説明

グリーンな殺菌/消毒組成物及びその製造方法

1種以上の「グリーンな」界面活性剤を含む、洗浄及び殺菌組成物について開示する。組成物は、一般的にグリーンな殺菌剤とグリーンな界面活性剤と水とを含むマイクロエマルジョンとして存在してもよい。組成物は、リンカー、pH調整剤、天然香料、天然殺虫剤等の他のグリーンな成分、及び天然油等の他の天然有機活性物質も含んでよい。組成物は、あまり望ましくない環境上の特徴を持った従来の洗浄剤及び殺菌剤と同程度の又はそれよりも優れた性能を有する、グリーンな洗浄及び殺菌組成物として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「グリーンな(green)」殺菌/消毒剤と、「グリーンな」界面活性剤と、リンカー、pH調整剤、天然香料、及び他の「グリーンな」添加物等を含む他の「グリーンな」成分と、を含む、環境に優しい(eco-friendly)又は「グリーンな」殺菌/消毒組成物について開示する。組成物は、あまり望ましくない環境上の特徴(ecological profile)を持った従来の製品と同等の性能又はそれよりも優れた性能を有する、「グリーンな」洗浄及び殺菌/消毒組成物として使用することができる。組成物は、マイクロエマルジョンとして存在してもよい。
【背景技術】
【0002】
近年、グリーンな(すなわち、環境に優しい)家庭用製品又はパーソナルケア製品に対する消費者の意識が世界的規模でかなり高まってきている。その結果、望ましい環境上の特徴を有する家庭用製品の開発に多大な労力が当てられている。例えば、天然資源及び再生可能資源由来の成分を含む製品、及び自然環境のもとで生分解可能な製品は、この世界的な「環境に優しい」傾向に焦点を合わせたものである。
【0003】
実際、植物等の再生可能資源を原料とする製品は、その閉ざされたCOサイクルによって、温室化ガスの削減に貢献している。具体的には、植物は成長する際に、使用後の生分解によって大気に放出されるのと同量の二酸化炭素(CO)と水(HO)を消費する。そのため、植物等の再生可能資源を原料とする製品は、「グリーンな」ものであり、石油化学系製品に比べると「二酸化炭素排出量」がゼロであるか又は削減されると考えられる。植物素材等の再生可能資源又は石油等の再生不可能な資源はいずれも、界面活性剤、香料、油及び溶媒のような家庭用製品に共通の成分の直接的な又は間接的な原料となり得る。
【0004】
さらに、クリーナと殺菌剤/消毒剤の両方の機能を果たす多目的家庭用製品もまた、当該技術分野において知られている。しかし、良好な洗浄性能を有するクリーナは、殺菌/消毒特性が乏しく、一方で、優れた殺菌/消毒性能を示す殺菌剤/消毒剤は、洗浄特性が欠如している。その上、良好な洗浄効率と殺菌/消毒効率とを併せ持つ製品は、ペルオキシゲン漂白剤、過酸化水素、グルタルアルデヒド及び4級アンモニウム塩等の強力な化学物質を含んでおり、ヒトの皮膚に対して毒性がある及び/又はヒトの皮膚に適合しないものであるだけでなく、非天然成分を含むことから、あまり望ましくない環境上の特徴も示す。
【0005】
天然でかつ毒性のない殺菌/消毒剤が当該技術分野において知られている。例えば、天然起源の精油及びコロイダルシルバーはいずれも、良好な抗菌作用を持つ有効な殺菌/消毒剤である。しかし、精油及びコロイダルシルバーは一般的に水と混合しないので、それをベースとする組成物は、大抵、精油又はコロイダルシルバーを分散又は溶解するために界面活性剤及び/又は溶媒を含んでいる。それでもなお、組成物に用いられる界面活性剤は一般的に石油系界面活性剤を含んでおり、当該界面活性剤によって、不安定でしかも環境に優しくない消毒組成物が生成される可能性がある。
【0006】
多くの界面活性剤は未だに石油化学製品を原料としているが、植物系炭化水素及び油を原料とする界面活性剤も利用されるようになってきている。界面活性剤の製造に適した再生可能原料の一つはグルコースであり、これはアルコールと反応してアルキルポリグリコシド(アルキルポリグルコシドとしても知られている。)を生成する。アルキルポリグリコシドは、化粧品や農業用組成物に使用されており、また工業用洗浄剤の界面活性剤としても使用されている。アルキルポリグリコシドには、パーム油又はヤシ油等の飽和熱帯植物油から得られる脂肪族アルコール(例えば、ドデカノール、テトラデカノール)から生成された疎水性(又は親油性)の炭化水素鎖が含まれている。アルキルポリグリコシド分子の親水性部分は、グルコース又はデキストロースに由来しており、また、デンプン、通常はトウモロコシから生成することもできる。
【0007】
天然資源及び再生可能資源から生成される他の界面活性剤は、アミノ酸系界面活性剤であり、脂肪酸と天然アミノ酸をベースとするものである。上述した望ましい環境上の特徴以外に、アルキルポリグリコシド及びアミノ酸系界面活性剤はいずれも、目、皮膚及び粘膜にも良好な適合性を有し、さらには界面活性剤混合物の刺激作用を軽減する。アルキルポリグリコシド及びアミノ酸系界面活性剤はいずれも、好気的に又は嫌気的に完全に生分解される。
【0008】
アニオン界面活性剤は、天然資源及び再生可能資源から生成され得る直接前駆体を有する場合もある。例えば、長鎖アルキル硫酸塩は、便宜上、ヤシ油由来の脂肪族アルコールから生成される場合がある。特に、ココアルキル硫酸ナトリウム(SCS)は、純粋なヤシ油を原料とし、アルキル硫酸ナトリウムと主成分であるラウリル硫酸ナトリウムとの混合物を含む。ココアルキル硫酸ナトリウムは、粘度の増加と起泡特性とが重要となる様々な消費者製品に用いることができる。それは、シャンプー、ハンドソープ、浴用製品、シェービングクリーム及び薬用軟膏に用いることが可能である。
