説明

グロメット

【課題】特にグロメットに組付けたピンが不用意に外れて落下するという虞を解消したり、取扱性及び貫通孔への挿入性を向上する。
【解決手段】複数の脚片32によりピン2を受け入れるよう中空に形成された脚部30、及び前記脚部上周囲に突出された鍔部35を有し、パネル等の貫通孔に対し前記脚部30を挿入し前記ピンの脚部内への押入により前記各脚片を拡開し係止可能となるグロメット3において、前記鍔部35は、前記脚片同士の間の隙間に通じるよう切り欠いた開口34と、前記開口を介して対向している一方端部側に設けられたフック部38、及び他方端部側に設けられて前記開口を前記フック部とで閉じた状態に保つと共に相対的に所定距離だけ移動可能に係合する係合部39を有していることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンと共にクリップを構成するグロメットに関し、特にピンを挿入する中空の脚部及び脚部上周囲に突出された鍔部を有したグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
図9は特許文献1に開示のクリップを示している。 このクリップ1はピン2とそのピンを受入れる中空のグロメット(ブッシュ)3からなる。グロメット3は、2つの半筒状の脚片(半体)9A,9Bによりピン2を挿入する中空に形成された脚部(胴部)9、及び各脚片9A,9Bの上周囲に突出された半円板状体10A,10Bからなる鍔部(フランジ部)10を有し、パネル等に設けられた貫通孔に対し脚部9を挿入しピン2の脚部内への押入により各脚片を拡開し係止可能となる。また、脚部9には、ピンの軸部5を軸方向と直交する方向に受入れる開口13が設けられている。脚部9及び鍔部10は、開口13に対向した箇所に設けられた薄肉部であるヒンジ部14を介し半径方向外方に拡開可能となっている。
【0003】
これに対し、ピン2は、グロメット3の中空部に収容される軸部5と、軸部5の一端に形成されたフランジ6とを有している。軸部5の張出部は、同(a)のごとく非締結位置ないしは仮組付け位置にあるとき脚部9の外径を拡開しない先端側の狭幅部と、締結位置ないしは本止め位置にあるとき脚部の外径を拡開するフランジ6側の広幅部とを有している。
【0004】
以上の構造では、ピン2がグロメット3に対して開口13から押込んで仮組付け位置に組付けられ、これにより、ピン2をグロメット3に組付けた状態にて作業でき、ピン2の押込みによって軸部5の広幅部が脚部9を構成している脚片同士の間の隙間及び開口13を広げて各脚片9A,9Bを半径方向外方に拡開するためグロメット全体の長さを短く形成できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4545711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のものは、ピン2がグロメット3に対し開口13から押し込められた仮組付け状態にして取り扱うことができる。しかし、この従来構造では、まず、パネル等の貫通孔に挿入される前段階、つまり製造後の部品管理や搬送過程などにおいて、脚部9を構成している半円筒状部9A,9B及び鍔部10を構成している半円板状体10A,10Bが常にヒンジ部14を介して拡径され易くなっているため、ピン3がグロメット3から不用意に外れたり落下する虞がある。また、脚部9及び鍔部10は、ヒンジ部14を介して拡縮されるためパネル等の貫通孔の孔径に対し汎用性を有しているが、適用可能な最大孔径、最小孔径の設定が難く、それに起因して必要以上の荷重がかかって破損要因となる。しかも、鍔部10を構成している半円板状体10A,10Bは、ヒンジ部14が鍔部の内周側に設けられているため開口13を広げようとすると外周縁がぶつかり合って規制され易くなる。脚部9を構成している半円筒状部9A,9Bは2分割構成であるため撓み難い。
【0007】
本発明の目的は、以上のような課題を解消して、特許文献1と同じくパネル等に設けられた貫通孔の孔径に対する汎用性やピンの組付け性に優れるという利点に加え、組付けたピンが不用意に外れたり落下の虞を確実に解消にし、取扱性及び貫通孔への挿入性を向上することにある。他の目的は以下の内容説明のなかで明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、形態例を参考にして特定すると、複数の脚片32によりピン2を受け入れるよう中空に形成された脚部30、及び前記脚部上周囲に突出された鍔部35を有し、パネル等の貫通孔に対し前記脚部30を挿入し前記ピンの脚部内への押入により前記各脚片を拡開し係止可能となるグロメット3において、前記鍔部35は、前記脚片同士の間の隙間に通じるよう切り欠いた開口34と、前記開口を挟んで対向している一方端部側に設けられたフック部38、及び他方端部側に設けられて前記開口を前記フック部とで閉じた状態を保つと共に相対的に所定距離だけ移動可能となるよう前記フック部に係合する係合部39を有していることを特徴としている。
