説明

ケーブルの巻取り巻戻し構造

【課題】 接続ケーブルを巻取る際に接続ケーブルが締まったり、あるいは巻戻す際に接続ケーブルが絡まったりする不具合を解消するとともに、大型の装置についても緩やかにケーブルを巻取り、巻戻すことを可能とするケーブルの巻取り巻戻し構造を提供することである。
【解決手段】 電動モータ1によって駆動される正逆回転する回転軸3と、その回転軸3に取り付けられて回転軸線O周りで回転する被作動体5から引き出された接続ケーブル7は回転軸3の回転を減速する減速機構9に接合されたケーブル保持レバー11によって回転軸3に緩やかに巻取り巻き戻しを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを回転軸に緩やかに巻取りあるいは巻戻すことのできるケーブルの巻取り巻戻し構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の回転軸にケーブルを巻き取ることのできるケーブル支持装置を示すものである。(特許文献1参照)
【0003】
この発明は、ケーブル60を複数のケーブル吊下げ具61で吊下げるとともに、吊下げ用のレール62をケーブル支持端の一方から遠隔した箇所のものほど、接線方向に傾斜させ、ケーブル60が吊下げ具61に吊下げられていることで、回転軸63の旋回時にケーブル60が巻き取られるようにしたものである。
【0004】
しかしながら、従来のような構造では回転軸63の回転速度と同様の速度でケーブル60が巻かれるため、吊下げ具61で支えられているケーブル60以外の部分においてケーブル60が締まったり、あるいはケーブル60を巻戻す時に絡まったりし、ケーブル60に負荷がかかってしまう場合があった。また、吊下げ具61を複数設置する必要があるとともに、大型の装置になるとケーブル60自体が重くなり吊下げ具61に係る負担も増大し、吊下げ具61に摩擦抵抗が発生し、十分な巻取り効果が得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−4695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑み、接続ケーブルを巻取る際に接続ケーブルが締まったり、あるいは巻戻す際に接続ケーブルが絡まったりする不具合を解消するとともに、大型の装置についても緩やかにケーブルを巻取り、巻戻すことを可能とするケーブルの巻取り巻戻し構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するための本発明のケーブル巻取り構造は、原動機によって駆動されて正逆回転する回転軸と、その回転軸に取り付けられて回転軸線周りで回転する被作動体から引き出され、回転軸の周りに渦巻き状に配置される接続ケーブルとを有し、回転軸の正逆回転時に接続ケーブルを回転軸の周りに緩やかに巻取り、かつ巻戻すための構造であって、回転軸に接続され、その回転軸の回転を減速する減速機構と、回転軸線側に位置する基端部から半径方向外側へ向けて先端部が突出配置されるとともに、減速機構を介して回転軸線周りで減速回転するケーブル保持レバーとを備え、接続ケーブルの途中はケーブル保持レバーの先端部に固定されており、接続ケーブルが回転軸に巻取られるとき、被作動体からケーブル保持レバーの間の接続ケーブルは回転軸に緩やかに巻取られることを特徴とする。
【0008】
上記したように、従来の接続ケーブルは、回転軸に取り付けられた被作動体から引き出されたまま回転軸と同じ回転速度で巻取られるので、回転軸に締まりながら巻きつき、その際に加わる負荷により断線することがある。
【0009】
しかし、上記構成によれば、回転軸と同じ回転速度で巻取られる接続ケーブルは、ケーブルの途中がケーブル保持レバーの先端部において固定されており、そのケーブル保持レバーは減速機構によって回転軸の回転よりも減速されて回転しているので、被作動体の接続部(ケーブルの引き出し部)とケーブル保持レバーの固定部との間には回転速度に差が生じる。よって、被作動体からケーブル保持レバーの間のケーブルは、ケーブルの途中がケーブル保持レバーによって強制的に回転軸の回転方向に、回転軸の回転よりもゆっくりと送り出されるので、巻き取る際に接続ケーブルが回転軸に締まりつく不具合が解消される。また、回転軸を逆回転させて接続ケーブルを巻戻す際にも、緩やかな回転速度でケーブル保持レバーが回転してケーブルを巻取り部から引出すので、接続ケーブルが絡みつく不具合が解消される。したがって、接続ケーブルを巻取る際あるいは巻戻す際に、接続ケーブルに加わる負荷を軽減することができ、断線等を防止することができる。
【0010】
なお、回転軸と平行に中間軸(例えば第2回転軸)を配置し、回転軸と中間軸とに跨って減速機構を設ける場合、次のような伝動機構を用いることもできる。
【0011】
接触伝動機構
(1−1)歯車伝動機構
回転軸と中間軸とに跨って2組の歯車列を設ける。減速比を大きくする場合には、2組の歯車列を折返し軸遊星歯車列等に構成してもよい。
(1−2)摩擦伝動機構
回転軸と中間軸とに跨って2組の摩擦車を設ける。
【0012】
巻き掛け伝動機構
(2−1)ベルト伝動機構
回転軸と中間軸とに跨って2組のベルト伝動構造を設ける。
(2−2)ロープ伝動機構
