説明

ゲーム装置及びゲーム装置の制御プログラム

【課題】ゲーム装置において、アイテム(カード)セットの装填者による不正なアイテムの抜き取り行為が行われていないことを証明するとともに、排出されるアイテムに応じた効果演出を行うことが可能なゲーム装置を提供する。
【解決手段】所定数のアイテムからなるアイテムセットからアイテムを所定の順序で排出するアイテム排出手段と、排出されるアイテムに記録されたアイテム情報を読み取る排出アイテム情報読取手段とを備えたゲーム装置であって、アイテムの排出順序とアイテム情報からなる排出順序情報が記録された排出順序情報記憶手段と、排出順序情報記憶手段に記憶されたアイテム情報と排出アイテム情報読取手段によって読み取られたアイテム情報とを比較する排出アイテム情報比較手段と、その比較結果に基づいた処理を行う比較結果処理手段と、を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイアイテムの種類毎に固有のアイテム情報が記録されたプレイアイテムを用いて、このプレイアイテムに記録されたアイテム情報を読み取り、読み取ったアイテム情報に基づいてプログラムの進行が制御されるゲーム装置に係り、特に、ゲームの実行に応じて新たなプレイアイテムが排出され、ゲームのプレイヤに付与されるゲーム装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲームを実施するための媒体となるプレイアイテムを用いたゲーム装置があり、例えば、カード(トレーディングカード)を用いたタイプのゲーム装置が実用化されている。このようなゲーム装置としては、例えば、昆虫の戦闘やサッカーの試合の内容を対象としたゲーム装置等が知られている。サッカーを対象としたプレイアイテムを用いたゲーム装置は、プレイアイテムとして実在のサッカー選手に対応した選手カードを用いてゲームを行わせるものとなっており、プレイヤ(遊技者)が選手カード配置パネル(以下、プレイフィールドという)上に選手カードを並べると、内部のイメージセンサが選手カードの裏面に記録されたカードデータを読み取り、これら複数の選手カードから、複数の選手によって構成されるチームのデータが作成されてゲーム展開が進行する。このようなカードゲームにおいては、1ゲームの実行毎に新たな選手カードがプレイヤに払い出されるので、プレイヤは通常のサッカーの試合を行うゲームとしての面白みに加えて、カードゲームで使用可能な新たなカードを収集することができるという楽しみを備えている。また、プレイヤは次回のゲームを行なうときに、この新たな選手カードを使用することができるので、選手選択や選手交代等の戦略の幅を広げることができる。
【0003】
このようなカードゲーム装置においては、ゲームは、プレイヤ同士が対戦するか、あるいは一人のプレイヤがコンピュータを相手にして対戦することも可能になっている。このようなカードゲーム装置としては、例えば、特開2002−301264号公報に記載の発明が提案されている。
【0004】
また、上記したサッカーを対象としたカードゲームの他に、ロボットや戦闘機等のカードで部隊を編成して、敵の部隊と戦闘ゲームを行なうカードゲーム装置も提案されている。例えば、特開2006−271825号公報には、上記したサッカーゲーム装置と同様に、プレイフィールド上に載置されたプレイアイテムとなるカードに記録された情報をゲーム装置内部のイメージセンサが読み取って、読み取ったカード情報に関連付けられる各カードの属性情報と位置情報に基づいて戦闘ゲームの進行を制御するゲーム装置の発明が提案されている。
【0005】
この公報に記載のゲーム装置でも、1回のゲームが終了するたびに1枚のカードが新たにプレイヤに払い出されるため、プレイヤは多くのゲームを実行することで多数のカードを所有することができ、ゲームの戦略を変化に富んだものにすることができるようになる。
【0006】
