説明

グランドピアノの大屋根前支持装置

【課題】演奏位置からの操作によって、大屋根前を容易に開放することができ、また、その開放に伴い、譜面台も容易にセットすることができるグランドピアノの大屋根前支持装置を提供する。
【解決手段】大屋根後5の前端部に回動自在に取り付けられた大屋根前6を、開放状態で支持するためのグランドピアノ1の大屋根前支持装置12であって、大屋根前6の下方に設けられた突揚げ棒支持部14と、基端部において突揚げ棒支持部14に回動自在に支持され、前上がりに傾斜するように開放された大屋根前6を先端部で支持するための突揚げ棒15と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大屋根後の前端部に回動自在に取り付けられた大屋根前を、開放状態で支持するためのグランドピアノの大屋根前支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、一般的なグランドピアノの外観を示している。このグランドピアノ31の最上部に設けられた大屋根4は、フレームや響板などを内蔵するピアノ本体2の上面を開閉するものである。この大屋根4は、一般にラワン合板などから成り、大屋根後5および大屋根前6で構成されている。大屋根後5は、低音側の奥行きが高音側のそれよりも長い所定形状に形成され、低音側端部が、屋根角蝶番(図示せず)を介して、ピアノ本体2の側面を構成する側板7に回動自在に取り付けられている。一方、大屋根前6は、平面形状が横長矩形状に形成されており、大屋根後5の前端部に、大屋根蝶番8を介して回動自在に取り付けられ、大屋根後5に対して折り畳み自在になっている。また、大屋根前6の下面前端部には、左右方向に延びる上口棒6aが設けられ、大屋根前6の下方には、回動自在に支持された譜面台11が設けられている(図6参照)。
【0003】
以上のように構成された大屋根4は、グランドピアノ31の非演奏時や保管時には、ピアノ本体2の内部機構を保護するために、図5に示すように水平に閉鎖される。なお、この閉鎖状態では、大屋根前6の上口棒6aが、側板7の左右の前端部間に固定された横長の前框10に上方から当接する。一方、演奏時には、演奏音を前方の演奏者側に直接、伝えるようにしたり、演奏音を大屋根後5の下面で反射させたりすることなどによって、より豊かな音量や響きを得るため、および譜面台11を起立した状態にセットするために、大屋根4が開放される。
【0004】
図6は、大屋根前6の開放および譜面台11のセットを行う際の操作手順の一例を示している。同図(a)に示すように、大屋根前6を開放する場合、まず演奏者Pが、グランドピアノ31の横に回り、大屋根前6を手で支えながら、大屋根後5に対して後方に折り畳むことによって開放する。このように、演奏者Pがグランドピアノ31の横に回って大屋根前6の開放操作を行うのは、以下の理由による。すなわち、大屋根4は一般に、サイズがかなり大きく、重厚に作製されており、大屋根前6だけでもかなり重い。また、大屋根前6は、大屋根後5の前端部に大屋根蝶番8を介して単純に取り付けられているだけであるので、開放操作の途中に手が離されると、大屋根後5の上面前部に衝突し、大屋根前6および大屋根後5が損傷するおそれがある。そのため、大屋根前6を開放する場合には、大屋根後5に対して完全に折り畳まれるまで、大屋根前6を手で支える必要があり、グランドピアノ31の前方からでは、演奏者Pが立ち上がった状態でも、大屋根前6を適切に開放することが困難だからである。
【0005】
大屋根前6の開放後、演奏者Pは、そのままの位置(図6(a)に示す位置)において、または、グランドピアノ31の前方において、譜面台11を起立した状態にセットする。この場合、演奏者Pは、図6(b)に示すように、グランドピアノ31の前方に設置された椅子Cに座った状態の位置(以下「演奏位置」という)から、譜面台11を手前に引き起こすことでセットすることも可能である。なお、図示は省略するが、大屋根後5を開放する場合には、大屋根前6を前述したように折り畳んだ後、大屋根後5の高音側端部を持ち上げながら開放し、大屋根後5を大屋根突揚げ棒(図示せず)で支持する。これにより、大屋根後5は、折り畳まれた大屋根前6とともに、高音側が高くなるように傾斜した開放状態に保持される。
【0006】
