説明

ゲーム機用メダル及びそのメダルを用いるメダルゲーム機

【課題】従来公知のゲーム機用メダルまたはメダルと全く同等に使用できる、微小ICタグつきのメダル及びそのようなメダルを用いるゲーム機を提供する。
【解決手段】
金属製薄板片にスロットを設け、一対の腕状部を、それらの先端が微小距離を隔てて相対向するように切り出し、そのスロット内に、ICチップを具備する微小ICタグを設け、そのICチップを上記腕状部に直接又は間接に電磁的に接続してアンテナを形成するようスロット内に微小ICタグを固定してID応答部を形成し、更に、重心が薄板片の主平面直角方向に延びる中心軸上に位置するよう、バランス補償部を設けたRFIDシステム対応のメダル及びそのようなメダルを用いるゲーム機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICタグを内蔵したゲーム機用メダル若しくは代用コイン(本明細書においては、両者を併せてメダルというものとする。)及びそのメダルを用いたメダルゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
UHF又はマイクロ波帯で用いられる微小ICタグは、IDカードなどの他、様々な用途に供され、広く用いられている。
それらの用途の一つは、物品の流通、保管、保守の記録などの管理である。
こられは、管理すべき物品に非接触型微小ICタグと、その微小ICタグと情報を交換するためのダイポールアンテナを取り付けておき、微小ICタグの情報の読み出し、書き込みを行うためのリーダーライターを用いて、それらの物品の識別、管理を行うものである。
【0003】
この用途の場合、微小ICタグが取り付けられる部分が非金属である場合には問題がないが、ゲーム機用のメダルなど(以下単に、メダルという。)のように、物品全体が金属製である場合、微小ICタグとのデータ通信が極めて困難となるという問題があった。
【0004】
この場合、メダルを合成樹脂製にすれば、通信は容易となるが、プラスチック製のメダルは、軽量かつ軟質であるため、実際の硬貨のような重量感、金属光沢、手触りなどが得られないばかりでなく、ゲーム機のプレイフィールドに於ける挙動が硬貨とは異なっており適切でなく、使用時の音質、音量も相違するため、プレイヤに不評であった。更に又、実際のゲーム機中で、閉塞、即ちメダル詰りを起しやすい上、耐久性に欠けるという問題があり、廃棄する際にも問題を生じる。
【0005】
このため、プラスチック製の微小ICタグ付きメダルの外周部などに金属製の輪をはめ込むと言うような提案もなされているが、実用的でなく、殆ど採用されていない。
又、金属部材に埋め込まれている微小ICタグの誘導電流から出てくる通信用電磁波が直近の金属部材表面で渦電流などに消費されてしまうことを阻止するために渦電流などを横切るように、金属部材にスリットを設けることも提案されているが、ゲーム機用のメダルとしては実用的なものではなかった。
【特許文献1】特開2003‐85515号公報
【特許文献2】実開平6‐64512
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする問題点は、微小ICタグを内蔵したメダルゲーム機用の金属製メダルを提供することである。
更に言えば、従来の金属製メダルの、重量感、金属光沢、手触り、ゲーム機内部に於ける作動の安定性、使用時の音質、音量、耐久性などを損なうことなく、微小ICタグを内蔵させたメダルを提供すること、及びそのようなメダルを用いたメダルゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者の一人である山内繁は、先に、リーダーライターとの間で、データ通信を行い得るように金属部材の内部に微小ICタグを埋設する方法を提案した。
これは、金属製部材に、スロットを設けて、一対の腕状部を、それらの先端部が微小距離を隔てて相対向するように切り出し、その一対の腕状部に、導体長がλ/2より短い微小ダイポールアンテナとみなせるように通常のλ/2長ICタグから切り出すなどして作る微小ICタグを電磁的に接続し、スロット内に硬化性樹脂を充填して微小ICタグを固定して、ID応答部を構成することで、金属性部材の強度をさほど損なうことなく、微小ICタグ単体のときよりもデータ通信感度を向上させ、通常のダイポールアンテナを用いたICタグと同等の機能を付与し、ICタグのデータ読み取りを可能とすることを要旨とするものである。
微小ダイポールアンテナの導体長は、特に限定はされないが、通常のダイポールアンテナの2-n(但し、nは1〜3の整数。)とすることが望ましい。
ここで「電磁的に接続する」という意味は、半田付けするというような、電気的接続をすることなく、微小ダイポールアンテナの導体に高周波電流が流れたとき、腕状部にも同じ周波数の電流が励起され、電波が放射されるようにするということである。
