説明

ケイ素の結晶化用の坩堝およびその製造方法

本発明はケイ素の結晶化のための坩堝、および坩堝中で凝固され、次いでインゴットとして取り出される溶融物質の取扱いにおいて用いられる離型被覆の調製および利用に関し、特に多結晶ケイ素の凝固において用いられる坩堝のための離型被覆に関する。本発明者の目的は、生産するのが速くまた安価であり、そして壁への付着が改善されてより強い窒化ケイ素被覆を含む坩堝を提供することである。これらの問題は、a)内部体積を規定する底部表面および側壁を含む基体、b)80質量%〜95質量%の窒化ケイ素および5質量%〜20質量%の低温無機物結合剤を含み、総酸素含量が5質量%〜15質量%の範囲にある保護被覆を含む、ケイ素の結晶化用の坩堝によって解決されることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケイ素の結晶化用の坩堝および、坩堝中で凝固され、そして次いでインゴットとして取り出される溶融物質の取扱いにおいて用いられる坩堝の保護被覆の調製および利用に関し、また特に多結晶ケイ素の凝固において用いられる坩堝用の保護被覆に関する。
【背景技術】
【0002】
坩堝(例えば、溶融シリカ、炭化ケイ素、石英、窒化ケイ素、反応結合窒化ケイ素、またはグラファイトで作られた)が、通常多結晶ケイ素の凝固に用いられる。シリカが、主として高純度および利用可能性から選ばれる。しかしながら、この方法によるケイ素の製造のための坩堝としてのシリカの使用には問題がある。
【0003】
ケイ素は、その溶融状態では、接触しているシリカ坩堝と反応する。溶融ケイ素はシリカと反応して一酸化ケイ素と酸素を形成する。酸素はケイ素を不純にする。一酸化ケイ素は揮発性であり、そして炉の内部のグラファイト成分と反応する。一酸化ケイ素はグラファイトと反応して炭化ケイ素と一酸化炭素を形成する。一酸化炭素は、次いで溶融ケイ素と反応し、更に揮発性の一酸化ケイ素、炭化ケイ素、金属性の微量物もしくは添加物の炭化物および酸化物、および炭素を形成する。炭素はケイ素を不純にする。ケイ素はまた、坩堝中に含まれる種々の不純物(鉄、ホウ素、アルミニウム、など)および/または窒化物被覆中に含まれる種々の不純物と反応することができる。
【0004】
シリカとケイ素の間の反応は、ケイ素の坩堝への付着を促進する。この付着は、この2つの物質の間の熱膨張係数における差異と組み合わされて、ケイ素インゴット中に応力を発生させ、冷却中にインゴットの割れを引き起こす。当技術分野においては、坩堝の内部のインゴットと接触する領域に適用された保護被覆は、インゴットの汚染と割れを招くケイ素とシリカの間の反応を防ぐことができることが知られている。有効であるためには、この被覆はケイ素がシリカ坩堝と反応するのを防ぐのに十分な厚さである必要があり、また逆に、それ自身による、もしくはその内部の汚染物のいずれによってもケイ素を汚染してはならない。
【0005】
いろいろな物質および技術が文献に記載されていて、溶融物質と接触する坩堝の反応および付着の問題を解決しようと試みている。
【0006】
窒化ケイ素被覆がケイ素と坩堝からのシリカとの間の化学反応を防ぐことが知られている。米国特許第4741925号明細書には、1250℃での化学気相堆積によって適用された坩堝用の窒化ケイ素被覆が記載されており、一方で、国際公開第2004/053207号パンフレットには、プラズマ溶射によって適用された窒化ケイ素被覆が開示されている。米国特許第4218418号明細書には、シリカ坩堝内部に、急速加熱によってガラス層を形成し、溶融処理の間のケイ素の割れを防ぐ技術が記載されている。
【0007】
従来技術は、ケイ素の方向性凝固において坩堝に使用される粉末の離型剤への特別な言及を含んでいる。更に、坩堝被覆への利用について、化学気相堆積、溶剤蒸発、高温火炎処理、および他の高価で複雑な方法の使用が述べられている。特定の結合剤および溶剤への言及がなされている。混合、噴霧(spraying)、または粉体塗装のスラリーのブラッシングに言及されている。
【0008】
窒化ケイ素被覆は、溶融ケイ素と坩堝からのシリカとの間の化学反応を防止することが知られている。
【0009】
しかしながら、窒化ケイ素被覆それ自体が問題を引き起こす可能性がある。ケイ素のシリカ坩堝との反応を防止するのに必要な窒化ケイ素被覆の厚さは極めて重要であり(約300μm)、従って被覆操作を高価で時間の掛かるものにする。更に、この窒化ケイ素被覆は、機械的に弱く、そして使用の間にまたは使用の前にさえ、はがれたり、もしくは薄片になって落ちる可能性がある。従って、この被覆を使用前のぎりぎり最後に、すなわち、最終ユーザーの施設において適用することが推奨され、それ故に、この厚い被覆の適用の責任を最終ユーザーに負わせてしまう。