【0009】
以上の本発明は、請求項2〜6で特定したように具体化されることがより好ましい。
(ア)、前記鍔部35は、前記フック部38とほぼ対向した箇所に設けられたヒンジ部37を有し、前記ヒンジ部を介し弾性変位して前記開口34を開閉可能にする構成である(請求項2)。
(イ)、前記ヒンジ部37は前記鍔部35の外周側に設けられている構成である(請求項3)。
【0010】
(ウ)、前記フック部38及び前記係合部39は互いに上下に重ねられるよう設けられている構成である(請求項4)。
(エ)、前記フック部38は、前記鍔部35の厚さより薄い平板部38a及び前記平板部の先端に立設された掛止部38bからなる構成である(請求項5)。
(オ)、前記脚部30は前記脚片32を少なくとも4つ有しているとともに、前記鍔部35を構成している前記ヒンジ部37を挟んだ鍔半体35A,35B同士は前記フック部38が前記係合部39に係合された状態において前記ヒンジ部37の弾性力に抗して拡径態様から互いに近づく縮径方向に移動される構成である(請求項6)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、グロメットが鍔部に設けられた開口の存在により脚部を含めて縮径変位可能なためパネル等の貫通孔の孔径に対する汎用性、及びピンとの組付け性に優れている点で特許文献1と同じであり、それに加え、フック部を係合部に係合しておくことで開口の拡開を防いでピンの不用意な外れを解消でき、しかも図2のごとくフック部を係合部に係合した状態でピンを仮組付けしておくことで全体の形状が定まるためパネル等の貫通孔に対する安定かつ良好な挿入操作が維持できる。
【0012】
請求項2の発明では、鍔部がフック部とほぼ対向した箇所に設けられたヒンジ部、つまり撓む箇所を一点にすることで他の部分の剛性を保ったり、耐久性を持たせた状態で弾性変位性も得られる。
【0013】
請求項3の発明では、請求項2のヒンジ部が鍔部の外周側に設けられていると、特許文献1のごとく内周側に受ける構成に比べ開口を広げようとするときに規制され難く、かつ見栄えも維持できる。
【0014】
請求項4の発明では、鍔部が互いに上下に重ねられるよう配置されるフック部及び係合部により形態例のごとく鍔部全体をほぼ同じ厚さないしは高さに維持できるようにし、それにより外観特性を良好に保つことができる。
【0015】
請求項5の発明では、フック部が薄い平板部及び平板部上の掛止部からなるため簡単明瞭で鍔部に一体に形成し成形性も良好に得られる。
【0016】
請求項6の発明では、脚部が4以上からなるため弾性変位し易く、それにより例えば貫通孔に低押圧力で挿入可能となる。また、鍔半体同士がフック部と係合部の係合状態においてヒンジ部の弾性力に抗して縮径方向に移動されるため、例えば図2(b)のパネル等の貫通孔に入れた挿入状態で孔内に拘束され易くなり、これによって振動が加わっても不用意な抜けや浮き上がりなどがなくなって使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】形態例のグロメットを使用態様で示し、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図2】パネル等の貫通孔に対する上記グロメットの挿入態様での作動を示し、(a)は前記貫通孔が設計値より径大の場合での前記グロメットの状態図、(b)は前記貫通孔が設計値よりも径小の場合での前記グロメットの状態図である。
【図3】(a)は図2(a)の態様からピンを押入した後の使用状態での断面図、(b)は図2(b)の態様からピンを押入した後の使用状態での断面図である。
【図4】上記ピン単品を示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は(b)のA−A線断面図、(d)は(c)のB方向から見た側面図である。
【図5】上記グロメット単品を示し、(a)はグロメットの成形状態での正面図、(b)と(c)はフック部を係合部に係合した状態においてパネル等の貫通孔が大小の孔径のときの作動図である。
