説明

グルーピング機能を有する印刷ジョブ管理方法および装置

【課題】複数のプリンタを用いて数多くの印刷ジョブを処理する印刷管理装置およびその方法を提供する。
【解決手段】複数の印刷ジョブを管理する効率的かつ効果的な方法が印刷ジョブ管理装置上で実行される。本方法は、複数の印刷ジョブを受信すること、グルーピングの条件を指定すること、指定された前記グルーピングの条件にしたがって、利用者による操作なしに、複数の印刷ジョブを少なくとも一つのグループにグルーピングすること、および、グルーピングの結果を送信することを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
本発明の分野
本発明は、印刷管理装置およびその方法に関し、より詳細には、複数のプリンタを用いて数多くの印刷ジョブを処理する印刷管理装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
複数のプリンタにより数多くの印刷ジョブが処理される環境においては、印刷ジョブを系統的な手法で効率的に管理する必要がある。そのような環境の例として、プロの印刷専門店や大規模な組織の印刷/コピー担当部署などがあるが、そこでは、複数のプリンタを用いて、大量の文書複製や大容量の文書印刷等の多種多様な印刷指令を、短い処理時間で実行し、完了しなければならない。本書において、このような環境を総称して「プリントショップ」と称することにする。一般的に、各々の印刷ジョブは、印刷対象である文書を電子的に格納するソースファイルと、当該文書を印刷するための用紙のサイズ、カラーおよびタイプと、印刷時の解像度と、両面・片面印刷の指示と、製本、ステープルおよび部単位印刷(collate printing)等の印刷ジョブ要求者側の要望に応じた所定の仕上げ処理と、を特定する役割を果たす。ジョブパラメータがそれぞれ異なる大量の印刷ジョブを処理するためには、プリントショップは複数の業務用プリンタを稼動しなければならない。このような場合、白黒印刷を実行するために少なくとも1機の白黒印刷用プリンタを稼動することが多い。同時に、カラー印刷を処理するために複数のカラープリンタが据え付けられることが多い。しかし、各々のプリンタにおいて利用可能な、用紙サイズ、用紙タイプ、解像度等のプリンタ設定は、機種ごとに制約を受ける。そのため、大量の印刷ジョブを複数の白黒およびカラープリンタで処理する場合、個々のジョブをその処理に適したプリンタに振り分ける必要があるが、そのようなタスクは非常に煩雑になってしまうという問題点がある。
【発明の開示】
【0003】
発明の要約
したがって、本発明は、従来技術による制約や不利益に起因する少なくとも1つの問題点を実質的に解消する印刷ジョブ管理装置および方法を対象としている。
【0004】
本発明の目的は、改良された印刷ジョブ管理装置および方法を提供することである。
【0005】
本発明による付加的あるいは他の特徴および利点が以下に記載されているが、これは、部分的に以下の記載内容から明らかであるほか、本発明を実施することにより把握されうる。本発明の目的および他の利点は、以下の記述、特許請求の範囲、および図面において特に指摘された構成により実現および達成される。
【0006】
本発明の趣旨に沿って具体化される、広範に記載された上記および他の目的を達成するために、その一態様において、本発明は、印刷ジョブ管理装置において実行される、複数の印刷ジョブを管理する方法であって、前記方法は、複数の印刷ジョブを受信すること、グルーピングの条件を指定すること、指定された前記グルーピングの条件にしたがって、利用者による操作なしに、前記複数の印刷ジョブを一または複数のグループにグルーピングすること、および、グルーピングの結果を送信すること、を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0007】
他の態様において、本発明は、データ処理装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、前記データ処理装置によって、前記複数印刷ジョブを管理するためのプロセスを実行させるように構成されており、前記プロセスは、複数の印刷ジョブを受信すること、グルーピングの条件を指定すること、指定された前記グルーピングの条件にしたがって、利用者による操作なしに、前記複数の印刷ジョブを一または複数のグループにグルーピングすること、および、グルーピングの結果を送信することを含むことを特徴とするコンピュータプログラムを提供する。
【0008】
他の態様において、本発明は、複数の印刷ジョブを受信するとともに、指定されたグルーピングの条件にしたがって、利用者による操作なしに、前記複数の印刷ジョブを一または複数のグループにグルーピングするデータ処理部を含み、当該データ処理部が、前記グルーピングの結果を送信することを特徴とする印刷ジョブ管理装置を提供する。
【0009】
他の態様において、本発明は、印刷ジョブ管理装置上で実行される、複数の印刷ジョブを管理する方法であって、前記方法は、顧客情報、印刷優先度、カラー設定、カラー印刷での部数、白黒印刷での部数、用紙のサイズ、用紙のタイプ、および仕上げ処理オプションの少なくとも一つに関するジョブパラメータのうち一または複数のジョブパラメータの値をそれぞれの印刷ジョブが特定する複数の印刷ジョブを受信すること、利用者による操作なしに、前記複数の印刷ジョブを前記一または複数のジョブパラメータにしたがってグルーピングすること、前記グルーピングのステップにおいて一のグループに割り当てられた印刷ジョブを印刷処理のためプリンタまたは複数のプリンタの結合体に送信すること、を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0010】
以上に示した概要および以下の詳細な説明は、両方とも典型的かつ説明的な内容であり、特許請求の範囲に記載されている発明に関する詳しい説明を行うことを目的としていると理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面の簡単な説明
図1は、複数のプリンタを備えた印刷管理システムを概略的に示している。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態による印刷ジョブ管理装置の表示パネルに現れるメイン画面を概略的に示している。
【0013】
図3は、本発明の一実施形態によるジョブチケットエディタを概略的に示している。
【0014】
図4は、本発明の一実施形態によるジョブチケットのデータ内容を概略的に示している。
【0015】
図5は、本発明の一実施形態による印刷ジョブを管理する方法を示すフローチャートである。
【0016】
図6は、本発明の一実施形態によるインボックスパネルの画面を概略的に示している。
【0017】
図7は、本発明の一実施形態によるグループエディタの画面を概略的に示している。
【0018】
図8は、本発明の一実施形態によるグルーピング方法を示すフローチャートである。
【0019】
図9は、本発明の一実施形態によるグルーピング方法を示すフローチャートである。
【0020】
図10は、本発明の一実施形態による、特定の印刷ジョブのためのキューパネルの一例を概略的に示している。
【0021】
図11は、本発明の一実施形態による、推奨閲覧パネルの一例を概略的に示している。
【0022】
図12は、本発明の一実施形態による、推奨閲覧パネルの他の例を概略的に示している。
【0023】
図13は、本発明の一実施形態による、選択パネルの一例を概略的に示している。
【0024】
好ましい実施の形態の詳細な説明
本発明の実施形態によれば、多数の印刷ジョブを迅速かつ効率的に処理することができる。図1は、複数のプリンタを有するプリントショップにおける印刷管理システムの一例を示す。クライアントコンピュータ1および2は、ローカルエリア・ネットワーク(LAN)を介してサーバ4に接続されている。スキャナ3もまたLANを介してサーバ4に接続されている。本例において、白黒プリンタ5、6、7およびカラープリンタ8、9は、LANを経由してサーバに接続されている。
【0025】
本例において、プリンタ5〜9は、高速・高品質印刷に対応する、業務用の高性能プリンタである。プリンタ5〜9の各々は、様々なサイズ、色、および様式の用紙を格納する複数の給紙トレイを備えている。さらに、プリンタ5〜9の中には、部単位印刷(collate printing)および他の印刷仕上げ機能を実行できるように、複数の出力トレイを有する高機出力仕分け機構を装備しているものもある。各々のプリンタは、印刷処理の状態や利用者への各種の警告および指示を表示するための少なくとも1つの表示モニタを有している。それぞれのプリンタは、中央演算処理装置(CPU)および印刷動作を制御するための適切なハードウェア/ソフトウェアを装備しており、LANを介してサーバ4との通信を行う。また、これらのプリンタのいくつかは、文書のコピーやスキャンを実行可能な多機能プリンタでありうる。サーバ4には、様々な標準ネットワーク管理機能を実行するための適切なサーバソフトがインストールされている。
【0026】
本実施形態において、サーバ4のハードディスクドライブには、サーバ管理ソフトに加えて、プリントショップで受け付けられる大量の印刷ジョブを管理するための印刷ジョブ管理ソフトがインストールされている。プリントショップのオペレータが印刷ジョブ管理ソフトを呼び出すと、サーバ4は、印刷ジョブ管理ソフトをランダム・アクセス・メモリ(RAM)に読み出し、印刷ジョブ管理を含む同ソフトによる各種機能を実行する。
