説明

ゲーム端末装置、サーバシステム及びプログラム

【課題】停電その他の不測の事態におけるネットワークの遮断を考慮しつつ、サーバシステムからの管理下から故意に離脱した場合には、その実行を制限することによって、不正使用を防止し、運用者に対して適切な運用を促すことが可能なゲーム端末装置及びサーバシステム等を提供すること。
【解決手段】 各ゲーム端末装置100は、正規使用判定パラメータを有し、管理サーバ装置200との通信の確立状況、または、当該通信の確立状況に伴うゲームの実行状況に基づいて、ゲーム端末装置100の不正使用可能性状態毎に、当該正規使用判定パラメータの値を累積的に変動させる。そして、各ゲーム端末装置100は、累積的に変動するパラメータが所定の条件に該当した場合に、ゲームについて実行制限状態となるように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置及び当該ゲーム装置を監視するサーバシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、各店舗の複数のゲーム装置(以下、「ゲーム端末装置」という。)を通信により接続してゲームを行わせるオンラインゲームの人気があり、勝ち抜き方式を採用する対戦ゲームをはじめとする各種のゲームシステムにおいても、オンライン化が進められている(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、オンライン化されたゲームシステムは、ゲーム端末装置によってメモリカードその他の記憶媒体から各プレーヤの個人情報が読み出され、当該読み出された個人情報をデータベースに一元管理的に格納されて管理されるものも知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−247544号公報
【特許文献2】特開2001−300130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、オンラインゲームにおいては、ゲーム実行中には、ネットワークを通じてゲーム装置などのゲーム端末装置と管理サーバ装置または他のゲーム端末装置と常時接続してデータの授受を行うことに限られない。例えば、ゲーム実行中にゲーム空間において用いられるゲームオブジェクトに関するデータの供給、または、ゲームプログラムのバージョンアップなどゲームを実行するために必要なデータを、サーバシステムからゲーム端末装置に送信されることも多い。
【0006】
また、このようなオンライン化されたゲームシステムは、運用その他の関係によって、サーバシステムによって管理され、また、当該管理によるコストの負担の対象になる場合も多い。
【0007】
しかしながら、このようなゲーム端末装置にあっては、ネットワークを遮断してゲームを実行できるものがあり、サーバシステムで的確にゲーム端末装置の管理を行うことができず、ゲームプログラムの不具合、サーバシステムが管理する各プレーヤにおける個々のデータのゲーム端末装置における授受など、ゲーム端末装置の管理上において支障を来す場合がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、停電その他の不測の事態におけるネットワークの遮断を考慮しつつ、サーバシステムからの管理下から故意に離脱した場合には、その実行を制限することによって、不正使用を防止し、運用者に対して適切な運用を促すことが可能なゲーム端末装置及びサーバシステム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するため、本発明のゲーム端末装置は、
ネットワークを介してサーバシステム又は他のゲーム端末装置とゲームデータの送受信を行うゲーム端末装置であって、
前記サーバシステム又は前記他のゲーム端末装置と通信を確立し、ゲームに関するゲームデータの送受信を行う通信手段と、
前記送受信されたゲームデータに基づいて、前記ゲームを実行するゲーム実行手段と、
パラメータが記憶される記憶手段と、
前記サーバシステムとの通信の確立状況、または、当該通信の確立状況に伴うゲームの実行状況に基づいて、前記パラメータの値を累積的に変動させる処理を行うパラメータ制御手段と、
前記累積的に変動するパラメータが所定の条件に該当した場合に、前記ゲーム実行手段によるゲームの実行を制限する稼働制御手段と、
を備える構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明のゲーム端末装置は、例えば、ゲーム端末装置における不正使用の可能性があると想定される状態毎に、パラメータの値を累積的に増加させるまたは減少させるなど変動させることができるので、当該パラメータが所定の値に到達するなど所定の条件に該当しなければ、ゲームの実行を制限せずに当該ゲームの実行を確保することができる。その一方、本発明のゲーム端末装置は、当該パラメータが所定の条件に該当した場合には、ゲームの実行を制限することができる。
【0011】
したがって、本発明のゲーム端末装置は、故意ではなく、通信事情または停電事情などのインフラ的な事情によりサーバシステムとの通信が単発的に遮断された場合には、ゲームの実行を確保することができる。また、本発明のゲーム端末装置は、例えば、サーバシステムとの通信が頻繁に切断された場合には、または、当該通信が遮断された状態でゲームが実行された場合など継続的に正規の状態を逸脱している場合には、故意に当該ゲーム端末装置を不正に使用しているとして当該ゲームの実行を制限することができる。
【0012】
すなわち、本発明のゲーム端末装置は、停電その他の不測の事態におけるサーバシステムとの通信の遮断を考慮しつつ、サーバシステムからの管理下から故意に離脱した場合には当該ゲーム端末装置の不正使用であるとしてゲームの実行を制限することができるので、不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【0013】
(2)また、本発明のゲーム端末装置においては、
前記パラメータの値を累積的に変動させる処理として、前記パラメータの値に一定の値を加算又は減算する処理を行う構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明のゲーム端末装置は、ゲーム端末装置における不正使用の可否の判断にあたり、パラメータを累積的に加算または減算させることによって、パラメータを累積的に変動させることができる。
【0015】
(3)また、本発明のゲーム端末装置においては、
パラメータ制御手段が、前記ゲームを実行可能である実行可能状態であって、前記サーバシステムと常時確立している通信が遮断された場合、当該通信の確立が実行される際に当該確立が失敗した場合、当該通信が遮断されてから一定時間当該遮断が維持された場合、及び、当該通信の遮断中に前記ゲームが実行された場合の少なくとも何れかに該当したときに、前記パラメータの値を累積的に変動させる処理を行う構成を有していてもよい。
【0016】
この構成により、本発明のゲーム端末装置は、ゲームを実行可能である実行可能状態であって、サーバシステムと常時確立している通信が遮断された場合、当該通信の確立が実行される際に当該確立が失敗する場合、当該通信が遮断されてから一定時間当該遮断が維持された場合、または、当該通信の遮断中に前記ゲームが実行された場合には、パラメータを累積的に変動させることができる。
【0017】
したがって、本発明のゲーム端末装置は、停電その他の不測の事態におけるサーバシステムとの通信の遮断を考慮しつつ、サーバシステムからの管理下から故意に離脱した場合には当該ゲーム端末装置の不正使用であるとしてゲームの実行を制限することができるので、不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【0018】
(4)また、本発明のゲーム端末装置においては、
前記パラメータ制御手段が、
前記サーバシステムとの通信の確立が成功する毎に、または、当該通信が確立して当該確立状態を一定時間維持する毎に、前記パラメータの値を段階的に所与の値に向けて回復させる構成を有してもよい。
【0019】
この構成により、本発明のゲーム端末装置は、サーバシステムとの通信の確立が成功した場合、または、当該通信が確立して当該確立状態を一定時間維持された場合には、正規使用と判定することができるので、不正使用の可能性によって変動されたパラメータを回復させることができる。
【0020】
したがって、本発明のゲーム端末装置は、停電その他の不測の事態におけるサーバシステムとの通信の遮断によっても、変動してしまうパラメータの値を回復させることができるので、正規な使用の場合には、ゲーム端末装置の運用を保護することができる。
【0021】
(5)また、本発明のゲーム端末装置においては、
前記ゲーム実行手段によるゲームの実行が制限された回数をカウントするカウント手段を更に備え、
前記パラメータ制御手段が、
前記カウントされた実行制限回数が所定の条件に該当した場合には、前記累積的に変動するパラメータの変動値を変更する構成を有していてもよい。
【0022】
この構成により、本発明のゲーム端末装置は、不正使用を繰り返すことによって何度も実行が制限された場合には、運用者の悪意が高いと判断することができるので、パラメータの変動値を大きくすることによって、ペナルティの要素を高くし、不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【0023】
(6)また、本発明のゲーム端末装置においては、
前記パラメータには、初期値と、下限値または上限値とが定められている構成を有していてもよい。
【0024】
