説明

ケーブル把持装置および電子機器

【課題】ケーブルの固定作業を容易に行なうことができる、コンパクトなケーブル把持装置および電子機器を提供する。
【解決手段】把持部3は、ベース部材としてのケーブル収納箱1の筐体と固定部材6とを備える。ケーブル収納箱には、光ファイバ7を固定する溝部が形成されている。固定部材6は、溝部の内部に配置され、固定用側壁5との間に光ファイバ7を挟んで固定する。ガイド用側壁4は、溝部の入口側から出口側に向けて固定用側壁5との間の距離が徐々に大きくなるように形成されている。固定用側壁5には凹凸形状部19が形成されている。溝部における底壁には、固定部材6を案内するガイド穴16が形成されている。固定部材6において、ガイド用側壁4に対向する側面には凸部が形成されている。ガイド用側壁4には、固定部材6の凸部と係合し、固定部材6の出口側への移動を規制する凹凸形状部18が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケーブル把持装置および電子機器に関し、より特定的には、ケーブルの一部を把持するケーブル把持装置および当該ケーブル把持装置を含みケーブルが接続される電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブルが接続される電子機器の一例として、たとえばケーブルとしての光ファイバが接続される信号変換装置が知られている(特許文献1参照)。当該信号変換装置では、外部から引き込んだ光ファイバを収納するロアケースとしてのケーブル収納箱上に、制御回路などを含む本体部が搭載された構成となっている。
【0003】
また、上記のような信号変換装置においては、ケーブル収納箱に収納される光ファイバの位置を固定するため、当該光ファイバの一部をケーブル収納箱の所定の位置に固定するためのケーブル把持構造(ケーブル把持装置)が用いられる場合がある。そのようなケーブル把持装置として、従来様々な構造が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
上述した特許文献2に開示されているケーブル把持装置は、内部にテーパー状の側壁を有するケーブル通路が形成されたケース本体と、当該ケース本体のケーブル通路を覆うカバー体と、ケース本体のケーブル通路内部に配置され、ケーブルを挟んで固定するための2つの部材からなるケーブル把持具とからなる。上述したケーブル把持装置では、少ない工数でケーブル固定を確実に行なうことができるとしている。
【特許文献1】特開2003−202474号公報
【特許文献2】特開2003−348738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したケーブル把持装置は、上記のようにケース本体、カバー体、2つの部材からなるケーブル把持具という構成部品からなっており、ケーブル固定の実作業においてこれらの構成部品を作業者が取扱うことは、作業性が良いとは言えなかった。また、上述した信号変換装置のような電子機器については、小型化の要請もあり、ケーブル把持装置としてよりコンパクトなものが求められている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、ケーブルの固定作業を容易に行なうことができる、コンパクトなケーブル把持装置および電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従ったケーブル把持装置は、ベース部材と固定部材とを備える。ベース部材には、ケーブルを固定する溝部が形成されている。固定部材は、溝部の内部に配置され、溝部の一方側壁との間にケーブルを挟んで固定するためのものである。溝部において一方側壁と対向する他方側壁は、溝部の一方端から他方端に向けて一方側壁との間の距離が徐々に大きくなるように形成されている。一方側壁には凹凸部が形成されている。固定部材において、一方側壁と対向する側面に凹凸部が形成されている。ベース部材には、固定部材が他方側壁に沿って他方端側から一方端側へスライドするように固定部材を案内するガイド部が形成されている。固定部材において、他方側壁に対向する側面には爪部が形成されている。他方側壁には、固定部材の爪部と係合し、固定部材の他方端側への移動を規制する係合部が形成されている。
【0008】
このようにすれば、溝部の一方側壁と固定部材の凹凸部が形成された側面との間にケーブルを配置し、溝部の内部で固定部材を一方端側へスライドさせることによって、固定部材と一方側壁との間でケーブルを保持、固定することができる。また、上述したケーブル把持装置は、部品点数が少なく構造が簡単であり、ケーブルの固定作業を簡便に行なうことができる。また、部品点数が少ないことから、ケーブル把持装置のサイズを小型化する事が容易である。さらに、直径が異なる複数種類のケーブルについても、固定部材のスライド位置によって固定部材と一方側壁との間の距離が変化することから、当該複数種類のケーブルについて、本発明によるケーブル把持装置を用いて、同じ部品を用いて同じ手順で固定することができる。
【0009】
上記ケーブル把持装置において、溝部の他方端側の端部から一方端側の端部までガイド部は延在してもよい。ガイド部は、他方端側および一方端側のそれぞれの端部において固定部材を脱着可能であってもよい。この場合、一度ケーブルを固定したケーブル把持装置について、ケーブルを取外した後、固定部材を一方端側の端部においてガイド部から取外した後、再度固定部材を他方端部側においてガイド部に装着することができる。つまり、本発明によるケーブル把持装置は繰返し使用することができる。
【0010】
