説明

グリル及びグリル付ガスコンロ

【課題】使い勝手の向上を図ることができるグリルを提供する。
【解決手段】グリル庫5内に、被調理物の載置体7と、汁受け皿8とが装備され、グリル庫5の側壁5Aよりも外方箇所に、載置体7に載置された被調理物を加熱するためのバーナ10が、側壁5Aに形成した炎通過孔11を通してグリル庫5内に伸びる炎を形成する状態で、且つ、載置体7よりも横外方に位置する状態で配置され、側壁5Aにおける載置体7の横側方からバーナ10の下方に至る加熱対応部分Kが、載置体7よりも横外方に位置する状態に形成され、側壁5Aの加熱対応部分Kにおける少なくとも載置体7の横側方に相当する部分を覆う板状のカバー体16が着脱自在に設けられ、カバー体16の下端側部分が、下端側ほどグリル庫5の内方側に位置する傾斜姿勢に形成され、汁受け皿8が、カバー体16の下端から流下する流下物を受止める状態で設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル庫内に、被調理物の載置体と、その載置体の下方に配置される汁受け皿とが装備され、前記グリル庫の側壁よりも外方箇所に、前記載置体に載置された被調理物を加熱するためのバーナが、前記側壁に形成した炎通過孔を通して前記グリル庫内に伸びる炎を形成する状態で設けられたグリル、及び、そのグリルを備えたグリル付ガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるグリルの従来例として、バーナが、載置体の横端部の下方に重複する状態で配置され、グリル庫の側壁におけるバーナに対応する部分が、グルリ庫の内方に突出する凸状となるように形成されて、その凸状部の内方に、バーナが位置するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記特許文献1においては、グリル庫の側壁におけるバーナに対応する凸状部分の上面部が、下方側ほどグリル庫の内方側に位置する傾斜状に形成されて、載置体に載置された被調理物からの飛翔物(魚の脂等)が、凸状部分にふり掛かることがあっても、その飛翔物を下方に流動させ易いものとなっている。
【0004】
また、特許文献1においては、コンロバーナにて加熱される加熱対象物の載置部が、天板に設けられ、天板の下方にグリルが配備されるグリル付ガスコンロが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−79831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のグリルにおいては、グリル庫の側壁におけるバーナに対応する凸状部分の上面部が、下方側ほどグリル庫の内方側に位置する傾斜状に形成されてはいるものの、載置体に載置された被調理物からの飛翔物(魚の脂等)が、凸状部分の上部に滞留し易いものであり、衛生面を良好に保つ等のために頻繁に清掃しなければならないものとなる。
しかしながら、グリル庫の側壁におけるバーナに対応する凸状部分は、見え難く、又、手が届き難い等により清掃し難いものであるため、従来のグリルは、使い勝っての悪いものであった。
【0007】
ちなみに、被調理物からの飛翔物(魚の脂等)が、凸状部分の上部に滞留していると、バーナを燃焼させたときに、凸状部分の上部に滞留している飛翔物(魚の脂等)が燃焼することに起因して、被調理物を加熱調理するときに発生する煙の量が多くなる虞があり、この点からも、頻繁に清掃しなければならないものである。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、使い勝手の向上を図ることができるグリルを提供する点にある。
また、本発明の別の目的は、使い勝手を向上できるグリルを備えたグリル付ガスコンロを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のグリルは、グリル庫内に、被調理物の載置体と、その載置体の下方に配置される汁受け皿とが装備され、
