ケーブル製造装置、ケーブル製造方法および測長装置
【課題】RFIDタグ内蔵ケーブルにおける個々のRFIDタグ間のケーブル長を正確に把握できるようにする。
【解決手段】複数個のRFIDタグが長手方向に間隔を空けて配置された、RFID装着テープを心線とともに沿わせてRFIDタグ内蔵ケーブル70のシースを形成するシース製造部51と、シース製造工程から押し出されたRFIDタグ内蔵ケーブル70のRFIDタグと配置順に通信を行い、RFIDタグ内の記憶手段に記憶されている識別情報を読み取るタグ情報読取部と、当該RFIDタグ内蔵ケーブル70の基準位置からのケーブル長を計測するケーブル長計測部と、前記識別情報および前記ケーブル長を基に、RFIDタグの識別情報とRFIDタグ内蔵ケーブル70の基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長を関連付けたデータベースを作成するデータベース作成部を備える。
【解決手段】複数個のRFIDタグが長手方向に間隔を空けて配置された、RFID装着テープを心線とともに沿わせてRFIDタグ内蔵ケーブル70のシースを形成するシース製造部51と、シース製造工程から押し出されたRFIDタグ内蔵ケーブル70のRFIDタグと配置順に通信を行い、RFIDタグ内の記憶手段に記憶されている識別情報を読み取るタグ情報読取部と、当該RFIDタグ内蔵ケーブル70の基準位置からのケーブル長を計測するケーブル長計測部と、前記識別情報および前記ケーブル長を基に、RFIDタグの識別情報とRFIDタグ内蔵ケーブル70の基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長を関連付けたデータベースを作成するデータベース作成部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグを内蔵したケーブルを製造するためのケーブル製造装置、ケーブル製造方法および測長装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency Identification)タグは、情報を記憶するメモリにIDなどの情報を保有しているものである。そして、そのメモリに記憶されている情報は電波または電磁誘導を用いてリーダライタと呼ばれる電波受発信器と通信し、非接触で書き込みや読み出しを行うことができる。RFIDタグは、バーコードや磁気カードのような接触方式と違い、汚れなどの表面状態の影響を受け難く、リーダライタの通信範囲内にタグを配置または通過させれば良いために読取操作が容易となる特徴を有する。そのほかに、RFIDタグ毎に固有のIDを持てるなど記録可能な情報量がバーコードより多いといった特徴を有する。また、そのRFIDタグを物品等に取り付け、物品名などの識別情報及び配列情報のデータベースとRFIDタグの記憶するメモリとを関連付けることで、物品の識別が可能である。RFIDタグの種類によっては、情報を電子的に書き込まず、予めハード的に書き込んだ製品もある。この場合、耐環境性に優れる反面、書換えが出来ないという特徴を持っている。
【0003】
ところで、ケーブルは、電源供給、信号検出、機器制御といった用途や、周囲の環境条件と耐用年数の関係、コスト等を考慮して、構造、材質及び仕様が決められている。しかし、よく使用されるケーブルの種類はある程度決まってくるため、外観がどれも似たようなものになり、見分けることがほとんど困難である。そこで、従来では、個々のケーブルを識別するため、RFIDタグを心線と一緒にいれて、RFIDタグ内蔵ケーブルを製造することが行われている。
【0004】
これにより、RFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグを読み取り、そしてRFIDタグ内蔵ケーブルに関する情報を記憶するデータベースを用いて該RFIDタグに対応した情報を参照することで、ケーブル個々を識別できるようになる。
【0005】
例えば、特許文献1には、RFIDタグが内蔵されたケーブル毎に、該ケーブルの種類記号、製造年月日、製造ライン、ロットナンバー、外径、ケーブル長等の仕様データとともに、該ケーブルに含まれる全てのRFIDタグの識別番号および配列情報等を記憶するデータベースについての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−140886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、RFIDタグ内蔵ケーブルの仕様データやRFIDタグの識別情報等および配列情報をデータベースに記録しているが、RFIDタグ内蔵ケーブルに配置されているRFIDタグ間のケーブル長は記録されていない。したがって、RFIDタグ内蔵ケーブル上にある、任意の2つのRFIDタグ間のケーブル長を知ることができない。
【0008】
仮に、RFIDタグがRFIDタグ内蔵ケーブル上を等間隔に配置されていれば、間にあるタグ数とRFIDタグ間ケーブル長から算出できるが、実際にはRFIDタグは製造時に破損または欠損することがある。これにより、RFIDタグの装着順からはRFIDタグ間ケーブル長を正確に算出できない。
【0009】
また、RFIDタグが付されたテープを使って装着した場合、テープがRFIDタグ内蔵ケーブル内で撚れたり、長いケーブルを製造するに従ってらせん状に心線に沿って巻きついたりすることがある。これにより、RFIDタグが付されたテープ上のRFIDタグ間ごとのケーブル長が異なり、RFIDタグ間ケーブル長を正確に算出できない。
さらに、RFIDタグ内蔵ケーブル内の電線と電波が電磁的に影響して、読み取れる位置と実際の配置位置が異なることもある。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、RFIDタグ内蔵ケーブルにおける個々のRFIDタグ間のケーブル長を正確に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、非接触型の通信手段と識別情報を記憶する記憶手段とを内蔵した複数個のRFIDタグが長手方向に間隔を空けて配置された、RFID装着テープを心線とともに沿わせてRFIDタグ内蔵ケーブルのシースを形成するシース製造部と、シース製造部機から押し出されたRFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグと配置順に通信を行い、記憶手段に記憶されている識別情報を読み取るタグ情報読取部と、タグ情報読取部により識別情報が読み取られたRFIDタグについて、当該RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置からのケーブル長を計測するケーブル長計測部と、タグ情報読取部により読み取られた識別情報およびケーブル長計測部により計測されたRFIDタグの基準位置からのケーブル長を基に、RFIDタグの識別情報とRFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長を関連付けたデータベースを作成するデータベース作成部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、RFIDタグ内蔵ケーブルに対応した、RFIDタグの識別情報とRFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長(位置情報)を関連付けたデータベースを作成することができる。
そして、データベースに記録されたRFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長(位置情報)を利用して、RFIDタグ間のケーブル長を正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るケーブル製造装置の構成例を示したブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るケーブル製造装置による処理例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係るリーダに備えられているアンテナの構成を示す一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るケーブル製造装置の配置の一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るIDデータベースの一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るRFIDタグ内蔵ケーブルとデータベースの関係の一例示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るIDデータベースの他の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る印字部の構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る印字部の他の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るIDデータベースの他の実施の一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る測長装置の構成例を示したブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る測長装置の外観例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る測長装置による処理例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係る測長装置で、RFIDタグ内蔵ケーブルを計測するときの一使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して下記の順序で説明する。
1.ケーブル製造装置の構成