【図6】(a)は図5(a)のC−C線断面図、(b)は図5(b)のC1−C1線断面図である。
【図7】(a)は図5(a)のD−D線断面図、(b)は図5(b)のD1−D1線断面図である。
【図8】(a)は図5(a)のE−E線断面図、(b)は図5(b)のE1−E1線断面図である。
【図9】特許文献1の構造を示し、(a)はグロメットにピンを組付けた状態を示す正面図、(b)は下面図、(c)は前記グロメットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の形態例について図1〜図8を参照しながら説明する。この説明では、構造を明らかにした後、作動特徴に言及する。
【0019】
(構造)形態例のグロメット3はピン2と共にクリップ1を構成している。クリップ1としては、例えば、図1及び図2に示されるごとく1以上の板部材6をパネルなど他の板部材4に取り付ける場合、図5に示されるごとく2以上の板部材8を積層状態に連結する場合などに用いられる。
【0020】
ここで、請求項1の『パネル等の貫通孔』は、ピン2及びグロメット3からなるクリップ1の用途により、例えば、1以上の板部材6をパネル等の他の板部材4に取り付けるような場合だと他の板部材4に設けられる取付用貫通孔5となり、2以上の板部材8同士を連結するような態様だと各板部材8に設けられる連結用貫通孔9となる。
【0021】
次に、グロメット3と共に用いられるピン2の具体例をまず明らかにする。このピン2は、図4に例示されるごとく樹脂成形品であり、頭部20及び頭部20に下設された軸部21を有している。頭部20は略円盤状に形成されている。軸部21は、頭部下面の中心から突設され、先端25に向けて、上軸部22、係止軸部23、下軸部24を順に配置している。外径は係止軸部23が最も径大であり、下軸部24が最も径小である。また、係止軸部23は、上軸部22と下軸部24との間に位置しており、上軸部22との接続部に形成された上側に向かって径小となるテーパー状の本止め用段差23aと、下軸部24との接続部に形成された下側に向かって径小となるでテーパー部23bとを有している。
【0022】
軸部21の外周面には、4本の縦リブ26が周囲等分する位置に設けられている。各縦リブ26は、上軸部22の上下中間より少し下側まで延びて幅広に形成された上リブ27と、上リブ27から先端25に延びて幅細に形成された下リブ28とからなる。下リブ28は上リブ27よりも張出量ないしは高さが少し低く設けられている。また、上下リブ27,28の接続部は、リブ幅が上から下向きに細くなるテーパー27aと、リブ高さが下向きに低くなるテーパー28aとを介在して連続形成されている。下リブ28は、先端25に対応した下側が次第に低くなるテーパー28bに形成されている。
【0023】
以上のピン構造では、下軸部24の外周にあって、縦リブ28同士の間の部分と、上側のテーパー部23bと、先端25の内側端面とにより仮組付け用窪み部29を区画形成している。先端25は、茸状をなし、外周が下から上に行くほど径大となるよう形成されており、上記テーパー28bと同じくパネル等の貫通孔に挿入し易くなっている。
【0024】
これに対し、グロメット3は、図5〜図7に例示されるごとく樹脂成形品であり、脚部30及び脚部30の上端外周に突設された鍔部35を有している点、脚部30が複数の脚片32からなる点、鍔部35が薄肉状のヒンジ部37を介して連結された鍔半体35A,35Bからなり、かつ脚片同士の隙間31に通じるよう切り欠いた開口34を有している点、ピン2及びグロメット3が軸部21の脚部30内への押し入れよって仮組付け態様(図2を参照)となり、軸部21の更なる押し入れによって脚部30を拡開した本止め態様(図1と図3を参照)となる点で引用文献1のものとほぼ同じ。工夫点は、特に、鍔部35が開口34を挟んで対向している一方端部側(この例では鍔半体35Aの端部側)に設けられたフック部38、及び他方端部側(この例では鍔半体35Bの端部側)に設けられて開口34をフック部38とで閉じると共に相対的に所定距離だけ移動可能となるようフック部38に係合する係合部39を有している点、ヒンジ部37及び脚部30の形状や細部構成の点にある。以下、これらの要部について詳述する。
【0025】
グロメット3の全体形状は、成形したままの状態だと、脚部30及び鍔部35が幅方向に広がった概略楕円筒形状であり、成形後にフック部38と係合部39とを係合した状態だと、脚部30及び鍔部35が円筒形に近づいた概略円筒形状となる。
