説明

ゲル状消臭芳香剤

【課題】均一に着色され、光暴露によって生じる香りの変調が抑制されたゲル状消臭芳香剤を提供する。
【解決手段】親水性染料(a1)、全香料中にアルデヒド系香料成分の含有量が5質量%以下である香料(a2)、特定の含窒素界面活性剤(a3)、及び水を含有し、(a1)成分/(a2)成分の質量比が1/15000〜1/100であり、且つ(a2)成分/(a3)成分の質量比が10/1〜1/100である液状混合物(A)と、吸水性樹脂(B)とを含有する、ゲル状消臭芳香剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲル状消臭芳香剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、香料成分や消臭成分を含有する球状やブロック状の吸水性樹脂を用いたゲル状消臭芳香剤が、審美的観点あるいは空気との接触面積が大きく、芳香成分の揮散が促進され香り立ちに優れるという利点があることから関心が高まっている。しかしながら、逆にこの揮散促進は芳香持続性という観点からは欠点であるため、香り立ちに優れ、且つ芳香持続性に満足できるゲル状芳香剤及び/又は消臭剤が強く求められている。また、吸水性樹脂に存在する香料含有組成物は、貯蔵中に樹脂に保持されず樹脂の外に染み出すという、所謂離水という現象がしばしば起こり、審美的観点、芳香持続性の点から改善が強く求められる。
【0003】
一般のゲル状芳香剤および消臭剤は、その審美的観点から透明あるいは半透明の容器に充填し、ゲル状芳香剤および消臭剤の外観を楽しむ工夫が見られる。しかしながら、実際に使用する場面において、遮光効果が少ない透明および半透明容器では吸水性樹脂に存在する香料含有組成物が、自然光や室内灯の光の下に曝されると、ゲル状芳香剤及び消臭剤の褪色を引き起こすため審美的外観を損ね、香りの変化が著しく、設計どおりの香り立ち、あるいは芳香持続性が発揮されない問題が見られる。
【0004】
特許文献1、2には、イソブチレン−無水マレイン酸共重合物をゲル化剤として用いたゲル状芳香剤の技術が開示されており、香料の可溶化剤として界面活性剤を用いる技術が開示されている。また、特許文献3、4はアクリルアミド−アクリル酸塩共重合体を含む吸水性樹脂を用いたゲル状芳香剤の技術が開示されており、界面活性剤として非イオン界面活性剤や両性界面活性剤を用いることが記載されている。また、特許文献5には非イオン界面活性剤、両性界面活性剤などを含浸させた含水ゲルの技術が開示されており、消臭剤や芳香剤等として使用できることが記載されている。また、特許文献6は、重合反応を行う際に、親油性の油溶性顔料と特定の顔料分散剤を使用して、色転移現象を改善し、手や服に付着しない、着色されたビーズ状高吸水性樹脂を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−212354号公報
【特許文献2】特開2006−167202号公報
【特許文献3】特開2007−291145号公報
【特許文献4】特開2007−291146号公報
【特許文献5】特開2007−270100号公報
【特許文献6】特開2007−119721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜4は、ゲルの白濁を審美的に好ましくないものとして捉え、その状態を改善することを目的とするものであり、均一に着色され、且つ光暴露等によって生じる香調の変化が抑制されたゲル状消臭芳香剤を得る点については何ら言及されていない。また、特許文献6も、光暴露による香調変化を抑制する方法については全く言及されていない。
【0007】
本発明の課題は、均一に着色され、且つ光暴露等によって生じる香調の変化が抑制されたゲル状消臭芳香剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、親水性染料(a1)〔以下、(a1)成分という〕、全香料中にアルデヒド系香料成分の含有量が5質量%以下である香料(a2)〔以下、(a2)成分という〕、下記一般式(1)で示される含窒素界面活性剤(a3)〔以下、(a3)成分という〕、及び水を含有し、(a1)成分/(a2)成分の質量比が1/15000〜1/100であり、且つ(a2)成分/(a3)成分の質量比が10/1〜1/100である液状混合物(A)と、吸水性樹脂(B)とを含有する、ゲル状消臭芳香剤に関する。
【0009】
【化1】

【0010】
〔式中、R1aは炭素数8〜24の炭化水素基であり、R1bはエチレン基又はプロピレン基であり、Xは−COO−及び−CONH−から選ばれる基である。1mは0又は1の数であり、R1c及びR1dはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基である。Yは−O-、−CH2COO-、−C36−SO3-、−CH2CH(OH)CH2−SO3-、炭素数1〜3のアルキル基及び炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基から選ばれ、Z-は陰イオンである。1nはYが分子内に陰イオンを有する場合には0の数であり、Yが炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である場合には1の数である。〕
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、均一に着色され、且つ光暴露等によって生じる香調の変化が抑制されたゲル状消臭芳香剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<液状混合物(A)>
〔(a1)成分〕
本発明の液状混合物(A)は、親水性染料〔(a1)成分〕を含有する。(a1)成分としては、例えば「染料便覧」〔有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善(株)〕、「染料ノート第22版」〔(株)色染社〕、「法定染料ハンドブック」〔日本化粧品工業連合会編、1988年11月28日発行、(株)薬事日報社〕などに記載されているものから、親水性の染料を選ぶことができ、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び食品用色素から選ばれる化合物が好適である。また、これらの親水性の染料が吸水性樹脂(B)に均一に浸透させるために(a1)成分は分子中に親水基を有するものが好ましく、分子内に親水基としてアミノ基、スルホニル基、又はアミノ基及びスルホニル基の両方を有する、水溶性の青色系染料、緑色系染料、赤色系染料、紫色系染料、黄色系染料等を挙げることができる。なお、ここで用いたアミノ基とは、フタロシアニン系のような環状のアミノ基を意味するものではない。すなわち、フタロシアニン系色素のような発色団としてよく知られている環状のアミノ基を意味するものではない。このような(a1)成分としては、例えば、下記の各染料を挙げることができる。