【0009】
最後に、従来の洗浄及び殺菌/消毒組成物は、一般的に、界面活性剤、殺菌剤、水及び他の成分を混合して比較的均一な組成物とすることによって調製される。この方法は一般的に、機械的な力(すなわち、撹拌)及び/又は熱を加える必要があるが、機械的な力と加熱はいずれもエネルギーや資源を消費する。その結果、組成物の環境上の特徴に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0010】
したがって、天然資源若しくは再生可能資源から生成される又は天然資源若しくは再生可能資源から生成された成分の割合が高い、洗浄及び殺菌/消毒組成物が必要とされている。さらには、改良された環境上の特徴を有し、かつあまり望ましくない環境上の特徴を有する従来の洗浄及び殺菌/消毒組成物と同等の又はそれよりも優れた性能を有する、グリーンな洗浄及び殺菌/消毒組成物が必要とされている。最終的には、追加の機械的なエネルギー又は熱エネルギーを消費しなくてもよいグリーンな組成物("green" composition)の製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記要求を満たし、1種以上のグリーンな界面活性剤を含む洗浄及び殺菌/消毒組成物について開示する。組成物は、一般的に、「グリーンな」殺菌剤/消毒剤と、グリーンな界面活性剤と、水と、を含み、マイクロエマルジョンとして存在してもよい。組成物は、また、リンカー、pH調整剤、天然香料、天然殺虫剤等の他のグリーンな成分(green ingredients)、及び天然油等の他の天然有機活性物質を含んでもよい。組成物は、あまり望ましくない環境上の特徴を有する従来の製品と同等の又はそれらよりも優れた性能を有する、グリーンな洗浄及び殺菌/消毒組成物として使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示において用いられるとき、「グリーンな」成分とは、天然資源及び再生可能資源から生成される物質、又は天然資源及び再生可能資源から生成される直接前駆体(類)から生成される物質と定義される。
【0013】
本明細書において用いられるとき、「ナチュラルインデックス(Natural Index)(NI)」は、天然資源及び再生可能資源から直接生成可能な成分又は天然資源及び再生可能資源から直接生成可能な直前モデル(immediate predecessors)から生成される成分を含む組成物の重量割合(weight percentage)と定義される。
【0014】
例えば、水、エタノール、乳酸、クエン酸、苛性ソーダ、天然香料等の成分は、それぞれが天然資源及び再生可能資源から生成されることから、グリーンであり、かつ本開示の組成物のNIに寄与する。同様に、本明細書に開示されるようなアルキルポリグリコシド、アルキルグルコシド、ココアルキル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)等の化合物もまた、それぞれが天然資源及び再生可能資源から生成される直接前駆体(脂肪族アルコール、グルコース等)から生成され得ることから、グリーンであり、かつ本開示の組成物のNIに寄与する。その一方で、エトキシル化非イオン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩アニオン界面活性剤及び4級アンモニウムカチオン界面活性剤等の活性剤は、石油化学製品をベースとしているため、本明細書において定義するようなグリーンなものではなく、また、組成物のNIにも寄与しない。
【0015】
一般的な実施形態において、本開示の洗浄及び殺菌/消毒組成物は、グリーンな界面活性剤と、天然洗浄及び殺菌剤/消毒剤としての少なくとも1種の精油と、水と、を含んでもよい。一改良形態案では、グリーンな界面活性剤には、アルキルポリグリコシド等の非イオン界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム若しくはココアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、又はこれらの混合物が含まれ得る。精油は、有効な抗菌作用を示す任意の既知の植物抽出物であってよい。グリーンな界面活性剤類と精油とを組み合わせることで、組成物の殺菌/消毒性能を相乗的に向上させることができる。
【0016】
さらに、本開示の組成物は、場合により、追加のグリーンな殺菌剤/消毒剤を含むことで、組成物の殺菌性能をさらに高めることもできる。一実施形態において、追加のグリーンな殺菌剤/消毒剤は、組成物の残りの成分で形成されるマイクロエマルジョンに懸濁された(suspended)コロイダルシルバーであってよい。グリーンな界面活性剤(類)と精油(類)を含むマイクロエマルジョンは、コロイダルシルバーを安定化するだけでなく、コロイダルシルバーと相乗的に化合することで組成物の殺菌/消毒性能もさらに向上させることもできる。
【0017】
さらなる実施形態において、本開示の組成物は、少なとも1種のグリーンな界面活性剤と、少なくとも1種の精油と、水と、を含む混合物を生成すると同時に、当該混合物を加熱することなくマイクロエマルジョンを形成することにより、製造され得る。混合物の生成は、撹拌器、振盪器、又は電気を消費する他の機械的装置のように、機械的な撹拌を利用せずに達成してもよい。一改良形態案において、本開示の組成物の製造方法は、コロイダルシルバーををマイクロエマルジョンに懸濁する任意工程をさらに含んでもよい。本開示の方法は、従来の洗浄及び殺菌/消毒組成物の製造には必要であり得る追加の電気エネルギー又は熱エネルギーを必要としないため、本開示の組成物の環境上の特徴を更に高めることができる。