【0027】
印刷ジョブは、印刷対象である文書に加えて、要求されたオプションを特定するための印刷命令を含んでいる。たとえば、顧客が、特別な仕上げオプションが指定された印刷用にPDF形式のファイルを格納したディスケットを持参することが考えられる。そのとき、プリントショップのオペレータは、どの種類の印刷ジョブが印刷ジョブパラメータを解読する上で好ましいのかを顧客に質問する。あるいは、顧客がどの印刷オプションを希望するか説明するための質問シートに記入するよう要求されることも考えられる。たとえば、顧客が、重さ24lbの25%コットン製レターサイズ用紙に、フルカラー両面印刷で100部印刷するよう要求することが考えられる。このとき、プリントショップのオペレータは、これらのジョブパラメータを顧客情報とともにファイルに記録し、さらに、これらのパラメータと原稿とを関連付けて保存するために、同ファイルと原稿のPDFファイルとをハードディスクまたは他の保護された記憶装置に格納する。
【0028】
また、印刷ジョブは、顧客が文書のコピーを要求する場合にも生成されうる。このとき、顧客が持参したコピー用の文書を、プリントショップのオペレータがスキャナ3(これはカラーおよび/または白黒スキャナでありうる)を用いてスキャンすると、同文書はディジタルファイルに変換され、さらに、スキャンされた原稿と関連付けられたデータファイルが上記と同様の方法で作成される。
【0029】
印刷ジョブおよび関連付けられたファイルに相当するこれらのデータファイルはサーバ4に転送される。このように、多数の印刷ジョブが作成されると、それらは印刷ジョブ管理ソフトを実行するためのサーバ4に集められる。
【0030】
印刷ジョブ管理ソフトを実行するための印刷ジョブ管理サーバ4は、印刷ジョブファイルを受信すると、印刷ジョブを解析し、それを実行する。印刷ジョブ管理ソフトは、Windows OS、Macintosh OS、Unix X Windows、またはタッチスクリーンおよび/またはマウスおよびキーボード等の表示モニタと協働してGUI(グラフィカル・利用者・インタフェース)を提供する他の一般的なオペレーティング・システム上で作動するように設計されることが好ましい。本発明の実施形態において印刷ジョブ管理ソフトを実行するサーバ4(あるいは他の適切なデータ処理装置)を、以後、「印刷ジョブ管理サーバ」と称することにする。本書において、「印刷ジョブ管理サーバ」および「印刷ジョブ管理装置」という用語は、適切なハードウェア/ソフトウェアを用いることにより、以下に記載した本発明の実施形態による様々な機能を実現可能なあらゆるデータ処理装置に対して広範に用いられるものとする。
【0031】
メイン画面
動作の際に、印刷ジョブ管理サーバ4は、サーバ4のモニタ上(または、クライアントコンピュータまたはプリンタで印刷ジョブ管理ソフトウェアへのリモートアクセスが可能である場合には、クライアントコンピュータ1または2のモニタ上、あるいは、プリンタ5〜9のいずれかのモニタ上)に、図2に示されるメイン画面を表示する。図2を参照すると、インボックスパネル(In Box Panel)は、印刷ジョブ管理サーバ4に送信された全ての新規印刷ジョブを「新規ジョブ(Incoming Jobs)」のヘッダの下に格納する。インボックスパネル内の1つの行は、1つの印刷ジョブに対応する。インボックスパネル内で「新規ジョブ(Incoming Jobs)」としてリスト表示された印刷ジョブは、その時点でプリンタに割り当てられていない印刷ジョブである。ジョブチケット番号の列には、対応する印刷ジョブに割り当てられたジョブ番号が表示される。また、インボックスパネルには、用紙サイズ、用紙タイプ、文書カラー、ジョブ種類、部数/印刷枚数等のジョブパラメータの値も表示される。
【0032】
プリンタジョブパネル(Printer Jobs Panel)は、印刷ジョブ管理サーバ4によって監視される全てのプリンタにおいて実行中のジョブを表示する。完了ジョブパネル(Done Jobs Panel)は、完了したジョブまたはキャンセルされた印刷ジョブを表示する。図2のメイン画面の右側の送り先パネル(Destination Panel)は、印刷ジョブ実行のために接続中である全印刷装置を表示する。
【0033】
送り先パネルは、印刷するための印刷装置のアイコンを表示するものであり、2つの欄:プリンタとクラスタ/仮想キューとに区分されている。プリンタ・ウィンドウ枠は、サーバに接続されている実際の物理的な複数のプリンタに対応するアイコンを示している。クラスタ/仮想キュー・ウィンドウ枠は、クラスタおよび仮想キューを示している。クラスタおよび仮想キューは、ソフトウェア的に定義された仮想印刷装置であり、特定の印刷動作を実行するために印刷ジョブが送られるものであり、以下で詳説される。
【0034】
オペレータは、インボックス、プリンタジョブパネル、および完了ジョブパネルのうちのいずれかから、送り先パネルに表示されている複数のアイコンのうちの一つにドラッグ・アンド・ドロップすることができる。その結果として、指定されたプリンタ(あるいは、クラスタまたは仮想キュー)が対応する印刷動作の処理を開始するように、印刷ジョブ管理サーバは、選択された印刷装置に印刷ジョブを送る。その結果、印刷ジョブは、インボックスパネル内の印刷ジョブ登録は、プリンタジョブパネルに移動する。そして、印刷ジョブが完了すると、ジョブ登録は、プリンタジョブパネルから完了ジョブパネルに移動する。
【0035】
クラスタは、複数の印刷ジョブの特定のクラスをより能率的および正確に実行するように設計されている、ソフトウェアで定義された仮想印刷装置である。それは、特定の規則/アルゴリズムを持つ2台またはそれ以上のプリンタの結合体である。ある一つの印刷ジョブが、一つのクラスタに振り分けられる場合、その印刷ジョブは、事前の設定または利用者によって定義された規則/アルゴリズムによって、少なくとも2つのジョブに分割され、それぞれの分割されたジョブは、そのクラスタによって特定された各プリンタにより処理される。たとえば、すべてのカラーページはカラープリンタ1で印刷され、すべての白黒ページは白黒プリンタ1で印刷すべきであることを要求する規則によって、カラープリンタ1および白黒プリンタ1が結合されたクラスタに対して、10枚のカラーページと20枚の白黒ページを含む印刷ジョブ(ジョブNo.12345)が与えられると仮定する。その場合、印刷ジョブは、すべてのカラーページを含むジョブ1と残りの白黒ページを含むジョブ2とに分割される。そして、それぞれの印刷動作のために、ジョブ1はカラープリンタ1に送信され、ジョブ2は白黒プリンタ1に送信される。
【0036】
この特定の実施形態においては、5桁のジョブ番号が新規の印刷ジョブに割り付けられ、(たとえば、一つのクラスタに割り付けられた結果として)そのジョブが少なくとも二つのジョブに分割された場合には、これらの分割された各ジョブには、それらの関係を示すために下線記号により分離された補助番号が付される。上記の実施例においては、ジョブNo.12345がクラスタに送信されると、その印刷ジョブは、カラーページ用のジョブNo.12345_1と白黒ページ用のジョブNo.12345_2とに分割される。この分割に伴って、ジョブNo.12345は、インボックスパネルから消え、メイン画面のプリンタジョブパネルにおいて、ジョブNo.12345_1が「カラープリンタ1」の下に表示され、ジョブNo.12345_2が「白黒プリンタ1」の下に表示される。
【0037】
仮想キューは、この仮想キューによって特定された対応するジョブパラメータの値に適合しない印刷ジョブのジョブパラメータ値を無効にする。たとえば、仮想キューは、特定の白黒プリンタ、トレイ、用紙サイズ、および(普通紙のような)特定の用紙タイプを特定しうる。この場合、A4サイズの24ポンド紙へのカラー印刷を指定している一の印刷ジョブが、特定の白黒プリンタ、およびレターサイズで18ポンド紙を特定する仮想キューに送られた場合に、たとえば、印刷ジョブ管理サーバは、これらの当初の印刷ジョブのジョブパラメータ値を無効化し、それらを仮想キューにより特定されたジョブパラメータ値に置き換える。この結果、その白黒プリンタは、レターサイズの18ポンド紙上にグレースケールで印刷出力する。この特徴は、たとえば、存在するプリンタ設定と印刷ジョブの要求とが適合しないが、顧客が、まず、その文書の簡単な概略を要求している場合に有用である。
【0038】
サーバ4は、複数の分割印刷ジョブに関するすべての印刷が完了したときに、サーバ4がこれら複数のジョブをメイン画面の完了ジョブパネルに移動するように構成しうる。すなわち、上記した具体例によれば、ジョブNo.12345_1に関する印刷とジョブNo.12345_2に関する印刷の両方ともが完了したとき、これら複数のジョブが、メイン画面の完了ジョブパネルに移動する。好ましい実施形態において、複数の分割ジョブは、それらの印刷が完了した場合に結合されて、その印刷ジョブの当初のジョブ番号が完了ジョブパネルに表示される。上述したような仮想キューおよびクラスタは、必要に応じて、利用者またはプリントショップのオペレータによって形成および指定されてもよい。利用者の便宜のために、初期設定または試供用のクラスタまたは仮想キューが、印刷ジョブ管理ソフトウェアの一部として提供されてもよい。