【0013】
(青色系染料)
C.I.Direct Blue1、C.I.Direct Blue2、C.I.Direct Blue6、C.I.Direct Blue15、C.I.Direct Blue41、C.I.Direct Blue86、C.I.Acid Blue1、C.I.Acid Blue7、C.I.Acid Blue9、C.I.Acid Blue15、C.I.Acid Blue22、C.I.Acid Blue29、C.I.Acid Blue62、C.I.Acid Blue74、C.I.Acid Blue83、C.I.Acid Blue90、C.I.Acid Blue93、C.I.Acid Blue100、C.I.Acid Blue103、C.I.Acid Blue104、C.I.Acid Blue112、C.I.Acid Blue117、C.I.Acid Blue138、C.I.Food Blue1、C.I.ReactiveBlue13、C.I.Reactive Blue49、C.I.Reactive Blue71、C.I.Reactive Blue78、C.I.Basic Blue75、C.I.Basic Blue129。
【0014】
(緑色系染料)
C.I.Direct green1、C.I.Acid green5、C.I.Direct green6、C.I.Direct green28、C.I.Acid green3、C.I.Acid green9、C.I.Acid green16、C.I.Acid green20、C.I.Acid green28、C.I.Food green3。
【0015】
(赤色系染料)
C.I.Direct Red2、C.I.Direct Red13、C.I.Direct Red17、C.I.Direct Red28、C.I.Direct Red33、C.I.Direct Red46、C.I.Direct Red75、C.I.Direct Red79、C.I.Acid Red18、C.I.Acid Red27、C.I.Acid Red32、C.I.Acid Red33、C.I.Acid Red37、C.I.Acid Red42、C.I.Acid Red51、C.I.Acid Red52、C.I.Acid Red87、C.I.Acid Red92、C.I.Acid Red94、C.I.Acid Red138。
【0016】
(紫色系染料)
C.I.Direct Violet1、C.I.Acid Violet9、C.I.Acid Violet11、C.I.Acid Violet15、C.I.Acid Violet41、C.I.Acid Violet49。
【0017】
(黄色系染料)
C.I.Acid Yellow3、C.I.Acid Yellow17、C.I.Acid Yellow23、C.I.Acid Yellow36、C.I.Reactive Yellow2、C.I.Reactive Yellow18、C.I.Reactive Yellow85、C.I.Reactive Yellow102、C.I.Basic Yellow28、C.I.Basic Yellow36、C.I.BasicYellow51、C.I.Basic Yellow67、C.I.Food Yellow3。
【0018】
以上の水溶性染料の中で、アゾ発色団、フタロシアニン発色団、キサンテン発色団、トリアリールメタン発色団及びアントラキノン発色団から選ばれる発色団を有する水溶性染料が香調変化抑制の点から好ましく、更にはフタロシアニン発色団及びキサンテン発色団から選ばれる発色団を有する水溶性染料が好ましい。
【0019】
本発明では(a1)成分として、ポリオキシアルキレン鎖を少なくとも1つ有する染料(以下、ポリオキシアルキレン変性染料という)を用いることが可能であり、このような染料は日光などの光に対して耐褪色性を有することから好ましい。ポリオキシアルキレン変性染料は、ポリオキシアルキレン鎖と発色団を有していれば良い。
【0020】
ポリオキシアルキレン変性染料が含み得る発色団としては、アゾ発色団、フタロシアニン発色団、アントラキノン発色団、アザ[18]アヌレン発色団、フォルマザン銅錯体発色団、トリフェノオキサジン発色団、ニトロソ発色団、ニトロ発色団、ジアリールメタン発色団、トリアリールメタン発色団、キサンテン発色団、アクリデン発色団、メチン発色団、チアゾール発色団、インダミン発色団、アジン発色団、オキサジン発色団、チアジン発色団、キノリン発色団、インジゴイド発色団、インドフェノール発色団、スチルベンゼン発色団等が挙げられる。より好ましくはフタロシアニン発色団、キサンテン発色団、トリアリールメタン発色団が香調変化抑制の点から好ましく、更に好ましくはフタロシアニン発色団又はキサンテン発色団が好ましい。ポリオキシアルキレン鎖と発色団は、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を介して直接的又は間接的に結合しているものが好ましい。
【0021】
ポリオキシアルキレン変性染料の具体例として、ポリオキシアルキレン変性アントラキノン系着色料、ポリオキシアルキレン変性フタロシアニン系染料、シロキサン含有ポリ(オキシアルキレン)共重合体置換基を有する着色料、ポリ(オキシアルキレン)置換着色剤、等を挙げることができる。また、ミリケン・ケミカル社製のリクィティント(Liquitint、登録商標)染料も使用できる。
【0022】
他のポリオキシアルキレン変性染料の具体例としては、特開平2−283号公報の実施例9、10に記載のポリオキシアルキレン変性アントラキノン系着色料、特開平3−149266号公報に記載のオキシアルキレン変性フタロシアニン系染料、特開平10−316881 号公報に記載のシロキサン含有ポリ( オキシアルキレン)共重合体置換基を有する着色料、特開平10−316880号公報に記載のポリ(オキシアルキレン)置換着色剤、特開昭62−104875号公報記載のポリ(オキシアルキレン)置換着色剤、特開昭56−159224号公報に記載の染料、特開昭61−57649号公報記載の反応性染料、特表平8−502784号公報に記載の染料等を挙げることができる。
【0023】
本発明では(a1)成分として、ポリオキシアルキレン変性染料、Liquitintシリーズ(Bright Yellow、Yellow BL、Billiant Yellow、Blue BL、Patent Blue、Royal Blue)、CI.Acid Yellow3、CI.Acid Violet49、CI.Reactive Blue71、CI.Acid Violet9が香料の香調の変化抑制の点から好適である。更に好ましくはCI.Acid Violet9、CI.Reactive Blue71が挙げられる。
