込みタンパク質からなる群から選択される、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
小児ワクチンに有用な活性因子を更に含む、請求項21〜30の何れかに記載の組成物。
【請求項32】
前記活性因子が:
(a)N.メニンジティディス、S.ニューモニエ、ボルデテラ−ペルツッシス、モラクセラ・カタラーリス、クロストリジウム・テタニ、コリネバクテリウム・ジフテリエ、RSウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、及びロタウイルスポリペプチド抗原からなる群から選択されるポリペプチド抗原;ならびに
(b)該ポリペプチド抗原をコードする核酸分子
からなる群から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
高齢の個体又は免疫不全の個体用のワクチンに有用な第2の活性因子を更に含む、請求項21〜30の何れかに記載の組成物。
【請求項34】
前記第2の活性因子が:
(a)エンテロコッカス・フェカーリス、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミス、シュードモナス・エルジノーサ、レジオネラ・ニューモフィラ、リステリア・モノサイトゲネス、インフルエンザウイルス、及びパラインフルエンザウイルスポリペプチド抗原からなる群から選択されるポリペプチド抗原;ならびに
(b)該ポリペプチド抗原をコードする核酸分子
からなる群から選択される、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
ストレプトコッカス・アガラクティエによる感染症を処置又は予防する方法であって、請求項21〜34の何れかに記載の組成物の有効量を、処置又は予防を必要とする個体に投与することを包含する、方法。
【請求項36】
請求項21〜34の何れかに記載の組成物を含む容器;及び
ストレプトコッカス・アガラクティエによる感染症の処置又は予防に該組成物を使用するための説明書
を含むキット。
【請求項37】
ストレプトコッカス・アガラクティエによる感染症を予防又は処置するワクチンを製造するための方法であって、
(a)請求項1〜20の何れかに記載のBibAポリペプチド;及び
(b)薬学的に許容される担体
を組み合わせることを包含する、方法。
【請求項38】
(a)前記BibAポリペプチドをコードする発現コンストラクトを含む宿主細胞を培養すること;及び
(b)該BibAポリペプチドを回収すること
からなる方法により、該ポリペプチドが製造される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
ストレプトコッカス・アガラクティエによる感染症を処置又は予防するワクチンを製造するための方法であって、
(a)請求項24又は25に記載の核酸分子;及び
(b)薬学的に許容される担体
を組み合わせることを包含する、方法。
【請求項40】
ストレプトコッカス・アガラクティエによる感染症を処置又は予防する医薬品の製造における、請求項1〜20の何れかに記載のBibAポリペプチドの使用。
【請求項41】
ストレプトコッカス・アガラクティエによる感染症を処置又は予防する医薬品の製造における、請求項24又は25に記載の核酸分子の使用。
【請求項42】
請求項1〜20の何れかに記載のBibAポリペプチドに特異的に結合する抗体の調製物。
【請求項43】
前記抗体がポリクローナルである、請求項42に記載の調製物。
【請求項44】
前記抗体がモノクローナルである、請求項42に記載の調製物。
【請求項45】
前記抗体が、F(ab’)断片、F(ab)断片、F分子、非共有結合のヘテロダイマー、一本鎖F分子、二量体抗体断片コンストラクト、三量体抗体断片コンストラクト、ミニボディー、ダイアボディー、及びキメラ抗体からなる群から選択される、請求項42に記載の調製物。
【請求項46】
前記抗体がヒト化される、請求項42〜45の何れかに記載の調製物。
【請求項47】
前記抗体がヒト抗体である、請求項42〜45の何れかに記載の調製物。
【請求項48】
前記抗体が、BibAのコイルドコイルドメインのエピトープに特異的に結合する、請求項42〜47の何れかに記載の調製物。
【請求項49】
前記抗体が、BibAのN末端部分においてエピトープに特異的に結合する、請求項42〜47の何れかに記載の調製物。
【請求項50】
前記抗体が、BibAのプロリンリッチドメインにおいてエピトープに特異的に結合する、請求項42〜47の何れかに記載の調製物。
【請求項51】
請求項42〜50の何れかに記載の調製物;及び
薬学的に許容される担体
を含む組成物。
【請求項52】
小児ワクチンに有用な活性因子に特異的に結合する抗体を更に含む、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記活性因子が、N.メニンジティディス、S.ニューモニエ、ボルデテラ・ペルツッシス、モラクセラ・カタラーリス、クロストリジウム・テタニ、コリネバクテリウム・ジフテリエ、RSウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、及びロタウイルスポリペプチド抗原からなる群から選択されるポリペプチド抗原である、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
高齢の個体又は免疫不全の個体用のワクチンに有用な活性因子に特異的に結合する抗体を更に含む、請求項51に記載の組成物。
【請求項55】
前記活性因子が、エンテロコッカス・フェカーリス、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミス、シュードモナス・エルジノーサ、レジオネラ・ニューモフィラ、リステリア・モノサイトゲネス、インフルエンザウイルス、及びパラインフルエンザウイルスポリペプチド抗原からなる群から選択されるポリペプチド抗原である、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
ストレプトコッカス・アガラクティエによる感染症を処置又は予防する方法であって、請求項51〜55の何れかに記載の組成物を、処置又は予防を必要とする患者に投与することを包含する、方法。
【請求項57】
請求項51に記載の組成物を含む容器;及び
S.アガラクティエによる感染症の処置又は予防に該組成物を使用するための説明書
を含むキット。
【請求項58】
ストレプトコッカス・アガラクティエによる感染症を処置又は予防する組成物を製造するための方法であって、
請求項42〜50の何れかに記載の調製物;及び
薬学的に許容される担体
を組み合わせることを包含する、方法。
【請求項59】
ストレプトコッカス・アガラクティエによる感染症を処置又は予防する医薬品の製造における、請求項42〜50の何れかに記載の調製物の使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2008−545381(P2008−545381A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511397(P2008−511397)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/018411
【国際公開番号】WO2006/130328
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(506361100)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス, インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】