前記グリル庫の側壁よりも外方箇所に、前記載置体に載置された被調理物を加熱するためのバーナが、前記側壁に形成した炎通過孔を通して前記グリル庫内に伸びる炎を形成する状態で設けられたものであって、その第1特徴構成は、
前記バーナが、前記載置体よりも横外方に位置する状態で配置され、
前記側壁における前記載置体の横側方から前記バーナの下方に至る加熱対応部分が、前記載置体よりも横外方に位置する状態に形成され、
前記側壁の前記加熱対応部分における少なくとも前記載置体の横側方に相当する部分を覆う板状のカバー体が着脱自在に設けられ、
前記カバー体の下端側部分が、下端側ほど前記グリル庫の内方側に位置する傾斜姿勢に形成され、
前記汁受け皿が、前記カバー体の下端から流下する流下物を受止める状態で設けられている点を特徴とする。
【0010】
すなわち、バーナが、載置体よりも横外方に位置する状態で配置されて、側壁における載置体の横側方からバーナの下方に至る加熱対応部分が、載置体よりも横外方に位置する状態に形成され、側壁の前記加熱対応部分における少なくとも載置体の横側方に相当する部分を覆う板状のカバー体が設けられているから、載置体に載置された被調理物からの飛翔物(魚の脂等)が、載置体の横側方に相当する部分を覆う板状のカバー体にふり掛かる傾向となる。
【0011】
ちなみに、加熱対応部分とは、載置体に載置された被調理物からの飛翔物(魚の脂等)がふり掛かる可能性が高い部分であり、そして、載置体の横側方に相当する部分とは、特に、被調理物からの飛翔物(魚の脂等)がふり掛かる可能性が高い部分であり、載置体の真横よりも上側の範囲及び下側の範囲をも含むものである。
【0012】
そして、カバー体の下端側部分が、下端側ほどグリル庫の内方側に位置する傾斜姿勢に形成され、汁受け皿が、カバー体の下端から流下する流下物を受止める状態で設けられているから、板状のカバー体にふり掛かった飛翔物(魚の脂等)が、下方に流動したのち、傾斜姿勢の下端側部分にて案内されながら落下して、汁受け皿にて受止め回収されることになる。
【0013】
カバー体には、載置体に載置された被調理物からの飛翔物(魚の脂等)がふり掛かるものであるから、衛生面を良好に保つ等のために、カバー体を適時清掃することになるが、カバー体が着脱自在に備えられているから、カバー体を清掃する際には、カバー体をグリル庫から取外して、洗浄液にて洗い流すようにする等、カバー体の清掃作業を容易に行えるものとなる。
【0014】
しかも、側壁における加熱対応部分が、載置体よりも横外方に位置する状態に形成されているから、カバー体の下端側部分を除いた部分が、載置体よりも横外方に位置することになるため、このカバー体の下端側部分を除いた部分には、載置体に載置された被調理物からの飛翔物(魚の脂等)がふり掛かり難いものとなる。
したがって、カバー体の下端側部分は、被調理物からの飛翔物(魚の脂等)が付着し易いため、念入りに清掃する必要があるものの、カバー体の他の部分については、被調理物からの飛翔物(魚の脂等)が付着し難いものであるから、念入りに清掃する必要がなく、この点からも、カバー体の清掃作業を容易に行えるものとなる。
【0015】
また、上述の如く、カバー体の下端から落下する飛翔物(魚の脂等)が、汁受け皿に受止め回収されることになるが、汁受け皿は、調理中(加熱中)において、載置体に載置された被調理物から落下してくる落下物(魚の脂等)を受け止め回収するものであるため、本来的に、頻繁に清掃されるものであるから、カバー体の下端から落下する飛翔物(魚の脂等)が汁受け皿に受止め回収されることになっても、汁受け皿の清掃作業が増加することはない。
【0016】
ちなみに、汁受け皿は、一般に、グリル庫に対して出し入れ自在でかつ着脱自在に装着されて、その清掃(洗浄)が行い易いものであるため、汁受け皿の清掃を頻繁に行うことになっても、使い勝手が悪くなることはない。
【0017】