【0024】
本発明の香調変化抑制効果の発現機構は全て解明されている訳ではないが、本発明のゲル状消臭芳香剤に浸透した液状混合物中の(a1)成分は、可視光もしくは紫外光が本発明のゲル状消臭芳香剤が光暴露した場合、可視光もしくは紫外光を吸収することによって、光による香料成分の分解反応や酸化反応等を抑制するものと考えられる。この時、光暴露に対して染料自身の劣化が少なく、耐褪色性が良好な染料ほど、香料に対する光の影響を抑制することができ、光暴露に対する香調変化を少なくすることができるものと考えられる。(a1)成分の発色団のうち、アゾ発色団、フタロシアニン発色団、キサンテン発色団、トリアリールメタン発色団及びアントラキノン発色団は、香料の分解反応や酸化反応等に関連しているものと考えられる光を、それらの発色団が効率よく吸収することで、香料成分の安定性をより高く維持できるものと推察される。
【0025】
(a1)成分に代えて顔料を用いた場合、顔料が吸水性樹脂(B)の内部にほとんど浸透しないことから、香料へ光の影響を充分に抑制することができず、香調の変化を抑制する効果を得ることができない。また顔料は吸水性樹脂(B)全体に均一に吸着しないことから所望するような審美的外観を与える色合いも得られないことが多い。
【0026】
〔(a2)成分〕
本発明の液状混合物(A)は、全香料中にアルデヒド系香料成分の含有量が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下である香料〔(a2)成分〕を含有する。アルデヒド系香料成分とは、分子中に少なくとも1つのアルデヒド基を含有する香料成分のことを意味する。
【0027】
アルデヒド系香料成分としては、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、トリデシルアルデヒド、トリメチルヘキシルアルデヒド、メチルオクチルアセトアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、トランス−2−ヘキセナール、シス−4−ヘプテナール、2,6−ノナジエノール、シス−4−デセナール、ウンデシレンアルデヒド、トランス−2−ドデセナール、トリメチルウンデセナール、2,6,10−トリメチル−5,9−ウンデカジエナール、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、ペリラアルデヒド、メトキシジヒドロシトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、イソシクロシトラール、センテナール、ベルンアルデヒド、デュピカール
、マセアール、ボロナール、セトナール、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヒドラトロピックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェニルアセトアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、3−(p−t−ブチルフェニル)−プロピルアルデヒド、p−エチル−2,2−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、2−メチル−3−(p−メトキシフェニル)−プロピルアルデヒド、p−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、10−ウンデセナール、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−8,8−ジメチル−2−ナフトアルデヒド、1−メチル−4−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、ノナナール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド(なお、前記2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドと3,5−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドの混合物は、LIGUSTRALとしてQUEST社より市販されている)、ベンズアルデヒド、マイラックアルデヒド、4−tert−3−(4−tert−ブチルフェニル)−プロパナール(商品名=リリアール/ジボダン社)、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドと3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドの混合物(商品名=リラール/アイエフエフ社)、3,6(4,6)−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボアルデハイド(商品名=シクロベルタール/花王)、を挙げることができる。
【0028】
本発明の効果においては、これらの中でも芳香族アルデヒドの影響が大きく、特にヘリオトロピン、リリアール、リラール、リグストラール(LIGUSTRAL)、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド及びクミンアルデヒドから選ばれる香気成分が、香りの香調変化に寄与するため、これらの香料成分の含有量は、(a2)成分中に5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下が好ましく、全く含有しないものであってもよい。尚、種々の香りを設計する目的からは、これらの香料成分を(a2)成分中に0.01質量%以上含有することが好ましい。
【0029】
本発明の(a2)成分としては、芳香の持続性を向上させる目的からCLogPowが3.0以上の香料成分〔以下、(a2−1)成分という〕を、(a2)成分中、20質量%以上含有する香料を用いることが望ましい。ここでCLogPowとは化学物質の1−オクタノール/水分配係数で、f値法(疎水性フラグメント定数法)により計算で求められた値をいう。具体的には、化合物の化学構造を、その構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数(f値)を積算して求めることができ、CLOGP3 Reference Manual Daylight Software 4.34, Albert Leo, David Weininger, Version1, March 1994を参考にすることができる。