【0010】
セラミック坩堝上に安定な窒化物被覆を与えることが知られている技術は、(1)制御された焼成サイクルの下での、700℃〜1450℃の範囲の高温での、窒化物被覆の酸化、および(2)焼結/粘着(または付着)助剤の窒化物組成物への添加を含んでいる。添加剤は、Al、SiO、AlN、Al、Si、フュームシリカもしくは微粒シリカなどの金属または酸化物添加剤であることができる。フュームシリカを含む窒化ケイ素被覆が、同時係属中の欧州特許出願第04447105号明細書に記載されている。窒化ケイ素の酸化ケイ素への酸化は、被覆中の酸素の量を増加させ、そして上記の問題を引き起こす。更に、酸化の程度および結果としてもたらされる酸素の量は制御することが難しい。
【0011】
坩堝被覆中の低酸素含量を維持する必要性が、光起電性のまた半導体の用途における化学的または物理的相互作用を記載するケイ素生産者のほとんどの文献によって強調されている。低酸素窒化ケイ素被覆の使用が、高品質のウエハ生産に推奨されている。低酸素含量の高純度窒化ケイ素粉末の使用が、米国特許第6165425号明細書中に明白に記載されている。この文献には、0.3質量%から5質量%以下までの範囲の極めて低酸素含量を有する窒化ケイ素被覆が記載されている。この被覆は、ポリビニルアルコールなどの付着促進剤を含むことができ、そして空気中で好ましくは550℃〜700℃の範囲の温度で乾燥される。この低い乾燥温度では、窒化ケイ素の酸化は起こらず、粒子境界でのSiOの形成もなく、そして窒化ケイ素の完全な有効性が保たれる。しかしながら、いくつかの問題が残っている。被覆の酸化が起こらないので、被覆は粉の状態にとどまっており、そして液体ケイ素が坩堝に充てんされた時に、容易に損傷を受ける。
【0012】
【特許文献1】米国特許第4741925号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/053207号パンフレット
【特許文献3】米国特許第4218418号明細書
【特許文献4】米国特許第6165425号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、上記の問題を与えない、より強度のある(はがれや薄片になって落ちるのを避ける)、改善された機械的な耐磨耗性を備えた、溶融ケイ素と坩堝の間の化学反応を防止しながら、かつ酸素含量に関する更なる要求を保ちながら、速く、そして安価に製造できる被覆を含む、坩堝を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの問題が、a)内部体積を規定する底部表面および側壁を含む基体、b)内部体積に面する側壁の表面の窒化ケイ素系保護被覆で、80質量%〜95質量%の窒化ケイ素および5質量%〜20質量%の低温無機物結合剤を含み、総酸素含量が5質量%〜15質量%の範囲にある該被覆、を含むケイ素の結晶化のための坩堝によって解決することができることがここに見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
好ましくは、低温結合剤はシリカ系結合剤である。酸窒化ケイ素粉末および、好ましくは窒化ケイ素と酸窒化ケイ素の粉末の組み合わせもまた用いることができる。酸窒化ケイ素粉末は、通常5質量%〜20質量%の範囲で含まれる。酸窒化ケイ素粉末は、再利用される酸窒化物または水活性化酸窒化物であってもよい。本発明の1つの重要な利点は、窒化ケイ素粉末中の酸素の含量はもはや重要な意味を持つものではなく、そして特定の量の酸素を含む粉末、例えば再利用粉末の使用が考慮し得ることである。窒化ケイ素粉末の結晶学的相はαまたはβであることができる。
【0016】
低温結合剤は、窒化ケイ素を酸化するのに要する温度よりも低い温度で結合を作る結合剤が意図されている。好ましくは、結合は800℃よりも低い温度で、そしてより好ましくは500℃よりも低い温度で作られる。
【0017】
無機物結合剤は、その残渣が、炭素を加えた、もしくは加えない無機物の形態を常に与える無機物基剤を含む結合剤が意図されている。反対に、CMC(カルボキシメチルセルロース)、接着剤、界面活性剤のような前記の有機結合剤は、炭素だけの残渣を与える。この結合剤の高反応性は、部分的には無機物基剤によって与えられる。
