説明

ゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、プログラム

【課題】再生されている動画内の位置を指定することで次に再生される動画を自然に切り替えることができるゲーム装置等を提供する。
【解決手段】ゲーム装置201において、再生部202は複数の動画データのうち、いずれかの動画データを再生対象動画データとして、画面内に再生し、受付部203は、画面内の位置を指定する指示入力を受け付ける。複数の動画データには、動画データの再生時間中における時間帯(切替時間帯)と、画面内の位置(切替判別位置)と、複数の動画データのうちいずれかの動画データ(切替先動画データ)と、の組が対応付けられている動画データが含まれ、切替部204は、再生対象動画データに対応付けられている組の(a)切替時間帯に、指示入力が受け付けられた時点が含まれ、(b)切替判別位置と、指示入力により指定された位置と、が所定の近接条件を満たす場合、切替先動画データに再生対象動画データを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画が再生されている画面内の位置を指定することで次に再生される動画を自然に切り替えることができるゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゲーム画面に表示された複数の選択肢の中から特定の選択肢をプレイヤに選ばせることによって、ストーリーが変化する分岐型シナリオを用いたアドベンチャーゲームが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−140438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、動画を再生することによりストーリーを展開させるゲームにおいては、画面に明示的に表示される選択肢からいずれかを選んだりするのではなく、動画の再生にマッチした手法で分岐のための選択をさせる技術が求められている。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、再生されている動画内の位置を指定することで次に再生される動画を自然に切り替えることができるゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係るゲーム装置は、再生部と、受付部と、切替部とを備え、以下のように構成する。
【0007】
再生部は、複数の動画データのうち、いずれかの動画データを再生対象動画データとして、画面内に再生する。
【0008】
例えば、複数の動画データは、それぞれ異なるストーリーを有しており、再生部はいずれかの動画データを再生し、ストーリーが展開されていく。
【0009】
受付部は、画面内の位置を指定する指示入力を受け付ける。
【0010】
すなわち、プレイヤは、動画データが再生されている画面内の位置を指定し、受付部は当該指定を指示入力として受け付ける。
【0011】
切替部は、受け付けられた指示入力に基づいて、再生対象動画データを切り替える。
また、複数の動画データには、当該動画データの再生時間中における時間帯(以下「切替時間帯」という)と、画面内の位置(以下「切替判別位置」という)と、複数の動画データのうちいずれかの動画データ(以下「切替先動画データ」という)と、の組が対応付けられている動画データが含まれ、
切替部は、再生対象動画データに対応付けられている組の
(a)当該切替時間帯に、指示入力が受け付けられた時点が含まれ、
(b)当該切替判別位置と、指示入力により指定された位置と、が所定の近接条件を満たす
場合、当該切替先動画データに再生対象動画データを切り替える。
【0012】
すなわち、各動画データには、動画データを切り替えるための時間帯及び画面内の位置が予め設定されており、プレイヤが、再生されている動画データに対して適切な時間帯で適切な画面内の位置を選択した場合に、再生されている動画データの時間帯と位置とに対応付けられている動画データが再生される。
【0013】
本発明によれば、再生されている動画面内の位置を指定することで自然に他の動画に切り替えることができる。
【0014】
また、受付部は、動画データの画面内の注目領域の位置及び大きさを、プレイヤからの操作入力に基づいて設定し、
切替部は、設定された注目領域の位置に基づいて近接条件を判定するようにしてもよい。
【0015】
例えば、プレイヤは、動画データが再生されている画面内の領域を、コントローラを用いて、画面内に表示された枠を移動させて指定する。指定した領域が再生中の動画データに対応付けられている画面内の位置を含むか否かを判定する。
【0016】
本発明によれば、プレイヤは再生中の動画面内の位置をコントローラ等を用いて指定することにより、動画データの切替をすることができる。
【0017】
また、切替判別位置が注目領域に含まれ、注目領域の大きさが所定の閾値より小さい場合、近接条件が満たされるようにしてもよい。
【0018】
すなわち、切替判別位置がプレイヤが指定した領域に含まれ、指定した領域の大きさが所定の面積よりも小さい場合、再生されている動画データの時間帯と位置とに対応付けられている動画データが再生される。
【0019】
本発明によれば、プレイヤが、指定する領域を絞り込まないと動画データの切替がおこなわれないので、意図しない切替処理を防ぐことができる。
【0020】
また、切替判別位置は、複数の位置からなり、