この構成により、本発明のゲーム端末装置は、初期値、下限値または上限値を設定することによって、たとえ、不正使用を繰り返したとしてもその後継続的に正規使用を行えば、実行が制限された状態から回復させることができるとともに、運用者の変更その他によって長期間に渡って正規使用をしていた運用者が不正使用を開始した場合であっても、迅速に実行を制限することができるので、常に、不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【0025】
(7)また、本発明のゲーム端末装置においては、
前記パラメータが、前記記憶手段におけるセキュア領域に記憶されている構成を有していてもよい。
【0026】
この構成により、本発明のゲーム端末装置は、運用者によって不正にパラメータを操作させることを防止することができるので、不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【0027】
(8)上記課題を解決するため、本発明のプログラムは、
ネットワークを介してサーバシステム又は他のゲーム端末装置と通信を行いつつ、ゲームを実行する端末装置に搭載されるコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記サーバシステム又は他のゲーム端末装置と通信を確立し、ゲームに関するゲームデータの送受信を行う通信手段を制御する通信制御手段、
前記送受信されたゲームデータに基づいて、前記ゲームを実行するゲーム実行手段、
前記サーバシステム又は他のゲーム端末装置との通信の確立状況、または、当該通信の確立状況に伴うゲームの実行状況に基づいて、前記パラメータの値を累積的に変動させるパラメータ制御手段、及び
前記累積的に変動するパラメータが所定の条件に該当した場合に、前記ゲーム実行手段によるゲームの実行を制御する稼働制御手段、
として機能させる構成を有している。
【0028】
この構成により、本発明のゲーム端末装置は、例えば、ゲーム端末装置における不正使用の可能性があると想定される状態毎に、パラメータの累積的に変動させ、当該パラメータが所定の値に到達するなど所定の条件に該当しなければ、ゲームの実行を制限しない一方で、当該パラメータが所定の条件に該当した場合には、ゲームの実行を制限する。
【0029】
したがって、本発明のゲーム端末装置は、故意ではなく、通信事情または停電事情などのインフラ的な事情によりサーバシステムとの通信が単発的に遮断された場合には、ゲームの実行を制限しない一方で、例えば、サーバシステムとの通信が頻繁に切断された場合には、または、当該通信が遮断された状態でゲームが実行された場合など継続的に正規の状態を逸脱している場合には、故意に当該ゲーム端末装置を不正に使用しているとして当該ゲームの実行を制限することができる。
【0030】
すなわち、本発明のゲーム端末装置は、停電その他の不測の事態におけるサーバシステムとの通信の遮断を考慮しつつ、サーバシステムからの管理下から故意に離脱した場合には当該ゲーム端末装置の不正使用であるとしてゲームの実行を制限することができるので、不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【0031】
(9)上記課題を解決するため、本発明のサーバシステムは、
ゲームを実行する端末装置とネットワークを介して接続し、当該端末装置にゲームを実行させるサーバシステムであって、
前記端末装置と通信を実行し、前記ゲームに関するゲームデータの送受信を行う通信管理手段と、
前記受信したゲームデータに基づいて前記端末装置における前記パラメータに基づくゲームの実行制限回数を取得する制限回数取得手段と、
前記カウントされた実行制限回数が所定の条件に該当した場合に、前記端末装置のゲーム環境を制御するゲーム環境制御手段と、
を備え、
前記ゲーム環境制御手段が、
前記パラメータにおける変動する値を変更させる構成を有している。
【0032】
この構成により、本発明のサーバシステムは、不正使用を繰り返すことによって何度も実行能になった場合には、不正にゲームが実行されている可能性が実行制限されていないゲーム端末装置より高いと判断することができるので、パラメータの変動値を大きくすることによって、ペナルティの要素を高くし、ゲーム端末装置の不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【0033】
(10)上記課題を解決するため、本発明のサーバシステムは、
ゲームを実行する端末装置とネットワークを介して接続し、当該端末装置にゲームを実行させるサーバシステムを稼働させるコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記端末装置と通信を実行し、前記ゲームに関するゲームデータの送受信を行う通信管理手段、
前記受信したゲームデータに基づいて前記端末装置におけるパラメータに基づくゲームの実行制限回数を取得する実行制限回数取得手段、及び
前記カウントされた実行制限回数が所定の条件に該当した場合に、前記端末装置のゲーム環境を制御するゲーム環境制御手段、
として機能させるとともに、
前記ゲーム環境制御手段として、
前記パラメータにおける変動する値を変更させるように機能させる構成を有している。
【0034】
この構成により、本発明のプログラムは、不正使用を繰り返すことによって何度も実行が制限された場合には、不正にゲームが実行されている可能性が実行制限されていないゲーム端末装置より高いと判断することができるので、パラメータの変動値を大きくすることによって、ペナルティの要素を高くし、ゲーム端末装置の不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る一実施形態のゲームネットワークシステムの構成を示す構成図である。
【図2】一実施形態におけるゲーム端末装置の構成を示す機能ブロック図の一例である。
【図3】一実施形態における管理サーバ装置の構成を示す機能ブロック図の一例である。
【図4】一実施形態のゲーム端末装置におけるパラメータ制御処理の動作を示すフローチャート(その1)である。
【図5】一実施形態のゲーム端末装置におけるパラメータ制御処理の動作を示すフローチャート(その2)である。
【図6】一実施形態のゲーム端末装置におけるセーフティモードの動作を示すフローチャートである。
【図7】一実施形態における各ゲーム端末装置の調整値変更処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】一実施形態における各ゲーム端末装置及び管理サーバ装置の調整値変更処理の変形例の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、ゲームネットワークシステムを構成するゲームを実行するゲーム装置、及び、当該ゲーム装置を監視する管理サーバ装置に対し、本発明に係るゲーム端末装置、サーバシステム及びプログラムを適用した場合の実施形態である。
【0037】
1.ゲームネットワークシステムの構成
まず、図1を用いて本発明に係るゲームネットワークシステム10における実施形態の構成について説明する。なお、図1は、本実施形態のゲームネットワークシステム10の構成を示す構成図である。
【0038】
本実施形態のネットワークシステム10は、図1に示すように、ゲームを実行する複数のゲーム端末装置100と、各ゲーム端末装置100とゲームに関するデータの授受及び各ゲーム装置の管理を行う管理サーバ装置200と、を有している。そして、ゲームネットワークシステム10内の複数のゲーム端末装置100と管理サーバ装置200とは、インターネット上において提供されるWorld Wide Web システムなどのネットワークNによってそれぞれ接続されている。
【0039】
各ゲーム端末装置100は、ネットワークNを介して管理サーバ装置200との通信を確立し、ゲームに関するゲームデータの送受信を行いつつ、送受信されたゲームデータに基づいて、ゲームを実行するようになっている。
【0040】
また、各ゲーム端末装置100は、ゲームの実行管理を行うためのパラメータを有し、管理サーバ装置200との通信の確立状況、または、当該通信の確立状況に伴うゲームの実行状況に基づいて、当該パラメータの値を累積的に変動させる処理を実行する。
【0041】
そして、各ゲーム端末装置100は、累積的に変動したパラメータに基づいて、ゲームの実行の可否、ゲーム機能の一部制限、ゲームを実行するためにはパスワードの入力が必要となるパスワードロック機能による制限、現行ゲームにおける拡張機能の追加の禁止、または、現行のゲームとは異なる新規なゲームを追加するための拡張モードのロックを含むゲームの実行管理を行うようになっている。
【0042】
例えば、本実施形態では、このパラメータは、正規にゲームが実行されている正規使用か不正使用かを判定するためのパラメータ(以下、「正規使用判定パラメータ」という。)である。そして、各ゲーム端末装置100は、管理サーバ装置200との通信の確立状況、または、当該通信の確立状況に伴うゲームの実行状況に基づいて、ゲーム端末装置100の不正使用の可能性があると想定される状態(以下、「不正使用可能性状態」という。)毎に、当該正規使用判定パラメータの値を累積的に変動させる処理を実行する。
【0043】
特に、各ゲーム端末装置100は、正規使用判定パラメータの値に所定の値を調整値として加算または減算するようになっている。
【0044】
そして、各ゲーム端末装置100は、累積的に変動するパラメータが所定の条件に該当した場合に、不正に使用されているとして、ゲームの実行を制限する(すなわち、実行制限状態にする)ように構成されている。
【0045】
一方、各ゲーム端末装置100は、管理サーバ装置200との通信の確立が成功する毎に、または、当該通信が確立して当該確立状態を一定時間維持する毎に、正規使用判定パラメータの値を段階的に回復させるようになっている。
【0046】