【0030】
(a2−1)成分としては、i)α−ピネン(4.18)、β−ピネン(4.18)、カンフェン(4.18)、リモネン(4.35)、テルピノーレン(4.35)、ミルセン(4.33)、p−サイメン(4.07)、β−カリオフィレン(6.45)から選ばれる炭化水素系香料、ii)サンダルマイソールコア(3.9)、サンタロール(3.9)、l−メントール(3.2)、シトロネロール(3.25)、ジヒドロミルセノール(3.03)、エチルリナロール(3.08)、ムゴール(3.03)、ネロリドール(4.58)から選ばれるアルコール系香料、iii)アルデヒドC111(4.05)、グリーナール(3.13)、マンダリンアルデヒド(4.99)、シトラール(3.12)、シトロネラール(3.26)、アミルシンナミックアルデヒド(4.32)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(4.85)、リリアール(3.86)、シクラメンアルデヒド(3.5)、セトナール(4.86)、ボロナール(4.72)、マセアール(3.6)、ベルンアルデヒド(4.88)、マイラックアルデヒド(3.87)、ジヒドロジャスモン(3.13)、イオノンα(3.71)、メチルイオノンα(4.24)、メチルイオノンG(4.02)、トリメチルウンデセナール(5.16)から選ばれるアルデヒド、ケトン系香料、iv)ヘプチルアセテート(3.36)、シトロネリルアセテート(4.20)、ゲラニルアセテート(3.72)、リナリルアセテート(3.50)、ヘキシルサリシレート(5.09)、エチルシンナメート(3.0)、ベンジルサリシレート(4.2)、イソブチルサリシレート(3.92)、ヘキシルサリシレート(5.09)、から選ばれるエステル系香料、v)チモール(3.40)、バニトロープ(3.11)から選ばれるフェノール系香料、vi)セドロキサイド(4.58)、シトロネリルエチルエーテル(4.36)、アネトール(3.31)、ネロリンヤラヤラ(3.24)、エステラゴール(3.1)、メチルイソオイゲノール(3.0)、アンブロキサン(5.27)から選ばれるエーテル系香料、テンタローム(5.7)、パールライド(5.7)、酢酸ベチベリル(5.87)などを挙げることができる。なお、かっこ内の数字はCLogPow値である(以下、香料成分について同様)。
【0031】
本発明の(a2)成分は、上述の(a2−1)成分を好ましくは20〜100質量%、香りの持続性の点から好ましくはCLogPowが3.0〜6.5の香料成分を20〜80質量%、より好ましくはCLogPowが3.0〜6.5の香料成分を25〜60質量%含有する。このような香料を用いることで香りの持続性に優れるゲル状消臭芳香剤を得ることができる。
【0032】
また、本発明の(a2)成分は、CLogPow3.0未満の香料成分、CLogPowが7.0を超える香料成分を含有することもできる。CLogPowが3.0未満の香料成分としては、テルピネオール(2.6)、ゲラニオール(2.77)、リナロール(2.55)、ミルセノール(2.61)、ネロール(2.77)、シス−ジャスモン(2.64)、フェニルエチルアセテート(2.13)、アリルアミルグリコレート(2.51)、リファローム(2.26)、シス−3−ヘキシルアセテート(2.34)、スチラリルアセテート(2.27)、o−t−ブチルシクロヘキサノン(2.27)、p−t−ブチルシクロヘキサノン(2.27)、アセチルオイゲノール(2.83)、シンナミルアセテート(2.35)、オイゲノール(2.40)、イソオイゲノール(2.58)、モスシンス(2.94)、アニソール(2.06)、メチルオイゲノール(2.78)、を挙げることができ、これらは香り立ちに優れるため(a2)成分中に含有することが好ましく、(a2)成分中に50質量%以下が好ましく、より好ましくは5〜30質量%が好適である。また、CLogPowが7.0を超える香料成分については、フィトール(8.283)、パルミチン酸エチル(8.12)、イソフィトール(8.06)などを挙げることができるが、これらの香料成分は(a2)成分中の含有量が多くなると可溶化し難く、また吸水性樹脂の浸透が難しくなる。よって、これらの香料成分の(a2)成分中の含有量は、好ましくは20%質量以下、より好ましくは10%質量以下が好適である。
【0033】
なお、本発明で用いた香料素材の名称は、「香料と調香の基礎知識」中島基貴著、産業図書(株)発行 第2刷(1996年5月30日)の記載に従った。
【0034】
本発明では香料成分の希釈剤、保留剤を(a2)成分中に含有することが出来る。希釈剤、保留剤の好適な例としては、ジプロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピルエステル、ジエチルフタレート、ベンジルベンゾエート、流動パラフィン、イソパラフィン、3−メトキシブタノール、油脂等を挙げることができる。香料成分と希釈剤及び/または保留剤の質量比は、香料成分/(希釈剤及び/または保留剤)=1/0〜2/8が好ましい。
【0035】
〔(a3)成分〕
本発明の液状混合物(A)には、下記一般式(1)で示される含窒素界面活性剤(a3)を用いる。
【0036】
【化2】

【0037】
〔式中、R1aは炭素数8〜24、好ましくは炭素数8〜18、更に好ましくは炭素数10〜14の炭化水素基、好ましくはアルキル基であり、液状混合物(A)の吸水性樹脂への吸液性の点から炭素数10〜14の炭化水素基が好ましく、より好ましくはデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基及びテトラデシル基から選ばれるアルキル基である。R1bはエチレン基又はプロピレン基であり、Xは−COO−及び−CONH−から選ばれる基である。1mは0又は1の数であり、R1c及びR1dはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基である。Yは−O-、−CH2COO-、−C36−SO3-、−CH2CH(OH)CH2−SO3-、炭素数1〜3のアルキル基及び炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基から選ばれ、Z-は陰イオン、好ましくは塩素イオン、臭素イオン、エチル硫酸エステルイオン、メチル硫酸エステルイオンである。1nはYが分子内に陰イオンを有する場合には0の数であり、Yが炭素数1〜3のアルキル基かもしくは炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基から選ばれる場合、好ましくはメチル基の場合には1の数である。〕
【0038】