【0018】
本開示の組成物は、グリーンなリンカー、グリーンなpH調整剤、天然香料等のグリーンな追加成分をさらに含んでもよい。特に、組成物中に1種以上のグリーンなリンカーを含むことで、マイクロエマルジョンの生成をさらに容易なものとすることができる。さらに、グリーンなpH調整剤には、ターゲット表面から石鹸かすや石灰のかすを除去する役割も果たす1種以上の有機酸を含んでもよい。
【0019】
本開示の組成物のグリーンな界面活性剤(類)及び他のグリーンな成分は、組成物の環境上の特徴を高めることができるだけでなく、安定なマイクロエマルジョンを室温で自然に生成することもできる。本開示の組成物が、溶液又は従来のエマルジョンではなくマイクロエマルジョンとして存在することにより、特に、組成物に含まれるグリーンな殺菌剤/消毒剤を安定化することができるので組成物の性能の向上に寄与し得ると考えられる。
【0020】
最後に、本開示の組成物の殺菌性能は、本開示の組成物と、あまり望ましくない環境上の特徴を有する(すなわち、本開示の組成物よりもナチュラルインデックスが低い)1種以上の主要な市販品との様々な比較試験を通じて評価される。以下にさらに詳述する通り、本開示の組成物の性能は、主要な市販品と少なくとも同等であり、場合によっては主要な市販品よりも優れている。
【0021】
以下に、本開示の方法及び組成物についての他の利点及び特徴をさらに詳細に説明する。また、当業者が本開示のグリーンな組成物を様々な家庭用の用途に使用するために必要以上に実験を行うことなく適宜変更できることは、本明細書などから分かるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、一般的には、環境に優しい液体組成物又はエマルジョンに関する。組成物又はエマルジョンの環境上の特徴を評価するために、本明細書では、天然資源及び再生可能資源から直接生成される成分又は天然資源及び再生可能資源から直接生成される直前モデルから生成される成分を含む組成物の重量割合を表すために、「ナチュラルインデックス」(NI)という用語を用いる。同様に、「グリーンな」成分は、天然資源及び再生可能資源から生成される物質又は天然資源及び再生可能資源から生成される直接前駆体から生成される物質と定義される。例えば、水、エタノール、乳酸、クエン酸、苛性ソーダ、天然香料のような成分はすべて、天然資源及び再生可能資源から生成されるが、合成香料は天然資源及び再生可能資源から生成されない。同様に、本明細書に開示されるアルキルポリグリコシド、アルキルグルコシド、ココアルキル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)等の化合物も、天然資源及び再生可能資源から生成される直接前駆体(脂肪族アルコール、グルコース等)から生成されてよい。他方、エトキシル化非イオン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩アニオン界面活性剤及び4級アンモニウムカチオン界面活性剤等の界面活性剤は、石油化学製品をベースとしているため、グリーンなものではなく、また、組成物のNIに寄与しない。
【0023】
一般的な実施形態において、本開示のグリーンな組成物は、水性であり、また、天然資源及び再生可能資源から得られる直接前駆体から生成されるグリーンな界面活性剤を少なくとも1種含んでもよい。組成物は、また、精油及びコロイダルシルバー等のグリーンな殺菌/消毒剤を少なくとも1種含むことで、ターゲット表面に殺菌/消毒効果を付与することもできる。組成物はさらに、天然香料、グリーンなリンカー、グリーンなpH調整剤等のグリーンな追加成分を含んでもよい。一部の実施形態において、本開示の組成物はさらに有機溶媒を含んでもよいが、他の実施形態では、組成物は基本的に有機溶媒を含まない。
【0024】
グリーンな界面活性剤
本開示の組成物のグリーンな非イオン界面活性剤は、糖ベースの界面活性剤、ポリオール系界面活性剤、アルキルエーテル及びアルキルカーボネートを含んでもよいが、これらに限定されない。糖ベースの界面活性剤は、ヤシ油の脂肪族アルコールとトウモロコシのポリグルコースとから生成されるアルキルポリグリコシド(又はアルキルポリグルコシド)界面活性剤であってもよい。アルキルポリグリコシドは、その優れた環境上の特徴に加えて、生分解性であり、ヒトの皮膚に対して非刺激性であり、しかもフレグランスオイルを水に溶解するのに効果がある。
【0025】
本開示のエモーション(emotion)に利用可能なアルキルポリグリコシドは、次の式Iに相当する:
【化1】

前記式中、Rは炭素原子数約4〜約22の一価の有機ラジカルであり、Zは炭素原子数5又は6の単糖類残基であり、及びaは1〜約6までの値の数である。例えば、Zがグルコース残基である式Iのアルキルポリグリコシドを利用してもよい。このようなアルキルポリグリコシドは、例えば、APG(登録商標)、グルコポン(GLUCOPON)(登録商標)又はプランタレン(PLANTAREN)(登録商標)という界面活性剤としてオハイオ州45232シンシナティ、エステクリーク・ドライブ5051番地のコグニス社(Cognis)から市販されている。
【0026】
本開示の組成物中でグリーンな界面活性剤として用いられる好適なアルキルエーテルとしては、C−O−C結合の両端部にC〜C22アルキル鎖を有するエーテル類(R−O−R)を含んでもよい。アルキル鎖(R、R)は、飽和であっても不飽和であってもよい。一実施形態において、アルキルエーテルは、ジカプリリルエーテルであってもよく、オハイオ州45232シンシナティ、エステクリーク・ドライブ5051番地のコグニス社(Cognis)からプランタジル(Plantasil(登録商標))として市販されているデシルグルコシドとオレイン酸グリセリルとの混合物として、本開示の組成物に含んでもよい。
