説明

ゲームプログラム、記憶媒体およびコンピュータ

【課題】敵キャラクタからの攻撃が単調でないスリリングなゲーム進行を実現することが
可能なゲームプログラムを得る。
【解決手段】ゲームプログラムは、コンピュータ10を、仮想のゲーム空間を生成するゲーム空間制御部52cと、複数のプレイヤキャラクタ1P,2Pを生成するとともに、複
数のプレイヤキャラクタ1P,2Pをゲーム空間内で活動させるプレイヤキャラクタ制御
部52bと、少なくとも一つの敵キャラクタE1〜E3を生成するとともに、敵キャラク
タE1〜E3をゲーム空間内で活動させる敵キャラクタ制御部52aと、プレイヤキャラ
クタの状態に基づく所定の集中攻撃開始条件が成立したときに、複数のプレイヤキャラク
タ1P,2Pのうちの一つに対する集中的な攻撃を二以上の敵キャラクタE1〜E3に開
始させる集中攻撃制御部53と、として機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊戯者が操作するプレイヤキャラクタが敵キャラクタと戦闘するゲームを
実行するゲームプログラム、記憶媒体およびコンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム中に多人数のプレイヤキャラクタが登場し、これら多人数のプレイヤキャラクタが協力してストーリーを進行させる多人数参加型ゲームが従来よりあった。このような多
人数参加型ゲームには、1台のゲーム専用のゲーム機(据置型および携帯型いずれをも含
む、以下同)または、1台の汎用的なパーソナルコンピュータ(デスクトップ型およびノ
ートブック型いずれをも含む、以下同)に接続された複数のコントローラによって、各プ
レイヤキャラクタを操作する形態が含まれる(いわゆるスタンドアローン形態)。
【0003】
さらにその他にも、多人数参加型ゲームには、複数のゲーム機および/またはパーソナ
ルコンピュータを、有線もしくは無線にて直接に接続し、または、有線もしくは無線のL
AN(Local Area Network)やインターネット等の通信ネットワークを介して相互に接続
し、これらの複数のゲーム機および/またはパーソナルコンピュータに接続された複数の
コントローラによって、各プレイヤキャラクタを操作する形態も含まれる(いわゆるオン
ラインゲーム形態)。
【0004】
なお、多人数のキャラクタを画像表示させる制御方法に関する先行技術文献情報として
、次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−276419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数のプレイヤキャラクタが敵キャラクタと戦闘するアクションゲームにおいては、多
人数のプレイヤキャラクタが接近して移動したり、分離行動を採ったりしながら、互いに
協力してゲームを進行することができる。
【0007】
各プレイヤキャラクタは、それぞれの活動を可能にする体力値というパラメータを有し
ている。体力値は、応急手当をしたり、アイテムを補給すると回復する。一方、敵キャラ
クタから攻撃を受けたり、自分が放った爆破攻撃の余波を受けたりすると、体力値は減少
する。そして、体力値が0になると、一般的にそのプレイヤキャラクタについては、ゲー
ムオーバーとなる。
【0008】
敵キャラクタは、各プレイヤキャラクタのゲーム進行を邪魔するために、その体力値を
0にすべく襲い掛かる。ここで、敵キャラクタの一般的な攻撃処理方法としては、敵キャ
ラクタが発見したプレイヤキャラクタのうち最も近くの者を攻撃する、との手法が採用さ
れることが多い。
【0009】
しかし、このような攻撃処理方法では、敵キャラクタに近いプレイヤキャラクタが攻撃
されるのみであり、複数の敵キャラクタに集団で協調した行動を採らせるとの観点がなく
、単調でスリル感に欠けるゲーム進行となっていた。
【0010】
この発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、敵キャラクタからの攻撃が単調でない
スリリングなゲーム進行を実現することが可能なゲームプログラム、記憶媒体およびコン
ピュータを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係るゲームプログラムは、コンピュータを、仮想のゲーム空間を
生成するゲーム空間制御手段と、少なくとも一人の遊戯者が各々操作可能な、および/ま
たは、遊戯者の操作によらずに自律行動可能な、複数のプレイヤオブジェクトを生成する
とともに、前記複数のプレイヤオブジェクトを前記ゲーム空間内で活動させるプレイヤオ
ブジェクト制御手段と、前記複数のプレイヤオブジェクトと戦う複数の敵オブジェクトを
生成するとともに、前記複数の敵オブジェクトを前記ゲーム空間内で活動させる敵オブジ
ェクト制御手段と、前記プレイヤオブジェクトの状態に基づく所定の集中攻撃開始条件が
成立したときに、前記複数のプレイヤオブジェクトのうちの一つに対する集中的な攻撃を
前記複数の敵オブジェクトのうち二以上の敵オブジェクトに開始させる集中攻撃制御手段
と、として機能させることを特徴とするものである。
【0012】
第1の態様に係るゲームプログラムによれば、集中攻撃制御手段は、プレイヤオブジェ
クトの状態に基づく所定の集中攻撃開始条件が成立したときに、複数のプレイヤオブジェ
クトのうちの一つに対する集中的な攻撃を二以上の敵オブジェクトに開始させる。よって
、自己のプレイヤオブジェクトが敵オブジェクトから突如、集中的に攻撃されるかもしれ
ないとの恐怖感を遊戯者に抱かせることができ、単調でないスリリングなゲーム進行を実
現することができる。
【0013】
本発明の第2の態様に係るゲームプログラムは、第1の態様に係るゲームプログラムに
おいて特に、前記所定の集中攻撃開始条件には、前記ゲーム空間内における前記複数のプ
レイヤオブジェクト間の距離が、第1の所定値以上となることが含まれることを特徴とす
るものである。
【0014】
第2の態様に係るゲームプログラムによれば、所定の集中攻撃開始条件には、ゲーム空
間内における複数のプレイヤオブジェクト間の距離が、第1の所定値以上となることが含
まれる。よって、自己のプレイヤオブジェクトが、仲間たる他のプレイヤオブジェクトか
らはぐれると、敵オブジェクトから集中的に攻撃されるかもしれないとの恐怖感を遊戯者
に抱かせることができる。
【0015】
本発明の第3の態様に係るゲームプログラムは、第2の態様に係るゲームプログラムに
おいて特に、前記コンピュータには、前記ゲーム空間内に設けられた仮想カメラから見た
前記ゲーム空間の画像が映し出されるモニタが接続可能であり、前記仮想カメラは、前記
複数のプレイヤオブジェクトの各々に対応して複数設けられ、前記遊戯者が複数であって
、前記複数の遊戯者は、それぞれが操作する前記プレイヤオブジェクトに対応する前記仮
想カメラの撮像範囲を、各々前記モニタにより視認可能であり、前記所定の集中攻撃開始
条件には、さらに、各前記プレイヤオブジェクトに対応するそれぞれの前記仮想カメラに
よる撮像範囲内に、同一の、または、異なる前記敵オブジェクトが入っていることが含ま
れることを特徴とするものである。
【0016】
第3の態様に係るゲームプログラムによれば、所定の集中攻撃開始条件には、さらに、
各プレイヤオブジェクトに対応するそれぞれの仮想カメラによる撮像範囲内に、同一の、
または、異なる敵オブジェクトが入っていることが含まれる。よって、集中攻撃が開始さ
れると、集中攻撃を受けないプレイヤオブジェクトに対応する仮想カメラの撮像範囲内に
入っていた敵オブジェクトが集中攻撃対象のプレイヤオブジェクトに向かうため、集中攻
撃を受けないプレイヤオブジェクトの遊戯者は、他のプレイヤオブジェクトが集中攻撃対
象とされていることに気づくことができ、興趣を増す。
【0017】
本発明の第4の態様に係るゲームプログラムは、第1乃至第3のいずれか一つの態様に
係るゲームプログラムにおいて特に、前記集中攻撃制御手段は、前記集中的な攻撃を、所
定の確率で前記二以上の敵オブジェクトに開始させることを特徴とするものである。
【0018】
第4の態様に係るゲームプログラムによれば、集中攻撃制御手段は、集中的な攻撃を、
所定の確率で二以上の敵オブジェクトに開始させる。よって、必ずしも集中攻撃が開始さ
れるとは限らず、いつ集中攻撃が開始するか分からないとの恐怖感を遊戯者に抱かせるこ
とができ、単調でないスリリングなゲーム進行を実現することができる。
【0019】
本発明の第5の態様に係るゲームプログラムは、第1乃至第4のいずれか一つの態様に
係るゲームプログラムにおいて特に、前記集中攻撃制御手段は、前記複数のプレイヤオブ
ジェクトのうち、少なくとも一つの前記敵オブジェクトに発見されているものであって、
最も多くの前記敵オブジェクトに囲まれているプレイヤオブジェクトを前記集中的な攻撃
の対象に設定することを特徴とするものである。
