説明

ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びゲーム装置の制御プログラム

【課題】タッチ位置を検出するカードゲーム装置を提供する。
【解決手段】複数の遊戯媒体が配置可能に構成されたゲーム装置(カードゲーム装置)である。そして、各遊戯媒体は、接地面にゲームのキャラクタに固有の特性を表すデータを含むコードパターンが赤外線で識別可能に印刷されている。このカードゲーム装置は、画像を表示させる表示部を備えている。また、カードゲーム装置は、不可視光を透過するテーブル状の平面を備え、平面における遊戯媒体位置とコードパターンを検出するための第1の検出部を備えている。これに加えて、カードゲーム装置は、配置されている複数の遊戯媒体の接触状態を検出するための第2の検出部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びゲーム装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、業務用ビデオゲーム機においては、コンシューマー向けのビデオゲーム機では提供不可能な専用インタフェイスを用いた業務用ビデオゲーム装置が普及している。
このような業務用ビデオゲーム装置用には、従来、ジョイスティック、ボタン、トラックボール等のさまざまなゲーム用インタフェイスが存在する。
【0003】
そして、近年、このような業務用ビデオゲーム装置として、カードリーダーのインタフェイスを備えており、業務用ビデオゲーム装置でゲームを行うために用いるためのカードを集める楽しみ、そのカードを用いたビデオゲームのインタラクティブな遊戯を同時に楽しむことができる業務用ビデオゲーム機器が人気を博している(以下、カードゲーム装置とする。)。
【0004】
このような従来のカードゲーム装置としては、特許文献1を参照すると、プレイフィールドに複数のカードを載置して、これをユーザーの手で移動することでゲームを行うことができるカードゲーム装置が記載されている(以下、従来技術1とする。)。
【0005】
従来技術1においては、カードゲーム装置に用いられるカード固有のデータとして、当該データに応じたゲームが進行される内容が含まれている。これをカメラによるコード撮影から画像認識を行い、載置された複数のカードの位置情報を取得することができる。
【0006】
このため、カードの向き(角度)に拘らずパターンを読み取ることができる。そして、プレイヤがプレイフィールド上に並べた複数のカードデータの組合せに応じたゲーム画像を表示させてチームプレーを行う競技を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3736440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術1のカードゲーム装置は、複数のカードを入力デバイスとして同時に扱い、カードの位置、姿勢、固有IDを赤外線により検出し、他の押下したボタンと組み合わせてゲームを行っていた。
【0009】
つまり、従来技術1のカードゲーム装置は、上述の通り、ユーザーから得られる情報はカードの位置、姿勢、固有IDと押下されたボタンの情報だけであり、プレイヤがゲーム実行時の任意の瞬間(リアルタイム)で、どのカードに触れているかの情報をカード越しに検出することができないという問題点があった。
【0010】
すなわち、カードゲームにおいて、プレイヤがゲーム実行時の任意の瞬間(リアルタイム)でどのカードに触れているかの情報をカード越しに検出することができるカードゲーム装置が求められていた。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のゲーム装置は、複数の遊戯媒体が配置可能に構成されたゲーム装置であって、それぞれの前記遊戯媒体は、接地面にゲームキャラクタに固有の特性を表すデータを含むコードパターンが不可視光下で識別可能に印刷されており、前記ゲーム装置は、画像を表示させる表示部と、不可視光を透過する平面と、前記平面におけるそれぞれの遊戯媒体の位置及び前記平面に配置された前記遊戯媒体のコードパターンを検出するための第1の検出部と、前記平面に対する接触状態を検出するための第2の検出部と、前記第1の検出部により検出された前記遊戯媒体の位置とコードパターン、又は、第1の検出部により検出された前記遊戯媒体の位置とコードパターン及び前記第2の検出部により検出された接触状態に基づいて、前記表示部に表示させる画像情報を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
本発明のゲーム装置は、前記制御部は、それぞれの前記遊戯媒体の押下位置又は時間を計算し、該押下位置又は時間により前記ゲームキャラクタの行動指示を変更することを特徴とする。
本発明のゲーム装置は、前記第2の検出部は、複数の導電性部材から構成されてなり、該導電性部材の各々の面積は、前記平面に接地する、前記遊戯媒体の接地面の外形寸法をA×Bとしたときの全体面積に対し、所定値を二乗した値に基づく所定割合を有するとともに、前記導電性部材の面積の外形寸法が前記Aと前記Aに対し前記所定値を乗じた値aとの差C、及び、前記Bと前記Bに対し前記所定値を乗じた値bとの差Dからなることを特徴とする。
本発明のゲーム装置は、前記導電性部材の各々の面積は、前記接地面の全体面積を1/6又は1/9に割った面積で形成されてなることを特徴とする。
本発明のゲーム装置は、前記導電性部材の面積は、前記接地面の全体面積の70%以上が位置するように形成されてなることを特徴とする。
本発明のゲーム装置は、前記第2の検出部は、静電容量方式タッチセンサにより静電容量値を検出し、前記導電性部材は、電極を用いることを特徴とする。
本発明のゲーム装置は、更に、複数の前記電極の静電容量値を検出するセンサーマイコンアレイを備え、前記センサーマイコンアレイにより、リアルタイムに複数の前記電極の静電容量値を検出することを特徴とする。
本発明のゲーム装置は、前記遊戯媒体は、静電容量値の異なる遊戯媒体からなり、前記静電容量値の異なる遊戯媒体が含まれるとき、前記第1の検出部の画像より、前記静電容量値の異なる遊戯媒体と前記平面と前記電極とが重なる面積を計算する面積計算手段を更に備え、前記面積計算手段は、前記静電容量値の異なる遊戯媒体の静電容量値を補正することを特徴とする。
本発明のゲーム装置は、複数の遊戯媒体が配置可能に構成されたゲーム装置であって、それぞれの前記遊戯媒体は、接地面にゲームキャラクタに固有の特性を表すデータを含むコードパターンが不可視光下で識別可能に印刷されており、前記ゲーム装置は、ゲーム実行部と、不可視光を透過する構成からなる平面部と、前記ゲーム装置の内部から前記不可視光を放射する放射部と、前記不可視光が前記平面部を透過し、前記遊戯媒体の接地面で反射して前記平面部の側に戻る不可視光を像として前記ゲーム装置の内部にて捉える撮像部と、前記撮像部が撮像した画像データを処理して、前記平面部における前記遊戯媒体の位置とそれぞれの前記遊戯媒体に印刷されたゲームキャラクタ固有の特性を表すデータを含む情報を検出し前記ゲーム実行部に供給する画像検出部と、前記平面部への接触情報を検出し前記ゲーム実行部に供給する接触検出部とを備え、遊戯者によって行われる前記平面部での遊戯媒体の操作に応じて、前記画像検出部及び前記接触検出部によって検出される情報を遊戯者の操作情報として前記ゲーム実行部に供給し、前記ゲーム実行部は当該操作情報に応答してゲームを実行するように構成されており、ゲーム進行中において遊戯者が前記遊戯媒体を前記平面部において移動させる操作を行ったとき当該遊戯媒体の移動を前記画像検出部で検出し、また、前記平面部への接触を前記接触検出部で検出し、前記画像検出部及び前記接触検出部による操作情報に応じて前記ゲームの進行を制御することを特徴とする。
本発明のゲーム装置は、複数の遊戯媒体が配置可能に構成されたゲーム装置であって、前記遊戯媒体の各々は、接地面にゲームキャラクタに固有の特性を表すデータを含むコードパターンが不可視光下で識別可能に印刷されており、前記ゲーム装置は、ゲーム実行部と、複数の遊戯媒体の配置が可能な広がりを有し、遊戯者の操作によって配置された遊戯媒体を任意の位置へ移動可能な面によって構成される遊戯媒体操作領域(プレイフィールド)を備え、不可視光を透過する構成の平面部と、前記配置された遊戯媒体の前記平面部に面する側を前記ゲーム装置の内部から不可視光で照射するように配置された光源部と、前記ゲーム装置内に配置され、前記配置された遊戯媒体の前記平面部に面する側を前記不可視光下で撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像データを処理して、前記遊戯媒体操作領域における前記遊戯媒体の位置とそれぞれの前記遊戯媒体に印刷されたゲームキャラクタ固有の特性を表すデータを含む情報を検出し、前記ゲーム実行部に供給する画像検出部と、前記遊戯媒体操作領域の下部に透明部材からなり、前記遊戯媒体が配置された前記平面部に対する上方からの接触情報を検出し前記ゲーム実行部に供給するための接触検出部とを備え、遊戯者によって行われる前記平面部での遊戯媒体の操作に応じて、前記画像検出部によって検出される情報が遊戯者の操作情報として前記ゲーム実行部に供給し、前記ゲーム実行部は当該操作情報に応答してゲームを実行するように構成されており、ゲーム進行中において遊戯者が前記遊戯媒体を前記平面部において移動させる操作を行ったとき当該遊戯媒体の移動を前記画像検出部で検出しつつ、前記平面部への接触を前記接触検出部で検出し、前記接触検出部で検出した情報に応じて前記ゲームの進行を制御することを特徴とする。
本発明のゲーム装置の制御方法は、複数の遊戯媒体が配置可能に構成されたゲーム装置の制御方法であって、それぞれの前記遊戯媒体は、接地面にゲームキャラクタに固有の特性を表すデータを含むコードパターンが不可視光下で識別可能に印刷されており、前記ゲーム装置が不可視光を透過する平面と、前記平面におけるそれぞれの遊戯媒体の位置及び前記平面に配置された前記遊戯媒体のコードパターンを検出するための第1の検出部と、配置されている複数の前記遊戯媒体のいずれかを介した前記平面に対する接触状態を検出するための第2の検出部とを備えるとともに、前記ゲーム装置の制御部に平面部に配置された前記遊戯媒体の接地面で反射した前記不可視光から画像データを作成し、前記画像データを処理して、前記平面部における前記遊戯媒体の位置と前記それぞれの遊戯媒体に印刷されたゲームキャラクタ固有の特性を表すデータを含む操作情報を検出し、更に前記遊戯媒体が配置された前記平面部に対する接触情報を検出し、ゲーム進行中において遊戯者が前記遊戯媒体を前記平面部において移動させる操作を行ったとき、前記操作情報と前記接触情報に応じて前記ゲームの進行を制御するように構成されてなることを特徴とする。
本発明のゲーム装置の制御プログラムは、複数の遊戯媒体が配置可能に構成されたゲーム装置の制御プログラムであって、それぞれの前記遊戯媒体は、接地面にゲームキャラクタに固有の特性を表すデータを含むコードパターンが不可視光下で識別可能に印刷されており、前記ゲーム装置が不可視光を透過する平面と、前記平面におけるそれぞれの遊戯媒体の位置及び前記平面に配置された前記遊戯媒体のコードパターンを検出するための第1の検出部と、前記遊戯媒体が配置されている前記平面に対する接触状態を検出するための第2の検出部とを備えるとともに、前記ゲーム装置の制御部に平面部に配置された前記遊戯媒体の接地面で反射した前記不可視光から画像データを作成する手順と、前記画像データを処理して、前記平面部における前記遊戯媒体の位置と前記それぞれの遊戯媒体に印刷されたゲームキャラクタ固有の特性を表すデータを含む操作情報を検出する手順と、前記遊戯媒体が配置された前記平面部に対する接触情報を検出する手順と、ゲーム進行中において遊戯者が前記遊戯媒体を前記平面部において移動させる操作を行ったとき、前記操作情報と前記接触情報に応じて前記ゲームの進行を制御する手順とを実行させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プレイフィールド上に小型のタッチエリアを敷き詰めることにより、フィールド全体でのカードへの接触状態を検出するゲーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るゲームシステムXのプレイ中の外観を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るゲームシステムXをプレイヤPがプレイする際の概念図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1の制御構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るタッチパネル読み取り部300の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1のタッチ電極とコード撮影の概念図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1の側断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1の略平面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1のプレイフィールド60の構成を示す概念図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1のプレイフィールド60の断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1のプレイフィールド60の保護層610及び保護層611の断面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るカード80−1の背面のコード810−1の概念図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1のプレイ処理のフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1のゲーム処理のフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態に係る通常の紙媒体を用いたカード80−1〜80−nの検知の処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態に係る電極の大きさと電極の座標取得との関係を示す概念図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る検出対象のカードの大きさと電極の算出方法を示す概念図である。
【図17A】本発明の実施の形態に係るタッチ電極が大きすぎる「最悪条件」の概念図である。
【図17B】本発明の実施の形態に係るタッチ電極が「不感帯」の範囲内に収まる場合の計算を示す概念図である。
【図18】本発明の実施の形態に係るタッチ電極をカードの面積を等分して求める際の概念図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る金属箔等の含まれるキラカードを含んだカード80−1〜80−nを検知の処理を示すフローチャートである。
【図20】本発明の実施の形態に係るキラカード面積計算処理の概念図である。
【図21】本発明の実施の形態に係る味方部隊処理を示すフローチャートである。
【図22】本発明の実施の形態に係る部隊に関するデータを示す概念図である。
【図23】本発明の実施の形態に係るキャラクタに関するデータを示す概念図である。
【図24】本発明の実施の形態に係るディスプレイ270に表示されたカードゲームのプレイ画面の概念図である。
【図25】本発明の実施の形態に係るプロジェクタを用いた構成によるゲーム装置10−1の側断面図である。
【図26】本発明の実施の形態に係るプロジェクタを用いた構成によるゲーム装置10−1のプレイフィールドの平面図である。
【図27】本発明の実施の形態に係るプロジェクタを用いた構成によるプレイフィールド60の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態>
〔ゲームシステムXの外観〕
以下で、図1を参照して、本発明の実施の形態に係るゲームシステムXの外観について説明する。
図1のように、ゲームシステムXは、ゲームセンターやショッピング店舗やスポーツ施設等の遊戯施設に備えられている業務用のビデオゲーム機(ビデオゲームシステム)である。ゲームシステムXは、複数のゲーム装置10−1〜10−nと、サーバ5と、大型表示装置55とを含んで構成される。それぞれのゲーム装置10−1〜10−nは、有線や無線のネットワークにて接続され、複数のプレイヤ同士で対戦プレイを行うことができる。また、いわゆる「ロビー」サーバとなるサーバ5を介して、他の遊戯施設に備えられている他のゲーム装置10−1〜10−nとの間で対戦プレイをすることもできる。