2.ケーブル製造装置の処理
3.RFIDタグの読み取り不可のときの処理
4.測長装置の構成
5.測長装置の処理
【0015】
[1.ケーブル製造装置の構成]
本発明の一実施形態の例におけるケーブル製造装置1の構成を、図1を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形熊の例に係るケーブル製造装置1の構成を示すブロック図である。
ケーブル製造装置1は、シース製造部51と、制御部52と、リーダ53と、アンテナ54と、エンコーダ55と、IDデータベース56と、印字部57と、サーバ58と、ケーブル収納ドラム60とで構成している。
【0017】
以下に、ケーブル製造装置1の各構成要素の説明を行う。
まず、シース製造部51は、複数のケーブルとRFIDタグ装着テープを擦り合わせ(もしくは、沿わせ)、その摺り合わせた(もしくは、沿わせた)ものに膜(シース)を形成(被覆)して、RFIDタグ内蔵ケーブルを製造するものである。本実施の形態において、シース製造部51は、心線ドラム10、20、30から取り出された心線11、21、31を擦り合わせ、この擦り合わせた心線にRFIDタグ装着テープ41が貼り付けられる。その後、RFIDタグが貼り付けられた心線にシースが被覆され、RFIDタグを内蔵したケーブル(RFIDタグ内蔵ケーブル)70が製造される。なお、RFIDタグ装着テープ41は、ユニークな識別番号が振られたRFIDタグが使われるものとする。また、RFIDタグによってはメーカによって個々のRFIDが持つ識別番号の唯一性が保証されている。
【0018】
制御部52は、演算制御装置であり、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)から構成される。そして、制御部52は、各部と通信を行い、各部の動作制御を行う。
【0019】
リーダ53は、アンテナ54を備え、アンテナ54を用いて、シース製造部51から押し出されるRFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されているRFIDタグを配置順に送受信を行い、そのRFIDタグに記憶された識別番号を読み取るものである。
この識別番号は、個々のRFIDタグごとに全て違う識別番号をふられている。
また、RFIDタグに記憶されている識別情報として、0〜9の数字を組み合わせた識別番号としたが、アルファベットや記号、符号等、その他の情報であってもよい。
リーダ53は、タグ情報読取部の一例である。
【0020】
エンコーダ55は、リーダ53により読み取られたRFIDタグについて、RFIDタグ内蔵ケーブル70の基準のRFIDタグから個々のRFIDタグまでの移動量(距離)を計測する。この計測された移動量(距離)を用いて任意のRFIDタグ間の距離(ケーブル長)が計算される。
そして、基準のRFIDタグから個々のRFIDタグまでの移動量(距離)の計測点は、基準のRFIDタグの先端を基準として、アンテナ54が個々のRFIDタグの検出開始した位置までの距離(読取開始位置)と、アンテナ54が個々のRFIDタグの検出終了した位置までの距離(読取終了位置)である。これは、アンテナ54は、電波放射で送信を行っているので、RFIDタグの検出できる区間は点でなく幅をもって検出されるからである(図4を参照)。
エンコーダ55は、ケーブル長測定部の一例である。
【0021】
IDデータベース56は、リーダ53で読み取ったRFIDタグの識別番号と、エンコーダ55で計測した読取開始位置および読取終了位置とを関連付けて記憶する。また、読取開始位置および読取終了位置を基に、絶対距離とタグ間距離を算出して、RFIDタグの識別番号と関連付けて、記憶させている。
【0022】
絶対距離とは、RFIDタグ内蔵ケーブル70上の任意の基準位置から個々のRFIDタグまでの距離を指す。
ここで、基準位置とは、RFIDタグ内蔵ケーブル70上の任意の位置でよく、本実施の形態では一例として、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されたRFIDタグの読取開始位置を基準としている。なお、この基準位置は任意に設定することができ、例えばRFIDタグの読取終了位置や下記RFIDタグの位置、その他RFIDタグ内蔵ケーブル70の先端などでもよい。
また、RFIDタグの位置は、例えば当該RFIDタグの読取開始位置および読取終了位置の中点とする。あるいは、RFIDタグの読取開始位置や読取終了位置としてもよい。
また、タグ間距離とは、絶対距離を基に、隣同士のRFIDタグ間の距離を算出したものである。
【0023】
また、このIDデータベース56は、製造したケーブルに関する情報を記録するための装置で、ケーブル製造事業者が管理する。そして、このIDデータベース56に記憶されている全てのRFIDタグの情報は、必要に応じて紙や磁気テープ、メモリ又はCD等の電子情報媒体に転送できる。
なお、IDデータベース56は、例えば、磁気テープや光ディスクなどの可搬型記録媒体のドライブ装置、あるいはHDD(Hard Disc Drive)などを用いることができる。
【0024】
印字部57は、RFIDタグ内蔵ケーブル70の周方向に対して該当RFIDタグの識別番号(識別情報)の印字を行う。つまり、この印字部57は、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されているRFIDタグの周方向位置をアンテナ54で検索した結果より、そのRFIDタグがある直下に印字することを行っている。この印字によって、ユーザはRFIDタグ内蔵ケーブル70の周方向におけるRFIDタグの正確な位置を見つけることができる。
また、印字部57で印字する印は、識別番号(識別情報)以外であってもよく、その印の直下に該当識別番号のRFIDタグがあることが特定できる情報であれば、マークや識別記号等どのような印であってもよい。
【0025】
サーバ58は、IDデータベース56に記憶された情報をインターネット59等の通信経路を介して、外部機器に転送させる。つまり、使用者からの要求に応じて、その情報をダウンロードすることができる。
【0026】
ケーブル収納ドラム60は、シース製造部51から押し出せられているRFIDタグ内蔵ケーブル70を、アンテナ54、エンコーダ55、印字部57を経て、収納している。
【0027】
[2.ケーブル製造装置の処理]
本発明の一実施形態の例におけるケーブル製造装置1による処理を、図2〜10を用いて説明する。
図2は、ケーブル製造装置による処理におけるフローチャートである。
【0028】
まず、シース製造部51は、RFIDタグ内蔵ケーブル70を製造する(ステップS1)。詳細には、次のような作業を行う。まず、心線ドラム10、20、30から取り出された心線11、21、31を擦り合わせ、この擦り合わせた心線にRFIDタグ装着テープ41を貼り付ける。そして、RFIDタグが貼り付けられた心線にシースを形成(被覆)することで、RFIDタグ内蔵ケーブル70が製造される。
【0029】
次に、リーダ53に備えられているアンテナ54を用いて、シース製造部51から押し出されてくるRFIDタグ内蔵ケーブル70内にあるRFIDタグの検出と、周方向でのRFIDタグの位置の検出を行う(ステップS2)。
【0030】
RFIDタグの検出は、図3に示すように、RFIDタグ内蔵ケーブル70の周囲に均等に配置してある3つのサブアンテナ(サブアンテナ54a、サブアンテナ54b、サブアンテナ54c)を用いて行われる。この3つのサブアンテナで、RFIDタグ内蔵ケーブル70に対して送受信を行い、RFIDタグから返信されてきた電波の信号レベルの強弱を比較することで、RFIDタグの正確な位置を検出している。また、その返信信号の強弱の比較から、RFIDタグ内蔵ケーブル70の周方向でのRFIDタグの位置も検出している。
また、この本実施の形態では、サブアンテナの数を3つとしているが、それ以上のアンテナの配置にしてもよい。もしくは、1以上のアンテナがケーブルの周方向に可動できるようにしてもよい。
【0031】
ステップ2のRFIDタグの検出処理で検出されたRFIDタグに記憶されている識別番号を読み取る(ステップS3)。そして、ステップS4での読取処理と同時に、エンコーダ55にて基準のRFIDタグから個々のRFIDタグの移動量(距離)を計測する(ステップS4)。このときのエンコーダ55で計測するのは、読取開始位置および読取終了位置である。
【0032】
一例として、この移動量(距離)の計測について、図4を用いて説明する。
前提として、RFIDタグ81を基準のRFIDタグとした場合とする。
まず、RFIDタグ内蔵ケーブル70が押し出せられることで、基準のRFIDタグであるRFIDタグ81がアンテナ54の放射範囲L1に入ることで、エンコーダ55は計測を開始する。そして、RFIDタグ81がアンテナ54の放射範囲L1外になったときに、アンテナ54で読み取ったRFIDタグ81の識別番号「77668593」と、エンコーダ55で計測した読取開始位置「0.00」および読取終了位置「8.80」とを、IDデータベース56に出力する。
【0033】
そして、RFIDタグ内蔵ケーブル70が順序良く押し出せられることで、次のRFIDタグ82がアンテナ54の放射範囲L1に通過する。放射範囲L1を通過したときに、アンテナ54で読み取ったRFIDタグ82の識別番号「64530754」と、エンコーダ55で計測した読取開始位置L3「96.11」および読取終了位置L4「105.71」とを、IDデータベース56に出力する。
以上の処理を、アンテナ54を備えたリーダ53およびエンコーダ55は、順序良くくるRFIDタグに対して行っている。
【0034】
次に、ステップS3の識別番号の読取処置での識別番号およびステップS4の移動量測定処理で測定した移動量(距離)を関連付けて、IDデータベース56に記憶する(ステップS5)。
【0035】
そして、識別番号および移動量(距離)が関連付けて、IDデータベース56に順序良く入力されていくことにより、図5に示すようなデータベースが作成される(ステップS6)。また、同時に、絶対距離とタグ間距離を算出して関連付けて記憶する。