【0020】
第5の態様に係るゲームプログラムによれば、複数のプレイヤオブジェクトのうち、少
なくとも一つの敵オブジェクトに発見されているものであって、最も多くの敵オブジェク
トに囲まれているプレイヤオブジェクトが、集中的な攻撃の対象とされる。よって、ゲー
ム進行の状況に応じて、集中攻撃対象となるプレイヤオブジェクトが変化するため、単調
でないスリリングなゲーム進行を実現することができる。
【0021】
本発明の第6の態様に係るゲームプログラムは、第1乃至第5のいずれか一つの態様に
係るゲームプログラムにおいて特に、前記敵オブジェクト制御手段は、前記複数のプレイ
ヤオブジェクトのうちの少なくとも一つを発見している前記敵オブジェクトを、前記集中
的な攻撃に参加させることを特徴とするものである。
【0022】
第6の態様に係るゲームプログラムによれば、複数のプレイヤオブジェクトのうちの少
なくとも一つを発見している敵オブジェクトが、集中的な攻撃に参加する。よって、それ
までプレイヤオブジェクトを発見していなかった敵オブジェクトが突如として集中的な攻
撃に参加するという、ゲーム進行上の違和感を排除することができる。
【0023】
本発明の第7の態様に係るゲームプログラムは、第1乃至第6のいずれか一つの態様に
係るゲームプログラムにおいて特に、前記集中攻撃制御手段は、所定の集中攻撃解除条件
が成立したときに、前記集中的な攻撃を解除することを特徴とするものである。
【0024】
第7の態様に係るゲームプログラムによれば、所定の集中攻撃解除条件が成立したとき
に、集中的な攻撃が解除される。よって、集中攻撃が一旦開始されるとその集中攻撃が永
遠に継続するという、ゲーム進行上の不都合を回避することができる。
【0025】
本発明の第8の態様に係るゲームプログラムは、第7の態様に係るゲームプログラムに
おいて特に、前記所定の集中攻撃解除条件には、前記複数のプレイヤオブジェクト間の前
記距離が、第2の所定値以下となることが含まれることを特徴とするものである。
【0026】
第8の態様に係るゲームプログラムによれば、所定の集中攻撃解除条件には、ゲーム空
間内における複数のプレイヤオブジェクト間の距離が、第2の所定値以下となることが含
まれる。よって、集中攻撃を受けているプレイヤオブジェクトを救助するために他のプレ
イヤオブジェクトが近づいてきたときには、敵オブジェクトの集中攻撃を停止させること
ができ、プレイヤオブジェクト同士の連帯感を高めることができる。
【0027】
本発明の第9の態様に係るゲームプログラムは、第7の態様に係るゲームプログラムに
おいて特に、前記所定の集中攻撃解除条件には、前記集中的な攻撃の対象となっていない
前記プレイヤオブジェクトが、前記集中的な攻撃に参加している前記敵オブジェクトに対
して攻撃を行ったことが含まれることを特徴とするものである。
【0028】
第9の態様に係るゲームプログラムによれば、所定の集中攻撃解除条件には、集中的な
攻撃の対象となっていないプレイヤオブジェクトが、集中的な攻撃に参加している敵オブ
ジェクトに対して攻撃を行ったことが含まれる。従って、集中攻撃の対象となっていない
プレイヤオブジェクトが、集中攻撃に参加している敵オブジェクトに対して攻撃を行うこ
とによって、集中攻撃の対象となっているプレイヤオブジェクトを救助することができる
。よって、プレイヤオブジェクト同士の連帯感を高めることができる。
【0029】
本発明の第10の態様に係るゲームプログラムは、第9の態様に係るゲームプログラム
において特に、前記集中攻撃制御手段は、前記集中的な攻撃の対象となっていない前記プ
レイヤオブジェクトから攻撃を受けた前記敵オブジェクトのみに、前記集中的な攻撃を解
除させることを特徴とするものである。
【0030】
第10の態様に係るゲームプログラムによれば、集中的な攻撃の対象となっていないプ
レイヤオブジェクトから攻撃を受けた敵オブジェクトのみが、集中的な攻撃を解除する。
従って、一の敵オブジェクトが攻撃を受けたからといって、集中攻撃に参加している全て
の敵オブジェクトが集中攻撃を解除することはないため、ゲーム進行上の不自然さを解消
できるとともに、救助の困難性を高めることができる。
【0031】
本発明の第11の態様に係る記憶媒体は、第1乃至第10のいずれか一つの態様に係る
ゲームプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0032】
本発明の第12の態様に係るコンピュータは、第1乃至第10のいずれか一つの態様に
係るゲームプログラムが実行されるコンピュータである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、敵キャラクタからの攻撃が単調でないスリリングなゲーム進行を実現
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンピュータの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るゲームプログラムとコンピュータとで構成されるゲーム装置のブロック図である。
【図3】あるゲームステージにおけるゲーム空間を示すマップの上面図である。
【図4】敵キャラクタの攻撃処理を示すフローチャートである。
【図5】移動攻撃処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図6】集中攻撃処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図7】対象設定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図8】集中攻撃解除処理の詳細を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本実施の形態は、所定の集中攻撃開始条件が成立したときに、複数のプレイヤオブジェ
クトのうちの一つに対する集中的な攻撃を敵オブジェクトに開始させるようにしたゲーム
プログラム、記憶媒体およびコンピュータである。このような集中攻撃を採用することに
より、自己のプレイヤキャラクタが敵キャラクタから突如、集中的に攻撃されるかもしれ
ないとの恐怖感を遊戯者に抱かせることができ、単調でないスリリングなゲーム進行を実
現することができる。
【0036】
図1は、本実施の形態に係るコンピュータの構成を示す図である。このコンピュータ1
0は、ゲーム専用のゲーム機であってもよいし、汎用的なパーソナルコンピュータであっ
てもよい。コンピュータ10は、本実施の形態に係るゲームプログラムが記憶された記憶
媒体15から情報を読み取り、当該ゲームプログラムを実行することができる。なお、本
実施の形態に係る記憶媒体15には、例えばDVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact disc)、Blu-ray Disc(登録商標)、または、内蔵のハードディスクなどを用いることができる。
【0037】
コンピュータ10は、装置全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)31を有している。このCPU31に対してRAM(Random Access Memory)32およびバス33が接続される。RAM32には、ゲームの進行に応じて各種のデータが記憶される。
【0038】
バス33には、グラフィックプロセッサユニット(GPU)34、インプット・アウト
プット(I/O)ポート39が接続される。GPU34は、RAM35およびグラフィッ
ク処理部(GP)36を有している。GPU34には、デジタル映像信号をNTSCテレ
ビジョン方式やPALテレビジョン方式に変換するためのデコーダ37を介して、外部機
器であるモニタ(テレビジョン装置:TV)38が接続される。
【0039】
I/Oポート39には、光ディスク等の記憶媒体15に記憶されているデータを再生し
、デコードするためのドライバ(DRV)40、サウンドプロセッサ(S・P)42、外
部メモリ45、コントローラ20およびROM(Read Only Memory)46が接続される。
【0040】
コントローラ20はI/Oポート21を介して各種操作子群22をコンピュータ10の
I/Oポート39に接続する。遊戯者は、このコントローラ20を操作し、ゲーム中に登
場するプレイヤキャラクタ等を操作する。
【0041】
ROM46には、コンピュータ10を起動するとともに基本的な機能を実現するための
システムプログラムが記憶されている。外部メモリ45には、遊戯者の情報や実行してい
るゲームの途中経過等が記憶される。遊戯者は、ゲームプログラムを記憶した記憶媒体1
5と自己の外部メモリ45とをコンピュータ10にセットすることにより、途中で中断し
たゲームを、その中断したタイミングから再開することができる。
【0042】
サウンドプロセッサ42は、増幅器43を介して、外部機器であるスピーカ44に接続
