説明

ゲーム装置及びそのプログラム、ゲーム用データの配信方法

【課題】どこでも、誰でも簡単にゲーム用データの配信を受けられるようにする。
【解決手段】配信するべきゲーム用データをDTMF(Dual Tone Multi Frequency)信号3に変換してテレビやラジオ等のスピーカから音声出力し、そのDTMF信号3をゲーム装置1のマイク1hに入力させる。ゲーム装置1は、マイク1hを介して受け付けたDTMF信号3を高速フーリエ変換等して元のゲーム用データに復調し、フラッシュメモリ等に記憶保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置で実行されるゲームにおいて利用されるゲーム用データの簡便な配信方法、及びその配信を受けるゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時の携帯型ゲーム機は、無線LANトランシーバを内蔵しており、無線LANを介してゲームソフト用の追加データやアップデータの配信を受けることが可能である。
【0003】
下記非特許文献1には、各地の店舗に設置された配信ステーションに無線LAN接続して、この配信ステーションからデータをダウンロードし得るシステムが開示されている。
【非特許文献1】“DSステーション”、[online]、[平成20年7月15日検索]、インターネット<URL HYPERLINK "http://www.nintendo.co.jp/" http://www.nintendo.co.jp/ds/ds#station/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のシステムにおいて、広範なユーザにデータを配信するためには、配信ステーションの設置数を増やさなければならず、その分のコスト負担が発生する。また、ユーザの立場に立てば、配信ステーションの存在する店舗まで出向かないとデータの配信を受けられないという煩わしさがある。
【0005】
ユーザの家庭にデータを配信するとしても、各家庭において無線LAN環境を構築する必要があり、無線LANに関する知識を持たないユーザにとっては敷居が高い。
【0006】
以上に鑑みてなされた本発明は、どこでも、誰でも簡単にゲーム用データの配信を受けられるようにすることを所期の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、音声出力装置から音声として出力される、ゲーム用データを変調した信号をマイクを介して受け付ける信号受付部と、前記信号受付部で受け付けた信号を復調してゲーム用データを取得するデータ取得部と、前記データ取得部で取得したゲーム用データを保存するデータ保存部とを具備するゲーム装置を構成した。ここで、ゲーム装置とは、携帯型ゲーム機、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)やノートブック型パーソナルコンピュータ等を包括した概念である。また、ゲーム用データとは、ゲーム装置で実行されるゲームにおいて参照利用されるデータや、スクリプトないしプログラムをいう。例示すると、予めゲームソフトに実装されている機能やアイテム、ステージ等のロックを解除するためのキー、ゲーム進行管理フラグ、ゲーム中に出現するアイテムの出現位置座標、パズルやクイズ、詰め将棋等の問題データ、占いの種になるデータ、プレイヤーキャラクタの能力パラメータや、所定のゲームソフトのアップデータ等が、ゲーム用データに該当する。
【0008】
本発明によれば、無線LANによらずにゲーム用データを配信することができる。無線LAN環境の構築や接続設定等を行わずに済むため、無線LANに関する知識を持たないユーザにとっても敷居が低い。しかも、テレビやラジオ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、音楽再生機器、屋外の大型モニタや映画館等々、音声出力可能な装置はあまねく存在している。従って、放送番組、インターネット、光学ディスクまたは配給映画といったさまざまな媒体を介してゲーム用データを配信することが可能であり、ゲーム用データ配信の地理的・場所的制約が大いに緩和される。
【0009】
音声出力装置から出力されるゲーム用データの変調信号が人間の可聴域の音声であり、前記信号受付部がその音声をマイクを介して受け付け、前記データ取得部がこれを復調してゲーム用データを取得するものとすれば、ユーザ自身にゲーム用データの配信を認知させることができ、ゲーム装置を操作してゲーム用データを受信する行為がより容易となる。
【0010】
前記変調信号は、ゲーム用データをDTMF(Dual Tone Multi Frequency)信号に変換したものであることが好ましい。DTMFであれば、数秒程度の短時間の内に必要十分な量のデータを配信できる上、送受信時の誤りも小さい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、どこでも、誰でも簡単にゲーム用データの配信を受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1、図2に示すように、本実施形態のゲーム用データ配信方法では、ゲーム用データを変調した信号を所要の音声出力装置2から音声出力し、その音声3をゲーム装置1に受信させるという態様でゲーム用データの配信を実行する。