上記ケーブル把持装置において、ガイド部は、溝部の底壁に他方側壁に沿って延びるように形成された開口であってもよい。固定部材には、開口に挿入可能な凸部が形成されていてもよい。当該凸部の先端部の幅は、ガイド部の中央部における開口の幅より大きくなっていてもよい。また、ガイド部の他方端側および一方端側の端部においては、開口の幅は固定部材の凸部の先端部の幅より大きくなっていることが好ましい。この場合、ガイド部の端部において、ガイド部としての開口に固定部材の凸部を挿入した後、固定部材をガイド部に沿ってスライドさせる場合に、ガイド部の中央部においてはガイド部から固定部材が外れることを防止できる。
【0011】
上記ケーブル把持装置において、一方側壁および固定部材の側面にそれぞれ形成された凹凸部は、溝部の底部から上部に向けて平行に延びる複数の溝を含んでいてもよい。この場合、固定部材と一方側壁との間に固定されたケーブルを、溝の延在方向に沿って(溝部の底部から上部に向けて)容易に取外すことができる。このため、ケーブル把持装置の再利用を容易に行なうことができる。また、凹凸部が上述のような溝を含むので、固定部材と一方側壁との間に把持されたケーブルが溝部の延在方向(溝部に配置されたケーブルの延在方向)に沿ってずれることを防止できる。このため、ケーブルの延在方向については、ケーブルを確実に保持することができる。
【0012】
上記ケーブル把持装置において、固定部材がガイド部に沿ってスライドする際の遊びが、固定部材を一方側壁側に指などで押圧したときに、固定部材の爪部と他方側壁の係合部(たとえば爪部)との係合がはずれるように設定されていてもよい(係合が外れる程度に、大きいようにしてもよい)。これにより、ケーブルを固定部材と一方側壁との間に配置していないときに、固定部材を一方側壁側に遊びの分だけ寄せることができる。この結果、固定部材の爪部と他方側壁の係合部との係合を解除することができる。この状態であれば、固定部材を他方端側へ移動させることができる。したがって、作業者は固定部材をガイド部から取外すことなく、固定部材の位置を修正するため、固定部材を他方端側へ移動できる。この結果、固定部材の位置設定をやり直すといった作業を行なう際の作業性を向上させることができる。
【0013】
また、上記ケーブル把持装置において、固定部材の頂面(溝部の底壁側とは反対側の上部表面)は、粗面化されていてもよい。これにより、固定部材の頂面の摩擦係数が大きくなるので、固定部材を作業者が指でスライドさせる際などの作業性を向上させることができる。ここで、粗面化とは、たとえば、深さが0.1〜1mm、ピッチが0.1〜1mm程度の凹凸を作ることが考えられる。また、固定部材をガイド部に沿ってスライドさせる方向における頂面の摩擦係数が大きいことがより重要であるため、頂面の表面に形成される形状として、スライド方向に垂直な方向に伸びる波が並んだような凹凸(スライド方向に垂直な方向に延在し、交互に並んだ凹部と凸部)を形成しても良い。
【0014】
また、上記ケーブル把持装置において、ケーブルが光ファイバケーブルのように応力に弱いものである場合、固定部材またはベース部材、あるいは両方で応力を吸収することが望ましい。たとえば、固定部材において、一方側壁と対向する面、あるいは他方側壁と対向する面が、それぞれ一方側壁に向かう方向または他方側壁に向かう方向に移動可能なような構造(たとえばバネ構造など)を備えていてもよい。また、固定部材を構成する材料の硬度を、ベース部材を構成する材料の硬度より低くすることができる。この場合、ケーブルに加えられる応力をベース部材側より固定部材側でより多く緩和することができる(つまり、固定部材で応力を吸収することができる)。
【0015】
上記ケーブル把持装置において、固定部材を構成する材料の強度は、ベース部材を構成する材料の強度より低くなっていてもよい。この場合、固定部材に外力が加えられたときに、ベース部材が破壊されるより先に、固定部材が破壊されるかガイド部から外れるようにすることができる。そのため、固定部材をベース部材のガイド部などに設置する作業において、ベース部材が固定部材によって破損するといった問題の発生を防止できる。なお、固定部材が破損した場合に、固定部材を交換すれば上記ケーブル把持装置を再度使用することが可能になる。
【0016】
この発明に従った電子機器は、上記ケーブル把持装置を備える。この場合、ケーブルをケーブル把持装置によって確実かつ簡単に固定することができる。また、当該ケーブル把持装置は構成が部品点数が2つと少なく小型化が容易であるため、電子機器の小型化に有利である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、比較的簡単な構成で部品点数が少なく、小型化が容易なケーブル把持装置および電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0019】
図1は、本発明に従ったケーブル収納箱を示す斜視模式図である。図2は、図1に示したケーブル収納箱を備える光通信装置10を示す模式図である。図1および図2を参照して、本発明に従ったケーブル収納箱および光通信装置の実施の形態を説明する。
【0020】
