説明

ケーブルまたはパイプライントロリ用のシャーシ

本発明は搬送レールに沿って移動するためのケーブルまたはパイプライントロリー(2)用のシャーシ(1)に関する。このシャーシは水平回転軸を備えた少なくとも一対の搬送ローラ(3)と、垂直回転軸を備えた少なくとも一対のガイドローラ(4)とを有している。この種の従来シャーシの弱点は搬送レールの凹凸部で動揺し、修理には大量の交換部品が必要なことである。本発明の目的は改善された駆動特性を有し、製造コストと在庫コストを低減するシャーシの開発である。このため、搬送ローラ(3)とガイドローラ(4)は垂直軸(5)に対して非対称的にアレンジされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に係る、搬送レールに沿って移動するためのケーブルまたはパイプライントロリ用のシャーシ、およびこのようなシャーシを具備したケーブルまたはパイプライントロリに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなシャーシを含むケーブルまたはパイプライントロリは、DE 44 36 520 C1、およびDE 44 36 519 C2に加えて、DE 26 28 112 C2の主題である。対応するケーブルまたはパイプライントロリは、例えばライン敷設装置またはクレーンブームに、つまり電力搬送またはガス搬送ラインをレールに沿って可動負荷、例えばクレーンの走行体まで先導しなければならない全ての用途に見られる。上記の公報は、受動ケーブルまたはパイプライントロリ、すなわちそれら自身の電源を持たないもの、および能動ケーブルまたはパイプライントロリ、すなわちそれら自体の電源を持つものの両方を記載している。
【0003】
ケーブルまたはパイプライントロリは、概して3つの主要素、すなわち1つまたはそれ以上のシャーシ、中央部または中央板、および輸送されるラインのための実際の懸架装置から構成される。一般的に、シャーシは、I形梁とも呼ばれる二重T形搬送レールから懸架される。シャーシの下側には搬送板が取り付けられ、次に搬送板には、輸送されるラインのための実際の懸架装置が取り付けられる。一般的に、ケーブルまたはパイプライントロリは、2つのシャーシ、または2つの側板から構成される1つのシャーシを備え、それらは各々、略水平回転軸を有し、相互に対向して搬送レール上を移動し、かつ重力を吸収する、1対のキャリアローラを有する。各シャーシはさらに、略垂直の回転軸を有する1対の対向するガイドローラを含み、これらはケーブルまたはパイプライントロリの重量を吸収する必要がなく、I形搬送レールの垂直中央脚に沿って案内するために働くだけであるので、搬送ローラより薄肉に作られる。ケーブルまたはパイプライントロリ用の全ての公知のシャーシでは、1つの搬送ローラおよび1つのガイドローラが各搬送板上に配置され、2つの搬送板が一体にボルト止めされる。対称性のため、各搬送板は、他方の搬送板に対して鏡面対称に構成されなければならないので、2つの異なる搬送板すなわち左側搬送板および右側搬送板を製造し、かつ保管しなければならない。
【0004】
先行技術から公知のケーブルまたはパイプライントロリ用のシャーシは、搬送レールにでこぼこの箇所がある場合、両方の搬送ローラがでこぼこの箇所を同時に通過するので、動揺するというさらなる不利点を有する。さらに、ガイドローラは搬送ローラから偏位して配置しなければならないので、搬送レール上のこれらの公知のシャーシの案内は最適ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ケーブルまたはパイプライントロリ用のシャーシのみならず、このようなシャーシを具備したケーブルまたはパイプライントロリをも、より優れた走行特性が達成され、製造および保管のコスト削減も同様に行なわれるように、精緻化するという問題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、請求項1の特徴部分により解決される。有利な構成は従属請求項2および3から推定することができる。本発明に係るシャーシを具備したケーブルまたはパイプライントロリは、請求項4から推定することができる。
【0007】
本発明の実施形態について、添付の図面に関連して以下で詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1〜3に示されたケーブルまたはパイプライントロリ(2)は、輸送される電気および/またはガスライン(図示せず)用の搬送装置(10)に2つのシャーシ(1)を接続する、中央部または中央板(9)から構成される。中央板(9)は走行方向の両端にセルラ緩衝体(11)を含み、それは、隣接するケーブルまたはパイプライントロリが衝突した場合に制動効果を有し、かつ衝突緩衝器を形成する。図示した実施形態2の中央板(9)は、その上側に、走行方向に前後に配置されたシャーシ(1)を有する。これらのシャーシ(1)は同一に構成され、図4〜6に詳細に示す。
【0009】