される。このスピーカ44は、例えばテレビジョン装置に内蔵されているモニタ38と一
体のスピーカであれば良い。
【0043】
次に、このコンピュータ10により実行されるゲームプログラムについて説明する。こ
のゲームプログラムによって提供されるゲームは、遊戯者が操作するプレイヤが敵と戦闘
するゲームに適用可能である。より具体的には、遊戯者により操作される人間型プレイヤ
キャラクタが、ゾンビやモンスターといった人間に擬似の敵キャラクタを倒してステージ
をクリアしてゆくゲーム(アクションゲーム、シミュレーションゲーム、シューティング
ゲーム等)に適用可能である。それぞれ別個の遊戯者によって操作される複数のプレイヤ
キャラクタが活動し、各プレイヤキャラクタが銃やナイフ等の武器を使用して敵キャラク
タと戦うことによってゲームが進行する。以下の記述では、2人のプレイヤキャラクタ(
第1プレイヤキャラクタ、第2プレイヤキャラクタ)が2人の遊戯者によって操作される
ゲームを例に挙げて説明を行なう。しかし、遊戯者およびプレイヤキャラクタの数は2人
に限定されることはなく、3人以上の多数であっても良い。
【0044】
また、必ずしも多人数のプレイヤキャラクタ全てを遊戯者が操作する必要はなく、多人
数のプレイヤキャラクタのうち一部または全てを、いわゆるノンプレイヤキャラクタ(N
PC)として、遊戯者の操作によらずに自律行動可能な設定とすることもできる。この場
合、NPCの行動は、CPU31によるAI(人工知能)処理に基づいて制御される。
【0045】
なお、以下の記述では、いわゆるスタンドアローン形態の単一のコンピュータ10に複
数(2台)のコントローラ20を接続し、各コントローラ20で第1プレイヤキャラクタ
、第2プレイヤキャラクタの動作制御を行なう場合について説明する。しかし、本発明は
この構成に限定されるものではなく、複数のコンピュータ10、すなわち、複数のゲーム
機および/またはパーソナルコンピュータを、有線もしくは無線にて直接に接続し、また
は、有線もしくは無線のLANやインターネット等の通信ネットワークを介して相互に接
続し、これらの複数のゲーム機および/またはパーソナルコンピュータに接続された複数
のコントローラによって、各プレイヤキャラクタを操作する、いわゆるオンラインゲーム
形態を採用しても良い。
【0046】
各プレイヤキャラクタは、それぞれ体力値というパラメータを有している。体力値は、
各プレイヤキャラクタの活動を可能にするためのパラメータであり、栄養になるアイテム
を補給すると体力値が増加し、敵キャラクタからの攻撃(ダメージ)を受けたり、自分が
放った攻撃(手榴弾等)に当たる(自爆する)などすると体力値が減少する。ダメージを
受けた結果、体力値が0になると一定時間経過した後に死亡する。さらに、このゲームに
は、2人のプレイヤキャラクタが協力しなければクリアできない関門(ポイント)が多数
あるため、一方のプレイヤキャラクタが死亡すると、それ以上のゲーム進行が不可能にな
り、ゲームオーバーとなる。
【0047】
ただし、このゲームでは、体力値が0になったのち一定時間はプレイヤキャラクタが生
きている。この間にもう一人のプレイヤキャラクタによる回復行動(手当て)を受けるこ
とにより、体力値が若干回復し、通常の活動状態(行動が限定されず自由に活動できる状
態)に戻ることができる。すなわち、このゲームでは、体力値が0になったとき、そのプ
レイヤキャラクタを即座に死亡させず、一定時間は、他のプレイヤキャラクタによる救助
によって回復させることができる猶予期間(回復可能期間)における状態(衰弱状態)を
プレイヤキャラクタに与えている。衰弱状態のプレイヤキャラクタは通常の活動状態より
ゆっくりとした(ヨロヨロとした)移動のみ可能であり、自分で回復行動ができない。ま
た、敵キャラクタは衰弱状態となったプレイヤキャラクタに対して、所定時間様子を見な
がら接近したり威嚇等を行った後に再度攻撃をし、すぐさま攻撃を行わない。
【0048】
このように、回復可能期間を設けることにより、遊戯者は、パートナーのプレイヤキャ
ラクタが衰弱状態にあることを知って、このプレイヤキャラクタを回復させる操作を行な
うことができる。よって、パートナーのプレイヤキャラクタの死亡によって突然、ゲーム
が終了することを防ぐことができる。また、遊戯者は自分の操作次第でパートナーのプレ
イヤキャラクタの死亡を防ぐことができるため、他の遊戯者またはNPCのプレイスキル
が低くても、自分のプレイスキルに応じてゲームの進行をコントロールすることができる
。さらに、遊戯者同士が互いに助け合う操作を行なうことにより、遊戯者間の親密度を高
めることができる。
【0049】
なお、衰弱状態のプレイヤキャラクタであっても集中攻撃(詳細は後述する)の対象と
なり得る。この場合、複数の敵キャラクタは衰弱状態のプレイヤキャラクタを取り囲み、
所定時間威嚇等を行った後に攻撃を開始する。但し、衰弱状態であっても、所定時間の威
嚇等を行うことなく、すぐさま攻撃を行ってもよい。
【0050】
また、本実施の形態においては、プレイヤオブジェクトとしてゲーム中で人間として活
動するプレイヤキャラクタを想定し、敵オブジェクトとしてゾンビやモンスター等の人間
に擬似の生物たる敵キャラクタを想定している。しかし、本発明のプレイヤオブジェクト
および敵オブジェクトは、人間やそれに擬似の生物に限定されるものではなく、例えば昆
虫等のその他の生物や、ロボット、戦闘機、戦車などの機械類等、ゲーム空間内で活動可
能なあらゆる物体に適用可能である。
【0051】
上述のコンピュータ10にこのゲームプログラムが読み込まれることにより、図2に示
すような機能部を備えたゲーム装置が構成される。このゲーム装置は、操作検出部50、
ゲーム進行制御部51および描画処理部54等の各機能部を有する。
【0052】
操作検出部50は、図1におけるCPU31、RAM32、バス33、I/Oポート3
9およびROM46を含むデータ処理部と、コントローラ20等とで構成され、遊戯者の
各種操作を検出して、ゲーム進行制御部51に伝達する。
【0053】
ゲーム進行制御部51は、図1におけるCPU31、RAM32、バス33、I/Oポ
ート39およびROM46を含むデータ処理部等で構成され、仮想のゲーム空間や敵およ
びプレイヤの各キャラクタを生成するとともに、遊戯者の操作や時間の経過等に応じて、
ゲーム空間を変化させる処理や、各キャラクタを活動させる処理を行なってゲームを進行
させる。
【0054】
ゲーム進行制御部51は、ゲーム進行全般に亘って共通の処理を司る共通処理部52と
、後述する集中攻撃の処理を司る集中攻撃制御部53とを含む。共通処理部52は、プレ
イヤキャラクタと戦う敵キャラクタの活動を制御する敵キャラクタ制御部52a、プレイ
ヤキャラクタの活動を制御するプレイヤキャラクタ制御部52b、および、三次元の仮想
のゲーム空間の生成を行い、ゲーム空間における天候などの環境を制御するゲーム空間制
御部52cを有している。
【0055】
敵キャラクタ制御部52aは、生成されたゲーム空間内に生息する敵キャラクタを生成
するとともに、プレイヤキャラクタの活動に対応した活動(戦闘)をゲーム空間内で敵キ
ャラクタに行なわせる。プレイヤキャラクタ制御部52bは、遊戯者の操作による場合は
操作検出部50から入力される操作情報等に基づいて、NPCの場合はCPU31による
AI処理に基づいて、プレイヤキャラクタのゲーム空間内での活動を制御する。ゲーム空
間制御部52cは、操作検出部50から入力された操作情報に基づいて選択されたゲーム
ステージのゲーム空間を生成する。
【0056】
敵キャラクタ制御部52aは、ゲーム内に登場する複数の敵キャラクタの活動を制御し
ており、各敵キャラクタのゲーム空間内における座標、体力値等を管理している。また、
プレイヤキャラクタ制御部52bは、ゲーム内に登場する複数のプレイヤキャラクタの活
動を制御しており、各プレイヤキャラクタのゲーム空間内における座標、体力値等を管理
している。
【0057】
集中攻撃制御部53は、後述する集中攻撃処理、集中攻撃解除処理、対象設定処理の制
御を行なう。集中攻撃制御部53には、集中攻撃を行なうか否かの情報を示すフラグ53
aが含まれている。
【0058】
描画処理部54は、図1におけるGPU34、デコーダ37およびモニタ38等で構成
され、ゲーム進行制御部51が生成したゲーム空間、プレイヤキャラクタおよび敵キャラ
クタを二次元スクリーンに投影して得られる映像を生成してモニタ38に出力する。すな
わち、ゲーム空間内には、仮想カメラが複数のプレイヤキャラクタの各々に対応して複数
設けられ、各仮想カメラから見たゲーム空間の画像がモニタ38に映し出される。
【0059】
ここで、上記の通り本実施の形態では、単一のコンピュータを用いて二人の遊戯者がプ
レイを行う形態を例として説明している。この場合、モニタ38には、各遊戯者の司るプ
レイヤキャラクタの後方の仮想カメラから見たゲーム空間の画像がそれぞれ、例えば上下
