説明

ゲージ

【課題】 本発明は、使い勝手がよく、また、設計段階であっても製品の入隅や出隅の角部の先端の曲率や角度を容易に想定できるゲージを提供することにある
【解決手段】 先端の曲率または/及び角度の異なる複数の角部1〜5を列設したものであり、角部1〜5の内面及び外面を各々出隅及び入隅の測定部1a〜5bとすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の入隅や出隅を測定するゲージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の入隅や出隅を測定するものとしては、アングルゲージやラジアスゲージが市販されており、そして、意匠登録1006012号公報のものがある。これらは、測定対象物の入隅や出隅に対し、測定者が目安を付けて選択した適当な測定部を沿わせ、選択した測定部が一致すれば、該当の測定部の曲率または角度を測定対象物の測定値として確定し、また、選択した測定部が一致しなければ、一致するまで別の測定部を選択し直していくものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1006012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、市販のアングルゲージやラジアスゲージでは、入隅または出隅のいずれかの測定しか行えないことから、入隅用または出隅用の別のゲージを用意しなければならず、大変使い勝手が悪いものであった。また、上記の意匠登録公報のものでは、先端の曲率や角度の異なる複数の角部がゲージ本体の外周部に沿って形成して配置されているもので、さらに、角部が列設されていないことから、ゲージの外観から製品イメージを設計段階で想定しづらい不都合もあった。本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、使い勝手がよく、また、設計段階であっても製品の入隅や出隅の先端の曲率や角度を容易に想定できるゲージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の発明は、先端の曲率または/及び角度の異なる複数の角部を列設したものであり、角部の内面及び外面を出隅及び入隅の測定部とすることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2記載の発明では、肉厚の異なる複数の板部を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3記載の発明は、ゲージ収納部の外面に、先端の曲率または/及び角度の異なる複数の角部と、先端の曲率または/及び深さの異なる複数のU溝と、先端の角度または及び深さの異なる複数のV溝のうちのいずれか一または複数を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、先端の曲率や角度の違う複数の角部が列設すると共に、角部が入隅測定部と出隅測定部を有しているので、1つのゲージで測定対象物の入隅と出隅の両方が測定でき、使い勝手のよいゲージが提供できる。また、角部が列設し、入隅と出隅を有することで、設計段階で製品ディテールが想定し易くなり、製品意匠の統一性を図り易くなる。
【0009】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、測定対象物の肉厚も測定できるため、測定対象が拡がることで、ゲージの多様な使い方ができる。
【0010】
本発明のうち請求項3記載の発明によれば、ゲージ収納ケースの外面に設けた角部で出隅の曲率または角度の確認を行うことができると共に、U溝またはV溝で溝の曲率または角度および深さの確認を行うことができ、より一層設計段階において製品の入隅や出隅のディテールが想定しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1(a)(b)(c)】第一実施形態のゲージの使用状態を示す平面図であり、(a)は、測定対象物の出隅を測定するときのもの、(b)は、測定対象物の入隅を測定するときのもの、(c)は、測定対象物の肉厚を測定するときのものである。
【図2(a)(b)(c)】(a)は、第二実施形態のゲージを示す平面図であり、(b)は、第三実施形態のゲージを示す平面図であり、(c)は、第四実施形態のゲージを示す平面図である。