【0018】
窒化ケイ素または酸窒化ケイ素粉末の粒度分布は、通常1ミクロン以下であり、粒子径は≦1μmである。しかしながら、異なる粒子径を含む、そして2μm〜50μmの範囲、好ましくは2μm〜5μmの範囲を含むより粗い粒子もしくは粒を明らかに含む、窒化物粉末の混合物も用いることができる。混合物は1つまたはそれ以上の特性を改善するように選択される。混合物は、懸濁物の安定性を改善し、および/または被覆の坩堝への付着を更に増大させることができる。本発明による窒化物被覆の下および/または上に他の被覆が存在する場合には、混合物は異なる被覆間の付着をも促進する。他の被覆は、例えば国際公開第2005/106084号パンフレットおよび同時係属中の国際出願PCT/EP第2006/006347号明細書に記載されたようなシリカ系被覆であることができる。より粗い粒子の量は、1ミクロン以下の粒子に対して通常20質量%〜50質量%の範囲で含まれる。より粗い窒化ケイ素粉末はより安価であり、そのような粉末の添加はまた被覆の経費を低減する。
【0019】
用途に応じて、保護被覆は50μm〜500μm、好ましくは200μm〜500μmの厚さを有する。如何なる汚染をも避けるために、保護被覆は超低炭素含量の極めて高純度であることが不可欠である。
【0020】
この新規な技術は、被覆中の限定された、また制御された量の酸素の使用を基にしている。酸素は低温無機物結合剤(ゾルゲル、有機金属の、ナノ粒子、微小の羊毛状の(micro-flocculent)、混和しない溶液、マイクロエマルジョン、酸化物)とともに導入される。極低温結合相は、被覆を通して、窒化ケイ素の所望の特性を保ちながら、保護被覆の機械的な耐磨耗性を増大させつつ、作られる。被覆がはがれたり、薄片になって落ちる危険性は非常に低減される。
【0021】
添加剤とその量は、5質量%〜15質量%、最も好ましくは8質量%〜12質量%の範囲の総酸素含量が得られるように選択される。5%より少ない総酸素含量は、被覆の低い機械抵抗をもたらすのに十分な結合相を与えない。酸素含量が高過ぎる場合は、上記で説明した汚染の問題が存在する。
【0022】
結合を作り出す加熱温度は窒化ケイ素を酸化するのに要する温度よりも低い。加熱温度は800℃よりも低く、そして好ましくは500℃よりも低い。このように、酸素の量は低温無機物結合剤の決められた量の添加によって完全に制御される。酸素含量を修正することのできる酸化のこれ以外の反応はない。
【0023】
結合分散中の酸素は、窒化ケイ素の酸化によって生成される酸素に対して違いをもたらす。結合系と窒化物粉末の間の低い結合が、非湿潤剤としての窒化物の完全な効果を保持することを可能にする。化学結合が粒子の周りに作られ、そして窒化ケイ素の粒子はその表面上でSiOへ酸化されることはない。その効果は、通常の酸化の熱反応の代わりに、化学的硬化(chemical setting)によって作り出される結合のために要求される低温緻密化によって促進される。本発明の被覆は、窒化ケイ素粒子の完全な有効性を保ちながら、よく制御された結合系によって、被覆の機械抵抗が増大することを可能にする。
【0024】
本発明による被覆では、はがれや薄片となって落ちる問題がないため、最終ユーザーの施設に届く前に被覆を調製することができる。
【0025】
本発明の他の目的は、ケイ素の結晶化のための坩堝の被覆用の、80質量%〜95質量%の窒化ケイ素と5質量%〜20質量%の低温無機物結合剤、総酸素含量が5質量%を超える組成物である。この組成物は、種々の方法によって適用することができる。好ましい方法では、組成物は液相と混合されて、坩堝上への適用のための懸濁液を形成する。
【0026】
本発明の他の目的は、本発明による保護被覆を含む坩堝を作製する方法であって、
a)内部体積を規定する底部表面および側壁を含む基体を用意する工程、
b)80質量%〜95質量%の窒化ケイ素および5質量%〜20質量%の低温無機物結合剤を含み、内部体積に面する側壁の表面において総酸素含量が5質量%よりも高い保護被覆を適用する工程、を含む方法である。
【0027】
通常は、表面層は、水中で、もしくは溶媒中で、噴霧もしくはブラッシング(brushing)によって、好ましくは、全ての組成物の懸濁を可能とするに適切な量の水を含む水性の系中での噴霧によって適用される。
【0028】
