説明

ゲーム機及びそのコンピュータプログラム

【課題】閉店時刻のようにゲームのプレイに対して一定の制限を課すべき時刻が近付いたときのクレジットの処理を改善したゲーム機を提供する。
【解決手段】複数のプレイ機会に対応する枚数のコインをクレジットとしてプレイヤーから預かり、クレジットから一回のプレイ機会に対応する枚数のコインを消費することと引き換えに一回のプレイ機会をプレイヤーに提供するゲーム機1において、現在時刻を計時する手段と、閉店時刻を記憶する手段と、現在時刻から閉店時刻までの残り時間と、1ゲームあたりのプレイ時間とに基づいて、クレジットとして預かることが可能な最大クレジット数Nmaxを制限する手段と、を具備する。残り時間が制限領域まで減少した以降、残り時間が減少するに従って最大クレジット枚数Nmaxを段階的に減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤーからクレジットとして預かることが可能な遊技媒体の量を制御する機能を備えたゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技価値をコイン、メダル、トークンといった遊技媒体の投入と引き換えにゲームのプレイを可能とする業務用、あるいは商用のゲーム機として、店舗の閉店時刻よりも幾らか早い時間に設定されたロックアウト時刻に遊技媒体の投入を不可能とすることにより、閉店時刻を過ぎてのゲームの継続を阻止するゲーム機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3331347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した業務用あるいは商用ゲーム機の分野では、プレイヤーが投入した遊技媒体をクレジットとして預かり、そのクレジットから所定の単位量の遊技媒体を消費することと引き換えに一回のプレイ機会をプレイヤーに提供する機能を備えたゲーム機が普及している。この種のゲーム機では、複数回のプレイ機会に対応する量(単位量の整数倍)の遊技媒体を予めクレジットとして預けることが可能とされる。このため、閉店時刻が迫った段階で大量のクレジットが残っていることがあり、新規の遊技媒体の投入を不可能とするだけではクレジット残量の処理が問題となる。例えば、クレジット残量が尽きるまでプレイを可能としたならば閉店時間が守れないおそれが高い。他方、閉店直前にクレジットを全て払い戻せば無駄が生じるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は、閉店時刻のようにゲームのプレイに対して一定の制限を課すべき時刻が近付いたときのクレジットの処理を改善したゲーム機及びこれに適したコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のゲーム機は、遊技媒体をプレイヤーからクレジットとして預かり、前記クレジットから所定の単位量の遊技媒体を消費することと引き換えに新規ゲームの一回のプレイ機会をプレイヤーに提供するゲーム機(1)において、現在時刻を計時する計時手段(10)と、制限時刻を記憶する制限時刻記憶手段(12)と、前記現在時刻から前記制限時刻までの残り時間と、前記現在時刻から前記制限時刻までの残り時間と、前記一回のプレイ機会におけるゲームのプレイ時間とに基づいて、前記クレジットとして預かることが可能な遊技媒体の上限量(Nmax)を制限するクレジット制限手段(10)と、を具備し、前記クレジット制限手段は、前記残り時間が所定の制限領域まで減少した以降、該残り時間が減少するに従って前記上限量を段階的に減少させることにより、上述した課題を解決する。
【0006】
本発明のゲーム機によれば、制限時刻までの残り時刻が制限領域まで減少した以降は、クレジット制限手段により、ゲーム機がクレジットとして預かることが可能な遊技媒体の上限量が段階的に減らされる。そのため、制限時刻が近付くに従ってクレジットの残量も徐々に減少する。これにより、制限時刻に達した時点でクレジットをほぼ消費し尽くすような合理的なクレジットの処理が可能となる。よって、制限時刻の間際に大量の遊技媒体がクレジットとして残されるといった不都合を解消することができる。
【0007】