2分割の画面や、左右2分割の画面にて描画処理部54により映し出される。なお、遊戯
者が一人でプレイし、パートナーのプレイヤキャラクタがNPCである場合には、モニタ
38には遊戯者の司るプレイヤキャラクタの後方の仮想カメラから見たゲーム空間の画像
が、描画処理部54により映し出される。また、オンラインゲーム形態を採る場合には、
空間的に離れた各遊戯者のモニタ38にそれぞれ、各遊戯者の司るプレイヤキャラクタの
後方の仮想カメラから見たゲーム空間の画像が、描画処理部54により映し出される。
【0060】
次に、本実施の形態に係るゲーム進行の処理について説明を行なう。本発明においては
、所定の集中攻撃開始条件が成立したときに、第1および第2プレイヤキャラクタのうち
の一つに対する集中的な攻撃を、複数の敵キャラクタに開始させる。
【0061】
図3は、あるゲームステージにおけるゲーム空間たるマップMP1を上空から見た図で
ある。マップMP1内には、第1プレイヤキャラクタP1および第2プレイヤキャラクタ
P2が存在する。また、マップMP1内には、第1敵キャラクタE1、第2敵キャラクタ
E2、第3敵キャラクタE3および第4敵キャラクタE4も存在している。
【0062】
なお、図3においては、第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2を丸印で示し、
第1乃至第4敵キャラクタE1〜E4を角印で示している。また、図3においては、第1
および第2プレイヤキャラクタP1,P2の丸印に三角形の突起P1a,P2aがそれぞ
れ付され、第1乃至第4敵キャラクタE1〜E4の角印に三角形の突起E1a〜E4aが
それぞれ付されている。この三角形の突起P1a,P2a,E1a〜E4aはそれぞれ、
各プレイヤキャラクタおよび敵キャラクタの正面方向を示すものであって、各突起の突出
方向に各キャラクタが向いている。
【0063】
また、図3においては、各プレイヤキャラクタP1,P2の背後に設置された仮想カメ
ラのアングル方向が矢印A1,A2で示されており、当該仮想カメラによる撮像範囲がF
1,F2として示されている。各プレイヤキャラクタP1,P2の背後に設置された仮想
カメラは、各プレイヤキャラクタP1,P2を操作する遊戯者の視点に相当し、各撮像範
囲F1,F2は、各遊戯者の視野に相当する。具体的には、各遊戯者の視点と注視点との
間に、モニタ38の各分割画面と同サイズの仮想スクリーンSC1,SC2がそれぞれ配
置されている。そして、各プレイヤキャラクタおよびその周辺(さらにはその目線の先に
ある他のオブジェクト)を含むゲーム空間を各遊戯者の視点から眺めた映像を、各仮想ス
クリーンSC1,SC2上に透視投影することによって、二次元映像が得られる。得られ
た各二次元映像は、モニタ38の各分割画面に表示される。よって、第1プレイヤキャラ
クタP1を操作する遊戯者は、モニタ38における自身の分割画面にて、第1プレイヤキ
ャラクタP1に対応する撮像範囲F1のゲーム空間を視認可能である。同様に、第2プレ
イヤキャラクタP2を操作する遊戯者は、モニタ38における自身の分割画面にて、第2
プレイヤキャラクタP2に対応する撮像範囲F2のゲーム空間を視認可能である。
【0064】
なお、第2プレイヤキャラクタがNPCである場合には、モニタ38には、撮像範囲F
1に対応するゲーム空間が全画面表示され、撮像範囲F2に対応するゲーム空間は表示さ
れない。しかし、NPCに対しても仮想的に撮像範囲F2のゲーム空間が撮影されている
ため、本明細書においては、撮像範囲F2のゲーム空間はNPCを操作する仮想遊戯者に
よって視認可能であるものとして説明を行う。
【0065】
さらに、図3においては、第4敵キャラクタE4の視界の範囲をF3として示している
。この視界の範囲F3は、第4敵キャラクタE4が各プレイヤキャラクタP1,P2を発
見できる範囲であって、視界の範囲F3内に各プレイヤキャラクタP1,P2のいずれか
が入ると、第4敵キャラクタE4はそのプレイヤキャラクタに対して攻撃を行なう。敵キ
ャラクタの視界の範囲は、その種類に応じて、所定角度(例えば120度)かつ所定距離
(例えば20m)に設定されている。敵キャラクタは、プレイヤキャラクタP1,P2を
発見すべくマップMP1内を哨戒しており、プレイヤキャラクタP1,P2を一度発見す
ると、その発見状態を維持する。
【0066】
なお、図の煩雑を避けるため、第1乃至第3敵キャラクタE1〜E3の視界の範囲につ
いては図3に明示してはいないが、第1乃至第3敵キャラクタE1〜E3のそれぞれにつ
いても、同様の視界の範囲を有する。また、視界の範囲の広狭は、敵キャラクタの種類に
応じてそれぞれ決定されている。
【0067】
また、図3においては、第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2間の距離をL1
とし、第1敵キャラクタE1と第1プレイヤキャラクタP1との距離をL2、第2敵キャ
ラクタE2と第2プレイヤキャラクタP2との距離をL3、第3敵キャラクタE3と第2
プレイヤキャラクタP2との距離をL4、としてそれぞれ示している。各キャラクタには
、位置座標の基準点(例えば各キャラクタの足元の任意の一点)がそれぞれ設定されてお
り、基準点同士の位置座標の差分値に基づいて、各キャラクタ間の距離が算出される。
【0068】
図4は、第1乃至第4敵キャラクタE1〜E4各々の攻撃処理を示すフローチャートで
ある。なお、このフローチャートでは、発見したプレイヤキャラクタのうち各敵キャラク
タの最も近くのプレイヤキャラクタをそれぞれ攻撃対象として攻撃するという通常の攻撃
処理と、複数の敵キャラクタの攻撃対象を第1および第2プレイヤキャラクタのうちの一
方に統一(集中)させ、集中的に攻撃するという集中的な攻撃処理とが説明される。
【0069】
このフローチャートに示された各ステップS01〜S08の処理は、例えば1/60秒
といった所定期間(1フレーム)ごとに敵キャラクタ一体一体につき、行なわれる。それ
らの処理は、上述の敵キャラクタ制御部52aが担当する。
【0070】
まず、各敵キャラクタの通常の攻撃処理について説明する。各敵キャラクタは、プレイ
ヤキャラクタを発見していない状態では、ゲーム空間における一定の範囲内を徘徊し、哨
戒行動を採っている。ステップS01においては、敵キャラクタがプレイヤキャラクタを
発見したか否かを敵キャラクタ制御部52aが判定し、発見しなかった場合は、敵キャラ
クタは哨戒行動を継続する。
【0071】
敵キャラクタがプレイヤキャラクタを発見した場合には、ステップS02へと進み、集
中攻撃を行なうか否かの情報を示すフラグ53aがONになっているか否かを判定する。
フラグ53aは、後述する集中攻撃処理(図6)により所定の集中攻撃開始条件を満たし
た場合にONとなり、後述する集中攻撃解除処理(図8)により所定の集中攻撃解除条件
を満たした場合にOFFとなる。
【0072】
フラグ53aがOFFの場合には、ステップS03に進み、敵キャラクタが発見したの
が第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2のいずれであるのかを敵キャラクタ制御
部52aが判定する。発見したのが第1プレイヤキャラクタP1であった場合には、ステ
ップS05に進み、敵キャラクタの攻撃対象を第1プレイヤキャラクタP1にセットする
。そして、ステップS07に進み、第1プレイヤキャラクタP1に対して後述の移動攻撃
処理を行なった後、攻撃処理を終了する。また、発見したのが第2プレイヤキャラクタP
2であった場合には、ステップS06に進み、敵キャラクタの攻撃対象を第2プレイヤキ
ャラクタP2にセットする。そして、ステップS07に進み、第2プレイヤキャラクタP
2に対して後述の移動攻撃処理を行なった後、攻撃処理を終了する。
【0073】
一方、発見したのが第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2の両方であった場合
には、ステップS04に進み、敵キャラクタの最も近くにいるのが第1および第2プレイ
ヤキャラクタP1,P2のいずれであるのかを敵キャラクタ制御部52aが判定する。各
敵キャラクタE1〜E4や第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2のそれぞれの座
標は、共通処理部52の敵キャラクタ制御部52aおよびプレイヤキャラクタ制御部52
bが把握しており、共通処理部52は、各敵キャラクタE1〜E4と第1および第2プレ
イヤキャラクタP1,P2との間のゲーム空間内における距離を算出可能である。この算
出結果に基づいて、敵キャラクタ制御部52aは、敵キャラクタの最も近くにいるのが第
1および第2プレイヤキャラクタP1,P2のいずれであるのかの判定が可能である。
【0074】
そして、敵キャラクタの最も近くにいるのが第1プレイヤキャラクタP1であった場合