組のうち、ある組の切替判別位置がすべて注目領域に含まれ、当該ある組と切替時間帯が重複する他の組の切替判別位置がいずれも注目位置に含まれない場合、当該ある組の近接条件が満たされるようにしてもよい。
【0021】
すなわち、プレイヤが指定した領域が、適切な組み合わせで複数の切替判別位置を含み、余分な切替判別位置は含まない場合、再生されている動画データの時間帯と位置とに対応付けられている動画データが再生される。
【0022】
本発明によれば、プレイヤが指定した領域に、異なる組の切替判別位置が含まれていると、動画データの切替は行われないので、意図しない動画データへの切替処理を防ぐことができる。
【0023】
また、組には切替判別位置を含む領域(以下「切替判別領域」という)がさらに含まれ、
切替判別領域が注目領域に含まれ、
切替判別領域が注目領域を占める割合が所定の閾値より大きい場合、近接条件が満たされるようにしてもよい。
【0024】
すなわち、各動画データには切替判別位置を含む領域がさらに対応付けられており、プレイヤが指定する領域が、切替判別位置を含み、予め対応付けられている領域によって所定の面積だけ占められる場合、再生されている動画データの時間帯と位置とに対応付けられている動画データが再生される。
【0025】
本発明によれば、プレイヤが、指定する領域を絞りこんでから、動画データの切替がおこなわれるので、意図しない切替処理を防ぐことができる。
【0026】
また、再生部は、注目領域内に再生される動画を画面に拡大して表示するようにしてもよい。
【0027】
すなわち、プレイヤにより指定された領域を、ズームするように画面に拡大して表示する。
【0028】
本発明によれば、プレイヤは、動画データの切替を表示画像の拡大により認識することができる。
【0029】
また、再生部は、画面内に再生対象動画データを再生するのに重ねて注目領域を表す図形を表示するようにしてもよい。
【0030】
例えば、再生中の動画に、プレイヤが指定した領域として長方形の枠を表示する。
【0031】
本発明によれば、プレイヤは、指定した領域を容易に視認することができる。
【0032】
また、切替部により再生対象動画データが切り替えられると、再生部は、当該切替前の動画データのうち注目領域に再生されるべき動画を時間の経過と共に拡大して画面に再生してから、当該切替後の動画データの再生を開始するようにしてもよい。
【0033】
例えば、プレイヤにより指定された領域の画像と、次に再生される動画の最初の画像との間にずれが生じている場合、ずれを補正するように指定された領域の画像を拡大しながら移動させ、次に再生される動画の最初の画像と合わせる。
【0034】
本発明によれば、再生中の動画から、次に再生される動画へ自然に切り替えることができる。
【0035】
本発明のその他の観点に係るゲーム制御方法は、再生部と、受付部と、切替部と、を備えるゲーム装置が実行するゲーム制御方法であって、再生工程と、受付工程と、切替工程とを備え、以下のように構成する。
【0036】
再生工程において、再生部が、複数の動画データのうち、いずれかの動画データを再生対象動画データとして、画面内に再生する。
【0037】
受付工程において、受付部が、画面内の位置を指定する指示入力を受け付ける。
【0038】
切替工程において、切替部が、受け付けられた指示入力に基づいて、再生対象動画データを切り替える。
また、切替工程において、切替部が、複数の動画データには、当該動画データの再生時間中における時間帯(以下「切替時間帯」という)と、画面内の位置(以下「切替判別位置」という)と、複数の動画データのうちいずれかの動画データ(以下「切替先動画データ」という)と、の組が対応付けられている動画データが含まれ、
切替部は、再生対象動画データに対応付けられている組の
(a)当該切替時間帯に、指示入力が受け付けられた時点が含まれ、
(b)当該切替判別位置と、指示入力により指定された位置と、が所定の近接条件を満たす
場合、当該切替先動画データに再生対象動画データを切り替える。
【0039】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを上記ゲーム装置として機能させ、コンピュータに上記ゲーム制御方法を実行させるように構成する。
【0040】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、動画が再生されている画面内の位置を指定することで次に再生される動画を自然に切り替えることができるゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態に係るゲーム装置等が実現される典型的な情報処理装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】ゲーム装置の機能構成を示す説明図である。
【図3A】プレイヤが行う指示入力を説明するための図である。
【図3B】プレイヤが行う指示入力を説明するための図である。
【図4】動画データに設定されている切替時間帯と、切替判別位置と、切替先動画データとの対応関係を説明するための図である。
【図5】ゲーム装置が表示する動画データと、動画面の一部に対応付けられている動画データとの関係を示す図である。
【図6】本発明のゲーム装置の各部が行う処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】動画データに設定されている切替時間帯と、切替判別位置と、切替先動画データとの対応関係を説明するための図である。