図1を参照して、本発明に従ったケーブル把持装置としてのケーブル収納箱1は、図2に示す光通信装置を構成する部材であって、その側部に点線で示す光ファイバ7を固定するための把持部3が形成されている。ケーブル収納箱1の平面形状はほぼ四角形状である。把持部3からケーブル収納箱1の内部に導入された光ファイバ7は、ケーブル収納箱1の内部に形成された環状のケーブル挿通路を通された後、その終端が光通信装置の回路に繋がる接続部へと接続される。把持部3では、光ファイバ7を挿通させるための溝部がケーブル収納箱1の筐体に形成されている。把持部3では、光ファイバ7の位置を固定するため、把持部3に位置する光ファイバ7の一部を把持する。具体的には、把持部3の溝部は、ケーブル収納箱1の筐体に形成された固定用側壁5と、当該固定用側壁5と対向するガイド用側壁4と、固定用側壁5とガイド用側壁4との底部を繋ぐ底壁とにより構成される。ガイド用側壁4と固定用側壁5との間の距離が出口側(ケーブル収納箱1の内部側)から入口側(ケーブル収納箱1の外部側)に向けて徐々に狭くなるように、ガイド用側壁4および固定用側壁5は形成されている。溝部には、固定部材6が内部に配置される。
【0021】
そして、固定部材6が把持部3の出口側から入口側へとスライドすることにより、固定部材6の側面と固定用側壁5との間で光ファイバ7の一部が挟まれる。このようにして、把持部3においては光ファイバ7を固定する。なお、把持部3の詳細な構成については後述する。
【0022】
図2に示すように、ケーブル収納箱1の上に光通信装置10の本体部11が設置される。光ファイバ7の終端は、この本体部11に形成された回路への接続部に接続される。接続方法としては、任意の方法を用いることができる。たとえば、光ファイバ7の終端に接続用コネクタを設置し、本体部11に当該コネクタが挿入されるコネクタ部を形成するといった方法を用いることができる。
【0023】
次に、把持部3の構成をより詳しく説明する。図3は、図1に示したケーブル収納箱の把持部の平面模式図である。図4は、図3の線分IV−IVにおける断面模式図である。図5は、図3に示した固定部材の斜視模式図である。図6は、図5に示した固定部材をガイド用拡径部側から見た斜視模式図である。図7は、図5に示した固定部材を位置決め部側から見た側面模式図である。図8は、図7の線分VIII−VIIIにおける断面模式図である。図9は、図5に示した固定部材のガイド用拡径部37が形成された底面および当該底面に隣接する3つの側面を示す模式図である。図10は、固定部材が配置されるガイド用側壁4と固定用側壁5とにより規定される溝部を示す平面模式図である。図11は、図10の線分XI−XIにおける断面模式図である。図12は、図10に示した溝部の裏面側から見た裏面模式図である。図3〜図12を参照して、本発明によるケーブル収納箱の把持部の構成を詳細に説明する。
【0024】
図3および図4を参照して、本発明によるケーブル収納箱1の把持部3は、溝部のガイド用側壁4と固定用側壁5との間に固定部材6が配置された構成となっている。ガイド用側壁4と固定用側壁5とは、入口側(図3の下側)から出口側(図3の上側)にかけてその間隔が徐々に広がるようになっている。すなわち、固定用側壁5の表面に対して、ガイド用側壁4の固定用側壁5に対向する表面の方向が傾斜した(交差する)状態となっている。そして、このガイド用側壁4と固定用側壁5との底部を繋ぐ底壁15には、ガイド用側壁4に沿ってガイド穴16が形成されている。
【0025】
ガイド穴16の両端部にはそれぞれ挿入用拡大穴部21および取外し用拡大穴部23が形成されている。すなわち、ガイド穴16の出口側の端部に、ガイド穴の中間部であるガイド部22の幅L1よりも直径D1が大きくなっている挿入用拡大穴部21が形成されている。そして、ガイド穴16の入口側の端部には、直径D1がガイド穴16の中間部の幅L1よりも大きくなっている取外し用拡大穴部23が形成されている。挿入用拡大穴部21および取外し用拡大穴部23の平面形状はほぼ円形状である。なお、この挿入用拡大穴部21および取外し用拡大穴部23の平面形状は、後述する固定部材6のガイド用拡径部37の平面形状と相似形であればよい。すなわち、このガイド用拡径部37の平面形状が他の形状(たとえば四角形状)であれば、当該ガイド用拡径部37の平面形状に合わせて挿入用拡大穴部21および取外し用拡大穴部23の平面形状を(たとえば四角形状に)適宜変更することができる。
【0026】
また、上記取外し用拡大穴部23のさらに入口側には、ガイド穴16のガイド部22の幅L1と実質的に同じ幅となっている延長部24が形成されている。この延長部24はガイド穴16の中間部であるガイド部22と実質的に同じ幅を有する、線状に延びる開口部である。この延長部24は、後で説明するように固定部材6をガイド穴16から取外す場合に、固定部材6のガイド用凸部38が位置する部分となる。
【0027】
ガイド用側壁4の固定部材6と対向する側壁(内周側壁)には、凹凸形状部18が形成されている。また、固定部材6のガイド用側壁4と対向する側面であるガイド用側面35では、位置決め部36において凸部40(図7および図8参照)が形成されている。この凹凸形状部18は、上記固定部材6の位置決め部36に形成された凸部40と噛み合うことにより、固定部材6が把持部3の出口側から入口側(矢印aに沿った方向)にのみ移動し、出口側へ向かっては移動できないようにするための移動方向規制部材として作用する。
【0028】
また、固定部材6の固定用側壁5と対向する側面である固定用側面30の表面にも凹凸部が形成されている。また、固定用側壁5のガイド用側壁4と対向する側壁表面には凹凸形状部19が形成されている。この凹凸形状部19および固定部材6の固定用側面30に形成された凹凸部は、それぞれ底壁15側から固定用側壁5の頂面側(上部側)に向けて延びるように形成された複数の溝部と凸部とからなる。この凹凸形状部19と固定部材6の固定用側面30に形成された凹凸部とに挟まれることにより、光ファイバ7は矢印bで示される方向の移動が規制される(固定される)。
【0029】
