説明

ゲーム機

【課題】 本物の音声を部分的に変成した音声データーを使った脳を刺激するゲームを提供する。
【解決手段】 原音を残しながら部分的に音声の要素を一定の法則に則って変成することによって音声を聞き難く編成する音声編成手段と、該変成された音声を出力する出力手段と、前記出力手段によって出力された音声を利用者が判断して回答を入力する入力手段と、前記回答の正解/不正解と正誤率の評価と操作指示を表示する表示手段とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の音声を一定の法則に則って聞きづらく変成した音声を使い、音を聞く能力やコミュニケーション能力のトレーニングに特化したゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
認知症患者が増える中、音を使った様々な能力トレーニング(以下、音を聞く能力やコミュニケーション能力のトレーニングと呼ぶ)関連グッズが世の中に増えている。気軽に音を聞く能力やコミュニケーション能力のトレーニングを実施するにはゲーム機のような携帯端末が適している。
【0003】
特許文献1には、入力された原音入力に対応する入力原音信号が特定周波数帯域強調手段に入力され、前記原音信号における特定の周波数帯域の周波数成分が強調され、特定周波数強調信号を発生することにより、加工音における特定の周波数帯域の周波数成分の音に焦点を合わせ、聴覚を覚醒させる聴覚トレーニング装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、自己音声を入力するためのマイクロホンと、前記マイクロホンから出力される自己音声電気信号を2500〜10000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号に合成させ脳内活性化電気信号として出力する自己音声処理部と、前記自己音声処理部から出力される前記脳内活性化電気信号を可聴音に変換して前記自己音声を前記マイクロホンに入力した対象者の両耳に知覚させる音響変換器とから成る脳内活性化装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、発振器の発生する信号を年齢の関数として演算される周波数の振動波として出力する音響発生装置と、被訓練者の年齢に対応して前記周波数を設定する周波数設定手段とを備えた右脳開発訓練装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−258728号公報
【特許文献2】特開平10−244003号公報
【特許文献3】特開平05−137790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、所謂シルバー世代はもとより、子供、学生、一般社会人、主婦など、誰もが自然に使える人間の音声を使ったゲーム機を提供することである。
【0007】
特許文献1においては、語学モードと音楽モードのうちのいずれか一方のモードを選択するモード選択手段を持ち、選択されたモードに対応する周期のパルスを受けて、第1と第2の特定周波数帯域強調信号における高い周波数成分を強調し、脳を活性化する第1と第2の脳活性化信号を発生させる第1と第2の脳活性化信号発生手段を有するが、加齢により高い周波数が聞き取り難くなってしまった老齢者には効果がない。
【0008】
特許文献2においては、変調器によって1000Hzが限度である自己音声を4000Hzまで変調し、日本人では聞き取り難く米国人が聞き取ることができるとされる4000Hzのデジタル可聴域高周波信号に合成させて自己のマイナスになる要因に対して自己防衛する脳の自己学習機能を取り除くとしているが、特許文献1と同様に、加齢により高い周波数が聞き取り難くなってしまった老齢者には効果がない。
【0009】
