説明

ケミカルフィルタユニット

【課題】NO2から転化(還元)したNOを再度酸化してNO2にし、このNO2を更に吸着することにより、酸化剤ガス中に含まれる窒素酸化物を効率的に除去することができるケミカルフィルタユニットを提供する。
【解決手段】本発明のケミカルフィルタユニット1は、酸化剤ガス中に含まれる窒素酸化物を除去するためのものであって、NO2を吸着する添着剤をコーティングした活性炭を含む吸着層11と、NOをNO2に酸化するための酸化剤を含む酸化層12とを交互に配置させてユニット化したものである。吸着層11と酸化層12とは、空気層で分けられていてもよく、吸着層11と酸化層12とを積層させた構造としてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化剤ガス中に含まれる窒素酸化物を除去するためのケミカルフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料電池装置等の精密装置に流入する酸化剤ガスやクリーンルーム内からNO2を除去するために、炭酸カリウム等の薬剤を添着した活性炭を含むケミカルフィルタが用いられている。
しかしながら、従来のケミカルフィルタでは、活性炭によってNO2がNOに転化(還元)してしまうため、NO2としての除去効率は高く見えても、NO及びNO2を含むNOxとして評価するとその除去効率があまりよくはないという問題があった。
この対策として、NOを酸化する酸化剤と、NO2を吸着する吸着添着剤とを同時に活性炭に添着するNO2除去剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−299326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるNO2除去剤では、吸着剤として活性炭を用いている以上、NO2からNOへの転化(還元)を効率的に防止することができないという問題があった。
そのため、特許文献1のNO2除去剤をろ材に用いたとしても、結局NOxの除去効率が高くならず、燃料電池装置等の精密装置やクリーンルームのフィルタのろ材として用いた場合には、例えば、燃料電池の性能が劣化する等の不具合が生じてしまうという問題があった。
そこで、本発明は、NO2から転化(還元)したNOを再度酸化してNO2にし、このNO2を更に吸着することにより、酸化剤ガス中に含まれる窒素酸化物を効率的に除去することができるケミカルフィルタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のケミカルフィルタユニットは、請求項1に記載の通り、酸化剤ガス中に含まれる窒素酸化物を除去するためのケミカルフィルタユニットであって、
NO2を吸着するための添着剤をコーティングした活性炭を含む吸着層と、NOをNO2に酸化するための酸化剤を含む酸化層とを交互に配置させてユニット化したことを特徴とする。
また、請求項2に記載のケミカルフィルタユニットは、請求項1に記載のケミカルフィルタユニットにおいて、前記吸着層と前記酸化層とを交互に積層させてユニット化したことを特徴とする。
また、請求項3に記載のケミカルフィルタユニットは、請求項1に記載のケミカルフィルタユニットにおいて、複数の前記吸着層と複数の前記酸化層とを交互に積層させてユニット化したことを特徴とする。
また、請求項4に記載のケミカルフィルタユニットは、請求項1乃至3のいずれかに記載のケミカルフィルタユニットにおいて、前記添着剤は炭酸カリウムであり、前記酸化剤は過マンガン酸カリウムであることを特徴とする。
また、請求項5に記載のケミカルフィルタユニットは、請求項1乃至4のいずれかに記載のケミカルフィルタユニットにおいて前記吸着層は前記添着剤と前記活性炭からなる粒状物から構成されるとともに、前記酸化層は前記酸化剤の粒状物から構成され、前記ケミカルフィルタユニットの流入ガスの上流側及び下流側にはプレフィルタ又はパンチングが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のケミカルフィルタユニットは、請求項1に記載の通り、NOをNO2に酸化するための酸化剤を含む酸化層を設けたので、吸着層の活性炭によってNO2から転化(還元)したNOを効率的に酸化して吸着層で吸着可能なNO2にすることができる。そして、このように酸化されたNO2を吸着層にて吸着することができるので、下流側へのNOの流出を最小限に防ぐことができ、NOx(窒素酸化物)全体としての除去効率を高めることができる。これにより、本発明のケミカルフィルタユニットをフィルタろ材として利用すると、燃料電池装置等の精密装置やクリーンルーム等に悪影響を及ぼすことがなく、例えば、燃料電池装置では、NOxによる電池性能の劣化を効果的に防止することができる。なお、最初にNOをNO2に酸化し、その後NO2を吸着除去するためには、少なくとも酸化層の後に吸着層を配置する必要がある。しかしながら、吸着層及び酸化層の配置は、この場合に限らず、例えば、吸着層、酸化層、吸着層の順に3層としてもよく、それ以上の層数を配置してもよい。