【0036】
ここで、IDデータベース56内にある識別番号と、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されているRFIDタグとの関係の一例を説明する(図6を参照)。例えば、図6に示すように、IDデータベース56内にある識別番号「77668593」は、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されているRFIDタグ91とリンクしている。そして、IDデータベース56内にある識別番号「64530754」は、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されているRFIDタグ94とリンクしている。このように、IDデータベース56内にある識別番号が上から順に、RFIDタグ内蔵ケーブル70内のRFIDタグの並びと対応している。
【0037】
そして、印字部57が、RFIDタグ内蔵ケーブル70において、アンテナ54を備えたリーダ53で検出したRFIDタグの周方向の位置にマーク又は識別記号の印字を行う(ステップS7)。
【0038】
本実施の形態では、図7に示すように、RFIDタグ内蔵ケーブル70の周囲に3つの印字部(印字部57a、印字部57b、印字部57c)を均等に配置している。そして、制御部52は、リーダ53からRFIDタグの識別番号を読み取ったサブアンテナの情報を受けて、受信したサブアンテナの位置に対応する印字部を作動させる。例えば、図2のサブアンテナ54bで識別番号を受信した場合では、サブアンテナ54bに対応する印字部57bが作動して印字する。
【0039】
また、この本実施の形態では、サブアンテナの数に合わせて印字部を3つとしているが、それ以上の印字部を配置してもよい。また、図8に示すように、印字部57dがケーブル周囲を回転できるようにするようにしてもよい。つまり、この印字部57の回転動作により、360度に対応した印字が可能となる。
【0040】
そして、印字を終えたRFIDタグ内蔵ケーブル70は、ケーブル収納ドラム60に収納される。
【0041】
ところで、ステップS6でのデータベース作成処理では、図5に示すように、基準のRFIDタグを基準としたデータベースを作成するようになっている。その他に、基準のRFIDタグからに任意の個数後のRFIDタグを経た後、その次のRFIDタグを新たな基準のRFIDタグとして設定したデータベースを作成してもよい。例えば、図9に示す例では、4つのRFIDタグを経た後に、5つ目のRFIDタグ(リスト75)を絶対距離を算出する際の基準位置として、当該RFIDタグの絶対距離の値をゼロに初期化している。
【0042】
[3.RFIDタグの読み取りが不可のときの処理]
本発明の一実施形態の例におけるケーブル製造装置1が、RFIDタグの読取ができなかった場合についての処理を、図10を用いて説明する。
図2のステップS6のデータベース作成の処理において、データベースが作成された場合において実行される。
【0043】
まず、IDデータベース56に記憶されているデータベースにおいて、タグ間距離が推定される距離(推定距離)から著しく離れている場合に、アンテナ54によってRFIDタグの識別番号が読み取れなかったRFIDタグであることが判断される。この推定距離は、シース製造部51でのRFIDタグ内蔵ケーブル70製造におけるRFIDタグを配置する任意の距離である。そして、任意の距離はほぼ等距離としている。
【0044】
そして、読み取れなかったRFIDタグの数Nは、例えば、次のような式の結果を四捨五入することで推定可能である。
【0045】
N=(タグ間距離)/(推定距離)−1
【0046】
この式より読み取れなかったRFIDタグがある場合、IDデータベース56に記憶されているデータベースにその読み取れなかったRFIDタグの箇所を欠番として記録する。例えば、図10に示すように、リスト77の箇所を空欄として記録することである。
そして、シース製造部51でRFIDタグ内蔵ケーブル70の製造する前において、RFIDタグの破損がしている場合にも、該当するRFIDタグの識別番号の箇所を空欄として、データベースに記憶するようにしている。
【0047】
また、データベースに空欄の箇所が発生した場合、その発生理由を記憶しておくようにしている。これは、例えば、リスト77の抜け発生の欄に「製造時」と記載することや、リスト78の抜け発生の欄に「テープ」と記載することである。なお、「製造時」は、シース製造部51のRFIDタグ内蔵ケーブル70の製造時において破損していることを示す。そして、「テープ」は、RFIDタグ装着テープ41納入の時点でRFIDタグが破損していることを示す。
【0048】
また、図10に示すように、リスト79の抜け発生の欄に「切断時」は、ユーザもしくケーブル製造装置1がRFIDタグ内蔵ケーブル70を切断したときに直近にあるRFIDタグに記載するものである。これは、例えば、RFIDタグ内蔵ケーブル70の出荷時においてRFIDタグ内蔵ケーブル70を切断したときや、RFIDタグ内蔵ケーブル70の使用時において欠損したときに発生するものである。
【0049】
このように、データベースに識別番号に関連付けてRFIDタグの状態を記憶させることで、データベースには、RFIDタグ内蔵ケーブルの切断や使用することで発生したRFIDタグの切断や破損の記録することができる。
【0050】
[4.測長装置の構成]
本発明の一実施形態の例における測長装置200の構成について、図11および12を用いて説明する。
図11は、測長装置200の構成を示すブロック図である。図12は、測長装置200の外観図を示す図である。なお、図12および13において対応するものは、同一符号を付す。
【0051】
測長装置200は、測長制御部210と、検知部220と、操作部230と、記憶部240と、表示部250と、インターフェース部260とで構成されている。
【0052】
測長制御部210は、演算制御装置であり、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)から構成される。そして、制御部52は、各部と通信を行い、各部の動作制御を行う。
【0053】
検知部220は、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵され、RFIDタグ内蔵ケーブル70の心線上かつ長手方向に間隔を空けて配置された複数個のRFIDタグの識別番号を非接触で読み取る電波受発信器である。読取部は、電波受発信器の一例である。
【0054】
操作部230は、ユーザの操作入力に応じた操作信号を生成し、各部の操作を行うものであり、タッチパネルや方向キー、ボタン等から構成される。
本実施の形態での操作部230は、図12に示すように、始点ボタン231および終点ボタン232を備えている。始点ボタン231を押したままで、RFIDタグ内蔵ケーブル70の任意のRFIDタグに検知部220を押し当てることで、検知部220はその任意のRFIDタグの識別番号(以後、「始点識別番号」と称す)を読み取る。また、終点ボタン232を押したままで、RFIDタグ内蔵ケーブル70の別の任意のRFIDタグに検知部220を押し当てることで、検知部220はその別の任意のRFIDタグの識別番号(以後、「終点識別番号」と称す)を読み取る。
【0055】
記憶部240は、ケーブル製造装置1でのIDデータベース56に記憶されているデータベースを記憶している。つまり、図5に示すような、リーダ53で読み取ったRFIDタグの識別番号と、エンコーダ55で計測した読取開始位置および読取終了位置とを関連付けて記憶してあるデータベースを記憶している。
この記憶部240で記憶しているものは、IDデータベース56に記憶されているデータベースの全てを記憶している必要はなく、必要な箇所のデータベースを記憶するようにしてもよい。
【0056】
表示部250は、RFIDタグ内蔵ケーブル70での任意の2つのRFIDタグ間の距離を測長制御部210で検出した結果を表示するものである。また、表示部250は、検知部220がRFIDタグ内蔵ケーブル70のRFIDタグが正しく読み取れたかどうかの判定を示すモニタとして用いられる。表示部250としては、例えばLCD(Liquid Crystal Display)を用いることができる。
【0057】
インターフェース部260は、インターネット59等の通信経路を経て、ケーブル製造装置1のサーバ58と接続されることで、ケーブル製造装置1のIDデータベース56から必要なデータベースをダウンロードして、記憶部240に必要なデータベースを記憶させている。また、ケーブル製造装置1のIDデータベース56に記憶されているデータベースを、通信経路を介して参照できるように構成されている。
また、このインターフェース部260は、IDデータベース56の情報を転送されている磁気テープや光ディスクなどの可搬型記録媒体と接続してもよい。
【0058】
[5.測長装置の処理]
本発明の一実施形態の例における測長装置200による処理を、図13〜14を用いて説明する。
図13は、測長装置200による動作におけるフローチャートである。図14は、測長装置200で、RFIDタグ内蔵ケーブル70を計測するときの使用例を示す。
【0059】
まず、RFIDタグ内蔵ケーブル70での任意の二点のRFIDタグを決める。
そして、一方の任意のRFIDタグに、始点ボタン231を押したままで測長装置200の検知部220を押し当てることで、一方の任意のRFIDタグの始点識別番号を読み取る(ステップS11)。
【0060】
例えば、図14に示すように、RFIDタグ110を始点のRFIDタグとした場合は、始点ボタン231を押したままで測長装置200の検知部220をRFIDタグ110に押し当てることで、始点のRFIDタグの識別番号「79884268」を読み取れる。
【0061】
次に、他方の任意のRFIDタグに、終点ボタン232を押したままで測長装置200の検知部220を押し当てることで、他方の任意のRFIDタグの終点識別番号を読み取る(ステップS12)。
【0062】