把持部3の底壁15に形成されたガイド穴16における中間部分であるガイド部22は、図4に示すように幅の相対的に狭くなっているネック部33と、幅が相対的に広くなっている拡大穴部32とからなる。ネック部33の幅L1よりも拡大穴部32の幅D1は大きくなっている。ここで、拡大穴部の幅D1は、ガイド穴16の両端に形成された挿入用拡大穴部21および取外し用拡大穴部23の直径D1と同じである。この拡大穴部32に固定部材6のガイド用拡径部37が嵌め込まれる。また、ネック部33には固定部材6の固定部材側ネック部41が配置される。このようにして、固定部材6はガイド穴16のガイド部22から外れることなくガイド穴16に沿って移動可能となっている。
【0030】
図5に示すように、固定部材6のガイド用側面35には位置決め部36が形成されている。このガイド用側面35は、固定部材6において光ファイバ7を把持するための固定用側面30と反対側の側面である。このガイド用側面35と固定用側面30とにそれぞれ隣接する底面には、図6に示すようにガイド穴16に挿入するためのガイド用拡径部37およびガイド用凸部38が形成されている。
【0031】
ガイド用凸部38の幅は図3に示したガイド穴16のガイド部22の幅L1よりも小さくなっている。また、ガイド用拡径部37と固定部材6の底面とは固定部材側ネック部41(図7参照)によって接続されている。固定部材側ネック部41の幅はガイド用凸部38の幅t(図9参照)と同じである。すなわち、固定部材側ネック部41の幅よりもガイド用拡径部37の直径の方が大きくなっている。また、この固定部材6のガイド用拡径部37の直径は、ガイド穴16の挿入用拡大穴部21および取外し用拡大穴部23に挿入可能なように、挿入用拡大穴部21および取外し用拡大穴部23の直径D1よりも小さく設定されている。また、固定部材側ネック部41の幅も、ガイド穴16のガイド部22の幅L1より小さく設定されている。
【0032】
固定部材6のガイド用側面35には、上述のように位置決め部36が形成されている。この位置決め部36は、図7に示すようにその両側に切欠部(スリット)が形成され、また図8に示すようにその内周側に空間が形成された状態となっている。このため、位置決め部36は固定部材6の内周側に向けて弾性変形可能である。また、位置決め部36の表面(固定部材6を溝部に配置したときにガイド用側壁4に対向する表面)には、凸部40が形成されている。この凸部40は図8に示すように2つあるいは3つ以上の複数個形成されていてもよい。この凸部40は、図3に示すように、固定部材6をガイド穴16に沿って矢印aに示すように把持部3の出口側から入口側に向けて移動させるとき、ガイド用側壁4の凹凸形状部18の凹部と噛み合う。この結果、固定部材6が把持部3の出口側に向けてスライドする(逆行する)ことを防止できる。なお、ガイド用側壁4の凹凸形状部18を構成する凸部の断面形状(図3に示した方向から当該凸部の形状)は、入口側に面する側面と出口側に面する側面とを有する。ガイド用側壁4の延在方向に対する入口側に面する側面の延在方向の交差角度(たとえばほぼ90°)が、ガイド用側壁4の延在方向に対する出口側に面する側面の延在方向の交差角度(たとえばほぼ30°)より大きくなっている。また、図8および図9に示すように、固定部材6の位置決め部36に形成された凸部40は、図3に示すように溝部に配置されたときに出口側に面する側面と入口側に面する側面とを有する断面形状を有している。ガイド用側面35に対する凸部40の上記出口側に面する側面の交差角度(たとえばほぼ90°)は、ガイド用側面35に対する凸部40の上記入口側に面する側面の交差角度(たとえばほぼ30°)より大きくなっている。そして、固定部材の凸部40の出口側に面する側面と、ガイド用側壁4の凹凸形状部18の入口側に面する側面とが接触することにより、固定部材6が出口側に逆行することが確実に防止される。
【0033】
図9は、上述のように固定部材6の底面と、その底面に隣接する3つの側面を示す模式図である。具体的には、図9の上段中央部には固定部材6のガイド用凸部38およびガイド用拡径部37が形成された底面が示されている。ガイド用凸部38の幅tは上述したガイド穴16のガイド部22の幅L1よりも小さくなっている。また、ガイド用拡径部37の直径D2は上述のように挿入用拡大穴部21および取外し用拡大穴部23の直径D1よりも小さくなっている。また、ガイド用凸部38の延在方向は、位置決め部36が形成されたガイド用側面35の延在方向と実質的に平行になっている。これは、図3に示したガイド穴16のガイド部22の延在方向とガイド用側壁4の延在方向とが実質的に平行になっていることに対応する。
【0034】
図9の上段左側の図は、位置決め部36の先端部側から見た固定部材6の側面模式図である。図9の上段右側の図は、位置決め部36の根元側から見た固定部材6の側面模式図である。図9の下段の図は、固定用側面30側から見た固定部材6の模式図である。図9からもわかるように、固定部材6はその底面(および頂面)の平面形状がほぼ台形状であり、また底面に隣接するそれぞれの側面の平面形状はほぼ矩形状である。そして、固定部材6の固定用側面30の延在方向に対するガイド用側面35の延在方向の傾斜(交差)角度は、実質的に図3に示したガイド用側壁4の内周側面に対する固定用側壁5の内周側壁の延在方向の傾斜(交差)角度と同様である。
【0035】