回転軸と中間軸とに跨って2組のロープ伝動構造を設ける。
(2−3)ワイヤ伝動機構
回転軸と中間軸とに跨って2組のワイヤ伝動構造を設ける。
(2−4)チェーン伝動機構
回転軸と中間軸とに跨って2組のチェーン伝動構造を設ける。
【0013】
さらに、減速機構は、被作動体の位置する側とは反対側の端部において、回転軸に接続され、接続ケーブルが回転軸に巻取られるとき、ケーブル保持レバーより先の接続ケーブルは回転軸の回転につれて次第に縮径収納される構成とすることができる。
【0014】
減速機構が被作動体とは反対側に位置することによって、減速機構に配置されたケーブル保持レバーと被作動体との間の接続ケーブルは、回転軸の回転によって縮径しながら回転軸に向かって巻取られる。
一方、ケーブ保持レバーに固定されて、そのケーブル保持レバーよりも先で渦巻状に収納される接続ケーブルは、回転軸の回転によってケーブル保持レバーが回転軸の回転方向に回動するときに、接続ケーブルの途中が固定されているケーブル保持レバーによって駆動されるので、この回動によってケーブル保持レバーよりも先の接続ケーブルが縮径収納されても、締まりつき等は発生しない。
【0015】
また、ケーブル保持レバーよりも被作動体側に位置するとともに、回転軸線側に位置する基端部から半径方向外側へ向けて先端部が突出配置され、基端部から先端部に至る誘導部で接続ケーブルを被作動体側に向けて誘導案内するケーブル誘導レバーを備え、ケーブル保持レバーだけに、接続ケーブルが固定されているようにすることができる。
【0016】
上記のように、ケーブル保持レバーとケーブル誘導レバーの2本のレバーより構成されており、2本のレバーのうち被作動体から離れた位置にあるケーブル保持レバーだけに接続ケーブルが固定されているので、回転軸に巻付けられる被作動体からケーブル保持レバーまでの接続ケーブルの途中は、ケーブル誘導レバーによって支えられながら回転軸に巻取られる。このように、被作動体からケーブル保持レバーの間にケーブル誘導レバーが位置することで、ケーブル誘導レバーの誘導部によりケーブルが誘導案内され、ケーブルを回転軸の回転に合わせて自然に誘導することができるので、ケーブルの締まりつきの防止に効果がある。
【0017】
具体的には、ケーブル保持レバー及びケーブル誘導レバーは、減速機構における同じ減速回転部材に固定され、回転軸の回転時にそれら2本のレバーは一体となって回動するとともに、両レバー間の回転方向の角度差が一定である構成とすることができる。
【0018】
上記のように、ケーブル誘導レバーの働きはケーブル保持レバーよりも被作動体側の接続ケーブルを誘導することにあり、ケーブル誘導レバーは接続ケーブルを支えながら接続ケーブルを巻取り方向に誘導する働きが期待される。このため、ケーブル誘導レバーもケーブル保持レバーのように回転させる必要があるが、固定されていない接続ケーブルはケーブル誘導レバーの上を滑りながら誘導されるので、ケーブル誘導レバーもケーブル保持レバーと一緒に回転してもその機能は維持できる。この場合、減速機構における取り付け場所が同じ位置にできるので、新たにケーブル誘導レバーを追加しても構造が複雑になることはなく、簡単な減速機構で対応できるようになる。
【0019】
また、具体的にはケーブル保持レバーは、減速機構における減速回転部材に固定されるとともに、ケーブル誘導レバーは、減速機構における減速前の回転部材に固定され、回転軸の回転時にケーブル誘導レバーはケーブル保持レバーに対し相対的に速く回動し、両レバー間の回転方向の角度差が変化する構成とすることもできる。
【0020】
上記のように、ケーブル誘導レバーは接続ケーブルの回転軸への巻取りをケーブル誘導レバーの誘導部で誘導しているが、回転軸の回転に対する接続ケーブルの巻取り回転の速さはケーブル保持レバーの回転が減速機構によって回転軸の回転よりも遅いので被作動体側の回転が速くなる。このため、減速機構によって減速されたケーブル保持レバーよりも早くケーブル誘導レバーを回転させるために、ケーブル誘導レバーをケーブル保持レバーの減速機構における減速回転前の回転部材に固定して、ケーブル誘導レバーが回転できるようにすれば、ケーブル誘導レバーで誘導される接続ケーブルは固定されていないとはいえ、ケーブル誘導レバーによって回転軸の巻取り方向に誘導されるので、接続ケーブルが巻取り時に縮径収納されても、更に締まりつきが発生しなくなる。
【0021】
また、ケーブル誘導レバーの先端側には、被作動体の方向に向けて方向転換する折曲げ部が形成され、ケーブル誘導レバーに誘導される接続ケーブルの脱落を、折曲げ部が防止する構成とすることもできる。
【0022】
ケーブル誘導レバーの一端に折曲げ部が形成されていることで、接続ケーブルは回転軸が回転することでケーブルに動きが生じたとしても、その折曲げ部で動きが抑制され、ケーブルが折曲げ部の外に投げ出されることを防ぐことができる。折曲げ部の形状は、L字型のみではなく、コの字型やU字状にすることもができ、適宜変更が可能である。
【0023】
また、減速機構は、回転軸と、その回転軸と平行に配置される中間軸との間に設けられる2組の歯車列を含む歯車減速機構により構成することができる。
【0024】
2組の歯車列を含む歯車減速機構を用いることで、小型かつ簡素な構造でありながら回転軸からの回転を確実に減速させることができる。