【0013】
図3に示すように、ゲーム装置1は、プロセッサ1a、メインメモリ1b、補助記憶デバイス1c、表示制御デバイス1d、ディスプレイ1e、操作入力デバイス1f、スピーカ1g、マイク1h及びI/Oインタフェース1i、通信インタフェース1j等のハードウェア資源を備え、これらがコントローラ1kにより制御されて連携動作するものである。補助記憶デバイス1cは、ROMやフラッシュメモリ(スロットに挿入されるカートリッジであることがある)、光学ディスクドライブ、ハードディスクドライブ、その他である。表示制御デバイス1dは、プロセッサ1aより受けた描画指令を基に表示させるべき画像データを生成してディスプレイ1eに向けて送出するグラフィクスプロセッサ、画像データ等を一時記憶しておくビデオメモリ等を要素とする。操作入力デバイス1fは、手指で操作可能な押下ボタン、レバー、キーボードや、タッチパネル(ディスプレイ1eに重合していることがある)、マウス、トラックパッド等のポインティングデバイスである。マイク1hは、ゲーム装置1の筐体に内蔵しているものでもよく、音声入力用端子に有線または無線で接続した外付けのものでもよい。通信インタフェース1hは、無線LANトランシーバやNIC(Network Interface Card)に代表されるが、これ以外にUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを採用することもできる。
【0014】
プロセッサ1aで実行されるべきプログラムは補助記憶デバイス1cに記憶されており、プログラムの実行の際に補助記憶デバイス1cからメインメモリ1bに読み込まれ、プロセッサ1aによって解読される。しかして、ゲーム装置1は、プログラムに従い上記のハードウェア資源を作動して、図4に示す信号受付部101、データ取得部102及びデータ保存部103としての機能を発揮する。
【0015】
信号受付部101は、音声出力装置2から出力されるゲーム用データの変調信号3をマイク1hを介して受け付ける。本実施形態では、ゲーム用データをDTMF信号に変換してなる人間の可聴域の音声信号3を音声出力装置2から出力し、ゲーム装置1のマイク1hに入力させる。図5に示すように、DTMFは、0から9間での数字と#、AからDまでのアルファベット、計十六種類の符号を、低群及び高群の二種の音で送信するものである。具体的には、数字「1」は697Hzの音と1209Hzの音との合成音となり、「9」は852Hzの音と1477Hzの音との合成音となる。
【0016】
データ取得部102は、信号受付部101で受け付けた信号3を復調してゲーム用データを取得する。即ち、マイク1hを介して受信したDTMF信号3を高速フーリエ変換等して元の符号に変換する演算処理を行う。
【0017】
データ保存部103は、データ取得部102で取得したゲーム用データを、メインメモリ1bまたはフラッシュメモリ等の補助記憶デバイス1bに記憶させて保存する。
【0018】
ゲーム装置1で実行されるゲームソフト本体は通常、ROMカートリッジや光学ディスク等のメディアで提供される。ゲーム装置1は、このメディアからゲームソフトを読み出して、またはゲームソフトをハードディスクドライブ等にインストールした上でこのハードディスクから読み出し、ゲームを起動する。そして、ゲームソフトに従い、メインメモリ1bまたはフラッシュメモリ等の補助記憶デバイス1bに記憶したゲーム用データを読み出して、ゲームの制御に活用する。例えば、ゲーム用データがゲーム進行管理フラグやセーブデータ等である場合、そのデータに則してゲームの進行状況を再現したり、ゲームソフトに実装されている特別な機能のロックを解除してユーザがこれを享受できるようにしたりする。ゲーム用データがアイテムの出現位置座標である場合には、ゲームプレイ用フィールドの該当座標にアイテムをセットしてユーザがこれを獲得できる状態にする。
【0019】
本実施形態のゲーム用データ配信方法は、様々な状況に適用できる。例えば、図1に示しているように、ゲーム用データを、テレビやラジオの放送番組またはコマーシャルに含めて配信することができる。この場合、各家庭におけるテレビジョン受像機やラジオ受信機のスピーカが音声出力装置2となって、ゲーム用データの変調信号3を音声出力する。同様に、図2に示しているように、ゲーム用データを映画館で上映する配給映画やコマーシャルに含めて配信することもできる。この場合は、映画館に設営されている音響機器のスピーカが音声出力装置2ということになる。ゲームソフトショップやイベント会場等での配信も、当然に可能である。
【0020】
公衆電話回線やインターネット上のウェブサイトを介して、ゲーム用データを配信することもできる。この場合、ユーザが使用する電話機や携帯電話端末、パーソナルコンピュータ等に音声信号または音声データファイルを送信し、これを受信した電話機等のスピーカからゲーム用データの音声信号3を出力する。
【0021】
ゲーム用データを音声の形で記録した光学ディスク等の記録メディアを、複製してユーザに配布するようにしてもよい。ユーザは、手持ちのCDラジカセやDVDプレーヤ等の再生機器を使用して記録メディアに記録されているゲーム用データの音声信号3を再生しつつ、ゲーム装置1のマイク1hに入力する操作を行う。
