説明

ゲームシステム、ゲーム管理装置及びゲーム方法

【課題】投票オッズを利用するネットワークゲームシステムにおいて、適当な投票オッズを提供できるようにする。
【解決手段】本発明のゲームシステムは、ゲーム結果に対する各投票者の予想を表す投票情報を各投票者が入力する投票入力装置と、投票入力装置から受け取った各投票者の投票情報に基づいてゲームに用いる投票オッズを算出する投票オッズ算出装置とを少なくとも有するゲームシステムである。そして、投票オッズ算出装置が、投票入力装置から受け取った投票情報の受付状況が、所定の条件を満足しているか否かを判定する投票情報判定手段と、投票情報判定手段の判定結果に応じて、少なくとも所定の条件を満たすように投票情報を調整する投票情報調整手段と、投票情報調整手段が調整した投票情報に基づいて、投票オッズを求める投票オッズ演算手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームシステム、ゲーム管理装置及びゲーム方法に関し、例えば、ネットワークに接続する複数のゲーム装置で複数のゲーム参加者が同時に参加可能なものであって、例えば、競馬ゲーム、競艇ゲーム、競輪ゲーム、又はブックメーカその他投票オッズを利用してゲームを進行するゲームシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
近年、複数のゲーム装置がネットワークに接続したオンライン型のゲームシステム(ネットワークゲーム)が登場している。このようなネットワークゲームは、従来の単独プレイヤで行なうものより、ネットワークを通じて複数のプレイヤでゲームを同時進行する点に利点がある。
【0003】
従来、このようなネットワークゲームの中で、例えば競馬ゲーム、競艇ゲーム等のように複数のゲーム装置から収集した投票に基づいて算出した投票オッズを利用するゲームシステムがある(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1は、例えば競馬ゲーム等のオンライン型レースゲームシステムの技術が開示されており、その中で、通信回線に接続する複数のゲーム装置における投票オッズを収集し、各ゲーム装置の投票オッズに基づいてシステムに共通の統合的な投票オッズを演算し、表示する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−224841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば競馬ゲーム等のゲームシステムにおいて、投票オッズは、ゲームの面白さに影響を与えるものであるから、単に固定的な投票オッズを与えてしまっても、そのゲームの盛り上がりにかけてしまうことがある。そこで、例えば特許文献1においては、上述したように各ゲーム装置(複数のプレイヤ)における投票オッズとは異なるシステム共通の投票オッズを提供するという投票オッズの変動をもって、より競馬の臨場感をだすようにしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1においては、投票オッズの変動は、各ゲーム装置の投票オッズに基づいてなされるものであるから、各ゲーム装置数等に影響され得るものである。そのため、システムにおいてゲーム進行を取り巻く環境によっては、必ずしも適当な投票オッズを与えることができない場合がある。例えば、プレイヤ(ゲーム参加者)が少数である場合や、総投票数又は総投票購入額が少ない場合などでは、投票オッズに対する一人ひとりの投票の影響が大きくなり投票オッズに偏りが生じてしまい、現実とかけ離れた投票オッズを提供してしまうことがある。これでは、ネットワークゲームの利点が充分に発揮されない。
【0008】
そこで、本発明は、複数の投票者の投票情報に基づいてゲームに用いる投票オッズを算出するものであって、例えばプレイヤ数や総投票数等が少ない場合であっても、投票オッズに生じ得る偏りを少なくして、適当な投票オッズを提供することができるゲームシステム、ゲーム管理装置及びゲーム方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、第1の本発明のゲームシステムは、ゲーム結果に対する各投票者の予想を表す投票情報を各投票者が入力する投票入力装置と、投票入力装置から受け取った各投票者の投票情報に基づいてゲームに用いる投票オッズを算出する投票オッズ算出装置とを有するゲームシステムにおいて