本発明のゲーム機の一形態において、前記クレジット制限手段は、前記残り時間から前記プレイ時間を除算して得られる値を超えない範囲で最大の整数値に、前記単位量を乗算して得られる値を前記上限量として設定する処理を繰り返すことにより、前記上限量を段階的に減少させてもよい。残り時間をプレイ時間で除算して得られる値を超えない範囲で最大の整数値は、要するに残り時間内でプレイ可能な新規ゲームの回数の最大値に対応する。そのゲームの回数の最大値に、一回のプレイ機会と引き換えに消費される遊技媒体の単位量を乗算した値が上限量として設定されることにより、制限時刻を超えて新規ゲームが続けられるおそれを排除することができる。
【0008】
本発明のゲーム機は、ゲームの終了時点の状態からプレイを続けるコンティニューゲームのプレイ機会を前記単位量以下の継続量の遊技媒体の消費と引き換えに提供可能であってもよい。その場合、前記クレジット制限手段は、前記残り時間が前記プレイ時間未満で前記コンティニューゲームの一回のプレイに必要な時間以上の場合、前記継続量の遊技媒体をクレジットとして預かることを許可する、ものとしてもよい。コンティニューゲームは、難易度の設定等の初期設定が不要なため、そのプレイに要する時間は新規ゲームに要する時間よりも短いことが通例であり、そのために、コンティニューゲームと引き換えに消費される遊技媒体の継続量は新規ゲームと引き換えに消費される遊技媒体の単位量以下に設定される。このような場合において、制限時刻までの残り時間が不十分で、新規ゲームを次回に開始することが不可能となった段階でも、制限時刻までの残り時間がコンティニューゲームの一回のプレイに必要な時間以上であれば、継続量の遊技媒体をクレジットとして預けることを許可することにより、新規ゲームは不可能であっても、コンティニューゲームのみは、制限時刻を超えない範囲で続けることが可能となる。これにより、新規ゲームが不可能となった以降の時間帯を有効に活用し、ゲーム機の稼働率を向上させることができる。
【0009】
本発明のゲーム機の一形態においては、前記制限時刻が前記ゲーム機の稼働を終了させるべき時刻として設定されてもよい。これにより、ゲーム機の稼働を終了させるべき時刻までにクレジットとして預けられた遊技媒体を適切に処理してゲーム機の稼働を円滑に終了させることができる。
【0010】
本発明のゲーム機は、遊技媒体をプレイヤーからクレジットとして預かり、前記クレジットから所定の単位量の遊技媒体を消費することと引き換えに、ゲーム終了時点の状態を引き継いで続行されるコンティニューゲームの一回のプレイ機会をプレイヤーに提供するゲーム機(1)において、現在時刻を計時する計時手段(10)と、制限時刻を記憶する制限時刻記憶手段(12)と、前記現在時刻から前記制限時刻までの残り時間と、前記コンティニューゲームの一回のプレイ機会におけるゲームのプレイ時間とに基づいて、前記クレジットとして預かることが可能な遊技媒体の上限量(Nmax)を制限するクレジット制限手段(10)と、を具備し、前記クレジット制限手段は、前記残り時間が所定の制限領域まで減少した以降、該残り時間が減少するに従って前記上限量を段階的に減少させることにより、上述した課題を解決する。
【0011】
本発明のゲーム機によれば、制限時刻までの残り時刻が制限領域まで減少した以降は、クレジット制限手段により、ゲーム機がクレジットとして預かることが可能な遊技媒体の上限量が段階的に減らされる。そのため、制限時刻が近付くに従ってクレジットの残量も徐々に減少する。遊技媒体の上限量はコンティニューゲームの一回のプレイ機会に基づいて制限されるので、制限領域以降はコンティニューゲームのみを対象としてプレイヤーにプレイ機会を提供することができる。これにより、制限時刻に達した時点でクレジットをほぼ消費し尽くすような合理的なクレジットの処理が可能となる。よって、制限時刻の間際に大量の遊技媒体がクレジットとして残されるといった不都合を解消することができる。
【0012】