【0025】
さらに、回転軸の回転角度をX°とすると、ケーブル保持レバーの回転角度は(X/2)°となるように減速機構を構成することもできる。
【0026】
上記構成のように、回転軸の回転角度に対し、ケーブル保持レバーの回転角度は半分の角度で回転されるようになるから、被作動体の接続部とケーブル保持レバーの固定部との間には回転量(回転角度)の差が生じ、その差の分緩やかにケーブルを巻取り、巻戻すことができる。また、ケーブル保持レバーの回転量(回転角度)に対して原動機(例えば電動モータ)の回転量(回転角度)は倍になるので、被作動体の回転範囲を相対的に広く取ることによって、被作動体の停止位置をより精密に制御することも可能になる。
例えば回転軸の回転範囲が360°であった場合、ケーブル保持レバーの回転角度は180°となって回転角度がせまくなり、ケーブル保持レバーの回転しない角度位置に減速機構を配置することができる。
【0027】
なお、上記した歯車減速機構を採用する場合には、一方の歯車列の減速比が1:1、他方の歯車列の減速比が2:1となるように各歯車列を構成する歯車の直径(又は歯数)が設定され、ケーブル保持レバーの基端部は減速側の歯車列の減速歯車に固定することができる。
【0028】
また、接続ケーブル、ケーブル保持レバー及び減速機構は筐体に収納され、筐体には回転補助具を介して被作動体が回転軸線周りで回転可能に設置されている構成とすることもできる。
【0029】
このような構成とすることで、被作動体は回転補助具を介して安定して保持されつつ回転を行うことができる。さらに、接続ケーブル、ケーブル保持レバー、減速機構を内部に含む筐体(収納ケース)があることで、緩やかに巻取り・巻戻される接続ケーブルが他物に接触することを防止でき、太陽光線等から内部の部品を保護することもできる。
【0030】
また、被作動体には、撮像方向が回転軸の回転によって変更可能なカメラが設置され、接続ケーブルはカメラに対して信号を送受信するためのものである構成とすることもできる。
【0031】
被作動体にカメラを設置する場合には、回転軸が正逆回転する際に接続ケーブルの締まりつきや絡みつきが緩和されるので、カメラをスムーズに回転させてその方向の撮影が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施例のケーブルの巻取り巻戻し構造を示す正面断面図である。
【図2】第2実施例のケーブルの巻取り巻戻し構造を示す正面断面図である。
【図3】第2実施例の2本のレバーと歯車減速機構を示した正面図である。
【図4】第2実施例の回転軸を回転させた前後での接続ケーブルと第1、第2レバーの位置関係を示した平面図である。
【図5】レバーの先端部の形態を示した図である。
【図6】第3実施例のケーブルの巻取り巻戻し構造を示す正面断面図である。
【図7】第3実施例の2本のレバーと歯車減速機構を示した正面図である。
【図8】第3実施例の回転軸を回転させた時の接続ケーブルと第1、第2レバーの位置関係を示した平面図である。
【図9】第4実施例のケーブルの巻取り巻戻し構造を示す正面模式図である。
【図10】第4実施例の2本のレバーと歯車減速機構を示した正面図である。
【図11】第4実施例の接続ケーブルと第1、第2レバーの位置関係を示した平面図である。
【図12】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0034】
図1において、第1実施例のケーブルの巻取り巻戻し構造について説明する。図1は、ケーブルの巻取り巻戻し構造を示す正面断面図である。回転軸3は、下端部に位置する電動モータ1(原動機)によって駆動され、自身の有する回転軸線O周りで正逆回転する。被作動体5は回転軸3の上端部に固定され、回転軸3(回転軸線O)と一体的に回転する。さらに、被作動体5の接続部10で接続されて下方へ引き出された接続ケーブル7は、回転軸3の周りに渦巻き状に配置されている。
【0035】
また、収納ケース2(筐体)底部(下部)に固定されたギヤケース30の内部には、回転軸3の回転を減速するための歯車減速機構9(減速機構)が設置されている。歯車減速機構9を構成する4つの歯車のうち、第4歯車24(減速回転部材,減速歯車)の上面に第1レバー11(ケーブル保持レバー)の基端部が接合部14で接合されている。
【0036】
そして、第1レバー11は、回転軸線O側に位置する基端部から半径方向外側へ向けて先端部が突出配置され、基端部から先端部へ向けて水平に保持部51が形成されている。また、第1レバー11の先端部には接続ケーブル7の中途部を固定するための固定部13が形成されている。そして、第1レバー11は回転軸3と同軸となって回転できるようになっている。
【0037】
上記構成によれば、回転軸3と同じ回転速度で回転軸3に巻取られる接続ケーブル7は、第1レバー11の先端部においてケーブル7の途中が固定部13により固定されており、その第1レバー11は減速機構9によって回転軸3の回転よりも減速されて回転しているので、被作動体5の接続部10(ケーブルの引き出し部)と第1レバー11の固定部13との間には回転速度に差が生じる。よって、被作動体5から第1レバー11の間のケーブル7は、ケーブル7の途中が第1レバー11によって強制的に回転軸3の回転方向に送り出されるので、巻き取る際に接続ケーブル7が回転軸3に締まりつく不具合が解消される。