、投票オッズ算出装置が、投票入力装置から受け取った投票情報の受付状況が、所定の条件を満足しているか否かを判定する投票情報判定手段と、投票情報判定手段の判定結果に応じて、少なくとも所定の条件を満たすように投票情報を調整する投票情報調整手段と、投票情報調整手段が調整した投票情報に基づいて、投票オッズを求める投票オッズ演算手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、第2の本発明のゲーム管理装置は、ゲーム結果に対する各投票者の予想を表す投票情報を各投票者が入力する投票入力装置から受け取った各投票者の投票情報に基づいてゲームに用いる投票オッズを算出する投票オッズ算出手段を有するゲーム管理装置において、投票オッズ算出手段が、投票入力装置から受け取った投票情報の受付状況が、所定の条件を満足しているか否かを判定する投票情報判定部と、投票情報判定部の判定結果に応じて、少なくとも所定の条件を満たすように投票情報を調整する投票情報調整部と、投票情報調整部が調整した投票情報に基づいて、投票オッズを求める投票オッズ演算部とを備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、第3の本発明のゲーム方法は、ゲーム結果に対する各投票者の予想を表す投票情報を各投票者が入力する投票入力装置から受け取った各投票者の投票情報に基づいてゲームに用いる投票オッズを算出するゲーム方法において、投票入力装置から受け取った投票情報の受付状況が、所定の条件を満足しているか否かを判定する投票情報判定工程と、投票情報判定工程の判定結果に応じて、少なくとも所定の条件を満たすように投票情報を調整する投票情報調整工程と、投票情報調整工程で調整した投票情報に基づいて、投票オッズを求める投票オッズ演算工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のゲームシステム、ゲーム管理装置及びゲーム方法によれば、複数の投票者の投票情報の受付状況に応じて、所定の条件を満たすように投票情報を調整し、その調整した投票情報に基づいて投票オッズを求めることで、適当な投票オッズを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(A)第1の実施形態
以下、本発明のゲームシステム、ゲーム管理装置及びゲーム方法の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
本実施形態では、ネットワークに接続するゲーム装置を操作して複数のプレイヤ(本実施形態ではゲーム参加者である投票者)が出走する競走馬の到着順位を予想する競馬ゲームに、本発明のゲームシステム、ゲーム管理装置及びゲーム方法を適用した場合を説明する。
【0015】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、本実施形態のネットワークゲームシステムの概略的な全体構成を示すイメージ図である。図1に示すように、本実施形態のネットワークゲームシステム1は、ネットワーク3に接続する、ゲーム管理装置2及び複数のゲーム装置4(4−1〜4−n、nは正の整数)を少なくとも備えるものとする。なお、以下において、ゲーム装置全般の構成及び動作を説明するときにはゲーム装置4のように示して説明する。
【0016】
ネットワーク3は、専用網、公衆網、有線網又は無線網のいずれの通信網に適用することができ、又はこれら複数の網を結合させた通信網にも広く適用できる。
【0017】
ゲーム管理装置2は、競馬ゲームの進行を制御するものであって、ネットワーク3を通じて各ゲーム装置4に対してゲーム関連情報を提供するサーバである。
【0018】
ここで、ゲーム関連情報とは、例えば、出走前のレース情報及び出走馬情報や、投票入力画面情報や、競馬レース画像情報や、レース結果情報、競馬ゲームの参加を募る情報や、ゲームの遊び方情報などゲームに関する全般の情報をいい、映像・画像情報だけでなく、音声・音響情報なども含むものである。
【0019】
また、ゲーム管理装置2は、ネットワーク3を通じてゲームに参加しているゲーム装置4から収集したプレイヤの投票情報に基づいて投票オッズを演算する機能、出走レース毎に出走馬の到着順位を抽選する機能、各プレイヤの予想とレース結果とにより投票オッズに応じた配当を算出する機能などを有するものである。勿論、これら以外に、プレイヤの参加許可機能、配当に基づく決済機能など他の機能を有すが、本実施形態ではこれらの機能の詳細については省略する。