このようなカードゲーム装置に用いられるプレイアイテムとしてのカードは、一般に、数十ないし数百の種類が用意されており、それらの中には、他のプレイアイテムに比してゲームの進行をきわめて有利に展開できるような強力な能力を持つものや、流通量が希少な(「レアアイテム(レアカード)」等と呼ばれる)ものなど、プレイヤの人気が高いプレイアイテムが存在する。例えば、カードの場合、通常のカードであるコモンカードと、このコモンカードよりやや希少度の高い(流通量が少ない)アンコモンカードと、極めて希少度の高いレアカード等が存在し、それらの流通量が、例えば、コモンカード100枚に対してアンコモンカードが10枚、レアカードが1枚程度の比率に設定されている。また、希少度の高いカードには、通常のカードと異なり、カード名が箔押し印字されていたり、カードの表面が光沢加工されていたり、ホログラム加工されていたりするものもある。そして、プレイヤは、ゲームを消化することで排出されるカードが強力なものであったり、希少度の高いものであったときには非常な喜びを感じるものであり、またカード事態の収拾を目的とするプレイヤも存在することから、比較的長期間に亘って人気を維持することができるる。
【0007】
【特許文献1】特開2002−301264号公報
【特許文献2】特開2006−271825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1又は特許文献2に記載のゲーム装置においては、ゲーム装置が設置される遊戯店の運営者により排出用のカードセットがカードゲーム装置に装填される際に、心無い装填者によりプレイヤに人気の高い強力なカードや希少なカードが、装填時に不正に抜き取られているのではないかという疑念をプレイヤに抱かれることにより、ゲーム装置の人気、売上が低下する場合があるという課題があった。
【0009】
また、新しいシリーズのカードセットが発売されるような場合、プログラム自体は新しいバージョンになっていたとしても、プレイヤはゲーム装置の外観等からではどのカードセットが装填されているか判らないため、プレイ意欲の増進に繋がらず、結果として新しいカードセットの投入に対して人気、売上が関与しない場合があるという課題があった。
【0010】
また、カードゲーム装置にどのシリーズのカードセットが装填されているかをカードゲーム装置側で認識できないため、ゲーム装置内のプログラムにカード排出時に装填されているカードセットに対応した効果的な演出を行わせることができないという課題があった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記したゲーム装置について、プレイアイテムセットの装填者による不正なプレイアイテムの抜き取り行為を防止するとともに、排出されるプレイアイテムの種類をゲーム装置側に認識させる手段を持たせ、また、ゲームの実行時に排出されるプレイアイテムに応じた効果演出を行うことが可能なゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を解決するために請求項1に記載の発明は、所定数のアイテムからなるアイテムセットから前記アイテムを所定の順序で排出するアイテム排出手段と、排出される前記アイテムに記録されたアイテム情報を読み取る排出アイテム情報読取手段とを備えたゲーム装置であって、前記ゲーム装置は、前記アイテムセットにおけるアイテムの排出順序と排出されるアイテムのアイテム情報からなる排出順序情報が記録された排出順序情報記憶手段と、前記排出順序情報記憶手段に記憶されたアイテム情報と排出アイテム情報読取手段によって読み取られたアイテム情報とを比較する排出アイテム情報比較手段と、前記排出アイテム情報比較手段の比較結果に基づいた処理を行う比較結果処理手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のゲーム装置において、前記アイテム排出手段による前記アイテムの排出に際して、排出されるアイテムのアイテム情報に基づいた演出画像の表示及び/又は効果音声の放出による演出を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のゲーム装置において、排出された前記アイテムのアイテム情報を記憶する排出アイテム情報記憶手段を備えてなることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のゲーム装置において、前記排出アイテム読取手段によって読み取られたアイテム情報と排出順序情報に記憶されたアイテム情報とが異なるとき、異常報知を行う異常報知手段を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、所定数のアイテムからなるアイテムセットから前記アイテムを所定の順序で排出するアイテム排出手段と、排出される前記アイテムに記録されたアイテム情報を読み取る排出アイテム情報読取手段とを備えたゲーム装置を制御する制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、前記アイテムセットにおけるアイテムの排出順序と排出されるアイテムのアイテム情報からなる排出順序情報が記録された排出順序情報記憶手段、前記排出順序情報記憶手段に記憶されたアイテム情報と排出アイテム情報読取手段によって読み取られたアイテム情報とを比較する排出アイテム情報比較手段、前記排出アイテム情報比較手段の比較結果に応じて異なる処理を行う比較結果処理手段、として機能させることを特徴とするゲーム装置の制御プログラムである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のゲーム装置の制御プログラムを格納した情報記憶媒体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るゲーム装置によれば、上記した手段を備えているので、排出用のアイテムセットにおけるアイテムの排出順序と排出されるアイテム情報からなる排出順序情報が排出順序情報記憶手段に記憶され、この排出順序情報記憶手段に記憶されたアイテム情報と、排出アイテム情報読取手段により読み取られたアイテム情報が排出アイテム情報比較手段により比較され、比較結果処理手段がこの比較結果に基づいた処理を行うので、アイテムセットのアイテム排出手段への装填時に一部のアイテムが抜き取られるような不正行為があった場合は、アイテムセットの装填時に排出順序情報記憶手段に記憶された次に排出されるアイテムの排出順序情報に含まれているアイテム情報と次に排出されるアイテムから排出アイテム情報読取手段により読み取られるアイテムのアイテム情報とが一致しないため、排出アイテム情報比較手段により比較された比較結果に基づいて比較結果処理手段が行う処理により、不正なアイテムの抜き取り行為を検知することができる。これにより、本来プレイヤに付与されるべき抜き取られたアイテムと同一もしくは同等以上のアイテムを補償する等の対処を講ずることができ、プレイヤが知らないうちに不利益を蒙ることを防止することができる。
【0019】
また、上記したゲーム装置によれば、排出アイテム情報読取手段により読み取られる、次に排出されるアイテムのアイテム情報によって、次に排出されるアイテムのアイテム情報をゲーム装置側で認識することができるので、アイテムの排出に際して、排出されるアイテムに対応した映像の表示や音声の放出による効果的な演出を行うことが可能となる。
【0020】
また、本発明に係るゲーム装置によれば、排出されたアイテムのアイテム情報を記憶する排出アイテム情報記憶手段を備えて構成することができるので、ゲーム装置が既に排出したアイテムの履歴情報等を報知することができる。
【0021】
さらに、本発明に係るゲーム装置によれば、排出アイテム読取手段によって読み取られたアイテム情報と排出順序情報に記憶されたアイテム情報とが異なるとき、異常報知を行う異常報知手段を備えて構成することができるので、不正なアイテムの抜き取り行為を検知した場合、エラー表示や異常検知音等により迅速に異常を報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、プレイアイテムとしてカードが排出される場合を例として、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態であるゲーム装置1の全体構成を示す正面図、図2はこのゲーム装置1においてゲーム装置1の下部の前扉8を開放した状態を示す正面図である。なお、以下の説明においては、ゲーム装置を、プレイアイテムであるカードを用いて、様々な昆虫が様々な技を用いて対戦するタイプのカードゲームに適用した場合について説明する。
【0023】
