説明

ケース

【課題】ロール状に巻き取った状態の支持対象物を支持可能なケースにおいて、支持対象物が垂れることや自重で圧縮されることにより該支持対象物が変形し外観を損ねる不具合やケースから引き出しにくくなる不具合の発生を抑えるべく、支持対象物の形状を保持させる。
【解決手段】ロール状に巻き取った状態の支持対象物たるシート糊9を内部に収納可能な収納空間2sを有するケース本体2と、このケース本体2に支持されつつ前記シート糊9を支持する支持体たる支持フィルム3とを具備し、前記支持フィルム3が、前記収納空間2s内に配され、シート糊9の荷重を受けて該シート糊9の下側周面9aに該シート糊9の幅寸法全域にわたって密着した状態を保つべく変形可能な支持面33aを有する構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状をなす支持対象物を保持可能なケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール状をなす支持対象物を保持するケースとして、例えば、支持対象物を前下方に傾斜する傾斜面である底面に載置し、支持対象物を引き出すにつれて支持対象物の自重により支持対象物が引き出し口に接近する構成のものや、円弧面である底面を有し、この底面に支持対象物を載置させてなる構成のものも知られている。(例えば、特許文献1又は2を参照。)
【特許文献1】実公昭61−14974号公報
【特許文献2】実開平5−35661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、基材の一表面にドット状に粘着剤を塗布して粘着層を形成したシート糊をロール状に巻いたもの等、密でない支持対象物の場合、前記特許文献1、2記載の構成では次のような不具合が発生し得る。
【0004】
前記特許文献1記載の構成では、ケースに保持させた状態では、支持対象物の下端部に自重が集中して圧縮されるので、支持対象物が円筒状でなくいびつな形状となることがある。すると、支持対象物をケースから引き出す際に、支持対象物の動きがスムーズでなくなる不具合が発生し得る。さらに、支持対象物が、基材の一表面の略全体にドット状の粘着層を配してなるものの場合、このように支持対象物が圧縮されると、粘着層をなす粘着剤が押しつぶされ、粘着層が不均一になる不具合が発生し得る。
【0005】
一方、前記特許文献2の構成では、ケース内に保持させた当初はケースの底面と支持対象物の下部周面とが密着するので、支持対象物の自重が均一にケースの底面に作用し上述した不具合の発生は起こりにくくなる。しかし、支持対象物を引き出すにつれて支持対象物の径が小さくなり、支持対象物の下端だけがケースの底面に密着するので、支持対象物の下端部のうち前記密着する部位に自重が局所的に集中することによる圧縮変形が生じ、支持対象物をある程度引き出した後は上述した不具合がやはり発生しうる。さらに、この構成では、支持体は支持対象物の幅方向中央近傍のみを支持しているので、支持対象物の幅方向両端部が下方に垂れてしまうことにより支持対象物が円筒状でなくいびつな形状となり、外観が損なわれる別の不具合も発生し得る。
【0006】
本発明は、以上に述べた課題を解決すべく構成するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係るケースは、ロール状に巻き取った状態の支持対象物を内部に収納可能な収納空間を有するケース本体と、このケース本体に支持されつつ前記支持対象物を支持する支持体とを具備し、前記支持体が、前記収納空間内に配され、支持対象物の荷重を受けて該支持対象物の下側周面に該支持対象物の幅寸法全域にわたって密着した状態を保つべく変形可能な支持面を有することを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、支持体の支持面に支持対象物の下側周面を幅方向全域にわたって密着させることにより、支持対象物の形状を保持させることができる。しかも、この支持面が支持対象物の荷重により変形するので、支持対象物が引き出された後も支持面が支持対象物の下側周面に密着している状態を保ち、より長い間支持対象物の形状を保持させることができる。なお、本発明において、「ケース」とは、支持対象物を収納可能な箱状のものに限らず、支持対象物を引き出す際に支持対象物を一時的に保持する装置等、支持対象物を収納空間内に保持可能なもの全般を含む概念である。
【0009】