【図8A】プレイヤが行う指示入力を説明するための図である。
【図8B】プレイヤが行う指示入力を説明するための図である。
【図8C】プレイヤが行う指示入力を説明するための図である。
【図9】動画データに設定されている切替時間帯と、切替判別位置と、切替判別領域と、切替先動画データとの対応関係を説明するための図である。
【図10A】プレイヤが行う指示入力を説明するための図である。
【図10B】プレイヤが行う指示入力を説明するための図である。
【図10C】プレイヤが行う指示入力を説明するための図である。
【図11】動画データの画面切替を説明するための図である。
【図12】動画データの画面切替を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム用の情報処理装置を利用して本発明が実現される実施形態を説明するが、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0044】
(実施形態)
図1はプログラムを実行することにより、本発明の実施形態に係るゲーム装置の機能を果たす典型的な情報処理装置100の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0045】
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM 102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェース104と、コントローラユニット105と、外部メモリ106と、画像処理部107と、DVD−ROM(Digital Versatile Disc ROM)ドライブ108と、NIC(Network Interface Card)109と、音声処理部110と、モニタ111と、を備える。
【0046】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0047】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0048】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0049】
インターフェース104を介して接続されたコントローラユニット105は、プレイヤがゲーム実行の際に行う操作入力を受け付ける。例えば、コントローラ105aを振る操作(手を振る動作)を行うと、その操作情報等を無線通信により受け付ける。
【0050】
インターフェース104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、ゲーム等のプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、ネットワーク対戦の場合のチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。プレイヤは、コントローラユニット105を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0051】
画像処理部107は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部107が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部107が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部107に接続されるモニタ111へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0052】
DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ108は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0053】
また、画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
【0054】
また、仮想空間が3次元にて構成される場合には、当該3次元空間内に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0055】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画したりすることが可能である。
【0056】
NIC 109は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0057】
音声処理部110は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカから出力させる。
【0058】
DVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、音声処理部110は、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0059】
モニタ111は、画像処理部107に接続され、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、画像情報を表示する。モニタ111は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(organic Electro-Luminescence display)等により構成され、一般的な置き型ディスプレイの形式又は装着型のHMDの形式で用いられる。