【0008】
而して、微小ICタグは、細長い絶縁性基材の上にICチップとそのICチップに接続されて微小ダイポールアンテナを設けて一体的に構成することが望ましい。
微小ダイポールアンテナは、通常のダイポールアンテナより導線長が短いものであるが、上記腕状部と電磁結合することにより、アンテナ実行長は一対の腕状部の合計長に等しくなる。合計長がλ/2長となると通常のダイポールアンテナに相当する機能を発揮させることができる。
【0009】
然しながら、直径がλ/2よりも小さなメダルにこの発明を適用しようとすると、ICタグリーダーとメダルを近接させるか、ICタグリーダーの電波出力を大きくする必要がある。
本発明は、ID識別を至近距離で行うことによりこの問題を解決し、ゲーム機用に適したメダル、及びそれらのメダルを用いたメダルゲーム機を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のメダルは、実際の硬貨と同様な、重量感、金属光沢、手触り、ゲーム機内部に於ける挙動の正しさ、使用時の音質、音量、耐久性を有し、従来公知のゲーム機用メダルまたはメダルと全く同等に使用できる、微小ICタグつきのメダルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係るメダルは、金属製薄板片から成るゲーム機用メダルにスロットを設け、一対の腕状部を、それらの先端部が微小距離を隔てて相対向するように切り出し、そのスロット内に腕状部に沿わせて、細長い基材上に、通常のダイポールアンテナより導体長が短い微小ダイポールアンテナと、その微小ダイポールアンテナに接続されたICチップを取り付けて成る微小ICタグを設け、その微小ダイポールアンテナを上記腕状部に電磁的に接続してアンテナを形成すると共に、例えば2液混合型などの硬化性樹脂をスロット内に充填し、微小ICタグを固定して、ID応答部を形成し、更に、重心が、薄板片の主平面直角方向に延びる中心軸(本明細書においては単に中心軸と言うものとする。)上に位置するよう、バランス補償部を設けて成る。
【0012】
要するに本発明に係るメダルにおいては、従来公知のゲーム機用メダルにID応答部を設けることにより損なわれたスタティックバランスを回復するため、バランス補償部を設けるものである。
但し、このバランス補償部は、ID応答部を中心軸に回転対称に2組設けたり、ID応答部自身を中心軸の周りに回転対称に構成したりすることにより、ID応答部がこれを兼ねるようにすることができる。
【0013】
一般的に、微小ICタグは、送受信感度の観点から、メダルの周辺部に設けることが推奨されるが、そのようにすると、メダルのスタティックバランスが損なわれる。
【0014】
メダルの周辺部に微小ICタグを設けると、ゲーム機中でガイドに沿って輸送されるときや、プレイフィールドで落下若しくは転動するとき、姿勢が偏るため、輸送路に詰りが生じたり、プレイフィールドで不自然な挙動を生じてプレイヤの興趣が殺がれたりする。
【0015】
更に具体的に説明すると、ゲーム機内でメダルは、メダル識別装置を通ったり、リフトなどの搬送装置によって輸送されたり、貯留装置に溜められたりする。このとき、メダルにバランスが悪いと、メダル詰りが生じ、各種装置を円滑に通過できなくなることがある。
【0016】
ある種のメダルゲーム機では、多数の釘や、入賞ポットが設けられ、鉛直に支持されたプレイ盤面が用いられ、メダルはそのプレイ盤面に沿って落下せしめられるが、このときスタティックバランスが悪いとイレギュラーバウンドが生じ、プレイヤの不興を買うことになる。
【0017】
又、他の種のゲーム機では、水平に設けられたプレイフィールドと、その後縁に設けられたターゲットスリットを有する前後方向可動障壁と、プレイヤにより操作され、そのプレイフィールド上にメダルを放出、転動させるシューターが設けられ、プレイヤによってシューターからプレイフィールド上に放出されたメダルは、ターゲットスリットに向かってプレイフィールド上を転動せしめられるようになっている。
【0018】
そして、転動するメダルが、ターゲットスリットに入ると何らかのイベントが発生するようになっている
プレイフィールド上には他のメダルなどが堆積しており、放出されたメダルはそれらの堆積物の上を転動して、ターゲットスリットに向かうが、このとき、メダルのバランスが悪いと、転動状態が不自然となり、プレイヤの興趣が損なわれることになる。
【0019】
そのため、バランス補償部を設け、スタティックバランスを回復させる。
一実施例においては、微小ICタグを設けるためのスリットと回転対称の位置に、補償スリットを設け、硬化性樹脂を充填してバランスを回復する。