このようなケースの軽量化に有効な態様として、前記ケース本体が、前記支持体の前端部を支持する前壁、及び前記支持体の後端部を支持する後壁を有するものであって、前記前壁及び後壁にフィルム状をなす前記支持体を吊持させているものが挙げられる。このようなものであれば、フィルム状の支持体は支持対象物の荷重に耐えられる程度の強度を有しておればよく、そのような強度を保てる範囲で可及的に薄くすることができるからである。
【0010】
特に、このようなケースを有効に実現できる有効な態様の一例として、前記支持体を前記支持対象物の荷重を受けた際に変形可能にしているとともに、前記前壁及び後壁のいずれか一方を支持対象物の荷重を受けて前記支持体に追従し変形可能にしているものが挙げられる。このようなものであれば、支持対象物が引き出されて支持対象物の量が減少した場合に、支持体が支持対象物の荷重を受けて変形するとともに、前記前壁及び後壁のいずれか一方も前記支持体に追従して変形することにより、前記前壁と後壁との間の距離を変化させ、支持体の支持面を支持対象物の下側周面により広い面積で密着させることができるからである。
【0011】
また、このようなケースを破損しにくくする態様として、フィルム状をなす前記支持体を前記前壁及び後壁の上端部に掛け回して吊持させているものであって、前記支持体の表面を利用して前記前壁及び後壁のいずれか一方の上方に支持対象物の切断線を案内する案内部を設けているものが挙げられる。このようなものであれば、前壁及び後壁のいずれか一方の上方に切断のための刃を設ける態様と比較して、刃がケース本体に当接して当接箇所に不必要な切れ目が入ることによりケース本体が破損する不具合は発生しないからである。その上で、前記案内部の延伸方向に沿ってカッターナイフ等の切断具を移動させるようにし、支持対象物の切断線を案内させるようにできる。
【0012】
さらに、支持対象物のケースからの引き出しをロール状に巻き取った支持対象物の内側の面を上向きにしつつ容易に行うことができるようにするための態様として、前記案内部を、ケース本体の上端縁よりも下方に設けているものが挙げられる。このようなものであれば、支持対象物は下側から引き出されるので、支持対象物の引き出し端から案内部までの距離を短くできるからである。
【0013】
一方、支持対象物のケースからの引き出しを容易に行うようにするための態様として、ポリエチレンテレフタラート製のフィルム状のものも挙げられる。このようなものであれば、支持対象物が支持面上を滑りやすくなるからである。
【0014】
最小限の部品点数によりこのようなケースを形成するための態様として、1枚の紙製シートを折り曲げて前記ケース本体を形成しているものが挙げられる。
【0015】
そして、支持対象物の左右両端部にそれぞれ対向する左右両端壁内部に、紙製シートを折り返して形成した補強部を設けているものであれば、このようなケースを立てて収納する際に、左右両端壁が支持対象物の荷重により変形する不具合、及び自重により支持対象物の幅方向位置がずれる不具合を解消できる。
【0016】
加えて、このようなケースを好適に使用できる態様として、前記支持対象物が、シート状の基材上に粘着層を形成したものをロール状に巻き取ったものであるものが挙げられる。このような支持対象物をロール状に巻き取る場合、密に巻き取ることが少なく、従って支持対象物の下部が自重で圧縮される不具合や支持対象物が自重で垂れてしまう不具合が特に発生しやすいからである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るケースによれば、支持体の支持面に支持対象物の下側周面を密着させることにより、支持対象物の形状を均一に保持させることができる。しかも、この支持面が支持対象物の荷重により変形するので、支持対象物が引き出された後も支持面が支持対象物の下側周面に密着している状態を保ち、より長い間支持対象物の形状を保持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係るケース1は、図1〜図6にそれぞれ示すように、ロール状に巻き取った状態の支持対象物であるシート糊9の収納に主に用いられ、このシート糊9を内部に収納可能な収納空間2sを有するケース本体2と、このケース本体2に支持されつつ前記シート糊9を支持する支持体たる支持フィルム3とを具備する。ここで、シート糊9は、シート状の基材上に粘着層を形成したものであって、粘着層を形成する粘着剤を基材上から糊付けすべき対象物に転写させて使用するものである。また、基材の粘着層を形成した側と反対側の面には、ロール状に巻き取った際に粘着剤が基材に接着することを防ぐべく剥離加工が施してある。ここで、前記図1はシート糊9を収納した状態の全体斜視図、前記図2はシート糊9を収納していない状態の全体斜視図、前記図3はシート糊9を収納していない状態の平面図、前記図4はシート糊9を収納していない状態の正面図、前記図5は前記図3におけるx−x断面図、前記図6は図4におけるy−y断面図である。但し、前記図5には、シート糊9を収納した状態のもので、該シート糊9を想像線により示している。