【0060】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0061】
以上で説明した情報処理装置100は、いわゆる「コンシューマ向けテレビゲーム装置」に相当するものであるが、仮想空間を表示するような画像処理を行うものであれば本発明を実現することができる。したがって、携帯電話、携帯ゲーム機器、カラオケ装置、一般的なビジネス用コンピュータなど、種々の計算機上で本発明を実現することが可能である。
【0062】
例えば、一般的なコンピュータは、上記情報処理装置100と同様に、CPU、RAM、ROM、DVD−ROMドライブ、及び、NICを備え、情報処理装置100よりも簡易な機能を備えた画像処理部を備え、外部記憶装置としてハードディスクを有する他、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、磁気テープ等が利用できるようになっている。また、コントローラユニット105ではなく、キーボードやマウスなどを入力装置として利用する。
【0063】
上記情報処理装置100において実現される本実施形態に係るゲーム装置の機能構成について、図2を参照して説明する。 ゲーム用のプログラム及びデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ108に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態に係るゲーム装置が実現される。
【0064】
本実施形態に係るゲーム装置201は、再生部202と、受付部203と、切替部204と、から構成される。
【0065】
再生部202は、プレイヤによる選択等に基づいて、複数の動画データから、何れかの動画データを再生し、動画をモニタ画面に表示する。
再生部202に表示されるゲーム画像の例を図3Aの動画データAに示す。プレイヤが目視しているモニタ111の画面には、3人の人間51、52、53が映し出されており、各人間が表示されている位置には切替判別位置11〜13が対応付けられている。これらの切替判別位置11〜13は図3Aのように明示的に表示されてもよいし、画面に表示しなくてもよい。
したがって、CPU 101が、画像処理部107及びモニタ111と協働して、再生部202として機能する。
【0066】
受付部203は、プレイヤがコントローラ105a等で指定した画面内の位置を指示入力として受け付ける。例えば、図3Aや図3Bに示すように、プレイヤが画面上に表示された枠21、22の位置や大きさを変更して、切替判別位置12を指定すると、受付部203は当該指定を指示入力として受け付ける。以下本実施形態では、プレイヤは、画面内に表示された長方形の枠21、22により、領域を指定するが、枠の形は円や多角形等のいかなる形状でもよい。また、画面内の位置は、枠ではなく点により指定してもよい。
したがって、CPU 101がコントローラユニット105と協働して、受付部202として機能する。
【0067】
切替部204は、受付部203が受け付けた指示入力が、動画データを切り替えるための条件(切替条件)を満たす場合、再生されている動画データ(再生対象動画データ)を指示入力に基づいて再生対象動画データに対応付けられている動画データに切り替える。ゲーム装置201がDVD−ROMから読み込んだ各動画データには、切替時間帯と、切替判別位置と、切替先動画データと、の組が対応付けられている。例えば、動画データAに対応付けられている切替判別帯と切替判別位置と切替先動画データとの対応関係は図4のテーブルのようにDVD−ROMに記憶されている。切替判別位置11は画面内の座標(x1、y1)、切替判別位置12は画面内の座標(x2、y2)、切替判別位置13は画面内の座標(x3、y3)、と表わす。切替部204は、再生対象動画データに対応付けられている切替時間帯に、指示入力が受け付けられた時点が含まれ、かつ、再生対象動画データに対応付けられている切替判別位置と、指示入力により指定された位置と、が所定の条件を満たす場合、切替先動画データに再生対象動画データを切り替える。ここで、所定の条件は、切換判別位置が、プレイヤより指定された領域に含まれることや、切換判別位置とプレイヤにより指定された位置とが一致すること等である。プレイヤが画面上に表示された枠21、22の位置や大きさを変更して、切替判別位置11〜13の何れかを指定すると、切替部204は、指定された切替判別位置に対応付けられている動画データを再生対象動画データとして切替る。例えば、図5に示すように、切替判別位置11を指定すると動画データBを、切替判別位置12を指定すると動画データCを、切替判別位置13を指定すると動画データDを、再生対象動画データとして切り替える。
したがって、CPU 101が切替部204として機能する。
【0068】
以下、ゲーム装置201の各部が行う動作について説明する。ゲーム装置201に電源が投入され、プレイヤによってゲームが開始されると、CPU 101は、図6のフローチャートに示す処理を開始する。
【0069】
ゲームが開始されると、再生部202は、プレイヤが指定した、又は自動的に設定された動画データを再生対象動画データとして設定する(ステップS601)。例えば、動画データAが再生対象動画データとして設定された場合には、再生部202は、図3Aの動画データAのゲーム画像を表示する(ステップS602)。