【0038】
また、回転軸3を逆回転させて接続ケーブル7を巻戻す際にも、緩やかな回転速度で第1レバー11が回転してケーブル7を巻取り部から引出すので、接続ケーブル7が絡みつく不具合が解消される。
【0039】
したがって、接続ケーブル7を巻取る際あるいは巻戻す際に、接続ケーブル7に加わる負荷を軽減することができ、断線等を防止することができる。
【0040】
また、第1レバー11の固定部13よりも先の収納ケース2側に渦巻状に配置された接続ケーブル7は、歯車減速機構9の外側に位置しており、接続ケーブル7を巻取る方向に回動した時に、接続ケーブル7は直径を狭めながら歯車減速機構9の外方に緩やかに巻取られ、接続ケーブル7が歯車減速機構9にきつく巻付くことはない。
【0041】
ここで、被作動体5は転がり軸受42(回転補助具)を介して収納ケース2に回転軸線O周りで回転可能に設置されており、接続ケーブル7、第1レバー11及びギヤケース30などは収納ケース2内に収納されている。また、被作動体5の上部には撮像方向が回転軸3の回転によって変更可能なカメラ40が設置されている。
【実施例2】
【0042】
図2は、第2実施例のケーブルの巻取り巻戻し構造を示す正面断面図である。この図2において、第2実施例のケーブルの巻取り巻戻し構造について説明する。歯車減速機構9を構成する減速歯車24の下面及び上面には、それぞれ第1レバー11(ケーブル保持レバー)及び第2レバー12(ケーブル誘導レバー)の基端部が接合されて接合部14,14が形成されており、各レバー11,12が回転軸と同軸となって回転できるようになっている。各レバー11,12の先端部は回転軸線Oから一定の角度差αをもって半径方向外側へ向けて突出配置され(図4参照)、このうち第1レバーの先端部には、接続ケーブル7の中途部を固定するための固定部13が形成されている。
【0043】
図3は、第2実施例の2本のレバーと歯車減速機構を示した正面図であり、2本のうち、下部に位置する(被作動体5から離れた側に位置する)レバーを第1レバー11、その上部に位置するレバーを第2レバー12としている。第1レバー11及び第2レバー12は接合部14,14において、歯車減速機構9の一部である第4歯車24(減速回転部材,減速歯車)と接合されており、第1レバー11及び第2レバー12には一定の高さの差A(回転軸線O方向の距離)がある。
【0044】
歯車減速機構9は、回転軸3と第2回転軸20との間に設けられる2組の歯車列を含んで構成されている。上段の歯車列は、回転軸3と一体回転する第1歯車21(減速前の回転部材,非減速歯車)と、第2回転軸20と一体回転する第2歯車22とで構成され、両歯車21,22は同一直径(同一歯数)の組合せのため同一速度で回転する。下段の歯車列は、第2回転軸20と一体回転する第3歯車23と、軸受28を介して回転軸3に保持されることにより回転軸3と相対回転可能な第4歯車24(減速回転部材,減速歯車)とで構成される。ここでは、第4歯車24の直径(歯数)は第3歯車23の直径(歯数)の2倍に設定されているので、第4歯車24は回転軸3の1/2の速度で回転する。
【0045】
すでに述べたように、第1及び第2レバー11,12の接合部14,14は、下段歯車列の減速歯車24の下面及び上面にそれぞれ固定されている。また、下方の第1レバー11の先端部には接続ケーブル7の中途部を固定する固定部13が形成されている。したがって、回転軸3の回転角度をX°(例えば280°)とすると、第1レバー11の回転角度は(X/2)°(例えば140°)となる(図4参照)。
【0046】
ここで、図4の回転軸を回転させた前後での接続ケーブルと第1、第2レバーの位置関係を示した平面図により、第2実施例のケーブル巻取り時の全体の動作を説明する。まず、電動モータ1が巻取り方向に駆動すると、電動モータ1と接続されている回転軸3が回転し、その回転軸3に固定されている被作動体5(接続部10)が一体回転する。被作動体5にはカメラ40が設置されているので、カメラ40も被作動体5と同様の回転を行う。一方、歯車減速機構9(減速歯車24)により第1レバー11(固定部13)は回転軸3の回転角度の1/2の角度で減速回転するので、接続部10と固定部13では回転量(回転速度)に差が生じている。したがって、接続部−固定部間ケーブル15aは回転軸3に緩やかに巻取られ、回転軸3への締まりつき現象は発生しない。また、固定部より先のケーブル15bは回転軸3が回転することにより、縮径される。(図4(a)→(b)参照)
【0047】
巻戻し時においては、電動モータ1が巻戻し方向(巻取りと逆方向)に駆動すると、回転軸3及び被作動体5(接続部10)が逆回転する(カメラ40も同様)。一方、歯車減速機構9(減速歯車24)により、第1レバー11(固定部13)は減速逆回転するので、接続部−固定部間ケーブル15aは回転軸3から緩やかに巻戻され、回転軸3への絡みつき現象は発生しない。また、固定部より先のケーブル15bは回転軸3が逆回転することにより、拡径されるようになる。(図4(b)→(a)参照)
【0048】