【0022】
本実施形態によれば、音声出力装置2から音声3として出力される、ゲーム用データを変調した信号をマイク1hを介して受け付ける信号受付部101と、前記信号受付部101で受け付けた信号3を復調してゲーム用データを取得するデータ取得部102と、前記データ取得部102で取得したゲーム用データを保存するデータ保存部103とを具備するゲーム装置1を構成したため、無線LANによらずにゲーム用データを配信することができる。無線LAN環境の構築や接続設定等を行わずに済むことから、ネットワークに関する知識を持たないユーザにとっても敷居が低く利便性の高いものになる。しかも、音声出力装置2はあまねく存在しているので、放送番組、インターネット、光学ディスクまたは配給映画といったさまざまな媒体を介してゲーム用データを配信することが可能であって、ゲーム用データ配信の地理的・場所的制約が大いに緩和される。
【0023】
音声出力装置2から出力されるゲーム用データの変調信号3が人間の可聴域の音声であり、前記信号受付部101がその音声3をマイク1hを介して受け付け、前記データ取得部102がこれを復調してゲーム用データを取得するものとしたため、ユーザ自身にゲーム用データの配信を認知させることができ、ゲーム装置1を操作してゲーム用データを受信、換言すればゲーム用データの音声信号3をマイク1hに入力する行為がより容易となる。
【0024】
ゲーム用データをDTMF信号に変換して配信するようにしており、数秒程度の短時間の内に必要十分な量のデータを配信できる上、送受信時の誤りも小さくなる。
【0025】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。特に、ゲーム用データの音声信号への変換方式は、DTMFに限定されない。
【0026】
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るゲーム用データの配信システムを示す図。
【図2】本発明に係るゲーム用データの配信システムを示す図。
【図3】本発明の一実施形態におけるゲーム装置のハードウェア資源構成図。
【図4】同ゲーム装置の機能ブロック図。
【図5】ゲーム用データを音声信号に変換するためのDTMFマトリックスを示す図。
【符号の説明】
【0028】
1…ゲーム装置
101…信号受付部
102…データ取得部
103…データ記憶部
2…音声出力装置
3…ゲーム用データの変調信号の音声

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声出力装置から音声として出力される、ゲーム用データを変調した信号をマイクを介して受け付ける信号受付部と、
前記信号受付部で受け付けた信号を復調してゲーム用データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得したゲーム用データを保存するデータ保存部と
を具備するゲーム装置。
【請求項2】
音声出力装置から出力されるゲーム用データの変調信号が人間の可聴域の音声であり、前記信号受付部がその音声をマイクを介して受け付け、前記データ取得部がこれを復調してゲーム用データを取得する請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記変調信号が、ゲーム用データをDTMF(Dual Tone Multi Frequency)信号に変換したものである請求項2記載のゲーム装置。
【請求項4】
ゲーム装置を、
音声出力装置から音声として出力される、ゲーム用データを変調した信号をマイクを介して受け付ける信号受付部、
前記信号受付部で受け付けた信号を復調してゲーム用データを取得するデータ取得部、並びに、
前記データ取得部で取得したゲーム用データを保存するデータ保存部
として機能させるプログラム。
【請求項5】
音声出力装置から出力されるゲーム用データの変調信号が人間の可聴域の音声であり、前記信号受付部がその音声をマイクを介して受け付け、前記データ取得部がこれを復調してゲーム用データを取得する請求項4記載のプログラム。
【請求項6】
前記変調信号が、ゲーム用データをDTMF信号に変換したものである請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
音声出力装置が、ゲーム用データを変調した信号を音声として出力するステップと、
ゲーム装置が、前記音声出力装置から出力されるゲーム用データの変調信号をマイクを介して受け付けるステップと、
ゲーム装置が、受け付けた信号を復調してゲーム用データを取得するステップと、
ゲーム装置が、取得したゲーム用データを保存するステップと
を具備するゲーム用データの配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−35791(P2010−35791A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201558(P2008−201558)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(597157093)株式会社ジュピター (1)
【Fターム(参考)】