【0020】
図2は、本実施形態のゲーム管理装置2の内部構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、本実施形態のゲーム管理装置2は、制御部21、通信部22、投票オッズ演算部23、抽選部24、配当算出部25、競走馬情報データベース(DB)26などを少なくとも有する。
【0021】
競走馬情報データベース26は、競走馬に関する情報、例えば、競走馬の能力値情報、過去の戦歴・実績情報などを競走馬毎に記憶する記憶領域である。なお、本実施形態では、競走馬情報データベース26がゲーム管理装置2の内部に設けられているものとして説明するが、制御部21がネットワーク3を通じてアクセス可能であれば競走馬データベース26が装置2内部に設けられていなくてもよい。
【0022】
制御部21は、ゲーム管理装置2が実現する処理を制御するものである。制御部21は、例えば、図示しないCPUや、各種処理プログラムを記憶するROMや、データRAMなどから構成されるものであり、CPUがROMから読み出した処理プログラムを実行する。これにより、処理プログラムの内容である機能、例えば競馬ゲームへの参加を募る機能、今回レースの出走馬情報やオッズを開示する機能、投票入力を促す機能、競馬ゲームのレース進行を演出する機能などを実現することができる。
【0023】
投票オッズ演算部23は、制御部21による制御の下、各ゲーム装置4から収集した投票情報を受け取り、投票情報の受付状況が所定の条件を満たすように投票情報の受付状況を調整し、各レースの出走馬の投票オッズを演算するものである。ここで、投票情報の受付状況とは、ある時点における複数のゲーム装置4から収集した投票情報の収集結果から割り出すことができる情報であり、例えば、投票したプレイヤの人数や、プレイヤが張った総購買額や、総投票数などが考えられる。
【0024】
図2に示すように、投票オッズ演算部23は、その機能部として、投票情報判定部231、仮想投票情報生成部232、投票オッズ決定部233を少なくとも有する。
【0025】
投票情報判定部231は、ネットワーク3を通じて受信した各ゲーム装置4からの投票情報をすべて受け取り、受け取った投票情報の受付状況が予め決められた所定の条件を満たしているか否かを判定するものである。また、投票情報判定部231は、判定した判定結果を仮想投票情報生成部232及び投票オッズ決定部233に通知するものである。これにより、プレイヤ数が少ない場合や総投票数が少ない場合などを特定することができる。
【0026】
ここで、投票情報判定部231が判定基準とする所定の条件とは、参加プレイヤによる投票情報の受付状況から投票オッズが極端な偏りが生じ得る状態であるか否かを判定するための条件であり、その条件内容は予め設計者が決定したり、又は一度変更した条件を変更したりすることができる。また、所定の条件は、1個だけでなく、異なる内容の条件を複数設けるようにしてもよい。
【0027】
この所定の条件の具体的な内容は、システム設計者等により種々の内容を設定することができるが、例えば、(1)全プレイヤが張った総購入額(又は総投票数)が所定額(又は所定票)以上であるか、又は(2)ゲーム参加しているプレイヤ数が所定数以上であるか、又は(3)(1)及び(2)の両方の条件を満たしているか、などが考えられる。勿論、これら以外の条件を設定することができる。
【0028】
仮想投票情報生成部232は、投票情報判定部231が投票情報の受付状況が所定の条件を満たしていないと判定した場合に、投票情報の受付状況が所定の条件を充足するように、仮想の投票情報を生成するものである。また、仮想投票情報生成部232は、このようにして生成した仮想投票情報を投票オッズ決定部233に与えるものである。
【0029】
ここで、仮想投票情報生成部232による仮想投票情報の生成方法は、種々の方法が考えられるが、例えば、仮想投票情報生成部232が、競走馬情報データベース26を参照し、今回レースの出走馬に関する情報(例えば、出走馬の能力値、実績情報等)を基にして割り出した到着予想情報及び購入額情報を仮想投票情報としたり、又は図示しない乱数発生部及びサンプリング回路等を有し、サンプリング回路が乱数値を取り出し、その乱数値に対応する出走馬への投票情報をランダムに生成したりする方法が考えられる。
【0030】