このように、接続ケーブル7が回転軸3と同じ回転速度で巻取られるので接続ケーブル7は回転軸3に締まりながら巻きつき、接続ケーブル7が締まる際に負荷が加わり、断線することがある。しかし、図2に示すように、接続ケーブル7はその途中をギヤケース30内に収納された減速機構9の一部に接合部14で接合された第1レバー11の固定部13で固定されている。この構成により第1レバー11は減速機構9によって回転軸3の回転よりも減速されて回転しているので、被作動体5の接続部10と第1レバー11の固定部13では回転速度に差が生じる。この回転速度の差により、被作動体5から第1レバー11の間の接続ケーブル7は緩やかに回転することができ、接続ケーブル7が回転軸3に締まりつくようなことがない。
【0049】
また、回転軸3を逆回転させて、接続ケーブル7を巻戻す時にも緩やかな回転速度でケーブル送り出しレバー11が動くので、接続ケーブル7が絡まりケーブルに余分な力が加わるということは起こらない。
【0050】
図3に示すように、被作動体5から離れた側に位置する第1レバー11とその上部に位置する第2レバー12には一定の高さの差Aがあり、図4で示すように第1レバー11と第2レバー12には一定の角度差αがあることから、接続ケーブル7は斜め方向に安定して支えられているので、より緩やかに接続ケーブル7を巻取ることができる。
【0051】
また、第1レバー11と第2レバー12について上部に位置する第2レバー12の長さを短く設定することで、第2レバー12に支えられている接続ケーブル7は回転軸3からの距離が近くなり、回転軸3への巻取りが容易に行える。さらに、接続ケーブル7は接続部−固定部間ケーブル15aが図4に示す矢印方向に向い巻取られ、固定部より先のケーブル15bは第1レバー11が回転することで、縮径するように巻取られる。ここで、ギヤケース30は支持棒31で連結されているためレバーの回転は支持棒31までの範囲で制限されるが、1回転以上というような大きな回転角を必要としない機構については特に問題ない。
【0052】
次に、図5(a),(b)においてレバーの先端部形状について説明する。図5(a)は第1レバー11として機能し、固定部13で接続ケーブル7が固定されている。図5(b)は先端に折曲げ部16が形成されたレバーを示し、接続部−固定部間ケーブル15aを支持する第2レバー12として機能する。なお、固定部13を設ければ第1レバー11として使用することもできる。ここで、固定部13はケーブル7を止めることのできる他の形態としてもよい。
【0053】
図5(a)のレバー11において、固定部13により接続ケーブル7が固定されているので、ケーブルが上下左右に移動するようなことはない。また、図5(b)のレバー12は、ケーブル7が横方向にずれたときもその折曲げ部16によりケーブル7の動きを止めることができ、ケーブル7の自由奔放な動きを規制し、かつ規律ある動きをさせることができる。
【実施例3】
【0054】
図6は、第3実施例のケーブルの巻取り巻戻し構造を示す正面断面図である。第3実施例は第2実施例と異なり、歯車減速機構9を構成する4つの歯車のうち、第1歯車21(減速前の回転部材,非減速歯車)の上面に第2レバー12(ケーブル誘導レバー)の基端部が接合部14で接合されている。第4歯車24(減速回転部材,減速歯車)の上面には、第1,第2実施例と同様に第1レバー11(ケーブル保持レバー)の基端部が接合部14で接合されている。
【0055】
そして、各レバー11,12は、回転軸線O側に位置する基端部から半径方向外側へ向けて先端部が突出配置され、基端部から先端部へ向けて水平に保持部51及び誘導部52が形成されている。そして、両レバー11,12は回転軸3と同軸となって回転できるようになっている(図7参照)。
【0056】
図7は、第2実施例の2本のレバーと歯車減速機構を示した正面図であり、2本のうち、下部に位置する(被作動体5から離れた側に位置する)レバーを第1レバー11、その上部に位置するレバーを第2レバー12としている。図7に示すように、第1レバー11及び第2レバー12は接合部14において、それぞれ歯車減速機構9の一部である第4歯車24(減速回転部材,減速歯車)及び第1歯車21(減速前の回転部材,非減速歯車)と接合されており、第1レバー11及び第2レバー12には一定の高さの差A(回転軸線O方向の距離)がある。
【0057】
また、各レバー11,12の先端部には折曲げ部16が形成され、被作動体5の方向(上向き)に折り曲げられている。そして、接続ケーブル7は、被作動体5の接続部10から第1レバー11の固定部13までと、固定部13より先とで分けることができるので(図6,図8参照)、それぞれ接続部−固定部間ケーブル15a、固定部より先のケーブル15bとしている。ここで、接続部−固定部間ケーブル15aは上方に位置する第2レバー12の折曲げ部16より内側の誘導部52において誘導支持され、下方に位置する第1レバー11の固定部13で固定されている(図6,図8参照)。
【0058】
また、図7に示すように、ギヤケース30を構成する平面視六角形状の上下の固定支持板30a,30bは複数(例えば4本)の支持棒31によって所定間隔に保持され(図8参照)、歯車減速機構9はその間に配置されている。固定支持板30a,30bには、第2回転軸20(中間軸)が軸受27を介して回転可能な形態で、回転軸3と平行に配置されている。なお、26は固定支持板30a,30bに対して回転軸3を回転可能に支持するための軸受である。