サーバ5は、ゲーム装置10−1〜10−nの得点、売り上げ、払い出しするカードの残量等を集計する。また、サーバ5は、ゲーム装置10−1〜10−nのゲームの画面やランキングや稼働状況等を大型表示装置55に表示する。また、サーバ5は、図示しない上位のマスターサーバに接続して、得点のランキングや売り上等を報告することもできる。また、サーバ5は、マスターサーバから、ゲーム装置10−1〜10−n用のプログラムやブートROM130に記憶するファームウェアのアップデータ等をダウンロードして、それぞれの装置のアップデートを行うこともできる。
以下で、このゲームシステムXのゲーム装置10−1〜10−nのうち、ゲーム装置10−1を代表例として説明する。
【0016】
〔ゲーム装置10−1の外観〕
図2を参照すると、ゲーム装置10−1(ゲーム装置)は、従来のカードゲーム装置と同様に、ICカードリーダ/ライタ部220、カード払い出し部230、スイッチ240、コイン投入部250、ディスプレイ270等を備えている。
ゲーム装置10−1のユーザーであるプレイヤPがゲーム装置10−1を用いてゲームを始める場合には、まずカードゲームのプレイ(遊戯)用に使用するカード80−1〜80−n(遊戯媒体)とICカード85とがセットになった「スターターパック」のようなカードのセットを、図示しない販売機を用いて購入する。
このうちICカード85は、ゲームに係るデータを記憶するためのものであり、カード80−1〜80−nが実際にゲームでプレイヤPが部隊やゲームキャラクタ等を操作するためのものである。
なお、カード80−1〜80−nのような遊戯媒体には、カード状の遊戯媒体の他に、フィギュア等の3次元形状の物体についても用いることができる。この場合は、フィギュア等の3次元形状の物体の接地面に、例えば2次元コードのような、光学式のコードが印刷されたようなオブジェクトを用いることも可能である。
【0017】
具体的にゲームを行う場合、プレイヤPは、ICカード85をICカードリーダ/ライタ部220にセットし、コイン投入部250にコインをすることにより、又は、プリペイドカード等により決済を行う。
その上で、プレイヤPは、カード80−1〜80−nをプレイフィールド60上に配置して動かしたり、スイッチ240等を押下したりしてゲームをプレイする。
ゲームの経過は、ディスプレイ270と、サーバ5を介して大型表示装置55に表示される。
ゲームが終了すると、ゲームの成績を含むゲームに係るデータがICカード85に書き込まれる。また、カード払い出し部230は、次回からカード80−1〜80−nとして用いることができるカードを、例えば、ランダムに選択して出力する。
【0018】
〔ゲーム装置10−1の制御構成〕
次に、図3を参照して、ゲーム装置10−1の制御構成について説明する。ゲーム装置10−1は、CPU100(制御部、ゲーム実行部、面積計算部)と、記憶部110と、ブートROM130と、ペリフェラルI/F140(周辺機器接続インタフェイス手段)と、バスアービタ150と、グラフィックプロセッサ160(描画手段)と、グラフィックメモリ170と、オーディオプロセッサ180と、オーディオメモリ190と、通信I/F200と、ICカードリーダ/ライタ部220と、カード払い出し部230と、スイッチ240と、コイン投入部250と、赤外線カメラ260(第1の検出部、画像検出部、撮像部)と、ディスプレイ270(表示部)と、プロジェクタ275と、スピーカ280と、タッチパネル読み取り部300(第2の検出部、接触検出部)とを含んで構成される。
【0019】
CPU100は、CISC(Complex Instruction Set Computer、複合命令セットコンピュータ)方式やRISC(Reduced Instruction Set Computer、縮小命令セットコンピュータ)方式のCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Siganl Processor)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサー)等である演算・制御能力を備えた制御手段である。
また、CPU100に、後述する記憶部110やグラフィックプロセッサ160やオーディオプロセッサ180等の機能を備えることも可能である。さらに、CPU100は、プログラム111を用いて、カード80−1〜80−n(図2)のタッチされている位置等を取得・補正し、コード810−1〜810−n(図11)の画像認識を行うこともできる。
【0020】
記憶部110は、RAM(Random Access Memory)等の主記憶用に使われる高速な記憶手段と、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、SRAM(Static Random Access Memory)、磁気テープ装置、光ディスク装置等の補助記憶手段を含んで構成される。
記憶部110には、プログラム111と、データ112とが備えられている。また、記憶部110には、ゲーム装置10−1をコンピュータとして機能させるためのOS(Operating System、図示せず)が備えられており、プログラム111等は、OSの各種API(Application Programming Interface)により、ゲーム装置10−1の各機能にアクセス可能である。
プログラム111は、ゲーム装置10−1を、CPU100が実行するためカードゲームのプログラムである。なお、プログラム111自体を、サーバ5からダウンロードしてアップデートしたり、ゲーム開始時にダウンロードするような構成にすることも可能である。
データ112は、このカードゲームのプログラム111用の各種データであり、後述するシナリオのデータ、各カードのデータ、キャラクタの表示用ポリゴンデータ、音楽データ等の、カードゲームに必要なデータを備えている。また難易度の設定等の情報も記憶することができる。
【0021】
ブートROM130は、ROM(Read Only Memory)やNOR型フラッシュメモリやSRAM等の不揮発性記憶媒体である。ブートROM130は、ゲーム装置10−1が起動する際に、CPU100のマイクロコードの設定を行ったり、各部の初期化を行ったり、記憶部110からOS等を起動し、プログラム111が実行されるような指示を行ったりする。また、通信I/F200のIPアドレス等を設定したり、各部の動作テストをしたり、コインやカードの枚数等をカウントするためのプログラムやデータを備えている。
【0022】
ペリフェラルI/F140は、各種周辺機器(ペリフェラル)に接続するための、USB、IEEE1394、シリアル、パラレル、赤外線、無線等のインタフェイスを提供する部位である。
ペリフェラルI/F140は、接続する各種周辺機器としては、ゲーム装置10−1においては、照明部210(光源部、放射部)と、ICカードリーダ/ライタ部220と、カード払い出し部230と、スイッチ240と、コイン投入部250と、赤外線カメラ260とを用いることができる。
他にも、スティック型コントローラー、加速度検出器、振動装置等のフォースフィードバック装置、足踏み/手押し式のスイッチ、ディスプレイモニタの画面上の位置を検出する位置検出器、タッチパッド、タッチパネル、キーボード、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス等を、ペリフェラルI/F140に接続して用いることができる。
また、ペリフェラルI/F140は、電子スイッチ等を制御することもでき、各種周辺機器の電源をオン/オフにして消費電力を抑えたりすることもできる。
【0023】
バスアービタ150は、いわゆる「チップセット」等の、各部を接続するためのバスインタフェイスを提供する集積回路である。このバスアービタ150で接続される各部のバスのスピードは異なっていてもよく、上り/下りで非対称であってもよい。また、例えば、CPU100と、記憶部110と、バスアービタ150の間はFSBやHTといった高速なバスで接続され、グラフィックプロセッサ160とバスアービタ150の間も広帯域なバスで接続されるのが好適である。さらに、CPU100にDDR2/3 SDRAMやXDR DRAM等のバスインタフェイスが内蔵されて、記憶部110を直接読み書きするように構成されていてもよい。
【0024】
グラフィックプロセッサ160は、3次元CGを描画する機能をもつグラフィックプロセッサである。グラフィックプロセッサ160は、ポリゴンのジオメトリ(座標)の計算を行うジオメトリ部162と、ジオメトリ計算が行われたポリゴンをラスタライズ/レンダリング(描画)するレンダリング部164とを含んで構成される。また、グラフィックプロセッサ160は、描画された画像をディスプレイ270やプロジェクタ275に出力するため、RAMDAC(RAM D/Aコンバーター)やHDMIインタフェイス等を備えている。
また、グラフィックプロセッサ160は、赤外線カメラ260で撮像された赤外線の画像データから、予め撮影しておいたプレイフィールド用シート620(図8)の画像データを減算する等の処理を高速に行い、ノイズ除去して画像認識を行いやすい画像データにすることができる。また、グラフィックプロセッサ160は、コード810−1〜810−n(図11)の画像認識そのものを行うこともできる。
【0025】
ジオメトリ部162は、ポリゴンの3次元空間での座標(ワールド座標)について、行列の回転や拡大等を行って、アフィン変換等を行い、ポリゴンの2次元空間での座標を求める部位である。また、ジオメトリ部162は、ポリゴンの分割やスプライン補完等のテッセレーションを行う、「ジオメトリシェーダ」(又はバーテックスシェーダ)を備えることもできる。
レンダリング部164は、座標計算されたポリゴンについて、テクスチャと呼ばれる画像データを貼り付け、各種効果を加えてグラフィックメモリ170に描画する部位である。この各種効果としては、プログラマブル・シェーダ等を用いて、光点・影(シェーディング)計算、明暗の表現、半透明、ぶれ、霧、ぼかし、HDR(ハイダイナミックレンジ合成)等の計算を行うことができる。また、レンダリング部164が描画するポリゴンの種類としては、点ポリゴン(ポイント)、線ポリゴン(ラインリスト)、三角形や四角形といった面ポリゴン、面ポリゴンの集合体等がある。加えて、レンダリング部164がレイ・トレーシング等を用いて描画を行う際には、円、楕円、球、メタボール等の領域で定義される物体を描画することも可能である。
なお、ジオメトリ部162を、CPU100にて処理するように構成することも可能である。この場合は記憶部110に記憶するプログラムをCPU100が実行して作成したポリゴンの座標を、グラフィックメモリ170に転送等を行う。レンダリング部164は、このポリゴンの座標に従って、ポリゴンを描画する。
【0026】
グラフィックメモリ170は、グラフィックプロセッサ160が描画するために高速に読み書きができる記憶媒体である。たとえば、このグラフィックメモリとして、GDDR(Graphics Double Data Rate(グラフィックス・ダブル・データレート))等の広帯域なメモリを高レベルのメモリインターリーブ等を用いて接続することができる。また、システムLSIのようにグラフィックメモリをグラフィックプロセッサ160に内蔵する構成も可能である。また、グラフィックプロセッサ160が描画している間に、ディスプレイモニタに表示するためのデュアルポート構成をとることも可能である。
【0027】
オーディオプロセッサ180は、音楽や音声や効果音を出力するためのPCM(Wave)音源等を備えたDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)等である。オーディオプロセッサ180は、物理演算音源、FM音源等の計算を行い、残響や反射等の各種音声効果を計算することもできる。オーディオプロセッサ180の出力は、D/A(デジタル・アナログ)変換され、デジタルアンプ等に接続されて、スピーカ280で音楽や音声や効果音として再生される。また、オーディオプロセッサ180は、マイクから入力した音声の音声認識等にも対応することができる。
オーディオメモリ190は、音楽や音声や効果音のためのデジタル変換されたデータを記憶している記憶媒体である。オーディオプロセッサ180とオーディオメモリ190とを一体的に構成することも当然可能である。
【0028】
通信I/F200は、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)、WAN(ワイド・エリア・ネットワーク)等のネットワークに接続するための(例えば、WiMax(登録商標)、c.Link(登録商標)、HDMI(登録商標)、有線/無線LAN、電話線、携帯電話網、PHS網、電灯線ネットワーク、IEEE1394等)インタフェイスである。
通信I/F200を介して、ゲーム装置10−1は、他のゲーム装置10−2〜10−nやサーバ5と通信することができる。これにより、例えば、通信可能に接続されている他のゲーム装置10−2〜10−nのプレイヤとの対戦ゲーム(対戦などの競争を行うゲーム。以下、同じ。)又は共同ゲーム(協力して課題を解決するゲーム。以下、同じ。)をすることができる。また、複数のゲーム装置10−1〜10−nが通信可能に接続されることで、サーバ5を介して、ゲームスコア(点数、得点等、以下スコアという。)の集計や、他の遊戯施設に配置されたゲーム装置との間で対戦ゲームを行ったり、ランキングを集計したりすることが可能である。
【0029】
照明部210は、ゲーム装置10−1の筐体70(図6、図26を参照)の内部に備えられた赤外線ランプや赤外線LEDアレイや紫外線LEDアレイ等の肉眼では不可視の電磁波(以下、赤外線の例を用いて説明する)を放射する部位とそのリレーや電子スイッチ等を備える部位である。また、照明部210は、放射する赤外線から可視光成分を除くために、図6の第1フィルタ711のような波長選択フィルタを備えていてもよい。
この赤外線は、図6のプレイフィールド60に置かれたカード80−1〜80−nに背面(下面)から照射され、赤外線カメラ260にて底面(カードの裏面)に印刷されたコードを読み取るために使用する。
また、照明部210は、筐体70の外部のLED(図示せず)やライト等を点灯するための照明とそのスイッチについても備えている。
【0030】
ICカードリーダ/ライタ部220は、ICカード85(図2)に情報を読み書きするための公知のICカードリーダやICカードライタである。このICカード85は、個人の成績や各カード80−1〜80−nに対応づけられているゲーム上のキャラクタの名称や成長レベル等を記憶するものである。また、ICカード85には、プレイする対戦相手の情報や課金の情報等についても書き込んで記憶することができる。
なお、ICカード85は、不揮発性のフラッシュメモリ等の記憶部やMPU等の制御部を備えており、ICカードリーダ/ライタ部220は、このICカード85に電源を供給することで起動させ、フラッシュメモリに書き込む。
【0031】
カード払い出し部230は、次回からカード80−1〜80−nとして用いることができるカードを払い出す(出力する)部位である。なお、このカードは、例えば一方の面(例えば表面)に部隊やゲームキャラクタ等、ゲームに関連する情報が描かれており、他方の面(例えば裏面)に赤外線等の肉眼では不可視の電磁波を反射するインクを用いたコード(図11のコード810−1〜810−n等)が印刷されている。
【0032】
また、カード払い出し部230が出力するカードは、ゲーム装置10−1の管理者がコイン投入部250と同様に鍵付きの筐体内にランダムに並べて補充しておくことができる。その上で、ゲーム終了時に、CPU100の指示により、カードをカード払い出し部230から払い出す。
なお、カード払い出し部230は、赤外線等の肉眼では不可視の電磁波を反射するインクを用いたプリンタを備え、コード810−1〜810−nを印刷することもできる。また、コード810−1〜810−nに、不正防止のために、カードの出力時に暗号化された発行日、発行場所、ID(Identification)等を印刷して出力することができる。
また、払い出されるカードは、ゲームの成績に応じて枚数を増やすこともできる。また、ゲームの結果(スコア、点数、得点、成績等)に応じて、払い出すカードの種類や枚数を選択することができる。
【0033】
スイッチ240は、カードゲームのプレイ時に各種の選択やメニューの呼び出しや名前の入力等に用いるための、ボタンやパッドやジョイスティック等である。
【0034】
コイン投入部250は、カードゲームをプレイするために、ユーザーが投入するコインやプリペイドカードを検知し、所定のコインや金額を検知した場合、この信号を送信することができる部位(決済情報検出部)である。このコインとしては、実際の貨幣や遊戯施設で用いられるメダル等の経済的価値媒体を使用することができる。
また、コイン投入部250は、コイン等を保存しておくボックス等も備えている。ゲーム装置10−1の管理者は、図示しない鍵を用いて筐体70(図6)を開けることで、このボックスにアクセスすることができる。
【0035】
赤外線カメラ260は、赤外線のような肉眼では不可視の電磁波(例えば、波長が0.7〜2.5μm等の所定波長の光)を検知して画像データを取得することができるCCDカメラやCMOSカメラ等の撮像手段(撮像部)である。また、赤外線のような波長の電磁波(光)のみを画像化するために、図6の第2フィルタ712を備えていてもよい。