把持部3を構成するガイド用側壁4、固定用側壁5および底壁15からなる溝部では、図10〜図12に示すように底壁15においてガイド用側壁4の内周表面に沿った方向に延在するガイド穴16が形成されている。ガイド穴16には、上述のように把持部3の出口側(図10の上方)から順に挿入用拡大穴部21、ガイド部22、取外し用拡大穴部23および延長部24が形成されている。ガイド穴16のガイド部22の断面形状は、図11に示すように、底壁15の上部表面側に位置するネック部33と、このネック部33に連なり、底壁15の外周側表面に近い側に位置する拡大穴部32とからなる。図12に示すように、この拡大穴部32の幅は挿入用拡大穴部21および取外し用拡大穴部23の直径と同じになっている。また、ネック部33の幅は延長部24の幅と実質的に同じになっている。このような構造とすることにより、固定部材6のガイド用拡径部37を挿入用拡大穴部21からガイド穴16に挿入し、固定部材6を把持部3の入口側(取外し用拡大穴部23が形成された側)へとスライドさせた場合に、固定部材6のガイド用拡径部37が拡大穴部32に挿入された状態になる。この結果、固定部材6が把持部3の底壁15から離れることなく、底壁15のガイド穴16に沿ってスライド可能になる。
【0036】
次に、上述したケーブル収納箱1の把持部3の操作方向について図13〜図16を参照して説明する。図13は、把持部3の操作方法を説明するための平面模式図である。図14は、図13に示した把持部の裏面側の状態を示す裏面模式図である。図15は、本発明によるケーブル収納箱の把持部の動作を説明するための他の平面模式図である。図16は、図15に示した把持部の裏面側の状態を示す裏面模式図である。
【0037】
まず、把持部3のガイド用側壁4、固定用側壁5および底壁15によって規定される溝部の内部に固定部材6を設置する工程を説明する。このときに、図13および図14に示すように、固定部材6のガイド用拡径部37を、底壁15に形成されたガイド穴16の挿入用拡大穴部21に挿入する。また、このとき、固定部材6のガイド用側面35がガイド用側壁4と対向するように、固定部材6を配置する。また、固定部材6の底面に形成されたガイド用凸部38は、ガイド穴16のネック部33に挿入された状態になっている。そして、図13および図14に示した状態から、図13の矢印に示す方向に(つまりガイド部22の延在方向に沿って)固定部材6をスライドさせる。この結果、固定部材6のガイド用拡径部37が図4に示すようにガイド部22の拡大穴部32に嵌め込まれた状態となる。この結果、固定部材6が把持部3の底壁15から脱落することが防止される。
【0038】
そして、図13に示すように、固定用側壁5に沿って固定用側壁5と固定部材6との間に光ファイバ7を配置する。なお、光ファイバ7は上述した工程より前に予め配置しておいてもよい。この状態で、固定部材6を図13の矢印に示す方向にスライドさせると、図3に示すように固定部材6の固定用側面30と固定用側壁5の凹凸形状部19との間で光ファイバ7を挟んで固定することができる。また、固定用側壁5に対してガイド用側壁4が傾斜した状態となっているので、固定部材6をスライドさせることによって固定部材6が到達した位置によって、固定用側面30と固定用側壁5との間の距離を任意に変更できる。このため、任意の太さの光ファイバ7を把持部3において固定することができる。
【0039】
次に、光ファイバ7を把持部3から取外す場合の工程を説明する。光ファイバ7を把持部3から取外す場合、光ファイバ7を固定用側壁5に形成された凹凸形状部19の溝の延在方向(底壁15側から固定用側壁5の頂面側へ向かう方向)に引抜く。このようにすれば、凹凸形状部19の溝の延在方向には光ファイバ7を比較的容易に移動させることができるので、容易に光ファイバ7を把持部3から取外すことができる。そして、把持部3から固定部材6を取外す場合には、図15および図16に示すように、まず固定部材6をガイド穴16の一番入口側にまでスライドさせる。このとき、固定部材6のガイド用拡径部37がガイド穴16の取外し用拡大穴部23に到達する。また、固定部材6のガイド用凸部38は、ガイド穴16の延長部24に到達する。そして、この状態で固定部材6のガイド用拡径部37をガイド穴16の取外し用拡大穴部23から引抜くように、固定部材6を把持部3の底壁から取外す。このようにすれば、固定部材6を把持部3の溝部から取外すことができる。そして、取外した固定部材6は、再びガイド穴16の挿入用拡大穴部21からガイド穴16に嵌め込むことができる。このため、把持部3について再び光ファイバ7を上述した手順を用いて固定することができる。
【0040】
図3〜図16で説明した把持部3においては、図4に示すように、固定部材6の上部表面の位置とガイド用側壁4の頂面の位置とが実質的に同じ(固定部材の底面から固定部材6の上部表面までの距離と、溝部の底壁からガイド用側壁4の頂面までの距離とが実質的に同じ)になっていた。しかし、図17に示すように、固定部材6の底面から上部表面までの高さH1が、ガイド用側壁4の底壁から頂面までの高さH2よりも小さくなっていてもよい。ここで、図17は、本発明によるケーブル収納箱の把持部の第1の変形例を示す断面模式図である。図17は図4に対応する。この場合、固定部材6がガイド用側壁4固定用側壁5および底壁によって構成される溝部の内部に埋没したような状態となる。このため、他の部材が固定部材6に接触して固定部材6と固定用側壁5との間に保持されている光ファイバ7(図3参照)が誤って把持部3から外れるといった事故の発生を防止することができる。
【0041】
また、図18に示すように、固定部材6の底面から上部表面までの高さH1が、ガイド用側壁4の底面から頂面までの高さH2よりも大きくなっていてもよい。ここで、図18は、本発明によるケーブル収納箱の把持部の第2の変形例を示す断面模式図である。図18は図4に対応する。図18に示すように、固定部材6の上部表面がガイド用側壁4の頂面よりも上に位置していれば、固定部材6を把持部3において出口側から入口側へとスライドさせるときに、作業者が固定部材6を操作しやすいといったメリットがある。