なお、本実施形態においては、ゲームの実行制限(実行制限状態)とは、電源を投入したとしても、ゲームを実行可能状態にならないことをいい、例えば、本実施形態では、ゲーム端末装置100がセーフティモードで起動することをいう。ただし、この実行制限状態には、電源の投入がされない、電源の投入が可能であるものの何れの操作を行うことができないなど、ゲームの実行が制限な状態であればよい。
【0047】
また、本実施形態においては、セーフティモードとは、管理サーバ装置200との通信の再確立を行うための各処理及びメンテナンスを行うだけのモードであり、ゲームの実行その他の処理を行うことができないようになっている。
【0048】
このような構成により、本実施形態のゲーム端末装置100は、不正使用の可能性があると想定される不正使用可能性状態毎に、正規使用判定パラメータを累積的に変動させ、当該パラメータが所定の値に到達するなど所定の条件に該当しなければ、ゲームの実行を制限しない一方で、当該パラメータが所定の条件に該当した場合には、ゲームの実行を制限するようになっている。
【0049】
したがって、本実施形態のゲーム端末装置100は、故意ではなく、通信事情または停電事情などのインフラ的な事情により管理サーバ装置200との通信が単発的に遮断された場合には、ゲームの実行を確保することができるとともに、例えば、管理サーバ装置200との通信が頻繁に切断された場合には、または、当該通信が遮断された状態でゲームが実行された場合など継続的に正規の状態を逸脱している場合には、故意に当該ゲーム端末装置100を不正に使用しているとして当該ゲームの実行を制限することができるようになっている。
【0050】
すなわち、本実施形態のゲーム端末装置100は、停電その他の不測の事態における管理サーバ装置200との通信の遮断を考慮しつつ、管理サーバ装置200からの管理下から故意に離脱した場合には当該ゲーム端末装置100の不正使用であるとしてゲームの実行を制限することができるので、不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができるようになっている。
【0051】
2.ゲーム端末装置
次に、図2を用いて本実施形態のゲーム端末装置100における構成及び各部の動作について説明する。なお、図2は、本実施形態におけるゲーム端末装置100の構成を示す機能ブロック図の一例である。
【0052】
ゲーム端末装置100は、ゲームの設定及びゲーム中の操作を行う操作部160と、ゲームに関する各種のデータが記憶されるとともに、正規使用判定パラメータが記憶されるセキュア領域178を有する記憶部170と、情報記憶媒体180と、ゲームに関する表示を行う表示部190と、ゲームに関する音を出力する音出力部192と、ゲームを実行するプレーヤの識別情報及びゲームに関する情報を有する携帯型情報記憶装置194と、管理サーバ装置200と通信する通信部196と、ゲームに関する処理を行う処理部101と、を有している。
【0053】
操作部160は、プレーヤが操作データを入力するためのものであり、その機能は、レバー、ボタン、ステアリング、マイク、タッチパネル型ディスプレイ、または、筺体などにより実現できる。
【0054】
記憶部170は、処理部101や通信部196などのワーク領域となるもので、その機能はRAMなどのハードウェアにより実現できる。具体的には、記憶部170は、主記憶部172、画像バッファ174、モーションデータ記憶部176、各種設定情報記憶部179及びセキュア領域178を有している。
【0055】
特に、主記憶部172には、管理サーバ装置200から送信されたゲームに使用する各種のデータが記憶され、各種設定情報記憶部179には、ゲーム開始時にプレーヤによって設定されたゲームに関する各種のデータが記憶される。
【0056】
また、モーションデータ記憶部176には、キャラクタ(スケルトン)を構成する各パーツオブジェクト(スケルトンを構成するモーション骨)の位置又は回転角度等を含むモーションデータが記憶されている。動作制御部111(モーション処理部)は、このモーションデータを読み出し、このモーションデータに基づいてキャラクタの各パーツオブジェクト(モーション骨)を動かすことで(キャラクタのスケルトン形状を変形させることで)、キャラクタのモーションを再生する。
【0057】
なお、モーションデータ記憶部176に記憶されるモーションデータは、モーションキャプチャなどを利用して作成したものであることが望ましいが、モーションデータを、物理シミュレーション(物理計算を利用したシミュレーション。物理計算は擬似的な物理計算でもよい)などによりリアルタイムに生成するようにしてもよい。
【0058】
情報記憶媒体180(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、または、メモリ(ROM)などのハードウェアにより実現できる。
【0059】
また、情報記憶媒体180に格納される情報の一部または全部は、システムへの電源投入時等に記憶部170に転送されることになる。また情報記憶媒体180には、本発明の処理を行うためのプログラム、画像データ、音データ、表示物の形状データ、本発明の処理を指示するための情報、または、その指示に従って処理を行うための情報などを含ませることができる。
【0060】
さらに、情報記憶媒体180には、管理サーバ装置200から送信されたバージョンアップ用のプログラムなど、各種のプログラムが記憶される。
【0061】
表示部190は、本実施形態により生成された画像を出力するものであり、その機能は、CRT、LCD、または、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)などのハードウェアにより実現できる。
【0062】
音出力部192は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカなどのハードウェアにより実現できる。
【0063】
携帯型情報記憶装置194は、プレーヤの個人データやゲームのセーブデータなどが記憶されるものであり、この携帯型情報記憶装置194としては、メモリカードや携帯型ゲーム装置などを考えることができる。
【0064】
通信部196は、外部(例えばホスト装置や他の画像生成システム)との間で通信を行うための各種の制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ、或いは通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0065】
なお、本発明(本実施形態)の各手段を実現(実行、機能)するためのプログラム(データ)は、ホスト装置(サーバ装置)が有する情報記憶媒体からネットワーク及び通信部196を介して情報記憶媒体180に配信するようにしてもよい。このようなホスト装置(サーバ装置)の情報記憶媒体180の使用も本発明の範囲内に含まれる。
【0066】
処理部101(プロセッサ)は、操作部160からの操作データやプログラムなどに基づいて、ゲーム処理、画像生成処理、または、音生成処理などの各種の処理を行う。この場合、処理部101は、記憶部170内の主記憶部172をワーク領域として使用して、各種の処理を行う。
【0067】
具体的には、処理部101は、この情報記憶媒体180に格納されるプログラム(データ)に基づいて本発明(本実施形態)の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体180には、本発明(本実施形態)の手段(特に処理部101に含まれるブロック)をコンピュータに実現(実行、機能)させるためのプログラムが格納され、このプログラムは、例えば1又は複数のモジュール(オブジェクト指向におけるオブジェクトも含む)を含む。
【0068】
処理部101が実行する処理には、コイン(代価)の受け付け処理、各種モードの設定処理、ゲームの進行処理、選択画面の設定処理、オブジェクト(1又は複数のプリミティブ)の位置や回転角度(X、Y又はZ軸回り回転角度)を求める処理、オブジェクトを動作させる処理(モーション処理)、視点の位置(仮想カメラの位置)や視線角度(仮想カメラの回転角度)を求める処理、マップオブジェクトなどのオブジェクトをオブジェクト空間へ配置する処理、ヒットチェック処理、ゲーム結果(成果、成績)を演算する処理、複数のプレーヤが共通のゲーム空間でプレイするための処理、及び、ゲームオーバ処理が含まれる。
【0069】
また、その他の処理部101が実行する処理には、ゲームの実行管理、管理サーバ装置200との通信に関する管理を行う通信管理、正規使用及び不正使用の判定を行う判定処理、正規使用判定パラメータの値を制御する制御処理、及び、実行制限された回数をカウントするカウント処理が含まれる。
【0070】
特に、処理部101は、ゲームに関するオブジェクト空間を生成し、当該オブジェクト空間に各種のオブジェクトを設定するオブジェクト空間設定部110と、オブジェクト空間の各オブジェクトの動作を制御する動作制御部111、表示部190にゲームに関する表示を行うための表示データを生成する画像生成部112、音出力部192から出力するためのゲームに関する音を生成する音生成部113を含む。
【0071】
また、処理部101は、ゲームの開始及び終了を含みゲームの実行を管理する実行管理部114、管理サーバ装置200との通信管理を行う通信制御部115、正規使用及び不正使用による値が変動する正規使用判定パラメータの値を制御する制御処理(以下、「パラメータ制御処理」という。)を実行するパラメータ制御部116、ゲーム端末装置100の稼働管理(以下、「稼働管理処理」ともいう。)を行いつつ、所定の条件に該当した場合にゲーム端末装置100におけるゲームの実行を制限する実行制限制御を実行する稼働管理部117、カウンタを有し実行制限回数をカウントするカウント処理部118、及び、タイマー119を含む。