【0070】
次に、受付部203は、プレイヤにより画面内における領域指定があるか否かを判断する(ステップS603)。例えば、図3Aに示すように、プレイヤがコントローラ105aで、画面内に表示された枠21の大きさや位置を変更して画面内の切替判別位置12を含む領域を指定すると、受付部203は領域指定があったと判断する(ステップS603;Yes)。受付部203は領域指定があったと判断すると(ステップS603;Yes)、指定された領域の位置や範囲の情報を切替部204に送る。領域指定が無い場合は(ステップS603;No)、CPU 101が、動画データAの終わりか否かを又はプレイヤによる再生停止の指示の有無を検知し、再生部202は検知結果に基づいて再生を終了するか否かを判断する(ステップS606)。動画データAの終わりの場合又はプレイヤによる再生停止の指示がある場合(ステップS606;Yes)、再生部202は再生対象動画データの再生を停止する。動画データAの終わりではなく又はプレイヤによる再生停止の指示が無い場合は(ステップS606;No)、再生部202はそのまま再生対象動画データを再生する。
【0071】
上記ステップS603において受付部203が指定領域有りと判断され、切替部204が、受付部203から、プレイヤが指定した領域の、位置や範囲の情報を受け付けると、それらの情報が切替条件を満たしているか否かを判断する(ステップS604)。
【0072】
切替部204が、プレイヤが指定した時点及び領域が切替条件を満たしていると判断すると(ステップS604;Yes)、指定された時点を含む切替時間帯及び切替判別位置に対応付けられている切替先動画データを再生対象動画データに切り替える(ステップS605)。再生部202は、切替先動画データを再生対象動画データとして再生を開始する(ステップS602)。プレイヤが指定したタイミング及び領域が切替条件を満たさない場合(ステップS604;No)、CPU 101からの通知により再生部202は再生終了するか否かを判断する(ステップS606)。
【0073】
ステップS604において、切替部204は以下のような切替条件を採用する。
プレイヤが領域を指定する時点が、再生中の動画データに設定されている切替時間帯に含まれ(切替条件1)、プレイヤが指定した領域が、当該切替時間帯に対応付けられている切替判別位置の何れかを含み(切替条件2)、かつ、プレイヤが指定した領域が、所定の閾値よりも小さい(切替条件3)場合、切替部204は、再生中の動画データの切替時間帯と切替判別位置とに対応付けられている切替先動画データに切り替える。
【0074】
例えば、図3A、図3B及び図5に示す動画データAは、再生開始から100秒が経過した場合の画像とすると、この画面内には3つの切替判別位置11〜13が存在する。また、枠21、22、23の面積は、枠21が最も小さく、枠22が最も大きく、枠23は枠21と枠22との間の大きさであるとし、枠23の面積を所定の閾値とする。プレイヤが、切替判別位置12を含む領域を枠21に示すように指定したとすると、指定された時点(100秒)は図4に示すように切替時間帯に含まれ、指定された領域は、切替判別位置12を含み、枠23の面積よりも小さい面積を占めるので、切替部204は、プレイヤが指定した時点及び領域が切替条件1〜3を満たすと判断する。切替部204は、切替時間帯(80〜120秒)と切替判別位置12とに対応付けられている切替先動画データ(動画データC)を再生対象動画データとして切り替える。
【0075】
また、ステップS604において、切替部204は以下のような切替条件を採用するようにしてもよい。
1つの組の切替判別位置は複数の位置から構成され、プレイヤが領域を指定するタイミングが切替条件1を満たし、プレイヤが指定した領域が、切替時間帯に対応付けられている複数の適切な切替判別位置を含む(切替条件4)場合、切替部204は、再生対象動画データの切替時間帯と切替判別位置とに対応付けられている切替先動画データに切り替える。
【0076】
例えば、図7に示すように、動画データAには、複数の切替判別位置が対応付けられている。この場合に、図8A〜図8Cに示す動画データAは、再生開始から100秒が経過した場合の画像とすると、この画面内には6つの切替判別位置11〜13、31〜33が存在する。切替判別位置11は画面内の座標(x1、y1)、切替判別位置12は画面内の座標(x2、y2)、切替判別位置13は画面内の座標(x3、y3)、切替判別位置31は画面内の座標(x1’、y1’)、切替判別位置32は画面内の座標(x2’、y2’)、切替判別位置33は画面内の座標(x3’、y3’)と表わす。
【0077】
プレイヤが、切替判別位置12、32を含む領域を図8Aの枠24に示すように指定すると、指定された時点は図7に示すように切替時間帯に含まれ、切替判別位置12、32を含むので、切替部204は、プレイヤの指示入力は切替条件1、4を満たすと判断する。切替部204は、切替時間帯(80秒〜100秒)と切替判別位置12、32に対応付けられている切替先動画データ(動画データC)を再生対象動画データとして切り替える。一方、図8Bに示すように、プレイヤが指定した領域(枠25)が、異なる組の切替判別位置11を含んでいる場合や、図8Cに示すように、プレイヤが指定した領域(枠26)が、切替判別位置12、32の全てを含んでいない場合、切替部204は、切替処理を行わない。