【0042】
上述した説明と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を要約すれば、この発明に従ったケーブル把持装置としての把持部3は、ベース部材としてのケーブル収納箱1の筐体と固定部材6とを備える。ケーブル収納箱1には、ケーブルとしての光ファイバ7を固定する溝部が形成されている。固定部材6は、溝部の内部に配置され、溝部の一方側壁としての固定用側壁5との間に光ファイバ7を挟んで固定するためのものである。溝部において固定用側壁5と対向する他方側壁としてのガイド用側壁4は、溝部の一方端(入口側)から他方端(出口側)に向けて固定用側壁5との間の距離が徐々に大きくなるように形成されている。固定用側壁5には凹凸部としての凹凸形状部19が形成されている。固定部材6において、固定用側壁5と対向する側面としての固定用側面30に凹凸部が形成されている。ベース部材としてのケーブル収納箱1の溝部における底壁には、固定部材6がガイド用側壁4に沿って出口側から入口側へスライドするように固定部材6を案内するガイド部としてのガイド穴16が形成されている。固定部材6において、ガイド用側壁4に対向する側面には爪部としての凸部40が形成されている。ガイド用側壁4には、固定部材6の凸部40と係合し、固定部材6の出口側への移動を規制する係合部としての凹凸形状部18が形成されている。
【0043】
このようにすれば、溝部の内部で固定部材6を出口側から入口側へスライドさせることによって、固定部材6と固定用側壁5との間の距離が徐々に狭くなる。そのため、予め溝部の固定用側壁5と固定部材6の凹凸部が形成された固定用側面30との間に光ファイバ7を配置し、固定部材6を上述のようにスライドさせることによって、固定部材6と固定用側壁5との間で光ファイバ7を保持、固定することができる。また、上述したケーブル把持装置は、ケーブル収納箱1の筐体と固定部材6という2つの部材によって構成されることから、部品点数が少なく構造が簡単であり、把持部3における光ファイバ7の固定作業を簡便に行なうことができる。また、部品点数が少ないことから、把持部3のサイズを小型化する事が容易である。
【0044】
さらに、直径が異なる複数の光ファイバ7についても、固定部材6のスライド位置によって固定部材6と固定用側壁5との間の距離が変化することから、当該複数種類の光ファイバ7を本発明による把持部3において、特に部品を変更することなく同じ手順で固定することができる。
【0045】
上記把持部3において、溝部の他方端側の端部から一方端側の端部までガイド部は延在してもよい。ガイド穴16は、出口側および入口側のそれぞれの端部において固定部材6を脱着可能であってもよい。この場合、一度光ファイバ7を固定した把持部3について、光ファイバ7を取外した後、固定部材6を入口側の端部においてガイド穴16から取外すことができる。また、その後再度固定部材6を出口側においてガイド穴16に装着することができる。つまり、本発明による把持部3は繰返し使用することができる。
【0046】
上記把持部3において、ガイド穴16は、溝部の底壁15にガイド用側壁4に沿って延びるように形成された開口である。固定部材6には、開口に挿入可能な凸部としてのガイド用拡径部37および固定部材側ネック部41が形成されている。当該凸部の先端部(ガイド用拡径部37)の幅D2は、ガイド穴16の中央部(ガイド部22)における開口の幅L1より大きくなっている。また、ガイド穴16の出口側および入口側の端部においては、開口の幅(挿入用拡大穴部21および取外し用拡大穴部23の直径D1)は固定部材6の凸部の先端部(ガイド用拡径部37)の幅D2より大きくなっている。この場合、ガイド穴16の端部において、ガイド穴16の挿入用拡大穴部21に固定部材6のガイド用拡径部37を挿入した後、固定部材6をガイド穴16に沿ってスライドさせる場合に、ガイド穴16のガイド部22から固定部材6が外れることを防止できる。このため、光ファイバ7の把持部3における固定作業において、固定部材6が把持部3の溝部から脱落することを防止できる。
【0047】
上記把持部3において、固定用側壁5および固定部材6の固定用側面30にそれぞれ形成された凹凸形状部19および凹凸部は、溝部の底部(底壁15側)から上部(固定用側壁5の頂面側)に向けて、互いに平行に延びる複数の溝または線状の凸部を含んでいてもよい。このようにすれば、光ファイバ7を把持部3から取外す場合、固定部材6と固定用側壁5との間に固定された光ファイバ7を、複数の溝の延在方向に沿って(溝部の底壁15側から上部に向けて)容易に取外すことができる。このため、把持部3の再利用を容易に行なうことができる。また、凹凸形状部19および固定部材6の固定用側面30に形成された凹凸部が上述のような溝または凸部を含むので、固定部材6と固定用側壁5との間に把持された光ファイバ7が、当該光ファイバ7の延在方向に沿ってずれることを防止できる。このため、光ファイバ7の延在方向については、光ファイバ7を確実に保持することができる。
【0048】
上記把持部3において、固定部材6がガイド穴16に沿ってスライドする際の遊びが、固定部材6を固定用側壁5側に指などで押したときに、固定部材6の爪部としての凸部40とガイド用側壁4の凹凸形状部18との係合がはずれる程度に、大きいようにしてもよい。これにより、光ファイバ7を固定部材6と固定用側壁5との間に配置していないときに、固定部材6を固定用側壁5側に遊びの分だけ寄せることができる。この結果、固定部材6の凸部40とガイド用側壁4の凹凸形状部18との係合を解除することができる。この状態であれば、固定部材6を出口側へ移動させることができる。したがって、作業者は固定部材6をガイド穴16から取外すことなく、固定部材6の位置を修正するため、固定部材6を出口側へ移動できる。この結果、固定部材6の位置設定をやり直すといった作業を行なう際の作業性を向上させることができる。