また、譜面台11を起立した状態にセットする場合、上述したように、演奏位置から行うことが可能であるものの、譜面台11のセットに先立ち、大屋根前6を開放する必要がある。この場合には、前述した理由から、演奏者Pは、グランドピアノ31の横に回らなければならない。しかし、グランドピアノ31が、例えば狭い室内に設置されていることなどにより、グランドピアノ31の左右のスペースが狭く、演奏者Pがそのスペースに移動するのが困難である場合には、大屋根前6を開放しにくくなる。特に、演奏者が車椅子使用者である場合、その演奏者にとって、グランドピアノ31の横に回り、重い大屋根前6を開放するのは、大変な作業である。しかも、グランドピアノ31の左右のスペースが車椅子の幅よりも狭い場合、演奏者自身で大屋根前6を開放するのは非常に困難であり、大屋根前6を開放できないときには、譜面台11をセットすることもできない。
【0007】
このため、本出願人は、グランドピアノの横に回らなくても、前方から大屋根前を開放可能な大屋根前開閉機構を、特許文献1において提案している。この大屋根前開閉機構は、特殊な蝶番やガイド板、スライドレールなどを用いて、大屋根前と大屋根後を連結し、大屋根前を前後方向にスライドさせることによって開閉するものである。そして、大屋根前の開放時には、大屋根前全体が大屋根後に乗り上がった状態となる。
【0008】
しかし、この大屋根前開閉機構を備えたグランドピアノでは、演奏者が立ち上がった状態であれば、大屋根前を容易に開放できるものの、椅子に座った状態のまま、大屋根前を完全に開放するのは困難である。すなわち、大屋根前を完全に開放するためには、大屋根前全体が大屋根後に乗り上がるよう、大屋根前を大屋根後の前端まで押し込む必要がある。大屋根後の前端は、演奏者が椅子に座った状態から手を伸ばしても届かない位置にあることが多く、そのため、大屋根前を完全には開放できないことがある。この場合、演奏者が椅子に座った状態の位置から、すなわち演奏位置から、大屋根前の下方に配置された譜面台を引き起こそうとすると、譜面台が不完全な開放状態の大屋根前に引っ掛かることがあり、その場合には、譜面台を起立した状態にセットすることができない。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、演奏位置からの操作によって、大屋根前を容易に開放することができ、また、その開放に伴い、譜面台も容易にセットすることができるグランドピアノの大屋根前支持装置を提供することを目的とする。
【0010】
【特許文献1】特許3497711号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、大屋根後の前端部に回動自在に取り付けられた大屋根前を、開放状態で支持するためのグランドピアノの大屋根前支持装置であって、大屋根前の下方に設けられた突揚げ棒支持部と、基端部において突揚げ棒支持部に回動自在に支持され、前上がりに傾斜するように開放された大屋根前を先端部で支持するための突揚げ棒と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、一般的なグランドピアノと同様、大屋根前が大屋根後の前端部に回動自在に取り付けられている。また、大屋根前の下方には、突揚げ棒支持部が設けられ、この突揚げ棒支持部に、突揚げ棒が基端部において回動自在に支持されている。大屋根前を開放する場合、大屋根前の前端部を一方の手で持ち上げ、大屋根前を前上がりに傾斜した状態に保つ。そして、この大屋根前の状態を保ったまま、他方の手で突揚げ棒を回動させながら起こし、その先端部で大屋根前を支持する。これにより、大屋根前は、前上がりに傾斜した開放状態に保持される。
【0013】
以上のように、大屋根前の開放は、大屋根前の前端部を持ち上げるとともに、突揚げ棒を起こすという操作によって行われる。これらの操作は、大屋根前の折り畳みや後方へのスライドを行う従来の大屋根前の開放操作と異なり、閉鎖状態の大屋根前の前端から後方や上方に若干、手を伸ばす程度で行うことができ、つまり、演奏者が、グランドピアノの前方に設置された椅子に座った状態のまま、行うことができる。したがって、本発明によれば、演奏者による演奏位置からの操作によって、大屋根前を容易に開放することができ、このことは、演奏者が車椅子使用者であっても同様である。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のグランドピアノの大屋根前支持装置において、突揚げ棒は、互いに間隔を隔てて配置された左右2つの突揚げ棒で構成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、互いに間隔を隔てて配置された左右2つの突揚げ棒で、大屋根前を支持するので、開放された大屋根前を、バランスよくかつ安定した状態に保持することができる。