特許文献3には、音声再生器により音楽等を聞きながら年齢に応じて1〜100Hzの振動波が放音手段から放音されるが、人工音を使っているので不自然であり、しかも100Hz以下の音を体感するには大型スピーカーと大出力増幅器がないと効果は期待できないので、気軽に使えるゲーム機には不向きである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、所謂シルバー世代はもとより子供、学生、一般社会人、主婦など、誰もがゲーム機を使って音を聞く能力やコミュニケーション能力のトレーニングや脳のトレーニング効果が期待できるように、通常の音声を一定の法則に則って聞きづらく変成する音声変成手段と、該変成された音声を出力する音声出力手段と、音声出力手段によって出力され、音声を使用者が判断して回答を入力する入力手段と、該回答の正解/不正解などの評価を表示する表示手段と、前記各手段を制御するCPUとを備えるゲーム機とした。人工の音声ではない通常の音声を使うことにより、シルバー世代でも違和感なくゲームに参加できるようになる。
【0011】
また、前記変成された音声を、時間的に間欠削除化された音声、間欠削除部分にノイズを挿入した音声、劣化雑音音声、複数人数の音声により変成された音声とすることも考えられる。
【0012】
更に、前記入力手段に音声信号を入力することにより、入力者の声を使ってゲームをすることも考えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のゲーム機は、通常の音声を一定の法則に則って聞きづらく変成する音声変成手段と、該変成された音声を出力する音声出力手段により変成した音声を使うことにより音を聞く能力やコミュニケーション能力だけでなく脳のトレーニング機能も提供する。ロボットなどに使う合成音ではなく、人間の自然な音声を使うことによりシルバー世代はもとより子供、学生、一般社会人、主婦など、誰もが違和感なくトレーニングができるので老若男女を問わず効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一機能を有するものは同一の符号とし、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の1実施例であるゲームプログラムのフローチャートである。本実施例では音声の部分変成方法として波形がシマウマ模様の間欠削除音(以下ゼブラ音と言う)、劣化雑音音声信号、雑踏騒音の3種類としているが、他の音声変成方法を用いても良い。
【0016】
オープニング画面において、ステップS01で使用者によってゲーム開始が宣言されると、ステップS02にて、まず“私の声が聞こえますか?”といった音のレベル合わせが行われる。ここで前記使用者はゲーム機の音声出力を調整し、イアホンあるいはスピーカーの出力音量を自分の聴きやすいレベルに調整する。
【0017】
上記のステップS02における音のレベル合わせにおいては、もし手書き入力手段を持つゲーム機であれば、例えば「聞こえの検査を開始します。“カ”とか“ア”とか言いますから、聞こえた通りにカタカナで入力して下さい。」と言った案内音声を用いて、耳で聞くだけでなく手も動かす検査方法も考えられる。
【0018】
また、単音節や複数音節によって構成される音声や、ホワイトノイズなどの単純ノイズを重畳した検査方法であれば更に検査精度が上げられる。
【0019】
上記の検査が終了した時点で、例えば“あなたの耳力、単音節で○○%、2音節単語で○○%、文章で○○%です。”というような評価結果と、“あなたの耳力は…、かなり疲れています。”といったコメントを画面表示するとゲームとしては効果的である。
【0020】
上記の評価コメントとしては、ターゲットとする使用者の年齢層や職種などに合わせることが望ましく、例えば“聞き耳職人レベル”、“お疲れ様レベル”、“耳ずれレベル”、“原始人並みの地獄耳レベル”などといったキャッチコピーを工夫することが望ましい。
【0021】
前記評価プロセスの後でステップS03の選択画面に移り、前記使用者に対してトレーニングのコース選択画面を表示する。画面表示例としては、“さあ、コース選択のチャンスです。1番は正しく聞きたい人、2番は声のかくれんぼをやりたい人、3番は自分の声を録音したいナルシストさんです。さあ、貴方はどれを選ぶのかな?”といったゲーム感覚的な画面表示でも良いし、“どう聞く?”という問いかけに対して“耳力アップと脳の最大活用で聞き力アップ!(劣化雑音音声で基礎トレーニング)”とか、“さあ、本番!声のかくれんぼ(応用・実践トレーニング)”とか、“録音 自分の声でトレーニングのコンテンツを作ろう!伝言ゲームにもなるよ!”とかいった説明を画面の選択ボタン上に表示しても良い。
【0022】