には、ステップS05に進み、敵キャラクタの攻撃対象を第1プレイヤキャラクタP1に
セットする。また、敵キャラクタの最も近くにいるのが第2プレイヤキャラクタP2であ
った場合には、ステップS06に進み、敵キャラクタの攻撃対象を第2プレイヤキャラク
タP2にセットする。そして、いずれの場合もステップS07に進み、セットした攻撃対
象に対して移動攻撃処理を行なった後、攻撃処理を終了する。
【0075】
図5は、ステップS07の移動攻撃処理の詳細を説明するフローチャートである。まず
、ステップS09にて、ゲーム空間内の仮想距離として例えば10m以上、攻撃対象とな
るプレイヤキャラクタまで敵キャラクタが離れているか否かの判定を敵キャラクタ制御部
52aが行なう。攻撃対象まで10m以上離れている場合には、ステップS10に進み、
敵キャラクタを攻撃対象に向かって走らせる。その後、移動攻撃処理を終了する。
【0076】
攻撃対象まで10m未満の場合は、ステップS11に進み、例えば2.5m以上、攻撃
対象となるプレイヤキャラクタまで敵キャラクタが離れているか否かの判定を敵キャラク
タ制御部52aが行なう。攻撃対象まで2.5m以上離れている場合には、ステップS1
2に進み、敵キャラクタを攻撃対象に向かって歩かせる。その後、移動攻撃処理を終了す
る。
【0077】
攻撃対象まで2.5m未満の場合は、ステップS13に進み、敵キャラクタを攻撃対象
に向かって攻撃させる。その後、移動攻撃処理を終了する。なお、上記においては10m
および2.5mとの具体数値を挙げたが、これらはあくまでも例示であり、例えば敵キャ
ラクタの種類、攻撃の種類、プレイヤキャラクタの体力値の大小等に応じて変化させても
よい。
【0078】
また、攻撃対象に向かって走らせる途中や歩かせる途中、そして攻撃途中において、例
えば攻撃対象のプレイヤキャラクタが敵キャラクタに対して銃口を向けるなど、反抗する
動作を採った時に、敵キャラクタに、銃口が向けられた箇所(頭部や上半身など)に応じ
て、屈んで側方へ退避したり、両腕でガードしつつ近づいていったり、横向きに歩いて近
づいたり、と各種の演出動作を行なわせても良い。
【0079】
ここまでの処理が、発見したプレイヤキャラクタのうち各敵キャラクタの最も近くのプ
レイヤキャラクタをそれぞれ攻撃対象として攻撃するという通常の攻撃処理に相当する。
【0080】
続いて、複数の敵キャラクタの攻撃対象を第1および第2プレイヤキャラクタのうち一
方に統一(集中)させ、集中的に攻撃するという集中的な攻撃処理(フラグ53aがON
)について説明する。なお、集中的な攻撃処理とは、図4のステップS08,ステップS
07、後述する図6の集中攻撃処理、図7の対象設定処理、図8の集中攻撃解除処理を含
む処理である。
【0081】
図4のステップS02の判定において、フラグ53aがONの場合には、ステップS0
8に進み、後述する対象設定処理(図7)により決定した集中攻撃の対象(第1プレイヤ
キャラクタP1または第2プレイヤキャラクタP2)に攻撃対象をセットする。そして、
ステップS07に進み、セットした攻撃対象に対して上述の移動攻撃処理を行う(ステッ
プS07)。
【0082】
なお、図4に示した攻撃処理のフローは敵キャラクタ1体1体について行っているが、
各敵キャラクタの攻撃対象をステップS08にて統一させた後、通常の攻撃処理と同様の
移動攻撃処理(ステップS07)を実行することで、一方のプレイヤキャラクタに対して
集中的な攻撃を敵キャラクタに行わせることができる。
【0083】
続いて、集中攻撃開始条件について説明する。本実施の形態においては、集中攻撃開始
条件として、ゲーム空間内における第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2間の距
離L1が、第1の所定値(例えば9m)以上となること、および、2人の遊戯者の各プレ
イヤキャラクタに対応するそれぞれの仮想カメラによる撮像範囲F1,F2内に、同一の
、または、異なる敵キャラクタが入っていること、を採用する。
【0084】
集中攻撃開始条件に、第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2間の距離L1が第
1の所定値以上となることを含ませることにより、自己のプレイヤオブジェクトが、仲間
たる他のプレイヤオブジェクトからはぐれると、敵オブジェクトから集中的に攻撃される
かもしれないとの恐怖感を遊戯者に抱かせることができる。
【0085】
また、集中攻撃開始条件にさらに、2人の遊戯者の各プレイヤキャラクタに対応するそ
れぞれの仮想カメラによる撮像範囲F1,F2内に、同一の、または、異なる敵キャラク
タが入っていることを含ませることにより、集中攻撃が開始されると、集中攻撃を受けな
いプレイヤキャラクタに対応する仮想カメラの撮像範囲内に入っていた敵キャラクタが集
中攻撃対象のプレイヤキャラクタに向かう様子を視認できるため、集中攻撃を受けないプ
レイヤキャラクタの遊戯者は、他のプレイヤキャラクタが集中攻撃対象とされていること
に気づくことができ、興趣を増す。
【0086】
図6は、集中攻撃開始条件を満たすか否かを判定する集中攻撃処理の詳細を説明するフ
ローチャートである。この集中攻撃処理は、集中攻撃制御部53内のフラグ53aがOF
Fである場合に、所定期間(例えば1フレーム)ごとに実行される。また、集中攻撃処理
は、図4に示した攻撃処理よりも前に行われる。
【0087】
まず、ステップS14において、前回の集中攻撃があった場合には、その前回の集中攻
撃が終了してから一定時間(例えば2分)が経過しているか否かが、集中攻撃制御部53
により判定される。連続して集中攻撃が発生するのを避けるために、このような判定が行
なわれる。なお、ゲーム初回はまだ集中攻撃が発生していないが、前回の集中攻撃終了後
一定時間が経過したものとみなす。
【0088】
もし、前回の集中攻撃が終了してから一定時間が経過していない場合には、集中攻撃処
理を終了する。一方、一定時間が経過している場合には、ステップS15に進み、第1お
よび第2プレイヤキャラクタP1,P2間の距離が、上記第1の所定値以上となっている
か否かが判定される。
【0089】
もし、第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2間の距離L1が、上記第1の所定
値以上となっていない場合には、集中攻撃開始条件を満たしていないとして、集中攻撃処
理を終了する。一方、上記第1の所定値以上となっている場合には、集中攻撃開始条件の
一部を満たしているとして、ステップS16に進む。このステップS16では、モニタ3
8の各遊戯者の分割画面に敵キャラクタが映っているか、すなわち、2人の遊戯者の各プ
レイヤキャラクタに対応するそれぞれの仮想カメラによる撮像範囲F1,F2内に、同一
の、または、異なる敵キャラクタが入っているか否かが判定される。
【0090】
この判定条件は、集中攻撃を受けないプレイヤキャラクタを操作する遊戯者に、他のプ
レイヤキャラクタが集中攻撃を受けることを知らせるために採用されている。すなわち、
仮に第2プレイヤキャラクタP2が集中攻撃対象となり、第1プレイヤキャラクタP1が
集中攻撃対象ではない場合に、第2プレイヤキャラクタP2については、面前の第2およ
び第3敵キャラクタE2,E3のみならず第1敵キャラクタE1までもが自己に向かって
くるため、集中攻撃を受けることを認識できる。しかし、第1プレイヤキャラクタP1を
操作する遊戯者のモニタ38の分割画面内に敵キャラクタが映っていないと、何ら画面上
の変化がないため、第2プレイヤキャラクタP2が集中攻撃を受けているのか否かが、第
1プレイヤキャラクタP1を操作する遊戯者には判別しづらい。
【0091】
この判定条件は、特に、遊戯者が一人でプレイしパートナーのプレイヤキャラクタがN
PCである場合や、オンラインゲーム形態を採る場合など、単一のモニタ38に一人の遊
戯者の司るプレイヤキャラクタの後方の仮想カメラから見たゲーム空間の画像のみが、描
画処理部54により映し出される時に効果的である。
【0092】
一方、集中攻撃を受けない第1プレイヤキャラクタP1に対応する仮想カメラの撮像範
囲F1内に第1敵キャラクタE1が入っておれば、第1プレイヤキャラクタP1の面前の
第1敵キャラクタE1が集中攻撃対象の第2プレイヤキャラクタP2に向かう。すなわち
、第1敵キャラクタE1の行動の変化を第1プレイヤキャラクタP1の遊戯者は感知し、
他のプレイヤキャラクタが集中攻撃対象とされていることに気づくことができる。
【0093】
なお、“同一の、または、異なる敵キャラクタ”としたのは、以下の両状態を含めるた
めである。すなわち、例えば第1プレイヤキャラクタP1に対応する仮想カメラの撮像範
囲F1内(すなわち、第1プレイヤキャラクタP1の操作者に見える範囲内)に、第2プ
レイヤキャラクタP2に対応する仮想カメラの撮像範囲F2内(すなわち、第2プレイヤ
キャラクタP2の操作者に見えている範囲内)に存在する第2または第3敵キャラクタE