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のグランドピアノの大屋根前支持装置において、大屋根前の下方には、譜面台支持部と、譜面台支持部に回動自在に支持され、使用時に起立した状態にセットされる譜面台とが設けられており、大屋根前は、突揚げ棒により、譜面台のセットを許容するような所定の角度に保持されることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、一般的なグランドピアノと同様、大屋根前の下方には、譜面台支持部に回動自在に支持された譜面台が設けられており、この譜面台は、使用時に起立した状態にセットされる。大屋根前は、突揚げ棒により、譜面台の上記セットを許容するような所定の角度に保持されるので、演奏者による演奏位置からの操作によって、大屋根前の開放に加えて、譜面台のセットも容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による大屋根前支持装置を備えたグランドピアノを示している。なお、以下の説明では、前述した図5および6に示す従来の一般的なグランドピアノと同じ構成要素については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
【0019】
図1に示すように、このグランドピアノ1は、一般的なグランドピアノと同様、ピアノ本体2の前部に鍵盤3を備えるとともに、その後方上部に、ピアノ本体2の上面を開閉する大屋根4を備えている。この大屋根4は、大屋根後5および大屋根前6で構成されている。大屋根後5は、その低音側端部が屋根角蝶番(図示せず)を介して、側板7に回動自在に取り付けられている。一方、大屋根前6は、その後端部が大屋根蝶番8(図3、5および6参照)を介して、大屋根後5の前端部に回動自在に取り付けられている。
【0020】
上記のように、この大屋根4は、一般的なグランドピアノのそれと同様に構成されている。したがって、大屋根前6および大屋根後5は、一般的なグランドピアノのそれらと同様の前述した開放状態、すなわち、大屋根前6を大屋根後5に対して折り畳んだ状態、および折り畳まれた大屋根前6とともに大屋根後5を傾斜させた状態で、開放することが可能である。
【0021】
また、大屋根前6の下方には、一般的なグランドピアノと同様の譜面台11が設けられ、さらにこの譜面台11の両側に、大屋根前6を支持することで、前上がりに傾斜した開放状態に保持するための左右2つの大屋根前支持装置12、12が設けられている。なお、これらの大屋根前支持装置12、12は、互いに構成が同じであるので、以下の説明では、演奏者側から見て、右側のものを代表して説明するものとする。
【0022】
図2(a)は、大屋根前6が閉鎖されているときの右側の大屋根前支持装置12、および譜面台11を部分的に示す平面図である。同図(a)および(b)に示すように、大屋根前支持装置12は、側板7の内側面に沿って、前框10の上端付近から後方に水平に延びるように設けられた収容部13と、この収容部13に固定された突揚げ棒支持部14と、収容部13に収容されるとともに、突揚げ棒支持部14に回動自在に支持された突揚げ棒15と、を備えている。
【0023】
収容部13には、その長さ方向に沿って前後方向(図2の左右方向)に延び、上方に開放する凹部13aが形成されており、凹部13aの前端部に突揚げ棒支持部14が固定されている。この突揚げ棒支持部14は、正面形状がU字状に形成されており、その内側に、突揚げ棒15の基端部が、左右方向に延びる支軸14aを介して回動自在に係合している。突揚げ棒15は、収容部13の凹部13aよりも若干短い所定長さを有し、基端部から先端部に向かって径が次第に小さくなるように形成されている。
【0024】