例えば、図14に示すように、RFIDタグ120を終点のRFIDタグとした場合は、終点ボタン232を押したままで測長装置200の検知部220をRFIDタグ120に押し当てることで、終点のRFIDタグの識別番号「17894761」を読み取れる。
【0063】
そして、記憶部240に記憶してあるデータベースから、始点識別番号および終点識別番号に対応する距離情報を読取る。例えば、始点識別番号「79884268」の場合は、図5に示すデータベースから始点識別番号「79884268」に対応したリスト71の情報が読み出される。そして、終点識別番号「17894761」の場合は、図5に示すデータベースから終点識別番号「17894761」に対応したリスト72の情報が読み出される。
【0064】
そして、記憶部240に記憶してあるデータベースから読み出された距離情報から、始点のRFIDタグから終点のRFIDタグまでの距離を算出する(ステップS14)。例えば、図5に示すデータベースから対応した距離情報より始点の絶対距離「205.60mm」と終点の絶対距離「1187.55mm」が読み出される。そして、それらの情報を基に、その差の距離「981.95mm」が算出される。
ここでは、絶対距離を利用するようにしたが、図5に示すタグ間距離、読取開始位置および読取終了位置の情報であってもよい。
【0065】
次に、ステップS14の算出処理での結果を、表示部250に表示させる(ステップS15)。例えば、算出処理の結果から、図14に示すRFIDタグ110とRFIDタグ120との距離が「981.95mm」となるので、図12における表示部250は「981.95mm」を表示する。
また、この表示部250では、始点識別番号および終点識別番号の順序を比較することで、始点から終点への方向が製造時での順方向か逆方向であるかを表示させるようにしてもよい。また、ケーブル製造の日時を表示させるようにしてもよい。
【0066】
以上説明したように、本発明は、RFIDタグ内蔵ケーブル製造時においてRFIDタグ内蔵ケーブル内にあるRFIDタグの位置情報を正確に計測し、その位置情報をデータベースに記憶することにより、RFIDタグ間の距離が正確に把握することができる。
【0067】
また、RFIDタグ内蔵ケーブル上での周方向に対応した印字をすることにより、RFIDタグの位置がケーブルの長手方向のみならず周方向の位置が認識できるため、ユーザはケーブル上にRFIDタグの最も読取りやすい位置を容易に知ることができる。
【0068】
また、一定のRFIDタグの個数後の次にくるRFIDタグを新たな基準のRFIDタグとすることで、長距離での計測において蓄積される距離の誤差を修正することができる。
【0069】
データベースに識別番号に関連付けてRFIDタグの状態を記憶させることで、RFIDタグ内蔵ケーブルの状態を容易に知ることができる。
【0070】
また、RFIDタグの識別番号は個々のケーブルごとにユニークな番号に設定されているので、別々のケーブル間については対象にできないようになっている。例えば、RFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグを始点として読み取り、別のRFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグを終点として読取った場合、操作エラーであると判定される。
また、本実施の形態で作成されるデータベースを基に、始点のRFIDタグの識別番号及び終点のRFIDタグの識別番号を比較することにより、ケーブル製造時での流れ方向が、どちらに向いているかを知ることができる。
【0071】
以上、本発明の一実施形熊の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【0072】
また、RFIDタグの位置の例として、例えば当該RFIDタグの読取開始位置および読取終了位置の中点としたが、例えばアンテナ54がRFIDタグからの最も大きい電波強度を受信したときの位置を、RFIDタグの位置としてもよい。この場合、図5,9,10に示したデータベースにおいて、開始位置および読取終了位置の読み取りが不要となるので、データベースの項目が削減され、当該データベースの容量を小さくできる。それにより、データベースの記録容量を節約できる。
【0073】
また、上述した本実施の形態では、シース製造部51によるシースの形成工程とリーダ53での読み取り工程を連続して行うように説明したが、必ずしも連続していなくてもよく、シースの形成工程の後にリーダでの読み取り工程があればよい。例えば、シース製造部51でシースが形成されたRFIDタグ内蔵ケーブルを一旦巻き取り、その後、巻き取られたRFID内蔵ケーブルを引っ張り出し、リーダを用いてRFIDタグの情報を読み取るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…ケーブル製造装置、10…心線ドラム、11…心線、41…RFIDタグ装着テープ、51…シース製造部、52…制御部、53…リーダ、54…アンテナ、54a,54b,54c…サブアンテナ、55…エンコーダ、56…IDデータベース、57,57a,57b,57c,57d…印字部、58…サーバ、60…ケーブル収納ドラム、70…RFIDタグ内蔵ケーブル、81,82,91,94,110,120…RFIDタグ、200…測長装置、210…測長制御部、220…検知部、230…操作部、231…始点ボタン、232…終点ボタン、240…記憶部、250…表示部、260…インターフェース部
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグを内蔵したケーブルを製造するためのケーブル製造装置、ケーブル製造方法および測長装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency Identification)タグは、情報を記憶するメモリにIDなどの情報を保有しているものである。そして、そのメモリに記憶されている情報は電波または電磁誘導を用いてリーダライタと呼ばれる電波受発信器と通信し、非接触で書き込みや読み出しを行うことができる。RFIDタグは、バーコードや磁気カードのような接触方式と違い、汚れなどの表面状態の影響を受け難く、リーダライタの通信範囲内にタグを配置または通過させれば良いために読取操作が容易となる特徴を有する。そのほかに、RFIDタグ毎に固有のIDを持てるなど記録可能な情報量がバーコードより多いといった特徴を有する。また、そのRFIDタグを物品等に取り付け、物品名などの識別情報及び配列情報のデータベースとRFIDタグの記憶するメモリとを関連付けることで、物品の識別が可能である。RFIDタグの種類によっては、情報を電子的に書き込まず、予めハード的に書き込んだ製品もある。この場合、耐環境性に優れる反面、書換えが出来ないという特徴を持っている。
【0003】
ところで、ケーブルは、電源供給、信号検出、機器制御といった用途や、周囲の環境条件と耐用年数の関係、コスト等を考慮して、構造、材質及び仕様が決められている。しかし、よく使用されるケーブルの種類はある程度決まってくるため、外観がどれも似たようなものになり、見分けることがほとんど困難である。そこで、従来では、個々のケーブルを識別するため、RFIDタグを心線と一緒にいれて、RFIDタグ内蔵ケーブルを製造することが行われている。
【0004】
これにより、RFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグを読み取り、そしてRFIDタグ内蔵ケーブルに関する情報を記憶するデータベースを用いて該RFIDタグに対応した情報を参照することで、ケーブル個々を識別できるようになる。
【0005】
例えば、特許文献1には、RFIDタグが内蔵されたケーブル毎に、該ケーブルの種類記号、製造年月日、製造ライン、ロットナンバー、外径、ケーブル長等の仕様データとともに、該ケーブルに含まれる全てのRFIDタグの識別番号および配列情報等を記憶するデータベースについての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−140886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、RFIDタグ内蔵ケーブルの仕様データやRFIDタグの識別情報等および配列情報をデータベースに記録しているが、RFIDタグ内蔵ケーブルに配置されているRFIDタグ間のケーブル長は記録されていない。したがって、RFIDタグ内蔵ケーブル上にある、任意の2つのRFIDタグ間のケーブル長を知ることができない。
【0008】
仮に、RFIDタグがRFIDタグ内蔵ケーブル上を等間隔に配置されていれば、間にあるタグ数とRFIDタグ間ケーブル長から算出できるが、実際にはRFIDタグは製造時に破損または欠損することがある。これにより、RFIDタグの装着順からはRFIDタグ間ケーブル長を正確に算出できない。
【0009】
また、RFIDタグが付されたテープを使って装着した場合、テープがRFIDタグ内蔵ケーブル内で撚れたり、長いケーブルを製造するに従ってらせん状に心線に沿って巻きついたりすることがある。これにより、RFIDタグが付されたテープ上のRFIDタグ間ごとのケーブル長が異なり、RFIDタグ間ケーブル長を正確に算出できない。
