説明

ゲームプログラム

【課題】 表示用画面1に加えてペンタッチ入力を受け付ける入力用画面2を備えたゲーム装置において、ユーザがペンタッチ入力を行うための斬新なゲーム画像表現を実現する。
【解決手段】 コンピュータにより構成されるゲーム装置において、表示制御手段9が、タッチパネル3を備えた入力用画面1にゲーム画像Aを表示し、表示用画面2に当該ゲーム画像の部分拡大画像aを表示する。例えば、ペン4を内視鏡メスに見立てて体内にできた腫瘍Pを切除するゲームを、ユーザが、手術室のモニタに相当する表示用画面2の画像を見ながら、患部(入力用画面1の腫瘍P)に対して内視鏡メス4を操作する状況を仮想的に実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示用画面に加えてペンタッチ入力機能を備えた入力用画面を備えたゲーム装置技術に関し、特に、入力用画面と表示用画面とのゲーム画像表示を制御することにより斬新な画像表現のゲームを実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
所謂コンピュータゲームは、コンピュータハードウエアでゲームプログラムを実行するゲームであり、ゲームセンターに設置される業務用ゲーム装置としてばかりではなく、家庭用のゲーム装置としても広く普及している。
また、家庭用ゲーム装置は、コンピュータゲーム装置をテレビジョン装置に接続して、当該テレビジョン装置の画面をゲーム表示用に利用する形式のものの他、ゲーム表示用の液晶パネルを備えた携帯用のものも広く普及している。
【0003】
コンピュータゲーム装置は、ユーザからの操作入力を受け付けるためのボタンやジョイスティックを備えたものが主であったが、画面上にタッチパネルを設けて、画面に表示されたゲームに対してユーザがペンタッチ入力によりコマンドを入力できるようにしたものも実用化されている。
このようなペンタッチ入力式のコンピュータゲーム装置は、ユーザが画面に表示されたゲーム空間の所要位置に直接的にコマンドを入力することを容易に行うことができ、特に、携帯用ゲーム装置では種々なコマンド入力を迅速且つ容易に行うことができる方式として期待されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコンピュータゲーム装置は、ボタンの押下やジョイスティックの操作と言ったコマンド入力方式であったこともあって、画面表示されたゲームに対してユーザが直接的に操作を与える感覚に乏しいと言った課題があった。
例えば、画面に表示されるゲーム中には、キャラクタ、障害物、山、壁等といった種々なオブジェクトが存在するが、これらオブジェクトの所望部分にユーザが直接的或いは直感的にコマンドを入力することが簡単にはできなかった。
【0005】
ボタンの押下と言ったコマンド入力方式のコンピュータゲーム装置にあっては、ユーザがボタンを押すか否か、或いは、ボタンを押すタイミングが適切か否かといった単純な操作方式であるため、ゲームのジャンルによっては趣向に乏しい単純な内容になってしまう課題があった。
この点、ペンタッチ入力方式のゲーム装置は、ユーザが画面上の何処の位置をタッチしてコマンドを入力するか、どのような線を描いてコマンドを入力するかと言ったように、ユーザのペンタッチ入力の上手下手といった要素をゲーム展開に持ち込むことができ、ボタンの押下方式のゲーム装置ではなし得なかったゲーム内容を実現することができる。
【0006】
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたものであり、表示用画面に加えてペンタッチ入力を受け付ける入力用画面を備えたゲーム装置において、ユーザのペンタッチ入力を行うための斬新なゲーム画像表現を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ゲームを表示する表示用画面に加えてペンタッチ入力を受け付ける入力用画面を備えたゲーム装置を構成するコンピュータが実行するゲームプログラムであって、入力用画面に表示されたゲーム画像中の部分拡大画像を表示用画面に表示する表示制御手段を、コンピュータに構成する。
特に、本発明では、表示制御手段は、入力用画面においてペン入力すべき範囲のゲーム画像中のオブジェクトオブジェクト(例えば、キャラクタ、障害物、山、壁)の拡大画像を表示用画面に表示する。
これにより、ペン入力による操作対象となるオブジェクト部分が表示用画面に表示されるため、ユーザは当該画面表示を見ながら入力用画面に対するペン入力操作を行うことができる。
【0008】
ペンタッチ入力方式のゲーム装置は片手で種々な操作入力を行うことが容易であることから、携帯用のゲーム装置に採用して好適であるが、携帯用のゲーム装置では小型化が要求されることから表示画面の大きさを大きくすることに限界がある。このため、入力用画面に表示されるオブジェクト画像はあまり大きくすることができず、当該入力用画面の表示画像に対してペン入力による細かな操作は難しいものとなる。
これに対して、本発明では、表示用画面にオブジェクトの部分拡大画像が表示されるため、ユーザは当該部分拡大画像を参照して入力用画面へのペンタッチ入力操作を行うことができる。更に、本発明によると、ユーザが他の画面を見ながらペンタッチ入力をすると言った斬新な操作態様となるため、例えば、モニタを見ながら内視鏡を操作すると言った内視鏡手術を、実際の手術に類似した操作をユーザに要求するゲームとして実現することができる。