大屋根前6が閉鎖されているときには、突揚げ棒15は、突揚げ棒支持部14から後方に水平に延びた状態で、全体が収容部13の凹部13aに収容される。一方、大屋根前6を前上がりに傾斜した開放状態に保持する場合には、図1、および図2(b)の2点鎖線で示すように、突揚げ棒15は、後ろ上がり傾斜した状態で、大屋根前6を先端部で下方から支持する。この場合、左右の突揚げ棒15、15の先端部は、大屋根前6の下面前端部の上口棒6aよりも若干後方の所定位置に固定された左右の突揚げ棒受け皿16、16(図1では右側のもののみ図示)にそれぞれ係合する。なお、両突揚げ棒受け皿16、16は、後述するようにして左右の突揚げ棒15、15で順に大屋根前6が支持される場合において、大屋根前6を後から支持する突揚げ棒15が突揚げ棒受け皿16に係合する際に、大屋根前6を先に支持した突揚げ棒15が突揚げ棒受け皿16から外れないように構成されている。
【0025】
図2(a)および(c)に示すように、譜面台11は、その基部(図2(c)の前端部)が、下側に設けられた譜面台支持部21に、譜面台蝶番22を介して回動自在に支持されている。また、譜面台11の下面(背面)側には、譜面台11を背面側から支持するための突っ支い部材23が設けられている。この突っ支い部材23は、平面形状が譜面台11側に開放するコ字状に形成されており、左右の先端部がそれぞれ、蝶番24、24(図2(c)では右側のもののみ図示)を介して、譜面台11の背面の所定位置に回動自在に連結されている。
【0026】
大屋根前6が閉鎖されているときには、譜面台11は、水平に横たわった状態になる。一方、大屋根前6が開放されているときには、図1、および図2(c)の2点鎖線で示すように、譜面台11を、起立した状態にセットすることが可能になる。この場合、突っ支い部材23の後ろ側の自由端部が、譜面台支持部21の譜面台蝶番22の後方に設けられたストッパ25に係合する。これにより、譜面台11は、突っ支い部材23によって背面側から支持され、鉛直方向に対し、後方に若干傾斜した状態に保持される。
【0027】
なお、上記ストッパ25は、前後方向に並び、突っ支い部材23の自由端部が当接した状態で、これを係止するための複数(本実施形態では3つ)の傾斜面25aを有している。したがって、突っ支い部材23の自由端部が、複数の傾斜面25aに選択的に係止されることにより、譜面台11は、複数の傾斜角度でセットされる。
【0028】
次に、図3および図4を参照しながら、演奏者Pによる演奏開始前のグランドピアノ1に対する操作手順、特に、大屋根前6の開放および譜面台11のセットを行う際の操作手順を説明する。図3(a)は、演奏者Pが、グランドピアノ1の前方に設置された椅子Cに座った直後の状態を示している。演奏者Pが演奏を行う場合には、それに先立ち、同図(b)に示すように、鍵盤3を覆う鍵盤蓋3aの前端部を持ち上げ、前框10にもたれかけることによって、鍵盤蓋3aを開放する。
【0029】
大屋根前6を開放する場合には、図4(a)に示すように、大屋根前6の前端部を一方の手で持ち上げ、大屋根前6を前上がりに傾斜した状態に保つ。そして、この大屋根前6の状態を保ったまま、他方の手で一方の突揚げ棒15を手前に回動させながら起こし、その先端部を、大屋根前6の突揚げ棒受け皿16に係合させる。同様にして、他方の突揚げ棒15も起こし、先端部を大屋根前6の対応する突揚げ棒受け皿16に係合させる。これにより、大屋根前6は、左右の前端部が両突揚げ棒15、15で下方からそれぞれ支持され、前上がりに傾斜した開放状態に、バランスよくかつ安定して保持される。またこの場合、大屋根前6は、譜面台11のセットを許容する所定の角度で、前上がりに傾斜する。
【0030】
次いで、譜面台11をセットする場合には、図4(b)に示すように、譜面台11を手前に回動させながら起こす。この場合、譜面台11の回動に伴い、突っ支い部材23の自由端部が前方に移動し、ストッパ25に係合する。これにより、譜面台11は、突っ支い部材23で背面側から支持され、起立した状態にセットされる。
【0031】
なお、上記のように開放した大屋根前6およびセットした譜面台11については、演奏終了後、上記と逆の手順で操作することにより、容易に元に戻すことができる。
【0032】
以上詳述したように、本実施形態によれば、大屋根前6の開放は、大屋根前6の前端部を持ち上げるとともに、左右の突揚げ棒15、15を手前に起こすという操作によって行われる。これらの操作は、大屋根前6の折り畳みや後方へのスライドを行う従来の大屋根前の開放操作と異なり、閉鎖状態の大屋根前6の前端から後方や上方に若干、手を伸ばす程度で行うことができ、つまり、演奏者Pが、椅子Cに座った状態のまま行うことができる。したがって、演奏者Pによる演奏位置からの操作によって、大屋根前6を容易に開放することができる。しかも、開放状態の大屋根前6は、譜面台11のセットを許容する角度で、前上がりに傾斜しているので、演奏者Pによる演奏位置からの操作によって、譜面台11のセットも容易に行うことができる。以上のことは、演奏者が車椅子使用者であっても同様である。