【0020】
前記ケース本体2は、図7に示すような形状の1枚のボール紙を屈曲させて形成している。具体的には、この図7において、太実線は切断線、細実線は折り曲げ線であり、太実線に沿ってボール紙を切り抜いた後、細実線に沿って90度ずつ屈曲させることにより形成している。具体的には、ケース本体2として組み立てた状態で、前記図1〜図6に示すように、このケース本体2の底面を形成する底壁21と、この底壁21の前端から起立して設けられる前壁22と、前記底壁21の後端から起立して設けられる後壁23と、前記底壁21の左右両端からそれぞれ起立して設けられ、前記前壁22及び前記後壁23の左端部間及び右端部間をそれぞれ接続する左側壁24及び右側壁25と、これら前壁22、後壁23、左側壁24、右側壁25、及び底壁21により区成されて上方に開口し内部に前記支持フィルム3及びシート糊9を収納可能な前記収納空間2sと、この収納空間2sの上方に配されて該収納空間2sを外部空間から隠蔽可能な蓋体26とを有する。
【0021】
さらに詳述すると、前記前壁22は、前記図3〜図6に示すように、前記底壁21の前端から起立する前外面部221と、この前外面部221の上端から後方に延伸してこの前壁22の上端を形成する上面部222と、この上面部222の後端から下方に延伸して前記収納空間2sの底面に達する前内面部223と、この前内面部223の下端から後方に延伸して前記底壁21に添接する舌部224とを具備する。また、前記前外面部221には、前記支持フィルム3の後述する前取付舌部311を挿入可能に切り込み221xが設けてあり、前記前取付舌部311をこの切り込み221xに挿入させることにより支持フィルム3の抜け止めを行う抜け止め機構を形成している。さらに、この前壁22のうち、両側端部、具体的には前記左側壁24及び右側壁25の厚さ寸法に対応する部位以外は、上縁部の高さ位置をこのケース1の上端よりも下方にしている。詳述すると、この前壁22には、前記左側壁24の内面に略対応する幅方向位置に左端縁、前記右側壁25の内面に略対応する幅方向位置に右端縁を有し、さらにこの前壁22の下縁に平行に延伸する下端縁を有する切り欠きを設け、この切り欠きの上縁から支持対象物であるシート糊9を引き出すようにしている。
【0022】
前記左側壁24は、前記図3〜図6に示すように、前記底壁21の左端から起立する左外面部241と、この左外面部241の上端から右側に延伸し、この左側壁241の上端を形成する上面部242と、この上面部242の右端から下方に延伸して前記収納空間2sの底面に達する左内面部243と、この左内面部243と前記左外面部241との間に設けられる補強部244と、この左内面部243の下端から右方に延伸して前記底壁21に添接する舌部245とを具備する。前記補強部244は、1枚のボール紙を90度ずつ折り返すことにより形成していて、前記左内面部243の一端部、本実施形態では後端部から前記左外面部241に向けて延伸する補強部後壁244aと、この補強部後壁244aの左端部から前記左外面部241の前後方向略中央まで延伸する補強部外壁244bと、この補強部外壁244bの前端部から前記左内面部243の前後方向略中央まで延伸する補強部前壁244cと、この補強部前壁244cの右端部から前記左内面部243の後端近傍まで延伸する補強部内壁244dとを具備する。すなわち、この補強部の補強部前壁244cは、この左側壁24の前後方向中央においてこの左側壁24の厚み方向の略全域、すなわち左外面部241から左内面部243までにわたって存在している。
【0023】
前記右側壁25は、前記図3〜図6に示すように、前記底壁21の右端から起立する右外面部251と、この右外面部251の上端から左側に延伸し、この右側壁251の上端を形成する上面部252と、この上面部252の左端から下方に延伸して前記収納空間2sの底面に達する右内面部253と、この右内面部253と前記右外面部251との間に設けられる補強部254と、この右内面部253の下端から左方に延伸して前記底壁21に添接する舌部255とを具備する。前記補強部254は、1枚のボール紙を90度ずつ折り返すことにより形成していて、前記右内面部253の一端部、本実施形態では後端部から前記右外面部251に向けて延伸する補強部後壁254aと、この補強部後壁254aの右端部から前記右外面部251の前後方向略中央まで延伸する補強部外壁254bと、この補強部外壁254bの前端部から前記右内面部253の前後方向略中央まで延伸する補強部前壁254cと、この補強部前壁254cの左端部から前記左内面部253の後端近傍まで延伸する補強部内壁254dとを具備する。すなわち、この補強部の補強部前壁254cは、この右側壁25の前後方向中央においてこの右側壁25の厚み方向の略全域、すなわち右外面部251から右内面部253までにわたって存在している。