以上の通り、載置体に載置された被調理物からの飛翔物(魚の脂等)を、側壁を覆うように設けたカバー体にて案内しながら汁受け皿に回収することによって、グルリ庫の側壁が飛翔物(魚の脂等)によって汚損されるのを抑制して、グルリ庫の側壁を清掃する頻度を減少させるようにし、そして、被調理物からの飛翔物(魚の脂等)がふり掛かることになるカバー体は適時清掃することになるものの、カバー体を着脱自在に設けることによって、カバー体の清掃作業を容易に行うことできるようにするのである。
【0018】
つまり、加熱調理を行うに伴って、カバー体や汁受け皿の清掃作業は頻繁に行う必要があるものの、グルリ庫の側壁に対する清掃作業は頻繁に行う必要がないものとなり、そして、カバー体や汁受け皿の清掃作業は行い易いものであるから、使い勝手が向上するのである。
【0019】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、使い勝手の向上を図ることができるグリルを提供できる。
【0020】
本発明の第2特徴構成は、上記した第1特徴構成に加えて、
前記カバー体が、前記側壁における前記炎通過孔よりも上方箇所を覆うように設けられている点を特徴とする。
【0021】
すなわち、カバー体が、側壁における炎通過孔よりも上方箇所を覆うように設けられるものであるから、カバー体には、バーナから伸びる炎を通過させるための孔を形成する必要がないため、カバー体の製作が容易となり、製作の容易化を図ることができる。
【0022】
また、側壁における炎通過孔よりも上方箇所を覆うように設けられるカバー体は、側壁における加熱対応部分の全体を覆うように形成するに較べて、小型で軽量となるため、着脱作業を良好に行い易く、使い勝手が一層向上する。
更に、被調理物からの飛散物(魚の油等)が側壁にある炎通過孔を通過してバーナ側へと向かうことを阻止できるので、清掃性が一層向上する。
【0023】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、製作の容易化を図り、しかも、使い勝手と清掃性をより一層向上させることができるグリルを提供できる。
【0024】
本発明の第3特徴構成は、上記した第1特徴構成に加えて、
前記カバー体が、前記加熱対応部分の全体を覆うように設けられ、
前記カバー体に、前記炎通過孔に対応するカバー体側炎通過孔が形成されている点を特徴とする。
【0025】
すなわち、カバー体が、炎通過孔に対応するカバー体側炎通過孔が形成された状態で、加熱対応部分の全体を覆うように設けられるものであるから、バーナがグリル庫内に伸びる炎を形成することを適正通り行いながらも、側壁における載置体の横側方からバーナの下方に至る加熱対応部分の全体を覆うことができる。
【0026】
したがって、側壁の加熱対応部分の全体をカバー体にて覆うものであるから、載置体に載置された被調理物からの飛翔物(魚の脂等)が、側壁にふり掛かることを極力回避できるため、清掃し難い側壁に対する清掃を行う頻度を一層減少させること可能となる。
【0027】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、側壁を清掃する頻度を一層減少させること可能となるグリルを提供できる。
【0028】
本発明のグリル付ガスコンロは、コンロバーナにて加熱される加熱対象物の載置部が、天板に設けられ、上記した第1〜第3特徴構成のいずれかに記載のグリルが、前記天板の下方に配備されている点を特徴とする。
【0029】
すなわち、天板に設けた載置部に、鍋等の加熱対象物を載置して、その加熱対象物をコンロバーナにて加熱することができ、また、天板の下方に配備したグリルにて、載置体に載置した被調理物を加熱することができる。
【0030】
そして、天板の下方に配備したグリルは、上記した第1〜第2特徴構成のいずれかに記載の構成を備えるものであるから、第1〜第2特徴構成の欄にて述べた如く、使い勝手の向上を図ることができるものである。
【0031】
要するに、本発明は、使い勝手の向上を図ることができるグリル付ガスコンロを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】グリル付ガスコンロの斜視図
【図2】第1実施形態のグリルの切欠側面図
【図3】同形態のグリルの縦断正面図