この場合、補償スリットにもICチップを設け、第二のID応答部を構成することもある。
【0020】
他の一実施例においては、微小ICタグを設けた側とは反対側に、バランス孔が設けられ、そのバランス孔には硬化性樹脂が充填され、これにより。スタティックバランスを回復する。
【0021】
更に他の一実施例においては、微小ICタグを設けた側とは反対側の金属板をやや薄くしてバランスを取る。
【0022】
更に他の一実施例においては一組のID応答部が、メダルの中心軸と同軸に、かつ、回転対称に設けられ、ID応答部の互いに回転対称の位置を占める部材が、互いに他の一方のバランス補償部となるよう構成される。
【0023】
上記の実施例においては更に、ID応答部及びバランス補償部の樹脂充填部の表面には、図柄などを設けたり、金属光沢を有する被覆を設けたりして掩蔽しておくことが推奨される。
【0024】
金属薄板の形状は、円板状、小判形、多角形などであって良く、スリット充填用合成樹脂としては、金属光沢を有する2液混合型、熱硬化型などの硬化性樹脂が推奨されるが、熱可塑性樹脂を用いることもできる。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明に係るメダルの第一実施例を示す説明図であり、10はメダル、12は円盤状の金属製薄板片、10A及び10Bは、スリットS10a及びS10bによって切り出された一対の腕状部、12A及び12Bは、スリットS12a及びS12bによって切り出された一対の腕状部、100は微小ICタグである。
【0026】
スリットS10aは円弧状であり、金属製薄板12の一直径に対して対称に、かつ、その中央部が金属製薄板12の周辺部に近接する位置に設けられており、このスリットS10aと上記の一直径状に設けられるスリットS10bとにより、一対の腕状部10A、10Bが形成され、そのスリットS10aの内部に、腕状部10A、10Bに沿って微小ICタグ100が設けられる。
スリットS12a、S12bは、バランス補償用のスリットであり、金属製薄板片12の中心軸に対して、スリットS10a、S10bと回転対称に設けられる。
【0027】
微小ICタグ100は、図5に示されているように、基材130の上に、ICチップ120と、そのICチップ120に接続された一対のポール110L及び110Rからなる微小ダイポールアンテナを設けて成る。
ポール110L、110Rは、通常のダイポールアンテナのポールより短い。特に限定はされないが、通常のポールの2-nとすることが望ましい。ここでnは1〜3の整数である。
微小ICチップ120には、後に、所定のデータ、例えば、発行店名、一貫番号、発行年月日、使用履歴などが記録され、これらのデータは更に当該ICチップのIDに対応するサーバーの記録エリアに記録される。
【0028】
この微小ICタグ100は、上記の如く、スリットS10aの内部に、そのICチップ120がスリットS10b、換言すれば、腕状部10A、10Bの先端部間に臨むように挿入され、次いで、スリットS10a及びS10bに樹脂R10が充填、硬化され、微小ICタグ100は腕状部10A、10Bに沿って、スリットS10aの内部に固定され、これにより、微小ダイポールアンテナ130が、腕状部10A、10Bと電磁的に接続されるようなる。
ICチップ120と、一対の腕状部10A、10Bとは、微小ダイポールアンテナ110を介して電磁的に接続されており、これにより、ID応答部10 が形成され、図示されていないリーダーライターとの間でUHF又はマイクロ波によるデータ通信が可能となり、ICチップ120のデータの読み取り、書き込み、及び、データベースなどによるデータ管理が可能となる。
【0029】
スリットS10a及びS10bとスリットS12a及びS12bとは、金属薄板片12の中心に対し回転対称に設けられており、このため、一対の腕状部12A及び12Bは、
一対の腕状部10A、10Bと回転対称である。
而して、スリットS12a及びS12bには、スリットS10a及びS10bに充填したのと同質の樹脂BR10が充填され、硬化せしめられる。この樹脂BR10の密度は微小ICタグ100の密度と大差ないから、これらにより、バランス補償部B10が形成され、スリットS10a及びS10bを設けたことにより損なわれたメダル10のスタティックバランスが、元の良好な状態に回復する。
【0030】
このメダル10は、従来公知のメダルと同様の重量感を示す上、スタティックバランスが良いので、ゲーム機の内部などでメダル詰りを生じることがなく、又、プレイフィールドにおいても、従来用いられていたメダルと全く同様な挙動を示す。
【実施例2】
【0031】