2,E3が入っておれば、第1および第2プレイヤキャラクタP1がともに“同一の”敵
キャラクタを面前にしていることとなり、第2または第3敵キャラクタE2,E3の集中
攻撃行動が、いずれの遊戯者にも感知できる。
【0094】
一方、第1プレイヤキャラクタP1に対応する仮想カメラの撮像範囲F1内(すなわち
、第1プレイヤキャラクタP1の操作者に見える範囲内)に、第2プレイヤキャラクタP
2に対応する仮想カメラの撮像範囲F2内にない(すなわち、第2プレイヤキャラクタP
2の操作者に見えてはいない)第1敵キャラクタE1しか入っていない場合には、第1プ
レイヤキャラクタP1は第1敵キャラクタE1を面前にし、第2プレイヤキャラクタP2
は、第1敵キャラクタE1とは“異なる”第2および第3敵キャラクタE2,E3を面前
にしていることとなる。しかし、このような場合であっても、第1敵キャラクタE1の行
動の変化を第1プレイヤキャラクタP1の遊戯者は感知し、他のプレイヤキャラクタが集
中攻撃対象とされていることに気づくことができる。
【0095】
ここで、「敵キャラクタが遊戯者に見える」とは、敵キャラクタが必ずしも遊戯者の視
界に入っている(つまり遊戯者が気づいている)ことを必要とせず、プレイヤキャラクタ
に対応する仮想カメラの撮像範囲F1,F2内に敵キャラクタが入っていれば(つまりモ
ニタ38に映していれば)足りるとの意である。
【0096】
ステップS16にて、各遊戯者のモニタ38の分割画面に敵キャラクタが映っていない
場合には、集中攻撃開始条件を満たしていないとして、集中攻撃処理を終了する。一方、
各遊戯者のモニタ38の分割画面に敵キャラクタが映っている、すなわち、2人の遊戯者
の各プレイヤキャラクタに対応するそれぞれの仮想カメラによる撮像範囲F1,F2内に
、同一の、または、異なる敵キャラクタが入っている場合には、集中攻撃開始条件の全部
を満たしているとして、ステップS17に進む。このステップS17では、集中攻撃制御
部53内のフラグ53aがONに設定される。そして、ステップS18に進み、後述する
集中攻撃の対象を設定する処理(対象設定処理)が行われた後、集中攻撃処理を終了する

【0097】
なお、上記においては、ステップS14〜S16の集中攻撃開始条件を全て満たした場
合には、集中攻撃制御部53内のフラグ53aを必ずONに設定したが、集中攻撃開始条
件を全て満たすことに加えて、所定の確率(例えば50%)の抽選に当選することを、フ
ラグ53aをONに設定するための条件として追加しても良い。この抽選は、集中攻撃制
御部53内で行われる。この場合、ステップS14〜S16の集中攻撃開始条件を全て満
たしている場合であっても、50%の確率でフラグ53aはONに設定されない。このよ
うに、集中攻撃開始条件の一つとして確率的な要素を含めることにより、必ずしも集中攻
撃が開始されるとは限らず、いつ集中攻撃が開始するか分からないとの恐怖感を遊戯者に
抱かせることができ、単調でないスリリングなゲーム進行を実現することができる。
【0098】
続いて、ステップS18の対象設定処理の説明を行なう。図7は、対象設定処理の詳細
を説明するフローチャートである。ここでは、複数のプレイヤキャラクタのうち、少なく
とも一つの敵キャラクタに発見されているものであって、最も多くの敵キャラクタに囲ま
れているプレイヤキャラクタを集中的な攻撃の対象とする。
【0099】
このように、プレイヤキャラクタのうち、少なくとも一つの敵キャラクタに発見されて
いるものであって、最も多くの敵キャラクタに囲まれているプレイヤキャラクタを集中的
な攻撃の対象とすることにより、ゲーム進行の状況に応じて、集中攻撃対象となるプレイ
ヤキャラクタが変化するため、単調でないスリリングなゲーム進行を実現することができ
る。
【0100】
まず、ステップS19において、第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2のうち
、どちらがより多くの敵キャラクタに囲まれているかを、敵キャラクタ制御部52aが判
定する。例えば、各プレイヤキャラクタのそれぞれについて、プレイヤキャラクタを中心
とした所定圏内(例えば半径12mの円内)に存在する敵キャラクタの数を算出する。そ
して、それらプレイヤキャラクタを発見した敵キャラクタの数の大小比較により上記判定
を行う。
【0101】
そして、第1プレイヤキャラクタP1の方が多くの敵キャラクタに囲まれておれば、ス
テップS20に進み、集中攻撃の対象を第1プレイヤキャラクタP1に設定する。一方、
第2プレイヤキャラクタP2の方が多くの敵キャラクタに囲まれておれば、ステップS2
1に進み、集中攻撃の対象を第2プレイヤキャラクタP2に設定する。集中攻撃の対象が
設定されると対象設定処理は終了し、図6の集中攻撃処理にリターンする。
【0102】
図3を例に採れば、第1プレイヤキャラクタP1の面前には第1敵キャラクタE1が対
峙し、第2プレイヤキャラクタP2の面前には第2および第3敵キャラクタE2,E3が
対峙している。また、第1〜第4敵キャラクタE1〜E4以外の敵キャラクタは、マップ
MP1内には存在していない。このとき、例えば第1敵キャラクタE1の視界の範囲内に
第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2が存在して(第1敵キャラクタE1が第1
および第2プレイヤキャラクタP1,P2を発見して)おり、かつ、第1敵キャラクタE
1と第1プレイヤキャラクタP1との距離L2が例えば8mであって、第2および第3敵
キャラクタE2,E3と第1プレイヤキャラクタP1との距離が12m以上離れている場
合には、第1プレイヤキャラクタP1を囲む敵キャラクタの数は、第1敵キャラクタE1
のみの1となる。
【0103】
また、第2および第3敵キャラクタE2,E3の視界の範囲内に第1および第2プレイ
ヤキャラクタP1,P2が存在して(第2および第3敵キャラクタE2,E3がともに第
1および第2プレイヤキャラクタP1,P2を発見して)おり、かつ、第2敵キャラクタ
E2と第2プレイヤキャラクタP2との距離L3が例えば7m、第3敵キャラクタE3と
第2プレイヤキャラクタP2との距離L4が例えば6mであって、第1敵キャラクタE1
と第2プレイヤキャラクタP2との距離が12m以上離れている場合には、第2プレイヤ
キャラクタP2を囲む敵キャラクタの数は、第2および第3敵キャラクタE2,E3の2
となる。
【0104】
よって、この場合は、第2プレイヤキャラクタP2が最も多くの敵キャラクタに囲まれ
ており、第2プレイヤキャラクタP2が集中的な攻撃の対象となる。これにより、この時
点で第2プレイヤキャラクタP2を囲んでいる第2および第3敵キャラクタE2,E3は
もちろんのこと、第2プレイヤキャラクタP2を発見しつつも離れた位置に存在していた
第1敵キャラクタE1までもが、第2プレイヤキャラクタP2を攻撃対象として、移動攻
撃処理の制御下に入る。
【0105】
このとき、例えば集中攻撃の対象とはならなかった第1プレイヤキャラクタP1の面前
に対峙する第1敵キャラクタE1に、第2プレイヤキャラクタP2を指差すなどの示威行
動を採らせても良い。そうすれば、第1プレイヤキャラクタP1の遊戯者に、他のプレイ
ヤキャラクタが集中攻撃の対象となっていることを明示して、救助行動への準備を行なわ
せることができる。
【0106】
もちろん、集中攻撃の対象となった第2プレイヤキャラクタP2の面前に対峙する第2
または第3敵キャラクタE2,E3に、第2プレイヤキャラクタP2を指差すなどの示威
行動を採らせても良い。この場合は、第2プレイヤキャラクタP2の遊戯者に、自己のプ
レイヤキャラクタが集中攻撃の対象となっていることを明示して、恐怖感を煽ることがで
きる。また、このような指差し行動は、常に行なうのではなく所定の確率で行なわせても
良い。
【0107】
なお、第4敵キャラクタE4については、第1および第2プレイヤキャラクタP1,P
2との間の壁Wによって視界が遮られているため、第1および第2プレイヤキャラクタP
1,P2の存在を発見しておらず、かつ、他の敵キャラクタの指差し行動についても関知
していないので、集中攻撃には参加しない。しかし、プレイヤキャラクタの存在を発見し
ていない第4敵キャラクタE4についても、いずれかのプレイヤキャラクタが集中攻撃の
対象となれば、プレイヤキャラクタを発見した状態に変更して集中攻撃に加わるような設
定を採用しても良い。また、集中攻撃の対象となっているプレイヤキャラクタを示すイン
ジケータ(アイコン等)を、モニタ38に表示するようにしても良い。
【0108】
また、ここでは、複数のプレイヤキャラクタのうち、少なくとも一つの敵キャラクタに
発見されているものであって、最も多くの敵キャラクタに囲まれているプレイヤキャラク
タを集中的な攻撃の対象とするとしたが、他の基準により集中攻撃の対象を決定しても良
い。すなわち、例えば複数のプレイヤキャラクタのうち体力値の大きい方を集中攻撃の対