【0072】
なお、本実施形態の処理部101は、上述したこれらの全ての機能ブロックを含む必要はない。また、例えば、本実施形態の通信部196は、本発明の通信手段を構成し、実行管理部114は、本発明のゲーム実行手段を構成する。そして、例えば、本実施形態の記憶部170は、本発明の記憶手段を構成し、パラメータ制御部116は、本発明のパラメータ制御手段を構成する。さらに、例えば、本実施形態の稼働管理部117は、本発明の稼働制御手段を構成し、カウント処理部118は、本発明のカウント手段を構成する。
【0073】
オブジェクト空間設定部110は、ゲームキャラクタのオブジェクト、車、建物、樹木、柱、壁、マップ(地形)などの表示物を表す各種オブジェクト(ポリゴン、自由曲面又はサブディビジョンサーフェスなどのプリミティブ面で構成されるオブジェクト)をオブジェクト空間に配置設定する処理を行う。すなわち、オブジェクト空間設定部110114は、ワールド座標系でのオブジェクト(モデルオブジェクト)の位置や回転角度(向き、方向と同義)を決定し、その位置(X、Y、Z)にその回転角度(X、Y、Z軸回りでの回転角度)でオブジェクトを配置する。
【0074】
動作制御部111は、キャラクタ(人、ロボット、車又は戦車等のゲームに登場する移動オブジェクト)の動作を制御する処理を行う。より具体的には、キャラクタをゲーム空間(オブジェクト空間)で移動(並進移動、回転移動)させる処理や、キャラクタにモーション(アニメーション)を行わせる処理(モーション再生、モーション生成)を行う。
【0075】
ここで、キャラクタを移動させる処理は、操作部160からの操作データ(プレーヤからの入力データ)や前のフレーム(インター)でのキャラクタの位置、回転角度等に基づいて、現在のフレームでのキャラクタの位置、回転角度を求めることで実現できる。
【0076】
また、キャラクタのモーション処理は、キャラクタ(オブジェクト)のモーションを、モーションデータ記憶部176に記憶されているモーションデータに基づいて再生することで実現できる。
【0077】
そして、動作制御部111は、少ないモーションデータ量でリアルなモーションを再生するために、モーション補間やインバース・キネマティクスを用いてモーション再生を行うようになっている。
【0078】
画像生成部112は、処理部101で行われる種々の処理の結果に基づいて画像処理を行い、ゲーム画像を生成し、表示部190に出力する。例えば、いわゆる3次元のゲーム画像を生成する場合には、まず、座標変換、クリッピング処理、透視変換、或いは光源計算等のジオメトリ処理が行われ、その処理結果に基づいて、描画データ(プリミティブ面の頂点(構成点)に付与される位置座標、テクスチャ座標、色(輝度)データ、法線ベクトル或いは癇l等)が作成される。そして、この描画データ(プリミティブ面データ)に基づいて、ジオメトリ処理後のオブジェクト(1又は複数プリミティブ面)の画像が、画像バッファ174(フレームバッファ、ワークバッファ等のピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファ)に描画される。これにより、オブジェクト空間内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像が生成されるようになる。
【0079】
音生成部113は、処理部101で行われる種々の処理の結果に基づいて音処理を行い、BGM、効果音、又は音声などのゲーム音を生成し、音出力部192に出力する。
【0080】
実行管理部114は、電源が投入されてゲームが実行可能状態であって、コイン(代価)の受け付け処理に基づいて、ゲームの開始指示を検出すると、ゲームを実行させる。また、実行管理部114は、ゲーム実行中に、ゲームオーバ処理によってゲームが終了したことを検出すると、当該ゲームを終了させる。
【0081】
通信制御部115は、管理サーバ装置200に送信するパケットを生成する処理、パケット送信先のIPアドレスやポート番号を指定する処理、受信したパケットに含まれるデータを記憶部170に保存する処理、受信したパケットを解析する処理、その他のパケットの送受信に関する制御処理等を行う。
【0082】
また、通信制御部115は、ネットワーク情報を取得し、管理する処理等を行う。特に、通信制御部115は、ゲーム装置毎に付与されるゲーム装置識別情報(ゲーム装置を識別するために個別に付与されたデータ)と、ゲームを実行するプレーヤ毎に付与されるプレーヤ識別情報と、ゲーム装置識別情報またはプレーヤ識別情報に対応付けられたパケットの送信先を指定する宛先情報とを取得し、管理する処理を行う。
【0083】
特に、通信制御部115は、管理サーバ装置200との通信の確立及び遮断の有無を検出するとともに、当該通信の確立を行う際に、ゲーム装置識別情報に基づいて当該ゲーム端末装置100の認証を行う。
【0084】
なお、ゲーム装置識別情報は、ゲーム端末装置100のメイン基板毎に付与されて記憶された識別情報である。
【0085】
パラメータ制御部116は、不正にゲームが実行されている可能性がある場合には、正規使用判定パラメータの値に一定の値を減算(または加算)することによって累積的に変動させる。特に、パラメータ制御部116は、カウントされた実行制限回数が所定の条件に該当した場合には、前記累積的に変動するパラメータの値を変更する。
【0086】
また、パラメータ制御部116は、正規にゲームが実行されている場合には、正規使用判定パラメータの値を段階的に回復させる。
【0087】
稼働管理部117は、ゲーム端末装置100の稼働を管理する。特に、稼働管理部117は、累積的に変動する正規使用パラメータが所定の条件に該当した場合に、実行管理部114によって実行されるゲームの実行を強制的に制限された状態にする。具体的には、稼働管理部117は、正規使用パラメータが所定の条件に該当した場合に、ゲームの実行が制限されたセーフティモードによってゲーム端末装置100を起動する。
【0088】
一方、稼働管理部117は、正規使用パラメータが所定の条件を該当しない場合には、実行管理部114がゲームの実行が可能な通常モードでゲーム端末装置100を起動する。
【0089】
カウント処理部118は、実行管理部114におけるゲームの不正な実行に伴う使用実行制限回数をカウントする。
【0090】
なお、本実施形態の画像生成システムは、1人のプレーヤのみがプレイできるシングルプレーヤモード専用のシステムにしてもよいし、このようなシングルプレーヤモードのみならず、複数のプレーヤがプレイできるマルチプレーヤモードも備えるシステムにしてもよい。
【0091】
また複数のプレーヤがプレイする場合に、これらの複数のプレーヤに提供するゲーム画像やゲーム音を、1つの端末を用いて生成してもよいし、ネットワーク(伝送ライン、通信)などで接続された複数の端末(ゲーム機、携帯電話)を用いて生成してもよい。
【0092】
3.管理サーバ装置
次に、図3を用いて本実施形態の管理サーバ装置200における構成及び各部の動作について説明する。なお、図3は、本実施形態における管理サーバ装置200の構成を示す機能ブロック図の一例である。
【0093】
記憶部270は、処理部201及び通信部296などのワーク領域となるもので、その機能はRAM(VRAM)などにより実現できる。また、記憶部270には、各ゲーム端末装置100に配信すべき種々のデータ及びプレーヤ識別情報毎に記憶されたプレーヤデータが記憶される。
【0094】
情報記憶媒体280(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、または、メモリ(ROM)などにより実現できる。
【0095】
なお、処理部201は、情報記憶媒体280に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。情報記憶媒体280には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)を記憶することができる。
【0096】
通信部296は、外部(例えば各ゲーム端末装置100)との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0097】
処理部201(プロセッサ)は、記憶部270をワーク領域として各種処理を行う。処理部201の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0098】
また、処理部201は、通信制御部210、端末管理部211及びゲーム環境制御部212を含む。なお、これらの一部を省略する構成としてもよい。例えば、本実施形態の通信部296は、本発明の通信管理手段を構成し、端末管理部211は、本発明の実行制限回数取得手段を構成する。そして、例えば、本実施形態のゲーム環境制御部212は、本発明のゲーム環境制御手段を構成する。
【0099】
通信制御部210は、各ゲーム端末装置100に送信するパケットを生成する処理、パケット送信先のIPアドレスやポート番号を指定する処理、受信したパケットに含まれるデータを記憶部270に保存する処理、受信したパケットを解析する処理、その他のパケットの送受信に関する制御処理等を行う。
【0100】
また、通信制御部210は、ゲームネットワークシステム10で必要となるネットワーク情報を取得し、送信する処理等を行う。特に、通信制御部210は、店舗内のゲーム装置毎に付与されるゲーム装置識別情報と、プレーヤ識別情報と、ゲーム装置識別情報またはプレーヤ識別情報に対応付けられたパケットの送信先を指定する宛先情報とを取得する処理を行う。
【0101】
特に、通信制御部210は、ネットワークを監視し、管理サーバ装置200との通信の確立及びその遮断を監視する。
【0102】