【0039】
送り先パネルにおいてアイコンをダブルクリックすることによって、プリンタ、クラスタ、および仮想キューのプロパティへのアクセスが利用者に与えられる。プリンタ、クラスタ、および仮想キューのそれぞれのアイコンにおける括弧書きの数字は、それぞれに印刷キューイングされている(すなわち、特定のプリンタでの待機リスト(プリント・スプーラ)内にある)ジョブの数を視覚的に示している。「切断」、「利用不能」などのプリンタ(およびクラスタと仮想キュー)の他の状態も、視覚的に、または絵を用いて、アイコン毎、または別のウィンドウ枠内に示されてもよい。
【0040】
ジョブチケット
本発明の実施形態において、印刷ジョブは、ジョブチケットと称されるデータベースのエントリを用いて整理される。ジョブチケットは、用紙サイズ、用紙タイプ、利用者のID情報、および他の関連情報等の各種印刷ジョブパラメータの値を特定するものであり、それ自体をソースファイルと関連付ける。たとえば、利用者は、インボックスパネル、印刷ジョブパネル、および完了ジョブパネルに含まれる印刷ジョブを右クリックすると現れるメニュー画面から「ジョブチケット閲覧(View Job Ticket)」を選択することによって、ジョブチケットの内容を閲覧することができる。
【0041】
プリントショップのオペレータは、顧客から受け取った指示や情報に基づき、ウィンドウズの右クリックメニューによってメイン画面からアクセス可能なグラフィック・ユーザ・インタフェース(GUI)であるジョブチケットエディタ画面、または他の手段を用いて、これらのジョブパラメータの値を手動で入力することができる。図3は、ジョブチケットエディタの一例を示す。図3に示されるように、オペレータは、このジョブパラメータの値を打ち込むこともでき、あるいはプルダウンメニューから選択することもできる。
【0042】
図4は、ジョブチケットのデータ内容の一例を示す図である。図4を参照すると、本例におけるジョブチケットは、様々なジョブパラメータの以下のようなグループの値である「ジョブ情報設定(Job Info Settings)」、「基本設定(Basic Settings)」、「レイアウト設定(Layout Settings)」、「カバーシート(Cover Sheet)」、「仕上げ処理設定(Finishing Settings)」、「用紙間設定(Inter−Sheet Setting)」、「タブ用紙設定(Tab−Paper Settings)」、「画像品質設定(Image Quality Settings)」、および「顧客情報(Customer Information)」のみならず、「ジョブチケット番号(Job Ticket number)」、および「チケット名(Ticket Name)」を含む。
【0043】
「ジョブ情報設定(Job Info Settings)」には、「ジョブ名(Job Name)」、「サブミット時間(Submit Time)」、「完了時間(Completed Time)」、「期限(Due Date)」、「ジョブタイプ(印刷またはコピー)(Type(print or copy))」、「優先順位(Priority)」、「ジョブチケット作成者のID(Job Created by)」、「ジョブ位置(Job Location)」、および「推奨キュー(Queue Recommendation)」(すなわち、特定のプリンタまたは他の送り先の提案)を含む。「ジョブ情報設定(Job Info Settings)」は、印刷対象の文書を格納するファイルが、ローカルまたはネットワーク上に置かれているディレクトリのパス(directory path)、白黒ページの枚数、カラーページの枚数、および特別の指示をさらに含む。
【0044】
「基本設定(Basic Settings)」は、作成部数、印刷向き(縦方向または横方向)、部単位印刷に関する情報、オフセット印刷に関する情報、原稿サイズ、出力用紙サイズ、用紙タイプ、およびトレイ番号等の用紙供給元に関する情報を含む。「レイアウト設定(Layout Settings)」は印刷時のレイアウトに関する設定を含む。「カバーシート(Cover Sheet)」は製造または作成されるカバーシートに関する設定を含む。「仕上げ処理設定(Finishing Settings)」は、ステッチ、ステープルおよびパンチ等の用紙綴じオプションを含む仕上げ処理に関する設定内容を特定する。
【0045】
さらに、サーバは、いくつかのジョブパラメータの値をソースファイルから直接決定できるように、ソースファイルにアクセスし、その解析を行なうように構成されうる。そして、そのサーバが、取得したパラメータ値を、対応するジョブチケットのジョブパラメータ入力部に入力するので、利用者が手動でこれらのパラメータ値を入力する必要はない。これは手作業によるミスをなくす上で有用であり、プリントショップにおける作業を円滑化する。
【0046】
本書において、「値」という用語が変数またはパラメータに関連して言及されたときは、何らかの数量、特性、および、変数またはパラメータを特定するための他の種類の入力値を意味し、それは、本書における複数のジョブパラメータのいずれかの特定の設定値を含むが、必ずしもそれにのみ限定されない。
【0047】
ジョブのグルーピング
プリントショップは、多種多様な印刷条件を指定する新規印刷ジョブを、毎日大量に受け付ける。これらの印刷ジョブは受け付けられた時点では整理されていないものの、それらの処理は迅速かつ正確に実行されなければならない。本発明の実施形態によれば、複数の新規印刷ジョブは効率的かつ極めて透過的(transparent)に整理されるので、それにより、プリントショップにおける作業が円滑化される。この目的を達成するために、本発明の実施形態による印刷ジョブ管理サーバは、新規の印刷ジョブを解析し、さらに、それらの印刷ジョブが目的別に整理され、以降の工程においてサーバおよびオペレータによって使用可能となるように、所定の条件に基づいていくつかのグループに分類する。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態における印刷ジョブ管理サーバにより実行される複数の印刷ジョブの管理方法を説明するためのフローチャートである。ステップS501において、印刷ジョブ管理サーバは、複数の印刷ジョブを受信する。ステップS502において、印刷ジョブ管理サーバは、新規印刷ジョブを分類するためのグルーピング条件を指定する。ステップS501はステップS502の前に実行されても後に実行されてもよく、これらが同時に実行されてもよい。ステップS502において指定されたグルーピング条件に従って、印刷ジョブ管理サーバは、全ての新規印刷ジョブを、利用者による操作を要求することなく自動的にグルーピングする(S503)。ステップS504において、印刷ジョブ管理サーバは、利用者または印刷ジョブ管理サーバがグルーピング結果を利用できるように、グルーピング結果を送信する。たとえば、ステップS504において、印刷ジョブ管理サーバは、以降の工程において利用者がグルーピングに関する情報を利用できるように、付属の表示モニタによってグルーピング結果を利用者に示す。また、特定のグループへ割り当てられた複数の印刷ジョブは、印刷処理のため、手動または自動的に特定のプリンタに送出されることができる。
【0049】
本発明の実施形態による印刷ジョブ管理サーバは、グルーピング条件が与えられると、全ての新規印刷ジョブの解析およびグルーピング処理を自動的に開始するように構成されることができる(以後、「自動グルーピングモード」と称する)。その代わりに、印刷ジョブ管理サーバは、先ず、全ての新規印刷ジョブがインボックスパネル内の新規ジョブを表すヘッダの下に位置されるようにし、利用者からの要求があり次第グルーピング処理を開始するように構成されることもできる(以後、「オンデマンド・グルーピング」と称する)。どちらのモードにおいても、一旦グルーピングが開始されると、利用者による介在は一切不要になる。すなわち、印刷ジョブのグルーピングは、利用者によって中断されるか、またはグルーピングが完了するまで継続する。なお、印刷ジョブが既存のどのグループにも属さないと判断された場合、そのジョブは、インボックスパネル内の新規ジョブのヘッダの下に置いたままにされ、どのグループにも分類されないことになる。
【0050】
図6は、グルーピング処理の結果を表示するインボックスパネルを示す図である。図6に示されるように、グルーピングされた印刷ジョブは、インボックスパネル内で、各々対応するグループ名のヘッダの下に配置される。また、各々の印刷ジョブの基本的なジョブパラメータ値が画面上に見やすく表示される。このインボックスパネルは、現時点で、「BIL」グループと「1 ET」グループの少なくとも2つのグループが存在することを示している。この「BIL」グループは3つの印刷ジョブからなる。「BIL」グループとしてリスト表示されている全ての印刷ジョブは、同一の優先順位の設定値、同一の用紙サイズの設定値、および同一のカラーの設定値(白黒)を有している。しかし、「1 ET」グループの印刷ジョブ(ジョブ番号99999_2)は、少なくとも用紙サイズおよびカラー設定に関して「BIL」グループとは異なっている。このような視覚的な表示は、利用者にとって、印刷ジョブのグルーピング状態を確認するための便利かつ信頼性の高い手段となる。たとえば、これにより、オペレータが印刷ジョブをプリンタ(またはクラスタや仮想キュー等の仮想的な印刷装置)に割り当てる時間が削減されるほか、より効率的なプリンタの利用が実現される。なお、グルーピング条件を適切に設定することで、所定のグループに分類された全ての印刷ジョブが単一の送り先装置(プリンタ、クラスタまたは仮想キュー)に同時に送信されるようにすることが可能である。たとえば、図6における「BIL」グループの3つの印刷ジョブは、適当な白黒プリンタに全ての同時に送信されることが可能である。