図1及び図2に示すように、ゲーム装置1は、筐体2の前面上部にゲームの名称等が描かれるパネル3を備え、このパネル3の下部には、ゲームの進行説明、デモンストレーション映像又は格闘映像等が表示されるディスプレイ4が配設されている。ディスプレイ4の下部には、筐体2の前面側にせり出す操作テーブル5が設けられ、この操作テーブル5上には左右に3個ずつ配設された操作ボタン6a、6b、6c及び6d、6e、6fを備えている。左側に配設されている3個の操作ボタン6a、6b、6cは、1人でゲームを行うときにプレイヤが操作するボタンであり、右側の3個の操作ボタン6d、6e、6fは、2人でゲームを行うときに2人目のプレイヤが操作するボタンである。これら左右の3個の操作ボタン6a、6b、6c及び6d、6e、6fは、対戦でじゃん拳を行う際、6b及び6eが「グー」、6c及び6dが「チョキ」、6a及び6fが「パー」を選択するボタンとなっている。
【0024】
操作テーブル5の中央には、ゲームに用いるプレイアイテムであるカードに記録されているカード情報を読み取るカード情報読取手段となるカードリーダ7が配設されている。プレイヤは、対戦の前の準備操作として、今回のゲームに使用するメインカードとなる昆虫キャラクタカード(ムシカード)及びサブカードである技カード(打撃、挟み、投げ)等のカードをカードリーダ7に通してスキャンさせることによりゲーム装置1側にカード情報を読み取らせる。
【0025】
筐体2の下部には、蝶番機構により筐体2の前方側に開放可能な前扉8が配設されている。前扉8の上部左方には、コイン投入口10を備えたコインセレクタ9が配設され、コインセレクタ9の下方にコイン投入口10から投入されたコインを貯留するコインボックス13が配設されている。前扉8の上部右方には、演出効果音、ゲーム進行の案内音声、エラー音等を放出するスピーカ11が配設されている。
【0026】
前扉8の下部中央には、プレイヤに付与されるプレイアイテムであるカードが払い出されるカード払出口12が設けられている。本実施形態においては、プレイヤがコイン投入口10から規定のコイン(例えば、100円硬貨等)を投入し、操作テーブル5上の操作ボタン6aないし6fの何れかのボタンを押下すると、カード払出口12から新しいカードが払い出されるようになっている。従って、ゲーム用のカードを1枚も持っていないプレイヤでも、その場で少なくとも1枚のカードを入手した上でゲームが楽しめるように構成されている。なお、本実施形態におけるゲームの流れの詳細については後述する。
【0027】
図2は、図1に示すゲーム装置1の前扉8を開放して、内部の構造を示した正面図である。筐体2内部の上部には、ゲーム装置1の全体動作を集中制御するCPU(マイコン)への入出力を制御する機能を備えた入出力制御基板14が取り付けられており、入出力制御基板14には、電源スイッチ15や音量出力調整その他各種調節用のツマミが接続されている。
【0028】
筐体2内の中央には、本実施形態におけるアイテム排出手段であるカード排出装置16が配設されている。カード排出装置16は、排出されるカードのカードセットが装填される筒状のカード収納部16aと、カードを前扉8のカード払出口12へ排出するカード排出口16bが形成されている。また、筐体2内の右側側板には、ゲーム進行の全体動作を集中制御するCPU(マイコン)部分である主制御基板17が配置されている。
【0029】
図3は、図2に示したカード排出装置16と、このカード排出装置16のカード収納部16aに装填される多数のカード(アイテム)20からなるカードセット(アイテムセット)22と、このカードセット22と同梱されて納入され、カードセット22の排出順序情報31が記録された排出順序情報記録媒体である排出順序情報カード30を示す斜視図である。
【0030】
図3に示すように、カード排出装置16は、カード20の外形形状よりも若干大きな内形形状を有し、カードセット22が装填される筒状のカード収納部16aと、前面下部に形成され、カード収納部16aに積層して装填されたカードセット22の最下層のカード20を1枚ずつ前面側へ排出するためのカード排出口16bと、カード収納部16aに装填されたカードセット22の在庫状況を目視で確認できるように、カード収納部16aの前面板に形成された開口部16cを備えている。また、カード排出装置16のカード収納部16bの底面には、カード20に記録されたカード情報(アイテム情報)21に対向する部分及びカード20を排出するために図示しない排出ローラをカード20の下面に当接させるための開口部16dが形成されている。
【0031】