【0033】
また、本実施形態のグランドピアノ1では、一般的なグランドピアノと同様の大屋根4の開放状態(大屋根前6を大屋根後5に対して折り畳んだ状態、および折り畳まれた大屋根前6とともに大屋根後5を傾斜させた状態)に加えて、大屋根前6を前上がりに傾斜した状態で、開放することができるので、図1に示すような従来にはない斬新な外観のグランドピアノ1を得ることができ、それにより、グランドピアノ1の魅力を向上させることができる。
【0034】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、大屋根前6を、左右2つの突揚げ棒15、15で支持したが、突揚げ棒15の数は特に限定されるものではなく、例えば、単一の突揚げ棒で、大屋根前6を支持するようにしてもよい。また、実施形態では、各突揚げ棒15を、前方に回動させながら起こせるように構成したが、例えば左右方向に回動させながら、起こせるように構成してもよい。さらに、各大屋根前支持装置12において、互いに長さの異なる複数の突揚げ棒を備えるようにしてもよい。この場合には、複数の突揚げ棒を適宜、選択することにより、大屋根前6を複数の傾斜角度で開放することができる。
【0035】
また、実施形態で示した大屋根前支持装置12の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態による大屋根前支持装置を備えたグランドピアノを示す外観斜視図であり、大屋根前が前上がりに傾斜するように開放された状態、および譜面台がセットされた状態を示す。
【図2】(a)大屋根前が閉鎖されているときの右側の大屋根前支持装置、および譜面台を部分的に示す平面図、(b)(a)のb−b線に沿う断面図、(c)(a)のc−c線に沿う断面図である。
【図3】演奏者による演奏開始前のグランドピアノに対する操作手順を説明するための説明図であり、(a)演奏者が椅子に座った直後の状態、(b)鍵盤蓋を開放した状態を示す。
【図4】図3に続く説明図であり、(a)大屋根前を開放し、突上げ棒で支持した状態、(b)譜面台をセットした状態を示す。
【図5】従来の一般的なグランドピアノを示す外観斜視図である。
【図6】従来の一般的なグランドピアノの大屋根前の開放、および譜面台のセットを行う際の操作手順を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 グランドピアノ
2 ピアノ本体
4 大屋根
5 大屋根後
6 大屋根前
11 譜面台
12 大屋根前支持装置
14 突揚げ棒支持部
15 突揚げ棒
21 譜面台支持部
P 演奏者
C 椅子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大屋根後の前端部に回動自在に取り付けられた大屋根前を、開放状態で支持するためのグランドピアノの大屋根前支持装置であって、
前記大屋根前の下方に設けられた突揚げ棒支持部と、
基端部において前記突揚げ棒支持部に回動自在に支持され、前上がりに傾斜するように開放された前記大屋根前を先端部で支持するための突揚げ棒と、
を備えていることを特徴とするグランドピアノの大屋根前支持装置。
【請求項2】
前記突揚げ棒は、互いに間隔を隔てて配置された左右2つの突揚げ棒で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のグランドピアノの大屋根前支持装置。
【請求項3】
前記大屋根前の下方には、譜面台支持部と、当該譜面台支持部に回動自在に支持され、使用時に起立した状態にセットされる譜面台とが設けられており、
前記大屋根前は、前記突揚げ棒により、前記譜面台の前記セットを許容するような所定の角度に保持されることを特徴とする請求項1または2に記載のグランドピアノの大屋根前支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−2849(P2010−2849A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163501(P2008−163501)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)