【0051】
ターゲットグループの手動作成
印刷ジョブをグルーピングするための条件として、新規印刷ジョブを割り当てるための固定されたターゲットグループを予め設定することが可能である。たとえば、プリントショップのオペレータは、メイン画面上でアクセル可能なグループエディタを用いて、所定のジョブパラメータの値を指定することで、個々のターゲットグループを手動で作成することができる。図7は、グループエディタの画面の一例である。図7に示されるように、オペレータは、ジョブパラメータの値を打ち込むか、ドロップダウンメニューから選択することができる。本例において、あるグループを定義するために利用者により指定されるジョブパラメータは、「顧客情報(Customer Information)」(たとえば、顧客名)、「優先順位(Priority)」(高、中、低)、「カラー設定(Color Setting)」(カラーのみ、白黒のみ、混合)、「部数(Copies)」(印刷枚数)、「用紙(Paper)」(サイズ、タイプ、重量、色、給紙トレイ番号)、「仕上げ処理(Finishing)」、および「特別な指示(Special Instruction)」を含む。なお、好ましいモードにおいて、あるグループを定義するために指定される一連のジョブパラメータは、上述のジョブチケットを定義するために指定されるジョブパラメータの一部である。
【0052】
なお、上記の方法の代わりに、特定の印刷ジョブを参照することによりグループを作成することもできる。このとき、オペレータは、1つの印刷ジョブを選択し、グループエディタを用いて、選択されたジョブのジョブパラメータ値の全部または一部を新しいグループに適用することによって、新しいグループを作成することができる。たとえば、印刷ジョブ管理サーバは、オペレータが、画面上でインボックスパネル内に示された印刷ジョブを右クリックして「グループ作成」のオプションを選択し、その印刷ジョブのジョブチケットから送信された全てのジョブパラメータ値が包含されたグループエディタ画面を開くことができるように構成されることができる。オペレータは、全ての値をそのまま承認するか、必要に応じてジョブパラメータ値の一部を削除または修正することによって、新しいグループを作成することができる。こうすることで、オペレータは所望のグループを容易に作成することができる。
【0053】
上記のようなグループエディタを用いれば、オペレータは多数のジョブパラメータの値を指定することができるが、グループを定義するためには、グループエディタ画面上に現れる全てのジョブパラメータの値を指定しなければならないというわけではない。つまり、一部のジョブパラメータの値のみを指定した場合は、そのジョブパラメータの値のみによって定義されるグループ(これを高レベルグループと称する)が作成される。たとえば、「カラー」のジョブパラメータを「白黒」に設定し、「用紙サイズ」のジョブパラメータを「8.5×11」に設定してグループを作成した場合、カラーおよび用紙サイズのジョブパラメータ値がそれと同じ(すなわち、「白黒」および「8.5×11」)である新規印刷ジョブは、他のジョブパラメータの値が何であろうと、全てそのグループに割り当てられることになる。よって、利用者の要望およびシステム設計に応じて、相互排他的なグループや、重複するグループや、階層構造のグループが作成可能である。しかし、必要に応じて、サーバは、所定の種類のグループの作成のみを許可するように構成されることもできる。たとえば、サーバは、相互排他的なグループのみが利用者によって作成可能となるように構成されることができる。さらに、ジョブパラメータとして特定の値を指定する代わりに、一定の範囲のジョブパラメータを指定することによってグループを定義することもできる。
【0054】
さらに、頻繁に利用されるグループを初期設定のグループとして予め準備しておき、それをジョブ管理サーバにインストールしておくことも可能である。初期設定のグループを定義するためのデータは、印刷ジョブ管理サーバからアクセス可能な記憶装置に格納されうる。
【0055】
図8は、本発明の一実施形態による、予め定義されたグループを用いたグルーピング方法を示すフローチャートである。本例は、サーバが既にグルーピング条件に基づき新規印刷ジョブを割り当てるためのグループの定義を完了した状態を想定している。先ず、印刷ジョブ管理サーバは、利用者により作成された全ての既定グループの解析を行って(S801)、これらのグループの特性を判定し、さらに、これらのグループのジョブパラメータ値と、新規印刷ジョブの対応するパラメータ値とを比較する(S802)。ここで、ジョブチケットによって定義された新規ジョブが、あるグループのジョブパラメータ値に適合した場合、そのジョブは当該グループに割り当てられ(S804)、画面上のインボックスパネル内の当該グループを表すヘッダの下にリスト表示される。一例として、「1 ET」のグループが、「顧客(Customer)」、「カラー設定(Color Settings)」、「部数(Copies)」、「用紙(Paper)」、「仕上げ処理(Finishing)」、「特別な指示(Special Instruction)」のジョブパラメータを指定することにより定義された場合を想定する。このとき、個々のジョブパラメータ値が完全に一致する印刷ジョブを印刷ジョブ管理サーバが検出すると、そのジョブはインボックスパネル内の「1 ET」のグループのヘッダの下に配置されることになる。この他にも、比較/グルーピングのために適切に設計されたアルゴリズムが使用されうる。
【0056】
ターゲットグループの自動作成
印刷ジョブ管理サーバは、予め定義されるか、または利用者により指定される受動的なターゲットグループを用いる代わりに、新規印刷ジョブのパラメータ値に基づいて能動的にターゲットグループを作成するように構成されることもできる。このモードにおいて、先ずサーバは、1つまたは複数の検討すべきジョブパラメータを決定し、新規印刷ジョブにおけるこれらのジョブパラメータ値を解析する。サーバは、これらのジョブパラメータ値に応じて、新規印刷ジョブを個々のグループに分類する。つまり、これらの特定のパラメータの値に基づいてグループが作成されることになり、利用者が自らグループを作成する必要性はなくなる。印刷ジョブ管理サーバは、このような方式を、自動的なグルーピング動作を実行するためのグルーピング条件として採用することができる。
【0057】
図9は、本発明の一実施形態において、上記グルーピング動作のためにサーバにより実行されうるアルゴリズムの一例を示す。図9に示されるように、先ず利用者は、グルーピング条件を定義するための特定のジョブパラメータ(1つまたは複数)を選択する(S901)。そして、最初の印刷ジョブを受信すると、その印刷ジョブ(ジョブチケット)から、上記の選択されたジョブパラメータの値が読み出され、その選択されたジョブパラメータの値が最初の印刷ジョブと同一である全ての印刷ジョブを割り当てるための第1グループが定義される(S905)。ここで、最初の印刷ジョブを割り当てるためのグループは予め定義されていないものとする。そして、このようにして作成された第1グループに、最初の印刷ジョブが分類される(S904)。続いて、それ以降に受信された印刷ジョブが解析され、それらが第1グループに属するか否かが判断される(S902,S903)。それらの印刷ジョブのうち、上記の選択されたジョブパラメータの値が第1グループと同じであるものは、第1グループに割り当てられる(S904)。また、上記の選択されたジョブパラメータの値が第1グループのそれとは異なっている印刷ジョブが受信された場合、その印刷ジョブ中の新規なジョブパラメータ値に基づき、新たに第2グループが作成される(S905)。その後も、同様の動作によって、第3、第4…の新たなグループが次々と作成される。つまり、グルーピング動作の基準となる印刷ジョブパラメータ(1つまたは複数)が一旦選択されると、グルーピング動作(S902〜S905)は、利用者の操作がなくても自動的に実行される。この他にも、比較/グルーピングのための適切に設計されたアルゴリズムが採用されうる。
【0058】
また、オペレータは、印刷ジョブのグルーピングのための基準を定義するジョブパラメータとして、たとえば「仕上げ処理(Finishing)」のジョブパラメータを選択することもできる。ここで、一例として、最初の10個の新規印刷ジョブの「仕上げ処理(Finishing)」ジョブパラメータ値が、「左側ステープル綴じ」(10個のうち4つのジョブ)と「通常印刷」(10個のうち6つのジョブ)の2種類のみであった場合を想定する。これらの10個の印刷ジョブの解析が完了すると、上記2種類の「仕上げ処理(Finishing)」のジョブパラメータ値に対応する2つのグループが自動的に作成され、これら10個の印刷ジョブはそれぞれ対応するグループに割り当てられる。もし、11番目の新規ジョブの仕上げ処理(Finishing)ジョブパラメータ値が「右側ステープル綴じ」であった場合、さらに新しいグループが作成され、11番目のジョブはそのグループに割り当てられることになる。このような動作は、たとえば、オペレータが中断するか、または利用者が指定した所定数の印刷ジョブの処理が完了するまで継続される。