端末管理部211は、各ゲーム端末装置100から送信されたゲームデータを取得するとともに、各ゲーム端末装置100の正規使用パラメータに基づくゲームの実行制限回数を取得し、管理する。
【0103】
ゲーム環境制御部212は、取得した実行制限回数が所定の条件に該当した場合に(例えば、所定の回数以上に達した場合に)、該当するゲーム端末装置100のゲーム環境を制御する。具体的には、ゲーム環境制御部212は、該当するゲーム端末装置100における正規使用判定パラメータにおける変動する値を変更させる。
【0104】
4.本実施形態の手法
4.1 概要
本実施形態のゲーム端末装置100は、スタンドアローン型のゲーム装置であるとともに、管理サーバ装置200と通信を行いつつ、ゲームを実行するようになっている。特に、各ゲーム端末装置100は、運用開始後(すなわち、ゲームセンターなどの店舗において稼働開始後)において、ネットワークを用いたサービスの提供、当該サービスの均一化及びそれに伴うコスト管理のために、管理サーバ装置200と、各プレーヤにおけるプレーヤデータ、ゲーム実行中にゲーム空間において用いられるゲームオブジェクトに関するデータ、または、バージョンアップに基づくゲームプログラムなど、ゲームを実行するために必要なゲームデータの授受を行う必要がある。
【0105】
しかしながら、各ゲーム端末装置100は、スタンドアローン型であるため、ゲーム機能などが制限されるものの、管理サーバ装置200と通信を行うことなく、ゲームを実行することが可能である。したがって、各ゲーム端末装置100は、運用者によってコスト的な側面から管理サーバ装置200との通信を故意に遮断することも想定される。
【0106】
一方、通信環境が整っていない国または地域も多く、電力設備でさえ適切に整備されていないところも多い。したがって、各ゲーム端末装置100において、管理サーバ装置200と確立された通信が単発的に遮断されただけでは、ゲームの実行を制限することは実体にそぐわない。
【0107】
そこで、本実施形態の各ゲーム端末装置100は、停電その他の不測の事態におけるネットワークの遮断を考慮しつつ、サーバシステムからの管理下から故意に離脱した場合には、その実行を制限することによって、不正使用を防止し、運用者に対して適切な運用を促すことができるようになっている。
【0108】
また、本実施形態の管理サーバ装置200は、実行制限になった頻度が高いゲーム端末装置100に対しては、正規使用判定パラメータの調整値を高くし、不正使用を繰り返すことによるペナルティの要素を高くし、運用者に対して適切な運用を促すことができるようになっている。
【0109】
4.2 正規使用判定パラメータ
次に、本実施形態におけるゲーム端末装置100に記憶される正規使用判定パラメータについて説明する。
【0110】
本実施形態においては、各ゲーム端末装置100の使用に関して、正規使用か不正使用かを判定しつつ、ゲームの実行制限状態をコントロールするために、正規使用判定パラメータを用いている。
【0111】
この正規使用判定パラメータは、記憶部170におけるセキュア領域178に記憶されている。このセキュア領域178とは、所定の操作にのみによってアクセスすることができる物理的に隔離された記憶部170の所定の領域であって、ゲーム端末装置100のプレーヤは勿論のこと、運用者においてもアクセスできない領域であり、図示しないゲーム端末装置100のメイン基板上に設けられている。
【0112】
また、正規使用判定パラメータは、初期値を有し、管理サーバ装置200との通信の確立状況、または、当該通信の確立状況に伴うゲームの実行状況に基づいて、不正使用の可能性があると想定される不正使用可能性状態毎に、一定の値が累積的に減算される。
【0113】
なお、不正使用可能性状態が継続することによって正規使用判定パラメータが、予め定められた下限値に到達した場合には、ゲームの実行を制限するようになっている。
【0114】
一方、正規使用パラメータは、正規使用されている場合には、初期値を上限値として段階的に回復させ、正規使用している限り安定的にゲームを実行することができるようになっている。
【0115】
4.3 パラメータ制御処理
次に、本実施形態の各ゲーム端末装置100におけるパラメータ制御処理について説明する。なお、このパラメータ制御処理は、処理部101におけるパラメータ制御部116によって実行される。
【0116】
パラメータ制御部116は、通信制御部115及び実行管理部114と連動し、不正使用可能性状態毎に、正規使用判定パラメータを所定値によって変動させるとともに、正規使用されている場合には、段階的にその値を所与の値(すなわち、初期値)に向けて回復するようになっている。
【0117】
また、この不正使用可能性状態には、ゲームを実行可能である実行可能状態であって、管理サーバ装置200と常時確立している通信が遮断された場合、当該通信の確立が実行される際に当該確立が失敗した場合、当該通信が遮断されてから一定時間当該遮断が維持された場合、及び、当該通信の遮断中に前記ゲームが実行された場合が含まれる。
【0118】
具体的には、パラメータ制御部116は、管理サーバ装置200と確立された通信が遮断された場合には、当該通信の確立及びその遮断を監視している通信制御部115からその旨を受け取る。
【0119】
また、パラメータ制御部116は、管理サーバ装置200との確立された通信が遮断された旨を受け取った場合には、ゲームの実行を管理する実行管理部114からゲームが実行される毎にその旨を受け取る。
【0120】
そして、パラメータ制御部116は、管理サーバ装置200との通信の遮断中であってゲームが実行される毎に、正規使用判定パラメータの値から調整値(以下、「第1調整値」という。)として「1」の値を累積的に減算する。すなわち、パラメータ制御部116は、管理サーバ装置200との通信がオフライン状態中にゲームが実行される毎に、正規使用判定パラメータの値を「1」減算する。
【0121】
また、パラメータ制御部116は、管理サーバ装置200との確立された通信が遮断されたときに、内部に有するタイマー119によって時刻の計測を開始し、当該遮断から一定時間毎の経過を検出する。
【0122】
そして、パラメータ制御部116は、管理サーバ装置200との通信が遮断されてから一定時間においても当該通信の確立が回復せず、当該遮断が維持されると、正規使用判定パラメータの値から調整値(以下、「第2調整値」という。)として「10」の値を累積的に減算する。すなわち、パラメータ制御部116は、管理サーバ装置200との通信がオフライン状態である場合には、一時間毎に、正規使用判定パラメータの値を「10」減算する。
【0123】
なお、正規使用判定パラメータが、一定の条件に該当すると(例えば、下限値となると)、稼働管理部117は、実行管理部114において実行されるゲームの実行を制限するようになっている。
【0124】
また、本実施形態においては、一のゲームが開始してから終了するまでの実施時間は、数分であるため、ゲームが実行される毎に正規使用判定パラメータを減算するために用いる第1調整値よりも、時間毎に減算するために用いる第2調整値を大きくしているが、ゲームの実施時間及び第2調整値を減算する際の時間間隔に基づいて調整されるようになっている。したがって、第1調整値が第2調整値より大きくてもよいし、同一であってもよい。
【0125】
一方、パラメータ制御部116は、正規使用されている場合には、すなわち、管理サーバ装置200との通信の確立が成功する毎に、または、当該通信が確立して当該確立状態を一定時間維持する毎に、段階的に正規使用判定パラメータの値を初期値に向けて回復させる。
【0126】
また、管理サーバ装置200との通信の確立が成功するとは、当該通信の遮断後に再度当該通信が確立されたことの他に、管理サーバ装置200との通信が接続され、かつ、24時間毎に装置識別情報に基づいて認証が正常に実行されることを含む。
【0127】
例えば、パラメータ制御部116は、管理サーバ装置200との通信が確立される毎に正規使用判定パラメータに調整値として「1」を加算するとともに、当該通信が確立し、当該確立状態を一時間維持する毎に、または、管理サーバ装置200との通信が接続され、かつ、24時間毎に認証が正常に実行される毎に、正規使用判定パラメータに調整値として「10」の値を加算する。
【0128】
他方、パラメータ制御部116は、上限値としては、「初期値」を用いるとともに、下限値としては、下限値「−250」を用いるようになっている。すなわち、パラメータ制御部116は、累積的に下限値まで減算するが、それ以降は、たとえ、不正使用可能性状態であっても減算せず、また、初期値までは値を回復させるが、それ以降は、たとえ、正規使用が継続したとしても、回復させない(具体的には、加算しない)ようになっている。
【0129】
また、パラメータ制御部116は、ゲーム端末装置100が稼働中であっても、ゲームの実行が制限されている場合であっても、正規使用状態または不正使用可能性状態の場合には、正規使用判定パラメータの値を制御するようになっている。すなわち、パラメータ制御部116は、実行管理部114において実行されるゲームの実行が制限されている場合であっても、正規使用状態の場合には、正規使用判定パラメータを段階的に回復させるようになっている。
【0130】
なお、本実施形態においては、初期値、下限値または上限値を設定することによって、たとえ、不正使用を繰り返したとしてもその後継続的に正規使用を行えば、ゲームの実行が制限された状態から回復させることができるとともに、運用者の変更その他によって長期間に渡って正規使用をしていた運用者が不正使用を開始した場合であっても、迅速にゲームの実行を制限させることができるようになっている。
【0131】
4.4 実行制限制御及び実行制限状態の解除
次に、本実施形態のゲーム端末装置100における実行制限制御及び実行制限状態の解除について説明する。なお、本実施形態の実行制限制御及び実行制限状態の解除については、処理部101における稼働管理部117が実行する。