なお、本実施形態では、1つの組には2個の切替判別位置を有しているが、これに限らず、複数であれば何個でもよい。
【0078】
また、ステップS604において、切替部204は以下のような切替条件を採用するようにしてもよい。
動画データには、切替時間帯、切替判別位置、切替先動画データの他に切替判別領域が1つの組として対応付けられている。プレイヤが領域を指定する時点が切替条件1を満たし、指定された領域が、切替条件2を満たし、かつ切替判別領域によって所定の割合以上占められる(切替条件5)場合、切替部204は、再生対象動画データの切替時間帯と切替判別位置とに対応付けられている切替先動画データに切り替える。
【0079】
例えば、図10Aに示すように、動画データAには、切替時間帯、切替判別位置、切替判別領域、切替先動画データが対応付けられている。この場合に、図10A〜図10Cは動画データAの再生開始から100秒が経過した場合の画像とすると、この画面内には3つの切替判別位置11〜13、及び3つの切替判別領域41〜43が存在する。切替判別領域41は、図9の領域1、切替判別領域42は領域2、切替判別領域43は領域3を指す。また、切替条件5の割合を8割とする。
【0080】
プレイヤが、切替判別位置12を含む切替判別領域42を図10Aの枠27に示すように指定すると、指定された時点は図9に示すように切替時間帯に含まれ、切替判別位置12を含み、切替判別位置42がプレイヤが指定した領域(枠27)の8割以上を占めるので、切替部204は、プレイヤの指示入力は切替条件1、2、5を満たすと判断する。切替部204は、切替時間帯(80〜120秒)、切替判別位置12、及び切替判別領域42の組に対応付けられている切替先動画データ(動画データC)を再生対象動画データとして切り替える。一方、図10Bに示すように、プレイヤが指定した領域(枠28)が、切替判別位置12を含まない場合や、図10Cに示すように、プレイヤが指定した領域(枠29)が、切替判別位置12を含んでいても切替判別領域42によって8割以上占められていない場合、切替部204は、動画データの切替処理を行わない。
【0081】
また、ステップS605からステップS602への動画データの切替は、図11に示すように、指定された領域を全画面の大きさになるまで徐々に(時間の経過と共に)拡大し、その後、新たな再生対象動画データに切り替える。
【0082】
また、図12に示すように、動画データAにおいてプレイヤにより指定された領域をそのまま拡大すると、拡大した画像と新たな再生対象動画データの動画データCの先頭画像との間に位置におけるずれが生じる場合、動画データAの画像を拡大させながら動画データCの先頭画像と一致するように、補正するようにしてもよい。図12では、人間52は、枠30により指定された領域の右端に表示されているが、この領域の画像をそのまま拡大させると、左端に人間52が表示される動画データCの先頭画像と一致しない。この場合、動画データAにおいて指定された領域を、右方向にずらしながら、拡大させて、最終的に動画データCの先頭画像と一致させる。
【0083】
本実施形態によれば、プレイヤは、再生中の動画内の領域を指定することにより、当該領域に対応付けられている動画データに切替をすることができる。また、プレイヤが指定する領域を絞り込んでから動画データの切替が行われるので、意図しない切替処理を防ぐことができる。あるいは、プレイヤが指定した領域に、異なる組の切替判別位置が含まれていると、動画データの切替は行われないので、意図しない動画データへの切替処理を防ぐことができる。さらに、画面の切替は指定された画面をズームするように拡大し、ずれを補正することにより、自然な動画データの切替を行うことができる。
【0084】
また、本実施形態において、切替時間帯の時だけプレイヤが位置及び大きさを変更可能な枠を表示するようにしてもよい。これにより、プレイヤは動画データの再生中に切替時間帯を明確に知ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、動画が再生されている画面内の位置を指定することで次に再生される動画を自然に切り替えることができるゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0086】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェース
105 コントローラユニット
105a コントローラ
106 外部メモリ
107 画像処理部
108 DVD−ROMドライブ
109 NIC
110 音声処理部
111 モニタ
11、12、13、31、32、33 切替判別位置
21〜30 枠
41、42、43 切替判別領域
51、52、53 人間
201 ゲーム装置
202 再生部
203 受付部
204 切換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動画データのうち、いずれかの動画データを再生対象動画データとして、画面内に再生する再生部と、
前記画面内の位置を指定する指示入力を受け付ける受付部と、
前記受け付けられた指示入力に基づいて、前記再生対象動画データを切り替える切替部とを備え、
前記複数の動画データには、当該動画データの再生時間中における時間帯(以下「切替時間帯」という)と、前記画面内の位置(以下「切替判別位置」という)と、前記複数の動画データのうちいずれかの動画データ(以下「切替先動画データ」という)と、の組が対応付けられている動画データが含まれ、