【0059】
このようにして作成されたグループのグループ名は、たとえば、そのグループを定義するジョブパラメータの最初の3文字の後に数字を付けたものを用いるなど、予め定められた規則に従って決定されることができる。上記の例において、第1グループおよび第2グループのグループ名は、それぞれ「FIN1」および「FIN2」であり、第3グループのグループ名は「FIN3」である。このようにして、各グループに割り当てられた印刷ジョブは、画面上において、インボックスパネル内の適切なグループ名が付されたヘッダの下にリスト表示されることになる。
【0060】
他の実施形態においては、このようなグルーピング動作が順次実施される代わりに、複数の印刷ジョブが前述の手法にて同時にグルーピングされうる。たとえば、インボックスパネル内の新規印刷ジョブのヘッダの下に、所定の数の印刷ジョブが溜まった時点で、利用者が、グルーピング条件を規定する1つまたは複数のジョブパラメータを選択することによって、自動グルーピングのコマンドを入力するという構成も可能である。その結果、サーバは、新規ジョブのヘッダの下にリスト表示された印刷ジョブを、前述の手法にて上から順に処理することになり、それにより、新規印刷ジョブのヘッダの下にリスト表示された全ての印刷ジョブが、選択されたパラメータに応じてグルーピングされることになる。
【0061】
このようなグルーピング動作は、オペレータが選択的にピックアップした印刷ジョブのセットに対しても適用可能である。たとえば、利用者は、インボックスパネル内の印刷ジョブを反転表示させることによって印刷ジョブのセットを選択し、それによって上述のグルーピング動作を実行するようにサーバに指示することも可能である。
【0062】
オペレータは、グルーピング動作中または完了後にインボックスパネルを閲覧するとき、グループの内容を展開およびモニタすることができる。上述の通り、オペレータは、印刷実行のため、特定のグループに属する印刷ジョブを、グループ、クラスタまたは仮想キューなどの所望の送り先装置に割り当てることができる。
【0063】
なお、サーバは、一旦グルーピングが完了したら(またはグルーピング処理中に)、印刷実行のために、特定のグループに属する全ての印刷ジョブが、即座に特定のプリンタ、特定のクラスタ、または特定の仮想キューに滞りなく送られるように構成されることも可能である(これを「自動印刷モード」と称する)。上述の自動グルーピング動作と組み合わせることで、印刷ジョブのグルーピング、プリンタへの割り当て、および印刷の実行の全てが、利用者の操作がなくても自動的に実行されうる。このようなモードを、「全自動モード」と称する。この全自動モードにおいて、上述の能動的に作成されたグループは一定期間のみ用いられるものであってもよく、たとえば、個々のグループの印刷ジョブが印刷実行のために印刷装置に送られたら自動消去されるように構成されてもよい。
【0064】
キューパネル
上述したように、印刷ジョブは、カラー、用紙のタイプ、用紙サイズ、および仕上げ処理のオプションなどの様々な複数のジョブパラメータを特定している。印刷ジョブにおけるジョブパラメータの設定には、ほとんど無限と言っていいほどの可能性がある。しかしながら、それぞれのプリンタの限られた機能のために、ひとたび、ある一定の方法で設定すると、かなり大規模のプリントショップであっても、設置されている複数のプリンタのうちのいくつかの初期設定を変更することなく、すべての考えうる印刷ジョブを取り扱うことができるというわけにはいかない。既存のプリンタ設定を変更しなければ取り扱うことができない印刷ジョブを、以下では「非標準印刷ジョブ」と称する。いくつかの例を挙げると、商業レベルの高性能プリンタであっても、それぞれレターサイズやリーガルサイズなどの特定のサイズの用紙を収納している有限の数の給紙トレイを有しているにすぎず、また、ある種のジョブによって要求される高性能な仕上げ処理を備えているとは限らない。特定の仕上げ処理のオプションが指定されたされた場合には、そのようなプリンタを使うことができない。このように、今日の顧客ニーズに応ずるためには、プリントショップのオペレータは、非標準印刷ジョブを処理するべく、給紙トレイの用紙サイズなどの既存のプリンタの設定をしばしば変更せねばならない。
【0065】
しかしながら、設定を比較的容易に変更できるプリンタを見つけることは、必ずしも容易ではない。オペレータは、インボックスパネル内のジョブエントリを選び、ジョブチケット画面を開くことによって、要求される印刷ジョブにおける複数のジョブパラメータ設定の値を確認することができる。オペレータは、たとえば、送り先パネルにおいて表示されるプリンタアイコン上をクリックすることによって、プリンタ(または仮想印刷装置)のそれぞれにおける複数のプリンタ設定を確認することもできる。そして、理論的には、オペレータは、印刷ジョブにおける複数のジョブパラメータ設定の値と複数のプリンタ設定とを手動操作で比較することによって、その印刷ジョブにおける対応するパラメータ値に最も近似する初期プリンタ設定を持ったプリンタを見つけ出すことができる。しかしながら、多数のプリンタ(および仮想印刷装置)が印刷に利用可能なとき、このような検索は面倒であり時間がかかる。
【0066】
上述した自動印刷の操作は、どのグループ振り分け基準にも合わない印刷ジョブを新規ジョブウィンドウ枠内にしばしば残したままにしておく。これらの印刷ジョブを印刷するためには、これらが手動操作によりプリンタに割り当てられねばならない。また、利用者は、自動のグルーピングおよび印刷のオプションが可能である場合であっても、プリンタを手動で選ぶことを選択することも可能である。多数のプリンタが利用可能である場合、最適、すなわち正確に適合する送り先装置(プリンタ、クラスタ、または仮想キュー)を見つけ出すことは、困難であり時間がかかる。
【0067】
本発明の実施形態にかかる印刷ジョブ管理サーバは、印刷ジョブのジョブパラメータ値に正確あるいは近似的に適合する印刷装置(プリンタ、クラスタ、または仮想キュー)を利用者が見つけることを援助するための便利な機能を提供する。一実施形態による印刷ジョブ管理サーバは、複数のプリンタのそれぞれにおける複数のプリンタ設定と印刷ジョブにおける関連する複数のジョブパラメータの値とを比較し、一のプリンタにおける複数のプリンタ設定のいずれもが、印刷ジョブの対応するパラメータ値に適合する場合には、その適合が利用者に通知される。
【0068】
特定の実施形態においては、印刷ジョブ管理サーバは、利用者の要求によりキューパネルを起動することができる。たとえば、オペレータがインボックスパネル内の印刷ジョブエントリの一つをクリックすることによって特定の印刷ジョブを選択する場合に、キューパネルウィンドウが表示される。キューパネルは、印刷ジョブのために利用可能な印刷装置としてジョブ管理サーバによって関連付けまたは定義されたすべてのプリンタ、クラスタ、および仮想キューを表示し、対象となっている印刷ジョブの対応するジョブパラメータ値に適合するプリンタ設定を強調表示する。
【0069】
図10は、特定の印刷ジョブのキューパネルの一例を示す。図10を参照すると、キューパネルは、すべての利用可能なプリンタおよびソフトウェア定義の仮想印刷装置、すなわわち、プリンタ、クラスタ、および仮想キューを、各プリンタにおけるカラー、用紙サイズ、および用紙タイプなどの複数のプリンタ設定とともにリスト表示する。これらのパラメータについてのプリンタ設定が、印刷ジョブで指定されている対応するジョブパラメータの値と適合する場合には、このようなプリンタ設定は強調表示される。このような情報により、利用者は、印刷ジョブを処理するのに最適な印刷装置を絞り込み、検索することができる。図10の実施例では、キューパネルは、白黒プリンタ1 1050が各々種類の異なる様々なサイズの用紙を含む複数の給紙トレイ1−3を有していることを示している。黄色で示したように、キューパネルは、プリンタのトレイ2の用紙サイズおよび用紙タイプの設定が、この特定の印刷ジョブの用紙サイズおよび用紙タイプの値に適合することを示している。同様に、他の強調表示された部分は、複数のプリンタ設定が、印刷ジョブにおけるいくつかのジョブパラメータ値と適合することを示している。動作状態、スプールされている印刷ジョブの数、および概略の待ち時間のような各プリンタのステータスも、オペレータを援助するために、ヘッダ行に表示されており、この点も利用者に利便である。たとえば、2つのプリンタが、これら3つのプリンタ設定に関して正確に適合すると認められた場合、オペレータは、これら複数のプリンタのうち印刷の待ち時間が短い一つを選ぶことができる。
【0070】
このようにしてキューパネルは、どの印刷装置が、印刷ジョブによって要求されているジョブパラメータ値に適合しているかについて表示する。したがって、利用者は、容易かつ迅速に印刷装置を見つけて、要求された印刷ジョブを実行させたり、その要求された印刷ジョブを実行するために変更すべきプリンタ設定を見つけ出したりすることができる。要するに、キューパネル内のデータは、本来であれば時間が掛かりかつ困難である作業をオペレータが完了するのに必要な重要データを提供する。