このように、投票情報の受付状況が所定の条件を満たしていない場合であっても、仮想投票情報を生成することで所定の条件を満たした状況を仮想的に作り出すことができるので、適当な投票オッズを算出することができる。
【0031】
投票オッズ決定部233は、投票情報判定部231による判定結果が所定の条件を満たしているとする場合、各ゲーム装置4から受け取った投票情報を集計し、今回レースの投票オッズを決定するものである。また、投票オッズ決定部233は、投票情報判定部231による判定結果が所定の条件を満たしていないとする場合、各ゲーム装置4からの投票情報と、仮想投票情報生成部232が生成した仮想投票情報とを用いて集計し、今回レースの投票オッズを決定するものである。
【0032】
これによれば、所定の条件を満たしている場合には、プレイヤの投票情報をそのまま用いた現実的な投票オッズを決定することができ、所定の条件を満たしていない場合には、プレイヤの投票情報と所定の条件の不足分である仮想投票情報とを用いて現実的な投票オッズを決定することができる。
【0033】
抽選部24は、乱数抽選により、今回レースの勝ち馬を含めた着順を決定するものである。ここで、乱数が取り得る範囲は、例えば、単数オッズに応じて分割し、取り出した乱数がどの範囲に属するかによって勝ち馬などを順次決定していく。このように、本実施形態では、出走馬の着順について乱数抽選方式を用いることにより公正に決定するとして説明したが、公正な決定が可能であれば、乱数抽選方式に限定されず他の方式も採用可能である。また、制御部21は、抽選部24が着順を抽選決定すると、制御部21に予め設定されているレース演出プログラムを用いて抽選に応じた着順で、レースを進行させるものである。
【0034】
配当算出部25は、レース毎に、投票オッズ演算部23により決定された投票オッズと、抽選部24が抽選決定した着順とに基づいて、各プレイヤへの配当額を決定するものである。そして、制御部21は、配当算出部25が決定した核プレイヤの配当額をレースの結果情報として各プレイヤのゲーム装置4に与えるように制御する。
【0035】
続いて、図1におけるゲーム装置4の構成について説明する。ゲーム装置4は、競馬ゲームについてプレイヤが操作する装置であって、ネットワーク3を通じてゲーム管理装置2との間でゲーム関連情報の授受を行なうものである。また、ゲーム装置4は、投票を入力することができれば、競馬ゲームをするための専用装置としてもよいし、例えばネットワーク3に接続可能なパーソナルコンピュータ等のように、ゲーム管理装置2に参加許可され、以下で説明する機能を実現可能とする通信端末装置としてもよい。また、ゲーム装置4は、ネットワークを通じて以下の機能を実現可能であれば、ハードウェア若しくはソフトウェアとして、例えば遊技機(例えば、パチンコ機、パチスロ機等)に搭載されるものとしてもよい。
【0036】
図3は、本実施形態のゲーム装置4の構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、ゲーム装置4は、ゲーム装置4が実行する機能を制御する制御部41、ネットワーク3に接続する通信部42、プレイヤが入力操作するための入力部43、競馬ゲームに係る各種情報を出力する出力部44を少なくとも有する。
【0037】
入力部43は、例えば、プレイヤが競馬ゲームへの参加を要求するためのスタートボタンや、投票に関する購買態様(例えば、単勝、枠連、連番、ワイド等)、プレイヤが予想した出走馬の到着予想、及び購買額等の投票情報を入力するための予想入力ボタンなどを少なくとも備えるものである。そのため、入力部43の構成例として、例えば、物理的なボタンや、又は出力部44に映し出される情報を選択可能とした出力部44と一体となったタッチパネル型の入力手段、テンキー、キーボード等が考えられる。勿論、入力ボタンの種類としてはスタートボタンや予想入力ボタン以外の投票に関する情報の入力部を有してもよい。また、入力部43は、プレイヤが操作した操作情報を制御部41に与えるものである。
【0038】