【0027】
本開示の組成物においてグリーンな界面活性剤として用いられる好適なアルキルカーボネートは、カーボネート基
【化2】

の両端部にC〜C22アルキル鎖を有するカーボネート類を含んでもよい。アルキル鎖は、飽和であっても不飽和であってもよい。一実施形態において、アルキルエステルはジカプリリルカーボネートであってもよい。
【0028】
本開示の組成物に使用するのに適した他のグリーンな非イオン界面活性剤は、アルキルグルコースアミド、トリグリセリド、N−メチルヤシ脂肪酸グルカミド(C12〜14)、アミノ酸系界面活性剤、糖エステル類、ソルビトールエステル、ステロールエステル、糖脂質生物界面活性剤類等を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0029】
一実施形態において、本開示の組成物は、0.25〜3.0重量%のグリーンな非イオン界面活性剤(類)を含んでもよい。他の実施形態において、グリーンな非イオン界面活性剤(類)は、0.25〜1.5重量%の濃度で含まれてもよい。
【0030】
本開示の組成物は、グリーンな非イオン界面活性剤に加えて、場合により、1種以上のグリーンなアニオン界面活性剤を含んでもよい。グリーンなアニオン界面活性剤は、天然資源及び再生可能資源から生成された直接前駆体から調製されてもよい。一実施形態において、グリーンなアニオン界面活性剤は、1種以上の長鎖アルキル硫酸塩を含む。好適なアルキル硫酸塩には、C〜C20硫酸ナトリウム、C〜C20硫酸アンモニウム、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
好ましい実施形態において、グリーンなアニオン界面活性剤は、ココアルキル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウムを含む。ココアルキル硫酸ナトリウムは、様々な脂肪酸(アルキル鎖の炭素数がわずか8〜約20までの範囲のもの)から構成されたヤシ油を硫酸化することで調製されてよい。ヤシ油中の脂肪酸の大部分、例えば45〜50%は、炭素数12の脂肪酸である。他方、ラウリル硫酸ナトリウムは、ココアルキル硫酸ナトリウムを精製したものである。ラウリル硫酸ナトリウムを製造するときに、ヤシ油を処理して炭素数12以外の脂肪酸の大部分を除去してから、当該脂肪酸を硫酸化する。
【0032】
グリーンなアニオン界面活性剤を本開示の組成物に用いることで、汚れ除去等の当該組成物の性能を相乗的に向上させることができる。したがって、比較的低濃度のグリーンなアニオン界面活性剤が必要とされる。例えば、グリーンなアニオン界面活性剤(類)の濃度は、0〜3.0重量%、0.0001〜2.5重量%、又は0.001〜2重量%であってもよい。
【0033】
本開示の組成物に使用するのに好適な他のグリーンな界面活性剤類は、アミノ酸系界面活性剤であって、脂肪酸(植物油)と天然で産生されるアミノ酸とを原料とする生体模倣界面活性剤である。アミノ酸系界面活性剤は、アニオンであってもよく、カチオンであってもよく、又は非イオンであってもよい。さらに、アミノ酸系界面活性剤は、非常に界面活性が強いだけでなく、微生物、細菌及び菌類に対する活性も有し得る。
【0034】
界面活性剤に使用されるアミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、グリシン、サルコシン、ロイシン、プロリン、セリン等を含んでもよいが、これらに限定されない。アミノ酸部分(moiety)は、N−アシル、N−アリール又はO−アルキルエステル結合を介して脂肪酸部分と結合してもよい。さらに、アミノ酸系界面活性剤は、用いられる脂肪酸の構造に応じて、単鎖、2分子鎖又はグリセリン酸エステル(glycerized)を有する直鎖状のものであってもよい。
【0035】
代表的なアミノ酸系界面活性剤は、N−アシルサルコシネート及びN−アシルグルタメート界面活性剤(シル・ウント・ザイラッハー・ストラクトール(Schill & Seilacher Struktol)製パーラスタン(Perlastan(登録商標)))、L−アルギニンとヤシ脂肪酸を原料とする界面活性剤(味の素(Ajinomoto)製アミノソープ(AminoSoap(登録商標)))及びグリシンとヤシ脂肪酸を原料とする界面活性剤(味の素製アミライト(Amilite(登録商標)))を含む。
【0036】
言うまでもないが、本開示の組成物に使用するのに適した精油の種類、濃さ(strength)及び濃度(concentration)は、当業者には自明であるため、本開示の範囲を制限するものではないと解釈すべきである。
【0037】
グリーンな殺菌/消毒剤
上述の通り、本開示の組成物は、ターゲット表面に抗菌効果を与えるグリーンな殺菌/消毒剤を少なくとも1種含む。グリーンな殺菌/消毒剤は、1種以上の精油、コロイダルシルバー及びこれらの混合物であってよい。
【0038】
EPAガイドライン(http://www.epa.gov/oppad001/ad_info.htm)によれば、殺菌剤は、無生物硬質表面及び物体に使用すると伝染性真菌を破壊する又は非可逆的に不活性化するが、必ずしもその胞子まで破壊する又は非可逆的に不活性化するものではなく、また、消毒剤は、公衆衛生条例又は公衆衛生基準で決められたように安全とみなされる程度まで微生物を無生物環境から減少させるが、必ずしも除去するものではない。一実施形態において、本開示の組成物は殺菌剤として使用されてもよい。他の実施形態において、本開示の組成物は消毒剤として使用されてもよい。