上記の選択画面においては、ゼブラ音、劣化雑音音声信号、雑踏騒音といった音声変成方法のコース選択以外に、声の選択(男女別、年齢別、職種別、方言別、言語別などをイラストで選択可とする)や難易度選択などのオプションを設定すること、更に様々な組合せをランダムに選択するオプションも考えられる。
【0023】
また前記選択画面などで、イラスト表示に加えて解説ボタンを設定することにより、随時画面や操作についての説明を画面でポップアップ表示したり、音声解説が聞けるようにすると利便性が向上する。
【0024】
ステップS03の選択画面で、例えばゼブラ音が選択された場合にはステップS04に移行し、間欠削除的に欠如された音声を使ったトレーニングが開始される。ここでは、例えばゼブラ先生なるキャラクターを設定して、該ゼブラ先生がトレーニング内容について説明するような方法が考えられる。
【0025】
前記ステップS04においては、ゼブラ音の間欠削除部分にノイズを挿入した音声(ステップS04a)か前記間欠削除部を無音とした音声(ステップS04b)が選択できる構成としたが、ノイズを挿入する理由は、一般的には前記間欠削除部にノイズを入れた方が理解度を改善できるからである。
【0026】
更に、ステップS04aで間欠削除部分に挿入されたノイズをひとつ種類だけでなく様々な種類や振幅を選択できる構成としても良いし、前記間欠削除部分の位置やタイミングを変化させるバリエーション化も考えられる。
【0027】
また、前記ゼブラ音のトレーニングにおいて評価画面に、例えば“ゼブラ度”といった評価名を付けることも考えられる。
【0028】
ステップS03の選択画面で、劣化雑音音声が選択された場合にはステップS05に移行し、劣化雑音音声を使ったトレーニングを開始する。前記劣化雑音音声には、特開2007−17572号公報、特開2005−253655号、特開2004−194957号公報、特開2004−135068号公報などに記載のある劣化雑音音声を使うことが出来る。
【0029】
また、前記劣化雑音音声を使ったトレーニングの評価画面において、例えば“脳内活用度”あるいは“ボコー度(劣化雑音のNoise−Vocodedをモジったネーミング)”などの評価名をつけることも考えられる。
【0030】
更に、前記前記劣化雑音音声を使ったトレーニングの評価画面においては、活性化されると思われる脳の部位について、イラストなどを使って視覚的に表示する方法も考えられる。
【0031】
ステップS03の選択画面で、雑踏騒音が選択された場合にはステップS06に移行して、雑踏騒音を使ったトレーニングを開始する。ここで使う雑踏騒音は、実際の雑踏で収録した音でも良いし、ゲーム用の雑踏サウンドを使うことも考えられる。また、雑踏騒音のマスキング位置をずらして部分的に聞きやすくするために、例えば雑踏騒音に海辺の波の音のような強弱を持った騒音を使うことも考えられる。
【0032】
上記のトレーニングプロセスが終了するとステップS07において終了確認画面を表示する。もしゲームを継続する場合には選択によりステップS03に戻ってトレーニングのコース選択画面を表示する。
【0033】
上記の実施例において、発音の理解を助ける目的で、オリジナルの音声を発音している時の唇の動きを撮影した映像を発音に同期させて画面表示することも考えられる。
【0034】
図2(a)は、無音間欠削除部を持つゼブラ音の波形と声紋の例を示している。これらの音声波形1と声紋波形2の表示はオン/オフが選択できるようにすることで、上級者に対しては波形を表示しないことにより難易度を上げる設定ができる。
【0035】
上段の声の波形を見ると、横軸が時間で縦軸が音量となっていて、時間軸上で音声が間欠削除的に断続されている様子が分かる。
【0036】
上段の声の声紋の波形において矢印が示す部分は下段の声紋の様子に示された周波数分布を持った音となっている。
【0037】
図から分かるように、間欠削除音は自然な音声が部分的に強制的な無音になっているので音波が間欠削除部において急峻な立ち下がりと急峻な立ち上がりを持つので人によっては聴力の追従が難しく、聞き取り難い場合がある。
【0038】
図2(b)は無音間欠削除部を持つゼブラ音の波形と声紋の回路例を示している。音声信号が入力回路3から入力されると、スイッチ4が切換回路5によって切換えられて間欠削除部タイミングにおいて前記音声を断絶させることにより出力回路6に音声の間欠削除信号が出力される。