この場合、請求項2に記載のように、吸着層と酸化層とを交互に積層させてユニット化してもよく、吸着層と酸化層との間に空気層等を設ける構成としてもよい。吸着層と酸化層とを積層させることにより、ケミカルフィルタユニットやこのケミカルフィルタユニットを含む酸化剤ガス用フィルタユニットをコンパクト化することができる。なお、空気層等を設けた場合であっても、空気層は窒素酸化物の酸化・還元に関与しないので、ケミカルフィルタユニットの窒素酸化物の除去効率を低下させることはない。
また、上述のように、酸化層、吸着層の順に2層を配置あるいは積層することにより、ある程度窒素酸化物を除去することはできるが、下流側の燃料電池装置等の精密装置やクリーンルームにおいて所望する窒素酸化物の濃度まで低減させるために、請求項3に記載のように、複数の吸着層と複数の酸化層(例えば、3層ずつ)とを交互に積層させてユニット化させてもよい。このように、吸着層と酸化層の積層数を必要に応じて変更し、複数の吸着層と複数の酸化層とを交互に積層させることにより、下流側における窒素酸化物の濃度を所望する程度まで低減させることができる。
また、本発明のケミカルフィルタユニットでは、請求項4に記載のように、添着剤として炭酸カリウムと、酸化剤として過マンガン酸カリウムをそれぞれ用いることにより、ケミカルフィルタユニットの製造コストを増加させることなく、NO2の吸着とNOの酸化とを効率よく行うことができる。
また、吸着層は、添着剤や活性炭をバインダ等により接着して成形した成形体から構成されてもよく、添着剤と活性炭からなる粒状物から構成されてもよい。同様に、酸化層は、酸化剤をバインダ等により接着して成形した成形体あるいは粒状物から構成される。なお、酸化層には、ガスの吸着を補助するための活性アルミナ等が含まれていてもよい。
また、請求項5に記載のように、吸着層及び酸化層が粒状物から構成されている場合には、ケミカルフィルタユニットの上流側及び下流側に設けられたプレフィルタ又はパンチングがスペーサとして機能するので、吸着層と酸化層とが混合することなく、それらをしっかりと固定・保持させることができる。これにより、上述の窒素酸化物の吸着・酸化を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のケミカルフィルタユニットの好適な実施の形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明のケミカルフィルタユニットを含む酸化剤ガス用フィルタユニットの断面図であり、図2は、本発明のケミカルフィルタユニットの概略的断面図である。まず、酸化剤ガス用フィルタユニット10の構成を説明する。
酸化剤ガス用フィルタユニット10は、図1に示すように、プレフィルタ5と、ケミカルフィルタユニット4と、プレフィルタ6と、メインフィルタ7とをフィルタユニット容器内に上流側から下流側に向かってこの順に配置したものである。なお、フィルタユニット容器は、例えば、図1に示すように、ペットボトルの底を切り取ったような形状であって、上流側の断面積が広く、下流側の断面積が狭いものである。また、フィルタユニット容器の大きさは、例えば、入口側(上流側)の断面積が80×80mm程度であり、上流側から下流側までの長さが300mm程度である。
【0008】
ここで、ケミカルフィルタユニット4は、流入ガスのNOxを除去するための本発明のNOx用ケミカルフィルタ(本発明のケミカルフィルタユニット)1と、アルカリ性物質を除去するためのアルカリ用ケミカルフィルタ2と、有機物を除去するための有機物用ケミカルフィルタ3とから構成される。各フィルタの間にはそのフィルタ1、2、3の形状を保持するためのパンチングが設けられている。