カード排出装置16の下方には、底面の開口部16dを介してカード20に記録されたカード情報21を読み取るための排出アイテム情報読取手段となる読取センサ18が配設されている。この読取センサ18は、操作パネル5上に配設されているカードリーダ7に使用されているセンサと同等のセンサを用いることができる。
【0032】
本実施形態において、カードセット22は、200枚のカード20から構成されている。各カード20にはカード情報21が記録されており、これらのカード情報21は、例えば、所定の桁数を有する2進数で表現できるようなコードパターンとしてカード20の裏面に印刷されている。このようなコードパターンとしては、例えば、周知の帯状のバーコードやスタック型やマトリックス型などの2次元バーコード等を使用することができる。本実施形態では帯状のバーコードの例を記載するが、例えば磁気コードや電子タグなど払い出されるプレイアイテムに記録される情報と、その情報を読み取ることが可能なものであれば本発明に係るゲーム装置において実施可能である。
【0033】
本実施形態においてカード情報21は、カード20の種類を特定するカード識別コードで構成されている。本実施形態では、カード識別コードであるカード情報21を元に払い出されるカードが本来のカードセット22の並び順である排出の順番と合致しているか否かを判断しているが、例えば、以下に示すようなコモン・アンコモン・レアなどのカード20の希少度情報や、ムシ(昆虫)・技などのカード20のカテゴリ情報を構成に含んでもよい。
【0034】
カード識別コードは、カードの種類ごとに固有のコードであり、カード20の種類コードとカテゴリコードから構成されている。カテゴリコードとは、そのカード20がメインカードであるムシカードであるかサブカードである技カードであるかを示すコードである。本実施形態においてプレイヤは、1枚のムシカードと3枚まで任意に追加可能な技カードをカードゲーム装置1のカードリーダ5に読み取らせてゲームを行うことができる。
【0035】
希少度情報とは、各カード20に設定されている希少度に応じたコードであり、本実施形態においては、最も希少度の高いレアカード(R)、次に希少度の高いアンコモンカード(U)、最も希少度の低い通常カードであるコモンカード(C)の3段階の希少度が設定されている。図3に示す例では、200枚のカード20からなるカードセット22は、2枚のレアカード(R1、R2)と、20枚のアンコモンカード(U1〜U20)と、残り178枚のコモンカード(C1〜C178)から構成されている。
【0036】
このカードセット22には、排出順序情報記録媒体である排出順序情報カード30が同梱して納入される。排出順序情報カード30には、同梱されたカードセット22における各カード20の配列順序とカード情報21の一部又は全部からなる排出順序情報31が記録されている。この配列情報31は、カード20に記録されているカード情報21と同様の手段で排出順序情報カード30に記録されているので、本実施形態においては、排出順序情報入力手段としてカード情報読取手段であるカードリーダ5を使用することができる。
【0037】
図4は、本実施形態において、後述するカードゲーム装置1の主制御基板17に搭載されたCPU101の処理によりRAM103に記憶される配列情報テーブルの一例を示す図である。図4において、排出順序情報カード30から読み取られた排出順序情報31は、「配列順序」、「カテゴリ」及び「種類」のコードからなる「カード識別コード」並びに「希少度コード」が排出順序情報記憶手段となるRAM103の所定の記憶領域に記憶されるとともに、主制御基板17に搭載されているROM102に記憶されている各カード20の属性情報がカード識別コードに対応して取得され、配列情報テーブルとしてRAM103に記憶される。
【0038】
図4において、「カード識別コード」の「カテゴリコード」は、カード20がメインカードである昆虫カード(ムシカード)であるかサブカードである技カードであるかを識別するためのコードであり、ムシカードには「0」、技カードには「1」が記録されている。「種類」コードはカード20の種類を特定する、カード20の種類に固有の識別コードである。「希少度コード」はそのカード20に設定されている希少度に応じて記録されるコードであり、レアカードには「10」、アンコモンカードには「01」、コモンカードには「00」のコードが記録されている。
【0039】