赤外線カメラ260は、図6のプレイフィールド60に置かれたカード80−1〜80−nの背面にから反射された赤外線の画像を撮像して画像データを作成する。なお、上述したように、カード80−1〜80−nの背面(裏面)には、不可視の赤外線反射インク等で印刷された二次元コードであるコード810−1〜810−n(コードパターン)が印刷されており、CPU100やグラフィックプロセッサ160は、赤外線カメラ260により撮像された赤外線の画像データから、それぞれのカードの位置や角度とコードに記載された情報を読み取ることができる。
なお、照明部210と赤外線カメラ260との換わりに、「システム液晶」のように、液晶素子自体に光センサを組み込んで、コード810−1〜810−nを読み込むような構成も可能である。
【0036】
ディスプレイ270は、液晶ディスプレイ、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等の表示手段(表示部)である。ディスプレイ270には、カードの配置に関連した具体的なゲーム上の展開やスコア等に加え、設定画面等についても表示することができる。
【0037】
プロジェクタ275は、映像(画像)を投影する光学プロジェクタであり、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)や、LCOS(Liquid crystal on silicon)や、透過型高温ポリシリコンLCDや、レーザー等を用いた投影手段(投影部)である。プロジェクタ275が存在する構成では、プレイフィールド60(図2)に後述するスクリーン635(図27を参照)を備えて、画像を投影するカードゲームに用いることが可能である。
【0038】
スピーカ280は、オーディオプロセッサ180から出力された音声信号(音声情報)を、デジタルアンプ等で増幅して、音声出力する部位である。また、スピーカ280と同時に、音声入力を行うためのマイク(図示せず)を備えていてもよい。
【0039】
タッチパネル読み取り部300は、複数の接触された点を検知する複数検知機能を備える接触検出手段(接触検出部)である。すなわち、タッチパネル読み取り部300は、接触された際の、接触状態を検知できる。タッチパネル読み取り部300は、タッチ電極400−1〜400−nと、センサーマイコン310−1〜310−nとを備えて構成することができる。
【0040】
タッチ電極400−1〜400−nは、ほぼ透明に形成され、照明部210からの赤外線等の不可視の電磁波(所定波長の光)をほぼ透過するように形成されてなる。例えば、タッチ電極400−1〜400−nは、静電容量式タッチパネルのスイッチや抵抗皮膜式のタッチスイッチなどであり、後述する製造方法を用いることで、シートのような透明基板上に導電性の分割された領域(エリア)を形成することが可能である。
【0041】
なお、以下の本実施例において、タッチ電極400−1〜400−nは、静電容量式タッチパネルのスイッチを用いた場合を説明する。
【0042】
センサーマイコン310−1〜310−nは、それぞれのタッチ電極400−1〜400−nから静電容量を取得して接触したことを検知するマイコン(MPU、センサ制御部)等である。
【0043】
図4を参照してより具体的に説明すると、タッチパネル読み取り部300は、例えば、例えば印刷により形成されたタッチ電極400−1〜400−nと、センサーマイコン310−1〜310−nとを備えて構成されている。
ここで、それぞれのタッチ電極400−1〜400−nは、複数のタッチセンサとなる複数の電極を備えている。
そして、それぞれのセンサーマイコン310−1〜310−nは、対応する電極401−1〜401−nと接続されており、CPU100の指示により各電極の静電容量をA/D変換して静電容量の値を求めるスキャンを行う。
スキャンした静電容量の値については、ペリフェラルI/Fを介して、CPU100やグラフィックプロセッサ160等の制御手段(制御部)が読み出すことができる。
この読み出した際に、電極401−1〜401−nのどの電極の静電容量の値が変化したかを検出することで、プレイフィールド60(図6)や筐体70(図6)で接触した座標等の情報を複数同時に検出することができる。
なお、センサーマイコン310−1〜310−nは、センサーマイコンアレイ301としてチップ・オン・チップによりまとめられていてもよい。
【0044】
(ゲーム装置10−1のタッチ電極とコード撮影の関係)
ここで、図5の概念図を参照して、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1による、カード80−1のタッチ検出とコード読み取りとの関係を、より詳しく説明する。
ゲーム装置10−1に置かれたカード80−1の下には、上述したようなタッチスイッチの電極であるタッチ電極400−1の1つが備えられており、この電極はセンサーマイコン310−1に接続されている。この状態で、カードの背後から照射された赤外線画像を、赤外線カメラ260により撮像可能である。
つまり、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、タッチスイッチの裏から印刷物を読むことができる。すなわち:
.カードタッチセンサとコードリーダーとを組み合わせることができる。
.タッチスイッチの透明性を利用して、裏側からカメラ等の読み取り機を用いてカード80−1のコードを読み取ることができる。なお、カード80−1のような遊戯媒体の印刷対象はカードでも立体物でも可能である。
よって、タッチ検出と、コード読み取りを両立させることが可能にすることができるという効果が得られる。
この際に、単にタッチセンサと赤外線カメラの読み込みを組み合わせるだけではなく、後述するようにカメラの画像を用いてタッチセンサの情報を補完することで、より精度高くタッチセンサの押下位置を補足することができる。
さらに、遊戯媒体などのコードが印刷される検出対象(例えばカード)の種類によっては、静電容量に影響を与えるものがある。そこで、この影響につき、検出対象の種類を赤外線画像から認識したコードにより検知した上で、静電容量の値を補正するような対応が可能である。
【0045】
〔ゲーム装置10−1の装置の構成〕
次に、図6〜図10を参照して、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1の装置内部の構成について具体的に説明する。
図6の断面図を参照すると、筐体70の上部に、プレイフィールド60(平面、平面部)が構成されている。
【0046】
プレイフィールド60は、例えば、保護層610と、プレイフィールド用シート620と、タッチパネルシート630と、ガラス板640とから構成されており、それぞれが赤外線に対してほぼ透明である。ようするに、それぞれが、赤外線をほぼ透過可能な部材で構成されてなる。そして、保護層610の上に、カード80−1〜80−nが配置されている。
ここで、筐体70の内部の照明部210から赤外線を放射すると、ほぼ赤外線のみを透過させる第1フィルタ711を通して、カード80−1〜80−nのコード(例えば、図11のコード810−1〜810−n等)が描かれている面に赤外線が当たる。そして、カード80−1〜80−nから反射した赤外線は、第1反射板721、第2反射板722を通して絞り込まれる。そして、絞り込まれた赤外線は、ほぼ赤外線のみを通過させる第2フィルタ712を通して、赤外線カメラ260で画像化することができる。
【0047】
ここで、ゲーム装置10−1においては、例えば、タッチパネルシート630に印刷されたタッチ電極400−1〜400−n(図8,図9参照)により、カード80−1〜80−nの接触を感知することができる。
【0048】
図7を参照すると、ゲーム装置10−1のプレイフィールド60の近辺について、ユーザーが見下ろす方向(上面)から描画した平面の模式図である。このように、プレイフィールド60には、カード80−1〜80−nが配置されている。
照明部210と、第1フィルタ711と、第1反射板721と、第2反射板722と、第2フィルタ712と、赤外線カメラ260との関係は、点線で示したように一列になるように配置されている。このように構成することで、プレイフィールド60を広く使用することが可能になる。
なお、ディスプレイ270は、第2反射板722の上方、筐体70の上に設置することが可能である。
【0049】
(プレイフィールド60の構成)
図8の概念図を参照すると、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1のプレイフィールド60の模式図を示す。
上述したように、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、カード80−1〜80−nをプレイフィールド60上に配置する。そして、第1フィルタ711を通して、照明部210の光源の主に赤外線光をプレイフィールド60の背面に照射する。この際に、赤外線光をほぼ透過する、タッチパネルシート630やプレイフィールド用シート620を通して、カード80−1〜80−nの背面に赤外線光が照射される。そして、カード80−1〜80−nの背面から反射された赤外線光を読み取ってコードを認識することができる。
これに加えて、ゲーム装置10−1においては、プレイフィールド60上で、ユーザーの指が接触した座標を認識することができる。
【0050】
ここで、図9の断面図を参照して、プレイフィールド60の構造を、更に詳しく説明する。
まず、赤外線光が照射されている下方(後方)から、赤外線等の不可視光に対して透明なガラス等のガラス板640が備えられている。
ガラス板640の上方には、タッチパネルシート630が備えられている。タッチパネルシート630内には、(i)極微細な導電性粒子を含む導電性ペーストを透明基板の上にスクリーン印刷する方法(特開2007−142334等参照)やグラビア印刷などの印刷方法や、(ii)銅などの金属箔を透明基板の上に積層し、金属箔の上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法(特開2008−32884等参照)や、フォトリソグラフィ等の製造方法により、タッチ電極400−1〜400−nがそれぞれ形成され、それぞれの電極に対応する導電性のパターンが、図示しないセンサーマイコン310−1〜310−nに接続されている。
タッチパネルシート630の上方には、従来技術と同様の、フィールドの模式図等が印刷されているものの、赤外線光は透過するプレイフィールド用シート620が備えられている。
タッチパネルシート630の上方には、さらに透明な保護層610が備えられている。
保護層610の上方には、カードゲームのプレイ中にユーザーによりカード80−1〜80−nが配置される。ここでは、カード80−1が配置されている例を示す。図のように、カード80−1の背面には、赤外線等を反射し、光学的に読み取り可能なコード810−1が印刷等されている。
なお、タッチパネルシート630は、プレイフィールド用シート620より上層に位置してもよい。また、プレイフィールド用シート620又はタッチパネルシート630を、保護層610と一体的に形成するようにしてもよい。さらに、後述するようにプロジェクタ等を用いる場合には、映像(画像)を投影するための別の層を備えていてもよい。
【0051】
次に、図10の断面図を参照して説明すると、保護層610は、図10(a)のように、円錐状の突起を備えたり、図10(b)のように、半球状の突起を備えることができる。このような突起により、摩擦が少なくなり、カード80−1〜80−1〜80−nをスムーズに移動してプレイすることが可能になる。また、保護層610の摩耗を抑えることができる。さらに、突起により赤外線光が拡散するため、保護層610の傷によるコード810−1〜810−nの誤認識を少なくすることができる。
図10(a)を参照すると、円錐の端部611は、完全な突起状ではなく平らに形成することで、カードへの圧力を分散とスムーズな移動を両立することができる。また、円錐の胴部612や端部611の直径は、コード810−1〜810−nの認識の際にモアレ模様を生じにくいような直径に形成することができる。
図10(b)の半球部613は、半球状に形成することで、よりユーザーの手への刺激を低くすることができる。また、拭き取りの際に汚れを落としやすいという効果も得られる。この半球の径についても、モアレ模様を生じにくいような径に形成することができる。
【0052】
(コード810−1の構成)
次に、図11を参照して、カード80−1の背面のコード810−1の模式図について説明する。
コード810−1は、中心軸820から、いくつかの円周状の帯が延びているような構造になっており、赤外線の反射により明度の高いところ(白)と明度の低いところ(黒)を区別することができる。この白黒のパターンにより、各種情報を記載することができる。また、円周状に配置することで、カードのプレイフィールド60上の位置(座標)や向き(角度)やカードとそれ以外の箇所との境界について、正確に認識して把握することが可能である。これにより、単にタッチパネルとコードの読み込みが同時にできるだけでなく、タッチパネルのタッチ電極400−1〜400−nの数を減らしても正確に押下(接触)された位置を把握することができる。これにより、タッチ電極400−1〜400−nの作成と、認識するための演算装置のコストを抑えることが可能になる。
【0053】
また、この白黒のパターンとしては、例えばグレイコードを用いて情報を記載することで、誤認識の際の影響を抑えることもできる。
【0054】
また、白黒のパターンに限らず、例えば、所定のパターンに基づいた座標情報やコードを意味するドットパターンを用いて情報を記載することで、遊戯媒体への情報量を増やすことも可能である。なお、赤外線等の不可視光の反射周波数の違いにより、パターンに複数の値を持たせることも可能である。
【0055】
このコード810−1に記載された情報としては、上述したように、カードの種類等を示す情報が記載されている。このカードの種類としては、後述する特殊な「キラカード」に関する情報も含んでいる。さらに、カードのどの位置への接触かを把握して、後述するようなプレイ上の「特殊攻撃」等ができるかにの情報についても記載している。
さらにコード810−1に記載された情報には、同一種類のカードをシリアルナンバー等で区別するためのIDも含まれている。
【0056】
〔ゲーム装置10−1のプレイ処理〕
ここで、図12のフローチャートを参照して、図2のゲーム装置10−1のユーザーであるプレイヤPがゲーム装置10−1を用いて、具体的にゲーム装置10−1にてカードゲームをプレイする際の流れについて説明する。
このプレイ処理においては、主にCPU100のような制御手段が、記憶部110に記憶されたプログラム111やデータ112のようなハードウェア資源を用いて、具体的な処理を実行する。
【0057】
(ステップS101)
まず、CPU100は、プレイ開始処理を行う。
ここでは、最初にCPU100は、ペリフェラルI/F140を介して、ICカードリーダ/ライタ部220を用い、ICカード85が挿入されているかどうかについて検知する。
そして、CPU100は、ペリフェラルI/F140を介して、コイン投入部250を用いたコイン投入により、又は、プリペイドカードにより決済が行われたことを検知する。
CPU100は、決済が行われたことを検知すると、処理をステップS103に進める。
それ以外の場合は、CPU100は、コインやプリペイドカードの投入について指示する画面をディスプレイ270に表示したり、オーディオプロセッサ180からスピーカ280に音声を出力したりする。
また、CPU100は、ICカード85が挿入されずに決済が行われた場合には、ICカード85の挿入を促し、ICカード85のスターターパックの購入が必要な旨、通知する。
ICカード85が挿入されず、決済も行われていない状態では、CPU100は、デモンストレーション画面をディスプレイ270に表示して、プレイする者の興味を惹くようにすることができる。この際には、CPU100は、音声を出力しないことで、ゲーム装置10−1がプレイされていないことをプレイヤに分からせることもできる。
【0058】
(ステップS102)
次に、CPU100は、ICカード読み込み処理を行う。
CPU100は、ペリフェラルI/F140を介して、ICカードリーダ/ライタ部220を用いて、ICカード85のデータを読み込む。
上述したように、ICカード85は、接触タイプや非接触タイプのICカードであり、フラッシュメモリ(記憶部)やMPU(制御部)等を備えていて、ゲームに係るデータを暗号化して保存することができる。
このゲームに係るデータとしては、後述するように、それぞれのカード80−1〜80−nの各キャラクタのレベル、ゲーム内の軍資金、支配している領地、ランキング等のデータを保存することができる。
また、このゲームに係るデータとしては、プレイヤPのプレイのレベル等も記憶されている。このプレイのレベルとしては、「キャンペーンモード」の進行中のシナリオ番号や支配している領地数、プレイヤPのプレイが複数のゲームのシナリオをクリアしているか等のゲームに関連するゲーム関連情報や、カード80−1〜80−nのうち強力な能力値のデータを何枚所有しているか、カードゲームでのプレイの勝率といったプレイヤに関連するプレイヤ関連情報などを記憶することができる。