【0132】
稼働管理部117は、稼働管理処理を実行しつつ、実行制限制御を行う。特に、稼働管理部117は、パラメータ制御部116によって制御される正規使用判定パラメータの値が所定の条件に該当した場合に、実行管理部114によるゲームの実行を制限する。
【0133】
また、稼働管理部117は、稼働停止中に所定の操作を行うことによって管理サーバ装置200との通信が再度確立した場合であって、当該ゲーム端末装置100の使用が正規使用となり、正規使用判定パラメータが所定の条件に該当しなくなった場合には、実行管理部114によるゲームの実行を可能にするため、実行制限状態の解除を行う。
【0134】
具体的には、稼働管理部117は、パラメータ制御部116が正規使用判定パラメータの値を変動させる毎に、すなわち、正規使用判定パラメータから所定の値を減算する毎に、所定の条件として当該正規使用判定パラメータの値が「−250」になったか否かを判定する。そして、正規使用判定パラメータが「−250」のときには、稼働管理部117は、実行管理部114を制御してゲームの実行を停止し、電源の遮断または装置全体のリセットを実行する。
【0135】
なお、このとき、正規使用判定パラメータが「−250」でないときには、稼働管理部117は、そのまま稼働を継続する。
【0136】
また、稼働管理部117は、ゲーム端末装置100に電源が投入される毎にまたはリセットされる毎に、正規使用判定パラメータの値を読み出して、当該正規使用判定パラメータが「−250」か否かを判定する。
【0137】
このとき、稼働管理部117は、当該正規使用判定パラメータの値が「−250」でない場合には、ゲームの実行が可能な通常モードでゲーム端末装置100を起動する。その一方、稼働管理部117は、当該正規使用判定パラメータの値が「−250」の場合には、ゲームの実行を制限するため、セーフティモードで当該ゲーム端末装置100を起動する。
【0138】
なお、上述したように、セーフティモードでは、実行管理部114は、ゲームを実行することができずに、当該ゲームの実行を制限する状態となる。
【0139】
一方、稼働管理部117は、上記のセーフティモードによって管理サーバ装置200との通信が確立した場合には、パラメータ制御部116によるパラメータ制御処理の実行を指示する。また、稼働管理部117は、ゲームの実行を停止している際に、パラメータ制御部116によって正規使用判定パラメータの値が「249」以下になったか否かを判定する。
【0140】
そして、移動管理部は、ゲームの実行を停止している際に、正規使用判定パラメータが「249」以下になったときには、装置全体をリセットし、通常のゲームが実行可能な状態での起動を行う。
【0141】
なお、本実施形態においては、実行管理部114は、ゲームの実行停止が解除され、コイン(代価)の受け付け処理及びプレーヤの操作に基づいて、ゲームの開始指示を検出すると、ゲームを実行させることができるようになっている。
【0142】
5.本実施形態の処理
5.1 稼働管理処理
次に、図4及び図5本実施形態のゲーム端末装置100におけるパラメータ制御処理を含むゲーム端末装置100における稼働管理処理の動作について説明する。
【0143】
なお、図4及び図5は、本実施形態のゲーム端末装置100におけるパラメータ制御処理の動作を示すフローチャートである。
【0144】
まず、電源スイッチの操作によりまたはリセット処理によって電源が投入されると(ステップS101)、稼働管理部117は、セキュア領域178に記憶された正規使用パラメータを読み出し、所定の条件に該当しているか否かを判定する(ステップS102)。
【0145】
このとき、稼働管理部117は、所定の条件に該当していると判定すると、ゲームの実行が制限された状態であるセーフティモードで起動し(ステップS120)、本動作を終了させる。
【0146】
なお、セーフティモードでは、管理サーバ装置200との通信の再確立またはメンテナンスなど、操作部160及び通信制御部115と連動して種々の処理が実行される。また、このとき、管理サーバ装置200との通信の再確立が成功すると、稼働管理部117は、正規使用判定パラメータに所定の値を加算してその値を回復させる。
【0147】
一方、稼働管理部117は、ステップS102の処理において、所定の条件に該当していないと判定すると、通常モードによってゲーム端末装置100を起動する(ステップS103)。
【0148】
このとき、実行管理部114は、通常モードによって起動すると、ゲーム開始の受付その他の処理を行いつつ、コイン(代価)の受け付け処理及びプレーヤの操作に基づいて、ゲームの開始指示がされると、ゲームを実行する。また、通信制御部115は、装置識別情報に基づく認証処理その他の処理を実行して管理サーバ装置200との通信を確立する。
【0149】
なお、このとき、パラメータ制御部116は、当該通信の確立の成功に基づいて正規使用判定パラメータに対して所定の値を回復させてもよいし、回復させなくてもよい。また、パラメータ制御部116は、通信が確立されると、タイマー119によって通信の確立時間の計測を開始する。
【0150】
次いで、通信制御部115が、管理サーバ装置200との通信の確立が遮断されたか否かを判定し(ステップS104)、管理サーバ装置200との通信の確立が遮断されていないと判定された場合には、ステップS130の処理に移行し、管理サーバ装置200との通信の確立が遮断されたと判定された場合には、ステップS105の処理に移行する。
【0151】
次いで、パラメータ制御部116は、ステップS104の処理において、管理サーバ装置200との通信の確立が遮断されていないと判定した場合には、タイマー119によって計測された時間が一定時間経過したか否かを判定する(ステップS130)。
【0152】
このとき、パラメータ制御部116は、タイマー119によって計測された時間が一定時間経過したと判定した場合には、正規使用判定パラメータの値を回復させて(所定の値を正規使用判定パラメータに加算して(ステップS131))ステップS104の処理に移行するとともに、当該一定時間経過していないと判定した場合には、そのままステップS104の処理に移行する。
【0153】
一方、パラメータ制御部116は、ステップS104の処理において、管理サーバ装置200との通信の確立が遮断されたと判定した場合には、通信の確立時間の計測を中止するとともに、タイマー119による遮断時間の計測を開始する(ステップS110)。
【0154】
次いで、パラメータ制御部116は、タイマー119による遮断時間が一定の時間を経過したか否かを判定する(ステップS111)。このとき、パラメータ制御部116は、当該遮断時間が一定の時間を経過したと判定した場合には、正規使用判定パラメータに第2調整値として所定の値(例えば、「10」)を減算してセキュア領域178に記憶された正規使用判定パラメータの値を上書きし(ステップS112)、ステップS113の処理に移行するとともに、当該遮断時間が一定の時間を経過していないと判定した場合には、そのまま、ステップS113の処理に移行する。
【0155】
次いで、パラメータ制御部116は、実行管理部114によってゲームの実行が開始されたか否かを判定させる(ステップS113)。このとき、パラメータ制御部116は、ゲームの実行が開始されたと判定された場合には、正規使用判定パラメータに第1調整値として所定の値(例えば、「1」)を減算してセキュア領域178に記憶された正規使用判定パラメータの値を上書きし(ステップS114)、ステップS115の処理に移行するとともに、当該ゲームの実行が開始されていないと判定された場合には、そのまま、ステップS115の処理に移行する。
【0156】
次いで、稼働管理部117は、正規使用判定パラメータが所定の条件に該当するか否か(例えば、「−250」か否か)を判定する(ステップS115)。すなわち、稼働管理部117は、ゲームの実行が制限状態であるか否かを判定する。
【0157】
このとき、稼働管理部117は、正規使用判定パラメータが所定の条件に該当すると判定した場合には、リセット処理を実行して(ステップS116)本動作を終了させる。なお、稼働管理部117は、リセット処理を実行する際に、ゲームが実行中であれば、当該ゲームが終了するまでリセットの実行を待機する。ただし、稼働管理部117は、ゲームの実行中であっても、リセットを実行してもよい。
【0158】
一方、稼働管理部117は、正規使用判定パラメータが所定の条件に該当しないと判定した場合には、管理サーバ装置200との通信が再確立したか否かを判定し(ステップS117)、再確立したと判定された場合には、ステップS118の処理に移行し、復帰していないと判定された場合には、ステップS111の処理に移行する。
【0159】
次いで、稼働管理部117は、電源が遮断されたことを検出したか否かを判定し(ステップS118)、電源が遮断されていないと判定した場合には、ステップS104の処理に戻り、当該電源が遮断されたと判定した場合には、本動作を終了させる。なお、ステップS118の処理において判断された結果本動作が終了する他に、本動作中にゲーム端末装置100における電源が遮断された場合には、強制的に本動作は終了する。
【0160】
5.2 セーフティモード
次に、図6を用いて本実施形態のゲーム端末装置100におけるセーフティモードの動作について説明する。なお、図6は、本実施形態のゲーム端末装置100におけるセーフティモードの動作を示すフローチャートである。
【0161】
本動作は、上述の稼働管理処理のステップS120の処理において実行される処理である。
【0162】