制御部41は、入力部43から受け取った操作情報を受け取ると、通信部42の通信制御を行ない、その受け取った操作情報をゲーム管理装置2に送信させるものである。なお、制御部41は、図示しないCPUや、各種処理プログラムを記憶するROMや、データRAMなどから構成されるものであり、CPUがROMから読み出した処理プログラムを実行することで、当該処理プログラムに対応する機能を実現するものである。制御部41は、入力部43から参加ボタンに基づく操作情報を受け取ると、ゲーム管理装置2に対して参加要求を送信させる。そして、ゲーム管理装置2から参加OKを受け取ると、当該ゲーム装置4からの投票を有効に機能させることができる。このとき、制御部41は、これから開始されるレースの出走情報(例えば、出走数、出走馬の紹介情報、各出走馬の戦歴・実績情報、各出走馬の能力値情報等)をゲーム管理装置2から受け取り、そのレースのレース情報を出力部44に出力させるものである。出力部44に出走情報が表示されることで、プレイヤがレースの予想をすることができる。また、制御部41は、プレイヤが予測した投票情報を入力部43から受け取り、その投票情報を通信部42からゲーム管理装置2に送信させるものである。このとき、制御部41は、当該投票情報が当該ゲーム装置4を操作するプレイヤのものであることを識別する情報を、投票情報に加えて送信させるものである。これにより、当該投票情報を誰が予想したものであるかをゲーム管理装置2側に認識させることができる。この識別情報としては、種々の情報が考えられるが、例えば、当該ゲーム装置4に予め割り当てられているゲーム装置識別情報や、又はプレイヤ個人を識別するプレイヤ識別情報等が考えられる。さらに、制御部41は、ゲーム管理装置2からレース演出情報を受け取り、このレース演出情報に基づいて今回レースの演出画面を出力部44に出力させるものである。
【0039】
出力部44は、制御部41から与えられた出走情報やレース演出画面を出力するものである。なお、本実施形態では、出力部44は、ゲーム装置4毎に個別に設けられるものとするが、これに限定されず、例えば、適用態様が、ゲームセンター内に競走馬模型体を出走させるフィールドを設けたアーケードゲームとする場合には、例えば出走情報を表示する掲示板のように複数のプレイヤが同時に見ることができるものであってもよい。すなわち、ゲーム装置4毎に個別に設けられていなくてもよい。また、上述したようにタッチパネルのような入力部43と出力部44とが一体となったものとしてもよい。また、出力部44は、レース状況を映像として表示するだけでなく、音声及び又は音響も同時に出力可能である。
【0040】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、本実施形態のネットワークゲームシステム1の動作について図面を参照して説明する。投票オッズの演算動作について図面を参照して説明する。
【0041】
図4は、あるレースに参加するゲーム装置4と、レースの演出を進行するゲーム管理装置2の動作の全体的な流れを示す説明図である。
【0042】
図4において、まず、ゲーム管理装置2は、今回のレースに参加するプレイヤの受付を開始する(S1)。なお、プレイヤが参加することができる時間は、ゲーム設計時に設定することが可能であり、例えば、「レースの抽選時より所定時間前までの所定期間とする」等のように決定することができる。
【0043】
ゲーム管理装置2におけるゲーム参加受付時間内にゲーム装置4が参加要求をゲーム管理装置2に与えると(S2)、ゲーム管理装置2は、当該ゲーム装置4のゲーム参加を容認し(S3)、今回レースの出走情報をゲーム装置4に与える(S4)。
【0044】
ゲーム管理装置2から出走情報がゲーム装置4に与えられると、その出走情報が出力部44に表示され、プレイヤは、その出走表示に基づいて今回レースの着順を予想し、投票態様に応じた予想着順及び購買額を投票情報として入力する(S5)。
【0045】
プレイヤに投票情報が入力されると、ゲーム装置4は投票情報をゲーム管理装置2に送信する(S6)。このとき、投票情報は、予想着順及び購買額のほかに識別情報が付与されている。
【0046】
投票情報がゲーム管理装置2に与えられると、ゲーム管理装置2は、投票情報の識別情報に基づいてプレイヤ毎の投票情報を管理し、また投票情報に基づいて予想着順及び購買額を読み取る。また、ゲーム管理装置2において予め定められた時刻に投票受付を締め切り、所定方法により投票受付締め切り時の投票オッズを決定する(S7)。ここで、投票締め切り時刻は、第1の締め切り時刻、第2の締め切り時刻、…のように複数個も受けるようにしてもよい。この場合、各時刻でのレース直前までの途中の投票オッズを演算し、表示させるようにしてもよい。そして、最終の締め切り時刻での演算した最終的な投票オッズを今回レースに係る投票オッズとして決定するようにしてもよい。
【0047】