【0049】
また、上記把持部3において、固定部材6の頂面(溝部の底壁15側とは反対側の上部表面)は、粗面化されていてもよい。これにより、固定部材6の頂面の摩擦係数が大きくなるので、固定部材6を作業者が指でスライドさせる際などの作業性を向上させることができる。ここで、粗面化とは、たとえば、深さが0.1mm以上1mm以下、ピッチが0.1mm以上1mm以下といった線状の凹凸形状を作ることが考えられる。また、固定部材6をガイド穴16に沿ってスライドさせる方向における頂面の摩擦係数が大きいことがより重要であるため、頂面の表面に形成される形状として、ガイド穴16の延在方向に垂直な方向に伸びる波が並んだような凹凸(ガイド穴16の延在方向であるスライド方向に垂直な方向に延在し、交互に並んだ凹部と凸部)を形成しても良い。また、固定部材6を固定用側壁5側に押圧するときの作業性も向上させるため、固定部材6の頂面にマトリックス状に並んだ凸部、あるいは格子状の溝を形成してもよい。
【0050】
また、上記把持部3において、光ファイバ7のように応力に弱いケーブルを保持する場合、固定部材6またはケーブル収納箱1の筐体、あるいは両方で応力を吸収することが望ましい。たとえば、固定部材6において、固定用側壁5と対向する面を含む部分、あるいはガイド用側壁4と対向する面を含む部分が、それぞれ固定用側壁5に向かう方向またはガイド用側壁4に向かう方向に移動可能なような構造(たとえば図5に示した位置決め部36のようなバネ構造など)を備えていてもよい。また、固定部材6の材料を、ケーブル収納箱1の筐体の材料より硬度の低い材料とすることにより、固定部材6で応力を吸収することができる。なお、硬度の指標としては、例えばロックウェル硬度(測定方法の規格:ASTM D785)を用いることができる。
【0051】
上記把持部3において、図4に示すように溝部のガイド用側壁4の頂面の位置と、溝部の内部に設置された固定部材6の頂面の位置とが同じであってもよい。また、上記把持部3において、図17に示すように、溝部の底面(底壁15の内周側表面)からガイド用側壁4の頂面までの距離H2が、溝部の底面から溝部の内部に設置された固定部材6の頂面までの距離H1より大きくてもよい。この場合、溝部の内部に固定部材6が配置された状態で、作業者が誤って固定部材6に触れる可能性を低減できる。また、上記把持部3において、図18に示すように、溝部の底面から溝部のガイド用側壁4の頂面までの距離H2が、溝部の底面から前記溝部の内部に設置された固定部材6の頂面までの距離H1より小さくてもよい。この場合、溝部の内部に配置された固定部材6の頂面を含む上部がガイド用側壁4の上部から突出した状態になるので、固定部材6をスライドさせるといった作業の作業性を向上させることができる。
【0052】
また、上記把持部3では、固定部材6を構成する材料の強度が、ケーブル収納箱1の筐体を構成する材料の強度より低くなっている。この場合、固定部材6をガイド穴16に設置する作業などにおいて、ケーブル収納箱1の筐体が固定部材6によって損傷を受けることを防止できる。なお、固定部材6が部分的に破損する(たとえば局所的に凹む、あるいはガイド用拡径部37が固定部材6から取れる)といった問題が起きた場合、固定部材6を交換すれば、上記把持部3を再度使用することが可能になる。なお、強度の指標としては例えば、プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法(JIS K7110、ISO 180)を用いて測定された衝撃強さを用いることができる。
【0053】
上述した把持部3を構成する材料の例として、たとえば固定部材6の材料としては、ポリアミド(ナイロン)(PA)、ポリアセタール(POM)などを用いることができる。また、ケーブル収納箱1の筐体の材料としては、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABSとPCのアロイ(ABS+PC)などを用いることができる。
【0054】
この発明に従った電子機器としての光通信装置10は、上記ケーブル把持装置としての把持部3を備える。この場合、ケーブルとしての光ファイバ7を把持部3によって確実かつ簡単に固定することができる。また、当該把持部3は部品点数が2つと少なく小型化が容易であるため、光通信装置10の小型化に有利である。
【0055】
また、上述した把持部3では、図3に示すように固定部材6の固定用側面30の延在方向と固定用側壁5の延在方向とがほぼ並行になっているが、それぞれの延在方向が交差するようになっていてもよい。また、固定部材6の固定用側面30は図3に示すように平面状であってもよいが、他の形状(たとえば固定用側壁5側に凸となる曲面)であってもよい。また、固定用側壁5の凹凸形状部19の凹凸や固定部材6の固定用側面30の凹凸の形状は、任意の形状とすることができる。
【0056】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に従ったケーブル把持装置は、特に光通信装置において光ファイバを固定する構造として利用できるが、他の任意のケーブルを固定する構造として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に従ったケーブル収納箱を示す斜視模式図である。
【図2】図1に示したケーブル収納箱を備える光通信装置10を示す模式図である。