図4に示すような配列情報テーブルを用いることにより、読取センサ18が読み取る次に排出されるカード20のカード情報21の一部又は全部により配列情報テーブルのデータを参照して、次に排出されるカード20をカードゲーム装置1側で認識することができる。これにより、カード20の排出の際に、排出されるカード20に応じた演出を行うことができる。例えば、次に排出されるカード20が、配列順序が5番目のレアカードの場合、カード20の排出の際に、「おめでとう!レアカードの「PLK(カード名)」が当たったよ」等の音声とともに、ディスプレイ3にそのカード20の映像等を表示するような効果的な演出を行うことができる。また、希少度に関する演出以外の例として、例えば排出されるカード20が多少使い方の難しいカードであれば、そのカードのゲーム中での効果的な使用方法のアドバイス演出を行ったり、また、例えばゲーム内容が魔法で様々な服装の組合せを楽しむような着せ替えゲームであればその服装に適した組合せ(ファッションコーディネート)を示唆したりするような演出などを行ってもよい。
【0040】
また、他の実施形態として、配列情報31を、カードセット22における各カード20の配列順序と、カード情報21の一部として記録された希少度コードとから構成し、カードセット22におけるカード20の配列パターンを4ないし6種類程度に設定するように構成しても良い。この場合、図5に示すように、200枚のカード20の配列順序において、レアカード及びアンコモンカードの配列順序を定めた「パターン1」〜「パターン6」のような配列パターンを設定しておき、この配列パターンテーブルを主制御基板17のROM102に記憶させておくように構成することができる。そして、すべてのカードセット22は、これら「パターン1」〜「パターン6」の何れかの配列パターンに従って構成するようにするものである。
【0041】
図5に示す「パターン1」の配列パターンで構成されたカードセット22には、2枚のレアカードR1、R2がそれぞれカードセット22の5番目と155番目に配列され、20枚のアンコモンカードU1〜U20がそれぞれ19番目、23番目、39番目、・・・、199番目に配列される。そして残りの1番目、2番目、4番目、6〜18番目、20〜22番目、・・・、184〜198番目及び200番目にはコモンカードが配列される。
【0042】
図5に示す例では、配列パターンが「パターン2」のカードセット22には2枚のレアカードと21枚のアンコモンカードが含まれており、「パターン3」のカードセット22には3枚のレアカードと19枚のアンコモンカードが含まれていることを示している。そして、プレイヤにとって最も有利な「パターン6」のカードセット22には、200枚のカード20のうち4枚のレアカードと25枚のアンコモンカードが含まれている。この「パターン6」のようにプレイヤに有利なカードセット22は、新しいシリーズのカード20が発行されたときや、特別なイベント会場に設置したカードゲーム装置1に用いると、カードゲームの宣伝に効果的である。
【0043】
また、この実施形態によれば、配列情報記録媒体として、先の実施形態において説明したカード20と同等に形成された排出順序情報カード30を同梱する必要はなく、カードセット22の梱包材に「1」ないし「6」のような識別符号を印刷して、この識別符号をカードゲーム装置1に入力するように構成することもできる。さらに、レアカードやアンコモンカードにコモンカードと異なるプリズム加工やホログラム加工等の特殊印刷が施されている場合は、上記した排出されるカード20の読取センサ18として、カード20表面の反射係数を読み取るフォトセンサを使用するようにしても良い。
【0044】
また、カードセット22は、上記したカード20のみが積層されるものに限らず、例えば図6に示すように、1枚1枚のカード20又は複数枚のカードを外から中のカードの種類が判らないようにパッキングを行ったピロー袋入りカードと呼ばれる包装したパック詰めのカード40を積層したものを用いても良い。この場合、カードパック40に印刷されたシリアル番号や通し番号などを配列順序情報41として読取センサ18で読み取るように構成する。この場合には、ピロー袋本来の目的である中のカードの種類を判らなくするという趣旨から、カードパック40に印刷される排出順序情報41により中のカードの種類が特定されないよう、印刷される情報はできるだけ内容物であるカードの種類と関連のない製造番号などが望ましい。その場合は排出順序情報記録媒体には各カードパックセット42に含まれる個別のカードパック40の製造番号とその排出順序が記録されていればよい。