【0024】
前記後壁23は、前記図3〜図6に示すように、前記左側壁24の後端から延伸して設けた左後壁要素231と、前記右側壁25の後端から延伸して設けた右後壁要素232とを具備し、ボール紙1枚分のみの厚さ寸法を有するとともに、前記左後壁要素231と、前記右後壁要素232とを切り込みを利用して設けた接合部23aにより接合している。すなわち、この後壁23は前記前壁22及び左右両側壁24、25よりも厚さ寸法を小さくしているとともに、前記接合部23aでこれら左後壁要素231と前記右後壁要素232とがなす角度を変化可能にしている。また、この後壁23には、前記支持フィルム3の後述する後取付舌部341を挿入可能に切り込み23xが設けてあり、前記後取付舌部341をこの切り込み23xに挿入させることにより支持フィルム3の抜け止めを行う抜け止め機構を形成している。
【0025】
前記蓋体26は、前記図3及び図4に示すように、前記底壁21の後端から延伸して設けられ、閉止状態において前記後壁23の後方に対向する後蓋部261と、閉止状態において収納空間2sの上方に位置する上蓋部262と、閉止状態において前記前壁22の前方に対向する前蓋部263と、このケース本体2の下前縁部、すなわち前記22の下縁に設けた蓋受切り込み22yに挿入可能な舌部264とを有する。
【0026】
前記支持フィルム3は、図8に示すような形状の1枚のポリエチレンテレフタラート(PET)製フィルムを屈曲させて形成していて、ケース本体2に取り付けてなる。すなわち、前記図1〜図6に示すように、ケース本体2の前壁22の前面に添接する前取付部31と、この前取付部31の上端から後方に延伸してなりケース本体2の前壁22の上縁を被覆する案内面部32と、この案内面部32の後端から前記ケース本体2の後壁23の上端まで延伸するとともに、ロール状のシート糊9の荷重を受ける支持面部33と、この支持面部33の後端から下方に延伸しケース本体2の後壁23の後面に添接する後取付部34とを一体に有する。すなわち、この支持フィルム3は、前記ケース本体2の前壁22及び後壁23に前取付部31及び後取付部34を掛け回して吊持させている。また、前記案内面部32の後縁を、シート糊9の切断面を案内する案内部32aとしている。さらに、前記前取付部31の先端部には、前記前壁22に設けた切り込み223xに挿入可能な前取付舌部311を設けている。加えて、前記後取付部34の先端部には、前記後壁23に設けた切り込み23xに挿入可能な後取付舌部341を設けている。これら前取付舌部311及び後取付舌部341には、その基端部に前記切り込み223x、23xの幅寸法よりも大きい幅寸法に形成した鍔部311a、341aを設けていて、これら鍔部311a、341aを前記切り込み223x、23x側方の部分に添接させることによりこの支持フィルム3の抜け止めを図るようにしている。
【0027】
しかして本実施形態では、前記図5に示すように、前記支持フィルム3の支持面部33の表面が、前記収納空間2s内に配され、シート糊9の荷重を受けて該シート糊9の下側周面9aに該シート糊9の幅寸法全域にわたって密着した状態を保つべく変形可能な支持面33aである。
【0028】
さらに詳述すると、前記ケース本体2の前壁22及び後壁23に、この支持フィルム3の前取付部31及び後取付部34をそれぞれ支持させることにより、この支持フィルム3をケース本体2に吊持させている。
【0029】
また、この支持フィルム3は、前記シート糊9の荷重を受けてこのシート糊9の下側周面に密着するように変形する。
【0030】
その一方で、シート糊9が消費のために引き出された際には、図5に対応する図を図9に示すように、シート糊9の径が小さくなる。すると、前記支持フィルム3はこのシート糊9の荷重を受けてこのシート糊9の下側周面に密着した状態を保ち、その際、ケース本体2の後壁23は、これに追随して前後方向に移動しうる。ここで、シート糊9が消費のために引き出される以前の後壁23の位置を図9の想像線により示している。
【0031】