【0026】
脚部30は、上端外周に鍔部35を突出形成しているとともに、周囲等間でそれぞれ軸方向へ延びている4本の上下スリットである隙間31により4個の脚片32に分割されている。各隙間31は、脚部先端(下端)から略上下中間までが狭い小隙間31a、それよりも上側が小隙間31aよりも広い大隙間31bとなっている。これは、図2から推察されるごとく小隙間31aが上記した下リブ28に対応して狭く、大隙間31bが上記した上リブ27に対応して広くなっている。
【0027】
各脚片32は、パネル等の貫通孔に挿入し易くするため先端32aが共に内向きに絞られているとともに、図3のごとく内側の先端付近に凸形の係止爪33が設けられている。すなわち、この構造では、図2のごとくピンの軸部21を脚部32内へ途中まで挿入して各脚片の係止爪33が脚部の窪み部29に嵌合した仮組付け態様となり、更にピン軸部21を図3のごとく最後まで押し込むと本止め態様となる。仮組付け態様では各脚片32は拡開変位されない。本止め態様では、各脚片の係止爪33が係止軸部側段差23aと係合し、各脚片32が最大まで拡開変位される。
【0028】
鍔部35は、図6(a)を参照してグロメット3の成形したままの態様で説明すると、鍔半体35Aと鍔半体35Bとがヒンジ部37を介して拡縮変位可能に一体化されているとともに、各鍔半体の端部が開口34を挟んで対向配置されている。
【0029】
このうち、鍔半体35Aの端部にはフック部38が設けられ、鍔半体35Bの端部には係合部39が設けられている。各鍔半体35A,35Bの内面の中間部には凹部36がそれぞれ設けられている。各凹部36は、2つの脚片32間と、残りの2つの脚片32間の隙間31(の大隙間31b)とに連通している。ヒンジ部37は、鍔部35の外周側に設けられてフック部38とほぼ対向している。また、ヒンジ部37は、後述するごとくフック部38と係合部39とが係合した状態で、内面側空間部である凹部36aが対応する脚片32間の隙間31(の大隙間31b)と連通している。フック部38は、内面側空間部である凹部36bが対応する脚片32間の隙間31(の大隙間31b)と連通している。
【0030】
フック部38及び係合部39は、鍔半体35A,35B同士が図6(b)のごとくヒンジ部37を介して接近する方向に動かされたとき互いに上下に重ねられるよう設けられている。フック部38は、側面視で、鍔半体35Aの下面とほぼ面一で、かつと鍔部35の厚さより薄い平板部38aと、平板部38aの上面側先端に立設された掛止部38bとからなる。係合部39は、鍔半体35Bの下面側より逆凹状に切り欠いた窪み部39aと、窪み部39aを区画している端側の係止用片部39bとからなる。
【0031】
以上のフック部38と係合部39は、図6(b)のごとく鍔半体35A,35Bの一方がヒンジ部37を介して他方側に動かされたり、鍔半体35A,35B同士がヒンジ部37を介して接近する方向に動かされて、掛止部38bが窪み部38bに入ったときに係合される。この係合構造では、フック部38が係合部39に係合された状態において、鍔半体35A,35B同士がヒンジ部37の弾性力に抗して、図6〜図8の各(b)の実線で示した拡径態様から、図6〜図8の各(b)の一点鎖線で示したように互いに近づく縮径方向に移動されるようになっている。
【0032】
(作動)以上のクリップ1は、ピン2がグロメット3に対し軸部21を脚部30内に挿に挿入されると、上記したごとく各脚片32の係止爪33が凹所29と係合して仮組付け態様となり、更に押し入れられると図3のごとく各脚片32が拡開されると共に、脚片32の係止爪33が係止軸部側段差23aと係合して本止め態様となる。本止め態様では、図1及び図3(a)のごとく脚部30が板部材6,4の取付孔7,5に挿入された状態で、鍔部35と各脚片32の拡開した基端部分との間で板部材6,4を挟持した態様となり、例えば、物品側の板部材6をハウジングやパネル等の板部材4に固定したり、板部材6,4同士を連結することができる。これらは従来とほぼ同じであるが、以上の形態例では次のような点で従来と全く異なっている。
【0033】
(ア)以上の形態例では、グロメット3が図2のごとくピン2を仮組付けした態様において、フック部38を係合部39に係合しておくことで開口34の拡開を阻止して、ピン2が不用意に外れないよう保持できる。これにより、この構造では、ピン2をグロメット3に仮組付けした後は外力を受けてもピン2が不用意に外れたり落下しなくなるので、搬送作業や部品管理などを効率よく行うことができる。