今回レースに係る投票オッズが決定すると(S7)、ゲーム管理装置2において、今回レースの出走馬の着順が抽選により決定される(S8)。そして、抽選により着順が決定すると、その決定した着順と投票オッズとに基づいて各プレイヤへの配当が算出される(S9)。
【0048】
その後、ゲーム管理装置2の制御部21は、抽選結果の着順に基づいて所定のレース進行演出プログラムを用いてレース演出情報を作成し、レース進行を制御する(S10)。
【0049】
ゲーム装置4は、ゲーム管理装置2からレース演出情報を受け取り、レース演出情報に基づいてレース情報を出力する。またゲーム装置4は、ゲーム管理装置2からのレース結果に基づいてレース結果である着順及び配当を出力する(S11)。
【0050】
次に、図4のS7で説明したゲーム管理装置2における投票オッズ演算処理の詳細動作について図5のフローチャートを参照して説明する。
【0051】
ゲーム管理装置2において、投票時間のタイムリミット(投票締め切り時刻)までに、ゲーム装置4から投票情報を受け付ける(S21及びS22)。なお、図5では投票時間のタイムリミット(投票締め切り時刻)を1個設けた場合を示す。勿論、上述したように複数個の投票締め切り時刻を設けてもよく、その場合は図5のフローチャートによらない。
【0052】
投票時間のタイムリミットになると、レースゲームに参加する全プレイヤの投票情報に基づいて、投票情報の受付状況が所定の条件を満たしているか否かが判定される(S23)。
【0053】
例えば、ここでの説明における所定の条件が、「プレイヤ数が30人(所定数)以上である」とする。この場合、ゲーム管理装置2において、投票情報を入力したプレイヤ数が30人以上であるか否かを判定し、プレイヤ数が30人以上である場合にはS25に進み、プレイヤ数が30人未満である場合にはS24に進む。
【0054】
そして、投票情報の受付状況が所定の条件を満たしていない場合、例えば、プレイヤの人数が20人であるとすると、所定の条件である「プレイヤ数が30人以上」を充足するために、仮想投票情報生成部232が少なくともプレイヤ10人分の仮想投票情報を生成する(S24)。そして、現実に参加している20人のプレイヤの投票情報と、仮想投票情報生成部232が生成した少なくとも10人分の仮想投票情報とを用いて投票オッズが算出される(S25)。
【0055】
なお、このとき、仮想投票情報生成部232は、現実のプレイヤの投票情報を含めて所定の条件を充足することができればよいので、少なくとも不足分に相当するだけの仮想投票情報を最低限生成できればよく、また不足分以上の仮想投票情報を生成するようにしてもよい。
【0056】
一方、投票情報の受付状況が所定の条件を満たしている場合、プレイヤの投票情報に基づいてオッズが演算されてレースの投票オッズが決定される(S25)。
【0057】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上、本実施形態によれば、ゲームに参加しているプレイヤの投票情報の収集結果が所定の条件を充足していない場合に仮想投票情報を生成し、この仮想投票情報を用いて投票オッズを決定することで、適当な投票オッズを提供することができる。
【0058】
(B)第2の実施形態
第2の実施形態も、第1の実施形態と同様に競馬ゲームに、本発明のゲームシステム、ゲーム管理装置、ゲーム方法を適用した場合を示す。
【0059】
図6は、本実施形態のネットワークシステムの概略的な全体構成を示すイメージ図である。図6において、本実施形態のネットワークシステム10は、図1のネットワーク3に仮想ゲーム装置5が接続する点が、第1のネットワークシステムと異なる。よって、以下では、仮想ゲーム装置5の構成及び動作について詳細に説明し、第1の実施形態で既に説明した他の構成要件の詳細な説明は省略する。
【0060】
仮想ゲーム装置5は、例えば、ゲーム管理者や代理人などが操作する装置であって、ゲーム管理装置2がゲーム進行を制御している競馬ゲームに対して、総プレイヤ数を調整したり、出走する馬に対する投票数を調整したりするものである。
【0061】
ここで、仮想ゲーム装置5が調整できるプレイヤ数や投票数は原則として制限がないものとする。これにより、ゲーム参加人数が1人のように少数である場合でも、仮想ゲーム装置5からの調整により、大人数でゲームをしている場合と同様の効果を与えることができる。
【0062】
ゲーム管理装置2は、仮想ゲーム装置5が調整した総プレイヤ数や投票数も含めて投票情報を判定する。また、ゲーム管理装置5は、仮想ゲーム装置5を配当対象から除外し、仮想ゲーム装置5が当選しても配当しないようにする。