【0045】
また、カード以外のプレイアイテムでも、例えば箱上のものを縦もしくは横方向に装填して順番に排出を行うような場合でも排出順が特定でき、かつその排出されるアイテムの順番をゲーム装置が読み取ることが可能であれば本発明を実施することが可能である。
【0046】
図7は、ゲーム装置1の動作を制御する制御システムのブロック図の一例を示す。主制御基板17は、CPU101、読み取り専用の記憶手段(メモリ)であるROM102、CPU101の各種処理領域となる読み書き可能な記憶手段であるRAM103、入出力インタフェース104、サウンド回路105、映像表示回路106等を有する制御基板から構成されている。ROM102及びRAM103には、カードゲーム装置1によりゲームを実施するとき、ゲームの進行を制御するためのゲーム進行制御プログラム、およびプレイヤがゲームを実施するときに使用可能なカード20ごとに予め設定されている属性情報(パラメータ等)が記憶されている。
【0047】
入出力インタフェース104は、カードリーダ7、カード排出装置16、排出カード20のカード情報21を読み取る読取センサ18、操作ボタン6a〜6f及び外部の通信ネットワーク19等が接続されている。
【0048】
サウンド回路105は、入出力制御基板14を経由してディスプレイ4に表示される各種画像に応じた音声を出力するサウンドアンプ(スピーカ)11に接続されている。なお、音声データおよびこの音声データをスピーカ11に出力するための音声出力制御プログラムもROM102に記憶される。映像表示回路106は、CPU101からの制御信号により選択された画像をディスプレイ4に表示させる。
【0049】
続いて、図1〜図7に示したゲーム装置1のROM102及びRAM103に記憶され、ゲーム装置1のゲームの進行を制御するソフトウエアの構成について説明する。図8は、ゲーム装置1のゲーム進行を制御するゲーム進行制御プログラムPについてそのプログラム構成の一例を示す図である。
【0050】
図8に示すように、ゲーム進行制御プログラムPは、メイン制御プログラム部P1、入出力制御プログラム部P2、格闘制御プログラム部P3、画像制御プログラム部P4、音声出力制御プログラム部P5から構成される。
【0051】
メイン制御プログラム部P1は、ゲーム装置1の動作を統括して制御するためのプログラムとこの統括制御に必要とされるサブプログラムから構成されている。メイン制御プログラム部P1は、メイン制御プログラムP1a、入力信号解析プログラムP1b、ゲーム実施許可プログラムP1c、通信制御プログラムP1d、等のサブプログラムを備えている。
【0052】
メイン制御プログラムP1aは、ゲーム装置1の電源をオンした後に実行され、ゲーム進行の全体の流れを制御するためのプログラムである。メイン制御プログラムP1aには、ゲーム装置1の電源をオンしたときに、プログラムの計算処理等で使用するRAM103内のワークエリアを初期化するプログラム、電源をオンしたときに表示手段となるディスプレイ4に初期化画面、例えば、ゲームのタイトル名等を表示するための初期画面表示プログラム等も含まれている。
【0053】
入力信号解析プログラムP1bは、カードリーダ7、操作ボタン6a〜6f等からの入力信号が入力されたときに、その入力信号(割込み信号等)の解析処理と、この入力信号に対応した処理を行なうサブプログラムに制御を移管させる処理を行なうプログラムである。例えば、プレイヤが操作ボタン6a〜6cを押圧してその信号が入力されると、入力信号解析プログラムP1bはその信号の種類を解析する。そして、メイン制御プログラムP1aは対戦のアニメーション画像(オブジェクト画像)を表示するプログラムを作動させて、ディスプレイ4に対戦状況を示すアニメーション画像(動画像)が所定の時間表示されるように制御する。
【0054】
ゲーム実施許可プログラムP1cは、プレイヤがコインセレクタ9のコイン投入口10に投入したコインの数(個数)をカウントして投入コイン数を記憶する処理、すなわち、投入コイン数をゲーム料金として引き当てるためのコイン貯留個数を把握する処理と、このコイン貯留個数が1ゲームのゲーム料金(クレジット)を満たしているか否かを判定する処理等を行なうプログラムである。そして、この判定により、コイン貯留個数(投入コイン個数)が1ゲームのゲーム料金を満たしているとときには、ゲームの実施を許可する処理を行なう。また、満たしていない場合には、ディスプレイ4にコイン投入必要数を表示させる処理を行なう。