本発明は、遊技媒体をプレイヤーからクレジットとして預かり、前記クレジットから所定の単位量の遊技媒体を消費することと引き換えに新規ゲームの一回のプレイ機会をプレイヤーに提供する処理をコンピュータ(10)によって実現するゲーム機(1)に適用されるコンピュータプログラムとして具現化されてもよい。そのコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、制限時刻を記憶する制限時刻記憶手段、及び前記コンピュータが計時する現在時刻から前記制限時刻までの残り時間と、前記一回のプレイ機会におけるゲームのプレイ時間とに基づいて、前記クレジットとして預かることが可能な遊技媒体の上限量を制限するクレジット制限手段としてそれぞれ機能させるように構成され、さらに、前記クレジット制限手段は、前記残り時間が所定の制限領域まで減少した以降、該残り時間が減少するに従って前記上限量を段階的に減少させる、ものであってもよい。このようなコンピュータプログラムをコンピュータにて読み取って実行することにより、本発明のゲーム機を実現することができる。
【0013】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明したように、本発明によれば、制限時刻までの残り時刻が制限領域まで減少した以降は、ゲーム機がクレジットとして預かることが可能な遊技媒体の上限量を段階的に減少させるようにしたため、制限時刻が近付くに従ってクレジットの残量を徐々に減少させ、制限時刻に達した時点でクレジットをほぼ消費し尽くすような合理的なクレジットの処理を可能とすることができる。よって、制限時刻の間際に大量の遊技媒体がクレジットとして残されるといった不都合を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一形態に係るゲーム機の制御系の構成を示すブロック図である。ゲーム機1は、プレイヤーの操作を受け付けるスタートボタン2及び操作部3と、ゲーム内容を表示するモニタ4と、遊技価値の尺度を示す遊技媒体としてのコインの投入及び返却を管理するコイン管理装置5と、ゲームを制御する制御ユニット10とを備えている。スタートボタン2、操作部3、モニタ4、コイン管理装置5、及び制御ユニット10は一例として不図示の筐体に組み付けられている。スタートボタン2は、プレイヤーの押下げ操作に応答してゲーム開始信号を制御ユニット10に出力する。操作部3は、ゲーム機1で実行するゲーム内容に対応したボタンやレバー等を有し、プレイヤーの操作内容に応じた信号を制御ユニット10に出力する。モニタ4は、制御ユニット10から出力される画像信号に応じたゲーム画面等を表示する。スタートボタン2、操作部3はタッチパネルとしてモニタ4に組み込まれていても良い。コイン管理装置5は、プレイヤーによるコインの投入を検出する毎にコイン投入信号を制御ユニット10に出力する。
【0016】
制御ユニット10は、コイン管理装置5からコイン投入信号を受け取ると、ゲーム機1がプレイヤーからコインをクレジットとして預かったものとみなし、投入されたコインの枚数をクレジット数に加算する。スタートボタン2からゲーム開始信号が出力されると、制御ユニット10は、クレジット数から所定の単位枚数(ここでは複数枚とする。)を減算することにより、新規ゲームについての一回のプレイ機会をプレイヤーに提供する。すなわち、本形態のゲーム機1は、プレイヤーからクレジットとして預かったコインから所定の単位枚数のコインを消費することと引き換えに一回のプレイ機会をプレイヤーに提供する業務用あるいは商用のゲーム機として構成される。なお、遊技媒体としては、コインの他にメダルやトークンを用いてもよい。あるいは、遊技媒体はICカード等に電子的に記録される形態によって提供されてもよい。
【0017】
制御ユニット10は、マイクロプロセッシングユニット(MPU)11と、そのMPU11の動作に必要なROM、RAM等からなる主記憶装置12といった各種の周辺装置とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成される。制御ユニット10には計時手段としての時計が内蔵されている。制御ユニット10には、磁気ディスク記憶装置等を用いた外部記憶装置13が接続されている。外部記憶装置13には、ゲームを制御するためのプログラム及びデータが保存されており、それらのプログラム及びデータはMPU11の指示に従って外部記憶装置13から主記憶装置12に適宜に読み込まれる。その主記憶装置12に読み込まれたプログラムに従ってMPU11が各種の演算処理及び動作制御を実行することにより、制御ユニット10はゲームの進行を制御する。
【0018】