さらに、RFIDタグ内蔵ケーブル内の電線と電波が電磁的に影響して、読み取れる位置と実際の配置位置が異なることもある。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、RFIDタグ内蔵ケーブルにおける個々のRFIDタグ間のケーブル長を正確に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、非接触型の通信手段と識別情報を記憶する記憶手段とを内蔵した複数個のRFIDタグが長手方向に間隔を空けて配置された、RFID装着テープを心線とともに沿わせてRFIDタグ内蔵ケーブルのシースを形成するシース製造部と、シース製造部機から押し出されたRFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグと配置順に通信を行い、記憶手段に記憶されている識別情報を読み取るタグ情報読取部と、タグ情報読取部により識別情報が読み取られたRFIDタグについて、当該RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置からのケーブル長を計測するケーブル長計測部と、タグ情報読取部により読み取られた識別情報およびケーブル長計測部により計測されたRFIDタグの基準位置からのケーブル長を基に、RFIDタグの識別情報とRFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長を関連付けたデータベースを作成するデータベース作成部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、RFIDタグ内蔵ケーブルに対応した、RFIDタグの識別情報とRFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長(位置情報)を関連付けたデータベースを作成することができる。
そして、データベースに記録されたRFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長(位置情報)を利用して、RFIDタグ間のケーブル長を正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るケーブル製造装置の構成例を示したブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るケーブル製造装置による処理例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係るリーダに備えられているアンテナの構成を示す一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るケーブル製造装置の配置の一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るIDデータベースの一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るRFIDタグ内蔵ケーブルとデータベースの関係の一例示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るIDデータベースの他の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る印字部の構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る印字部の他の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るIDデータベースの他の実施の一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る測長装置の構成例を示したブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る測長装置の外観例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る測長装置による処理例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係る測長装置で、RFIDタグ内蔵ケーブルを計測するときの一使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して下記の順序で説明する。
1.ケーブル製造装置の構成
2.ケーブル製造装置の処理
3.RFIDタグの読み取り不可のときの処理
4.測長装置の構成
5.測長装置の処理
【0015】
[1.ケーブル製造装置の構成]
本発明の一実施形態の例におけるケーブル製造装置1の構成を、図1を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形熊の例に係るケーブル製造装置1の構成を示すブロック図である。
ケーブル製造装置1は、シース製造部51と、制御部52と、リーダ53と、アンテナ54と、エンコーダ55と、IDデータベース56と、印字部57と、サーバ58と、ケーブル収納ドラム60とで構成している。
【0017】
以下に、ケーブル製造装置1の各構成要素の説明を行う。
まず、シース製造部51は、複数のケーブルとRFIDタグ装着テープを擦り合わせ(もしくは、沿わせ)、その摺り合わせた(もしくは、沿わせた)ものに膜(シース)を形成(被覆)して、RFIDタグ内蔵ケーブルを製造するものである。本実施の形態において、シース製造部51は、心線ドラム10、20、30から取り出された心線11、21、31を擦り合わせ、この擦り合わせた心線にRFIDタグ装着テープ41が貼り付けられる。その後、RFIDタグが貼り付けられた心線にシースが被覆され、RFIDタグを内蔵したケーブル(RFIDタグ内蔵ケーブル)70が製造される。なお、RFIDタグ装着テープ41は、ユニークな識別番号が振られたRFIDタグが使われるものとする。また、RFIDタグによってはメーカによって個々のRFIDが持つ識別番号の唯一性が保証されている。
【0018】
制御部52は、演算制御装置であり、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)から構成される。そして、制御部52は、各部と通信を行い、各部の動作制御を行う。
【0019】
リーダ53は、アンテナ54を備え、アンテナ54を用いて、シース製造部51から押し出されるRFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されているRFIDタグを配置順に送受信を行い、そのRFIDタグに記憶された識別番号を読み取るものである。
この識別番号は、個々のRFIDタグごとに全て違う識別番号をふられている。
また、RFIDタグに記憶されている識別情報として、0〜9の数字を組み合わせた識別番号としたが、アルファベットや記号、符号等、その他の情報であってもよい。
リーダ53は、タグ情報読取部の一例である。
【0020】
エンコーダ55は、リーダ53により読み取られたRFIDタグについて、RFIDタグ内蔵ケーブル70の基準のRFIDタグから個々のRFIDタグまでの移動量(距離)を計測する。この計測された移動量(距離)を用いて任意のRFIDタグ間の距離(ケーブル長)が計算される。
そして、基準のRFIDタグから個々のRFIDタグまでの移動量(距離)の計測点は、基準のRFIDタグの先端を基準として、アンテナ54が個々のRFIDタグの検出開始した位置までの距離(読取開始位置)と、アンテナ54が個々のRFIDタグの検出終了した位置までの距離(読取終了位置)である。これは、アンテナ54は、電波放射で送信を行っているので、RFIDタグの検出できる区間は点でなく幅をもって検出されるからである(図4を参照)。
エンコーダ55は、ケーブル長測定部の一例である。
【0021】
IDデータベース56は、リーダ53で読み取ったRFIDタグの識別番号と、エンコーダ55で計測した読取開始位置および読取終了位置とを関連付けて記憶する。また、読取開始位置および読取終了位置を基に、絶対距離とタグ間距離を算出して、RFIDタグの識別番号と関連付けて、記憶させている。
【0022】
絶対距離とは、RFIDタグ内蔵ケーブル70上の任意の基準位置から個々のRFIDタグまでの距離を指す。
ここで、基準位置とは、RFIDタグ内蔵ケーブル70上の任意の位置でよく、本実施の形態では一例として、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されたRFIDタグの読取開始位置を基準としている。なお、この基準位置は任意に設定することができ、例えばRFIDタグの読取終了位置や下記RFIDタグの位置、その他RFIDタグ内蔵ケーブル70の先端などでもよい。
また、RFIDタグの位置は、例えば当該RFIDタグの読取開始位置および読取終了位置の中点とする。あるいは、RFIDタグの読取開始位置や読取終了位置としてもよい。
また、タグ間距離とは、絶対距離を基に、隣同士のRFIDタグ間の距離を算出したものである。
【0023】
また、このIDデータベース56は、製造したケーブルに関する情報を記録するための装置で、ケーブル製造事業者が管理する。そして、このIDデータベース56に記憶されている全てのRFIDタグの情報は、必要に応じて紙や磁気テープ、メモリ又はCD等の電子情報媒体に転送できる。
なお、IDデータベース56は、例えば、磁気テープや光ディスクなどの可搬型記録媒体のドライブ装置、あるいはHDD(Hard Disc Drive)などを用いることができる。
【0024】
印字部57は、RFIDタグ内蔵ケーブル70の周方向に対して該当RFIDタグの識別番号(識別情報)の印字を行う。つまり、この印字部57は、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されているRFIDタグの周方向位置をアンテナ54で検索した結果より、そのRFIDタグがある直下に印字することを行っている。この印字によって、ユーザはRFIDタグ内蔵ケーブル70の周方向におけるRFIDタグの正確な位置を見つけることができる。
また、印字部57で印字する印は、識別番号(識別情報)以外であってもよく、その印の直下に該当識別番号のRFIDタグがあることが特定できる情報であれば、マークや識別記号等どのような印であってもよい。
【0025】
サーバ58は、IDデータベース56に記憶された情報をインターネット59等の通信経路を介して、外部機器に転送させる。つまり、使用者からの要求に応じて、その情報をダウンロードすることができる。
【0026】
ケーブル収納ドラム60は、シース製造部51から押し出せられているRFIDタグ内蔵ケーブル70を、アンテナ54、エンコーダ55、印字部57を経て、収納している。
【0027】
[2.ケーブル製造装置の処理]