CPU100は、後述するように、このプレイのレベルにより、選択可能なシナリオを変更することができる。
【0059】
なお、ICカードから、記憶されているデータの読み出しに失敗したり、不正なデータが記憶されていた場合には、CPU100は次のステップS103に処理を進めず、プレイ処理を終了することができる。
この際には、CPU100は、サーバ5に「ICカード故障/不正」のデータを送信する。また、CPU100は、オーディオプロセッサ180からスピーカ280へサイレン等を鳴らすように指示し、遊戯施設の店員(スタッフ)を呼ぶように促すことができる。また、CPU100は、コイン投入部250からコインを払い戻すこともできる。
【0060】
(ステップS103)
ここで、CPU100は、具体的にゲームを実行するゲーム処理を行う。
このゲーム処理においては、CPU100が、記憶部110のプログラム111の具体的にゲーム上の処理を行う部位を実行する。
以下では、三国志風の時代背景の合戦を扱った戦術級リアルタイム・シミュレーションゲーム(リアルタイムストラテジー)を、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1にて実行する例について説明する。
このリアルタイム・シミュレーションゲームの流れとしては、まず、CPU100は、ユーザーのゲームモード等の選択に従って、ゲームのシナリオを読み出す。
この上で、シナリオ上の敵部隊(敵キャラクタ)、中立部隊(中立キャラクタ)に関しては、CPU100がAI(人工知能)を用いて指示を与えたり、対戦相手がネットワーク経由で指示を与える。
シナリオ上の味方部隊(プレイキャラクタ、ゲームキャラクタ)については、プレイヤPが、カード80−1〜80−nを配置し、カード80−1〜80−nを選択(接触)し、スイッチ240にてコマンドを選択する等により指示を与える。
これらの敵部隊、中立部隊、味方部隊への指示は、CPU100が、例えば1/60秒毎の「フレーム」単位にて計算を行い、リアルタイムにゲームの進行に反映する。これにより、CPU100は、部隊の人員を増減したり、マップ上の陣地が味方部隊や敵部隊に属したりという変化を生じさせる。
さらに、CPU100は、この変化を、グラフィックプロセッサ160を用いてディスプレイ270上に描画させる。また、CPU100は、オーディオプロセッサ180を用いて、スピーカ280から効果音やBGM(バックグラウンドミュージック)を出力させる。
部隊の人員や配置や陣地の所属等のシナリオ終了条件が満たされたり、所定の時間が経過したりすると、CPU100は、ゲーム処理を終了する。
【0061】
なお、ゲームシステムXは、いわゆるマルチプラットフォームであり、ゲーム装置10−1は、複数の種類のゲームを選択してプレイすることができる。この際に、ICカード85に、プレイできるゲームの種類を記載しておき、プレイヤPの選択に従って、プログラム111自体をサーバ5からダウンロードして実行するような構成も可能である。
また、プレイヤPがゲームをプレイしている際には、図1のサーバ5を介して、大型表示装置55にプレイ内容を表示して、より迫力あるプレイを楽しむこともできる。
以下で、図13を参照して、さらにゲーム処理について詳しく説明する。
【0062】
(ステップS301)
まず、CPU100は、シナリオ読み込み処理を行う。
まず、このシナリオの選択に先立って、図2のプレイヤPは、プレイフィールド60に描画されているソフトウェアキーボードのボタンやスイッチ240を用いて、ゲームモードを選択する。
このゲームモードとしては、用意されたシナリオを順に勝利してゆく「キャンペーンモード」、攻める「国」を選択することで国毎のシナリオを選択する「全国制覇モード」、プレイヤPと他のゲーム装置10−2〜10−nとの間でシナリオを選択して対戦を行う「マッチングモード」、シナリオを終了した(クリア)シナリオを選択可能な「シナリオ選択モード」、初心者用にゲームのプレイ方法を伝授する「チュートリアル」等のモードを選択可能である。
CPU100は、プレイヤPがゲームモードを選択したことを検知すると、このプレイヤPの指示に従って、各ゲームモードに対応したシナリオを読み込む。
このシナリオは、記憶部110のHDD等に、データ112の一部として記憶されていてもよく、また、サーバ5からダウンロードするように構成してもよい。
【0063】
シナリオのデータの内容としては、マップデータ、部隊配置データ、終了条件データ、特殊武器データ等を用いることができる。
マップデータは、戦場となるマップの3Dデータ(仮想3次元空間情報)であり、グラフィックプロセッサ160を用いてリアルタイムに投影変換や視点変更やシェーディング(影付き)処理などを行って、ディスプレイ270や、ネットワークを介してサーバ5から大型表示装置55に表示される。また、マップデータは高さや地形属性等のデータを含み、部隊の進行速度に係る沼や落とし穴等の地形データや、部隊の進行不可能な急斜面等の指定が可能である。また、マップデータ上には、敵部隊や味方部隊がその座標に移動し、「旗」を奪取することで、支配することができる「陣地」のデータを記憶している。さらに、各陣地には、城や石垣や堀等のオブジェクトを配置することもできる。
部隊配置データは、マップデータ上に敵部隊、味方部隊を配置し、増援のタイミング、シナリオ終了条件等を定めて記憶することができる。
終了条件データは、敵部隊又は味方部隊の全滅の他に、所定の陣地を支配した場合、特定の部隊のリーダーを倒した場合、所定の「必殺技」を発動させた場合等、様々な条件を定めて記憶することができる。
シナリオ読み込み処理を終了すると、CPU100は、具体的なゲームのプレイに係る処理を開始する。
【0064】
(ステップS302)
CPU100は、カード80−1〜80−nの配置と接触の状態を検知する、カード検知処理を行う。
この処理は、上述のように、図2のプレイヤPが味方部隊に与えるため指示を検知するものであり、従来技術と異なり、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、カード80−1〜80−nの配置の状態と接触の状態とを単なる組み合わせではなく用いて、ゲーム性を向上させることができる各種の指示を検知することができる。
まず、以下で、図14〜図20を参照して、それぞれのカード80−1〜80−nについて、具体的にどのように赤外線等でのコード810−1〜810−nを読み取ってコードを検出し、タッチ電極400−1〜400−nの接触より、タッチ位置を特定するのかについて詳しく説明する。
このカード検知処理に関しては、(1)通常の紙媒体を用いたカード80−1〜80−nを検知する処理と、(2)金属箔等の含まれる特殊な「キラカード」(静電容量値の異なる遊戯媒体)を含んだカード80−1〜80−nを検知する処理とに分けて解説する。
この(1)又は(2)のどちらの処理を選択するかについては、カードゲームの種類により、CPU100が記憶部110の不揮発性メモリに記憶して選択することができる。
【0065】
〔(1)通常の紙媒体を用いたカード80−1〜80−nの検知〕
まず、図14〜図18を更に参照して、通常の紙媒体を用いたカード80−1〜80−nの検知について説明する。
上述のように、タッチパネルシート630に印刷等により形成された静電容量電極であるタッチ電極400−1〜400−nは、配線によりセンサーマイコン310−1〜310−nに接続されている(図4、図8参照)。
このため、「マルチタッチ」、すなわち各電極の接触した情報を同時点で複数取得することが可能である。
また、赤外線カメラ260で取得した画像の処理を用いることで、より精度が高くカードの位置と接触位置の検知を行うことが可能である。
以下で、図14のフローチャートを参照して、この接触位置の検知と、コードの検知について、CPU100とタッチ電極400−1とセンサーマイコン310−1との間の処理を代表例として、より具体的に説明する。
【0066】
(ステップS1021)
まず、ゲーム装置10−1のCPU100は、センサーマイコン動作開始処理を行う。
ここでは、図12のゲーム処理の開始時点で、CPU100は、ペリフェラルI/F140から電子スイッチを制御して、センサーマイコン310−1〜310−nに電源を供給する。
これにより、ゲーム処理の間だけセンサーマイコン310−1〜310−nを動作させることができ、ゲーム装置10−1の稼働コストを低減することができるという効果が得られる。
【0067】
(ステップS1022)
次に、CPU100は、センサーマイコン通信接続処理を行う。
この処理では、CPU100は、センサーマイコン310−1〜310−nと、CPU100との間で、ペリフェラルI/F140を介して通信接続可能であるかについてチェックを行う。
このチェックにより、センサーマイコン310−1〜310−nのうちいずれかが応答しない場合には、故障であるとして、CPU100は、通信I/F200を介してサーバ5に送信する。また、サイレン等を鳴らして、ゲーム装置10−1の管理者に通知する。
すべてのセンサーマイコン310−1〜310−nが応答した場合には、CPU100は、処理をステップS1023に進める。
【0068】
(ステップS1023)
次に、CPU100は、センサーマイコン初期化処理を行う。
この例では、センサーマイコン310−1〜310−nに対し、イニシャル信号等を送信する。これにより、それぞれのセンサーマイコン310−1〜310−nは、内蔵されたROM等の最初の位置から初期化処理を開始する。
この初期化処理としては、それぞれのセンサーマイコン310−1〜310−nが、接続しているタッチ電極400−1〜400−nに対して、接続確認やキャリブレーションといった処理を行う。
そして、それぞれのセンサーマイコン310−1〜310−nは、この初期化処理の結果であるログデータを、CPU100に送信する。なお、CPU100は、ログデータに異常が認められた場合は、通信I/F200を介してサーバ5に送信し、サイレン等を鳴らして、ゲーム装置10−1の管理者に通知することもできる。
その後、初期化処理が正常であった場合は、それぞれのセンサーマイコン310−1〜310−nは、CPU100からの検出開始信号を待つために待機する。
以下では、カードゲームが開始された後、センサーマイコン310−1〜310−nのうち、カードの接触の検出については、センサーマイコン310−1を代表例として説明する。
【0069】
(ステップS1024)
ここで、センサーマイコン310−1は、CPU100から検出開始信号を受信したか判定する。
この検出開始信号は、カードゲームが開始された後で、CPU100が送信するものである。この検出開始信号により、上述したようにセンサーマイコン310−1〜310−nは、60回/秒程度のカード80−1〜80−nの接触の検知を行うことができる。
ステップS1024の判断がYesの場合、センサーマイコン310−1は、処理をステップS1030に進める。
逆にステップS1024の判断がNoの場合、センサーマイコン310−1は、処理をステップS1024に戻す。
【0070】
(ステップS1025)
次に、センサーマイコン310−1は、スキャン処理を行う。
具体的には、センサーマイコン310−1がスキャンを行うタッチ電極400−1の各電極から、順次静電容量を計測し、A/D変換等を行って、静電容量値(タッチカウント値)を得る。
この静電容量値により、それぞれの電極がオン/オフされているかについてと、タッチの接触の圧力(接触面積)についての値を得ることができる。
タッチ電極400−1のすべての電極の静電容量値を得ると、センサーマイコン310−1は、通信I/F200を介したDMA転送等により、記憶部110に静電容量値を書き込む。また、CPU100が直接、静電容量値を取得して記憶部110に記憶することもできる。これにより、スキャン処理を終了する。
【0071】
(ステップS1026)
次に、CPU100は、電極座標取得処理を行う。
ここでは、CPU100は、各センサーマイコン310−1〜310−nから取得した、静電容量値から、ユーザーにより接触されている(押されている)電極の座標を取得する。
ここで、各電極の大きさと押下されている(接触している)電極の座標取得との関係について、図15〜図18を参照して、詳しく説明する。
【0072】
〔電極の大きさと電極の座標取得との関係〕
まず、図15の概念図を参照して説明すると、例えば、検出対象であるカード80−1に対して、タッチ電極400−1の各静電容量電極の面積が大きすぎると、隣り合う領域での判定が曖昧になる。このため、検出対象であるカード80−1の面積を基準として、電極の最大面積を決定する。
また、カード80−1〜80−nを用いる場合は、カードを押下する位置(カードに接触する位置)は、それぞれのカードの中央から所定の領域だけ検知することで、誤検出を減らすことができる。
このような、カード80−1〜80−nの全体のうち、具体的な検出を行う領域を有効領域とする。
本発明の発明者が、具体的にゲームに用いるために、鋭意実験と研究を繰り返したところ、想定する検出対象であるカード80−1の面積に対して70%程度の有効領域の面積があれば、その後の赤外線画像の認識と合わせて、高速に精度高くカード80−1の位置を特定できることが分かった。すなわち、タッチ電極400−1の1つの電極の大きさをカード80−1の70%程度の大きさとすることができる。
なお、遊戯媒体としてカード80−1ではなく、フィギュア等を用いる場合においても、例えば2次元コードのような光学式のコードが印刷された接地面の面積に対して70%等の有効領域の面積を用いることができる。
【0073】
ここで、図16を参照して、検出対象のカード80−1から、カード80−1〜80−nのそれぞれを検出するのに必要十分な有効領域を用いて、1つの電極の大きさを決定する電極の面積決定方法についてより詳しく説明する。
まず、カード80−1の外形寸法を長さA×長さB、有効領域の面積をカード80−1の全体に対してのM(%)とすると、

a = K × A
b = K × B
(M = K2 × 100) …… 式(1)

となる。
【0074】
ここで、タッチ電極400−1の1箇所あたりの領域を長さc×長さdと定義する。
この長さcと長さdの求め方について、図17Aと図17Bを参照して説明する。
まず、図17Aを参照すると、隣あって密着したカードをセンサが丁度またぐような位置関係は、接触の位置の検出が難しい「最悪条件」となる。すなわち、タッチ電極400−1の静電容量値から電極の「オン」を判別する場合に、カード80−1とカード80−2のどちらが接触されているのか判別できない。
このため、触れられているカードを特定するためには電極1個あたりの大きさを、有効領域外の領域である「不感帯」の範囲内に収める必要がある。
【0075】
図17Bを参照すると、上述のように、カード面積のM(%)をタッチ有効エリアとした場合のタッチセンサの 横幅cは、

c = A − a = A − K × A …… 式(2)

となる。これを、タッチ電極400−1の電極の1つの横幅とすることができる。
同様に縦幅dは、

d = B − K × B …… 式(3)

として、設定することができる。
この際に、カードの回転姿勢も考慮する場合は、タッチセンサの面積を横幅cと縦幅dのうち、短い方を対角線とした大きさとすることができる。
上述のように、本発明の発明者が鋭意実験と研究を行ったところ、コストパフォーマンスを最大にしてタッチ電極400−1〜400−nの電極を配置する場合には、検出対象の面積における70%程度を有効領域とするのが1つの好適な例である。
すなわち、カード80−1〜80−nの1枚に対して、必要最小限にタッチ電極(スイッチ)を設置することができる。よって、このように、有効領域を70%とした場合は、コストを抑えてカード80−1〜80−nの接触された座標を検出できる。
【0076】
ここで、図18を参照すると、もう1つの例として、検出対象であるカード80−1の面積を等分した面積を基準にして、タッチ電極400−1〜400−nの大きさを求めることも可能である。
本発明の発明者が鋭意実験とテストを繰り返したところ、この等分した面積としては、カード80−1〜80−nの1/6又は1/9という面積を用いることが好適であることを見いだした。
図18のように、1/6の面積の場合は、カード面積を6等分した大きさを、電極400−1の1つの電極の大きさとする。
また、1/9の面積の場合は、カード面積を9等分した大きさを、電極400−1の1つの電極の大きさとする。
このように設定すると、カード80−1〜80−n内のどの位置と接触したのかについて、容易に把握することも可能になる。
【0077】
以上をまとめると、タッチ電極400−1〜400−nの各電極に関しては、カード80−1〜80−nの70%をカバーするように電極を配置することが好適である。
もしくは、カード80−1〜80−nの面積に対して1/6又は1/9となるようにして、各カード80−1〜80−nの接触位置を詳しく検出するようにすることも好適である。
【0078】
(ステップS1027)
ここで、図14を再び参照して、(1)通常の紙媒体を用いたカード80−1〜80−nの検知の処理について説明する。
ステップS1027において、CPU100は、赤外線画像カード位置取得処理を行う。