【0071】
(用紙サイズについて適合しないなど)完全には適合しないプリンタが印刷ジョブを受信した場合、選択されたプリンタのモニタが、送られた印刷ジョブを完了するためにはオペレータがある種の手動作業をしなければならないことを知らせる警告メッセージを表示するように印刷ジョブ管理システムを構成することができる。たとえば、サーバにおいてオペレータが、カラーおよび用紙タイプの設定のみが適合するプリンタを選択した場合、そのプリンタにおいてオペレータは、印刷ジョブを処理するためには、ある給紙トレイの用紙サイズを特定の用紙サイズに変更することが必要である旨の通知を受ける。他の方法では、そのような非適合プリンタをジョブ送り先として選択する前に、キューパネルが、そのプリンタへの完全な適合を直ちに表示するように、オペレータが予め用紙サイズを変更することもできる。
【0072】
上記の実施例のキューパネルも、以下のような効果を有する。上述したように、クラスタは、一つの印刷ジョブを処理するように特定のルール/アルゴリズムにより2つまたはそれ以上のプリンタを互いに結合したものである。キューパネルは、これら複数のプリンタのどの特性が、選択された印刷ジョブの要求に適合するのかを決定するために、オペレータがこれらリンクされたプリンタを確かめる上での評価基準を視覚的に与える。この視覚的な参照は、クラスタの特徴をさらに検索、識別、および使用しやすくする。クラスタに関して、完全な適合が見つからなかったとしても、クラスタを、選択された印刷ジョブに完全に適合させる状態にさせる(あるいは、完全な適合に準じた状態にさせる)ためには、どのような特定のプリンタ設定を変える(あるいは、無効にする)必要があるかについて容易に確認することができる。
【0073】
印刷キューパネルに表示することができるプリンタ設定は、カラー、用紙サイズ、および用紙タイプに限定されない。印刷管理システムでの必要性および設計に応じて、たとえば仕上げ処理のオプションやレイアウト設定(たとえば、両面か片面か)などの他のパラメータについても、それらのパラメータに加えて、あるいはそれらのパラメータに代えて、リスト表示することができる。
【0074】
このように、オペレータが、印刷ジョブ用の仮想的または実在の印刷装置を決定するのに役に立つように、キューパネルは、送り先装置(プリンタ、クラスタ、および仮想キュー)を、プリンタのステータス情報、および特定の印刷ジョブとの各プリンタ設定の適合性に関する情報とともに、リスト表示する。このことは、特に、様々なプリンタ設定を持つ多数のプリンタが印刷管理サーバによる管理を必要としている場合に、有益かつ便利である。
【0075】
好適な態様においては、上述のとおり、キューパネルは、接続されている複数のプリンタおよび他の仮想印刷装置(クラスタおよび仮想キュー)をリスト表示する。しかしながら、利用者の選択に応じて、対象となっている印刷ジョブにおける複数のジョブパラメータ値に適合することがわかった少なくとも一つの設定を有するプリンタのみをリストに示すこともできる。このような特徴は、サーバによって制御される接続プリンタの数が非常に多くて、そのようにしないと、プリンタおよび他の仮想印刷装置の長いリストを含むことになってしまう場合に、特に有利である。
【0076】
印刷装置(プリンタ/クラスタ/仮想キュー)の推奨
上述したように、キューパネルは、接続されている現実のまたは仮想的な複数の印刷装置(プリンタ、クラスタ、および仮想キュー)を、プリンタのステータスについての情報、および特定の印刷ジョブとの各プリンタ設定の適合性に関する情報とともに、リスト表示する。このキューパネルに表示される情報に基づいて、オペレータは、最適合および/または次善の(複数の)送り先装置を手動で決定することができる。本発明の他の態様においては、印刷ジョブ管理サーバは、このような決定を利用者により定義された基準、または予め設定された基準にしたがって実行することができる。このことは、さらに印刷管理動作の容易さと効率をさらに改善することになる。
【0077】
一の態様において、ある印刷ジョブが与えられると、本発明の印刷ジョブ管理サーバは、その特定の印刷ジョブのための1またはそれ以上の印刷装置(プリンタ、クラスタ、または仮想キュー)を推奨する。ソフトウェアにより実行されるアルゴリズムを用いることによって、たとえば、印刷ジョブ管理サーバは、まず、印刷される文書のカラー(すなわち、その印刷ジョブにおけるカラージョブパラメータ)に対応する印刷装置を探索する。それから、最も適合する印刷装置の検索の幅を順次に狭めるために、印刷ジョブ管理サーバは、仕上げ処理オプションの適合を探索し、次いで、用紙サイズおよび用紙タイプのような用紙関連のオプションを探索する。このアルゴリズムは、サーバにインストールされた印刷ジョブ管理ソフトウェアに予め設定されていてもよく、または、利用者の入力により変更または修正されてもよい。たとえば、サーバが、推奨を行なう前に、それら設定を考慮する際の優先度をオペレータが決定することができるようにサーバを構成することもできる。これに代えて、あるいはこれに加えて、推奨動作を実行する際に如何なるパラメータを如何なる順番で使用するべきかについて、使用されるアルゴリズム自体をオペレータが指定することもできる。
【0078】
特定の態様においては、まず、オペレータが特定の印刷ジョブを選択し、ドロップダウンメニューから「推奨の閲覧(View Recommends)」のオプションを選択すると(あるいは、メイン画面のアイコン・バーでの推奨の閲覧のアイコンを選択すると)、サーバは、推奨する一または複数の印刷装置を決定するために上述したアルゴリズムにしたがって、検索動作を実行する。そして、サーバは、オペレータに対して推奨する印刷装置を視覚的に示すために推奨閲覧パネルを立ち上げる。この例では、推奨閲覧パネルにおける記載事項の配列が、キューパネルの場合と類似しているが、推奨閲覧パネルは、印刷ジョブ管理サーバによって推奨されたこれら印刷装置(プリンタ、クラスタ、または仮想キュー)のみをリスト表示するものに限られない。
【0079】
キューパネルにおける場合のように、推奨閲覧パネルは、そのリスト表示されたプリンタのステータスについてもリスト表示してよい。推奨の閲覧パネルに表示された情報に基づいて、オペレータは、その印刷ジョブを処理するためにどの送り先装置を使用するかについて直ちに決定することができる。たとえば、正確に適合している装置が複数ある場合、オペレータは、より待ち時間が短い装置を選ぶことができる。
【0080】
図11は、推奨閲覧パネルの一例を示している。図11において、白黒プリンタ1および白黒プリンタ2が推奨閲覧パネルに表示されており、それらがジョブチケット#0003用に推奨された印刷装置であることを示す。緑色で強調表示されたプリンタ名および対応するプリンタ設定の行に示されるように、これらのプリンタは、同様に適合しており、共に、用紙サイズ、用紙タイプ、およびカラー設定において完全に適合している。しかしながら、白黒プリンタ2の接続状態は、「エラー」を示しており、これは、このプリンタが修理を受けることを必要としており、すぐには印刷に利用可能ではないことを示している。そのため、オペレータは、たぶん、この印刷ジョブのために白黒プリンタ1を選ぶことになる。
【0081】
図12は、推奨閲覧パネルの他の例を示している。クラスタ1が、推奨閲覧パネルに表示されており、このことは、クラスタ1がジョブチケット#0001用に推奨された印刷装置であることを示している。黄色で強調表示されているプリンタ名の行に示されているように、カラープリンタ2は、対応する印刷ジョブのジョブパラメータの値に完全に適合するプリンタ設定を現在有していない。この例では、用紙タイプのジョブパラメータが不適合である。オペレータは、カラープリンタ2のトレイ2の用紙内容を手動で交換することを必要とし、あるいは、希望に応じて、プリントジョブをトレイ2で処理するように強制して、このジョブチケットを処理することができる。
【0082】
サーバは、特定の印刷ジョブに適している印刷装置を決定することでき、その結果は、それぞれの推奨された印刷装置のステータスの情報とともに視覚的に表示されるので、オペレータは、印刷やプリンタ設定を変更するために最も適切な印刷装置オプションを簡単に識別することができる。
【0083】
選択パネル
他の実施形態においては、キューパネルおよび推奨閲覧パネルについての上記の複数の特徴が結び付けられて、これらのパネルに関して上述したすべての情報および機能が、利便的に設計された単一のパネルからアクセス可能となる。特定の態様において、キューパネルおよび推奨閲覧パネルに代えて、選択閲覧パネルが提供される。利用者が、インボックス内の印刷ジョブを選択し、アイコン・ヘッダ行の(あるいはドロップダウンメニューからの)「選択閲覧(View Selection)」ボタン上をクリックすると、「選択パネル(Selection Panel)」が開く。推奨される印刷装置(あるいは複数の印刷装置)は、上述した方法と同様に表示される。たとえば、プリンタ設定が、特定された印刷ジョブのジョブパラメータ値にどのように適合しているかを示すために、推奨された印刷装置は強調表示され、展開される。関係ある複数のプリンタ設定のすべてに関して完全に適合する印刷装置は、緑色に強調表示することができ、対応するトレイも、緑色で強調表示することができる。プリンタ設定のいくつかで適合する次善の適合は、黄色で強調表示することができる。したがって、上述したように、印刷装置が印刷ジョブに整合する度合は、異なる色を用いて示すことができる。