【0039】
本開示における精油は、抗菌(antimicrobial, anibacterial)活性及び/又は抗真菌活性を発現する植物抽出物を含んでいてよい。例えば、好適な精油は、シトロネラ油、レモンユーカリ油、桂皮油、ヒマシ油、ローズマリー油、レモングラス油、シダー油、ペパーミント油、丁子油、ゼラニウム油、バーベナ油、ハッカ油、ラベンダー油、松脂、カユプテ油、バジル油、タイム油、オールスパイス油、大豆油、にんにく油等を含んでいてよいが、これらに限定されない。
【0040】
一実施形態において、精油は、オレガノ油、タイム油、丁子油、ローズマリー油、にんにく油、桂皮油、ベイ油、レモングラス油、オーストラリアンティーツリー油、シトロネラ油、ゼラニウム油、アボカド油、及びこれらの混合物からなる群から選択される。精油は、組成物中に0.001〜2重量%の濃度、さらに好ましくは0.01〜1重量%の濃度で含まれていてよい。言うまでもないが、本開示の組成物に使用するのに適した精油の種類、濃さ及び濃度は、当業者には自明であるため、本開示の範囲を制限するものではないと解釈すべきである。
【0041】
他の好適なグリーンな殺菌/消毒剤として、銀は、様々な活性を発現するものであり、EPAを含む殺菌剤として50年以上公認されている。特に、コロイダルシルバーは、安全で、かつ低濃度で有効であり、しかも本開示の組成物に使用するのに適している。コロイダルシルバーは、電気分解によって粒径0.001〜0.01ミクロンに生成することができる。一実施形態において、コロイダルシルバー内の帯電した銀粒子は、クエン酸と錯体を形成するが、酢酸等の他の酸を用いて銀錯体を形成してもよい。組成物の殺菌性能/消毒性能をさらに高めるために、コロイダルシルバーをマイクロエマルジョン等に安定化及び/又は懸濁して銀粒子の凝集(又は分離)を防いでもよい。
【0042】
一実施形態において、本開示の組成物に使用されるコロイダルシルバーは、ノースカロライナ州27265ハイポイント、プルミエ・ドライブ4090番地のチバ・コーポレーション(Ciba Corporation)からチノサン(Tinosan(登録商標))SDCとして入手可能である。コロイダルシルバーは、組成物中に20〜2000ppmの濃度、さらに好ましくは30〜1000ppmの濃度で含まれていてよい。しかし、本開示の組成物に使用するのに適したコロイダルシルバーの種類、濃さ及び濃度は、当業者には自明であるため、本開示の範囲を制限するものではないと解釈すべきである。
【0043】
グリーンなリンカー
【0044】
本開示の組成物は、場合により、1種以上のグリーンなリンカーを含んでもよい。グリーンなリンカーは、親油性であっても親水性であってもよい。好適な親油性リンカー及び親水性リンカーには、オレイン酸エステル(例えば、グリセロールモノオレエート(GMO)、グリセリルオレエート等)、ステアリン酸エステル(例えば、グリセロールモノステアレート(GMS))、ポリソルベート(例えば、ソルビタンモノラウレート(SML))、脂肪族アルコール、グルコシド、エステル類、グリセリン及びこれらの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0045】
例えば、親油性リンカーには、1種以上のC12〜C18脂肪族アルコールが含まれ得る。一実施形態において、1種以上の脂肪族アルコールは、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコール及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。アルカノールは、天然資源及び再生可能資源から生成可能な直前モデル(immediate predecessors)から生成されてもよい。特に、ラウリルアルコールは、ヤシ油の脂肪酸から生成することができ、セチルアルコールは、鯨ろう(マッコウクジラの油から得られる油性物質)から生成することができ、また、ミリスチルアルコールは、パーム油、ヤシ油、バター脂肪及び鯨ろうに含まれるミリスチン酸から生成することができる。
【0046】
同様に、親水性リンカーは、天然資源及び再生可能資源から生成可能な直前モデル(immediate predecessors)から生成されてもよい。好適な親水性リンカーは、ヘキシルグルコシド等のアルキルグルコシドを1種以上含んでもよい。本開示の組成物に用いられるヘキシルグルコシドは、イリノイ州60607−3823シカゴ、W.ヴァン・ブーレン・ストリート525番地のアクゾ・ノベル社(Akzo Nobel)から(「AG6206」として)市販されている。グルコース又はデキストロースを原料とするヘキシルグルコシドの親水性部分は、デンプン、通常はトウモロコシから得ることができる。
【0047】
特定の理論に束縛されたくはないが、リンカー分子は、本開示の組成物に添加すると、界面活性剤と油相(親油性リンカー)又は水相(親水性リンカー)との相互作用を高めるが、親油性リンカーと親水性リンカーを組み合わせると、油と水の界面において自己組織化界面活性剤として作用して、安定なマイクロエマルジョンの形成を容易にする。さらに、自己組織化の効率は、グリーンな界面活性剤とグリーンなリンカーとの割合、界面活性剤及び/又はリンカーの合計濃度、或いはこれらの両方によって決定され得る。その上、グリーンな親油性及び/又は親水性リンカーを本開示の組成物に使用すると、当該組成物の洗浄性能が相乗的に向上し得るだけでなく、熱エネルギー又は電気エネルギーを消費することなくマイクロエマルジョンの自然形成を増進することもできる。