図2は、本発明に係るメダルの第二実施例を示す説明図であり、20はメダル、22は円盤状の金属製薄板片、20A及び20Bは、スリットS20a及びS20bによって切り出された一対の腕状部、100は微小ICタグ、R20は硬化性樹脂である。
これらの構成要素は、それぞれ、図1に示されたメダル10、円盤状の金属製薄板片12、スリットS10a及びS10b、一対の腕状部10A及び10B、及び微小ICタグ100と同様なものである。
【0032】
而して、この第二実施例においては、前述の第一実施例で用いたバランス補償部B10の代わりに、バランス孔BH20と、そのバランス孔BH20に充填、硬化せしめられた硬化性樹脂BR20とからなるバランス補償部B20が用いられている。
このバランス孔BH20の径と、メダル中心からの距離は、スリットS20a及びS20bを設けたことにより損なわれたメダル20のスタティックバランスが、元の良好な状態に回復するように定める。
尚、この第二実施例においては、バランス補償部B20を形成するため、バランス孔BH20を設け、これに樹脂BR20を充填したが、これは、例えば、金属製薄片22の特定部位の肉厚を薄くしたり、或いは、単にバランス孔を設けただけで樹脂の充填を省略したりして、バランスを取ることも可能である。
【実施例3】
【0033】
図3は、本発明に係るメダルの第三実施例を示す説明図であり、30はメダル、32は円盤状の金属製薄板片、30A及び30Bは、金属製薄板片32の輪郭と同心円状に設けたスリットS30a及びS30bと、それらのスリットS30a及びS30bの中央部を連通するよう設けたスリット30cによって切り出された一対の腕状部、100は微小ICタグ、R30はスリットS30a、S30b及び30cに充填された硬化樹脂、B30は、バランス孔BH30を設けその内部に硬化樹脂BR30を充填してなるバランス補償部である。
【0034】
この第三実施例においては、スリットS30a、S30b及び30cによって一対の腕状部30A、30Bが切り出され、スリットS30aの内部に微小ICタグ100が挿入され、これらのスリット内に硬化樹脂が充填され、微小ICタグ100が固定される。
尚、ICチップ120は、スリット30cに臨む位置に固定することが望ましい。
而して、微小ICタグ100の微小ダイポールアンテナは、一対の腕状部30A、30Bと電磁的に接続され、これによりID応答部30が形成され、外部のリーダーライターとの間でデータ通信が可能となる。
バランス補償部B30の構成、作用効果については最早説明の要はないであろう。
【0035】
このメダル30は、前述のメダル10、20で用いられたような、外周面に達するスリットS10b、S20bによるノッチ効果がないため頑丈であり、又、周辺部の硬化樹脂の磨耗がなく、スリットS10b、S20bに充填された樹脂による使用時の感触の劣化やプレイフィールドに於けるイレギュラーな挙動がより少なくなる。
この実施例において、スリットS30a及びS30bを、金属製薄板片32の輪郭と同心円状としたが、これは他の形状とすることができる。
【実施例4】
【0036】
図4は、本発明に係るメダルの第四実施例を示す説明図であり、図中、40はメダル、42は円盤状の金属製薄板片、40A及び40Bは、金属製薄板片42の一直径に対称に設けられたくの字形スリットS40a及びS40bによって切り出された一対の腕状部、100は微小ICタグ、R40はスリットS40a、S40bに充填された硬化樹脂である。
【0037】
この実施例では、スリットS40a及びS40b及びそれらに充填された硬化樹脂R40は互いに金属薄片42中心に対し対称の位置にあるもの同士で、バランス補償部を形成する。
この実施例においても、一方のスリットS40a内に微小ICタグ100が設けられ、その微小ダイポールアンテナが、一対の腕状部40A及び40Bに電磁的に接続され、これによりID応答部ID40が形成され、外部のリーダーライターとの間でデータ通信が可能となるものである。
【0038】
この実施例では、スリットS40a及びS40bをX字状に組み合わせたが、これはH字状その他の形状とすることができる。要するに一対の腕状部が切り出される形状であれば良く、各スリットは直線でも、曲線でも、折線であっても良い。
又、両スリットは、金属製薄板片42の一直径に対し対称であることが望ましいが、左右非対称であっても、スタティックバランスが取れている形状であれば差し支えない。
【0039】
図6は、上述のメダルを用いるメダルゲーム機の一構成例を示す説明図であり、図中、200はメダルゲーム機、300はメダルゲーム機200の外、図示されていない多数のゲーム機で使用されるメダルを集中管理するデータベースサーバーである。