【0034】
(イ)図2と図3の各(b)は、板部材4,6の貫通孔5a,7aが同図の各(a)の貫通孔5,7よりも小さな孔径(L1寸法がL寸法より小さい)となっている。以上の構造では、鍔半体35A,35B同士をヒンジ部37の弾性力に抗して図6〜図8の各(b)の実線で示した拡径態様から、各(b)の一点鎖線で示したように互いに近づく縮径方向に移動すると、孔径が標準よりも小さくなっている貫通孔5a,7aにも負荷を受けずに挿入できる。
【0035】
(ウ)しかも、鍔半体35A,35B同士は、フック部38と係合部39の係合状態において、ヒンジ部37の弾性力に抗して縮径方向に移動されるため、各図(b)のごとく貫通孔5a,7aに入れた挿入状態で手や指を離すと、拡径方向に変位して孔内に拘束され易くなる。これによって、この構造では、図2の仮組付けの態様においてクリップ1に振動が加わってもクリップ1の不用意な抜けや浮き上がりなどがなくなって使い勝手を向上できる。以上の利点は、クリップ1で2以上の板部材を連結する例として、図5(c)のごとく各板部材8の貫通孔9aが同図の(b)よりも小さな孔径(L1寸法がL寸法より小さい)となっているときも同じである。
【0036】
なお、本発明のグロメットは、請求項1で特定される構成を備えておればよく、細部は形態例を参考にして変更したり展開可能なものである。その例としては、グロメットとしてはフック部と係合部とを上下逆に設けたり、ピンとしては図1の使用状態から引き抜くときに利用する溝や突部を頭部に付設することである。
【符号の説明】
【0037】
1・・・クリップ
2・・・ピン(20は頭部、21は軸部)
3・・・グロメット(34は開口、37はヒンジ部)
4,6,8・・・板部材(5と5aは貫通孔、7と7aは貫通孔、9は貫通孔)
21・・・軸部(22は上軸部、23は係止軸部、24は下軸部)
23a・・・係止部
26・・・縦リブ(27は上リブ、28は下リブ)
29・・・仮組付け用凹所
30・・・脚部(31は隙間、32は脚片、33は係止爪)
35・・・鍔部(35Aと35Bは鍔半体)
39・・・係合部(39aは逃げ部、39bは規制部)
38・・・フック部(38aは平板部、38bは掛止部)
39・・・係合部(39aは逃げ部、39bは規制部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の脚片によりピンを受け入れるよう中空に形成された脚部、及び前記脚部上周囲に突出された鍔部を有し、パネル等の貫通孔に対し前記脚部を挿入し前記ピンの脚部内への押入により前記各脚片を拡開し係止可能となるグロメットにおいて、
前記鍔部は、前記脚片同士の間の隙間に通じるよう切り欠いた開口と、前記開口を挟んで対向している一方端部側に設けられたフック部、及び他方端部側に設けられて前記開口を前記フック部とで閉じた状態に保つと共に相対的に所定距離だけ移動可能となるよう前記フック部に係合する係合部を有していることを特徴とするグロメット。
【請求項2】
前記鍔部は、前記フック部とほぼ対向した箇所に設けられたヒンジ部を有し、前記ヒンジ部を介し弾性変位して前記開口を開閉可能にすることを特徴とする請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記ヒンジ部は前記鍔部の外周側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記フック部及び前記係合部は互いに上下に重ねられるよう設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のグロメット。
【請求項5】
前記フック部は、前記鍔部の厚さより薄い平板部及び前記平板部の先端に立設された掛止部からなることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のグロメット。
【請求項6】
前記脚部は前記脚片を少なくとも4つ有しているとともに、前記鍔部を構成している前記ヒンジ部を挟んだ鍔半体同士は前記フック部が前記係合部に係合された状態において前記ヒンジ部の弾性力に抗して拡径態様から互いに近づく縮径方向に移動されることを特徴とする請求項2から5の何れかに記載のグロメット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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