まず、稼働管理部117は、セーフティモードを起動する(ステップS201)。稼働管理部117は、セーフティモードを起動すると、画像生成部112及び通信制御部115と連動して所定の表示を表示部190に表示させるとともに、操作部160の操作に基づいて種々の処理を実行する。
【0163】
次いで、通信制御部115は、所定の時間待機(ステップS202)し、管理サーバ装置200との通信の再確立が成功したか否かを判定する(ステップS203)。このとき、パラメータ制御部116は、通信制御部115によって管理サーバ装置200との通信の再確立が成功したと判定された場合には、正規使用判定パラメータを回復させて(所定の値を加算して(ステップS204))ステップS205の処理に移行し、管理サーバ装置200との通信の再確立が成功していないと判定された場合には、ステップS202の処理に移行する。
【0164】
次いで、稼働管理部117は、リセットを実行して(ステップS205)本動作を終了させる。
【0165】
なお、本動作中においては、所定の操作を検出することによってセーフティモードの強制終了を行うことができるようになっている。
【0166】
6.調整値変更処理
6.1 調整値変更処理(その1)
次に、図7を用いて本実施形態における各ゲーム端末装置100における調整値変更処理について説明する。なお、図7は、本実施形態の各ゲーム端末装置100における調整値変更処理の動作を示すフローチャートである。
【0167】
本実施形態の調整値変更処理は、上述の実施形態と連動して、または、上述の実施形態の追加的な機能として実行される。すなわち、本実施形態の調整値変更処理は、上述の稼働管理処理に組み込まれて実行されてもよいし、当該稼働管理処理から省略されてもよい。
【0168】
また、本実施形態の調整値変更処理は、各ゲーム端末装置100の処理部101におけるカウント処理部118及びパラメータ制御部116によって実行される。
【0169】
カウント処理部118は、上述の実施形態において、リセット処理時に、正規使用判定パラメータが所定の条件に該当した回数、例えば、正規使用判定パラメータが「−250」となり実行制限状態となった回数をカウントするとともに、パラメータ制御部116は、当該カウントした値が所定の条件(例えば「10」)に該当した際に、不正使用可能状態の際に加算される調整値を大きくするようになっている。
【0170】
まず、上述の稼働管理処理において、リセット処理が実行されると、カウント処理部118は、カウンタに「1」を加算し(ステップS301)、当該カウンタが所定の条件に該当したか否かを判定する(ステップS302)。具体的には、カウント処理部118は、カウンタの値が「10」か否かを判定する。
【0171】
このとき、パラメータ制御部116は、カウンタの値が所定の条件に該当したと判定された場合には(例えば、カウンタの値が「10」であると判定された場合には)、その値をリセットしつつ、調整値を高くし(ステップS303)、本動作を終了する。
【0172】
また、ステップS303の処理としては、パラメータ制御部116は、例えば、調整値を2倍にする。すなわち、カウント処理部118は、第1調整値が「1」の場合には、その値を「2」に変更し、第2調整値が「10」の場合には、その値を「20」に変更する。
【0173】
なお、この構成により、ゲームの実行制限状態が繰り返されると、調整値が徐々に大きくなり、不正使用を繰り返すことによって何度も実行制限になった場合には、運用者の悪意が高いと判断することができるので、ペナルティの要素を高くすることができる。
【0174】
一方、パラメータ制御部116は、カウンタの値が所定の条件に該当していないと判定された場合には(例えば、カウンタの値が「10」より小さいと判定された場合には)、そのまま本動作を終了する。
【0175】
6.2 調整値変更処理(その2)
次に、図8を用いて本実施形態における調整値変更処理の変形例について説明する。なお、図8は、本実施形態の各ゲーム端末装置100及び管理サーバ装置200における調整値変更処理の変形例の動作を示すフローチャートである。
【0176】
本変形例の調整値変更処理は、上述の調整値変更処理を管理サーバ装置200によって実行される点に特徴がある。また、その他の点は、上述の調整値変更処理と同一である。なお、本変形例においても、上記の実施形態と連動して、または、上述の実施形態の追加的な機能として実行され、本実施形態の調整値変更処理は、上述の稼働管理処理に組み込まれて実行されてもよいし、当該稼働管理処理から省略されてもよい。
【0177】
また、本実施形態の調整値変更処理は、管理サーバ装置200の端末管理部211及びゲーム環境制御部212によって、各ゲーム端末装置100のパラメータ制御部116を制御して実行される。
【0178】
端末管理部211は、上述の実施形態において、リセット処理が実行された旨を受信し、当該リセット処理が実行された旨を受信した際にリセット処理が実行された回数(すなわち、正規使用判定パラメータが所定の条件に該当した回数)、例えば、正規使用判定パラメータが「−250」となり実行制限状態となった回数をカウントする。
【0179】
また、ゲーム環境制御部212は、カウントした値が所定の条件に該当した際に、該当するゲーム端末装置100のパラメータ制御部116を制御し、当不正使用可能状態の際に加算される調整値を大きくするように設定する。
【0180】
まず、上述の稼働管理処理において、リセット処理が実行されると、通信制御部115は、現在の調整値とリセット処理が実行された旨を管理サーバ装置200に送信する(ステップS401)。
【0181】
管理サーバ装置200において、端末管理部211が通信制御を介してリセット処理が実行された旨を受信すると(ステップS500)、カウンタに「1」を加算し(ステップS501)、当該カウンタが所定の条件に該当したか否かを判定する(ステップS502)。具体的には、カウント処理部118は、カウンタの値が「10」か否かを判定する。
【0182】
このとき、ゲーム環境制御部212は、カウンタの値が所定の条件に該当したと判定された場合には(例えば、カウンタの値が「10」であると判定された場合には)、その値をリセットしつつ、新たな調整値を算出し(ステップS503)、当該算出した新たな調整値を該当するゲーム端末装置100に送信して(ステップS504)本動作を終了させる。
【0183】
また、ステップS503の処理としては、例えば、受信した調整値を2倍にする。すなわち、ゲーム環境制御部212は、受信した第1調整値が「1」の場合には、その値を「2」に変更し、受信した第2調整値が「10」の場合には、その値を「20」に変更し、それぞれの新たな調整値をデータとして該当するゲーム端末装置100に送信する。
【0184】
一方、ゲーム環境制御部212は、カウンタの値が所定の条件に該当していないと判定された場合には(例えば、カウンタの値が「10」より小さいと判定された場合には)、調整値の変更がない旨をデータとして送信して(ステップS505)そのまま本動作を終了する。
【0185】
ゲーム端末装置100においては、通信制御部115が管理サーバ装置200から送信されたデータを受信すると(ステップS411)、パラメータ制御部116は、受信したデータに基づいて調整値を変更するか否かを判定する(ステップS412)。
【0186】
このとき、パラメータ制御部116は、受信したデータに基づいて調整値を変更すると判定した場合には、当該受信したデータに含まれた新たな調整値に変更して(ステップS413)本動作を終了し、受信したデータに基づいて調整値を変更しないと判定した場合には、そのまま本動作を終了させる。
【0187】
この構成により、上述と同様に、ゲームの実行制限状態が繰り返されると、調整値が徐々に大きくなり、不正使用を繰り返すことによって何度もゲームの実行が制限された場合には、運用者の悪意が高いと判断することができるので、ペナルティの要素を高くすることができるようになっている。
【0188】
6.3 加算に基づくパラメータ制御処理及び減算に基づく回復処理
次に、本実施形態におけるパラメータ制御処理及びその回復処理の変形例について説明する。
【0189】
上述の実施形態においては、正規使用判定パラメータを初期値(例えば、100)から不正使用可能性状態毎に調整値を累積的に減算し、正規使用状態毎に正規使用パラメータに所定の値を加算してその値を回復するようになっているが、正規使用判定パラメータを初期値(例えば、−100)から不正使用可能性状態毎に調整値を累積的に加算し、正規使用状態毎に正規使用パラメータに所定の値を減算してその値を回復する。
【0190】
この場合においては、稼働管理部117は、上限値(例えば、+250)に到達した場合に、所定の条件に該当したと判定してゲームを実行制限状態にするようになる。
【0191】
以上、本実施形態のゲーム端末装置100は、故意ではなく、通信事情または停電事情などのインフラ的な事情により管理サーバ装置200との通信が単発的に遮断された場合には、ゲームの実行を確保することができるとともに、例えば、管理サーバ装置200との通信が頻繁に切断された場合には、または、当該通信が遮断された状態でゲームが実行された場合など継続的に正規の状態を逸脱している場合には、故意に当該ゲーム端末装置100を不正に使用しているとして当該ゲームの実行を制限することができる。
【0192】
すなわち、本実施形態のゲーム端末装置100は、停電その他の不測の事態における管理サーバ装置200との通信の遮断を考慮しつつ、管理サーバ装置200からの管理下から故意に離脱した場合には当該ゲーム端末装置100の不正使用であるとしてゲームの実行を制限することができるので、不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【0193】