而して、メダルゲーム機200は、メダル投入口210aを備えた料金徴収装置210、メダル検収装置220、不正メダル返却装置230、メダルリフト240、プレイフィールド250、プレイヤにより操作されるゲーム入力装置260、メダルペイアウト装置270、メダル回収装置280、メダル貯留ボックス290を具備し、更に、メダル検収装置220、メダルペイアウト装置270、メダル回収装置280はそれぞれ、メダルの微小ICタグのデータの読み取り、書き込みを行うリーダーライター222、272及び282を具備する。
【0040】
ゲームを行おうとするプレイヤは、相当数のメダルをメダル投入口210aに投入する。
投入されたメダルは、公知のメダル検収装置220により、その重量、寸法その他の物性がチェックされ、更に、リーダーライター222により微小ICタグのデータが読み取られ、その読み取られたデータはデータベース300に送られ、メダルの真贋がチェックされる。
【0041】
而して、不正なメダル、例えば贋造品、他店で発行されたメダル、損傷を受けたメダルなどは、不正メダル返却装置230に送られ、返却され、正規の有効なメダルのみがメダルリフト240に送られ、プレイフィールド250に供給され、ゲームに使用される。
このとき、必要があれば、データベース300及び当該メダルのICチップにメダルの使用履歴が記録される。
【0042】
ゲームフィールド250に送られたメダルは、ゲーム入力装置260から入力されるプレイヤのゲーム操作に応じて、プレイフィールド250内でゲームのため用いられ、そのゲームの結果に応じて、メダルペイアウト装置270又はメダル回収装置280に送られる。
【0043】
メダルペイアウト装置270に送られたメダルは、プレイヤに払い出され、メダル回収装置280に送られたメダルは、メダル貯留ボックス290に送られ一時的に貯留され、必要に応じてメダルの販売機に送られる。
【0044】
メダルペイアウト装置270及びメダル回収装置280には、必須の構成要素ではないが、それぞれリーダーライター272及び282が設けられ、それぞれメダルペイアウト装置270及びメダル回収装置280を通過するメダルのデータが読み取られ、データベース300及び当該メダルのICチップに使用履歴が記録される。
【0045】
本発明に係るゲーム機は叙上の如く構成されるから、他店発行のメダルなどの使用を禁ずることができ、又メダルを個別に管理できることから、特定の発行番号のメダルが、料金徴収装置210に投入されたとき又はメダルペイアウト装置270から払い出されたときなどに、特別のイベントを発生させたり、プレイヤにボーナスを与えたりすることができるようになり、更には古いメダルを回収廃棄するようにすることも可能となる。
【0046】
尚、上記の実施例においては、使用する微小ICタグの長さを、それを挿入するするスリットの長さと略同等としたが、これは必須の要件ではなく、ICチップと一対の腕状部との電磁的結合が取れる長さであれば良く、更にICチップの回路設計によっては、ICチップの出力部でアンテナを代用させ、ICチップと一対の腕状部を直接電磁的に結合しうるようにすることもできるものであって、本発明はそのような実施例を包摂するものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係るメダルは上記の如く構成されるから、ゲーム機用メダルとして好適に利用でき、メダルを確実に管理できるばかりでなく、今までにない新しいゲーム機を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】メダルの第一実施例を示す説明図である。
【図2】メダルの第二実施例を示す説明図である。
【図3】メダルの第三実施例を示す説明図である。
【図4】メダルの第四実施例を示す説明図である。
【図5】微小ICタグの構成を示す斜視図である。
【図6】メダルを用いるゲーム装置の一構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10、20、30、40 メダル
12、22、32、42 金属性薄板片
S10a、S10b、S12a、S12b; S20a、S22b; S30a、S30b、S30c; S40a、S40b
スロット
10A、10B; 12A、12B;20A、20B; 30A、30B; 40A、40B 一対の腕状部
R10、R20、R30、R40 硬化性樹脂
ID10、ID20、ID30、ID40 ID応答部
B10、B20、B30 バランス補償部
100 微小ICタグ
110、110L、110R 微小ダイポールアンテナ
120 ICチップ
130 基材
200 メダルゲーム機
210 料金徴収装置
220 メダル検収装置
230 不正メダル返却装置
240 メダルリフト
250 プレイフィールド
260 ゲーム入力装置
270 メダルペイアウト装置
280 メダル回収装置
290 メダル貯留ボックス