象としても良いし、あるいは、体力値の小さい方を集中攻撃の対象としても良い。
【0109】
それ以外にも、例えばゲーム進行を行なううえで重要なアイテム(扉を開ける鍵など)
を第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2のいずれかが取得する場合には、当該ア
イテムを所持する方を集中攻撃の対象としても良い。あるいは、銃弾や矢等の残り弾数の
少ない方(または多い方)のプレイヤキャラクタを集中攻撃の対象としても良い。
【0110】
また、プレイヤキャラクタが敵キャラクタを撃退してゆくと、その撃退数等に応じてレ
ベルまたはランクが上がってゆくような設定を採ることができるが、その場合にレベルま
たはランクの高い方(または低い方)のプレイヤキャラクタを集中攻撃の対象としても良
い。逆に、ミッションを失敗したり死亡した場合に、その頻度等に応じてレベルまたはラ
ンクが下がってゆくような設定を採ることもできるが、その場合にレベルまたはランクの
低い方(または高い方)のプレイヤキャラクタを集中攻撃の対象としても良い。ゲームの
進行に応じて上下するプレイヤキャラクタのレベル又はランクを算出することにより、遊
戯者のスキル(プレイヤスキル)を求めることができ、プレイヤスキルに応じて集中攻撃
の対象を変えることで、興趣を増す。
【0111】
その他にも、最も多くの敵キャラクタに囲まれているプレイヤキャラクタではなく、そ
の逆に、最も少ない敵キャラクタに囲まれているプレイヤキャラクタを集中攻撃の対象と
することも本発明から排除するわけではない。その場合、図3を例に採れば、第1プレイ
ヤキャラクタP1が集中攻撃対象となる。また、第2および第3敵キャラクタE2,E3
が、第1敵キャラクタE1とともに、第1プレイヤキャラクタP1に向かって移動し、集
中攻撃を行なうこととなるが、第2および第3敵キャラクタE2,E3の一方を集中攻撃
に参加させず、第2プレイヤキャラクタP2に対して攻撃を行うようにしても良い。
【0112】
すなわち、集中攻撃対象が第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2のいずれかに
決定しても、その周囲の敵キャラクタを全て集中攻撃対象のプレイヤキャラクタに向かわ
せるのではなく、1体または数体の敵キャラクタを、他方のプレイヤキャラクタの攻撃用
に残置させても良い。これにより、他方のプレイヤキャラクタが集中攻撃対象のプレイヤ
キャラクタを救出する行動に向かうのを阻止することができる。
【0113】
続いて、集中攻撃解除条件について説明する。本実施の形態においては、集中攻撃解除
条件として、集中攻撃の開始から所定時間(例えば30秒)が経過したこと、並びに、第
1および第2プレイヤキャラクタP1,P2間の距離L1が、第1の所定値よりも小さい
第2の所定値(例えば5m)以下となること、を採用する。
【0114】
集中攻撃解除条件に、集中攻撃の開始から所定時間が経過したことを含ませることによ
り、一度開始された集中攻撃がすぐに終了してしまうことを回避できるため、集中攻撃を
受ける遊戯者の恐怖感を高めることができる。
【0115】
また、集中攻撃解除条件に、第1および第2プレイヤキャラクタP1,P2間の距離L
1が、第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下となることを含ませることにより、集
中攻撃を受けているプレイヤキャラクタを救助するために他のプレイヤキャラクタが近づ
いてきたときには、敵キャラクタの集中攻撃を停止させることができ、プレイヤキャラク
タ同士の連帯感を高めることができる。
【0116】
図8は、集中攻撃解除条件を満たすか否かを判定する集中攻撃解除処理の詳細を説明す
るフローチャートである。この集中攻撃解除処理は、集中攻撃制御部53内のフラグ53
aがONである場合に、所定期間(例えば1フレーム)ごとに実行される。
【0117】
まず、ステップS22において、その集中攻撃が開始されてから所定時間(例えば30
秒)が経過したか否かが、集中攻撃制御部53によって判定される。所定時間が経過して
いない場合は、集中攻撃解除処理を終了する。つまり、現在行われている集中攻撃を継続
する。
【0118】
その集中攻撃が開始されてから所定時間が経過している場合には、次にステップS23
において、2人のプレイヤキャラクタ同士が所定距離内に近づいたか否か、すなわち、第
1および第2プレイヤキャラクタP1,P2間の距離L1が、第1の所定値よりも小さい
第2の所定値以下となったか否か、が判定される。
【0119】
もし、第2の所定値以下となっていない場合には、集中攻撃解除処理を終了する。
【0120】
一方、第2の所定値以下となっている場合には、ステップS24に進み、集中攻撃制御
部53内のフラグ53aがOFFに設定される。この段階で集中攻撃解除処理が完了する

【0121】
本実施の形態に係るゲームプログラム、記憶媒体およびコンピュータによれば、集中攻
撃制御部53は、所定の集中攻撃開始条件が成立したときにフラグ53aをONに設定す
ることによって、複数のプレイヤオブジェクトのうちの一つに対する集中的な攻撃を二以
上の敵オブジェクトに開始させる。よって、自己のプレイヤオブジェクトが敵オブジェク
トから突如、集中的に攻撃されるかもしれないとの恐怖感を遊戯者に抱かせることができ
、単調でないスリリングなゲーム進行を実現することができる。
【0122】
また、本実施の形態に係るゲームプログラム、記憶媒体およびコンピュータによれば、
所定の集中攻撃開始条件には、ゲーム空間内における複数のプレイヤオブジェクト間の距
離が、第1の所定値以上となることが含まれる。よって、自己のプレイヤオブジェクトが
、仲間たる他のプレイヤオブジェクトからはぐれると、敵オブジェクトから集中的に攻撃
されるかもしれないとの恐怖感を遊戯者に抱かせることができる。
【0123】
また、本実施の形態に係るゲームプログラム、記憶媒体およびコンピュータによれば、
所定の集中攻撃開始条件には、さらに、各プレイヤオブジェクトに対応するそれぞれの仮
想カメラによる撮像範囲内に、同一の、または、異なる敵オブジェクトが入っていること
が含まれる。よって、集中攻撃が開始されると、集中攻撃を受けないプレイヤオブジェク
トに対応する仮想カメラの撮像範囲内に入っていた敵オブジェクトが集中攻撃対象のプレ
イヤオブジェクトに向かうため、集中攻撃を受けないプレイヤオブジェクトの遊戯者は、
他のプレイヤオブジェクトが集中攻撃対象とされていることに気づくことができ、興趣を
増す。
【0124】
また、本実施の形態に係るゲームプログラム、記憶媒体およびコンピュータによれば、
所定の集中攻撃解除条件には、ゲーム空間内における複数のプレイヤオブジェクト間の距
離が、第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下となることが含まれる。よって、集中
攻撃を受けているプレイヤオブジェクトを救助するために他のプレイヤオブジェクトが近
づいてきたときには、敵オブジェクトの集中攻撃を停止させることができ、プレイヤオブ
ジェクト同士の連帯感を高めることができる。
【0125】
また、本実施の形態に係るゲームプログラム、記憶媒体およびコンピュータによれば、
集中的な攻撃を、所定の確率で敵オブジェクトに開始させる。よって、必ずしも集中攻撃
が開始されるとは限らず、いつ集中攻撃が開始するか分からないとの恐怖感を遊戯者に抱
かせることができ、単調でないスリリングなゲーム進行を実現することができる。
【0126】
また、本実施の形態に係るゲームプログラム、記憶媒体およびコンピュータによれば、
複数のプレイヤオブジェクトのうち、少なくとも一つの敵オブジェクトに発見されている
ものであって、最も多くの敵オブジェクトに囲まれているプレイヤオブジェクトを集中的
な攻撃の対象とする。よって、ゲーム進行の状況に応じて、集中攻撃対象となるプレイヤ
オブジェクトが変化するため、単調でないスリリングなゲーム進行を実現することができ
る。
【0127】
<変形例>
【0128】
集中攻撃開始条件として複数の条件を設定したが、必ずしも複数である必要はなく、そ
のうちの少なくとも一つの条件があれば良い。
【0129】
集中攻撃解除条件として複数の条件を設定したが、必ずしも複数である必要はなく、そ
のうちの少なくとも一つの条件があれば良い。
【0130】
集中攻撃専用の移動攻撃処理を追加しても良い。例えば、集中攻撃対象のプレイヤキャ
ラクタとの距離が2.5m以内になるまで、敵キャラクタがそのプレイヤキャラクタに向
かって走るといった移動攻撃処理を、集中攻撃専用の処理として追加する。
【0131】
集中攻撃開始条件の一つとして説明した抽選の確率は、固定値(上記の例では50%)
でなくても良い。例えば、複数のプレイヤキャラクタ間の距離が大きくなるほど、当選確
率を高くしても良い。
【0132】