この処理は、従来技術1と同様に、図6のように赤外線等を赤外線カメラ260を用いてカード80−1〜80−nの背面に印刷された画像を受信する。
この上で、CPU100は、グラフィックプロセッサ160等も用いて、受信した画像を解析し、図11のようなコード810−1〜810−nを認識する。
これにより、カード80−1〜80−nのプレイフィールド60上の座標(位置)、角度(向き)、ID(カードの種類)等についての操作情報の値を得ることができる。
CPU100は、各カード80−1〜80−nの座標、角度、ID等の操作情報の値を、記憶部110に記憶する。
なお、カード80−1〜80−nがプレイフィールド60上に置かれていない場合には、「置かれていない」というフラグを記憶する。また、座標を、例えば(X,Y)=(−1,−1)といった画面外を示す値にしてもよい。
【0079】
(ステップS1028)
次に、CPU100は、カード情報取得処理を行う。
このカード情報としては、
・プレイフィールド60上で、ユーザーが接触した位置(接触情報)
・プレイフィールド60上のカード80−1〜80−nの枚数、ID、座標、角度、タッチ情報
のような情報を取得する。
【0080】
ここで、上述の「タッチ情報」について説明する。
CPU100は、プレイフィールド60上のカード80−1〜80−nがタッチ、すなわち接触に関する情報を取得して、タッチ情報を取得する。このタッチ情報としては、該カードが接触されているかのフラグ、接触されている強さ、接触されている座標といった情報を用いることができる。
このタッチ情報のうち、接触されている座標については、カードの画像処理を基に補正を行う。
具体的には、上述の赤外線画像カード位置取得処理によって取得したカード80−1〜80−nの座標と角度により、上述の電極座標取得処理により取得した、接触された電極の座標により補正する。
たとえば、CPU100は、カード80−1〜80−nと、電極の座標とが重なる場合には、そのカード内の位置を接触された座標とする。また、CPU100は、ある電極が接触されているものの、カード80−1〜80−nと所定の値以内に離れている場合には、そのカード80−1〜80−nを接触された座標とする。また、CPU100は、2つ〜4つの電極の接触された静電容量の値が近い値を示している場合には、カード80−1〜80−nとより近い位置の電極の座標を接触された座標とする。
また、時間的な補正も可能である。上述したように、接触される座標は、例えば1/60秒で更新することができる。このため、CPU100は、接触される電極が移動した場合には、その移動量を基に、どのカード80−1〜80−nを接触されたのかを選択して、選択されたカード80−1〜80−nの座標を接触された座標とする。
このように、CPU100は、カード80−1〜80−nが接触されていた場合には、補正された座標を、タッチ情報に記憶することができる。また、このタッチ情報には、カード内での接触された座標も記憶することができる。
【0081】
(ステップS1029)
ここで、センサーマイコン310−1の動作に戻って説明する。
センサーマイコン310−1は、カードへの接触の検出を終了したか判定する。
具体的には、センサーマイコン310−1は、CPU100から検出終了信号を受信したか判定する。なお、CPU100は、図12のステップS103のゲーム処理の終了時点で、この検出終了信号を送信することができる。
ステップS1029の判定においてYesの場合、センサーマイコン310−1は、処理をステップS1030に進める。
逆にステップS1029の判定がNoの場合、センサーマイコン310−1は、処理をステップS1024に戻し、例えば1/60秒毎にスキャン処理以下の処理を繰り返す。
【0082】
(ステップS1030)
次に、検出が終了した場合は、CPU100は、センサーマイコン動作停止処理を行う。
具体的には、検出終了信号を受信した場合、センサーマイコン310−1は、HALT状態等の動作を停止して消費電力を抑えるモードに入っている。
その上で、さらに、CPU100は、ペリフェラルI/F140から電子スイッチを制御して、センサーマイコン310−1〜310−nの電源をオフにする。
これにより、ゲームをプレイしていない間に消費電力を抑え、誤動作等を少なくすることもできる。
以上により、(1)通常の紙媒体を用いたカード80−1〜80−nの検知の処理を終了する。
【0083】
〔(2)金属箔等の含まれる特殊な「キラカード」を含んだカード80−1〜80−nを検知する処理〕
次に、「キラカード」を含んでいるカード80−1〜80−nを検知する処理について説明する。
「キラカード」は、表面や内部に金属箔等を「ラメ」のように散らしていたり、アルミ層などの箔印刷されていたりするようなカードであり、カードゲームにおいて、特別な価値あるカードとして用いられることが多い。
すなわち、この「キラカード」は、金属箔を用いている関係上、抵抗が小さく、またがっている電極間をブリッジする事で、両電極間の静電容量を含んで検出し、結果として検出された静電容量が増加してしまう。
【0084】
このため、プレイフィールド60上で、カード80−1〜80−nの座標を求めて、これにより静電容量値を補正することで対処することが考えられる。
具体的には、各電極に対応した「オフセット値」を求めて、CPU100が記憶部110に記憶しておき、得られた静電容量値を補正して、「キラカード」を通常のカードと同様に検知可能である。
以下で、図19のフローチャートを参照して、(2)金属箔等の含まれる特殊な「キラカード」を含んだカード80−1〜80−nを検知する処理について、より詳しく説明する。
【0085】
(ステップS1031〜S1034)
図19と図14とを参照すると、これらの処理において、ステップS1031はステップS1021と、ステップS1032はステップS1022と、ステップS1033はステップS1023と、ステップS1034はステップS1024と同様の処理を行う。
【0086】
(ステップS1035)
ここで、CPU100は、赤外線画像カード位置取得処理を行う。この処理も、図14のステップS1027と同様である。
これにより、まずはカード80−1〜80−nの背面のコード810−1〜810−nのプレイフィールド60上の座標(位置)、角度(向き)、ID(カードの種類)等についての値を得て、以降の処理でIDによりキラカードであるかを判定して補正処理を行うことができる。
【0087】
(ステップS1036)
次に、CPU100は、キラカードあるかどうか判定する。
ここでは、図2のプレイフィールド60上のカード80−1〜80−nの中に、キラカードがあるかどうかについて判定する。
ステップS1036の判定がYesの場合は、CPU100は、処理をステップS1037に進める。
逆にステップS1036の判定がNoの場合は、CPU100は、処理をステップS1039に進めて、通常のスキャン処理を行う。
【0088】
(ステップS1037)
CPU100は、キラカード面積計算処理を行う。
図20の概念図を参照して説明すると、上述したように、キラカードが電極に接している場合には、タッチ電極400−1〜400−nの各電極のスイッチにはキラカードと電極が重なっている面積に比例した値だけ、静電容量値が大きくなる。
すなわち、図20に示すように、フィールド上の任意の位置に複数のタッチ電極にまたがってキラカードが配置されている場合、タッチ電極400−1〜400−nが誤作動を起こす。
換言すれば、タッチ電極400−1〜400−nの誤作動の原因は、タッチスイッチは電極上の物との静電容量の関係から感度値を計算するため、キラカードが置かれている場合は、その電極を覆う面積に比例した感度の値が変化するためである。
このため、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1では、コード810−1〜810−nを認識することでカード位置を特定する。すなわち、ゲーム装置10−1でコード810−1〜810−nを画像認識にて認識することで、特定したカードの位置座標を用いることができる。これにより、特定したカードの位置座標情報と電極位置情報と組み合わせ、各電極を覆う面積を計算する事が可能となる。
つまり、計算した面積を利用して、感度値の増加分をあらかじめ差し引いてタッチ計算を行う事で、電極400−1〜400−nの誤動作を抑えることができる。
【0089】
図20の例においては、カード80−3がキラカードの場合は、カード80−3と重なっているそれぞれの電極に関して、重なっている面積を計算する。電極の位置は、プレイフィールド60で既知であるので、この既知の座標を記憶部110に記憶しておき、カードの座標と電極の交差を計算することで、重なった部分の面積を計算することができる。
たとえば、図20の例では、タッチ電極400−1の電極は重なっていないので計算しない。これに対して、タッチ電極400−9の電極は重なっているため、重なった部分の面積を計算することができる。
CPU100は、それぞれの電極について求めた、重なった部分の面積の値を、記憶部110に配列変数等として記憶する。
【0090】
(ステップS1038)
次に、CPU100は、電極感度値補正処理を行う。
この処理においては、上述のキラカード面積計算処理で求めた各電極の重なった部分の面積から、各電極の静電容量値の「オフセット値」を計算して求める。
この各電極のオフセット値に関しては、

(各電極のオフセット値)=(各電極の重なった部分の面積)×(係数)……式(4)

のような式を用いて求めることができる。係数は、通常のカードとキラカードの静電容量と面積の関係を予め求めておき、所定の定数として記憶部110に記憶しておくことができる。
CPU100は、求めた各電極のオフセット値についても、各電極に対応する配列変数等として記憶する。
【0091】
(ステップS1039)
ステップS1039は、ステップS1025と同様の処理を行い、各センサーマイコン310−1〜310−nがスキャン処理を行う。
【0092】
(ステップS1040)
ここで、CPU100は、電極座標取得/オフセット処理を行う。
まず、この処理において、CPU100は、ステップS1026と同様の電極座標取得処理を行う。すなわち、CPU100は、それぞれのセンサーマイコン310−1〜310−nから取得した静電容量値を、記憶部110から読み出す。
この上で、CPU100は、上述の各電極のオフセット値を記憶部110から読み出し、各電極に対応する静電容量値に、加算又は減算する処理を行う。
これにより、キラカードによる誤作動をキャンセルして、正確にカード80−1〜80−nの接触を検出することができるという効果が得られる。
その後、CPU100は、各電極のオフセット値の配列は、0フィル等をして消しておく。
【0093】
(ステップS1041〜S1043)
ステップS1041はステップS1028と、ステップS1042はステップS1029と、ステップS1043はステップS1030と、それぞれ同様の処理を行う。
以上により、(2)金属箔等の含まれる特殊な「キラカード」を含んだカード80−1〜80−nを検知する処理を終了する。
【0094】
このように構成し、それぞれのセンサーマイコン310−1〜310−nによるタッチ位置の取得と、赤外線カメラ260で取得した画像の処理とを用いることで、プレイフィールド60でユーザーが接触した位置の検知の分解能は、プレイフィールド60全面で、例えば400ポイント以上とすることができる。
これにより、コストをそれほどかける必要なく、遊戯用のそれぞれのカード80−1〜80−nが86mm×54mm程度の大きさの場合、6分割できる程度の解像度を得ることができる。また、9分割できる程度のポイントを得るための分解能とすることも可能である。
【0095】
また、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、プレイフィールド60中の400ポイントについて、60回/秒以上の接触位置の検出を行うことができる。これは、従来の光学的にコードのみを検知する従来技術と比べ、十分に早い速度である。つまり、ユーザーがカード80−1〜80−nに接触すると、ほぼリアルタイムで、非常にスピードが速く接触位置の検知を行うことができる。
また、ヒトの目で知覚できる動画の描画速度も60フレーム/秒程度であり、この60フレーム/秒は、ゲームにて一般的に用いられている描画速度である。
このため、この描画速度と、コードの検知速度と、接触位置の検知速度とを合わせることができ、ゲームにてプレイヤPの指示よりもゲーム装置10−1の反応が遅れる(重い)といった状態を避けることが可能になる。
特にリアルタイム・シミュレーションゲームにおいては、各部隊の配置に対する指示のスピードによりゲームの状況が大きく左右されるため、反応速度はゲームの面白さや操作性に於いて大変重要である。このため、本発明の実施の形態に係るカード検知方法のように、十分な検出速度を備えることにより、カードゲームの操作性を高める大きな効果が得られる。
【0096】
(ステップS303)
ここで再び、図13を参照して、カード検知後のカードゲームの具体的な処理について詳しく説明する。
CPU100は、味方部隊処理を行う。この味方部隊処理においては、CPU100は、各味方部隊について、図2のプレイヤPのカード80−1〜80−nの配置とカードの接触による各種指示を取得し、味方部隊内の各キャラクタを行動させる処理を行う。この行動としては、目的地への移動や、CPU100や他のプレイヤが操作する敵部隊等と戦闘を行う。これらの処理の結果は、次の敵部隊処理の後で、描画処理により反映される。
以下で、図21〜図24を参照して、このステップS302の味方部隊処理について、さらに詳しく説明する。
【0097】
〔部隊の構成〕
まずは、図22を参照して、部隊に関するデータについて説明する。本発明の実施の形態に係るゲームシステムXのカードゲームにおいては、それぞれ、味方部隊、敵部隊、中立部隊等の部隊のデータをもち、この部隊の状態によりゲームのシナリオ上の進行を行う。
図22においては、味方部隊に関するデータの要素についての一例を示す。このデータの要素としては、部隊番号D101と、リーダー番号D102と、コマンドD103と、特殊攻撃レベルD104と、目標D105と、士気D106と、メンバーD107のような要素を備えることができる。
部隊番号D101は、各部隊に対応するプログラム上で使用する番号を記憶する部位(部隊番号記憶部)である。なお、カードゲーム内で例えば同一の武将(種類)のカード80−1〜80−nを用いた場合には、この部隊番号D101により区別して用いることができる。
リーダー番号D102は、部隊番号に対応付けられているカード80−1〜80−nの武将のキャラクタを示す番号を記憶する部位(武将記憶部)である。同一種類のカードを用いている場合には、そのカードのIDを用いて、区別して用いることができる。
コマンドD103は、部隊行動指示処理により決定された部隊の行動のコマンドのデータを記憶する部位(行動情報記憶部)である。
特殊攻撃レベルD104は、後述する特殊攻撃に用いる「特殊攻撃レベル」を記憶する部位(特殊攻撃レベル記憶部)である。この特殊攻撃レベルは、部隊番号に対応付けられているカード80−1〜80−nを押す(接触している)時間や押す(接触)強さ(接触面積)により増加し、特殊攻撃により減少又は0になる。また、部隊が攻撃を受けた時間やダメージの量に比例して、「特殊攻撃レベル」を増やすような設定にすることもできる。
目標D105は、マップ上の座標や、追撃する部隊を示す部位(座標情報記憶部)である。この目標D105は、対応するカード80−1〜80−nの配置により決定することができる。
士気D106は、部隊の戦闘の強さや寝返り易さや攻撃しやすさといった士気に関するパラメータを記憶する部位(士気パラメータ記憶部)である。例えば、最低の士気を0とし、最大の士気を255とすることができる。
メンバーD107は、メンバーのキャラクタのリストを記憶する部位(メンバーキャラクタ記憶部)である。このメンバーは、リーダー以外は可変であり、例えば、部隊を合流して他の部隊と分配したり、敵部隊から寝返ったキャラクタを取得して増やすといった操作も可能である。また、弓兵と騎兵といった、異なるキャラクタを同一の部隊として操作することも可能である。
なお、士気D106や、メンバーD107の人数とキャラクタの種類といったデータについては、ICカード85に記憶することが可能である。
【0098】
〔キャラクタの構成〕
次に、図23を参照して、部隊のキャラクタに係るデータについて説明する。
本発明の実施形態に係るカードゲームにおいては、カードゲームの部隊の各部隊員としてそれぞれのキャラクタをCPU100が行動させ、グラフィックプロセッサ160により3次元描画されたマップ上に表示させる。
本発明の実施の形態に係るカードゲームにおいて、キャラクタの種類としては、カード80−1〜80−nにそれぞれ対応したリーダーのキャラクタと、通常の部隊員となる「リーダー以外のキャラクタ」を登場させることができる。
各キャラクタに係るデータの要素としては、メンバー番号D201、名前D202、HPD203、LVD204、職業D205、スキルD206、性別D207、能力値D208、リーダーD209、アイテム/装備D210等の要素を備えることができる。
メンバー番号D201は、各メンバーのキャラクタに対応付けられた番号である。この番号は、カードゲームのプレイ毎に、CPU100がプログラムに従って付加することができる。