300 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製薄板片(12、22、32、42)にスロット(S10a、S10b; S20a、S20b; S30a、S30b、S30c; S40a、S40b)を設け、一対の腕状部(10A、10B; 20A、20B; 30A、30B; 40A、40B)を、それらの先端が微小距離を隔てて相対向するように切り出し、そのスロット(S10a、S20a、S30a、S40a)内に、ICチップ(120)を具備した微小ICタグ(100)を挿入し、そのICチップ(120)と一対の腕状部(10A、10B; 20A、20B; 30A、30B; 40A、40B)とが電磁的に接続されるよう固定して、ID応答部(ID10、ID20、ID30、ID40)を形成してなるRFIDシステム対応のゲーム機用メダルであって、
メダルの重心が、その主平面直角方向に延びる中心軸上に位置するよう、バランス補償部(B10、B20、B30)を設けたことを特徴とする上記のゲーム機用メダル(10、20、30、40)。
【請求項2】
微小ICタグ(100)が、ICチップ(120)と、一対のポール110L、110Rからなる微小ダイポールアンテナ(110)と、それらを搭載する基材(130)とから成り、一対のポール110L、110Rが、それぞれ一対の腕状部(10A、10B; 20A、20B; 30A、30B; 40A、40B)と電磁的に接続された、請求項1に記載のゲーム機用メダル(10、20、30、40)。
【請求項3】
金属製薄板片(12、22、32、42)が円盤形である、請求項1又は2に記載のゲーム機用メダル(10、20、30、40)。
【請求項4】
中心軸に対しスロット(S10a、S10b)と対称に、バランス補償用のスロット(S12a、S12b)が設けられ、その内部に硬化性樹脂部材(BR10)が充填され、これらによりバランス補償部(B10)が形成される請求項1乃至3の何れか一に記載のゲーム機用メダル(10)。
【請求項5】
バランス補償用のスロット(S12a)にも、微小ICタグが設けられている、請求項4に記載のゲーム機用メダル。
【請求項6】
ID発信部(ID20、ID30)が、薄板片(22、32)の周辺部に設けられ、バランス補償部(B20、B30)が、ID発信部(ID20、ID30)とは反対側の周辺部に設けられたバランス孔(BH20、BH30)と、そのバランス孔に充填された硬化性樹脂部材(BR20、BR30)から成る、請求項1乃至3の何れか一に記載のゲーム機用メダル(20、30)。
【請求項7】
ID応答部が、薄板片の周辺部に設けられ、バランス補償部が、薄片板のID応答部とは反対側の部位に設けられた薄肉部から成る、請求項1乃至3の何れか一に記載のゲーム機用メダル。
【請求項8】
一組のスロット (S40a、S40b)が、メダル中心軸に対し回転対称に設けられ、メダルの互いに対称の位置を占める部材が、互いに他の一方のバランス補償部となるよう構成された請求項1乃至3の何れか一に記載のゲーム機用メダル(40)。
【請求項9】
金属製薄板片(12、22、32、42)に設けたスロット(S10a、S10b、S12a、S12b; S20a、S20b; S30a、S30b、S30c; S40a、S40b)の部分が、メダルの表面に設けられた図柄により掩蔽された、請求項1ないし8の何れか一に記載のゲーム機用メダル。
【請求項10】
メダル投入口(210a)を供えた筐体と、投入されたメダルの真贋を判定する選別装置(220)と、不正メダル返却装置(230)と、徴収した純正メダルをプレイフィールド(250)に送り込む搬送装置(240)と、プレイヤにより操作されるゲーム制御装置(260)と、プレイヤにメダルを払い出すペイアウト装置(270)と、回収メダルを取り込む回収装置(280)と、メダル貯留部(290)とを具備するメダルゲーム装置(200)において、
使用されるメダルが、請求項1ないし9の何れか一に記載のメダル(10、20、30、40)であり、
メダル投入口に投入されたメダルの通路に、ICタグリーダー(220)を設けると共に、
複数のメダルゲーム装置(200、その他)のICタグリーダー(220、その他)を管理するサーバー(300)を設けたことを特徴とする、上記のメダルゲーム装置(200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−244707(P2007−244707A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73779(P2006−73779)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)
【Fターム(参考)】