このケース1にシート糊9を収納した状態で運搬ないし長期保管する際には、このケースを立てた状態で、すなわち左外面部241又は右外面部251のいずれかを接地させた状態でなされることが多い。その際、左外面部241を接地させた状態であれば左内面部243がシート糊9の荷重を受ける。また、右外面部251を接地させた状態であれば右内面部253がシート糊9の荷重を受ける。しかして、本実施形態では、図6に示すように、補強部244、254を左外面部241と左内面部243との間、及び右外面部251と右内面部253との間にそれぞれ配していて、しかも補強部前壁244c、254cが左側壁24又は右側壁25の厚み方向の略全域にわたって存在しているので、この補強部前壁244c、254cがシート糊9の荷重を受けるリブとして機能し、左側壁24又は右側壁25がシート糊9の荷重を受けて変形すること、及びこれを受けてシート糊9の幅方向位置がずれることを防ぐようにしている。
【0032】
本実施形態に係るケース1は、以上に述べたように、ロール状に巻き取った状態のシート糊9を内部に収納可能な収納空間2sを有するケース本体2と、このケース本体2に支持されつつ前記シート糊9を支持する支持フィルム3とを具備し、前記支持フィルム3が、前記収納空間2s内に配され、シート糊9の荷重を受けて該シート糊9の下側周面に該シート糊9の幅寸法全域にわたって密着した状態を保つべく変形可能な支持面33aを有する。従って、前記支持面33aにシート糊9の下側周面を幅方向全域にわたって密着させることにより、シート糊9の形状を保持させることができる。しかも、この支持面33aがシート糊9の荷重により変形するので、シート糊9が引き出された後も支持面がシート糊9の下側周面に密着している状態を保ち、より長い間シート糊9の形状を保持させることができる。すなわち、シート糊9の粘着層をなす粘着剤が押しつぶされ、粘着層が不均一になる不具合、及び、シート糊9の幅方向両端部が下方に垂れてしまう不具合の発生を抑えることができる。
【0033】
また、前記ケース本体2が、前記支持フィルム3の前端部を支持する前壁22、及び前記支持フィルム3の後端部を支持する後壁23を有し、前記前壁22及び後壁23に前記支持フィルム3を吊持させているので、支持フィルム3はシート糊9の荷重に耐えられる程度の強度を有しておればよく、そのような強度を保てる範囲で可及的に薄くすることができ、このようなケース1の軽量化を有効に図ることができる。
【0034】
さらに、前記支持フィルム3が、ロール状に巻かれた前記シート糊9の荷重を受けて変形するので、シート糊9が消費のために引き出されて量が減少した場合に、支持フィルム3が変形するとともに、後壁23を支持フィルム3に追従させて変形させることにより、支持フィルム3の支持面33aがシート糊9の下側周面9aにより広い面積で密着させることができる。
【0035】
さらに、支持フィルム3を前記前壁22及び後壁23の上端部に掛け回して吊持させ、前記支持フィルム3の案内面部32の表面の後縁をシート糊9の切断線を案内する案内部32aとしているので、前壁22及び後壁23のいずれか一方の上方に切断のための刃を設ける態様と比較して、刃がケース本体2に当接して当接箇所に不必要な切れ目が入ることによりケース本体2が破損する不具合は発生せず、従ってこのようなケース1は破損しにくい。その上で、前記案内部32aに沿ってカッターナイフ等の切断具を該案内部32aの延伸方向に移動させるようにし、シート糊9の切断線を案内させるようにできる。
【0036】
その上、前記案内部32aを、ケース本体2の上端縁よりも下方に設けているので、下側から引き出されるシート糊9の引き出し端から案内部32aまでの距離を短くできる。
【0037】
また、支持フィルム3を、ポリエチレンテレフタラート製のものにしているので、シート糊9が支持面33a上を滑りやすくなり、この点からもシート糊9の引き出しを容易に行うようにすることができる。
【0038】
加えて、1枚の紙製シートを折り曲げて前記ケース本体2を形成しているので、最小限の部品点数によりこのようなケース1を形成することができる。
【0039】
そして、シート糊9の左右両端部にそれぞれ対向するケース本体2の左右両端壁24、25内部に、紙製シートを折り返して形成した補強部244、254を設けているので、このようなケース1を立てて収納する際に、左右両端壁がシート糊9の荷重により変形する不具合、及び自重によりシート糊9の幅方向位置がずれる不具合を解消できる。
【0040】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0041】
例えば、ケース本体の底面に上面が支持対象物の荷重を受けて変形可能な支持体を載置し、この支持体の上面が支持対象物の下側周面に密着した状態を保つようにしているものが挙げられる。具体的には、ウレタンフォーム等により形成したスポンジ状の支持体をケース本体の底面に載置し、この支持体上に支持対象物を載置する態様等が考えられる。