本発明の(a3)成分としては特にYが−O-であるアミンオキシド、Yが−CH2COO-であるカルボベタイン、Yが−CH2CH(OH)CH2−SO3-であるスルホベタインが(a2)成分を吸水性樹脂(B)内部に浸透させる点から好適であり、Yが−O-であるアミンオキシドが最も好ましい化合物である。尚、本発明では、便宜上、Yが−O-と表記される化合物をアミンオキシドと称している。さらに、このアミンオキシドが有するYの−O-は陰イオンであるものとし、従って、かかるアミンオキシドでは上記のように1nは0の数である。
【0039】
より具体的にはN−アルキル−N,N−ジメチルアミンオキシド(この化合物名においてアルキル基とは炭素数10〜14の炭化水素基を意味する)及びN−アルカノイル−N,N−ジメチルアミンオキシド(この化合物名においてアルカノイル基とは炭素数10〜14の脂肪酸由来のアルカノイル基を意味する)から選ばれる1種以上のアミンオキシドである。本発明では、(a3)成分として、下記一般式(1’)で表されるアミンオキシドを好適に使用できる。
【0040】
【化3】

【0041】
〔式中、R1aは炭素数8〜24、好ましくは炭素数8〜18、更に好ましくは炭素数10〜14の炭化水素基、好ましくはアルキル基であり、液状混合物(A)の吸水性樹脂への吸液性の点から炭素数10〜14の炭化水素基が好ましく、より好ましくはデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基及びテトラデシル基から選ばれるアルキル基である。R1bはエチレン基又はプロピレン基であり、Xは−COO−及び−CONH−から選ばれる基である。1mは0又は1の数であり、R1c及びR1dはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基である。〕
【0042】
〔(a4)成分〕
本発明の液状混合物(A)は、非イオン界面活性剤(a4)を含有することが好ましく、特にHLB(親水性−親油性バランス)が8〜18の非イオン界面活性剤が好適である。ここで、本発明で用いるHLBは、(a4)成分がポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤である場合には、界面活性剤便覧(産業図書株式会社発行_昭和44年11月30日第8刷_西一郎ら著)307頁に記載のGriffin氏による方法を採用し、Griffin氏の方法で求めることができないものについては、同便覧319頁(界面活性剤のHLB価の求め方)に記載の方法による乳化実験で求めた値を採用する。
【0043】
より具体的には下記一般式(2)の化合物が好適である。
2a−S−〔T〕2m (2)
〔式中、R2aは炭素数が8〜24の炭化水素基であり、好ましくは炭素数が10〜22、より好ましくは炭素数が10〜18の炭化水素基が好適である。Sは−O−、−COO−、−N<、及び−CON<から選ばれる基である。Tは−(R2bO)2n−R2c、及び/又は平均縮合度が1〜2のグルコースの水酸基から水素原子と酸素原子を除いた残基(この場合はSは−O−および/または−COO−に限られる)であり、R2bはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、R2cは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基または平均縮合度が1〜2のグルコースの水酸基から水素原子と酸素原子を除いた残基である。2nは平均付加モル数であり3〜30の数であり、2mは、Sが−O−、−COO−の場合には1の数であり、Sが−N<、−CON<の場合には2の数である。また、R2a、S、TはHLBが本発明の範囲に入るように選択される。〕
【0044】
本発明では特にR2aが炭素数10〜14のアルキル基であり、Sが−O−であり、Tが−(C24O)2n−Hであり、2nが8〜22のポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤(但し、R2a、2nはHLBが本発明の範囲に入るように選択される)、及びR2aが8〜14、Sが−O−であり、Tが平均縮合度1〜1.5のグルコースのR2aに結合する水酸基から水素原子及び酸素原子を除いた残基(但し、R2a、2nはHLBが本発明の範囲に入るように選択される)であるアルキルグリコシド型界面活性剤が好適であり、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤が最も好ましい。非イオン界面活性剤(a3)のHLB(親水性−親油性バランス)が8以上であると、非イオン性界面活性剤の疎水性が適切となり香料成分〔(a1)成分〕を水溶液中で可溶化させることが容易になり、またHLBが18以下であると、吸液性が良好であり取り扱い性がよいものとなる。
【0045】
〔液状混合物(A)の組成等〕
本発明の液状混合物(A)は上述の(a1)成分〜(a4)成分を水と混合させた水溶液の形態が好ましく、使用する水は水中に存在する金属を除去したイオン交換水を用いることが好ましい。また、防腐の観点から有効塩素濃度が1〜10ppm含有させた塩素滅菌水を用いることが好ましく、より好ましくは加熱滅菌イオン交換水を用いることが好適である。ここで、液状混合物とは液体状態にある混合物のことを意味する。
【0046】
本発明の液状混合物(A)は、(a1)成分を0.0001〜0.01質量%、更に0.0001〜0.005質量%、特に0.0005〜0.003質量%含有することが好ましく、(a2)成分を0.1〜30質量%、更に0.5〜20質量%、特に1〜10質量%含有することが好ましく、(a3)成分を0.5〜50質量%、更に1〜30質量%、特に2〜10質量%含有することが好ましく、(a4)成分を0.05〜30質量%、更に0.1〜20質量%、特に1〜10質量%含有することが好ましい。(a1)成分が上記の含有量の範囲であることが香りの変化を抑制する観点から好ましい。(a2)成分の含有量は、とりわけ香りの変化が感じにくくなる観点から、1.5〜6質量%が好ましい。(a4)成分は(a1)成分と(a2)成分を均一に吸水性樹脂に吸液させることで香りの変化を抑制する効果をより高める点で含有することが好ましい。
【0047】
また、(a1)成分/(a2)成分の質量比は1/15000〜1/100であり、好ましくは1/8000〜1/100であり、さらに好ましくは1/5000〜1/200、より好ましくは1/3000〜1/500であり、且つ(a2)成分/(a3)成分の質量比が10/1〜1/100であり、好ましくは10/1〜1/50、より好ましくは10/1〜1/30、特に好ましくは10/1〜1/10である。本発明において、(a2)成分の安定化に寄与していると考えられる(a1)成分の含有量が、(a2)成分の含有量よりもはるかに少なくても、本発明の効果である香りの変化を抑制することは意外であった。
【0048】