【0059】
歯車減速機構9は、回転軸3と第2回転軸20との間に設けられる2組の歯車列を含んで構成されている。上段の歯車列は、回転軸3と一体回転する第1歯車21(非減速歯車)と、第2回転軸20と一体回転する第2歯車22とで構成され、両歯車21,22は同一直径(同一歯数)の組合せのため同一速度で回転する。下段の歯車列は、第2回転軸20と一体回転する第3歯車23と、軸受28を介して回転軸3に保持されることにより回転軸3と相対回転可能な第4歯車24(減速歯車)とで構成される。ここでは、第4歯車24の直径(歯数)は第3歯車23の直径(歯数)の2倍に設定されているので、第4歯車24は回転軸3の1/2の速度で回転する。
【0060】
すでに述べたように、第1及び第2レバー11,12の接合部14,14は、下段歯車列の減速歯車24の上面及び上段歯車列の非減速歯車21の上面にそれぞれ固定されている。また、下方の第1レバー11の先端部には接続ケーブル7の中途部を固定する固定部13が形成されている(図5(a)参照)。したがって、回転軸3の回転角度をX°(例えば100°)とすると、第1レバー11の回転角度は(X/2)°(例えば50°)となる(図8参照)。
【0061】
ここで、図8の回転軸を回転させた時の接続ケーブルと第1、第2レバーの位置関係を示した平面図より、第3実施例のケーブル巻取り時の全体の動作を説明する。まず、電動モータ1が巻取り方向に駆動すると、電動モータ1と接続されている回転軸3が回転し、その回転軸3に固定されている被作動体5(接続部10)が一体回転する。被作動体5にはカメラ40が設置されているので、カメラ40も被作動体5と同様の回転を行う。
【0062】
一方、第1レバー11、第2レバー12及びケーブル7の動きを図8(a)〜(c)において説明する。図8(a)の初期状態において、第1レバー11と第2レバー12の間の初期設定角度を50°とする。ケーブル7は、その途中を第1レバー11の固定部13に固定されており、接続部−固定部間ケーブル15aは、第1レバー11の上方に位置する第2レバー12の誘導部52により誘導保持され、渦巻き状に配置されながら接続部10と繋がっている。
【0063】
初期状態から中間状態(図8(a)→(b))にかけて、回転軸3は時計回りに100°回転している。この時、非減速歯車21に固定されている第2レバー12は回転軸3と同様時計回りに100°回転することになり、減速歯車24に固定されている第1レバー11は、1/2の角度である50°回転する。言い換えると、回転軸3の回転時に第2レバー12は第1レバー11に対し相対的に速く回動し、両レバー11,12の間の角度は0°(重なっている)となる。そして、接続部−固定部間ケーブル15aは図8(a)の場合と同様、誘導部52の上にあり、上記のように変化する際に回転軸3の回転に合わせケーブル7を誘導部52において送り出しながら誘導している。
【0064】
次に、中間状態から最終状態(図8(b)→(c))にかけて、回転軸3はさらに100°回転している。この時、図8(a)→(b)と同様に第2レバー12は100°回転し、第1レバー11は50°回転する。この場合も第2レバー12は第1レバー11に対し相対的に速く回動し、両レバー11,12の間の角度は50°となる。そして、接続部−固定部間ケーブル15aは、回転軸3が回転している時、同様に回転軸3の回転に合わせケーブル7を誘導部52において送り出しながら誘導している。
【0065】
ここで、第1レバー11と第2レバー12はレバー間角度が0°になるとき重なり合うが第2レバー12の先端部は第1レバー11の先端部より内側に位置し、第2レバー12が第1レバー11より上方にあるので両レバー11,12が接触することはない。さらに、第2レバー12の長さを短く設定することで、第2レバー12に支えられている接続ケーブル7は回転軸3からの距離が近くなり、回転軸3への巻取りが容易に行える。
【0066】
このように、第1レバー11が回転軸3の回転速度より減速して回転し、第2レバー12が第1レバー11に対し相対的に速く回動することで、回転軸3の回転につれ第1レバー11により強制的に送り出されたケーブル7を第2レバー12の誘導部52で誘導しながらさらに送り出すので、ケーブル7が途中で緩んで絡まったりするようなことは起こらず、緩やかにケーブル7を巻き取ることができる。ここで、第1レバー11と第2レバー12の初期設定角度により、様々なケーブル長のケーブルを安定して誘導できる。
【0067】
巻戻し時においては、電動モータ1が巻戻し方向(巻取りと逆方向)に駆動すると、回転軸3及び被作動体5(接続部10)が逆回転する(カメラ40も同様)。
【0068】
一方、第1レバー11、第2レバー12及びケーブル7の巻戻し時の動きを図8(a)〜(c)において説明する。図8(c)の最終状態において、第1レバー11と第2レバー12の間の角度は50°である。ケーブル7は、その途中を第1レバー11の固定部13に固定されており、接続部−固定部間ケーブル15aは、第2レバー12の誘導部52により誘導保持され、渦巻き状に配置されながら接続部10と繋がっている。
【0069】