【図4】同形態の汁受け皿の支持構造を示す概略側面図
【図5】第2実施形態のグリルの切欠側面図
【図6】同形態のグリルの縦断正面図
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔第1実施形態〕
【0034】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
図1に示すように、コンロバーナとして、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cを備え、かつ、天板2の下方にグリルGを設けて、ビルトインタイプのグリル付ガスコンロが構成されている。
【0036】
天板2には、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cの夫々にて加熱される加熱対象物の載置部として、五徳3が設けられている。
また、天板2の後部側箇所には、グリルGの燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4が形成されている。
ちなみに、ガスコンロ前側面には、コンロバーナやグリルGの点火及び消火や火力調節を指令する手動操作部Sが設けられている。
【0037】
グリルGには、図2及び図3に示すように、前面部及び背部が開口した筒状に形成されたグリル庫5が備えられ、グリル庫5の後方側には、燃焼排ガスをグリル排気口4に導く排気ダクト6が接続され、グリル庫5の前部には、グリル扉Aが装備されている。
【0038】
グリル庫5内には、被調理物の載置体としての焼き網7と、その焼き網7の下方に配置される汁受け皿8とが装備されている。
本実施形態においては、焼き網7を支持する前後一対の支持体7Aが、汁受け皿8の前端部及び後端部に着脱自在に装着されている。
ちなみに、汁受け皿8及びグリル扉Aは、後述の如く、グリル庫5に対して一体的に出退自在に支持され、焼き網7が、汁受け皿8に支持された状態で、グリル庫5に対して出退されるようになっている。
【0039】
グリル庫5の上壁部には、焼き網7に載置された被調理物を上方から加熱する輻射式の上バーナ9が装備されている。
グリル庫5の側壁5Aよりも外方箇所に、焼き網7に載置された被調理物を加熱するためのバーナとして、左右一対の下バーナ10が、側壁5Aに形成した炎通過孔11を通してグリル庫5内に伸びる炎を形成する状態で設けられている。
また、左右一対の下バーナ10の夫々は、焼き網7よりも横外方に位置する状態で配置されている。
【0040】
つまり、左右一対の下バーナ10は、長手方向に沿って燃料噴出口10aを備える円筒状に構成されて、長手方向がグリル庫5の前後方向に沿う姿勢で、グリル庫5の側壁5Aの外方箇所に、焼き網7よりも下方側でかつ焼き網7よりも横外方に位置する状態で配置されている。
【0041】
また、左右一対の下バーナ10は、グリル庫5の背部側に相当する一端部から燃料ガスが供給される際に、一次空気がエジェクタ作用によって供給され、かつ、グリル庫5の底部に形成した空気孔12等から外気が二次空気として取り入れられて燃焼する、いわゆるブンゼン式バーナとして構成されている。
【0042】
グリル庫5の左右の側壁5Aの焼き網7の横側方から下バーナ10の下方に至る加熱対応部分Kを含めて、側壁5Aの上端から加熱対応部分Kの下端までの間に位置する部分が、鉛直方向に沿う板状体にて構成されて、側壁5Aにおける上端から加熱対応部分Kの下端までの間に位置する部分の内面が、鉛直方向に沿う面となるように形成されている。
また、左右の側壁5Aが、加熱対応部分Kを含めて、その全体を焼き網7よりも横外方に位置する状態に形成されている。
【0043】
また、左右の側壁5Aにおける加熱対応部分Kの下方に位置する底部側部分が、外方に凹入する凹入部Uを形成すべく外方側に凹入する状態で設けられている。
そして、凹入部Uの内部には、汁受け皿8やグリル扉Aを出退自在に支持するスライドレール式の案内機構Bが設けられている。
【0044】