【0084】
すべての他の非推奨印刷装置も、この選択パネルに記載される。スペースを節約するために、たとえば、完全な適合を有しない印刷装置については、それらの印刷装置名のみを表示することによってリスト表示してもよい。しかしながら、必要に応じて、オペレータは、印刷装置名をクリックして、それを展開して、選択された印刷装置の詳しいプリンタ設定の確認、およびプリンタのそれぞれが、特定されたジョブパラメータ値にどのように適合しているかについての確認をすることができる。上述したキューパネルの場合と同様に、印刷ジョブパラメータの特定の値に適合する個々のプリンタ設定は、別途黄色で強調表示されてもよい。
【0085】
図13は、選択パネルの一例を示す。パネルの上部ヘッダ行には、パネルの名前である「選択パネル(Selection Panel)」が、サーバに接続されているプリンタ、クラスタ、および仮想キューのそれぞれの数とともに表示される。ヘッダ行のちょうど下には、印刷ジョブによって指定されている用紙サイズ、用紙タイプ、カラー、および仕上げ処理オプションのみならず、ジョブチケット番号およびジョブ名称を示すジョブチケットについての情報が示されている。仕上げ処理オプションの印刷ジョブパラメータとして、この例では、ステープル、折り、製本、および両面印刷を指示する。
【0086】
残りのパネルも、上述したキューパネルおよび推奨閲覧パネルに似た方法により設計されている。パネルは、印刷装置(プリンタ、クラスタ、仮想キュー)をそれらのプリンタ設定とともにリスト表示して、これらプリンタ設定が、印刷ジョブで指定されたジョブパラメータ値にどの程度に適合するかを指し示している。図13の例において、給紙トレイについての各行は、給紙トレイから供給された用紙が、以下の仕上げ処理オプション、ステープル、折り、製本、および両面印刷などの処理を受けることができるかについての情報のみならず、トレイ内にある用紙サイズ、用紙タイプ、および用紙の色についても指し示している。たとえば、ステープルの行のX印は、ステープル仕上げ処理が利用可能なこと示している。
【0087】
この例において、プリンタ1およびそのトレイ1は、緑色で強調表示されており、これは、プリンタ設定が、要求された印刷ジョブに適合していることを示している。実際に、パネルの上側に表示されている印刷ジョブの複数のジョブパラメータ値は、プリンタ1のトレイ1のリスト表示された複数プリンタ設定のそれぞれと適合していることがわかる。
【0088】
選択パネルのウィンドウのサイズは、パネルを最初に開いたときに、推奨された印刷装置がウィンドウ内に示されるように設計されている。図13は、上側に強調表示されたプリンタ1と、それに続くプリンタ2と、クラスタおよび仮想キューの折り畳まれた項目とを示している。しかしながら、この例の選択パネルは、サーバに接続されたすべての印刷装置(プリンタ、クラスタ、仮想キュー)を含んでおり、キューパネルに関連して上述したこれらの装置のそれぞれのステータス情報およびその他の情報にも利用者がアクセス可能になっている。ウィンドウをスクロールし、および/またはウィンドウを拡大することによって、利用者は、印刷装置にアクセスして、その内容を確認することができる。
【0089】
推奨される印刷装置として適さない印刷装置は、スペースを節約するために、それらの名称(または、もし、印刷装置の項目形式に適合しない場合には、それらの形式)のみを示すように折り畳まれる。図13では、クラスタおよび仮想キューには、推奨される印刷装置が存在しない。したがって、選択パネルには、装置の種類名(クラスタ、および仮想キュー)のみが表示されている。利用者がこれらの装置のプリンタ設定を見たい場合には、利用者は、その装置種類名の上を、次いで、その装置名称の上をクリックし、表示を拡大することができる。
【0090】
キューパネルおよび推奨の閲覧パネルの場合と同様に、選択パネルも印刷装置のステータスをリスト表示する。選択パネルに示された情報に基づいて、利用者は、印刷ジョブを処理するために、どの印刷装置を使うかについて直ちに決定することができる。たとえば、正確に適合している複数の印刷装置がある場合、オペレータは、より短い待ち時間を持つ装置を選択し得る。さらに、適切なアルゴリズムを使用して、サーバが、これらの印刷装置のステータス情報を参照して、利用者に提示する最も適合度の高い印刷装置を自動的に決定するように構成することができる。
【0091】
上記の説明において、「白黒」という用語は、もし白黒プリンタが、(たとえば、中間調化、または他の適切な方法により)グレースケール画像を印刷できる場合には、グレースケールを含むものとする。
【0092】
上記の実施形態は一つのプリントショップでの環境に適用されるように記述されたが、本発明は、ショップまたはネットワークのどのような物理的な設定にも制限されることはなく、異なる場所にある複数のプリンタがサーバに接続されているような分散された設定を持つプリントショップシステムにも適用することができる。特に、プリントショップシステムの構成のうちの1またはそれ以上が、仮想私設通信網(VPN)、またはインターネットを通じた同様の手段を介して、そのシステムの残りの構成と通信するようすることができることは明らかである。さらに、図1を参照すると、上記の実施例のサーバ4は、ネットワークサーバとしてのみならず、印刷ジョブ管理サーバとしても機能するものであるが、印刷ジョブ管理ソフトウェアを実行するために個別のスタンドアロンのコンピュータが提供されてもよい。別の方法では、適切な構成によれば、クライアントコンピュータ1および2のうちの一つ、すなわち、プリンタ5〜9のうちの一つに取り付けられた複数のコンピュータ(このようなプリンタがそれらの中に存在する場合)のうちの一つが、印刷ジョブ管理サーバの役割を引き受けるために使用されてもよい。さらに、一例として、適切なソフトウェアを持つWindowsベースのサーバコンピュータが上述されたが、本発明の印刷管理システムは、上記の印刷管理システムの様々な機能を実行するために特別に設計された独自仕様のハードウェアシステムに実装することもできる。
【0093】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の印刷ジョブ管理方法および装置について様々な変更および変形をなすことが可能であることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明は、添付した請求の範囲およびその均等物に含まれる変更例および変形例に及ぶことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】複数のプリンタを備えた印刷管理システムを概略的に示している。
【図2】本発明の一実施形態による印刷ジョブ管理装置の表示パネルに現れるメイン画面を概略的に示している。
【図3】本発明の一実施形態によるジョブチケットエディタを概略的に示している。
【図4】本発明の一実施形態によるジョブチケットのデータ内容を概略的に示している。
【図5】本発明の一実施形態による印刷ジョブを管理する方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態によるインボックスパネルの画面を概略的に示している。
【図7】本発明の一実施形態によるグループエディタの画面を概略的に示している。
【図8】本発明の一実施形態によるグルーピング方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態によるグルーピング方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態による、特定の印刷ジョブのためのキューパネルの一例を概略的に示している。
【図11】本発明の一実施形態による、推奨閲覧パネルの一例を概略的に示している。
【図12】本発明の一実施形態による、推奨閲覧パネルの他の例を概略的に示している。
【図13】本発明の一実施形態による、選択パネルの一例を概略的に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブ管理装置上で実行される、複数の印刷ジョブを管理する方法であって、
前記方法は、
前記複数の印刷ジョブを受信すること、
グルーピングの条件を指定すること、
指定された前記グルーピングの条件にしたがって、利用者による操作なしに、一または複数の印刷ジョブを一または複数のグループにグルーピングすること、および、
グルーピングの結果を送信すること、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記グルーピングの条件を指定するステップは、前記印刷ジョブ管理装置によってアクセス可能なデータ記録装置からグルーピングの条件に対応するデータを読み出すことを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グルーピングの条件を指定するステップは、複数の印刷ジョブをグルーピングするために、利用者からグループを定義するための指示を受信することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記利用者から指示を受信するステップは、前記グループを定義するために、顧客情報、印刷の優先度、カラー設定、部数、用紙のサイズ、用紙のタイプ、および仕上げ処理のオプションのうちの少なくとも一つに関する少なくとも一つのジョブパラメータの値を受信することを含んでおり、