次に、制御ユニット10が実行するクレジット制限処理を説明する。クレジット制限処理は、ゲーム機1が設置された店舗の閉店時刻が近付くにつれてゲーム機1がクレジットとして預かることが可能なコインの枚数を段階的に減少させるための処理である。図2に、制御ユニット10が実行するクレジット制限処理のフローチャートを示す。制御ユニット10は、一定周期でクレジット制限処理を繰り返し実行する。制御ユニット10は、まず、ステップS1で内蔵された時計から現在時刻を読み取る。次のステップS2で制御ユニット10は、現在時刻から閉店時刻までの残り時間を算出する。閉店時刻は、制限時刻として外部記憶装置13に予め保存され、図2のクレジット制御処理の実行時には主記憶装置12に記憶されている。閉店時刻は、ゲーム機1の出荷前に工場内にて設定されてもよいし、店舗にて操作部3から任意の閉店時刻が設定できるようにしてもよい。
【0019】
次のステップS3で、制御ユニット10は、残り時間が制限領域内に含まれるか否かを判断する。ここで制限領域とは、クレジット数の制限を行なうべき時間帯に相当するものであり、閉店時刻を基点とした時間範囲の形式で設定される。例えば、閉店前30分が制限領域として設定される。制限領域も、工場出荷前に予め設定されてもよいし、操作部3から任意の制限領域が設定されてもよい。ステップS3にて残り時間が制限領域外である場合、制御ユニット10は以降の処理をスキップして今回のクレジット制限処理を終了する。一方、ステップS3にて残り時間が制限領域内に含まれる場合、制御ユニット10は、ステップS4に進み、残り時間と1ゲームあたりのプレイ時間とに基づいて最大クレジット数Nmaxを算出する。最大クレジット数Nmaxは、ゲーム機1がクレジットとして預かることが可能なコイン枚数の上限量に相当する値である。制御ユニット10は、例えば、残り時間から新規ゲームを一回プレイするために必要なプレイ時間を除算して得られる値を超えない範囲で最大の整数値に、新規ゲームの一回のプレイと引き換えに消費されるコイン枚数(単位枚数)を乗算して最大クレジット数Nmaxを算出する。例えば、残り時間が20分で、新規ゲームの一回のプレイに3分を要し、かつ新規ゲーム一回につき3枚のコインが消費されるとすれば、最大クレジット数Nmaxは18枚となる。あるいは、残り時間と最大クレジット数Nmaxとを対応付けたテーブルを予め作成して外部記憶装置13に保存し、そのテーブルを主記憶装置12に読み出してステップS4で参照することにより、最大クレジット数Nmaxを決定してもよい。なお、1ゲームあたりのプレイ時間については、適宜の設定方法が可能である。例えば、一回のプレイ機会におけるプレイ開始から完了までの所要時間の平均値を予め求め、得られた平均時間をプレイ時間として取り扱うことができる。プレイ時間の詳細は後述する。
【0020】
次のステップS5で、制御ユニット10は、現在ゲーム機1に預けられているクレジット数Nが最大クレジット数Nmax未満か否かを判断する。最大クレジット数Nmax未満の場合、制御ユニット10はステップS6に進んで最大クレジット数Nmaxと現在のクレジット数Nとの差の分だけのコインの追加投入を許可し、その後に今回のクレジット制限処理を終える。この場合、追加投入可能なコインの枚数をモニタ4に表示してもよい。コインの追加投入がある場合、制御ユニット10は、受け入れたコイン枚数をクレジット数Nに反映し、最大クレジット数Nmaxを越える分のコインについてはコイン返却信号を出力して、コイン管理装置5を介してコインを返却する。あるいは、制御ユニット10は、最大クレジット数Nmaxに達するコインの投入があった時点でコイン投入口を閉じる制御をしてもよい。
【0021】
ステップS5にてクレジット数Nが最大クレジット数Nmax以上の場合、制御ユニット10はステップS7に進む。ステップS7において、制御ユニット10は、ゲームが実行中か否かを判断する。ゲームが実行中、つまり、プレイヤーがゲームをプレイしている場合、制御ユニット10はステップS8に進む。ステップS8にて、制御ユニット10は、現在のクレジット数Nが0で、かつ現在時刻がコンティニューゲームのみの許可が可能な時間帯か否かを判断する。ここでコンティニューゲームとは、ゲームの終了時点でコインを追加投入することにより、その終了時点のゲームの状態を引きついで続行されるゲームを意味する。なおステップS7において、コンティニューゲーム受付中のようなゲームが中断状態であっても次にゲームが継続されるような状態の場合にはゲームは実行中であるものと判断される。