【0063】
また、仮想ゲーム装置5は、複数の競馬ゲームを監視することができ、ゲーム管理者などが、複数の競馬ゲームのうちオッズ調整するゲームを指定して行なうことができる。
【0064】
さらに、仮想ゲーム装置5は、ゲーム管理装置2が他のゲーム装置4からの投票情報が所定の条件を満たしていない場合にのみ、プレイヤ数や投票数の調整が可能なようにしてもよい。これにより、所定の条件を満たしている場合には、正規のプレイヤによるゲーム進行を図ることができる。
【0065】
(C)他の実施形態
上述した第1及び第2の実施形態においても、いくつかの変形例を説明したが、以下では、説明した変形例以外の変形例について説明する。
【0066】
(C−1)上述した実施形態では、ゲーム管理装置2が各ゲーム装置4にゲームを提供するサーバとして説明したが、これに限らず、複数のゲーム装置4のうち少なくとも1台のゲーム装置が、上述したゲーム管理装置2の機能を有し、各ゲーム装置4間でマスタ−スレーブの関係でゲーム進行させるゲームシステムとしても適用可能である。
【0067】
また、上述したゲーム管理装置2が搭載する機能は、システム1として機能することができれば、物理的に一体に構成されていなくてもよい。
【0068】
(C−2)上述した実施形態で説明したゲーム装置4は、ゲーム機能を備えていれば、遊技機(パチンコ、パチスロ機等)に併用した形であってもよい。この場合、遊技機が搭載する制御装置が本実施形態のゲーム装置4の制御部41の機能を実現するようにしてもよい。
【0069】
また、ゲーム装置4は、例えば、ゲームセンターに設置される専用のゲーム装置に限定されず、ネットワーク3に接続可能であれば、家庭用のゲーム機やパーソナルコンピュータその他通信端末や、又は移動通信可能な携帯型ゲーム機やゲーム機能を実行可能な携帯電話機その他移動通信端末等としてもよい。また、ゲーム装置4の形態はそれぞれが異なる形態の装置であってもよい。
【0070】
(C−3)上述した投票オッズ演算部23において、投票情報の受付状況が所定の条件に満たしていない場合に、仮想投票情報生成部232が所定の条件を満たすように、すなわち、少なくとも所定の条件までの不足分に相当する仮想投票情報を生成するものとし、投票オッズ決定部233が、各ゲーム装置4の投票情報と生成した仮想投票情報とを合わせた情報を用いて投票オッズを決定するものとして説明した。
【0071】
しかし、これに限定されず、仮想投票情報生成部232が仮想投票情報だけで所定の条件を超える数の仮想投票情報を生成し、投票オッズ決定部233が、その仮想投票情報のみを用いて投票オッズを決定するようにしてもよい。
【0072】
(C−4)投票情報の受付状況が所定の条件を満たしているか否かの判断時期について、複数の判断時期(複数の投票締め切り時期)とする変形例を説明したが、この場合においても、図5の説明と同様に、それまでの投票情報の受付状況が所定の条件を満たしているかどうかの判断により投票オッズを算出してもよい。
【0073】
(C−5)仮想投票情報生成部232が仮想投票情報を生成する度合いを決定するための1又は複数の所定の条件(生成度合い決定条件)を設けるようにしてもよい。これにより、投票情報の受付状況から投票オッズに偏りが生じ得ると判定した場合に、投票情報の受付状況の不足の程度に応じて、生成する仮想投票情報数を決定することができる。
【0074】
例えば、投票情報判定部231の所定の条件が「投票数が40票以上」とする場合、仮想投票情報生成部232に所定の条件として、「総投票数が20票以下」、「総投票数が21〜30票」、「総投票数が31票〜40票」、と複数設けることができる。そして、投票情報の受付状況が属す条件に応じて、仮想生成情報の生成数や生成方法を異なるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1の実施形態のネットワークゲームシステムの概略的な全体構成を示すイメージ図である。
【図2】第1の実施形態のゲーム管理装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】第1の実施形態のゲーム装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態のネットワークゲームシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図5】第1の実施形態のゲーム管理装置における投票オッズの演算処理を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態のネットワークゲームシステムの概略的な全体構成を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0076】