この酸化剤ガス用フィルタユニット10では、大気より取り込まれた酸化剤ガスは、最初にプレフィルタ5を通過して、粒径の大きい粉塵等が除去された後、NOx用ケミカルフィルタ1、アルカリ用ケミカルフィルタ2、有機物用ケミカルフィルタ3を順次通過して、NOx等の不純物が除去され、最後にプレフィルタ6、メインフィルタ7を通過して、粒径の小さい粉塵等が除去され、結果として、酸化剤ガスに含まれる各種不純物の濃度が低減される。なお、ケミカルフィルタ4の前後に設けられたプレフィルタ5、6は、各ケミカルフィルタ1、2、3を保持するためのスペーサ(保持部材)としても機能する。
また、メインフィルタ7としては、例えば、一般の超ULPA、ULPA、HEPA等の高性能フィルタ、中性能フィルタ等の粒子除去用フィルタを使用することができる。
【0009】
NOx用ケミカルフィルタ1は、本実施形態では、図2に示すように、3層の吸着層11と、4層の酸化層12とを交互に配置させてユニット化したものである。なお、図2では、NOx用ケミカルフィルタ1の上流側及び下流側に設けられたパンチング8や他のフィルタの図示を省略している。
吸着層11は、流入ガス中に含まれるNO2を吸着するための層であり、本実施形態では、添着剤として炭酸カリウムをコーティングした活性炭から構成される。また、酸化層12は、NOをNO2に酸化するための層であり、本実施形態では、酸化剤としての過マンガン酸カリウムと、吸着機能を有する活性アルミナとから構成される。本発明では、このように吸着層11と酸化層12とを交互に配置(積層)させているので、大気中では安定に存在するNOを酸化層12で酸化してNO2にし、このNO2を後段の吸着層11で吸着除去することができる。したがって、下流側へのNOの流出を最小限に防ぐことができ、NOx(窒素酸化物)全体としての除去効率を高めることができる。これにより、本発明のケミカルフィルタユニット(NOx用ケミカルフィルタ1)をフィルタろ材として利用する燃料電池装置等の精密装置やクリーンルーム等に悪影響を及ぼすことがなく、例えば、燃料電池装置では、NOxによる電池性能の劣化を効果的に防止することができる。
【0010】
なお、本実施形態では、吸着層11内の活性炭は破砕炭であり、酸化層12内の活性アルミナはペレット状のものである。また、吸着層11及び酸化層12は、それぞれ、バインダ等により接着して成形した成形体から構成されてもよく、各材料の粒状物から構成されてもよい。吸着層11及び酸化層12が粒状物から構成されている場合には、各ケミカルフィルタ1及び2を隔離しているパンチング8は、スペーサとして機能する。このため、吸着層11と酸化層12とがしっかりと固定・保持されるので、これらが混合することない。これにより、吸着層11と酸化層12とを交互に保持させることができるので、流入ガスは吸着層11及び酸化層12を交互に通過することになり、上述のように窒素酸化物の吸着・酸化を効率よく行うことができる。
また、NOx用ケミカルフィルタ1は、吸着層11と酸化層12とを交互に積層させてユニット化したものであってもよく、吸着層11と酸化層12との間に空気層等を設けているものでもよい。また、この空気層の代わりに、プレフィルタを用いてもよい。
【0011】
本発明では、NOx用ケミカルフィルタ1における吸着層11及び酸化層12の層数は、上述のような3層の吸着層11と4層の酸化層12という構成に限らず、吸着層11と酸化層12とが交互に配置される限り、どのような構成であってもよい。例えば、後述する実施例1のように、3層の吸着層11と3層の酸化層12という構成でもよい。ここで、転化(酸化)効率のよい酸化剤を含む酸化層12を利用する場合には、酸化層12、吸着層11の順に1層ずつ配置する場合でもある程度の窒素酸化物の除去効率を達成することが可能である。また、吸着層11、酸化層12、吸着層11のように、2層と1層の組み合わせでもよい。この場合、NOx用ケミカルフィルタ1では、吸着層11でまずNO2が吸着除去され、その後、酸化層12で転化した(還元された)NOがNO2に酸化されて、最後に吸着層11で酸化されたNO2が吸着除去される。
【0012】
本実施形態では、吸着層11の添着剤として炭酸カリウムを、酸化層12の酸化剤として過マンガン酸カリウムを含む場合について説明したが、本発明はこれらに限らず、窒素酸化物を効率的に除去することができる(炭酸カリウムと同様の機能を発揮し得る)他の添着剤や、NOを効率的に酸化することができる(過マンガン酸カリウムと同様の機能を発揮し得る)他の酸化剤を適宜選択して用いてもよい。また、本明細書では、NOx用ケミカルフィルタ1以外の構成について詳細に説明していないが、例えば、特開2002−262844号公報に開示されているようなケミカルフィルタの構成等を利用することができる。