コンティニューゲームはゲーム開始のための初期設定(例えば難易度の設定)等を要しないため、一回のプレイ機会で提供される新規ゲームに比べてゲームに要する時間が短い。このため、閉店時刻が迫った状態では、新規ゲームについての一回のプレイ機会を新たに提供することは不可能であるが、コンティニューゲームについては許可できる時間帯が存在する。そこで、本形態では、コンティニューゲームのみの許可が可能な時間帯を設定し、残り時間がコンティニュー可能な時間帯にあるときには、そのコンティニューゲームをプレイする機会(コンティニュー機会)をプレイヤーに提供する。これにより、閉店時刻間際の時間帯でも、効率的にゲーム機1を稼動させることができる。
【0022】
ステップS8にて、クレジット数Nが0で、かつコンティニュー可能な時間帯である場合、制御ユニット10は、ステップS9に進んでコンティニューゲームに必要な分のコインの追加投入を許可し、その後に今回のクレジット制限処理を終える。なお、上述したように、コンティニューゲームは一回の所要時間が新規ゲームのそれよりも短いため、そのコンティニューゲームに必要なコインの枚数(継続量)は新規ゲームをプレイするために必要なコインの枚数(上述した一回のプレイ機会に対する単位枚数)以下に設定されている。例えば、新規ゲームに必要なコイン枚数が3枚のとき、コンティニューゲームに必要なコイン枚数は3枚あるいは1枚または2枚に設定される。よって、ステップS9では、コンティニューゲームに必要な枚数のコインの投入のみが許可される。そして、新規ゲームを次回に開始することは不可能であるが、コンティニューゲームは開始することが可能な状況が設定される。一方、ステップS8の2つの条件の少なくともいずれか一方が満たされない場合、制御ユニット10はステップS10に進み、コインの追加投入を禁止する。この場合は、コインが投入されてもプレイヤーに全て払い戻されるか、又は、コインの投入そのものが阻止される。コイン投入が不可能である旨をモニタ4に表示してもよい。ステップS10の処理が終了すると、制御ユニット10は今回のクレジット制限処理を終了する。
【0023】
上述のクレジット制限処理では、制御ユニット10が計時手段及びクレジット制限手段として、主記憶装置12が制限時刻記憶手段として機能する。図2の処理によれば、設定された閉店時刻及び現在時刻から残り時間を算出して制限領域と比較することにより、最大クレジット数Nmaxの制限をすべきか否かが決定され(ステップS3、S4)、制限領域に入った以降は、残り時間の減少に従って最大クレジット数Nmaxが段階的に減少する。よって、閉店時刻の間際までゲーム機1を稼動することができ、大量のコインがクレジットとして残されるといった不都合を解消することができる。
【0024】
次に、1ゲームあたりのプレイ時間の算出について説明する。1ゲームあたりのプレイ時間は、一回の新規ゲーム又はコンティニューゲームに要する1ゲーム時間を元に各種の条件に基づいて決定される。ここで1ゲーム時間とは、スタートボタン2が押されてゲーム開始信号が出力されてからそのゲームの開始に供したコイン枚数分のゲームを消化して制御ユニット10がモニタ4にゲーム終了画面を表示させるまでの時間として定義される。通常、上述したコンティニュー可能なタイプのゲームと、一連の流れを消化して終了するコンティニュー不可タイプのゲームの2種に大別される。
【0025】
コンティニュー不可タイプのゲームでは、所定の期間に実行されたゲームの1ゲーム時間を平均してプレイ時間を決定することができる。コンティニュー可能タイプのゲームでも、同様にしてプレイ時間を決定することができる。コンティニュー可能タイプのゲームで、新規ゲームとコンティニューゲームとで1ゲーム時間が異なるときは、新規ゲームとコンティニューゲームとで別個に平均してプレイ時間を決定してもよい。なお、所定の期間として、例えば、直前にプレイされたゲームの1ゲーム時間をプレイ時間としたり、前日に行われたゲームの1ゲーム時間のデータを平均してプレイ時間としたりしてもよい。任意の期間を設定してその間に行われたゲームの1ゲーム時間のデータを平均してプレイ時間としてもよい。また、店舗側の都合により任意の時間をプレイ時間として設定してもよい。なお、コンティニュー可能なタイプのゲーム機でコンティニューゲームが実行されている場合、クレジット制限処理のステップS4で制御ユニット10は、コンティニューゲームの1ゲームあたりのプレイ時間と、コンティニューゲームに必要なコイン枚数とに基づいて最大クレジット数Nmaxを算出してもよい。