また、(a4)成分は(a2)成分を液状混合物(A)中に均一に可溶化させるに必要な最小限の量とすべきであり、(a2)成分/(a4)成分の質量比は、好ましくは1/5〜100/1であり、より好ましくは1/1〜100/1、更に好ましくは1/10〜50/1、より更に好ましくは1/2〜30/1、特に好ましくは1/1〜15/1である。
【0049】
本発明の液状混合物(A)の20℃におけるpHは好ましくは3〜8、特に好ましくは4〜7であり、このようなpHで高い消臭効果を得ることができる。上記pHは香りの変化を抑制する点で好ましい。
【0050】
<吸水性樹脂(B)>
本発明では、上述の液状混合物(A)を、吸水性樹脂(B)に含浸させる。本発明で用いる吸水性樹脂(B)は、下記で定義される吸水量が10〜300、更に10〜250、より更に10〜200であるものが好適である。
1.吸水量
吸水性樹脂を大過剰の生理食塩水(0.9%食塩水)中に分散して、該吸水性樹脂をその吸水量が平衡状態になるまで膨潤させた後、生理食塩水を80メッシュの金網で濾過し、得られた膨潤質量wを測定し、この値を吸水前の質量w0で除して得られる値、即ち、w/w0を吸水量とする。
【0051】
吸水性樹脂(B)としては、例えばカルボン酸(塩)基〔カルボン酸基及び/又はカルボン酸の中和基の意味である。〕を有する構成単位を有する樹脂が好ましく、例えば、デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸エステル共重合体の(部分)中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物及び部分ケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物、ポリビニルアルコール変性物、部分中和ポリアクリル酸塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸塩架橋体、アクリル酸−アクリルアミド共重合物架橋体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合物架橋体等が挙げられ、使用に際しては、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0052】
好ましい吸水性樹脂(B)はポリアクリル酸塩架橋体、アクリル酸−アクリルアミド共重合物架橋体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合物架橋体であり、特に吸液性の点、及び香料持続性の点からアクリル酸−アクリルアミド共重合物架橋体が好適である。
【0053】
ポリアクリル酸塩架橋体としては、例えば特開平8−337726号公報、特開平8−127725号公報などに記載されているものを用いることができる。また、イソブチレン−無水マレイン酸共重合物架橋体は例えば、特開2000−212354号公報、特開2006−167202号公報に記載されている吸水性樹脂を用いることができる。さらに、アクリル酸−アクリルアミド共重合物架橋体としては特開2007−291145号公報、特開2007−291146号公報、特開2007−270100号公報に記載の吸水性樹脂を用いることができる。本発明では特にアクリル酸−アクリルアミド共重合物架橋体が好ましく、アクリル酸/アクリルアミドの構成比率(モル比)は、赤外線全反射法(IR測定)によって組成比を算出し、その組成比が60/40〜99/1、好ましくは70/30〜99/1、より好ましくは80/20〜95/5が好適である。
【0054】
本発明の吸水性樹脂(B)の形態は球状が好ましい。吸水性樹脂(B)が容器につめられた場合、球状であれば、樹脂同士で密着する面積が少なく間隙が多くなるため、空気との接触面積が大きくなり匂い立ちの点から良好となる。また、液状混合物(A)を含浸させる前の乾燥状態での平均粒子径は500〜4,000μm、更に800〜3,500μmが好適である。平均粒子径は、JIS試験用ふるい規格のふるい〔例えばNo.5〜No.35(公称目開きで4mm〜500μm)〕を用いたふるい分けにより測定することができる。本発明で定める平均粒子径は重量平均粒子径である。ここで球状とは、球の様な形状の意味であってよい。
【0055】
吸水性樹脂(B)の製造方法としては、逆相懸濁重合が好ましく用いられる。逆相懸濁重合について説明すると、該逆相懸濁重合における条件に特に制限はないが、好ましくは分散剤の存在下、重合に不活性な疎水性有機溶媒及び上記水溶性ビニルモノマーの水溶液を用いて行う。かかる有機溶媒及び分散剤について以下に説明する。
【0056】
まず、上記有機溶媒について説明すると、上記有機溶媒は重合に不活性な疎水性有機溶媒であることが好ましい。かかる有機溶媒としては、例えば、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;n−ブチルアルコール、n−アミルアルコールなどの炭素原子数4〜6の脂肪族アルコール;メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン;酢酸エチルなどの脂肪族エステル類を挙げることができる。かかる有機溶媒は、単独で又は二種以上の混合物として用いることができる。かかる有機溶媒は、上記水溶性ビニルモノマーの水溶液に対して、50〜500質量%の量で使用されることが好ましい。
【0057】
また、上記有機溶媒を使用するに際しては、上記有機溶媒の使用量(質量)を超えない範囲において両親媒性の溶剤を加えてもよい。かかる両親媒性の溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及び2−プロパノールなどのアルコール類;アセトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン及びジオキサンなどのエーテル類が挙げられる。
【0058】
次に、上記有機溶媒と共に用いられる上記分散剤について説明すると、上記分散剤としては、例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のソルビタン脂肪酸エステル;トリメチルステアリルアンモニウムクロリド及びカルボキシメチルジメチルセチルアンモニウム等の陽イオン性及び両性の界面活性剤;ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩及びドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルグルコシド等のグリコシド化合物;エチルセルロース及びベンジルセルロース等のセルロースエーテル;セルロースアセテート、セルロースブチレート及びセルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル;マレイン化ポリブタジエン、マレイン化ポリエチレン