本発明による方法の好ましい実施態様では、被覆を適用する工程に続いて、被覆中に存在する実質的に全ての有機化合物をか焼してそして結合を生成するに十分な温度と時間での加熱工程c)がある。好ましい実施態様では、加熱温度は窒化ケイ素の酸化の温度よりも低い温度に留まる。このように、被覆中の酸素含量は制御されている。窒化ケイ素の酸化の温度は被覆組成物によって変わるが、通常約800℃である。被覆された坩堝の加熱はまた、顧客の場所において起こってもよい。顧客への出荷の前に予備加熱を行い、そして最終的な、または更なる加熱を顧客の場所で行うことも可能である。
【0029】
本発明は、ここで添付の図面を参照して記述されるが、この図面は発明を説明する役目をするだけのものであって、発明の範囲を限定することを意図するものではない。図1は、本発明による坩堝の断面を示している。
【0030】
図において、坩堝は参照番号1で示されている。坩堝は、ケイ素の結晶化のための内部体積を定める底部表面21および側壁22を含む基体2を含んでいる。坩堝は、80質量%〜95質量%の窒化ケイ素、5質量%〜20質量%の低温無機物結合剤を含み、内部体積に面する側壁22の表面において5質量%より高い総酸素含量の保護層3を含んでいる。
【実施例】
【0031】
本発明はここで、本発明による実施例および比較例によって説明される。基体に被覆を適用する方法は、種々の方法で達成することができる。組成物は、選択される方法によって決まる。
【0032】
第一の好ましい方法(反応性層)は、
−窒化ケイ素粉末と、好ましくはシロキサン、テトラエチルオルトシリケート、テトラエトキシシラン、ポリジメチルシラン、またはそれらの組み合わせ(有機金属化合物は市場で知られており、また入手できる)からなる群から選ばれたケイ素化合物系有機金属化合物を混合する工程、
−塩化アンモニウム、アンモニア、窒素を含む溶液または本方法に適切ないずれかの他の反応性液体、の群からの反応性液体によって坩堝上に被覆を噴霧する工程、
−被覆の安定化のために500℃より低い温度で被覆した坩堝を加熱する工程、を含んでいる。
【0033】
第二の好ましい方法(結合剤溶液)は、
−窒化ケイ素粉末を、好ましくはシリコーンオイル、シロキサン、クロロシランまたはそれらの組み合わせからなる群から選ばれるシリカ系結合剤と混合する工程、
−アミノ−有機金属化合物に関する塩基加水分解の中和として、酸(塩酸、硝酸、ケイ酸、四塩化ケイ素、またはこの方法に適切な他のいずれかの酸)の群からの反応性液体による被覆を噴霧する工程、
−反応液体を取り除くために500℃未満の温度で被覆された坩堝を加熱する工程、を含んでいる。他の実施態様では、噴霧工程は、酸加水分解系へのアンモニア蒸気または溶液を基にした反応を用いて実施される。
【0034】
第三の好ましい方法(飽和溶液および沈殿)は、
− 窒化ケイ素粉末を、懸濁液、好ましくはコロイド状シリカを形成するのに適合したシリカの1ミクロン以下の(<10−6)および/またはナノ粒子と混合する工程、
− 熱反応、蒸気反応、または適当な中和化学物質を用いた、酸塩基の、アルコールの、もしくはpH反応を形成する均等な化学直接反応を通した、調製された混合物の、坩堝表面への沈殿、
− 500℃未満の温度で被覆された坩堝を、好ましくは使用の前に、加熱する工程、を含んでいる。
【0035】
3つの方法についての被覆組成物の実施例を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
PVAはポリビニルアルコールを意味し、またPEGはポリエチレングリコールを意味している。
TEOSはテトラエチルオルトシリケートを意味している。
好ましい例はコロイド状シリカ系組成物であり、それはそれらが取扱いが容易で、安全であるからである。組成物は、目的とする酸素含量および機械的耐磨耗性を得るために、用いられる方法の機能で選択される。
【0038】
以下の表において、種々の被覆の坩堝への付着は、ポジテスト引き離し付着試験機(POSITEST PULL-OFF ADHESION TESTER)(デ・フェルスコ社製(DEFELSKO Corp.))を用いて、ASTM D4541に従って測定した。この試験機は、引き離される前の、耐えられる最大の引き離しの引張強度を測定することによって、被覆の付着を評価する、すなわち、被覆の特定の試験直径を、基材から引っ張るのに要する力を液圧を用いて評価する。この力は圧(kPa)で表される。
【0039】
坩堝の例および関係する性能を表2に示した。
【0040】
【表2】

【0041】
6および7は比較例である。
RBSNは、「反応で結合された窒化ケイ素」を意味し、また坩堝の知られた型式である。