【0039】
図3(a)は、間欠削除部にノイズを挿入したゼブラ音の波形と声紋の例を示している。上段の音声波形1aと声紋波形2aを見比べると、横軸が時間で縦軸が音量となっていて、時間軸上で音声が間欠削除的に断続されている様子が分かるが、この例は前記間欠削除部に所々ノイズが挿入されている様子が確認できる。また声紋の様子2aにおいても雑音部に波形の変化が見られるので音声理解の難易度を緩和する効果がある。
【0040】
上段の声の声紋の波形において矢印が示す部分は下段の声紋の様子に示された周波数分布を持った音となっていて、音声部は前の例と同じであるが、間欠削除部にはノイズ信号の情報が確認できる。
【0041】
上記において用いられている間欠削除音と、間欠削除部にノイズを挿入した音声では、一般にノイズを挿入した音声の方が聞き取りやすくなることが知られている。これは、人間が音情報の単なる削除よりも、そこに(ノイズのような)何らかの信号を挿入した方が、ノイズ下でも音声を正確に聞き取ろうと脳が活発に活動して、かえって聞き取り結果が向上するという「連続聴効果」と呼ばれる現象である。本発明によるゲーム機では、この現象を用いてゲームの難易度を調整している。
【0042】
図3(b)は間欠削除部にノイズを挿入したゼブラ音の波形と声紋の回路例を示している。音声信号が入力回路3から入力されると、スイッチ4が切換回路5によって切換えられて間欠削除部タイミングにおいては前記の無音部の代わりに雑音発生回路7で発生させた雑音が挿入され、混合回路8によって間欠削除音声と混合されてから出力回路6に音声信号が出力される。
【0043】
図4(a)は、劣化雑音音声の音声波形と声紋波形、唇の画像の画面表示例である。劣化雑音音声の音声波形1bと声紋波形2bを見比べると、声紋の様子2bで見られる通常音声のスペクトラムの中で一部の周波数帯域部分のみに音声処理を施したものであり、上段の声の波形1bにおいてはさほど原音との差は見受けられないが、劣化雑音音声は音声だけでは認識の難易度が高いので、該波形を見ることにより利用者の心構えが形成されるので理解度が改善される。
【0044】
更に音声や声紋の波形だけでなく唇の画像9を追加することにより、音だけでは理解し難い劣化雑音音声を理解しやすくすることができる。更に、劣化雑音音声のような変成した音声に対して電子透かし技術を使って時間情報を埋め込み、前記時間情報と同期できる同期信号を前記唇の画像に付加することにより、例えば倍速再生、あるいはスロー再生でゲームを展開することが可能となる。
【0045】
上記の唇の画像は、劣化雑音音声だけでなく前記ゼブラ音に対しても音声の理解を助けることができるので劣化雑音音声の場合と同様に難易度の調整に使うことができる。
【0046】
また、ゲームに使う音声内容としては、劣化雑音音声を単体で使う方法だけでなく、前出のゼブラ音との組合せで、間欠削除処理した劣化雑音音声の問題も高難易度の問題として出せばトレーニング効果が期待できる。
【0047】
図4(b)は、劣化雑音音声の音声波形と声紋波形の回路例である。音声信号が入力回路3から入力されると、マルチ出力アンプ10によってひとつの入力を複数出力に分岐させ、それぞれの出力を個別の帯域フィルター11〜15に出力している。前記帯域フィルター11〜15のうちの、例えばひとつの帯域フィルター11の出力を劣化雑音処理回路16に入力し、他の帯域の信号は無処理のままで混合回路8によって混合して出力回路6に音声信号が出力される。
【0048】
上記において、劣化雑音処理回路16はひとつだけでなく複数使用することも考えられる。これにより、劣化雑音を使ったゲームの難易度を変えることができる。
【0049】
更に、前記の回路において、例えば劣化雑音処理回路16で処理した信号以外の信号に対して前記の間欠削除化処理をしたり、逆に劣化雑音にのみ間欠削除化処理をすることも考えられる。
【0050】
上記において、トレーニングの各問を開始する前に、例えば“ここで当たれば超都会人!”などの激励文コメントを入れることにより使用者のやる気を喚起することが出来る。
【0051】
また、唇の開口度やタイミングは個人差もあることを考慮すると、利用者が知っている人が発音している時の唇の動きを撮影した映像を使うことによって認識率を改善することも考えられる。
【0052】