【0048】
一部の実施形態において、親水性リンカーと親油性リンカーを自己組織化してマイクロエマルジョンの形成を容易にするには、ほんの少量、例えば0.1重量%以下、0.05重量%又は0.01重量%のリンカーの存在が必要とされる場合がある。一実施形態において、有効な汚れ除去及び/又はマイクロエマルジョンの自然形成は、リンカーを0.0001重量%〜0.01重量%の合計濃度で用いた組成物によって達成される。グリーンなリンカーは、本開示の組成物の他の形態においても溶液又は従来のエマルジョン等と同様に使用できると考えられる。
【0049】
天然(グリーンな)香料
本開示の組成物は、植物又は作物のように天然資源及び再生可能資源を原料とする香料を1種以上含んでもよい。また、組成物は、天然香料を空気中に、制御された方法で長時間にわたって供給するものであってもよい。そのためには、組成物をマイクロエマルジョン又はナノエマルジョンとして存在させることにより、香料を一貫して放出し易くすることができる。
【0050】
例えば、本開示の組成物は、空気清浄用の天然香料を含んでもよい。天然香料は、空気中の1種以上の悪臭を消すこと若しくは空気に良い香りを付けることにより、又はその両方によって、空気をきれいにする。周知のように、香料は、通常、多数の芳香性物質の混合物からなり、芳香性物質はそれぞれ特有の香りを有している。香料中の芳香性物質の数は、一般的には10以上である。使用される芳香性物質の種類は変更可能である。前記材料は、様々な化学物質類からもたらされ、一般的には水不溶性の油である。多くの場合、芳香性物質の分子量は、150よりも大きく、300以内である。
【0051】
本開示の組成物に含まれる天然香料は、消費者が知覚できる良い香りを空気に付けるのに十分な量で含まれていてよい。悪臭がする場合には、天然香料は、空気中の悪臭の少なくともかなりの部分を消す量で含まれていてよい。さらに好ましくは、本開示の組成物に含まれる天然香料は、悪臭を完全に消すだけでなく、消費者が知覚する良い香りをも供給する量で含まれてもよい。
【0052】
天然香料は、本開示の組成物中に0〜1.5重量%、0〜0.15重量%又は時には0〜0.015重量%の量で含まれてもよい。悪臭を消すのに必要な香料の量、及び/又は消費者が知覚する良い香りを与えるのに必要な香料の量は、当業者には自明であろう。
【0053】
本開示に記載の香料は、化学的に活性な蒸気をもたらす芳香性物質(類)を1種以上含んでもよい。一実施形態において、香料は、揮発性の芳香化合物からなるもの及び/又は揮発性の芳香化合物を含んでいてもよく、揮発性の芳香化合物には、天然植物抽出物、エッセンス、フレグランスオイル等が含まれるが、これらに限定されない。当該技術分野において周知のように、多くの精油及びその他の天然植物誘導体は、大部分が、揮発性の高い香りである。そういう意味で、数々の精油、エッセンス及び良い香りのする濃縮物が、香料及び食品を取り扱う企業から市販されている。
【0054】
典型的な油及び抽出物には、次の植物由来のものが含まれるが、これらに限定されない:アーモンド、アミリス、アニス、ヨモギ(armoise)、ベルガモット、カブリューバ、キンセンカ、カナガ(canaga)、ヒマラヤスギ、カモミール、ココナツ、ユーカリ、ウイキョウ、ジャスミン、ジュニパー、ラベンダー、レモン、オレンジ、ヤシ、ペパーミント、カシア、ローズマリー、タイム等。
【0055】
香料は、花及び果物由来の有機化合物から製造されてもよい。好適な有機化合物の例には、ジミルセトール(dimyrcetol)、フェニルエチルアルコール及びテトラヒドロムグオール、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、ラウリンアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、エチルメチルフェニルグリシデート、メチルノニルアセトアルデヒド、ミリスチルアルデヒド、ノナラクトン、ノニルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ウンデカラクトン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ベンズアルデヒド、バニリン、ヘリオトロピン、ショウノウ、パラヒドロキシフェノールブタノン、6−アセチル−1,1,3,4,4,6−ヘキサメチルテトラヒドロナフタレン、α−メチルイオノン、γ−メチルイオノン及びアミルシクロヘキサノン、並びにこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
言うまでもないが、本開示のエアゾール組成物に使用するのに適した香料の種類、濃さ及び香りのプロフィールは、当業者には自明であるため、本開示の範囲を制限するものではないと解釈すべきである。
【0057】
グリーンなpH調整剤
一部の実施形態において、本開示の組成物は、場合により、1種以上のpH調整剤を含んでもよい。好ましくは、組成物に用いられるグリーンなpH調整剤は、天然資源及び再生可能資源由来のものであるので、組成物の環境上の特徴(すなわち、ナチュラルインデックス)には悪影響を及ぼさない。
【0058】