スライドレール式の案内機構Bは、図3及び図4に示すように、グリル庫5の左右の凹入部U内に、長手方向をグリル庫5の前後向に向けた姿勢でグリル庫5に固定設置される固定側レール部13、その固定側レール部13に対してグリル庫5の前後方向に移動自在に支持される中間レール14、及び、その中間レール14に対してグリル庫5の前後方向に移動自在に支持される可動レール部15を備えている。
【0045】
そして、汁受け皿の左右の端縁部が、左右の案内機構Bにおける可動レール部15に対して、上方に取り外し自在な状態で、載置支持されている。
また、グリル扉Aが、左右の案内機構Bにおける可動レール部15の先端部に支持されている。
【0046】
したがって、汁受け皿8は、グリル庫5の前方に引き出した状態で、上方に持ち上げることにより、可動レール部15から取外すことができるため、可動レール部15から取外した状態で洗浄を行うことができる。
尚、詳細な構造についての説明は省略するが、グリル扉Aは、可動レール部15に対して着脱自在に取付けられて、可動レール部15から取外した状態で洗浄を行うことができるようになっている。
【0047】
左右の側壁5Aにおける加熱対応部分Kにおける少なくとも焼き網7の横側方に相当する部分を覆う板状のカバー体16が、側壁5Aにおける炎通過孔11よりも上方箇所を覆う状態で、着脱自在に設けられている。
そして、カバー体16の下端側部分16Aが、下端側ほどグリル庫5の内方側に位置する傾斜姿勢に設けられている。
ちなみに、本実施形態においては、カバー体16が、加熱対応部分Kよりも上方側部分をも覆うように構成されている。
【0048】
つまり、カバー体16は、下端側部分16Aを除いた上側部分が、鉛直方向に沿う平板状に形成され、その平板状の上側部分の下端に、傾斜姿勢の下端側部分16Aが連なる形態に構成されている。
ちなみに、カバー体16の上側部分の内面は、鉛直方向に沿う面となるため、被調理物からの飛翔物(魚の脂等)が、ふり掛かることがあっても、その飛翔物が円滑に下方に流動することになる。
【0049】
そして、汁受け皿8が、カバー体16の下端から流下する流下物を受止める状態で設けられている。
つまり、汁受け皿8の上縁部における内方側端部Eが、カバー体16の下端よりもグリル庫外方側に位置する状態で、汁受け皿8が設けられている。
【0050】
したがって、焼き網7に載置された被調理物からの飛翔物(魚の脂等)が、カバー体16にふり掛かる傾向となるが、カバー体16にふり掛かった飛翔物(魚の脂等)が、下方に流動したのち、傾斜姿勢の下端側部分16Aにて案内されながら落下して、汁受け皿にて受止め回収されることになる。
【0051】
カバー体16には、被調理物からの飛翔物(魚の脂等)がふり掛かるものであるから、衛生面を良好に保つ等のために、カバー体16を適時清掃することになるが、カバー体16が着脱自在に備えられているから、カバー体を清掃する際には、カバー体16をグリル庫5から取外して、洗浄液にて洗い流すようにする等、カバー体16の清掃作業を容易に行えるものとなる。
【0052】
カバー体16をグリル庫5に着脱自在に取り付ける構造について説明を加えると、グリル庫5の側壁5Aに、カバー体16を係止支持する前後一対の頭付ピン17が設けられている。
カバー体16におけるグリル庫5の後部側に相当する後端縁部には、前後一対の頭付ピン17のうちの後方側の頭付ピン17に対して係合する切欠き部18が形成され、カバー体16におけるグリル庫5の前部側に相当する前端部には、前後一対の頭付ピン17のうちの前方側の頭付ピン17に対して係合する係合孔19が形成されている。
【0053】
係合孔19は、下方側に頭付ピン17の頭部が挿通可能な大径部を備え、かつ、上方側に頭付ピン17の頭部が挿通不能な小径部を備える、いわゆるダルマ孔状に形成されている。
【0054】
したがって、カバー体16をグリル庫5に装着する際には、先ず、カバー体16をグリル庫5の後方側に移動させながら、後端部の切欠き部18を後方側の頭付ピン17に係合させ、次に、係合孔19の大径部を通して前方側の頭付ピン17の頭部を挿通させながら、カバー体16を側壁5Aに接近させる側に移動させて、係合孔19を前方側の頭付ピン17に係合させることにより、カバー体16をグリル庫5に装着することができる。