本発明によるゲーム機の結果表示においては、単に音を聞く能力やコミュニケーション能力という指標だけでなく、(1)音声の発音者の属性(年齢、性別、職業など)、(2)変成音声の難易度、(3)問題文の文章内容、(3)聞き返しの回数などを数値化して正解/不正解の結果に応じて積算する。評価項目としては、例えば蓄財力、ネットワーク力、恋人力、礼節力、親力などの人間関係全般に関する能力判定に利用することも可能である。
【0053】
図5は、本発明における能力判定評価のフローチャート例を示している。ここでは、あらかじめ表1及び表2に示すような発話者の人物像及び文章内容に関して蓄財力、ネットワーク力、恋人力、礼節力、親力などの得点を配点しておく。
【0054】
例えば、表1において、原音声が子供の声の場合、変成音声を高度に難聴化した、難易度の高い変成音を1回だけ聞いて理解し、聞き返しすることなく正解した場合は、例えば特に親(力)にウェイトを掛けた評価となっていて、この場合は係数を10としている。また、例えば経営者の場合においては、蓄財(力)に最も高いウェイトがかけられている。また、表2において、お金に関する文章内容(例えば、お小遣いは300円)に対して正解すれば蓄財力にウェイトを掛けた評価結果とする採点がなされる。
【0055】
(表1)

【0056】
(表2)

【0057】
プロセスP01でゲームがスタートすると、プロセスP02で表1の列項目に記載された「おばちゃん、少年、経営者、OL、少女」の中から聞きたいキャラクター人物が選択される。ここで、ゲームに使われる文章はゲーム機のプログラムによって表2の中から自動選択されるのでゲーマーが選択する必要は無い。
【0058】
上記によって選択された人物と文章によって、プロセスP02で初期値としてフラグRに5が立てられる。該フラグRは、聞き返し回数を規定するもので任意に設定可能である。
【0059】
次に、プロセスP03で問題文の変成音声が提示され、ゲーマーが1度では理解できない場合に、プロセスP05で回答が入力されないとプロセスP04に移行し、都度フラグRが1ポイント減算されてからプロセスP03に戻り、前記変成音声が繰り返して再生される。本例での設定ではRの初期値は5に設定していたので、前記ゲーマーは4回までしか前記変成音を聞くことが出来ない。
【0060】
前記ゲーマーが前記変成音声を理解して、回答を入力するとプロセスP05からプロセスP06に移行する。
【0061】
プロセスP06においては、パラメーターnに1がセットされ、プロセスP07〜P09において、nを1から6まで1ずつインクリメントして人間関係力T(n)の現在プレー中のゲームの人間関係力t(n)の計算を実行する。
【0062】
T(n)はこれまでの得点、t(n)はプレイされているゲーム場面における現在の点数を示している。ここで、例えば、T(1)およびt(1)ネットワーク力、T(2)及びt(2)は恋人力、T(3)及びt(3)は礼節力、T(4)及びt(4)は親力、T(5)及びt(5)は蓄財力を示している。
【0063】
まずプロセスP06においてnの初期値を1に設定した後、プロセスP07でnと6を比較して、nが6よりも小さければプロセスP09でt(n)の計算を実行する。ここで、現在の得点t(n)の計算は、例えば下記の様式となる。
t(n)=α*H(n)*N*R*B(n) (A)
α=0.1*0.1*0.1*0.1*10 (B)
上記において、αは各変数を正規化する係数の積、H(n)は人物点で表1にある数値を示し、Nは音処理難易度点でゲームによって自動的に設定される難易度パラメーターであり、難易度に応じて1〜10のいずれかの数値に設定されている。Rは聞き直し回数点で、何回ゲーマーが問題文の変成音声を聞いたかを示す履歴パラメーターであり、本例では聞き直し回数は4回までとなる。B(n)は文章点で、表2によって決められる数値である。
【0064】
nに5が代入され、n=6になるとプロセスP07からプロセスP10にシフトして、循環計算ルートから外れ、プロセスP10では、まずパラメーターmの初期値を1に設定する。
【0065】
次にプロセスP11において、プロセスP05で入力した回答の正解/不正解を判定し、正解の場合はプロセスP16〜P19の処理ルーチンでmを1から5までインクリメントしてこれまでの人間関係力T(m)と現在プレー中のゲームの人間関係力t(m)とを計算する。