集中攻撃解除処理において、複数のプレイヤキャラクタ間の距離が第2の所定値以下と
なっている期間が、所定期間以上継続していることを、集中攻撃解除条件の一つに含めて
も良い。
【0133】
集中攻撃解除処理において、集中攻撃を受けていないプレイヤキャラクタが、集中攻撃
に参加している敵キャラクタに対して攻撃を行うことを、集中攻撃解除条件の一つに含め
ても良い。集中攻撃の対象となっていないプレイヤキャラクタが、集中攻撃に参加してい
る敵キャラクタに対して攻撃を行うことによって、集中攻撃の対象となっているプレイヤ
キャラクタを救助することができる。よって、プレイヤキャラクタ同士の連帯感を高める
ことができる。この場合、集中攻撃に参加している全ての敵キャラクタに関して集中攻撃
を解除しても良いし、または、集中攻撃に参加している全ての敵キャラクタのうちの一部
の敵キャラクタに関してのみ集中攻撃を解除しても良い。なお、後者の場合は、集中攻撃
を受けていないプレイヤキャラクタから攻撃を受けた敵キャラクタのみに関して集中攻撃
を解除しても良い。一部の敵キャラクタが攻撃を受けたからといって、集中攻撃に参加し
ている全ての敵キャラクタが集中攻撃を解除することはないため、ゲーム進行上の不自然
さを解消できるとともに、救助の困難性を高めることができる。
【0134】
プレイヤキャラクタは3人以上であっても良い。例えば3人である場合、3人のうちの
1人が、残りの2人のうち少なくとも1人に対して所定距離以上離れたことを、集中攻撃
開始条件の一つに含めることができる。あるいは、3人それぞれが所定距離以上離れたこ
とを、集中攻撃開始条件の一つに含めることができる。集中攻撃解除処理についても同様
であり、3人のうちの1人が、残りの2人のうち少なくとも1人に対して所定距離以内に
近づいたことを、集中攻撃解除条件の一つに含めることができる。あるいは、3人の全員
が所定距離以内に近づいたことを、集中攻撃解除条件の一つに含めることができる。
【0135】
パートナーがNPCである場合には、遊戯者の操作によって、集中攻撃からの救助を求めるサイン(指示)をNPCに出すことができるようにしても良い。また、NPCのAI
の判断により、遊戯者からの指示がなくともNPCが自発的に救助に向かうようにしても
良い。このとき、NPCが他の動作(他の敵キャラクタと戦っている等)をキャンセルし
て、すぐさま救助に向かうようにしても良い。あるいは、NPC自身の身を守る等の他の
動作を実行している場合には、その動作を終えてから救助に向かうようにしても良い。ま
た、NPCが他の動作を実行していないとき(手が空いている)場合であっても、救助に
向かうタイミングを意図的に遅延させるようにしても良い。そして、そのNPCの反応の
タイミング(救助に向かうまでの遅延時間)は、ゲームの進行状況に応じて変動させても
良い。例えば、NPCとの信頼関係の大きさを示すパラメータ(ゲームの進行に応じて増
減する)を導入し、そのパラメータの値が大きいほど、救助に向かうまでの遅延時間を小さくするようにしても良い。
【符号の説明】
【0136】
10 コンピュータ
15 記憶媒体
20 コントローラ
21 I/Oポート
22 操作子群
31 CPU
32 RAM
33 バス
34 GPU
35 RAM
36 グラフィック処理部
37 デコーダ
38 モニタ
39 I/Oポート
40 ドライバ
42 サウンドプロセッサ
43 増幅器
44 スピーカ
45 外部メモリ
46 ROM
50 操作検出部
51 ゲーム進行制御部
52 共通処理部
53 集中攻撃制御部
53a フラグ
54 描画処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
仮想のゲーム空間を生成するゲーム空間制御手段と、
少なくとも一人の遊戯者が各々操作可能な、および/または、遊戯者の操作によらずに
自律行動可能な、複数のプレイヤオブジェクトを生成するとともに、前記複数のプレイヤ
オブジェクトを前記ゲーム空間内で活動させるプレイヤオブジェクト制御手段と、
前記複数のプレイヤオブジェクトと戦う複数の敵オブジェクトを生成するとともに、前
記複数の敵オブジェクトを前記ゲーム空間内で活動させる敵オブジェクト制御手段と、
前記プレイヤオブジェクトの状態に基づく所定の集中攻撃開始条件が成立したときに、
前記複数のプレイヤオブジェクトのうちの一つに対する集中的な攻撃を前記複数の敵オブ
ジェクトのうち二以上の敵オブジェクトに開始させる集中攻撃制御手段と、
として機能させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のゲームプログラムであって、
前記所定の集中攻撃開始条件には、
前記ゲーム空間内における前記複数のプレイヤオブジェクト間の距離が、第1の所定値
以上となることが含まれる、ゲームプログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のゲームプログラムであって、
前記コンピュータには、前記ゲーム空間内に設けられた仮想カメラから見た前記ゲーム
空間の画像が映し出されるモニタが接続可能であり、
前記仮想カメラは、前記複数のプレイヤオブジェクトの各々に対応して複数設けられ、
前記遊戯者が複数であって、前記複数の遊戯者は、それぞれが操作する前記プレイヤオ
ブジェクトに対応する前記仮想カメラの撮像範囲を、各々前記モニタにより視認可能であ
り、
前記所定の集中攻撃開始条件には、さらに、
各前記プレイヤオブジェクトに対応するそれぞれの前記仮想カメラによる撮像範囲内に
、同一の、または、異なる前記敵オブジェクトが入っていることが含まれる、ゲームプロ
グラム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のゲームプログラムであって、
前記集中攻撃制御手段は、前記集中的な攻撃を、所定の確率で前記二以上の敵オブジェ
クトに開始させる、ゲームプログラム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のゲームプログラムであって、
前記集中攻撃制御手段は、前記複数のプレイヤオブジェクトのうち、少なくとも一つの
前記敵オブジェクトに発見されているものであって、最も多くの前記敵オブジェクトに囲
まれている前記プレイヤオブジェクトを前記集中的な攻撃の対象に設定する、ゲームプロ
グラム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載のゲームプログラムであって、
前記敵オブジェクト制御手段は、前記複数のプレイヤオブジェクトのうちの少なくとも
一つを発見している前記敵オブジェクトを、前記集中的な攻撃に参加させる、ゲームプロ
グラム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載のゲームプログラムであって、
前記集中攻撃制御手段は、所定の集中攻撃解除条件が成立したときに、前記集中的な攻
撃を解除する、ゲームプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のゲームプログラムであって、
前記所定の集中攻撃解除条件には、
前記複数のプレイヤオブジェクト間の前記距離が、第2の所定値以下となることが含ま
れる、ゲームプログラム。
【請求項9】
請求項7に記載のゲームプログラムであって、
前記所定の集中攻撃解除条件には、
前記集中的な攻撃の対象となっていない前記プレイヤオブジェクトが、前記集中的な攻
撃に参加している前記敵オブジェクトに対して攻撃を行ったことが含まれる、ゲームプロ
グラム。
【請求項10】
請求項9に記載のゲームプログラムであって、
前記集中攻撃制御手段は、前記集中的な攻撃の対象となっていない前記プレイヤオブジ
ェクトから攻撃を受けた前記敵オブジェクトのみに、前記集中的な攻撃を解除させる、ゲ
ームプログラム。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一つに記載のゲームプログラムが記録されたコンピ
ュータ読み取り可能な、記憶媒体。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10のいずれか一つに記載のゲームプログラムが実行される、コン
ピュータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−155052(P2010−155052A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69417(P2009−69417)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成20年10月9日〜12日 社団法人コンピュータエンターテインメント協会主催の「東京ゲームショウ2008」に出品
【出願人】(000129149)株式会社カプコン (192)
【Fターム(参考)】