【0055】
また、カバー体16をグリル庫5から取外す際には、先ず、カバー体16を少し持ち上げ、その後、係合孔19の大径部を通して前方側の頭付ピン17の頭部を挿通させながら、カバー体16を側壁5Aから離間させる側に移動させて、係合孔19を前方側の頭付ピン17から離脱させ、次に、カバー体16をグリル庫5の前方側に移動させながら、後端部の切欠き部18を後方側の頭付ピン17から離脱させることにより、カバー体16をグリル庫5から取外すことができる。
【0056】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明するが、この第2実施形態は、カバー体16の構成の別実施形態を示すものであって、その他の構成は、第1実施形態と同様であるため、以下の記載においては、カバー体16の構成、及び、そのカバー体16の構成に対応するグリル庫5における側壁部の構成を説明して、その他の構成についての説明は省略する。
【0057】
図5及び図6に示すように、グリル庫5の側壁5Aが、その上端から下端に亘って、鉛直方向に沿う板状体にて構成されて、側壁5Aにおける上端から下端までの間に位置する部分の内面が、鉛直方向に沿う面となるように形成されている。
また、左右の側壁5Aが、その全体を焼き網7よりも横外方に位置する状態に形成されている。
【0058】
そして、本実施形態においては、カバー体16が、加熱対応部分Kの全体を覆う状態で、着脱自在に設けられており、カバー体16には、側壁5Aに形成した炎通過孔11に対応する状態で、カバー体側炎通過孔11Aが形成されている。
ちなみに、カバー体16を着脱自在に支持する構造は、第1実施形態と同様であり、また、本実施形態においても、カバー体16が、加熱対応部分Kよりも上方側部分をも覆うように構成されている。
【0059】
また、カバー体16の下端側部分16A、つまり、カバー体側炎通過孔11Aよりも下方に位置する下端側部分16Aが、下端側ほどグリル庫5の内方側に位置する傾斜姿勢に形成されている。
【0060】
つまり、カバー体16は、上記第1実施形態と同様に、下端側部分16Aを除いた上側部分が、鉛直方向に沿う平板状に形成され、その平板状の上側部分の下端に、傾斜姿勢の下端側部分16Aが連なる形態に構成されている。
ちなみに、カバー体16の上側部分の内面は、鉛直方向に沿う面となるため、被調理物からの飛翔物(魚の脂等)が、ふり掛かることがあっても、その飛翔物が円滑に下方に流動することになる。
【0061】
そして、汁受け皿8が、カバー体16の下端から流下する流下物を受止める状態で設けられている。
つまり、汁受け皿8の上縁部における内方側端部Eが、カバー体16の下端よりもグリル庫外方側に位置する状態で、汁受け皿8が設けられている。
ちなみに、汁受け皿8及びグリル扉Aは、第1実施形態にて説明したスライドレール式の案内機構Bにて支持されている。
【0062】
したがって、焼き網7に載置された被調理物からの飛翔物(魚の脂等)が、カバー体16に多量にふり掛かる傾向となるが、カバー体16にふり掛かった飛翔物(魚の脂等)が、下方に流動したのち、傾斜姿勢の下端側部分16Aにて案内されながら落下して、汁受け皿にて受止め回収されることになる。
【0063】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(イ)上記第1及び第2実施形態では、頭付ピン17に対して係止する状態でカバー体16を着脱自在に設ける場合を例示したが、例えば、カバー体16の背部に、グリル庫5の前後方向に沿う被係合レールを設け、かつ、グリル庫5の側壁5Aに、被係合レールが係合自在な案内レールを設けて、カバー体16をグリル庫5の前後方向にスライド移動させながら着脱させるように構成する等、カバー体16を着脱自在に取付ける構造は種々変更できるものである。
【0064】