【図3(a)(b)】(a)は、本実施によるゲージ収納ケースの斜視図であり、(b)は、横断面図である。
【図4(a)(b)】(a)は、他の実施形態のゲージ収納ケースの斜視図であり、(b)は、ゲージを収容するときの状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面に基づいて本実施によるゲージの第一実施形態を説明する。本実施によるゲージは、図1(a)(b)のように、縦長矩形状をなす板材を厚み方向に波形に5箇所彎曲させたものであり、C面を測定する角部とR面を測定する角部が交互に5つ列設してある。具体的にゲージは、図1(a)(b)の図示左側にある角部を第一角部1としており、本実施によるゲージでは、第一角部1の内面に0.5mmのC面用の入隅測定部1aを有し、外面についても0.5mmのC面用の出隅測定部1bを有している。また、第一角部1と隣接する第二角部2の内面に10mmのR面用の入隅測定部2aを有し、外面にも10mmのR面用の出隅測定部2bを有している。また、第二角部2と隣接する第三角部3の内面に0.3mmのC面用の入隅測定部3aを有し、外面にも0.3mmのC面用の出隅測定部3bを有している。また、第三角部3と隣接する第四角部4の内面に8mmのR面用の入隅測定部4aを有し、外面にも8mmのR面の出隅測定部4bを有している。また、第四角部4と隣接する第五角部5の内面に0.2mmのC面測定用の入隅測定部5aを有し、外面にも0.2mmのC面測定用の出隅測定部5bを有している。そして、第一〜第五まで列設する角部1〜5のさらに外側には、板部6a,6bが設けてあり、まず、図示左側に位置する第一板部6aは、5mmの肉厚を有しており、図1(c)のように、測定対象物17の厚み面にあてがい、肉厚を測定する。図示右側に位置する第二板部6bは、4mmの肉厚を有している。尚、角部1〜5を列設する順番については、本実施のように、かならずしもR面を測定するものとC面を測定するものを交互に配置しなくてもよく、また、R面を測定するものとC面を測定するもののうち、いずれか一種のみでもよい。また、板部6a,6bについても列設してある角部1〜5の間に設けてあってもよい。このようにゲージを形成すれば、図1のように、1つのゲージで測定対象物16の入隅や出隅を測定できる。また、複数の角部1〜5が列設する構成であるから、ゲージを見たり触ったりしたときに、設計段階での製品ディテールの把握が容易となる。
【0013】
図2(a)は、第二実施形態のゲージを示しており、第一実施形態のゲージと角部1〜5の配列は同一のものであるが、相違する構成として、R面測定用の角部1〜5の曲率とC面測定用の角部1〜5の角度、および板部6a,6bの肉厚が異なっている。具体的に、図示左側にある角部を第一角部1とすれば、測定対象物のC面を測定する第一角部1の入隅測定部1aと出隅測定部1bをともに1mmに形成し、測定対象物のR面を測定する第二角部2の入隅測定部2aと出隅測定部2bを共に4mmで形成し、第三角部(C面を測定)3の入隅測定部3aと出隅測定部3bを共に2mmで形成し、第四角部(R面を測定)4の入隅測定部4aと出隅測定部4bを共に5mmで形成し、第五角部(C面を測定)5の入隅測定部5aと出隅測定部5bを共に4mmで形成したものである。さらに、板部6a,6bの肉厚は、第一板部(図示左側のもの)6aが1.5mm、第二板部6bが1.2mmに形成してある。
【0014】
図2(c)は、第三実施形態のゲージを示しており、第一実施形態および第二実施形態のゲージと相違する構成として、図示左側から第一角部1、第三角部3、第五角部5がR面を測定するもの、第二角部2と第四角部4がC面を測定するものと逆の配列になっており、R面測定用の角部の曲率とC面測定用の角部の角度、および板部の肉厚が異なっている。そして、第一〜第五角部1〜5は、具体的に、測定対象物のR面を測定する第一角部1の入隅測定部1aと出隅測定部1bをともに3mmに形成し、測定対象物のC面を測定する第二角部2の入隅測定部2aと出隅測定部2bを共に5mmで形成し、第三角部(R面を測定)3の入隅測定部3aと出隅測定部3bを共に2mmで形成し、第四角部(C面を測定)4の入隅測定部4aと出隅測定部4bを共に4mmで形成し、第五角部(R面を測定)5の入隅測定部5aと出隅測定部5bを共に1mmで形成したものである。さらに、板部6a,6bの肉厚は、第一板部(図示左側のもの)6aが3mm、第二板部6bが2.5mmに形成してある。