前記グルーピングするステップにおいて、前記少なくとも一つのジョブパラメータのデータについて同じ値を持つすべての印刷ジョブを前記定義されたグループに入れる、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記グルーピングの条件を指定するステップは、
第1の印刷ジョブを受信すること、
グループを定義するために、前記第1の印刷ジョブにおいて設定されている少なくとも一つのジョブパラメータの値を読み出すこと、および、
前記少なくとも一つのジョブパラメータについて読み出した値にしたがって前記グルーピングの条件を指定すること、を含んでおり、
前記グルーピングするステップにおいて、前記少なくとも一つのジョブパラメータについて前記第1の印刷ジョブと同じ値を持つすべての印刷ジョブを前記定義されたグループに入れる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記グルーピングの条件を指定するステップは、
印刷ジョブを規定するために設定可能な複数のジョブパラメータの中から少なくとも一つのジョブパラメータを選択するための指示を利用者から受信することを含んでおり、
前記グルーピングするステップは、
前記複数の印刷ジョブのそれぞれから、前記少なくとも一つのジョブパラメータを読み出すこと、および、
前記少なくとも一つのジョブパラメータについて同じ値を持つすべての印刷ジョブを一つのグループに入れること、を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1の方法。
【請求項7】
前記グルーピングの条件は、用紙タイプ、用紙サイズ、および用紙色と、所定設定との比較を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記送信するステップは、一のグループのすべての印刷ジョブを、印刷処理のためプリンタまたは複数のプリンタの結合体に送出することを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記送出するステップは、利用者からの指示を要求することなく開始されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記送信するステップは、複数の印刷ジョブのグルーピングについて利用者に視覚的に示すことを含んでいることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項11】
データ処理装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、前記データ処理装置によって、複数の印刷ジョブを管理するためのプロセスを実行させるように構成されており、
前記プロセスは、
前記複数の印刷ジョブを受信すること、
グルーピングの条件を指定すること、
指定された前記グルーピングの条件にしたがって、利用者による操作なしに、一または複数の印刷ジョブを一または複数のグループにグルーピングすること、および、
グルーピングの結果を送信すること、
を有することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記プロセスにおいて前記グルーピングの条件を指定するステップは、前記印刷ジョブ管理装置によってアクセス可能なデータ記録装置からグルーピングの条件に対応するデータを読み出すことを含んでいることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記プロセスにおいて前記グルーピングの条件を指定するステップは、複数の印刷ジョブをグルーピングするために、利用者からグループを定義するための指示を受信することを含んでいることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記プロセスにおいて前記利用者から指示を受信するステップは、前記グループを定義するために、顧客情報、印刷の優先度、カラー設定、部数、用紙のサイズ、用紙のタイプ、および仕上げ処理のオプションのうちの少なくとも一つに関する少なくとも一つのジョブパラメータの値を受信することを含んでおり、
前記グルーピングするステップにおいて、前記少なくとも一つのジョブパラメータのデータについて同じ値を持つすべての印刷ジョブを前記定義されたグループに入れる、
ことを特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記プロセスにおいて前記グルーピングの条件を指定するステップは、
第1の印刷ジョブを受信すること、
グループを定義するために、前記第1の印刷ジョブにおいて設定されている少なくとも一つのジョブパラメータの値を読み出すこと、および、
前記少なくとも一つのジョブパラメータについて読み出した値にしたがって前記グルーピングの条件を指定すること、を含んでおり、
前記グルーピングするステップにおいて、前記少なくとも一つのジョブパラメータについて前記第1の印刷ジョブと同じ値を持つすべての印刷ジョブを前記定義されたグループに入れる、
ことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記プロセスにおいて前記グルーピングの条件を指定するステップは、
印刷ジョブを規定するために設定可能な複数のジョブパラメータの中から少なくとも一つのジョブパラメータを選択するための指示を利用者から受信することを含んでおり、
前記プロセスにおいて前記グルーピングするステップは、
前記複数の印刷ジョブのそれぞれから、前記少なくとも一つのジョブパラメータを読み出すこと、および、
前記少なくとも一つのジョブパラメータについて同じ値を持つすべての印刷ジョブを一つのグループに入れること、を含んでいる
ことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記グルーピングの条件は、用紙タイプ、用紙サイズ、および用紙色と、所定設定との比較を含んでいることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記プロセスにおいて前記送信するステップは、一のグループのすべての印刷ジョブを、印刷処理のため一のプリンタまたは複数のプリンタの結合体に送出することを含んでいることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
前記送出するステップは、利用者からの指示を要求することなく開始されることを特徴とする請求項18に記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
前記プロセスにおいて前記送信するステップは、複数の印刷ジョブのグルーピングについて利用者に視覚的に示すことを含んでいることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項21】
印刷ジョブ管理装置であって、
複数の印刷ジョブを受信するとともに、指定されたグルーピングの条件にしたがって、利用者による操作なしに、一または複数の印刷ジョブを一または複数のグループにグルーピングするデータ処理部を有し、当該データ処理部が、前記グルーピングの結果を送信することを特徴とする印刷ジョブ管理装置。
【請求項22】
前記データ処理部は、グラフィック・ユーザ・インターフェースにより、複数の印刷ジョブのグルーピングについて利用者へ通知させることを特徴とする請求項21に記載の印刷ジョブ管理装置。
【請求項23】
印刷ジョブ管理装置上で実行される、複数の印刷ジョブを管理する方法であって、
前記方法は、
顧客情報、印刷優先度、カラー設定、カラー印刷での部数、白黒印刷での部数、用紙のサイズ、用紙のタイプ、および仕上げ処理オプションの少なくとも一つに関するジョブパラメータのうち一または複数のジョブパラメータの値をそれぞれの印刷ジョブが特定する複数の印刷ジョブを受信すること、
利用者による操作なしに、一または複数の印刷ジョブを前記一または複数のジョブパラメータにしたがってグルーピングすること、および、
前記グルーピングのステップにおいて一のグループに割り当てられた印刷ジョブを、印刷処理のためプリンタまたは複数のプリンタの結合体に送出すること
を有することを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項11〜20のいずれか1項に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−272899(P2007−272899A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−90221(P2007−90221)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.UNIX
3.ウィンドウズ
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】