名前D202は、キャラクタの名前を示す要素である。この名前は、リーダーのキャラクタの場合には、デフォルトの名前が設定されており、図2のプレイヤPが名付けることもできる。このような、リーダーのキャラクタ名前は、ICカード85に記憶しておくことができる。リーダー以外のキャラクタの名前は、カードゲームのプレイ毎に、CPU100がプログラムを用いて所定の名前リストから名前を設定することができる。
HPD203は、そのキャラクタの体力値を示す要素である。HPが0になると、そのキャラクタは死亡する。HPの値は、マップ上の城等の陣地等の特定の場所にいるときにユーザーの支持または自動的に回復させることができる。また、リーダーのHPが0になると、そのリーダーはそのゲームのプレイ中には「戦闘不能」として使用できなくなる。なお、回復の際には、「兵糧」と呼ばれるカードゲーム上のパラメータが減少する。
LVD204は、キャラクタの強さ等のレベルを示す要素である。リーダーのレベルは、プレイ回数や特殊攻撃を発動した回数等により上昇する。また、同一部隊内のリーダー以外のキャラクタのレベルは、シナリオで指定されるか、リーダーのレベルに従って、ゲームのプレイ開始時に、CPU100が設定する。
職業D205は、キャラクタのポリゴン描画上の外観やスキル等に関係する「職業」を示す要素である。リーダー用の職業には、武将、軍師、忍者といった「カテゴリー」が用意されている。さらに、上述のキラカード用に「未来人」「魔界人」「アンドロイド」といった特殊なカテゴリーを用意してもよい。このカテゴリーに従って、リーダー用の職業は、大名、地侍、郷士、一揆リーダー、僧兵隊長、上忍のような職業の属性をもつことができる。また、同一部隊内のリーダー以外のキャラクタの職業は、騎兵、弓兵、槍兵、足軽といった、主に部隊を構成するキャラクタ用の職業を用いることができる。この職業は、シナリオ読み込み処理の後で、ユーザーによりそのシナリオ上で動かせる兵力を各部隊に分配するときに、その割合に従って設定することができる。また、「キャンペーンモード」や「全国制覇モード」においては、リーダー毎に部隊の兵士の職業の割合をICカード85に記憶しておき、カードゲームの進行にしたがって、この割合で兵士の職業を設定することもできる。
スキルD206は、リーダーのみがもつ属性で、特殊攻撃の際に実行する特殊な攻撃方法を記憶したものである。このスキルD206は、リーダーのキャラクタのレベルD204の値とともに増えたり、敵部隊リーダーのスキルを「学習」させたりすることもできる。
性別D207は、男性、女性、中性といった性別や、キャラクタの性格に関する値である。この性別や性格により、ユーザーによる指示の実行力や、敵部隊に向かう勇猛果敢さといった値がゲーム中で変化する。リーダーのこの属性の値は、リーダー以外のキャラクタの属性値にも影響を与える。
能力値D208は、各キャラクタ用に特別に割り当てられた能力を示す属性である。この能力値D208の属性値は、同一のレベルの所定値からの増減により表現することができる。たとえば、図23のメンバー番号D201の値が100のキャラクタは、AG(Agility、機敏)の値がプラス50で、DF(Defense、防御)の値もプラス20になっている。この能力値は、他の属性、例えば職業D205やアイテム/装備210の値により変化させることができる。
リーダーD209は、そのキャラクタがリーダーであるかどうかを示すフラグである。なお、リーダーのキャラクタとそれ以外のキャラクタで別々のデータをもつような構成も当然可能である。
アイテム/装備D210は、そのキャラクタが装備したり備えたりしているアイテムを示す属性である。装備しているか/装備していないかといった属性についても記憶している。また、このアイテム/装備D210の属性値により、他の属性の値も変化する。
なお、サーバ5に、プレイヤP用の各キャラクタのデータを記憶しておき、プレイ毎にダウンロードして使用するような構成も可能である。
【0099】
(ステップS2011)
ここで、図21のフローチャートを参照して、味方部隊処理の詳細について、さらに詳しく説明する。
まず、ステップS2011において、CPU100は、カード部隊対応処理を行う。
具体的には、CPU100は、取得したカード情報を検索し、プレイフィールド60に配置されたカード80−1〜80−nと、処理を行う味方部隊とを対応づける。以下の例では、カード80−1が、処理を行う部隊番号D101の値が1の部隊と対応づけられているものとする。
この上で、CPU100は、カード80−1のプレイフィールド60の座標を、対応するカードゲームのマップ上の座標と対応づける。これにより、処理を行う部隊に指示するマップ上の「移動位置」を取得することができる。この移動位置は、処理を行う部隊の目標D105に記憶する。マップ上の位置に敵部隊が存在した場合には、その敵部隊を目標D105に記憶することができる。
そして、CPU100は、これらの座標が、前のフレームでの位置から、どのくらいの距離を移動したのかについて計算する。これにより、処理を行う部隊に指示する「加速度」を取得することができる。
【0100】
なお、プレイフィールド60に配置されたカード80−1〜80−nと、処理を行う部隊とで対応付けが行えなかった状態が所定の秒数続いている場合には、当該カードがプレイフィールド60から撤去されたものと判断する。
この場合は、プレイヤPは、処理を行う部隊に対して「城」等の予備部隊が配置される座標に移動する指示を行ったと判断する。また、画面外に「退却」するように指示したと判断してもよい。
【0101】
(ステップS2012)
次に、CPU100は、カード接触時間取得処理を行う。
具体的には、CPU100は、処理を行う部隊に対応づけられているカード80−1のカード情報のタッチ情報から、該カードが接触されているかのフラグや押されている強さ(接触されている圧力、接触されている面積等)の値を取得する。この処理においては、CPU100は、カード内の位置に関わらず、そのカードが接触されているか、また接触されている強さについて検出する。
ここで、CPU100は、所定のフレーム数前のフレームでは接触されていたのに、所定のフレーム数間、接触されているかのフラグが「0」である場合、すなわち接触されていない場合には、カードが離される指示を行ったものと判断する。これにより、カードの接触と離す(非接触)までの時間である、接触時間(押下時間)を取得できる。
CPU100は、この接触時間に応じて、処理を行う味方部隊の特殊攻撃レベルD104を増加させる。この特殊攻撃レベルD104の値により、後述する「特殊攻撃」で敵に与えるダメージ(威力)が変化する。また、「タップ」するような、断続的に接触したり離したりする動作(接触/非接触を繰り返す動作)についても検知可能である。これにより、後述する「特殊アクション」のような指示に使用する。
【0102】
(ステップS2013)
次に、CPU100は、カード接触位置取得処理を行う。
具体的には、CPU100は、処理を行う部隊に対応づけられているカード80−1のカード情報のタッチ情報から、カード80−1内で接触されている座標を取得する。
この接触されている座標は、後述するように、上述の接触時間と組み合わせて、部隊への行動指示に用いる。
【0103】
(ステップS2014)
次に、CPU100は、部隊行動決定処理を行う。
具体的には、CPU100は、部隊の行動として、まず、上述のステップS2011で取得した「移動位置」が現在のマップ上での座標と異なっている場合は、部隊をその移動位置の座標に移動するように各キャラクタを動かす移動の行動を行う決定をする。ここで、特殊攻撃レベルD104が十分高く、特殊攻撃可能な状態であり、図2のプレイヤPが強い接触の圧力をかけたり(接触面積を多くしたり)、所定の長い距離以上の移動をさせるようにカードを動かした場合には、CPU100は、後述する「特殊攻撃」を行う行動の決定をする。
また、CPU100は、ユーザーが処理を行っている部隊に対応づけられているカード80−1をほとんど動かさずに、接触して離す等の処理を行った場合には、基本的には攻撃指示を行う決定をする。その位置で弓兵に弓攻撃を行わせたり、鉄砲隊に鉄砲で攻撃させたりする攻撃指示を行う決定をする。この際に、タップを検知していた場合には、「特殊アクション」のような攻撃指示を行う決定をする。
また、CPU100は、味方部隊同士が所定距離よりも近い座標にいる場合に攻撃指示を行うと、連動して攻撃する「連動攻撃」のような特殊攻撃を行う決定をすることができる。また、特殊攻撃可能な状態であり、図2のプレイヤPが該カード80−1〜80−nに接触した際に強い接触の圧力をかけたり(接触面積を多くしたり)、長い時間接触して離した場合には、CPU100は、後述する「特殊攻撃」を行う行動の決定をする。
また、CPU100は、他の味方部隊のカード80−1〜80−nが同様に押されて離された(接触状態になり非接触状態になった)場合には、連動攻撃を行う行動の決定をすることができる。これにより、従来のリアルタイムシミュレーションに比べて、より味方部隊間の連携をとって、敵部隊を攻撃することが可能になる。また、この「連動攻撃」は、特殊攻撃と併用することができる。
また、CPU100は、カード80−1が接触されている状態の場合は、接触されている座標により、「攻撃」や「防御」のような部隊の基本行動の指示を行う決定をすることができる。
また、CPU100は、図2のスイッチ240をユーザーが接触したことを検知すると、メニュー画面等を表示し、部隊の合流や回復や撤退等のオプション指示を行う決定をすることができる。なお、「回復」等のオプション指示は、城等の味方陣地にいる場合等でしか選択できず、オプション指示を実行している間は他の指示を受け付けないように構成することもできる。
【0104】
(ステップS2015)
次に、CPU100は、部隊戦闘中であるか判定する。
この部隊戦闘は、CPU100は、指示している部隊と所定距離内に敵部隊がいるか、弓や鉄砲といった長距離の攻撃を射程範囲内の敵部隊に行ったかにより判定する。
すなわち、CPU100は、所定距離内に敵部隊がいると、自動的に部隊戦闘中である「Yes」と判定し、それ以外の場合は「No」と判定する。
そして、ステップS2015での判定がYesの場合、CPU100は、処理をステップS2016に進める。
逆にステップS2015での判定がNoの場合、CPU100は、処理をステップS2017に進める。
【0105】
(ステップS2016)
CPU100は、戦闘行動処理を行う。
戦闘行動処理においては、CPU100が、各キャラクタに一番近い位置にいる敵部隊に攻撃を行うように各キャラクタを制御する。
具体的には、CPU100は、各キャラクタについて、主にアイテム/装備D210に装備されている武器と職業に従って攻撃手段を選択肢、攻撃を行わせるようにする。また、選択されている場合には、「特殊攻撃」を行う。この攻撃や特殊攻撃は、乱数、攻撃手段の射程距離や座標、各キャラクタのレベルD204や能力値D208に応じて、敵部隊のキャラクタに「ヒット」する。
攻撃された敵部隊のキャラクタは、攻撃がヒットした場合は、HPD203の値を減じる。この際に、CPU100は、減じるHPD203の値は、攻撃手段の所定の値と攻撃側と防御側の各キャラクタのレベルD204や能力値D208に応じて求める。
この戦闘行動処理において、CPU100は、各キャラクタについて、できるだけリーダーのキャラクタが攻撃されないように、可能な限り同じ部隊のリーダー以外のキャラクタが守るような思考処理を行う。
【0106】
また、CPU100は、各キャラクタのHPD203が0になっている場合と、そのキャラクタの死亡処理を行う。さらに、CPU100は、リーダーのキャラクタが死亡した場合には、攻撃指示をやめ、リーダー以外のキャラクタを退却させるか、敵部隊に「寝返り」させる。
また、CPU100は、敵部隊のリーダーのキャラクタが倒された場合などにおいて、処理を行う味方部隊の士気D106を高める。逆に、CPU100は、敵部隊に味方部隊が大きくHPを削られると、士気を低下させる。
CPU100は、この士気D106により、行動指示に従わず敵部隊を攻撃したり、逆に逃げたりする。逃げる処理を行うと、CPU100は、士気D106を低下させる。
処理を行う味方部隊の各キャラクタの戦闘処理を終了すると、CPU100は、処理をステップS2018に進める。
【0107】
(ステップS2017)
CPU100は、その他行動処理を行う。このその他行動処理は、部隊の各キャラクタを目標D105に設定された座標や部隊に向けて移動の行動を行う移動処理や、メニューによるオプション指示に従ったオプション処理等を行う。
なお、CPU100は、移動処理の際には、障害物を避けるように、各キャラクタを制御する。
その後、CPU100は、処理をステップS2018に進める。
【0108】
(ステップS2018)
ここで、CPU100は、すべての味方部隊を処理したか判定する。
この「すべての味方部隊」は、ユーザーが指示を行うことができるすべての味方部隊についての処理を行ったかについて判定する。なお、部隊が退却していたり、「回復」等のオプション指示を実行していて指示できない状態である場合には、その部隊は処理を行う判定はしないため、処理を行ったものとすることができる。
そして、ステップS2018の判定において、「Yes」と判定したとき、すなわちすべての味方部隊の処理を行った場合、CPU100は、味方部隊処理を終了する。
逆にステップS2018の判定において、「No」と判定したとき、すなわちまだ処理する味方部隊がある場合、CPU100は、処理をステップS2011に戻し、別の味方部隊について各処理を行う。
【0109】
(ステップS304)
ここで、再び図13を参照して、主なゲーム処理について説明する。
ステップS304において、CPU100は、敵部隊処理を行う。この敵部隊処理については、CPU100や対戦相手の他のゲーム装置10−2〜10−nのから送信された指示を基に、敵部隊内の各キャラクタを行動させる処理を行う。
この行動には、上述の味方部隊処理と同様に、戦闘や回復等のその他の行動が含まれる。
CPU100が行動指示を行う場合には、αβ法やMin−Max法等を用いて、人工知能的に戦力等を参照して指示を行う。ただし、各部隊の行動はCPU100が行うため、その指示通りに動くとは限らない。
なお、シナリオ中に中立部隊がある場合や、イベント等がある場合には、この敵部隊処理の後にその処理を行うことができる。中立部隊の処理は、敵部隊のCPU100の処理と同様に行うことができ、行動についてはシナリオ中で指示をすることもできる。また、イベントについては、シナリオのプレイ開始後から、所定の時間を経過すると例えば、別の敵部隊が出現するといったイベントをCPU100が実行処理する。
【0110】
(ステップS305)
次に、CPU100は、描画・行動実行処理を行う。
この処理においては、CPU100は、各部隊の各キャラクタを、グラフィックプロセッサ160を用いて、3次元空間に描画されたマップ上にポリゴン等を用いて表示する。また、各部隊の戦闘を含む行動を具体的な画像エフェクトを伴って実行する。
以下で、図24〜図24を参照して、この描画・行動実行処理の具体的な処理について説明する。
【0111】
図24の概念図を参照すると、CPU100が、グラフィックプロセッサ160を用いて、ディスプレイ270に表示したカードゲームのプレイ画面を模式的に示している。このプレイ画面には、主に配置画面1010と、城1020と、侵入不可能地帯1030と、陣地1040と、方向バー1050と、味方部隊アイコン1080−1〜1080−nと、味方部隊ダメージレベル1085−1〜1085−nと、特殊攻撃可能マーク1087−1〜1087−nと、敵部隊アイコン1100−1〜1100−nと、敵部隊ダメージレベル1105−1〜1105−nと、キャラクタ1500のようなオブジェクトが表示されている。
配置画面1010は、マップ画面の模式図に、各部隊やリーダーのキャラクタのアイコンを表示したものである。配置画面1010は、図2のプレイヤPがカード80−1〜80−nを移動させて部隊が移動することで、対応して表示を行うことができる。
城1020は、防御力に優れた陣地等を示すオブジェクトである。なお、このようなオブジェクトではなく、3次元モデル上に城を表現することも当然可能である。
侵入不可能地帯1030は、マップ上の急峻な山や大河や湖や城壁など、部隊が移動できない箇所を示す。なお、特定のアイテムをアイテム/装備D210に装備しているキャラクタが部隊に含まれる場合や、忍者などの特定の職業のキャラクタの場合には、この侵入不可能地帯を超えて進むこともできることがある。
陣地1040は、シナリオで取得する必要があったり、味方部隊の休憩先となるようなマップ上の箇所を示す表示である。通常、敵部隊又は味方部隊のどちらか一方がその陣地内にいるようになった場合には、その陣地は、敵やプレイヤPが取得する。陣地を取得しているかどうかは、色等で表すことが可能である。味方部隊が取得した陣地では、回復等のオプションを選択することもできる。
方向バー1050は、3次元で描画されている箇所が、マップ上のどの向きかを表示するオブジェクトである。CPU100は、スイッチ240の操作を検知して、3次元描画の仮想3次元空間内でのビューポイント(仮想カメラ、仮想視点)を移動する。そして、グラフィックプロセッサ160により、拡大・縮小・回転して表示することができる。