本発明の一実施形態の例におけるケーブル製造装置1による処理を、図2〜10を用いて説明する。
図2は、ケーブル製造装置による処理におけるフローチャートである。
【0028】
まず、シース製造部51は、RFIDタグ内蔵ケーブル70を製造する(ステップS1)。詳細には、次のような作業を行う。まず、心線ドラム10、20、30から取り出された心線11、21、31を擦り合わせ、この擦り合わせた心線にRFIDタグ装着テープ41を貼り付ける。そして、RFIDタグが貼り付けられた心線にシースを形成(被覆)することで、RFIDタグ内蔵ケーブル70が製造される。
【0029】
次に、リーダ53に備えられているアンテナ54を用いて、シース製造部51から押し出されてくるRFIDタグ内蔵ケーブル70内にあるRFIDタグの検出と、周方向でのRFIDタグの位置の検出を行う(ステップS2)。
【0030】
RFIDタグの検出は、図3に示すように、RFIDタグ内蔵ケーブル70の周囲に均等に配置してある3つのサブアンテナ(サブアンテナ54a、サブアンテナ54b、サブアンテナ54c)を用いて行われる。この3つのサブアンテナで、RFIDタグ内蔵ケーブル70に対して送受信を行い、RFIDタグから返信されてきた電波の信号レベルの強弱を比較することで、RFIDタグの正確な位置を検出している。また、その返信信号の強弱の比較から、RFIDタグ内蔵ケーブル70の周方向でのRFIDタグの位置も検出している。
また、この本実施の形態では、サブアンテナの数を3つとしているが、それ以上のアンテナの配置にしてもよい。もしくは、1以上のアンテナがケーブルの周方向に可動できるようにしてもよい。
【0031】
ステップ2のRFIDタグの検出処理で検出されたRFIDタグに記憶されている識別番号を読み取る(ステップS3)。そして、ステップS4での読取処理と同時に、エンコーダ55にて基準のRFIDタグから個々のRFIDタグの移動量(距離)を計測する(ステップS4)。このときのエンコーダ55で計測するのは、読取開始位置および読取終了位置である。
【0032】
一例として、この移動量(距離)の計測について、図4を用いて説明する。
前提として、RFIDタグ81を基準のRFIDタグとした場合とする。
まず、RFIDタグ内蔵ケーブル70が押し出せられることで、基準のRFIDタグであるRFIDタグ81がアンテナ54の放射範囲L1に入ることで、エンコーダ55は計測を開始する。そして、RFIDタグ81がアンテナ54の放射範囲L1外になったときに、アンテナ54で読み取ったRFIDタグ81の識別番号「77668593」と、エンコーダ55で計測した読取開始位置「0.00」および読取終了位置「8.80」とを、IDデータベース56に出力する。
【0033】
そして、RFIDタグ内蔵ケーブル70が順序良く押し出せられることで、次のRFIDタグ82がアンテナ54の放射範囲L1に通過する。放射範囲L1を通過したときに、アンテナ54で読み取ったRFIDタグ82の識別番号「64530754」と、エンコーダ55で計測した読取開始位置L3「96.11」および読取終了位置L4「105.71」とを、IDデータベース56に出力する。
以上の処理を、アンテナ54を備えたリーダ53およびエンコーダ55は、順序良くくるRFIDタグに対して行っている。
【0034】
次に、ステップS3の識別番号の読取処置での識別番号およびステップS4の移動量測定処理で測定した移動量(距離)を関連付けて、IDデータベース56に記憶する(ステップS5)。
【0035】
そして、識別番号および移動量(距離)が関連付けて、IDデータベース56に順序良く入力されていくことにより、図5に示すようなデータベースが作成される(ステップS6)。また、同時に、絶対距離とタグ間距離を算出して関連付けて記憶する。
【0036】
ここで、IDデータベース56内にある識別番号と、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されているRFIDタグとの関係の一例を説明する(図6を参照)。例えば、図6に示すように、IDデータベース56内にある識別番号「77668593」は、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されているRFIDタグ91とリンクしている。そして、IDデータベース56内にある識別番号「64530754」は、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵されているRFIDタグ94とリンクしている。このように、IDデータベース56内にある識別番号が上から順に、RFIDタグ内蔵ケーブル70内のRFIDタグの並びと対応している。
【0037】
そして、印字部57が、RFIDタグ内蔵ケーブル70において、アンテナ54を備えたリーダ53で検出したRFIDタグの周方向の位置にマーク又は識別記号の印字を行う(ステップS7)。
【0038】
本実施の形態では、図7に示すように、RFIDタグ内蔵ケーブル70の周囲に3つの印字部(印字部57a、印字部57b、印字部57c)を均等に配置している。そして、制御部52は、リーダ53からRFIDタグの識別番号を読み取ったサブアンテナの情報を受けて、受信したサブアンテナの位置に対応する印字部を作動させる。例えば、図2のサブアンテナ54bで識別番号を受信した場合では、サブアンテナ54bに対応する印字部57bが作動して印字する。
【0039】
また、この本実施の形態では、サブアンテナの数に合わせて印字部を3つとしているが、それ以上の印字部を配置してもよい。また、図8に示すように、印字部57dがケーブル周囲を回転できるようにするようにしてもよい。つまり、この印字部57の回転動作により、360度に対応した印字が可能となる。
【0040】
そして、印字を終えたRFIDタグ内蔵ケーブル70は、ケーブル収納ドラム60に収納される。
【0041】
ところで、ステップS6でのデータベース作成処理では、図5に示すように、基準のRFIDタグを基準としたデータベースを作成するようになっている。その他に、基準のRFIDタグからに任意の個数後のRFIDタグを経た後、その次のRFIDタグを新たな基準のRFIDタグとして設定したデータベースを作成してもよい。例えば、図9に示す例では、4つのRFIDタグを経た後に、5つ目のRFIDタグ(リスト75)を絶対距離を算出する際の基準位置として、当該RFIDタグの絶対距離の値をゼロに初期化している。
【0042】
[3.RFIDタグの読み取りが不可のときの処理]
本発明の一実施形態の例におけるケーブル製造装置1が、RFIDタグの読取ができなかった場合についての処理を、図10を用いて説明する。
図2のステップS6のデータベース作成の処理において、データベースが作成された場合において実行される。
【0043】
まず、IDデータベース56に記憶されているデータベースにおいて、タグ間距離が推定される距離(推定距離)から著しく離れている場合に、アンテナ54によってRFIDタグの識別番号が読み取れなかったRFIDタグであることが判断される。この推定距離は、シース製造部51でのRFIDタグ内蔵ケーブル70製造におけるRFIDタグを配置する任意の距離である。そして、任意の距離はほぼ等距離としている。
【0044】
そして、読み取れなかったRFIDタグの数Nは、例えば、次のような式の結果を四捨五入することで推定可能である。
【0045】
N=(タグ間距離)/(推定距離)−1
【0046】
この式より読み取れなかったRFIDタグがある場合、IDデータベース56に記憶されているデータベースにその読み取れなかったRFIDタグの箇所を欠番として記録する。例えば、図10に示すように、リスト77の箇所を空欄として記録することである。
そして、シース製造部51でRFIDタグ内蔵ケーブル70の製造する前において、RFIDタグの破損がしている場合にも、該当するRFIDタグの識別番号の箇所を空欄として、データベースに記憶するようにしている。
【0047】
また、データベースに空欄の箇所が発生した場合、その発生理由を記憶しておくようにしている。これは、例えば、リスト77の抜け発生の欄に「製造時」と記載することや、リスト78の抜け発生の欄に「テープ」と記載することである。なお、「製造時」は、シース製造部51のRFIDタグ内蔵ケーブル70の製造時において破損していることを示す。そして、「テープ」は、RFIDタグ装着テープ41納入の時点でRFIDタグが破損していることを示す。
【0048】
また、図10に示すように、リスト79の抜け発生の欄に「切断時」は、ユーザもしくケーブル製造装置1がRFIDタグ内蔵ケーブル70を切断したときに直近にあるRFIDタグに記載するものである。これは、例えば、RFIDタグ内蔵ケーブル70の出荷時においてRFIDタグ内蔵ケーブル70を切断したときや、RFIDタグ内蔵ケーブル70の使用時において欠損したときに発生するものである。
【0049】
このように、データベースに識別番号に関連付けてRFIDタグの状態を記憶させることで、データベースには、RFIDタグ内蔵ケーブルの切断や使用することで発生したRFIDタグの切断や破損の記録することができる。
【0050】
[4.測長装置の構成]
本発明の一実施形態の例における測長装置200の構成について、図11および12を用いて説明する。
図11は、測長装置200の構成を示すブロック図である。図12は、測長装置200の外観図を示す図である。なお、図12および13において対応するものは、同一符号を付す。
【0051】
測長装置200は、測長制御部210と、検知部220と、操作部230と、記憶部240と、表示部250と、インターフェース部260とで構成されている。
【0052】
測長制御部210は、演算制御装置であり、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)から構成される。そして、制御部52は、各部と通信を行い、各部の動作制御を行う。
【0053】
検知部220は、RFIDタグ内蔵ケーブル70に内蔵され、RFIDタグ内蔵ケーブル70の心線上かつ長手方向に間隔を空けて配置された複数個のRFIDタグの識別番号を非接触で読み取る電波受発信器である。読取部は、電波受発信器の一例である。