【0066】
前記プロセスP11にて不正解であった場合は、次のプロセスP12でパラメーターmの値が確認され、mが5よりも小さい場合はプロセスP13に、mが5になった場合はプロセスP19に移項する。
【0067】
プロセスP13では人間関係力T(m)とその現在プレー中のゲームの人間関係力t(m)の数値比較がなされ、人間関係力T(m)の方が前記現在プレー中のゲームの人間関係力t(m)よりも大きい場合にはプロセスP14にて下記の式F1を使って人間関係力T(m)を再計算し、T(m)とt(m)の差の半分だけT(m)から除算する。
T(m)=T(m)−(T(m)−t(m))/2 ………(F1)
【0068】
その後、プロセスP15にてmを1つインクリメントしてからプロセスP12に戻り、パラメーターmの値を確認する。
【0069】
前記プロセスP13で人間関係力T(m)の方が前記現在プレー中のゲームの人間関係力t(m)よりも大きくない場合にはプロセスP15にシフトして、mを1ずつインクリメントした後にプロセスP12に戻る。
【0070】
プロセスP19においては、まずパラメーターmの値と規定値6を比較して、mが6よりも小さければプロセスP18にて人間関係力T(m)とその現在プレー中のゲームの人間関係力t(m)の数値比較がなされ、人間関係力T(m)の方が前記現在プレー中のゲームの人間関係力t(m)よりも小さい場合にはプロセスP17にて人間関係力T(m)に前記現在プレー中のゲームの人間関係力t(m)を代入して、人間関係力T(m)の値を更新する。
【0071】
前記プロセスP18にて人間関係力T(m)の方が前記現在プレー中のゲームの人間関係力t(m)よりも小さくない場合にはプロセスP16に移る。
【0072】
前記プロセスP17において人間関係力T(m)に前記現在プレー中のゲームの人間関係力t(m)が代入されると、プロセスP16においてパラメーターmが1だけインクリメントされ、プロセスP19に移る。
【0073】
プロセスP19でmが6になるとプロセスP20に移項し、ゲーム機画面に結果を表示した後にプロセスP21で処理を終了する。
【0074】
図6は、評価にレーダーチャートを使った例である。評価項目としては、ネットワーク力、蓄財力、親力、礼節力、恋人力の5項目を設定している。評価レベルは10段階とし、レーダーチャートの内側は目立つ色で色彩化すると効果的である。
【0075】
上記において、間欠削除音や劣化雑音音声などの様々な変成音、波形の画像、声紋の画像は、ゲーム機内のメモリーに記憶されたオリジナルデーターをゲーム機内のCPUで変成生成しても良いし、あらかじめ変成生成したデーターをゲーム機内のメモリに記憶させておいて再生しても良い。
【0076】
図7は、録音機能を持つゲーム機の基本構成例である。メモリーを内蔵したCPU17には入力回路3、音声変成回路18、表示回路19が接続されていて、該CPU17の制御によりオーディオ、ビデオなどのデーター処理がコントロールされる。前記入力回路3にはマイクロホン21以外にもキーボード、タッチパネル、マウスパッドなどのジェネリックな入力デバイスが接続されている。また、前記音声変成回路18には、スピーカー20を駆動する出力回路6が接続されていて、スピーカー20以外でも不図示のヘッドホンやイアホンなどを出力回路6に接続することにより音声出力が可能となっている。
【0077】
ゲーム機に内蔵されたマイクロホン21により、ゲーマーが自分の声を吹き込むと、録音機能によって、その声が録音され、該録音音声を前記音声変成回路18によって変成させることも可能である。この機能によって、自分の声で前記ゼブラ音や劣化雑音音声を生成し、ゲームコンテンツに加えたり、家族や友人との秘密の伝言(暗号)として使用することが出来る。
【0078】
また、マイクロホン21からの音声入力は、CPU17の指示により表示回路19に表示される文字や文章を読み上げることによりCPU17に内蔵されたメモリーに蓄積する方法以外にも、マイクロホン21から入力した音声データーを音声認識機能により文字化して音と文字をデーターベース化することも考えられる。
【0079】
上記においては、音声変成回路18は独立しているが、ソフトウェアによる音声変成処理をする場合には、音声変成回路18もCPU17に含めることが可能となるし、もしCPU17がマルチメディアチップである場合には入力回路3、出力回路6、表示回路19もCPU17に内蔵したオールインワンチップ構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