6および7は比較例であり、また米国特許第6165425号明細書の実施例1および2に相当する。C1は、酸素含量が1.3%で、また低温無機物結合剤を含まない窒化ケイ素粉末を含んでいる。C2は、酸素含量が6%で、また低温無機物結合剤を含まない窒化ケイ素粉末を含んでいる。
例6に関しては、ケイ素金属を坩堝に充てんした時に被覆の損傷が認められた。例7に関しては、米国特許第6165425号明細書で説明されているように、物質の相当の損失が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明による坩堝の断面を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)内部体積を規定する底部表面(21)および側壁(22)を含む基体(2)、
b)内部体積に面する側壁の表面の窒化ケイ素系保護被覆(3)を含むケイ素の結晶化のための坩堝(1)であって、保護被覆(3)が80質量%〜95質量%の窒化ケイ素および5質量%〜20質量%の低温無機物結合剤を含み、総酸素含量が5質量%〜15質量%の範囲にあることを特徴とする坩堝。
【請求項2】
総酸素含量が8質量%〜12質量%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の坩堝。
【請求項3】
窒化ケイ素保護被覆(3)が50μm〜500μmの範囲、好ましくは200μm〜500μmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項1または2記載の坩堝。
【請求項4】
窒化ケイ素保護被覆が、1μm以下の粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の坩堝。
【請求項5】
窒化ケイ素保護被覆が、より粗い粒子を更に含むことを特徴とする請求項4記載の坩堝。
【請求項6】
より粗い粒子が2μm〜50μmの範囲、好ましくは2μm〜5μmの範囲を含むことを特徴とする請求項5記載の坩堝。
【請求項7】
より粗い粒子の量が20質量%〜50質量%であることを特徴とする請求項4または5記載の坩堝。
【請求項8】
低温無機物結合剤が、好ましくはシロキサン、テトラエチルオルトシリケート、テトラエトキシシラン、ポリジメチルシラン、またはそれらの組み合わせからなる群から選ばれたケイ素化合物系有機金属化合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の坩堝。
【請求項9】
低温無機物結合剤が、好ましくはシリコーン、シロキサン、クロロシランまたはそれらの組み合わせからなる群から選ばれたシリカ系結合剤を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の坩堝。
【請求項10】
低温無機物結合剤が、懸濁液、好ましくはシリカコロイドを形成するのに適合したシリカの1ミクロン以下の粒子および/またはナノ粒子を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の坩堝。
【請求項11】
ケイ素の結晶化のための坩堝(1)を調製する方法であって、
a)内部体積を規定する底部表面(21)および側壁(22)を含む基体(2)を用意する工程、
b)80質量%〜95質量%の窒化ケイ素および5質量%〜20質量%の低温無機物結合剤を含み、内部体積に面する側壁(22)の表面において総酸素含量が5質量%よりも高い保護被覆(3)を適用する工程、を含む方法。
【請求項12】
c)窒化ケイ素の酸化の温度よりも低い温度で被覆した坩堝を加熱する工程、を更に含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
工程b)が噴霧によって行われることを特徴とする請求項11または12記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−510387(P2009−510387A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533944(P2008−533944)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009671
【国際公開番号】WO2007/039310
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(500573370)ベスビウス クルーシブル カンパニー (23)
【Fターム(参考)】