最終状態から中間状態(図8(c)→(b))にかけて、回転軸3は反時計回りに100°回転している。この時、非減速歯車21に固定されている第2レバー12は回転軸3と同様反時計回りに100°回転することになり、減速歯車24に固定されている第1レバー11は、1/2の角度である50°回転し、中間状態で両レバー11,12の間の角度は0°(重なっている)となる。
【0070】
さらに、中間状態から初期状態(図8(b)→(a))にかけて回転軸3は反時計回りに100°回転している。この時、図8(c)→(b)と同様に第2レバー12は100°回転し、第1レバー11は50°回転することで、両レバー11,12の間の角度は50°となる。
【0071】
このように、第1レバー11が回転軸3の回転速度より減速して回転し、第2レバー12が第1レバー11に対し相対的に速く回動することで、回転軸3の回転につれてケーブル7が回転軸3から引き出されても、第2レバー12の誘導部52によりケーブル7は、誘導されながら引き出されているので、緩やかに引き出されることができ、ケーブル7が緩みすぎる状態にはならない。
【0072】
ここで、固定部より先のケーブル15bについては、回転軸3が時計回りに回転(巻取り回転)するときは縮径され、反時計回り(巻戻し回転)するときは拡径するようになる。
【0073】
また、両レバー11,12には折曲げ部16が形成されているので(図7参照)、ケーブル7が回転軸3に巻取られる、あるいは巻戻されるときに折曲げ部16でケーブル7の動きを抑制できる。
【0074】
さらに、減速機構9の減速比を変化させ、第1レバー11と第2レバー12の相対回転移動を変化させたり、第1レバー11と第2レバー12の初期設定角度を変化させることで、最適なケーブル7の巻取り、巻戻しを実現させることが可能である。
【0075】
ここで、第1レバー11と第2レバー12との間に新たなレバーを設け、第1レバー11と第2レバー12との回転速度の間の速度で回転する構成としてもよい。このような構成とすることで、上から徐々に回転速度が遅くなるレバーを配置して、より一層接続ケーブル7の巻取り巻戻しを緩やかに行うことができる。
【0076】
図5(c)〜(e)はケーブル送り出しレバーの先端部の他の形態を示し、(c)は2辺で折り曲げられた折曲げ部17、(d)は3辺で折り曲げられた折曲げ部18、(e)は円弧状に曲げられた折曲げ部19を示し、それぞれ、第1レバー11、第2レバー12として機能することができる。第2レバー12として機能する際はケーブル7の横方向のずれを防ぐことができ、第1レバー11として機能する際は、ケーブル7自体をかしめることでケーブル7を固定するようにすることもできる。また、ここに示すものだけではなくレバーの形態は適宜変更可能である。
【実施例4】
【0077】
図9〜図11は第4実施例を表し、図9はケーブルの巻取り巻戻し構造を示す正面模式図、図10は2本のレバーと歯車減速機構を示した正面図、図11は接続ケーブルと第1、第2レバーの位置関係を示した平面図である。図11に示す第1レバー11(ケーブル保持レバー)及び第2レバー12(ケーブル誘導レバー)は、ギヤケース30の上部において360°以上回ることができるように配置されている。(ただし、図9では第2レバー12の図示は省略されている。)
【0078】
具体的には、図10に示す歯車減速機構9(減速機構)において、2組の歯車列の上下関係が第1〜3実施例(図1,2,6)とは逆に配置されている。また、上段の歯車列を構成することになった第4歯車24(減速歯車)の上面に第1及び第2レバー11,12が接合部14,14で固定され、各レバー11,12の先端部はギヤケース30の外部へ延出されている。2本のレバー11,12の先端部がギヤケース30の外部に位置することから、第1〜3実施例とは異なり第1レバー11及び第2レバー12は360°以上の回転が可能になっている。折曲げ部16や2本のレバーの位置関係における作用効果は第2実施例と同様である(図2参照)。
【0079】
図11に示すように、巻取り方向に回転軸3が360°以上回転すると、第1レバー11は180°以上減速回転する。接続部−固定部間ケーブル15aは矢印方向に巻取られ、固定部より先のケーブル15bはギヤケース30の円周方向に緩やかに巻取られて行き、ケーブルが散乱し絡まったりするようなことはない。巻戻し時には巻取り時と逆の要領でケーブルが緩やかに巻戻される。
【0080】
ただし、図10では、回転軸3をギヤケース30に回転可能に支持するための軸受26は、一ヶ所で立設保持するタイプが示されているが、その他、図示が省略された回転軸3の端に軸受26を配置してもよい。
【0081】
第1〜4実施例に示すケーブルの巻取り巻戻し構造は、例えば周囲の天候を観測するお天気カメラや人工衛星用カメラとして使用することができるが、他のケーブルの巻取り巻戻し構造を必要とする機械にも搭載可能である。
【0082】
なお、第3,第4実施例(図6〜図11)において第1、第2実施例(図1〜図5)と共通する機能を有する部分には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。また、図3、図7、図10において、中間軸20をギヤケース30に固定し、軸受27を第2歯車22及び第3歯車23にそれぞれ設け、さらに両歯車22,23を一体回転可能に連結してもよい。このように構成しても、第4歯車(減速歯車)は回転軸3の1/2の速度で減速回転できる。