【0054】
操作部230は、ユーザの操作入力に応じた操作信号を生成し、各部の操作を行うものであり、タッチパネルや方向キー、ボタン等から構成される。
本実施の形態での操作部230は、図12に示すように、始点ボタン231および終点ボタン232を備えている。始点ボタン231を押したままで、RFIDタグ内蔵ケーブル70の任意のRFIDタグに検知部220を押し当てることで、検知部220はその任意のRFIDタグの識別番号(以後、「始点識別番号」と称す)を読み取る。また、終点ボタン232を押したままで、RFIDタグ内蔵ケーブル70の別の任意のRFIDタグに検知部220を押し当てることで、検知部220はその別の任意のRFIDタグの識別番号(以後、「終点識別番号」と称す)を読み取る。
【0055】
記憶部240は、ケーブル製造装置1でのIDデータベース56に記憶されているデータベースを記憶している。つまり、図5に示すような、リーダ53で読み取ったRFIDタグの識別番号と、エンコーダ55で計測した読取開始位置および読取終了位置とを関連付けて記憶してあるデータベースを記憶している。
この記憶部240で記憶しているものは、IDデータベース56に記憶されているデータベースの全てを記憶している必要はなく、必要な箇所のデータベースを記憶するようにしてもよい。
【0056】
表示部250は、RFIDタグ内蔵ケーブル70での任意の2つのRFIDタグ間の距離を測長制御部210で検出した結果を表示するものである。また、表示部250は、検知部220がRFIDタグ内蔵ケーブル70のRFIDタグが正しく読み取れたかどうかの判定を示すモニタとして用いられる。表示部250としては、例えばLCD(Liquid Crystal Display)を用いることができる。
【0057】
インターフェース部260は、インターネット59等の通信経路を経て、ケーブル製造装置1のサーバ58と接続されることで、ケーブル製造装置1のIDデータベース56から必要なデータベースをダウンロードして、記憶部240に必要なデータベースを記憶させている。また、ケーブル製造装置1のIDデータベース56に記憶されているデータベースを、通信経路を介して参照できるように構成されている。
また、このインターフェース部260は、IDデータベース56の情報を転送されている磁気テープや光ディスクなどの可搬型記録媒体と接続してもよい。
【0058】
[5.測長装置の処理]
本発明の一実施形態の例における測長装置200による処理を、図13〜14を用いて説明する。
図13は、測長装置200による動作におけるフローチャートである。図14は、測長装置200で、RFIDタグ内蔵ケーブル70を計測するときの使用例を示す。
【0059】
まず、RFIDタグ内蔵ケーブル70での任意の二点のRFIDタグを決める。
そして、一方の任意のRFIDタグに、始点ボタン231を押したままで測長装置200の検知部220を押し当てることで、一方の任意のRFIDタグの始点識別番号を読み取る(ステップS11)。
【0060】
例えば、図14に示すように、RFIDタグ110を始点のRFIDタグとした場合は、始点ボタン231を押したままで測長装置200の検知部220をRFIDタグ110に押し当てることで、始点のRFIDタグの識別番号「79884268」を読み取れる。
【0061】
次に、他方の任意のRFIDタグに、終点ボタン232を押したままで測長装置200の検知部220を押し当てることで、他方の任意のRFIDタグの終点識別番号を読み取る(ステップS12)。
【0062】
例えば、図14に示すように、RFIDタグ120を終点のRFIDタグとした場合は、終点ボタン232を押したままで測長装置200の検知部220をRFIDタグ120に押し当てることで、終点のRFIDタグの識別番号「17894761」を読み取れる。
【0063】
そして、記憶部240に記憶してあるデータベースから、始点識別番号および終点識別番号に対応する距離情報を読取る。例えば、始点識別番号「79884268」の場合は、図5に示すデータベースから始点識別番号「79884268」に対応したリスト71の情報が読み出される。そして、終点識別番号「17894761」の場合は、図5に示すデータベースから終点識別番号「17894761」に対応したリスト72の情報が読み出される。
【0064】
そして、記憶部240に記憶してあるデータベースから読み出された距離情報から、始点のRFIDタグから終点のRFIDタグまでの距離を算出する(ステップS14)。例えば、図5に示すデータベースから対応した距離情報より始点の絶対距離「205.60mm」と終点の絶対距離「1187.55mm」が読み出される。そして、それらの情報を基に、その差の距離「981.95mm」が算出される。
ここでは、絶対距離を利用するようにしたが、図5に示すタグ間距離、読取開始位置および読取終了位置の情報であってもよい。
【0065】
次に、ステップS14の算出処理での結果を、表示部250に表示させる(ステップS15)。例えば、算出処理の結果から、図14に示すRFIDタグ110とRFIDタグ120との距離が「981.95mm」となるので、図12における表示部250は「981.95mm」を表示する。
また、この表示部250では、始点識別番号および終点識別番号の順序を比較することで、始点から終点への方向が製造時での順方向か逆方向であるかを表示させるようにしてもよい。また、ケーブル製造の日時を表示させるようにしてもよい。
【0066】
以上説明したように、本発明は、RFIDタグ内蔵ケーブル製造時においてRFIDタグ内蔵ケーブル内にあるRFIDタグの位置情報を正確に計測し、その位置情報をデータベースに記憶することにより、RFIDタグ間の距離が正確に把握することができる。
【0067】
また、RFIDタグ内蔵ケーブル上での周方向に対応した印字をすることにより、RFIDタグの位置がケーブルの長手方向のみならず周方向の位置が認識できるため、ユーザはケーブル上にRFIDタグの最も読取りやすい位置を容易に知ることができる。
【0068】
また、一定のRFIDタグの個数後の次にくるRFIDタグを新たな基準のRFIDタグとすることで、長距離での計測において蓄積される距離の誤差を修正することができる。
【0069】
データベースに識別番号に関連付けてRFIDタグの状態を記憶させることで、RFIDタグ内蔵ケーブルの状態を容易に知ることができる。
【0070】
また、RFIDタグの識別番号は個々のケーブルごとにユニークな番号に設定されているので、別々のケーブル間については対象にできないようになっている。例えば、RFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグを始点として読み取り、別のRFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグを終点として読取った場合、操作エラーであると判定される。
また、本実施の形態で作成されるデータベースを基に、始点のRFIDタグの識別番号及び終点のRFIDタグの識別番号を比較することにより、ケーブル製造時での流れ方向が、どちらに向いているかを知ることができる。
【0071】
以上、本発明の一実施形熊の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【0072】
また、RFIDタグの位置の例として、例えば当該RFIDタグの読取開始位置および読取終了位置の中点としたが、例えばアンテナ54がRFIDタグからの最も大きい電波強度を受信したときの位置を、RFIDタグの位置としてもよい。この場合、図5,9,10に示したデータベースにおいて、開始位置および読取終了位置の読み取りが不要となるので、データベースの項目が削減され、当該データベースの容量を小さくできる。それにより、データベースの記録容量を節約できる。
【0073】
また、上述した本実施の形態では、シース製造部51によるシースの形成工程とリーダ53での読み取り工程を連続して行うように説明したが、必ずしも連続していなくてもよく、シースの形成工程の後にリーダでの読み取り工程があればよい。例えば、シース製造部51でシースが形成されたRFIDタグ内蔵ケーブルを一旦巻き取り、その後、巻き取られたRFID内蔵ケーブルを引っ張り出し、リーダを用いてRFIDタグの情報を読み取るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…ケーブル製造装置、10…心線ドラム、11…心線、41…RFIDタグ装着テープ、51…シース製造部、52…制御部、53…リーダ、54…アンテナ、54a,54b,54c…サブアンテナ、55…エンコーダ、56…IDデータベース、57,57a,57b,57c,57d…印字部、58…サーバ、60…ケーブル収納ドラム、70…RFIDタグ内蔵ケーブル、81,82,91,94,110,120…RFIDタグ、200…測長装置、210…測長制御部、220…検知部、230…操作部、231…始点ボタン、232…終点ボタン、240…記憶部、250…表示部、260…インターフェース部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型の通信手段と識別情報を記憶する記憶手段とを内蔵した複数個のRFIDタグが長手方向に間隔を空けて配置された、RFID装着テープを心線とともに沿わせてRFIDタグ内蔵ケーブルのシースを形成するシース製造部と、
前記シース製造部でシースが形成されたRFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグと配置順にアンテナを介して通信を行い、前記記憶手段に記憶されている識別情報を読み取るタグ情報読取部と、
前記タグ情報読取部により識別情報が読み取られたRFIDタグについて、当該RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置からのケーブル長を計測するケーブル長計測部と、