1…ネットワークゲームシステム、3…ネットワーク、2…ゲーム管理装置、21…制御部、22…通信部、23…投票オッズ演算部、24…抽選部、25…配当算出部、26…競走馬情報データベース(DB)、4(4−1〜4−n)…ゲーム装置、41…制御部、42…通信部、43…入力部、44…出力部、5…仮想ゲーム装置。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム結果に対する各投票者の予想を表す投票情報を各投票者が入力する投票入力装置と、上記投票入力装置から受け取った上記各投票者の投票情報に基づいてゲームに用いる投票オッズを算出する投票オッズ算出装置とを有するゲームシステムにおいて、
上記投票オッズ算出装置が、
上記投票入力装置から受け取った上記投票情報の受付状況が、所定の条件を満足しているか否かを判定する投票情報判定手段と、
上記投票情報判定手段の判定結果に応じて、少なくとも上記所定の条件を満たすように上記投票情報を調整する投票情報調整手段と、
上記投票情報調整手段が調整した投票情報に基づいて、上記投票オッズを求める投票オッズ演算手段と
を備えることを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
上記投票情報調整手段は、上記投票情報判定手段が上記所定の条件を満たしていないと判定した場合に、上記所定の条件を満たすように仮想投票情報を生成することを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
上記投票オッズ演算手段は、上記投票情報判定手段が上記所定の条件を満たしていると判定した場合には、各ゲーム装置から収集した上記投票情報に基づいて上記投票オッズを求め、上記投票情報判定手段が上記所定の条件を満たしていないと判定した場合には、上記投票情報調整手段が生成した上記仮想投票情報を少なくとも用いて上記投票オッズを求めることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
上記各投票者の上記投票情報とは異なる投票情報を上記投票オッズ算出装置に与える仮想ゲーム装置を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゲームシステム。
【請求項5】
ゲーム結果に対する各投票者の予想を表す投票情報を各投票者が入力する投票入力装置から受け取った上記各投票者の投票情報に基づいてゲームに用いる投票オッズを算出する投票オッズ算出手段を有するゲーム管理装置において、
上記投票オッズ算出手段が、
上記投票入力装置から受け取った上記投票情報の受付状況が、所定の条件を満足しているか否かを判定する投票情報判定部と、
上記投票情報判定部の判定結果に応じて、少なくとも上記所定の条件を満たすように上記投票情報を調整する投票情報調整部と、
上記投票情報調整部が調整した投票情報に基づいて、上記投票オッズを求める投票オッズ演算部と
を備えることを特徴とするゲーム管理装置。
【請求項6】
ゲーム結果に対する各投票者の予想を表す投票情報を各投票者が入力する投票入力装置から受け取った上記各投票者の投票情報に基づいてゲームに用いる投票オッズを算出するゲーム方法において、
上記投票入力装置から受け取った上記投票情報の受付状況が、所定の条件を満足しているか否かを判定する投票情報判定工程と、
上記投票情報判定工程の判定結果に応じて、少なくとも上記所定の条件を満たすように上記投票情報を調整する投票情報調整工程と、
上記投票情報調整工程で調整した投票情報に基づいて、上記投票オッズを求める投票オッズ演算工程と
を備えることを特徴とするゲーム方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−175197(P2006−175197A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82252(P2005−82252)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】