【0042】
また、フィルム状の支持体を用いる場合は、支持体が必ずしもポリエチレンテレフタラート製である必要はなく、他の硬質プラスチックを用いるようにしても、支持体をケース本体の前壁及び後壁の上端部に掛け回して吊持させれば、前壁又は後壁の上端部に掛け回した部位が上述した実施形態における案内部と同様の機能を発揮させるようにできる。さらに、シート状をなす布地等を利用して支持体を形成し、この支持体をケース本体の前壁又は後壁の上端部に掛け回して吊持するようにしてもよい。
【0043】
加えて、前壁又は後壁の高さ寸法は任意に設定してよい。
【0044】
そして、ケース本体は必ずしもボール紙製である必要はなく、例えば樹脂製シートを折り曲げて形成したものであってもよい。樹脂製シートを折り曲げてケース本体を形成する場合は、上述した実施形態における案内部を設ける替わりに、ケース本体の前壁又は後壁の一方に、支持対象物を切断するための刃を設けてもよい。さらに、ケース本体を必ずしも1枚のシートを折り曲げることにより形成する必要もない。例えば、上述した実施形態における補強部に代えて、左外面部と左内面部との間、及び右外面部と右内面部との間に、ケース本体と別体に設けた補強部材を配するようにしてもよい。
【0045】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係るケースにシート糊を収納した状態を示す斜視図。
【図2】同実施形態に係るケースを示す斜視図。
【図3】同実施形態に係るケースを示す平面図。
【図4】同実施形態に係るケースを示す正面図。
【図5】図3におけるx−x断面図。
【図6】図4におけるy−y断面図。
【図7】同実施形態に係るケース本体の展開図。
【図8】同実施形態に係る支持フィルムの展開図。
【図9】同実施形態に係るケースの作用説明図。
【符号の説明】
【0047】
1…ケース
2…ケース本体
2s…収納空間
3…支持フィルム(支持体)
33a…支持面
9…シート糊(支持対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻き取った状態の支持対象物を内部に収納可能な収納空間を有するケース本体と、このケース本体に支持されつつ前記支持対象物を支持する支持体とを具備し、前記支持体が、前記収納空間内に配され、支持対象物の荷重を受けて該支持対象物の下側周面に該支持対象物の幅寸法全域にわたって密着した状態を保つべく変形可能な支持面を有することを特徴とするケース。
【請求項2】
前記ケース本体が、前記支持体の前端部を支持する前壁、及び前記支持体の後端部を支持する後壁を有するものであって、前記前壁及び後壁にフィルム状をなす前記支持体を吊持させていることを特徴とする請求項1記載のケース。
【請求項3】
前記支持体を前記支持対象物の荷重を受けた際に変形可能にしているとともに、前記前壁及び後壁のいずれか一方を支持対象物の荷重を受けて前記支持体に追従し変形可能にしていることを特徴とする請求項2記載のケース。
【請求項4】
フィルム状をなす前記支持体を前記前壁及び後壁の上端部に掛け回して吊持させているものであって、前記支持体の表面を利用して前記前壁及び後壁のいずれか一方の上方に支持対象物の切断線を案内する案内部を設けていることを特徴とする請求項2又は3記載のケース。
【請求項5】
前記案内部を、ケース本体の上端縁よりも下方に設けていることを特徴とする請求項4記載のケース。
【請求項6】
前記支持体が、ポリエチレンテレフタラート製のフィルム状のものであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のケース。
【請求項7】
1枚の紙製シートを折り曲げて前記ケース本体を形成していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のケース。
【請求項8】
支持対象物の左右両端部にそれぞれ対向する左右両端壁の内部に、紙製シートを折り返して形成した補強部を設けていることを特徴とする請求項7記載のケース。
【請求項9】
前記支持対象物が、シート状の基材上に粘着層を形成したものをロール状に巻き取ったものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−81131(P2008−81131A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260264(P2006−260264)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】