前記切替部は、前記再生対象動画データに対応付けられている組の
(a)当該切替時間帯に、前記指示入力が受け付けられた時点が含まれ、
(b)当該切替判別位置と、前記指示入力により指定された位置と、が所定の近接条件を満たす
場合、当該切替先動画データに前記再生対象動画データを切り替える
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置であって、
前記受付部は、前記動画データの画面内の注目領域の位置及び大きさを、プレイヤからの操作入力に基づいて設定し、
前記切替部は、前記設定された注目領域の位置に基づいて前記近接条件を判定する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項2に記載のゲーム装置であって、
前記切替判別位置が前記注目領域に含まれ、前記注目領域の大きさが所定の閾値より小さい場合、前記近接条件が満たされる
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項2に記載のゲーム装置であって、
前記切替判別位置は、複数の位置からなり、
前記組のうち、ある組の切替判別位置がすべて前記注目領域に含まれ、当該ある組と切替時間帯が重複する他の組の切替判別位置がいずれも前記注目位置に含まれない場合、当該ある組の近接条件が満たされる
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項2に記載のゲーム装置であって、
前記組には前記切替判別位置を含む領域(以下「切替判別領域」という)がさらに含まれ、
前記切替判別領域が前記注目領域に含まれ、
前記切替判別領域が前記注目領域を占める割合が所定の閾値より大きい場合、前記近接条件が満たされる
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれか1項に記載のゲーム装置であって、
前記再生部は、前記注目領域内に再生される動画を前記画面に拡大して表示する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項7】
請求項2ないし5のいずれか1項に記載のゲーム装置であって、
前記再生部は、前記画面内に前記再生対象動画データを再生するのに重ねて前記注目領域を表す図形を表示する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
請求項7に記載のゲーム装置であって、
前記切替部により再生対象動画データが切り替えられると、前記再生部は、当該切替前の動画データのうち前記注目領域に再生されるべき動画を時間の経過と共に拡大して前記画面に再生してから、当該切替後の動画データの再生を開始する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項9】
再生部と、受付部と、切替部と、を備えるゲーム装置が実行するゲーム制御方法であって、
前記再生部が、複数の動画データのうち、いずれかの動画データを再生対象動画データとして、画面内に再生する再生工程と、
前記受付部が、前記画面内の位置を指定する指示入力を受け付ける受付工程と、
前記切替部が、前記受け付けられた指示入力に基づいて、前記再生対象動画データを切り替える切替工程とを備え、
前記複数の動画データには、当該動画データの再生時間中における時間帯(以下「切替時間帯」という)と、前記画面内の位置(以下「切替判別位置」という)と、前記複数の動画データのうちいずれかの動画データ(以下「切替先動画データ」という)と、の組が対応付けられている動画データが含まれ、
前記切替部は、前記再生対象動画データに対応付けられている組の
(a)当該切替時間帯に、前記指示入力が受け付けられた時点が含まれ、
(b)当該切替判別位置と、前記指示入力により指定された位置と、が所定の近接条件を満たす
場合、当該切替先動画データに前記再生対象動画データを切り替える
ことを特徴とするゲーム制御方法。
【請求項10】
コンピュータを、
複数の動画データのうち、いずれかの動画データを再生対象動画データとして、画面内に再生する再生部、
前記画面内の位置を指定する指示入力を受け付ける受付部、
前記受け付けられた指示入力に基づいて、前記再生対象動画データを切り替える切替部
として機能させ、
前記複数の動画データには、当該動画データの再生時間中における時間帯(以下「切替時間帯」という)と、前記画面内の位置(以下「切替判別位置」という)と、前記複数の動画データのうちいずれかの動画データ(以下「切替先動画データ」という)と、の組が対応付けられている動画データが含まれ、
前記切替部は、前記再生対象動画データに対応付けられている組の
(a)当該切替時間帯に、前記指示入力が受け付けられた時点が含まれ、
(b)当該切替判別位置と、前記指示入力により指定された位置と、が所定の近接条件を満たす
場合、当該切替先動画データに前記再生対象動画データを切り替える
ように機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−56037(P2011−56037A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208835(P2009−208835)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】