【実施例】
【0013】
次に、本発明のケミカルフィルタユニットについて、以下に示すような具体的な実施例1、2、比較例1及び2のNOx用ケミカルフィルタ1に基づいて、図4に示すような測定方法を用いてNOx濃度を測定し、測定されたNOx濃度からNOxの除去効率(%)を求めて、それらを比較及び評価した。
まず、図4を用いて、NOx(窒素酸化物)の測定方法について説明する。図4は、実施例及び比較例のNOxの測定方法を説明するための概念図である。図4では、酸化剤ガス及び原料ガスの流れを矢印で示している。
大気中から流入した酸化剤ガスは、アルカリ物質と有機物とを除去するためのケミカルフィルタ20を通過し、混合管30において原料ガスと混合され、加湿調整される。そして、この混合ガスは、実施例及び比較例における試験体であるNOx用ケミカルフィルタをその内部に配置した試験体容器40を通過し、流量計50にてその流量を測定される。その後、その混合ガスは排気ユニット60を介して大気に放出される。
この際、試験体容器40の上流(入口側)及び下流(出口側)において、NOx分析計Cを用いてNO及びNO2の濃度を測定した。
【0014】
(実施例1)
図3(a)に示すように、上記実施形態に示した構成を有する3層の吸着層11と3層の酸化層12とを交互に積層させた試験体(ろ材)、すなわち、本発明のNOx用ケミカルフィルタ1を準備し、この試験体を試験体容器40内に配置した。そして、酸化剤ガスを流入して、窒素酸化物の濃度を測定した。なお、このときの吸着層11の合計層厚さと酸化層12の合計層厚さの比、すなわち、各構成材料の使用量の比は1:1であった。
このとき、試験体容器40の上流側におけるNO濃度は25ppmであり、NO2濃度は100ppmであり、NOx濃度は125ppmであった。また、試験体容器40の下流側におけるNO濃度は0ppmであり、NO2濃度は10.4ppmであり、これらを合計したNOx濃度は10.4ppmであった。これにより、NOxの除去効率は91.7%であった。
【0015】
(実施例2)
図3(b)に示すように、上記実施形態に示した構成を有する3層の吸着層11と4層の酸化層12とを交互に積層させた試験体(ろ材)、すなわち、本発明のNOx用ケミカルフィルタ1を準備し、この試験体を試験体容器40内に配置した。そして、酸化剤ガスを流入して、窒素酸化物の濃度を測定した。なお、このときの吸着層11の合計層厚さと酸化層12の合計層厚さの比、すなわち、各構成材料の使用量の比は2:3であった。
このとき、試験体容器40の上流側におけるNO濃度は25ppmであり、NO2濃度は100ppmであり、NOx濃度は125ppmであった。また、試験体容器40の下流側におけるNO濃度は0ppmであり、NO2濃度は8ppmであり、これらを合計したNOx濃度は8ppmであった。これにより、NOxの除去効率は93.6%であった。
【0016】
(比較例1)
図3(c)に示すように、実施例1の吸着層11及び酸化層12の構成材料の使用量の合計に対応する使用量の上記実施形態に示した構成を有する吸着層11(試験体)、すなわち、従来のNOx用ケミカルフィルタを準備し、この試験体を試験体容器40内に配置した。そして、酸化剤ガスを流入して、窒素酸化物の濃度を測定した。
このとき、試験体容器40の上流側におけるNO濃度は25ppmであり、NO2濃度は100ppmであり、NOx濃度は125ppmであった。また、試験体容器40の下流側におけるNO濃度は65ppmであり、NO2濃度は0ppmであり、これらを合計したNOx濃度は65ppmであった。これにより、NOxの除去効率は48%であった。
【0017】
(比較例2)
図3(d)に示すように、実施例1の吸着層11及び酸化層12の構成材料の使用量に対応する使用量の各構成材料を混合し、吸着・酸化混合層13(試験体)を準備し、この試験体を試験体容器40内に配置した。そして、酸化剤ガスを流入して、窒素酸化物の濃度を測定した。
このとき、試験体容器40の上流側におけるNO濃度は25ppmであり、NO2濃度は100ppmであり、NOx濃度は125ppmであった。また、試験体容器40の下流側におけるNO濃度は32.5ppmであり、NO2濃度は62.5ppmであり、これらを合計したNOx濃度は95ppmであった。これにより、NOxの除去効率は24%であった。