好適なpH調整剤は、水酸化ナトリウム(塩の溶液を電気分解することで製造されるもの)、炭酸ナトリウム(鉱質沈着物として自然に存在するもの)及び重炭酸ナトリウム(鉱物であるナトロン中に天然に存在するもの)等の塩基を含んでもよい。また、グリーンなpH調整剤は、天然資源又は再生可能資源に由来する有機酸を1種以上含んでもよい。例えば、有機酸は、クエン酸(果物や野菜の中に天然に存在するもの)、乳酸(乳糖、コーンスターチ又はジャガイモを発酵させすることで生成されるもの)、酢酸(デンプン又は果物を発酵させることで生成されるもの)等であってもよい。乳酸又はクエン酸の使用はまた、石鹸かすや石灰のかすの除去だけでなく、筋状跡の抑制(anti-streaking)にも効果を発揮し得る。最後に、グリーンなpH調整剤は、前記有機酸の塩を1種以上、例えばクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等を含んでもよい。
【0059】
一実施形態において、本開示の組成物は、1.0〜3.0重量%の乳酸を含む。他の実施形態において、組成物は、乳酸と酒石酸の混合物を含む。言うまでもないが、本開示の組成物に使用するのに適したグリーンなpH調整剤の種類及び濃度は、組成物の要求されるpHによって決まると考えられ、また本開示を踏まえれば、必要以上の実験を行わなくとも当業者には自明であろう。
【0060】
本開示の組成物の1つの特徴は、一部の実施形態においてマイクロエマルジョンとして実際に存在することである。特定の理論に束縛されたくはないが、本開示のグリーンな成分のマイクロエマルジョンは、従来のエマルジョン、懸濁液(suspensions)又は溶液に比べて改善された洗浄性能と改善された殺菌/消毒性能を発現するものと考えられる。ただし、本開示の組成物は、他の実施形態では、溶液、従来のエマルジョン又は懸濁液として存在していてもよい。
【0061】
本開示の組成物の他の特徴は、その高いナチュラルインデックスである。それ故に、組成物は、その環境上の特徴に悪影響を及ぼすことなく、性能の改善を達成する。例えば、組成物は、95%以上、97%、98%又は98.5%の高いナチュラルインデックスを有し得る。一実施形態において、本開示の組成物のナチュラルインデックスは99%以上、99.5%又は99.8%である。
【0062】
本開示内容による本開示の組成物の非限定例を以下に挙げる。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0063】
本開示の組成物をマイクロエマルジョンとして製造するために、グリーンな界面活性剤、グリーンな殺菌/消毒剤、水等の成分と、他のグリーンな添加物とを混ぜ合わせることで、加熱することなくマイクロエマルジョンを同時に形成してもよい。一部の実施形態において、前記混合物の生成は、撹拌器、振盪器、又は電気を消費する他の機械的装置等による機械的撹拌を行うことなく達成してもよい。むしろ、成分の混合は、手でかき混ぜる、撹拌する、又は振盪することで簡単に達成され得る。本開示の方法は、従来の洗浄及び殺菌/消毒組成物の製造には必要となり得る追加の電気エネルギー又は熱エネルギーを消費しないため、本開示の組成物の環境上の特徴をさらに高めることができる。
【0064】
本開示の組成物の殺菌性能を確認するために、先に挙げた典型的な組成物I〜VIを、バージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)から入手した黄色ブドウ球菌と対照して試験する。転移物(transfers)は保存培養後7日以内に使用する。性能試験は、次の標準的なAOAC殺菌噴霧試験(AOAC Germicidal Spray Test)を用いる。
【0065】
試験法
前記細菌を5%ウシ胎児血清と共に48時間培養した後、幾つかの清浄な滅菌ガラス試験表面(試験管)上で乾燥させる。次に、乾燥後の汚染された試験表面1つ1つに試験組成物を噴霧する。初期試験及び経過試験ではそれぞれ、30個及び60個の汚染された試験表面を試験組成物で処理した。その後、汚染された試験表面は、殺菌剤の中で室温(23℃)において接触時間10分間で培養する。
【0066】
前記接触時間経過後、化学薬品で調整して試験組成物の作用を直ちに中和する液体成長培地(growth medium)を入れた滅菌試験管又は滅菌瓶に、処理後の試験表面を1つ1つ間隔をおいて移す。
【0067】
次に、処理後の試験表面を、中和成長培地内で48時間培養する。培養後、ターゲット微生物の成長が現れた試験管の数を記録する。担体(carrier)30個の初期試験に「合格」するためには、試験した30個の表面のうち少なくとも29個に完全な殺菌効果(中和成長培地を入れた試験管内でターゲット微生物の成長が検出されないこと)が示される必要がある。担体60個の経過試験に「合格」するためには、試験した60個の表面のうち少なくとも59個に完全な殺菌効果が示される必要がある。
【0068】
結果を、n+/Nで記した。ここで、nは、N個の複製物(N=30又は60)のうち不合格の数又は成長が陽性(positive)であった試験菅の数を表す。標準的な殺菌剤評価に合格するために、生成物には、30個又は60個の複製物のうち不合格が1個以下であればよい(合格結果は0+/30、1+/30、0+/60又は1+/60であり、これより大きいと不合格となる。)。
【0069】
例示組成物それぞれについての試験結果を以下に記す。
【表7】

【0070】
このスクリーニングの結果からは、本開示の組成物が、接触時間10分以内での黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果を達成し得ることが分かる。一方、対照試料(殺菌組成物で処理していないもの)の結果はいずれも、ターゲット微生物の成長が陽性(>1.0×10 CFU/担体)であった。
【0071】