【図3】図1に示したケーブル収納箱の把持部の平面模式図である。
【図4】図3の線分IV−IVにおける断面模式図である。
【図5】図3に示した固定部材の斜視模式図である。
【図6】図5に示した固定部材をガイド用拡径部側から見た斜視模式図である。
【図7】図5に示した固定部材を位置決め部側から見た側面模式図である。
【図8】図7の線分VIII−VIIIにおける断面模式図である。
【図9】図5に示した固定部材のガイド用拡径部が形成された底面および当該底面に隣接する3つの側面を示す模式図である。
【図10】固定部材が配置されるガイド用側壁と固定用側壁とにより規定される溝部を示す平面模式図である。
【図11】図10の線分XI−XIにおける断面模式図である。
【図12】図10に示した溝部の裏面側から見た裏面模式図である。
【図13】把持部の操作方法を説明するための平面模式図である。
【図14】図13に示した把持部の裏面側の状態を示す裏面模式図である。
【図15】本発明によるケーブル収納箱の把持部の動作を説明するための他の平面模式図である。
【図16】図15に示した把持部の裏面側の状態を示す裏面模式図である。
【図17】本発明によるケーブル収納箱の把持部の第1の変形例を示す断面模式図である。
【図18】本発明によるケーブル収納箱の把持部の第2の変形例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ケーブル収納箱、3 把持部、4 ガイド用側壁、5 固定用側壁、6 固定部材、7 光ファイバ、10 光通信装置、11 本体部、15 底壁、16 ガイド穴、18,19 凹凸形状部、21 挿入用拡大穴部、22 ガイド部、23 取外し用拡大穴部、24 延長部、30 固定用側面、32 拡大穴部、33 ネック部、35 ガイド用側面、36 位置決め部、37 ガイド用拡径部、38 ガイド用凸部、40 凸部、41 固定部材側ネック部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを固定する溝部が形成されたベース部材と、
前記溝部の内部に配置され、前記溝部の一方側壁との間に前記ケーブルを挟んで固定するための固定部材とを備え、
前記溝部において前記一方側壁と対向する他方側壁は、前記溝部の一方端から他方端に向けて前記一方側壁との間の距離が徐々に大きくなるように形成されており、
前記一方側壁には凹凸部が形成され、
前記固定部材において、前記一方側壁と対向する側面に凹凸部が形成され、
前記ベース部材には、前記固定部材が前記他方側壁に沿って前記他方端側から一方端側へスライドするように前記固定部材を案内するガイド部が形成され、
前記固定部材において、前記他方側壁に対向する側面には爪部が形成され、
前記他方側壁には、前記固定部材の前記爪部と係合し、前記固定部材の前記他方端側への移動を規制する係合部が形成されている、ケーブル把持装置。
【請求項2】
前記溝部の前記他方端側の端部から前記一方端側の端部まで前記ガイド部は延在し、
前記ガイド部は、前記他方端側および前記一方端側のそれぞれの端部において前記固定部材を脱着可能である、請求項1に記載のケーブル把持装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記溝部の底壁に前記他方側壁に沿って延びるように形成された開口であり、
前記固定部材には、前記開口に挿入可能な凸部が形成されている、請求項1または2に記載のケーブル把持装置。
【請求項4】
前記一方側壁および前記固定部材の側面にそれぞれ形成された凹凸部は、前記溝部の底部から上部に向けて平行に延びる複数の溝を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブル把持装置。
【請求項5】
前記固定部材が前記ガイド部に沿ってスライドする際の遊びが、前記固定部材を前記一方側壁側に押圧したときに、前記固定部材の前記爪部と前記他方側壁の係合部との係合が外れるように設定されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブル把持装置。
【請求項6】
前記固定部材の頂面は粗面化されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のケーブル把持装置。
【請求項7】
前記固定部材を構成する材料の硬度は、前記ベース部材を構成する材料の硬度より低く、前記ケーブルに加えられる応力を前記ベース部材側より前記固定部材側でより多く緩和することができる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のケーブル把持装置。
【請求項8】
前記固定部材を構成する材料の強度は、前記ベース部材を構成する材料の強度より低く、前記固定部材に外力が加えられたときに、前記ベース部材が破壊されるより先に、前記固定部材が破壊されるか前記ガイド部から外れる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のケーブル把持装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のケーブル把持装置を備える、電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2008−185988(P2008−185988A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21923(P2007−21923)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】