(ロ)上記第2実施形態では、側壁5Aの上端から下端に至る全体を鉛直方向に沿う板状体にて構成する場合を例示したが、第2実施形態における側壁5Aとして、凹入部Uを備える第1実施形態の側壁5Aを適用してもよい。この場合、第1実施形態と同様に、凹入部Uの内部に、スライドレール式の案内機構Bを配備することになり、カバー体16の下端部分16Aを小さくして、デザイン性とお手入れ性を向上させることができる。凹入部Uの内部に、スライドレール式の案内機構Bを配備することになる。
【0065】
(ハ)上記第1及び第2実施形態では、スライドレール式の案内機構Bを用いて、汁受け皿8を出退自在並びに着脱自在に支持する場合を例示したが、汁受け皿8を出退自在並びに着脱自在に支持する構成は、種々の構成を適用できるものである。
【0066】
(ニ)上記第2実施形態では、下端側ほどグリル庫5の内方側に位置する傾斜姿勢に形成された下端側部分16Aが、カバー体側炎通過孔11Aの下方に位置している構成を示したが、この構成に加え、カバー体側炎通過孔11Aの上方に、下端側ほどグリル庫5の内方に位置する傾斜姿勢に形成された、下端側部分16Aと同様の突出部を持つ構成としてもよい。この場合、カバー体16の形状は複雑化するが、第1実施形態と同様に、被調理物からの飛散物(魚の油等)が側壁にある炎通過孔11を通過してバーナ側へと向かうことを阻止できるので、清掃性が一層向上する。
【0067】
(ホ)上記第1及び第2実施形態では、グリルGが、グルリ付ガスコンロに装備される場合を例示したが、本発明のグリルGは、グリル専用機を構成する場合にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0068】
1a コンロバーナ
1b コンロバーナ
1c コンロバーナ
2 天板
3 載置部
5 グリル庫
5A 側壁
7 載置体
8 汁受け皿
10 バーナ
11 炎通過孔
11A カバー体側炎通過孔
16 カバー体
16A 下端側部分
K 加熱対応部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル庫内に、被調理物の載置体と、その載置体の下方に配置される汁受け皿とが装備され、
前記グリル庫の側壁よりも外方箇所に、前記載置体に載置された被調理物を加熱するためのバーナが、前記側壁に形成した炎通過孔を通して前記グリル庫内に伸びる炎を形成する状態で設けられたグリルであって、
前記バーナが、前記載置体よりも横外方に位置する状態で配置され、
前記側壁における前記載置体の横側方から前記バーナの下方に至る加熱対応部分が、前記載置体よりも横外方に位置する状態に形成され、
前記側壁の前記加熱対応部分における少なくとも前記載置体の横側方に相当する部分を覆う板状のカバー体が着脱自在に設けられ、
前記カバー体の下端側部分が、下端側ほど前記グリル庫の内方側に位置する傾斜姿勢に形成され、
前記汁受け皿が、前記カバー体の下端から流下する流下物を受止める状態で設けられているグリル。
【請求項2】
前記カバー体が、前記側壁における前記炎通過孔よりも上方箇所を覆うように設けられている請求項1記載のグリル。
【請求項3】
前記カバー体が、前記加熱対応部分の全体を覆うように設けられ、
前記カバー体に、前記炎通過孔に対応するカバー体側炎通過孔が形成されている請求項1記載のグリル。
【請求項4】
コンロバーナにて加熱される加熱対象物の載置部が、天板に設けられ、請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリルが、前記天板の下方に配備されているグリル付ガスコンロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−102968(P2013−102968A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248948(P2011−248948)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(301071893)株式会社ハーマン (94)
【Fターム(参考)】