【0026】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、ゲーム機1は単独でプレイされるゲーム機として説明したが、例えば、コイン投入口が複数設けられて複数のプレイヤーでプレイすることが可能な複数のステーションを備えたゲーム機でもよい。この場合、全てのステーションのプレイ時間を平均した時間をゲーム機全体としてのプレイ時間として設定してもよい。また、ゲーム機自体は単独でプレイされるが複数の同機種のゲーム機と接続可能なゲーム機の場合においても同様に、各ゲーム機のプレイ時間を平均した時間を設定してもよい。さらに、ネットワークを通じて他店舗のプレイヤーとリアルタイムでプレイすることが可能な、いわゆる通信対戦可能なゲーム機の場合、プレイヤーが利用するICカードにプレイデータが記録されているので、このICカードに記録された1ゲーム時間のデータを元に、1ゲーム時間の平均からプレイ時間を算出してもよい。また、各ゲーム機と接続されるセンターサーバーのデータを元に、サーバーに記録された1ゲーム時間を平均してプレイ時間を算出してもよい。
【0027】
また、本形態では、残り時間が制限領域内に含まれた以降は残り時間と新規ゲームの1ゲームあたりのプレイ時間とに基づいて最大クレジット数Nmaxを算出したが、これに限られず、例えば、残り時間とコンティニューゲームの1ゲームあたりのプレイ時間とに基づいて最大クレジット数Nmaxを算出してもよい。図3に制御ユニット10が実行するクレジット制限処理の変形例を示す。なお、ゲーム機1の構成は、上述した形態と同様であるので説明を省略する。図3のクレジット制限処理のフローチャートのステップS11〜S13は、図2のクレジット制限処理のフローチャートのステップS1〜S3にそれぞれ該当し、同様の処理をするので説明を省略する。ステップS13にて残り時間が制限領域内に含まれる場合、制御ユニット10は、ステップS14に進み、ゲームが実行中か否かを判断する。
【0028】
ステップS14でゲームが実行中の場合、制御ユニット10は、ステップS15に進む。ステップS15にて制御ユニット10は、残り時間とコンティニューゲームの1ゲームあたりのプレイ時間とに基づいて最大クレジット数Nmaxを算出する。最大クレジット数Nmaxの求め方は、上述した手順の新規ゲームのプレイ時間に代えてコンティニューゲームのプレイ時間を用いて同様に行えばよい。制御ユニット10は次のステップS16に進み、現在ゲーム機1に預けられているクレジット数Nが最大クレジット数Nmax未満か否かを判断する。最大クレジット数Nmax未満の場合、制御ユニット10はステップS17に進んで最大クレジット数Nmaxと現在のクレジット数Nとの差の分だけのコインの追加投入を許可し、その後に今回のクレジット制限処理を終える。ステップS16にて最大クレジット数Nmax以上の場合、制御ユニット10はステップS18に進む。あるいは、ステップS14でゲームが実行中でない場合、制御ユニット10は、ステップS15〜S17をスキップしてステップS18へ進む。ステップS18にて制御ユニット10はコインの追加投入を禁止する。ステップS18の処理が終了すると、制御ユニット10は今回のクレジット制限処理を終了する。
【0029】
上述のクレジット制限処理では、設定された閉店時刻及び現在時刻から残り時間を算出して制限領域と比較することにより、最大クレジット数Nmaxの制限をすべきか否かが決定され(ステップS13、S15)、制限領域に入った以降は、ゲームが実行されている場合にコンティニューゲームの実行のみを対象とした最大クレジット数Nmaxが残り時間の減少に従って段階的に減少する。よって、閉店時刻の間際までゲーム機1を稼動することができ、大量のコインがクレジットとして残されるといった不都合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一形態に係るゲーム機の制御系の構成を示すブロック図。
【図2】制御ユニットが実行するクレジット制限処理を示すフローチャート。
【図3】制御ユニットが実行するクレジット制限処理の変形例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0031】