ゲームに使われる不自然な音ではなく、自然な音声を部分的に変成した音声を使って脳を刺激することにより、シルバー世代はもとより、子供、学生、一般社会人、主婦など、誰もが違和感なくゲームが楽しめるだけでなく、トレーニングが出来る普段は使っていない脳の部分を強制的に使わせて脳の活性化ができるので、老人福祉産業への活用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】ゲームプログラムのフローチャート
【図2】(a)無音間欠削除部を持つゼブラ音の波形と声紋の例 (b)無音間欠削除部を持つゼブラ音の波形と声紋の回路例
【図3】(a)間欠削除部にノイズを挿入したゼブラ音の波形と声紋の例 (b)間欠削除部にノイズを挿入したゼブラ音の波形と声紋の回路例
【図4】(a)劣化雑音音声の音声波形と声紋波形、唇の画像の画面表示例 (b)劣化雑音音声の音声波形と声紋波形、唇の画像の回路例
【図5】能力判定評価のフローチャート例
【図6】評価にレーダーチャートを使った例
【図7】録音機能を持つゲーム機の基本構成例
【符号の説明】
【0082】
1、1a、1b…声の波形、2、2a、2b…声紋の様子、 3…入力回路、4…スイッチ、 5…切換回路、6…出力回路、 7…雑音発生回路、8…混合回路、 9…唇の画像、10…マルチ出力アンプ、 11…帯域フィルター、12…帯域フィルター、 13…帯域フィルター、14…帯域フィルター、 15…帯域フィルター、16…劣化雑音処理回路、 17…CPU、 18…音声変成回路、 19…表示回路、 20…スピーカー、 21…マイクロホン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常の音声を一定の法則に則って聞きづらく変成する音声変成手段と、該変成された音声を出力する音声出力手段と、音声出力手段によって出力された音声を使用者が判断して回答を入力する入力手段と、該回答の正解/不正解などの評価を表示する表示手段と、前記各手段を制御するCPUとを備えることを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム機において、前記変成された音声が、時間的に間欠削除化された音声であることを特徴とするゲーム機。
【請求項3】
請求項1に記載のゲーム機において、前記変成された音声が、時間的に間欠削除化され、間欠削除部分にノイズを挿入した音声であることを特徴とするゲーム機。
【請求項4】
請求項1に記載のゲーム機において、前記変成された音声が、劣化雑音音声であることを特徴とするゲーム機。
【請求項5】
請求項1に記載のゲーム機において、前記変成された音声が、複数人数の音声を使って変成されたことを特徴とするゲーム機。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のゲーム機において、前記変成された音声が、この音声の発音と同期した唇の画像と同期して使われることを特徴とするゲーム機。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のゲーム機において、前記変成された音声と前記唇の画像に同期信号を埋め込んで音声を変速再生する時の同期信号として使うことを特徴とするゲーム機。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のゲーム機において、前記入力手段に音声信号を入力することにより、入力者の声を使ってゲームが出来ることを特徴とするゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−248(P2009−248A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163320(P2007−163320)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(506191965)株式会社オトデザイナーズ (8)
【出願人】(399124794)株式会社ヒューマンシステム (1)
【Fターム(参考)】