CPU100は、このビューポイントに従って、例えば、マップの上方の向きを示して回転や拡大・縮小して、方向バーを計算して表示する。
味方部隊アイコン1080−1〜1080−nは、3次元描画されたマップ上で味方部隊を示しているアイコンである。このアイコンは、プレイフィールド60上に配置されたカード80−1〜80−nに対応して表示し、このカード80−1〜80−nが示すリーダーのキャラクタのイラストレーション等のテクスチャ情報を平面ポリゴン等に貼り付ける等の手法を用いて表示することができる。
味方部隊ダメージレベル1085−1〜1085−nは、味方部隊の各キャラクタのHPD203の平均値等を示すグラフ表示である。この味方部隊ダメージレベル1085−1〜1085−nは、オプション指示により、リーダーのキャラクタのHPD203を表示するようにすることもできる。
特殊攻撃可能マーク1087−1〜1087−nは、味方部隊アイコン1080−1〜1080−n又は敵部隊アイコン1100−1〜1100−nに描かれる、各部隊の特殊攻撃レベルD104が特殊攻撃可能な状態となっていることを示すマークである。この特殊攻撃可能マーク1087−1〜1087−nとは別に、特殊攻撃レベルを示すグラフ表示を行ってもよい。
敵部隊アイコン1100−1〜1100−nは、3次元描画されたマップ上で敵部隊を示すアイコンである。この敵部隊アイコン1100−1〜1100−nは、味方部隊アイコン1080−1〜1080−nと背景色違い等で区別できるように描画する。
敵部隊ダメージレベル1105−1〜1105−nは、敵部隊の各キャラクタのHPD203の平均値等を示すグラフ表示である。このグラフ表示は、味方部隊ダメージレベル1085−1〜1085−nと同様に行う。
キャラクタ1500は、3次元空間上に描画されたキャラクタを示している。このキャラクタは、属性値のデータを基にしてポリゴン等を用いて手足を動かすアニメーションをするように描画する。
【0112】
なお、キャラクタ1500のうち、リーダーのキャラクタは、色を変更したり、旗印を描いたりすること等を行い、区別することができる。
また、CPU100は、これ以外にも地形やゲームの雰囲気に関係するようなオブジェクトを多数表示させることが可能である。
【0113】
ここで、「特殊攻撃」、「連動攻撃」、「特殊アクション」のような攻撃を行う場合に、描画・行動実行処理により、ユーザーによる行動の指示がどのように反映されるのかについて、詳しく説明する。
【0114】
特殊攻撃の一例を説明すると、主に鉄砲部隊から構成される味方部隊に関するカード80−1に関して、図2のプレイヤPが「特殊攻撃」を行うと、CPU100は、通常よりも威力のある鉄砲攻撃を行うことができる。
すなわち、CPU100は、鉄砲での攻撃がヒットした敵キャラのHPD203は、大きく減少させることができる。
【0115】
また、例えば、「特殊アクション」において、鉄砲攻撃を行う鉄砲部隊を用いた場合、上述の「タップ」を行うことで、列を前後で入れ替わり攻撃させることができる。
【0116】
次に、「連動攻撃」の一例について説明すると、本発明の実施の形態に係るゲームシステムXは、静電容量を計測するタッチ電極400−1〜400−nによる複数タッチに対応している。
このため、複数の味方部隊のカード80−1〜80−nが接触され離されたことを検知することで、CPU100は、各部隊の攻撃のタイミングを揃えて、同時に攻撃をかけることが可能になる。
連動攻撃により、各部隊がばらばらに攻撃をかけた場合に比べて、人員が集中して攻撃するために敵に通常よりも大きなダメージを与えることができる。これにより、練度の高い軍団と烏合の衆との戦いをシミュレートでき、ゲーム上の戦術シミュレーションのリアリティを増すことができる。よって、よりゲームの操作を上手くしようというユーザーの意欲を増進させることができる。
また、連動攻撃により、いわゆるランチェスターの第2法則(「集中効果の法則」)のように、戦力の集中投下が効果的であることをユーザーに感じさせることができる。このため、ゲーム上の戦闘のリアリティを表現することが可能になる。
「連続攻撃」のこれらの特徴により、カードゲームの臨場感を高めることができるという効果が得られる。
【0117】
次に、「特殊アクション」の一例について説明すると、本発明の実施の形態に係るタッチ電極400−1〜400−nが、特殊攻撃可能な特殊攻撃レベルに達している際に、カード80−1〜80−nを動かすことで、「特殊アクション」を行うことができる。これにより、敵陣を突破して敵部隊を分断する騎馬突撃や、背水の陣の決死の歩兵の突撃のような、勝敗を決するシチュエーションを表現することが可能になる。
また、タッチの強さ(接触面積の大きさ)を検知できる場合には、特に強く押しながらカード80−1〜80−nを動かすことで、この突撃の速さを調整することが可能である。
また、CPU100は、「特殊アクション」の間には、該部隊の攻撃力を大幅に高めることもでき、また、隊列を崩れさせることもできる。この「特殊アクション」に成功すると、CPU100は、該部隊の士気D106を所定の大きな値だけ増やし、逆に敵部隊を突破等できない場合には、士気D106を所定の大きな値減らす。
【0118】
次に、カード80−1〜80−nの接触位置による行動の指示を行う場合の例について説明する。上述のように、カード80−1〜80−nの接触位置をカード内で1/6や1/9で検出可能な場合は、特にユーザーが該カードを接触した位置により、行動の指示を変化させることができる。例えば、CPU100は、カード80−1の上(奥)の接触を検知すると、攻撃の行動指示と認識することができる。また、CPU100は、カード80−1の下(手前)の接触を検知すると、防御の行動指示と認識することができる。
なお、CPU100は、カード80−1の各カードの接触位置により、陣形の変更を行うような設定にすることも可能である。
【0119】
(ステップS306)
ここで、また図13を参照してゲーム処理の説明を続ける。
ステップS306において、CPU100は、シナリオ終了条件を満たしているか判定する。
シナリオ終了条件としては、上述したように、図2のプレイヤPが操作している味方部隊がすべて全滅した場合、「敗北」として終了する条件を設定可能である。また、敵部隊が全滅した場合は、「勝利」として終了する条件を設定可能である。これに加えて、特定の部隊がマップ上の特定の位置に移動した場合や、特定の敵部隊のリーダーを死亡させた場合等についても「勝利」や「敗北」の、シナリオを終了する条件を設定可能である。
そして、ステップS306の判定において、「Yes」と判定したとき、すなわちシナリオの終了条件を満たしている場合は、CPU100は、処理をステップS307に進める。
逆に、ステップS306の判定において「No」と判定したとき、すなわち、まだカードゲームにおける味方部隊と敵部隊とについて処理を行う場合には、CPU100は、処理をステップS307に進める。
【0120】
(ステップS307)
シナリオ終了条件を満たしていた場合、CPU100は、ゲームオーバーであるか判定する。
ゲームオーバーは、シナリオ終了条件で「敗北」で、決済された残額が足りない場合にゲームオーバーであると判定する。また、1回のコイン投入で、複数回「敗北」になった場合にはゲームオーバーになるように設定してもよい。さらに、図2のプレイヤPが「全国制覇モード」でプレイしていた場合には、プレイヤPがシナリオで「敗北」て、「領地」がなくなった場合にはゲームオーバーと判定することができる。
そして、ステップS307の判定において、「Yes」と判定したとき、すなわちゲームオーバーの場合は、CPU100は、処理をステップS308に進める。
逆に、ステップS306の判定において「No」と判定したとき、すなわちプレイヤPが「勝利」の場合は、CPU100は、処理をステップS308に進める。
【0121】
(ステップS308)
ゲームオーバーでない場合、CPU100は、得点加算処理を行う。
この得点加算処理としては、CPU100は、シナリオ終了時の各種条件について、「ポイント」を計算し、このポイントの合計を得点として加算する。
この各種条件としては、CPU100は、例えば、倒した敵部隊の数や、味方部隊のダメージの少なさや、シナリオ終了条件までの時間の少なさについて、ポイントを計算可能である。
CPU100は、各ポイントと、ポイントの合計とを、グラフィックプロセッサ160を用いてディスプレイ270に表示する。また、CPU100は、該シナリオをクリアした旨、記憶部110に記憶する。
そして、ゲーム中で獲得した得点により、CPU100は、図2のプレイヤPの得る「軍資金」や「兵糧」を増減させる。また、CPU100は、次に読み込むシナリオの選択を変更させることもできる。
ここで、CPU100は、「キャンペーンモード」の場合には、次のシナリオを選択する。また、CPU100は、「全国制覇モード」の場合には、プレイヤPに、シナリオの結果に応じた次に攻める「国」のシナリオを選択させる。CPU100は、「マッチングモード」の場合は、プレイヤPに、次の対戦相手を選択させるか、通常のキャンペーンモードに変更する。CPU100は、「シナリオ選択モード」の場合には、プレイヤPに、クリアしたシナリオを選択させる。CPU100は、「チュートリアル」の場合には、プレイヤPに、通常のシナリオを選択させる。
その後、CPU100は、処理をステップS301に戻して、新しいシナリオをプレイさせる。
【0122】
(ステップS309)
ゲームオーバーの場合、CPU100は、ゲームオーバー処理を行う。
具体的には、CPU100は、上述の得点加算処理と同様に敗北の場合のポイントを計算して、得点として加算する。この場合は、ポイントは勝利の場合よりも、少なく計算する。
この上で、CPU100は、ゲームオーバーの表示を、グラフィックプロセッサ160を用いてディスプレイ270に表示する。
以上により、ゲーム処理を終了する。
【0123】
(ステップS104)
ここで、図12を再び参照して、ゲーム装置10−1のプレイ処理の流れの続きについて説明する。
ステップS104において、CPU100は、ICカード書き込み処理を行う。
この処理において、CPU100は、図2のプレイヤPがゲーム上でクリアしたシナリオや、各カード80−1〜80−nに係るキャラクタのレベルD204や、アイテム/装備204等の値について、図2のICカード85に記憶する。また、CPU100は、「キャンペーンモード」や「全国制覇モード」の場合には、各味方部隊のキャラクタの数や兵士の職業、軍資金や兵糧の量といったゲームの進行に関わる値についても記憶する。また、CPU100は、「キャンペーンモード」の場合はシナリオの進行具合を記憶し、「全国制覇モード」の場合には領地とした「国」を記憶する。
なお、ICカード85に、各キャラクタの属性値をすべて記憶するような構成にすることもできる。
【0124】
(ステップS105)
次に、ステップS105において、CPU100は、カード払い出し処理を行う。
CPU100は、カード払い出し部230を用いて、カード80−1〜80−nと同様のカードを出力する。このカードの選択は、上述したように、ランダムに選択してもよいし、得点によって出力する枚数やカードの種類を変更してもよい。特に、シナリオの特定の進行条件を満たした場合には、「キラカード」を出力することも可能である。
その後、CPU100は、ペリフェラルI/F140を用いて、センサーマイコン310−1〜310−nの電源をオフにする。
以上により、ゲーム装置10−1のプレイ処理を終了する。
【0125】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
まず、従来技術1においては、複数のカードを入カデバイスとして同時に扱うフラットリーダーを使用したゲームでは、ユーザーから得られる情報は多いほど良いものの、プレイヤが触れているカードをリアルタイムに検出することができなかった。
これに対して、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、タッチパネル読み取り部300を用いることによって、ユーザーのプレイフィールド60への接触を検出することができる。
【0126】
また、カメラによるコード撮影から画像認識を行うことで、複数のカードの位置情報を取得するカードゲーム装置に、従来のタッチパネルを用いるためには、様々な問題があった。
例えば、透明性を持った多点タッチパネルについて、従来のタッチバネルは小型のものでも2点検出までしかできなかった。このため、例えば6型のタッチバネルでは複数点の同時認識が困難であった。また、従来、複数点の検出機能をもった小型のタッチパネルもあったが、透明性が乏しく、フラットリーダーによるカメラ撮影を妨げてしまっていました。
よって、本発明の発明者は、鋭意実験を行い、カードごとのタッチ判定を追加する撮像部をタッチバネルと組み合わせて使用する場合については、様々な検討を行った。
以下に、従来のタッチパネルを本発明の実施の形態の形態に係るゲーム装置10−1に使用する際の利点と問題点を記載する:
【0127】
・超音波表面弾性方式タッチパネル
利点: コストが安い。
問題点:カードを置くとそれだけで反応するため、タッチの検出ができない。よって、使用不可能であった。
・抵抗膜方式タッチバネル(ITOを用いた透明金属膜)
利点: カードのように軽いものであれば、タッチバネル上に置かれて反応しない。指で押すことによる圧力変化によりタッチ点を検知できる。
問題点:1点しか検出できなかった。また、耐久性が低かった。
・赤外線遮断方式タッチバネル(例えば、特許第4019114号公報を参照)
利点: カードのように薄いものであればカード上にセンサを設置することによりカードを蹴いてもそれだけでは反応しない。カードをタッチすれば指が光を遮ることになりタッチ位置を検出できる。例えば、特許第4019114号公報の装置によれば、プレイヤがカードのどの位置に触れているかという情報を得ることができると記載している(〔0043〕等を参照)。
問題点:通常は1点しか検出できない。すなわち、1枚のカードへの接触は検出できるが、複数のカードに対する接触を検出したいとき、同一軸上に接触点があった場合、いずれかのカードに触れたという情報を検出できないという問題があった。また、指がカードに触れなくてもセンサの光を遮れば反応してしまうため、指などがカードに触れずとも服の袖口が触れた場合に反応してしまう問題があった。また、特許第4019114号公報の装置では、三角測量の原理(段落〔0209〕〜〔0219〕等を参照)を用いて、カードに対する接触点を検出するものが開示されているが、同様の問題があった。
・静電容量方式タッチバネル
利点: カードの上からタッチしてもカードを通して静電容童の変化によりタッチ位置を検出できる。
問題点:通常は1点しか検出できないという問題があった。
・振動検出方式タッチバネル
利点: カードの上からであってもタッチ時の振動で位置を検出できる。
問題点:振動が発生するタッチの間しか検出できず.カードを押さえ続けていることは検出できない。また、1点しか検出できないという問題があった。
【0128】
このように、従来のタッチパネルでは、ゲーム装置10−1に用いるためには、さまざまな問題点があった。
このため、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、静電容量方式タッチセンサを複数使用するように構成した。これは単なる設計の変更に係る事項ではなく、当業者には容易に想到することはできなかった。
これにより、ゲーム装置10−1においては、ゲームフィールド上に小型のタッチエリアであるタッチ電極400−1〜400−nを敷き詰め、タッチセンサの数が増えることにより複数点のタッチを検出することができる。また、プレイフィールド60全体での複数の接触位置の検出を実現することができ、また、カードを押し続けていることを検出することができる。
このように、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、複数のカードが配置されていても各カードについて接触を同時に検出することができ、操作性のよいカードゲーム装置を実現することができる。
【0129】
また、従来の静電容量方式タッチセンサにおいては、複数使用するとコストが上昇するという問題があった。特に、プレイフィールド60のような数m四方もあるような大きな平面にタッチセンサを敷き詰めることは、技術的にも困難であった。
これに対して、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、カード80−1〜80−nの背面から赤外線光でコード810−1〜810−nを読み取り、カードのプレイフィールド60上の位置を検出し、この位置によりタッチパネル読み取り部300で取得した接触位置を補正することができる。これにより、タッチ電極400−1〜400−nを安価なスクリーン印刷等によるタッチパネルシート630として形成可能であり、低い密度で形成しても十分な接触位置の取得精度を得ることができる。よって、コストを抑えて高精度のカード80−1〜80−nの接触位置の検知を行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、タッチ電極400−1〜400−nを、カード80−1〜80−nの面積に対して70%をカバーするように配置するか、1/6や1/9となるように配置することができる。これにより、カード80−1〜80−nの接触位置の検出の誤動作を抑えることができる。