1 ゲーム機
10 制御ユニット(計時手段、クレジット制限手段)
12 主記憶装置(制限時刻記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体をプレイヤーからクレジットとして預かり、前記クレジットから所定の単位量の遊技媒体を消費することと引き換えに新規ゲームの一回のプレイ機会をプレイヤーに提供するゲーム機において、
現在時刻を計時する計時手段と、
制限時刻を記憶する制限時刻記憶手段と、
前記現在時刻から前記制限時刻までの残り時間と、前記一回のプレイ機会におけるゲームのプレイ時間とに基づいて、前記クレジットとして預かることが可能な遊技媒体の上限量を制限するクレジット制限手段と、を具備し、
前記クレジット制限手段は、前記残り時間が所定の制限領域まで減少した以降、該残り時間が減少するに従って前記上限量を段階的に減少させることを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
前記クレジット制限手段は、前記残り時間から前記プレイ時間を除算して得られる値を超えない範囲で最大の整数値に、前記単位量を乗算して得られる値を前記上限量として設定する処理を繰り返すことにより、前記上限量を段階的に減少させることを特徴とする請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
ゲームの終了時点の状態からプレイを続けるコンティニューゲームのプレイ機会を前記単位量以下の継続量の遊技媒体の消費と引き換えに提供可能であり、前記クレジット制限手段は、前記残り時間が前記プレイ時間未満で前記コンティニューゲームの一回のプレイに必要な時間以上の場合、前記継続量の遊技媒体をクレジットとして預かることを許可する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のゲーム機。
【請求項4】
前記制限時刻が前記ゲーム機の稼働を終了させるべき時刻として設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項5】
遊技媒体をプレイヤーからクレジットとして預かり、前記クレジットから所定の単位量の遊技媒体を消費することと引き換えに、ゲーム終了時点の状態を引き継いで続行されるコンティニューゲームの一回のプレイ機会をプレイヤーに提供するゲーム機において、
現在時刻を計時する計時手段と、
制限時刻を記憶する制限時刻記憶手段と、
前記現在時刻から前記制限時刻までの残り時間と、前記コンティニューゲームの一回のプレイ機会におけるゲームのプレイ時間とに基づいて、前記クレジットとして預かることが可能な遊技媒体の上限量を制限するクレジット制限手段と、を具備し、
前記クレジット制限手段は、前記残り時間が所定の制限領域まで減少した以降、該残り時間が減少するに従って前記上限量を段階的に減少させることを特徴とするゲーム機。
【請求項6】
遊技媒体をプレイヤーからクレジットとして預かり、前記クレジットから所定の単位量の遊技媒体を消費することと引き換えに新規ゲームの一回のプレイ機会をプレイヤーに提供する処理をコンピュータによって実現するゲーム機に適用されるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、
制限時刻を記憶する制限時刻記憶手段、及び
前記コンピュータが計時する現在時刻から前記制限時刻までの残り時間と、前記一回のプレイ機会におけるゲームのプレイ時間とに基づいて、前記クレジットとして預かることが可能な遊技媒体の上限量を制限するクレジット制限手段としてそれぞれ機能させるように構成され、かつ、
前記クレジット制限手段は、前記残り時間が所定の制限領域まで減少した以降、該残り時間が減少するに従って前記上限量を段階的に減少させる、
ことを特徴とするゲーム機のコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−50516(P2009−50516A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220858(P2007−220858)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】