特定の実施形態のみを記載してきたが、当業者にとっては、以上の記載から代替案や改良案は自明であろう。これらの及びその他の代替案は、同価値であり、しかも本開示内容及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び領域の範囲内にあるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のグリーンな界面活性剤と、
少なくとも1種の精油と、
水と、
を含む、洗浄組成物であって、当該組成物のナチュラルインデックスが少なくとも95%である、洗浄組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のグリーンな界面活性剤が、グリーンな非イオン界面活性剤、グリーンなアニオン界面活性剤及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記グリーンな非イオン界面活性剤がアルキルポリグリコシドを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記グリーンなアニオン界面活性剤がアルキル硫酸塩を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルキル硫酸塩が、ラウリル硫酸ナトリウム又はココアルキル硫酸ナトリウムである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のグリーンな界面活性剤がアミノ酸系界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の精油が、オレガノ油、タイム油、丁子油、ローズマリー油、にんにく油、桂皮油、ベイ油、レモングラス油、オーストラリアンティーツリー油、シトロネラ油、ゼラニウム油、アボカド油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物のナチュラルインデックスが少なくとも99%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が殺菌剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が消毒剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種のグリーンな界面活性剤と、
少なくとも1種の精油と、
コロイダルシルバーと、
水と、
を含む、洗浄組成物であって、当該組成物のナチュラルインデックスが少なくとも95%である、洗浄組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のグリーンな界面活性剤が、グリーンな非イオン界面活性剤、グリーンなアニオン界面活性剤及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記グリーンな非イオン界面活性剤がアルキルポリグリコシドを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種のグリーンなアニオン界面活性剤がアルキル硫酸塩を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記アルキル硫酸塩が、ラウリル硫酸ナトリウム又はココアルキル硫酸ナトリウムである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種のグリーンな界面活性剤がアミノ酸系界面活性剤を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1種の精油が、オレガノ油、タイム油、丁子油、ローズマリー油、にんにく油、桂皮油、ベイ油、レモングラス油、オーストラリアンティーツリー油、シトロネラ油、ゼラニウム油、アボカド油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物のナチュラルインデックスが少なくとも99%である、請求項11に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が殺菌剤である、請求項11に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が消毒剤である、請求項11に記載の組成物。
【請求項21】
機械的撹拌を行わずに、少なくとも1種のグリーンな界面活性剤と、少なくとも1種の精油と、水と、を含む混合物を生成する工程と、
前記混合物を、加熱することなく、ナチュラルインデックスが少なくとも99%であるマイクロエマルジョンに自然に形成する工程と、
を含む、洗浄組成物の製造方法。
【請求項22】
前記混合物がさらにコロイダルシルバーを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記混合物がさらに、少なくとも1種のグリーンなリンカーを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物のナチュラルインデックスが少なくとも99%である、請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2013−508472(P2013−508472A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534165(P2012−534165)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/002749
【国際公開番号】WO2011/046611
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】