、マレイン化α−オレフィン、スチレン−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩及びイソプロピルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩等の高分子分散剤を挙げることができる。これらの分散剤は、単独で又は二種以上の混合物として用いることができる。
【0059】
また、吸水性樹脂(B)を得るための逆相懸濁重合に際しては、使用される重合開始剤としては、ジアルキルパーオキシド、ハイドロパーオキシド類、過硫酸塩、ハロゲン酸塩、アゾ化合物、過酸化水素/第1鉄塩、過硫酸塩/亜硫酸塩、クメンヒドロパーオキシド/第1鉄塩、過酸化水素/L−アスコルビン酸等のレドックス系開始剤を挙げることができる。これらの重合開始剤は1種以上で使用することができる。これらの重合開始剤の中でも、過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドが好ましく用いられる。
【0060】
上記重合開始剤の添加量は、重合を円滑に行うために、モノマー100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、更に好ましくは0.02〜5質量部である。また、上記重合開始剤の添加方法は、特に制限されないが、上記重合開始剤をモノマー水溶液に予め添加する方法が好ましい。
【0061】
また、吸水性樹脂(B)を得るための製法の実施にあたり、重合前、重合時、重合後又は乾燥時等において、公知の架橋剤を添加することができる。該架橋剤としては、例えば、ポリアリル化合物、ポリビニル化合物、ポリグリシジルエーテル、ハロエポキシ化合物、ポリアルデヒド、ポリオール、ポリアミン、ヒドロキシビニル化合物、またカルシウム、マグネシウム、亜鉛及びアルミニウムなどの多価イオンを生じる無機塩または有機金属塩などを挙げることができる。
【0062】
また、逆相懸濁重合法により上記重合を終了した後、必要に応じ通常の後処理、例えば、共沸脱水、乾燥等を行うことにより、所望の高吸水性樹脂を得ることができる。
【0063】
吸水性樹脂(B)としては市販されているものが使用することができる。具体的には、愛敬精密化学製のHisobead、クラレトレーディング(株)製のKIゲル−201K−G1、日本触媒(株)製のアクアリックCA H2、ライオンケミカル製のAIRBZなどが挙げられる。
【0064】
<ゲル状消臭芳香剤>
本発明のゲル状消臭芳香剤は、液状混合物(A)と、吸水性樹脂(B)とを接触させて、液状混合物(A)を吸水性樹脂(B)に含浸させることで得られる。接触、含浸方法としては、水分含有率が10質量%以下、好ましくは5質量%以下の吸水性樹脂(B)を1〜30質量部、好ましくは1〜10質量部、特に好ましくは3〜6質量部に、液状混合物(A)を70〜99質量部、好ましくは80〜99質量部、特に好ましくは90〜99質量部を、混合し静置する方法を採用することができる。混合及び静置の温度は、それぞれ0〜40℃の範囲から選定することが好適であり、攪拌を加えても良いが、静置しておくだけでも通常は十分液状混合物(A)が吸水性樹脂(B)の内部に浸透、保持される。本発明のゲル状消臭芳香剤は、液状混合物(A)〔あるいは該液状混合物(A)中の配合成分〕と吸水性樹脂(B)とが一体的に結合しているものが好ましい。ここでゲル状消臭芳香剤とはゲルの状態にある消臭芳香剤を意味する。
【0065】
本発明のゲル状消臭芳香剤はそのまま芳香剤や消臭剤や消臭芳香剤として使用することもできるが、該ゲル状消臭芳香剤を含んで構成される据え置き型消臭芳香剤とすることができる。例えば、自立可能な容器等に収容して据え置き型消臭芳香剤とすることもできる。
【0066】
本発明において、上記ゲル状消臭芳香剤が収容される容器は、ゲル状消臭芳香剤を収容可能であって、開放部を有し、この開放部からゲル状消臭芳香剤中の香料〔(a2)成分〕を揮散させ得るものであれば、その形状や構造に特に制限はなく、開放部が上部にあるものの他、側部など他部にあるものも使用可能である。
【0067】
上記容器としては、プラスチック、ガラス、金属などを用いることができるが、ゲル状消臭芳香剤の収縮を目視できる、透明又は半透明な材質や、スリットや開口部から内部を視認できるものが好ましい。更には、従来から芳香・消臭剤に用いられているプラスチック容器、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどの容器が好ましく使用される。
【0068】
更に、上記容器は、必要に応じてゲル状消臭芳香剤の収縮(減り具合)をより明確に目視できるように容器内壁にゲル状消臭芳香剤と対照的な色彩を施すこともできる。
【0069】
また、本発明では、上記ゲル状消臭芳香剤を詰め替え用簡易容器内に収容してもよい。この簡易容器内に収容されたゲル状消臭芳香剤においては、密閉状態で簡易容器内に収容され、例えばすでに設置使用されているゲル状消臭芳香剤が使用終点となった時点で、この簡易容器を開封し、簡易容器内に収容されたゲル状消臭芳香剤を設置用の別容器に移し替えて使用することができる。
【0070】
この場合、ゲル状消臭芳香剤を収容する容器は、薄肉ボトルやパウチなどの詰め替え用簡易容器でもよい。薄肉ボトルには、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの材質が好ましく、パウチには、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンなどや、これらプラスチックのアルミ積層、アルミ蒸着、シリカ蒸着などのフィルムが好ましい。
【0071】
上記ゲル状消臭芳香剤を容器内に収容、設置する際、組成物の設置量は特に限定されず、使用する場所や使用期間、容器形状などの特性に応じてその使用量を適宜選定することができ、また、同一容器に互いに異なる色調及び/又は香調を有するゲル状消臭芳香剤を収容、設置してもよい。
【0072】
本発明のゲル状消臭芳香剤は、使用により経時でゲル状消臭芳香剤から水分や各種成分が揮散することでゲル状物が収縮し、この収縮が臨界に達した時の残査が初期質量(使用開始時の容器内の質量)の20%以下と少なく、従って、例えば容器外部から経時による組成物の収縮の状態を視認することによって、ゲル状消臭芳香剤の使用終点、交換時期を容易に判断することができる。
【0073】
本発明のゲル状消臭芳香剤は、(a1)成分、(a2)成分、(a3)成分、及び水を含有し、(a1)成分/(a2)成分の質量比が1/15000〜1/100であり、且つ(a2)成分/(a3)成分の質量比が10/1〜1/100である液状混合物(A)を、平均粒子径500〜4000μmの吸水性樹脂(B)に含浸させる、着色樹脂の褪色防止方法を利用したものである。