前記タグ情報読取部により読み取られた識別情報および前記ケーブル長計測部により計測されたRFIDタグの基準位置からのケーブル長を基に、前記RFIDタグの識別情報と前記RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長を関連付けたデータベースを作成するデータベース作成部と
を有するケーブル製造装置。
【請求項2】
前記データベース作成部は、前記複数個のRFIDタグのうち任意のRFIDタグをそれ以降に配置されたRFIDタグに適用される新たな基準位置として設定し、前記RFIDタグの前方に存在する直近の基準位置から当該RFIDタグまでのケーブル長を計算し、計算結果を前記RFIDタグの識別情報と関連付けて前記データベースに記録する
請求項1に記載のケーブル製造装置。
【請求項3】
前記データベース作成部はさらに、前記RFIDタグの識別情報と隣接RFIDタグまでのケーブル長を関連付けて前記データベースに記録する
請求項2に記載のケーブル製造装置。
【請求項4】
前記RFIDタグの記憶手段は、当該RFIDタグの状態を示す情報を記憶しており、
前記データベース作成部はさらに、前記RFIDタグの識別情報と当該RFIDタグの状態を示す情報を関連付けて前記データベースに記録する
請求項3に記載のケーブル製造装置。
【請求項5】
前記データベース作成部はさらに、前記タグ情報読取部が前記RFIDタグの識別情報を読み取れない場合、当該RFIDタグの識別情報を読み取れない旨と当該RFIDタグの識別情報を読み取れなかったときの工程を関連付けて前記データベースに記録する
請求項4に記載のケーブル製造装置。
【請求項6】
前記RFIDタグ内蔵ケーブルの周方向の指定された位置に印字を行う印字部、を更に備え、
前記タグ情報読取部は、前記アンテナと前記RFIDタグとの無線による通信状況から前記RFIDタグの前記RFIDタグ内蔵ケーブルの周方向における位置を特定し、前記印字部は、前記RFIDタグ内蔵ケーブルの周方向の前記特定された位置に印字を行う
請求項3に記載のケーブル製造装置。
【請求項7】
RFIDタグ内蔵ケーブルに内蔵され、前記RFIDタグ内蔵ケーブルの心線上かつ長手方向に間隔を空けて配置された複数個のRFIDタグの識別情報を読み取る読取部と、
前記RFIDタグの識別情報と前記RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長を関連付けたデータベースを記憶する記憶部と、
前記RFIDタグ内蔵ケーブルにある任意の二点のRFIDタグのうち、一方のRFIDタグの識別情報を前記読取部に始点の読取指示を行い、そして他方のRFIDタグの識別情報を前記読取部に終点の読取指示を行う操作部と、
前記データベースより前記始点の読取指示で読み取った識別情報に該当する前記RFIDタグ内蔵ケーブルでの基準位置から前記始点のRFIDタグまでのケーブル長と、前記データベースより前記終点の読取指示で読み取った識別情報に該当する前記RFIDタグ内蔵ケーブルでの基準位置から前記終点のRFIDタグまでのケーブル長とを用いて、前記任意の二点のRFIDタグの間のケーブル長を算出する制御部と、
前記制御部で算出した前記任意の二点のRFIDタグの間のケーブル長を表示する表示部と、
を備えた測長装置。
【請求項8】
非接触型の通信手段と識別情報を記憶する記憶手段とを内蔵した複数個のRFIDタグが長手方向に間隔を空けて配置された、RFID装着テープを心線とともに沿わせてRFIDタグ内蔵ケーブルのシースを形成するシース製造工程と、
前記シース製造工程でシースが形成されたRFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグと配置順に通信を行い、前記記憶手段に記憶されている識別情報を読み取るタグ情報読取工程と、
前記タグ情報読取工程により識別情報が読み取られたRFIDタグについて、当該RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置からのケーブル長を計測するケーブル長計測工程と、
前記タグ情報読取工程により読み取られた識別情報および前記ケーブル長計測工程により計測されたRFIDタグの基準位置からのケーブル長を基に、前記RFIDタグの識別情報と前記RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長を関連付けたデータベースを作成するデータベース作成工程と
を有するケーブル製造方法。
【請求項1】
非接触型の通信手段と識別情報を記憶する記憶手段とを内蔵した複数個のRFIDタグが長手方向に間隔を空けて配置された、RFID装着テープを心線とともに沿わせてRFIDタグ内蔵ケーブルのシースを形成するシース製造部と、
前記シース製造部でシースが形成されたRFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグと配置順にアンテナを介して通信を行い、前記記憶手段に記憶されている識別情報を読み取るタグ情報読取部と、
前記タグ情報読取部により識別情報が読み取られたRFIDタグについて、当該RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置からのケーブル長を計測するケーブル長計測部と、
前記タグ情報読取部により読み取られた識別情報および前記ケーブル長計測部により計測されたRFIDタグの基準位置からのケーブル長を基に、前記RFIDタグの識別情報と前記RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長を関連付けたデータベースを作成するデータベース作成部と
を有するケーブル製造装置。
【請求項2】
前記データベース作成部は、前記複数個のRFIDタグのうち任意のRFIDタグをそれ以降に配置されたRFIDタグに適用される新たな基準位置として設定し、前記RFIDタグの前方に存在する直近の基準位置から当該RFIDタグまでのケーブル長を計算し、計算結果を前記RFIDタグの識別情報と関連付けて前記データベースに記録する
請求項1に記載のケーブル製造装置。
【請求項3】
前記データベース作成部はさらに、前記RFIDタグの識別情報と隣接RFIDタグまでのケーブル長を関連付けて前記データベースに記録する
請求項2に記載のケーブル製造装置。
【請求項4】
前記RFIDタグの記憶手段は、当該RFIDタグの状態を示す情報を記憶しており、
前記データベース作成部はさらに、前記RFIDタグの識別情報と当該RFIDタグの状態を示す情報を関連付けて前記データベースに記録する
請求項3に記載のケーブル製造装置。
【請求項5】
前記データベース作成部はさらに、前記タグ情報読取部が前記RFIDタグの識別情報を読み取れない場合、当該RFIDタグの識別情報を読み取れない旨と当該RFIDタグの識別情報を読み取れなかったときの工程を関連付けて前記データベースに記録する
請求項4に記載のケーブル製造装置。
【請求項6】
前記RFIDタグ内蔵ケーブルの周方向の指定された位置に印字を行う印字部、を更に備え、
前記タグ情報読取部は、前記アンテナと前記RFIDタグとの無線による通信状況から前記RFIDタグの前記RFIDタグ内蔵ケーブルの周方向における位置を特定し、前記印字部は、前記RFIDタグ内蔵ケーブルの周方向の前記特定された位置に印字を行う
請求項3に記載のケーブル製造装置。
【請求項7】
RFIDタグ内蔵ケーブルに内蔵され、前記RFIDタグ内蔵ケーブルの心線上かつ長手方向に間隔を空けて配置された複数個のRFIDタグの識別情報を読み取る読取部と、
前記RFIDタグの識別情報と前記RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長を関連付けたデータベースを記憶する記憶部と、
前記RFIDタグ内蔵ケーブルにある任意の二点のRFIDタグのうち、一方のRFIDタグの識別情報を前記読取部に始点の読取指示を行い、そして他方のRFIDタグの識別情報を前記読取部に終点の読取指示を行う操作部と、
前記データベースより前記始点の読取指示で読み取った識別情報に該当する前記RFIDタグ内蔵ケーブルでの基準位置から前記始点のRFIDタグまでのケーブル長と、前記データベースより前記終点の読取指示で読み取った識別情報に該当する前記RFIDタグ内蔵ケーブルでの基準位置から前記終点のRFIDタグまでのケーブル長とを用いて、前記任意の二点のRFIDタグの間のケーブル長を算出する制御部と、
前記制御部で算出した前記任意の二点のRFIDタグの間のケーブル長を表示する表示部と、
を備えた測長装置。
【請求項8】
非接触型の通信手段と識別情報を記憶する記憶手段とを内蔵した複数個のRFIDタグが長手方向に間隔を空けて配置された、RFID装着テープを心線とともに沿わせてRFIDタグ内蔵ケーブルのシースを形成するシース製造工程と、
前記シース製造工程でシースが形成されたRFIDタグ内蔵ケーブルのRFIDタグと配置順に通信を行い、前記記憶手段に記憶されている識別情報を読み取るタグ情報読取工程と、
前記タグ情報読取工程により識別情報が読み取られたRFIDタグについて、当該RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置からのケーブル長を計測するケーブル長計測工程と、
前記タグ情報読取工程により読み取られた識別情報および前記ケーブル長計測工程により計測されたRFIDタグの基準位置からのケーブル長を基に、前記RFIDタグの識別情報と前記RFIDタグ内蔵ケーブルの基準位置から個々のRFIDタグまでのケーブル長を関連付けたデータベースを作成するデータベース作成工程と
を有するケーブル製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−192480(P2011−192480A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56462(P2010−56462)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
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