【0009】
また、本発明は、ゲームを表示する表示用画面に加えてペンタッチ入力を受け付ける入力用画面を備えたゲーム装置であって、入力用画面にはゲーム画像を表示し、表示用画面にはペン入力すべき範囲のオブジェクトの部分拡大画像を表示する表示制御手段を備えている。
ここで、本発明のゲーム装置では、表示用画面は入力用画面に対して上方位置に設けられているのが好ましく、これによって、ユーザが入力用画面に対してペン入力操作をしている場合に当該ユーザの手によって表示用画面が隠れてしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、ペンタッチ入力を受け付ける入力用画面にゲーム画像を表示するとともに、表示用画面にその部分拡大画像を表示するようにしたため、ペンタッチ入力方式のゲーム装置において、ペンタッチ入力を行うための斬新なゲーム画像表現を実現することができる。これにより、例えば、入力用画面に対するユーザのペンタッチ入力を支援する画像表現のゲームや、内視鏡手術等と言った斬新なジャンルのゲームを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を、図に示す実施形態の基づいて具体的に説明する。
図1には本願発明に係るゲーム装置の一例を示してあり、このゲーム装置はゲーム画像を表示する液晶板からなる2つの画面1、2を2つ折りのボディに備え、下側のボディに設けられた画面1はペンタッチ入力機能を有する入力用画面、当該入力用画面1より上側のボディに設けられた画面2はペンタッチ入力機能を有しない表示用画面となっている。
【0012】
入力用画面1の表面には全面にわたって透明なタッチパネル3が設けられており、入力用のペン4(或いは、指など)によって入力用画面1の表面に触れると、当該タッチした位置がタッチパネル3により検出されるようになっている。
なお、本例のゲーム装置はバッテリを内蔵した携帯型の装置であり、バッテリの電源により当該ゲーム装置を構成するプロセッサやメモリ等といった公知のコンピュータハードウエアが動作して、本発明に係るゲームプログラムを実行する。
【0013】
ここで、本願においてペンタッチの語は、ペンによる接触入力以外に、ユーザが指などにより接触入力する態様も含んでいる。
また、タッチパネル3自体は、周知のものであるので詳細説明は割愛するが、透明なパネルにマトリックス状に感圧センサを設けた構造で、パネル上に触れた位置(或いは、線を描くとその線分軌跡)を感圧センサにより検出する。
【0014】
図2には上記ゲーム装置の本発明に係る主要な機能構成を示してある。
ゲーム装置のタッチパネル3には位置検出手段5が設けられており、位置検出手段5はタッチパネル3のマトリックス状感圧センサからの出力に基づいて、タッチパネル3上(すなわち、入力用画面1上)にペン4が接触した位置(或いは、軌跡)を検出する。
【0015】
ゲーム装置には、本例に係るゲームプログラム6を保持するメモリ7と、メモリ7からゲームプログラム6を読み出して実行するゲーム実行手段8とが備えられている。
ゲームプログラム6はゲーム装置に内蔵されたメモリ7に外部から書き込んで保持させるようにしてもよく、或いは、メモリ7自体をメモリカートリッジやCDROM等の記憶媒体として、ゲームプログラム6を予め記憶した記憶媒体7をゲーム装置に装填するようにしてもよい。
【0016】
ゲーム実行手段8はプロセッサやメモリ等といったコンピュータハードウエアによりゲームプログラム6を実行し、タッチパネル3からペンタッチ入力されるコマンドに応じて、当該ゲームを展開する。
ゲーム実行手段8には表示制御手段9が設けられており、表示制御手段9は、入力用画面1のドライバ10及び表示用画面2のドライバ11を駆動して、プログラム6の実行により展開されるゲーム画像を入力用画面1及び表示用画面2に表示する。すなわち、これら入力用画面1及び表示用画面2には、ゲームの実行に応じたゲーム空間画像が表示される。
【0017】
また、表示制御手段9は、入力用画面1にゲーム空間を表示するとともに、当該ゲーム空間の所定の部分を拡大画像により表示用画面2に表示する。
例えば、表示制御手段9は、ゲーム中のオブジェクトとして入力用画面1にゲーム中に登場する機械の全体画像を表示するとともに、表示用画面2に当該機械に備えられた操作盤部分の拡大画像を表示する。当該ゲームでは、ユーザのペンタッチ入力操作は入力用画面1に表示されている機械の操作盤に対して行うが、当該操作盤は表示用画面2に拡大して表示されるので、当該拡大画像を見ながら入力用画面1に対するペンタッチ入力を行うことができる。すなわち、入力用画面1に表示されている小さな操作盤に対する微妙なペンタッチ入力操作を、表示用画面2を見ながら行うと言ったゲームが実現される。
【0018】
なお、本発明では、上記のように入力用画面1においてペンタッチ入力すべき範囲のオブジェクト部分(操作盤)の拡大画像を表示用画面2に表示する態様の他に、ユーザがペンタッチ入力等で指定したオブジェクト部分の拡大画像を表示用画面2に表示するようにして、入力用画面1に表示されているゲーム空間の所望の部分をユーザが拡大画像で確認できるようにしてもよい。
本例の表示制御手段9は、ゲーム装置を構成するコンピュータハードウエアによりゲームプログラム6の制御部を実行することにより構成されている。