【0074】
また、本発明は、(a1)成分と、(a2)成分、(a3)成分、及び水を含有し、(a1)成分/(a2)成分の質量比が1/15000〜1/100であり、且つ(a2)成分/(a3)成分の質量比が10/1〜1/100である液状混合物(A)を、平均粒子径500〜4000μmの吸水性樹脂(B)に含浸させる、着色樹脂の均一着色方法を示したものである。
【0075】
また、本発明は、(a1)成分と、(a2)成分、(a3)成分、及び水を含有し、(a1)成分/(a2)成分の質量比が1/15000〜1/100であり、且つ(a2)成分/(a3)成分の質量比が10/1〜1/100である液状混合物(A)を、平均粒子径500〜4000μmの吸水性樹脂(B)に含浸させる、着色樹脂の香調変化抑制方法を示したものである。
【実施例】
【0076】
<ゲル状消臭芳香剤の調製>
表1、2の成分を用いて香料を含有する液状混合物(A)を調製した。液状混合物(A)2.9gと吸水性樹脂(B)0.1gとを、広口規格ビン(PS−No.6)に入れフタを閉め、液状混合物(A)を吸水性樹脂に含浸し、24時間整置したものをゲル状消臭芳香剤とした。なお、表中、ppm、%は何れも質量基準であり、吸水性樹脂(B)の「%」は、液状混合物(A)と吸水性樹脂(B)の合計に対する質量%である。また、a1’−5は、便宜上、(a1)成分として(a1)/(a2)質量比を算出した。
【0077】
表1中の成分は以下のものである。
・親水性染料〔(a1)成分〕
a1−1:Liquitint(登録商標) Bright Yellow
a1−2:Liquitint(登録商標) Blue BL
a1−3:赤色106号(CI.No45100、Acid Red 52)
a1−4:黄色203号(CI.NoAcid Yellow 3)
a1−5:Reactive Blue 71
a1−6:Acid Violet 9
a1’−5:顔料黄色 EP−310(大日精化工業(株)製)
・香料〔(a2)成分〕
a2−1:CLogPow=3以上の香料成分を23質量%含有する香料〔CLogPow=1〜2未満が3質量%、CLogPow=2〜3未満が35質量%、CLogPow=3〜4が23質量%、アルデヒド系香料成分の含有量0.3質量%)、残部は保留剤(ジプロピレングリコール)〕
a2’−2:ヘキシルアルデヒド
・界面活性剤〔(a3)成分及び(a4)成分〕〕
a3−1:ラウロイルアミノプロピルジメチルアミンオキシド
a4−1:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数5.6)
【0078】
・吸水性樹脂(B)
B−1:アクリル酸−アクリルアミド共重合体(Hisobead 愛敬精密化学社製、乾燥平均粒子径2000μm、形態は球状)
B−2:イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の架橋体(KIゲル−201K−G1、クラレトレーディング(株)製、形態は球状)
B−3:ポリアクリル酸架橋体(アクアリックCA H2、日本触媒(株)製、形態はブロック状)
【0079】
<香調変化の抑制効果>
ゲル状消臭芳香剤3gを広口規格ビン(PS−No6)に充填し密閉状態で、積算で10000KJ/m2相当の照射量になるまでフェードメーター(スガ試験機社製、型式FAL−7X−L−B)で紫外線を照射し、初期(照射前)と照射後の香りの変化を比較した。香りの変化は次の評価基準のもと、判定者6人の判定結果から集計しその平均値を採用した。結果を表1、2に示す。香調変化の抑制効果としては平均点2点以上が好ましい。
*香り変化の評価基準
3:初期と比べて照射後に香りの変化が全く認められない。
2:初期と比べて照射後に香りの変化が少し認められるが、不快なにおいがしない。
1:初期と比べて照射後に香りの変化が認められ、不快なにおいがする。
【0080】
<ゲル内部の着色均一性の評価>
ゲル状消臭芳香剤を鋭利な刃物で切断し、断面におけるゲル内部の着色状態を観察した。着色均一性は次の評価基準のもと、判定者6人の判定結果から集計しその平均値を採用した。結果を表1、2に示す。着色均一性としては平均点2点以上が好ましい。
*着色均一性の評価基準
3:染料がゲル内部に均一に着色している。
2:染料がゲル内部に不均一に着色している
1:染料がゲル内部にほとんど着色していない。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性染料(a1)〔以下、(a1)成分という〕、全香料中にアルデヒド系香料成分の含有量が5質量%以下である香料(a2)〔以下、(a2)成分という〕、下記一般式(1)で示される含窒素界面活性剤(a3)〔以下、(a3)成分という〕、及び水を含有し、(a1)成分/(a2)成分の質量比が1/15000〜1/100であり、且つ(a2)成分/(a3)成分の質量比が10/1〜1/100である液状混合物(A)と、吸水性樹脂(B)とを含有する、ゲル状消臭芳香剤。
【化1】


〔式中、R1aは炭素数8〜24の炭化水素基であり、R1bはエチレン基又はプロピレン基であり、Xは−COO−及び−CONH−から選ばれる基である。1mは0又は1の数であり、R1c及びR1dはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基である。Yは−O-、−CH2COO-、−C36−SO3-、−CH2CH(OH)CH2−SO3-、炭素数1〜3のアルキル基及び炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基から選ばれ、Z-は陰イオンである。1nはYが分子内に陰イオンを有する場合には0の数であり、Yが炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である場合には1の数である。〕
【請求項2】
液状混合物(A)が、更に非イオン界面活性剤(a4)〔以下、(a4)成分という〕を含有し、(a2)成分と(a4)成分との質量比が(a2)成分/(a4)成分で1/5〜100/1である、請求項1記載のゲル状消臭芳香剤。
【請求項3】
吸水性樹脂(B)がカルボン酸(塩)基を有する構成単位を有する樹脂である請求項1又は2記載のゲル状消臭芳香剤。

【公開番号】特開2010−284511(P2010−284511A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96735(P2010−96735)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】