特に、本実施形態のゲーム端末装置100は、ゲームを実行可能である実行可能状態であって、管理サーバ装置200と常時確立している通信が遮断された場合、当該通信の確立が実行される際に当該確立が失敗する場合、当該通信が遮断されてから一定時間当該遮断が維持された場合、または、当該通信の遮断中に前記ゲームが実行された場合には、パラメータを累積的に変動させることができる。
【0194】
また、本実施形態のゲーム端末装置100は、ゲーム端末装置100における不正使用の可否の判断にあたり、パラメータを累積的に加算または減算させることによって、パラメータを累積的に変動させることができる。
【0195】
本実施形態のゲーム端末装置100は、管理サーバ装置200との通信の確立が成功した場合、または、当該通信が確立して当該確立状態を一定時間維持された場合には、正規使用と判定することができるので、不正使用の可能性によって変動されたパラメータを回復させることができる。
【0196】
また、本実施形態のゲーム端末装置100は、初期値、下限値または上限値を設定することによって、たとえ、不正使用を繰り返したとしてもその後継続的に正規使用を行えば、実行制限状態から回復させることができるとともに、運用者の変更その他によって長期間に渡って正規使用をしていた運用者が不正使用を開始した場合であっても、迅速に実行制限させることができるので、常に、不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【0197】
また、本実施形態のゲーム端末装置100及び管理サーバ装置200は、不正使用を繰り返すことによって何度も実行制限になった場合には、運用者の悪意が高いと判断することができるので、パラメータの変動値を大きくすることによって、ペナルティの要素を高くし、不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【0198】
また、本実施形態のゲーム端末装置100は、セキュア領域178に正規使用判定パラメータを記憶するので、運用者によって不正にパラメータを操作させることを防止することができるとともに、不正使用を防止し、その運用者に対して適切な運用を促すことができる。
【0199】
なお、本実施形態の各ゲーム端末装置100は、ゲームの実行を制限する他に、上述のように、ゲーム機能の一部制限、パスワードロック、現行ゲームにおける拡張機能の追加の禁止、または、現行のゲームとは異なる新規なゲームを追加するための拡張モードのロックを含むゲームの実行管理を行うようになっている。
【0200】
また、本実施形態の管理サーバ装置200は、単一の装置によって上述した各種のサーバ機能を備えているが、複数のサーバ装置による管理サーバ装置200によって当該各種のサーバ機能を備えてもよい。
【0201】
また、本実施形態のゲームネットワークシステム10は、管理サーバ装置200と複数のゲーム端末装置100によって構成されているが、ゲーム端末装置100が複数設置される店舗毎に店舗サーバ装置を有し、または、店舗毎に当該店舗内の他のゲーム端末装置100を管理する管理権限を有する一のゲーム端末装置(以下、「マスターゲーム端末装置」という。)を有し、各ゲーム端末装置100が該当する店舗サーバ装置またはマスターゲーム装置を介して管理サーバ装置200と通信を実行し、ゲームデータの授受を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0202】
10 … ゲームネットワークシステム
100 … ゲーム端末装置
101 … 処理部
110 … オブジェクト空間設定部
111 … 動作制御部
112 … 画像生成部
113 … 音生成部
114 … 実行管理部
115 … 通信制御部
116 … パラメータ制御部
117 … 稼働管理部
118 … カウント処理部
119 … タイマー
170 … 記憶部
172 … 主記憶部
174 … 画像バッファ
176 … モーションデータ記憶部
178 … セキュア領域
179 … 各種設定情報記憶部
200 … 管理サーバ装置
201 … 処理部
210 … 通信制御部
211 … 端末管理部
212 … ゲーム環境制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してサーバシステム又は他のゲーム端末装置とゲームデータの送受信を行うゲーム端末装置であって、
前記サーバシステム又は前記他のゲーム端末装置と通信を確立し、ゲームに関するゲームデータの送受信を行う通信手段と、
前記送受信されたゲームデータに基づいて、前記ゲームを実行するゲーム実行手段と、
パラメータが記憶される記憶手段と、
前記サーバシステムとの通信の確立状況、または、当該通信の確立状況に伴うゲームの実行状況に基づいて、前記パラメータの値を累積的に変動させる処理を行うパラメータ制御手段と、
前記累積的に変動するパラメータが所定の条件に該当した場合に、前記ゲーム実行手段によるゲームの実行を制限する稼働制御手段と、
を備えること特徴とするゲーム端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム端末装置において、
前記パラメータの値を累積的に変動させる処理として、前記パラメータの値に一定の値を加算又は減算する処理を行うゲーム端末装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゲーム端末装置において、
パラメータ制御手段が、前記ゲームを実行可能である実行可能状態であって、前記サーバシステムと常時確立している通信が遮断された場合、当該通信の確立が実行される際に当該確立が失敗した場合、当該通信が遮断されてから一定時間当該遮断が維持された場合、及び、当該通信の遮断中に前記ゲームが実行された場合の少なくとも何れかに該当したときに、前記パラメータの値を累積的に変動させる処理を行う、ゲーム端末装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のゲーム端末装置において、
前記パラメータ制御手段が、
前記サーバシステムとの通信の確立が成功する毎に、または、当該通信が確立して当該確立状態を一定時間維持する毎に、前記パラメータの値を段階的に所与の値に向けて回復させる、ゲーム端末装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のゲーム端末装置において、
前記ゲーム実行手段によるゲームの実行が制限された回数をカウントするカウント手段を更に備え、
前記パラメータ制御手段が、
前記カウントされた実行制限回数が所定の条件に該当した場合には、前記累積的に変動するパラメータの変動値を変更する、ゲーム端末装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のゲーム端末装置において、
前記パラメータには、初期値と、下限値または上限値とが定められている、ゲーム端末装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載のゲーム端末装置において、
前記パラメータが、前記記憶手段におけるセキュア領域に記憶されている、ゲーム端末装置。
【請求項8】
ネットワークを介してサーバシステム又は他のゲーム端末装置と通信を行いつつ、ゲームを実行する端末装置に搭載されるコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記サーバシステム又は他のゲーム端末装置と通信を確立し、ゲームに関するゲームデータの送受信を行う通信手段を制御する通信制御手段、
前記送受信されたゲームデータに基づいて、前記ゲームを実行するゲーム実行手段、
前記サーバシステム又は他のゲーム端末装置との通信の確立状況、または、当該通信の確立状況に伴うゲームの実行状況に基づいて、前記パラメータの値を累積的に変動させるパラメータ制御手段、及び
前記累積的に変動するパラメータが所定の条件に該当した場合に、前記ゲーム実行手段によるゲームの実行を制御する稼働制御手段、
として機能させること特徴とするプログラム。
【請求項9】
ゲームを実行する端末装置とネットワークを介して接続し、当該端末装置にゲームを実行させるサーバシステムであって、
前記端末装置と通信を実行し、前記ゲームに関するゲームデータの送受信を行う通信管理手段と、
前記受信したゲームデータに基づいて前記端末装置における前記パラメータに基づくゲームの実行制限回数を取得する制限回数取得手段と、
前記カウントされた実行制限回数が所定の条件に該当した場合に、前記端末装置のゲーム環境を制御するゲーム環境制御手段と、
を備え、
前記ゲーム環境制御手段が、
前記パラメータにおける変動する値を変更させることを特徴とするサーバシステム。
【請求項10】
ゲームを実行する端末装置とネットワークを介して接続し、当該端末装置にゲームを実行させるサーバシステムを稼働させるコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記端末装置と通信を実行し、前記ゲームに関するゲームデータの送受信を行う通信管理手段、
前記受信したゲームデータに基づいて前記端末装置におけるパラメータに基づくゲームの実行制限回数を取得する実行制限回数取得手段、及び
前記カウントされた実行制限回数が所定の条件に該当した場合に、前記端末装置のゲーム環境を制御するゲーム環境制御手段、
として機能させるとともに、
前記ゲーム環境制御手段として、
前記パラメータにおける変動する値を変更させるように機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−213462(P2012−213462A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79698(P2011−79698)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】