【0015】
図2(d)は、第四実施形態のゲージを示しており、第三実施形態のゲージと角部1〜5の配列は同一のものであるが、第一〜第三実施形態のゲージと相違する構成として、R面測定用の角部の曲率とC面測定用の角部の角度、および板部の肉厚が異なっている。そして、第一〜第五角部1〜5は、具体的に、測定対象物のR面を測定する第一角部1の入隅測定部1aと出隅測定部1bをともに0.5mmに形成し、測定対象物のC面を測定する第二角部2の入隅測定部2aと出隅測定部2bを共に10mmで形成し、第三角部(R面を測定)3の入隅測定部3aと出隅測定部3bを共に0.3mmで形成し、第四角部(C面を測定)4の入隅測定部4aと出隅測定部4bを共に8mmで形成し、第五角部(R面を測定)5の入隅測定部5aと出隅測定部5bを共に0.2mmで形成したものである。さらに、板部6a,6bの肉厚は、第一板部(図示左側のもの)6aが2mm、第二板部6bが1.5mmに形成してある。
【0016】
図3(a)は、本発明のゲージ収納ケースの第一実施形態を示すものである。このゲージ収納ケースは、周壁8a〜8dとからゲージ収容部20を形成するものであり、ゲージ収容部20には縦にした複数のゲージ14a〜14dを収められる。また、四方の周壁8a〜8dの外面には図3(b)のように、一面ずつに上下方向に伸びて先端の曲率または/及び深さの異なる複数のU溝9a,9bと、先端の角度または及び深さの異なる複数のV溝10a,10bとを有しており、設計段階において溝のディテール確認ができるようになっている。また、周壁8a〜8dの四隅の角部11a〜11dは、各々が上下方向に伸びて先端の曲率または/及び角度が異なっており、各々の角部11a〜11dにおいても出願のディテール確認ができる。
【0017】
図4(a)は、本発明のゲージ収納ケースの第二実施形態を示すものである。このゲージ収納ケースは、平板12の四辺のうちの対向する二辺から立ち上がる起立片13を有し、図4(b)のように断面上向き略コ字型に形成して内周側にゲージ収納部21を形成しており、平板12の起立片13間に複数のゲージ15a〜15dを挟持して使用するものである。また、平板12の内周面には、先端の曲率と深さの異なる複数のU溝17a,17bと、先端の角度と深さの異なる複数のV溝18a,18bとを有しており、測定対象物の出隅のR面やC面を測定できるようになっている。尚、第一実施形態と第二実施形態に共通するが、ゲージ収納部20,21に収めるゲージ14a〜14d、15a〜15dについては、角部を列設する数やR面測定部、C面測定部の配列、角部の曲率や角度を特定するものではない。
【符号の説明】
【0018】
1 第一角部(角部)
2 第二角部(角部)
3 第三角部(角部)
4 第四角部(角部)
5 第五角部(角部)
1a〜5a 入隅測定部
1b〜5b 出隅測定部
6a 第一板部(板部)
6b 第二板部(板部)
9a,9b、17a,17b U溝
10a,10b、18a,18b V溝
20,21 ゲージ収納部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端の曲率または/及び角度の異なる複数の角部を列設したものであり、角部の内面及び外面を各々出隅及び入隅の測定部とすることを特徴とするゲージ。
【請求項2】
肉厚の異なる複数の板部を有していることを特徴とする請求項1記載のゲージ。
【請求項3】
ゲージ収納部の外面に、先端の曲率または/及び角度の異なる複数の角部と、先端の曲率または/及び深さの異なる複数のU溝と、先端の角度または及び深さの異なる複数のV溝のうちのいずれか一または複数を有することを特徴とするゲージ収納ケース。


【図1(a)(b)(c)】
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【図2(a)(b)(c)】
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【図3(a)(b)】
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【図4(a)(b)】
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