このような構成により、プレイフィールド60上でプレイヤがタッチしている場所を、精度高く特定することができ、低コストにゲーム性を高めることができる。
【0130】
また、従来の静電容量方式タッチセンサにおいては、面状に配置された数百以上のタッチセンサをリアルタイムに検知することが難しいという問題があった。
これに対して、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、センサーマイコン310−1〜310−nのようなセンサーマイコンアレイ301を用いることで、リアルタイムでタッチ電極400−1〜400−nの接触を検知することができる。
よって、高速な応答性が求められるカードゲームにおいて、ユーザーがカード80−1〜80−nを接触すると、即座にCPU100により反応させることができ、カードゲームの操作性を著しく高めることができる。
【0131】
なお、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、静電容量方式のタッチセンサを用いた場合の例を示したが、これに限定されず、例えば、ITO等を用いた抵抗膜方式のタッチパネルを用いることも可能である。この場合でも、タッチ電極400−1〜400−nのように複数のタッチ電極を抵抗膜により構成することで、耐久性を高めることができるため好適である。
【0132】
なお、静電容量方式タッチセンサを用いる場合においては、例えば「キラカード」のように、導電性のある金属を含んだ静電容量値の低いカードが複数のセンサに跨ると、タッチしなくても両方のセンサで反応するため、誤動作を起こすという問題があった。
これに対して、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、キラカードが電極401〜400−nを跨いだ場合に、取得した静電容量値に、キラカードと電極が重なっている面積に比例したオフセット値を加算又は減算する。この際に、赤外線カメラ260で取得した撮像画像から取得したカード80−1〜80−nのキラカードの座標により、キラカードと電極の重なり面積を計算することができる。このため、キラカードの誤作動をキャンセルしてカード80−1〜80−nへの接触を通常のキラカードでないカードと同様の値として検出する事ができる。
また、電極400−1〜400−nにおいては、電極特性のキャリブレーションを行うことで、より高精度なキラカード及び通常のカードの静電容量値の変化を検出可能である。
【0133】
以上のように、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては:
(1)タッチパネル読み取り部300をほぼ透明とし、赤外線カメラ260による撮影を妨げない。
(2)赤外線撮像画像によるコード810−1〜810−nの認識により、カード位置情報と組み合わせることで、タッチ電極400−1〜400−nの数を抑えることができる。
という特徴を備えている。
【0134】
また、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10−1においては、カード80−1〜80−nの接触位置を、複数検出することができ、接触し続けた状態や接触時間を検出することもできる。
このため、ユーザーから得られる情報が多くなり、さらに遊戯の幅を広げる(遊戯性を向上させる、ゲーム性を高める)ことが可能となった。つまり、カードゲームのプレイにおいて、「特殊攻撃」、「連動攻撃」、「特殊アクション」のような多彩な攻撃の指示を行うことができ、ゲームの操作性や臨場感を著しく高めることができる。
【0135】
<プロジェクタを用いたゲーム装置10−1の構成>
なお、本発明の実施の形態に係るゲームシステムXは、プロジェクタ275を用いた構成を用いることが可能である。
図25を参照すると、照明部210の他に、プロジェクタ275を用いて、プレイフィールド60の下部に、カードの操作や部隊に関する表示等を投影することができる。この場合、タッチパネルシート630の下部又は上部に、可視光を散乱して赤外線は透過するスクリーン635を備えることが可能である。
図26を参照すると、プレイフィールド60を図2のプレイヤPが上下ろした図である。このような構成でも、プレイフィールド60のほぼ全面にカード80−1〜80−nを配置して検知することが可能である。
図27を参照すると、タッチパネルシート630の下部に、可視光を散乱して赤外線は透過するスクリーン635を備えた例である。このスクリーンは、光学フィルタやガラス繊維や光学ビーズ等を用いて、プロジェクタ275からの光をスクリーン上で散乱させて表示する。これにより、赤外線について透明なプレイフィールド60においても、視認性高く画像を表示することができる。また、光学ビーズを用いると、タッチパネルシート630の接触の圧力による変形の影響を避けられるという効果が得られる。
なお、プロジェクタ275を用いた構成においても、ゲームの進行およびタッチパネルによる接触されたカード80−1〜80−nの検知は同様に行うことができる。
【0136】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明のカードゲーム装置は、タッチパネルによる複数の接触検知と、カードの位置の画像認識を組み合わせることにより、これまでにない操作性でユーザーへの訴求力が高いカードゲーム装置を製造販売することが可能である。
【符号の説明】
【0138】
5 サーバ
10−1〜10−n ゲーム装置
55 大型表示装置
60 プレイフィールド
70 筐体
80−1〜80−n カード
85 ICカード
100 CPU
110 記憶部
111 プログラム
112 データ
130 ブートROM
140 ペリフェラルI/F
150 バスアービタ
160 グラフィックプロセッサ
162 ジオメトリ部
164 レンダリング部
170 グラフィックメモリ
180 オーディオプロセッサ
190 オーディオメモリ
200 通信I/F
210 照明部
220 ICカードリーダ/ライタ部
230 カード払い出し部
240 スイッチ
250 コイン投入部
260 赤外線カメラ
270 ディスプレイ
275 プロジェクタ
280 スピーカ
300 タッチパネル読み取り部
301 センサーマイコンアレイ
310−1〜310−n センサーマイコン
400−1〜400−n タッチ電極
610 保護層
611 円錐の端部
612 円錐の胴部
613 半球部
620 プレイフィールド用シート
630 タッチパネルシート
635 スクリーン
640 ガラス板
810−1〜810−n コード
711 第1フィルタ
712 第2フィルタ
721 第1反射板
722 第2反射板
820 中心軸
850−1〜850−n タッチ有効領域
1010 配置画面
1020 城
1030 侵入不可能地帯
1040 陣地
1050 方向バー
1080−1〜1080−n 味方部隊アイコン
1085−1〜1085−n 味方部隊ダメージレベル
1087−1〜1087−n 特殊攻撃可能マーク
1100−1〜1100−n 敵部隊アイコン
1105−1〜1105−n 敵部隊ダメージレベル
1500 キャラクタ
P プレイヤ
X ゲームシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊戯媒体が配置可能に構成されたゲーム装置であって、
それぞれの前記遊戯媒体は、接地面にゲームキャラクタに固有の特性を表すデータを含むコードパターンが不可視光下で識別可能に印刷されており、
前記ゲーム装置は、
画像を表示させる表示部と、
不可視光を透過する平面と、
前記平面におけるそれぞれの遊戯媒体の位置及び前記平面に配置された前記遊戯媒体のコードパターンを検出するための第1の検出部と、
前記平面に対する接触状態を検出するための第2の検出部と、
前記第1の検出部により検出された前記遊戯媒体の位置とコードパターン、又は、第1の検出部により検出された前記遊戯媒体の位置とコードパターン及び前記第2の検出部により検出された接触状態に基づいて、前記表示部に表示させる画像情報を制御する制御部とを備える
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記制御部は、
それぞれの前記遊戯媒体の押下位置又は時間を計算し、該押下位置又は時間により前記ゲームキャラクタの行動指示を変更する
ことを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記第2の検出部は、複数の導電性部材から構成されてなり、
該導電性部材の各々の面積は、
前記平面に接地する、前記遊戯媒体の接地面の外形寸法をA×Bとしたときの全体面積に対し、所定値を二乗した値に基づく所定割合を有するとともに、
前記導電性部材の面積の外形寸法が
前記Aと前記Aに対し前記所定値を乗じた値aとの差C、及び、前記Bと前記Bに対し前記所定値を乗じた値bとの差Dからなる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記導電性部材の各々の面積は、
前記接地面の全体面積を1/6又は1/9に割った面積で形成されてなる
ことを特徴とする請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記導電性部材の面積は、
前記接地面の全体面積の70%以上が位置するように形成されてなる
ことを特徴とする請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記第2の検出部は、
静電容量方式タッチセンサにより静電容量値を検出し、
前記導電性部材は、電極を用いる
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項7】
更に、複数の前記電極の静電容量値を検出するセンサーマイコンアレイを備え、
前記センサーマイコンアレイにより、リアルタイムに複数の前記電極の静電容量値を検出する
ことを特徴とする請求項6に記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記遊戯媒体は、静電容量値の異なる遊戯媒体からなり、
前記静電容量値の異なる遊戯媒体が含まれるとき、
前記第1の検出部の画像より、前記静電容量値の異なる遊戯媒体と前記平面と前記電極とが重なる面積を計算する面積計算手段を更に備え、
前記面積計算手段は、前記静電容量値の異なる遊戯媒体の静電容量値を補正する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項9】
複数の遊戯媒体が配置可能に構成されたゲーム装置であって、
それぞれの前記遊戯媒体は、接地面にゲームキャラクタに固有の特性を表すデータを含むコードパターンが不可視光下で識別可能に印刷されており、
前記ゲーム装置は、
ゲーム実行部と、
不可視光を透過する構成からなる平面部と、
前記ゲーム装置の内部から前記不可視光を放射する放射部と、
前記不可視光が前記平面部を透過し、前記遊戯媒体の接地面で反射して前記平面部の側に戻る不可視光を像として前記ゲーム装置の内部にて捉える撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像データを処理して、前記平面部における前記遊戯媒体の位置とそれぞれの前記遊戯媒体に印刷されたゲームキャラクタ固有の特性を表すデータを含む情報を検出し前記ゲーム実行部に供給する画像検出部と、
前記平面部への接触情報を検出し前記ゲーム実行部に供給する接触検出部と
を備え、
遊戯者によって行われる前記平面部での遊戯媒体の操作に応じて、前記画像検出部及び前記接触検出部によって検出される情報を遊戯者の操作情報として前記ゲーム実行部に供給し、
前記ゲーム実行部は当該操作情報に応答してゲームを実行するように構成されており、
ゲーム進行中において遊戯者が前記遊戯媒体を前記平面部において移動させる操作を行ったとき当該遊戯媒体の移動を前記画像検出部で検出し、また、前記平面部への接触を前記接触検出部で検出し、前記画像検出部及び前記接触検出部による操作情報に応じて前記ゲームの進行を制御する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項10】
複数の遊戯媒体が配置可能に構成されたゲーム装置であって、
前記遊戯媒体の各々は、接地面にゲームキャラクタに固有の特性を表すデータを含むコードパターンが不可視光下で識別可能に印刷されており、
前記ゲーム装置は、
ゲーム実行部と、
複数の遊戯媒体の配置が可能な広がりを有し、遊戯者の操作によって配置された遊戯媒体を任意の位置へ移動可能な面によって構成される遊戯媒体操作領域(プレイフィールド)を備え、不可視光を透過する構成の平面部と、
前記配置された遊戯媒体の前記平面部に面する側を前記ゲーム装置の内部から不可視光で照射するように配置された光源部と、
前記ゲーム装置内に配置され、前記配置された遊戯媒体の前記平面部に面する側を前記不可視光下で撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像データを処理して、前記遊戯媒体操作領域における前記遊戯媒体の位置とそれぞれの前記遊戯媒体に印刷されたゲームキャラクタ固有の特性を表すデータを含む情報を検出し、前記ゲーム実行部に供給する画像検出部と、
前記遊戯媒体操作領域の下部に透明部材からなり、前記遊戯媒体が配置された前記平面部に対する上方からの接触情報を検出し前記ゲーム実行部に供給するための接触検出部と
を備え、
遊戯者によって行われる前記平面部での遊戯媒体の操作に応じて、前記画像検出部によって検出される情報が遊戯者の操作情報として前記ゲーム実行部に供給し、前記ゲーム実行部は当該操作情報に応答してゲームを実行するように構成されており、
ゲーム進行中において遊戯者が前記遊戯媒体を前記平面部において移動させる操作を行ったとき当該遊戯媒体の移動を前記画像検出部で検出しつつ、前記平面部への接触を前記接触検出部で検出し、前記接触検出部で検出した情報に応じて前記ゲームの進行を制御する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項11】
複数の遊戯媒体が配置可能に構成されたゲーム装置の制御方法であって、
それぞれの前記遊戯媒体は、接地面にゲームキャラクタに固有の特性を表すデータを含むコードパターンが不可視光下で識別可能に印刷されており、
前記ゲーム装置が不可視光を透過する平面と、前記平面におけるそれぞれの遊戯媒体の位置及び前記平面に配置された前記遊戯媒体のコードパターンを検出するための第1の検出部と、配置されている複数の前記遊戯媒体のいずれかを介した前記平面に対する接触状態を検出するための第2の検出部とを備えるとともに、
前記ゲーム装置の制御部に
平面部に配置された前記遊戯媒体の接地面で反射した前記不可視光から画像データを作成し、
前記画像データを処理して、前記平面部における前記遊戯媒体の位置と前記それぞれの遊戯媒体に印刷されたゲームキャラクタ固有の特性を表すデータを含む操作情報を検出し、
更に前記遊戯媒体が配置された前記平面部に対する接触情報を検出し、
ゲーム進行中において遊戯者が前記遊戯媒体を前記平面部において移動させる操作を行ったとき、前記操作情報と前記接触情報に応じて前記ゲームの進行を制御する
ように構成されてなる
ことを特徴とするゲーム装置の制御方法。
【請求項12】
複数の遊戯媒体が配置可能に構成されたゲーム装置の制御プログラムであって、
それぞれの前記遊戯媒体は、接地面にゲームキャラクタに固有の特性を表すデータを含むコードパターンが不可視光下で識別可能に印刷されており、
前記ゲーム装置が不可視光を透過する平面と、前記平面におけるそれぞれの遊戯媒体の位置及び前記平面に配置された前記遊戯媒体のコードパターンを検出するための第1の検出部と、前記遊戯媒体が配置されている前記平面に対する接触状態を検出するための第2の検出部とを備えるとともに、
前記ゲーム装置の制御部に
平面部に配置された前記遊戯媒体の接地面で反射した前記不可視光から画像データを作成する手順と、
前記画像データを処理して、前記平面部における前記遊戯媒体の位置と前記それぞれの遊戯媒体に印刷されたゲームキャラクタ固有の特性を表すデータを含む操作情報を検出する手順と、
前記遊戯媒体が配置された前記平面部に対する接触情報を検出する手順と、
ゲーム進行中において遊戯者が前記遊戯媒体を前記平面部において移動させる操作を行ったとき、前記操作情報と前記接触情報に応じて前記ゲームの進行を制御する手順と
を実行させる
ことを特徴とするゲーム装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−187911(P2010−187911A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35348(P2009−35348)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】