以上の窒素酸化物の測定結果及びNOx除去効率を表1に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
(評価)
表1から分かるように、吸着層11と酸化層12とを交互に積層したろ材、すなわち、本発明のNOx用ケミカルフィルタ1を用いた場合には、実施例1及び2のいずれにおいてもNOx除去効率が90%以上と高くなり、NOxを効率的に除去することができた。
これに対し、比較例1のような従来のろ材を用いた場合には、実施例1及び2の場合に比べ、NOx除去効率が半分程度の48%となった。また、比較例2のように本発明の吸着層11の構成材料と酸化層12の構成材料とを混合した場合には、従来の吸着層のみから構成されている場合よりもNOx除去効率が更に半分程度の24%となった。このように、比較例1及び2では、いずれの場合においても、NOxを満足する程度に除去・低減することができなかった。
この理由としては、比較例1では、NO2を吸着除去していると同時に、NO2からNOへの転化(還元)が起こり、全体としてNOx除去効率が低下してしまったと考えられ、比較例2では、吸着剤と酸化剤が同時に存在するためにNO2の吸着が起こりにくいのに対し、NOの還元のみが激しく起こり、結果として、ほとんどNOx濃度を低減することができなかったものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のケミカルフィルタは、燃料電池装置等の精密装置に流入する酸化剤ガスからNOxを除去する際に用いられるとともに、食品・医薬・製薬等の雑菌や粉塵等による室内の汚染を制御するクリーンルーム分野においても貢献することができる点で、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のケミカルフィルタユニットを含む酸化剤ガス用フィルタユニットの断面図
【図2】本発明のケミカルフィルタユニットの概略的断面図
【図3】実施例及び比較例で用いるケミカルフィルタユニットの概略的断面図
【図4】実施例及び比較例のNOxの測定方法を説明するための概念図
【符号の説明】
【0022】
1 NOx用ケミカルフィルタ
11 吸着層
12 酸化層
13 吸着・酸化混合層
2 アルカリ用ケミカルフィルタ
3 有機物用ケミカルフィルタ
4 ケミカルフィルタユニット
5 プレフィルタ
6 プレフィルタ
7 メインフィルタ
8 パンチング
10 酸化剤ガス用フィルタユニット
20 ケミカルフィルタ
30 混合管
40 試験体容器
50 NOx流量計
60 排気ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤ガス中に含まれる窒素酸化物を除去するためのケミカルフィルタユニットであって、
NO2を吸着するための添着剤をコーティングした活性炭を含む吸着層と、NOをNO2に酸化するための酸化剤を含む酸化層とを交互に配置させてユニット化したことを特徴とするケミカルフィルタユニット。
【請求項2】
前記吸着層と前記酸化層とを交互に積層させてユニット化したことを特徴とする請求項1に記載のケミカルフィルタユニット。
【請求項3】
複数の前記吸着層と複数の前記酸化層とを交互に積層させてユニット化したことを特徴とする請求項1に記載のケミカルフィルタユニット。
【請求項4】
前記添着剤は炭酸カリウムであり、前記酸化剤は過マンガン酸カリウムであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のケミカルフィルタユニット。
【請求項5】
前記吸着層は前記添着剤と前記活性炭とからなる粒状物から構成されるとともに、前記酸化層は前記酸化剤の粒状物から構成され、前記ケミカルフィルタユニットの流入ガスの上流側及び下流側にはプレフィルタ又はパンチングが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のケミカルフィルタユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−296458(P2007−296458A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125877(P2006−125877)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】