【0019】
次に、ペン4を内視鏡メスに見立てて体内にできた腫瘍を切除するゲームを例にとって、本例に係る画像表示処理を説明する。
この内視鏡手術ゲームでは、表示制御手段9により、入力用画面1には図3(b)に示すように内視鏡メスを挿し込んで見える体内の画像が表示され、表示用画面2には同図(a)に示すように内視鏡メスで切除すべき腫瘍Pの周辺部分の拡大画像が表示される。
【0020】
このゲームでは、体内の臓器を傷つけないように、入力用画面1に表示されている画像に対してペン4(内視鏡メス)で切除線を描いて腫瘍Pを切除することとなるが、この入力用画面1の表示では腫瘍Pが小さく表示されているので、ペン4を操作して腫瘍Pの根元を切る(入力用画面1状に切除線を描く)にはユーザの熟練操作を要する。
すなわち、当該ゲームでは、ユーザが仮想的に医師になった世界を演出して、手術室のモニタに相当する表示用画面2の画像を見ながら、患部(入力用画面1の腫瘍P)に対して内視鏡メス4を操作する状況を実現する。
【0021】
ここで、本例のゲーム装置は、入力用画面1より上方の位置に表示用画面2が設けられていることから、ユーザが入力用画面1にペンタッチ入力操作を行っている最中でも表示用画面2がユーザの手によって覆われないため、ユーザは表示用画面2を見ながら入力用画面1に対してペンタッチ入力する操作を支障なく行うことができる。
【0022】
本例では、図4に示すように、入力用画面1に表示された画像シーンAの部分拡大画像aはゲームプログラム6中に予め用意されており、表示制御手段9が、画像シーンAを入力用画面1に表示するときに、自動的或いはユーザからの指示に応じて、部分拡大画像aを表示用画面2に表示する。なお、このような部分拡大画像はゲーム中の所要な画像シーン毎に用意され、ゲームが展開されて該当するシーンを入力用画面1に表示するときに。その部分拡大画像が表示用画面2に表示される。
ここで、本発明では、入力用画面1に表示されている画像の部分拡大画像をその都度生成するようにしてもよいが、上記のように予め用意しておくことで画像表示処理を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一例に係るゲーム装置の外観を示す図である。
【図2】本発明に係るゲーム装置の機能構成例を説明する図である。
【図3】本発明に係る画面表示例を説明する図である。
【図4】本発明に係るゲーム装置の画像データを説明する図である。
【符号の説明】
【0024】
1:入力用画面、 2:表示用画面、
3:タッチパネル、 4:ペン、
5:位置検出手段、 6:ゲームプログラム、
8:ゲーム実行手段、 9:表示制御手段、
A:入力用画面、 a:部分拡大画像、
P:腫瘍(ペンタッチ入力対象)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームを表示する表示用画面に加えてペンタッチ入力を受け付ける入力用画面を備えたゲーム装置を構成するコンピュータが実行するゲームプログラムであって、
前記入力用画面に表示されたゲーム画像の部分拡大画像を前記表示用画面に表示する表示制御手段を、コンピュータに構成することを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のゲームプログラムにおいて、
前記表示制御手段は、前記入力用画面においてペン入力すべき範囲のオブジェクト部分の拡大画像を前記表示用画面に表示することを特徴とするゲームプログラム。
【請求項3】
ゲームを表示する表示用画面に加えてペンタッチ入力を受け付ける入力用画面を備えたゲーム装置であって、
前記入力用画面にはゲーム画像を画像表示し、前記表示用画面にはペン入力すべき範囲の当該ゲーム画像中のオブジェクトの部分拡大画像を表示する表示制御手段を備えたことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項3に記載のゲーム装置において、
前記表示用画面は前記入力用画面に対して上方位置に設けられていることを特徴とするゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−247247(P2006−247247A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70900(P2005−70900)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年11月12日 株式会社エンターブレイン発行の「週刊ファミ通 No.832 11月26日号」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年11月20日 メディアワークス発行の「電撃ゲームキューブ 1月号」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年12月6日 株式会社毎日コミュニケーションズ発行の「ニンテンドードリーム No.126 1月6日号」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年12月10日 株式会社エンターブレイン発行の「週刊ファミ通 No.836 12月24日号」に発表
【出願人】(595046182)株式会社アトラス (15)
【Fターム(参考)】