【符号の説明】
【0083】
1 電動モータ(原動機)
2 収納ケース(筐体)
3 回転軸
5 被作動体
7 ケーブル(接続ケーブル)
9 歯車減速機構(減速機構)
11 第1レバー(ケーブル保持レバー)
12 第2レバー(ケーブル誘導レバー)
20 第2回転軸(中間軸)
21 第1歯車(減速前の回転部材、非減速歯車)
22 第2歯車
23 第3歯車
24 第4歯車(減速回転部材、減速歯車)
30 ギヤケース
40 カメラ
42 転がり軸受(回転補助具)
51 保持部
52 誘導部
O 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機によって駆動されて正逆回転する回転軸と、その回転軸に取り付けられて回転軸線周りで回転する被作動体から引き出され、前記回転軸の周りに渦巻き状に配置される接続ケーブルとを有し、前記回転軸の正逆回転時に前記接続ケーブルを前記回転軸の周りに緩やかに巻取り、かつ巻戻すための構造であって、
前記回転軸に接続され、その回転軸の回転を減速する減速機構と、
前記回転軸線側に位置する基端部から半径方向外側へ向けて先端部が突出配置されるとともに、前記減速機構を介して前記回転軸線周りで減速回転するケーブル保持レバーとを備え、
前記接続ケーブルの途中は前記ケーブル保持レバーの先端部に固定されており、
前記接続ケーブルが前記回転軸に巻取られるとき、前記被作動体から前記ケーブル保持レバーの間の接続ケーブルは前記回転軸に緩やかに巻取られることを特徴とするケーブルの巻取り巻戻し構造。
【請求項2】
前記減速機構は、前記被作動体の位置する側とは反対側の端部において、前記回転軸に接続され、
前記接続ケーブルが前記回転軸に巻取られるとき、前記ケーブル保持レバーより先の接続ケーブルは前記回転軸の回転につれて次第に縮径収納されることを特徴とする請求項1に記載のケーブルの巻取り巻戻し構造。
【請求項3】
前記ケーブル保持レバーよりも前記被作動体側に位置するとともに、前記回転軸線側に位置する基端部から半径方向外側へ向けて先端部が突出配置され、基端部から先端部に至る誘導部で前記接続ケーブルを前記被作動体側に向けて誘導案内するケーブル誘導レバーを備え、前記ケーブル保持レバーだけに、前記接続ケーブルが固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブルの巻取り巻戻し構造。
【請求項4】
前記ケーブル保持レバー及び前記ケーブル誘導レバーは、前記減速機構における同じ減速回転部材に固定され、前記回転軸の回転時にそれら2本のレバーは一体となって回動するとともに、両レバー間の回転方向の角度差が一定であることを特徴とする請求項3に記載のケーブルの巻取り巻戻し構造。
【請求項5】
前記ケーブル保持レバーは、前記減速機構における減速回転部材に固定されるとともに、前記ケーブル誘導レバーは、前記減速機構における減速前の回転部材に固定され、前記回転軸の回転時に前記ケーブル誘導レバーは前記ケーブル保持レバーに対し相対的に速く回動し、両レバー間の回転方向の角度差が変化することを特徴とする請求項3に記載のケーブルの巻取り巻戻し構造。
【請求項6】
前記ケーブル誘導レバーの先端側には、前記被作動体の方向に向けて方向転換する折曲げ部が形成され、
前記ケーブル誘導レバーに誘導される前記接続ケーブルの脱落を、前記折曲げ部が防止していることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載のケーブルの巻取り巻戻し構造。
【請求項7】
前記減速機構は、前記回転軸と、その回転軸と平行に配置される中間軸との間に設けられる2組の歯車列を含む歯車減速機構により構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のケーブルの巻取り巻戻し構造。
【請求項8】
前記回転軸の回転角度をX°とすると、前記ケーブル保持レバーの回転角度は(X/2)°となるように前記減速機構が構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のケーブルの巻取り巻戻し構造。
【請求項9】
前記接続ケーブル、前記ケーブル保持レバー及び前記減速機構は筐体に収納され、前記筐体には回転補助具を介して前記被作動体が前記回転軸線周りで回転可能に設置されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のケーブルの巻取り巻戻し構造。
【請求項10】
前記被作動体には、撮像方向が前記回転軸の回転によって変更可能なカメラが設置され、前記接続ケーブルは前記カメラに対して信号を送受信するためのものであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のケーブルの巻取り巻戻し構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−126650(P2011−126650A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286278(P2009−286278)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】