各シャーシ(1)は、鋼製または適切な樹脂製の2つの対向する搬送板(6)および(7)を有する。搬送板は、上から見たときに、底の方に向かってテーパが付けられ、それらの下部領域に幾つかの接続穴(12)を有し、図5から最も明瞭に分かるように、2つの搬送板(6)および(7)を相互に接続するために、ねじ付きファスナ(13)が接続穴を貫通する。2つの搬送板(6)および(7)は各々、それらの上部領域に、略水平の回転軸を持つ搬送ローラ(3)および略垂直の回転軸を持つガイドローラ(4)を担持する。
【0010】
しかし、2つの搬送ローラ(3)は、2つの搬送板(6)および(7)が一体にボルト止めされた状態で相互に対向して配置されず、ガイドローラ(4)も然りである。代わりに、図4〜6、特に図6で分かるように、左の搬送ローラ(3)は右のガイドローラ(4)と対向し、右の搬送ローラ(3)は左のガイドローラ(4)と対向する。先行技術から公知のシャーシとは対照的に、搬送およびガイドロール(3)および(4)の配置はしたがって、搬送レール(図示せず)に沿った平面に対し鏡面対称ではなく、むしろ、シャーシ(1)の略中心に位置する垂直軸(5)に対し軸対称である。
【0011】
図4〜6から分かるように、2つの搬送板(6)および(7)は相互に同一に構成することができる。換言すると、左の搬送板(6)と右の搬送板(7)との間にもはや相違は存在しない。これらは完全に相互に交換可能な個別の部品であり、倉庫に1つの部品として保管することが必要なだけである。
【0012】
図示した実施例では、シャーシ(1)は、略水平の回転軸を有しかつ搬送板(6)および(7)に配置された、追加の支持ローラまたは裏当てローラ(8)を有する。これらは、シャーシ(1)が搬送レールから浮き上がるのを防止するのに役立つ。
【0013】
本発明のシャーシは動作の点でも、先行技術から公知のシャーシに対してかなりの利点を有する。搬送ローラ(3)は相互に対向して配置されず、むしろ走行方向に偏位して配置されるので、一般的に一方の搬送ローラ(3)は常に搬送体のプロファイル上に確実に維持されるため、搬送体のプロファイルのでこぼこの箇所はずっと容易に吸収され、補償される。また、搬送ローラ(3)およびガイドローラ(4)の直接対向によって、結果的に、シャーシ(1)およびしたがってケーブルまたはパイプライントロリ(2)の案内が改善される。また、中央板への力の誘導の側方のずれが小さいので、ガイドローラ(4)と中央板(9)との間の力の流れも結果的に改善される。最後に、部品の対応する削減による重量の低減およびしたがって製造コストの低下のみならず、走行時の騒音の低下も利点として挙げることができる。さらに、必要な部品数が減少するので組立および分解が簡素化され、2つの搬送板(6)および(7)は相互に同一に構成されるので、組立時のミスが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る2つのシャーシ付きケーブルまたはパイプライントロリの側面図である。
【図2】図1に示したケーブルまたはパイプライントロリの正面図である。
【図3】図1および2に示したケーブルまたはパイプライントロリの上面図である。
【図4】図1〜3に示したケーブルまたはパイプライントロリに使用されるシャーシである。
【図5】図4に係るシャーシの正面図である。
【図6】図4および5に係るシャーシの上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平の回転軸を持つ少なくとも1対の搬送レール(3)と、垂直の回転軸を持つ少なくとも1対のガイドローラ(4)とを備えた、搬送レールに沿って移動するためのケーブルまたはパイプライントロリ(2)用のシャーシ(1)であって、搬送ローラ(3)およびガイドローラ(4)の配置が垂直軸線(5)に対して略軸対称であることを特徴とするシャーシ(1)。
【請求項2】
相互に接続された2つの搬送板(6、7)を備え、その各々が搬送ローラ(3)およびガイドローラ(4)を担持し、前記2つの搬送板(6、7)が相互に同一に構成されることを特徴とする請求項1に記載のシャーシ(1)。
【請求項3】
前記搬送ローラの下に配置され、水平の回転軸を持つ1対の支持ローラ(8)を備えることを特徴とする請求項1および2の一項に記載のシャーシ(1)。
【請求項4】
搬送ローラに沿って移動するためのケーブルまたはパイプライントロリ(2)であって、請求項1から3の一項に記載の少なくとも1つのシャーシ(1)を特徴とするケーブルまたはパイプライントロリ(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−525240(P2009−525240A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552691(P2008−552691)
【出願日】平成18年12月2日(2006.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011578
【国際公開番号】WO2007/087854
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(508237443)バンプフラー アクチエンゲゼルシャフト (13)
【Fターム(参考)】