【0055】
通信制御プログラムP1dは、プレイヤが他のゲーム装置等を操作するプレイヤと対戦する場合等に、外部の通信ネットワーク19等に接続し、他のゲーム装置等とデータ通信を行なうためのプログラムである。
【0056】
入出力制御プログラム部P2は、入出力インタフェース104に接続されている上記した操作ボタン6a〜6f、カードリーダ7や読取センサ18からの入力信号に基づいて所定の処理を行なうプログラムと、カードリーダ7、カード排出装置16等の動作を制御するためのプログラムから構成されている。図8に示すように、入出力制御プログラム部P2は、カード情報読取プログラムP2a、カード属性情報取得プログラムP2b、カード払出装置制御プログラムP2c、排出カード情報比較プログラムP2d、異常検知プログラムP2e等のサブプログラムを備えている。
【0057】
カード情報読み込みプログラムP2aは、ゲームを行なう際にプレイヤがカードリーダ7にカード20を通したときに、カードリーダ7のセンサによりこのカード20に記録(印刷)されているカード情報21をRAM103に読み込む処理と、このRAM103に読み込んだカード情報21に基づいて、コードパターンが表す情報を解読して上記したカード識別コードを求める処理と、この求めたカード識別コードをRAM103に記憶する処理を行なうためのプログラムである。
【0058】
カード属性情報取得プログラムP2bは、RAM103に記憶されたカード識別コードに基づいて、ROM102に記憶されているカード20の属性情報を取得して、この属性情報をカード識別コードに関連付けてRAM103に記憶する処理を行うためのプログラムである。カード20の属性情報は、カード識別コードとともに予め全ての種類のカード20の情報がROM102に格納されており、図4の右側に示すような、「カード名」、「体力」、「強さ」、「技術」及び「効果」等のパラメータである。
【0059】
カード排出装置制御プログラムP2cは、メイン制御プログラムP1aの制御に基づいて、例えば、ゲーム実施許可プログラムP1cがゲームの実施を許可したときに、プレイヤに対して新たなカード20を1枚払い出す制御を行なうためのプログラムである。この払い出される新たなカード20は、上記したムシカード及び技カードの中から1枚のカードがカード排出装置16に装填されているカードセット22の最も下のものから排出カード(プレイアイテム)として払い出される。そして、この新たに払い出されたカード20はプレイヤが所有するカードとして、今回のゲームから使用することが可能になる。
【0060】
排出カード情報比較プログラムP2dは、排出順序情報カード30から読み取られてRAM103に記憶されている排出順序情報31の次に排出されるカード20のカード情報21と、排出カード読取センサ18が読み取った次に排出されるカード20のカード情報21とを比較して、両者が一致しているか否かを判定する処理を行うためのプログラムである。
【0061】
異常報知プログラムP2eは、上記排出カード情報比較プログラムP2dが、RAM103に記憶されている配列情報31の次に排出されるカード20のカード情報21と、排出カード読取センサ18が読み取った次に排出されるカード20のカード情報21とを比較した結果、両者が一致しないと判定されたときに動作し、後述する画像制御プログラム部P4及び音声出力制御プログラム部P5を作動させて、ディスプレイ4にエラー画像を表示させるとともに、スピーカ11から異常検知音を放出させる処理を行うためのプログラムである。
【0062】
対戦制御プログラム部P3は、プレイヤが選択したムシカード20及び技カード20に関する登録操作が終了して、メイン制御プログラムP1aがカードゲーム装置1のゲームの制御モードを「対戦モード」に設定したときに、操作ボタン6aないし6fの操作に応じた制御と、対戦ゲームが終了したときの結果の判定等を行なうプログラムから構成されている。対戦制御プログラム部P3は、図7に示すように、対戦進行格闘制御プログラムP3a、対戦結果判定プログラムP3b、等のサブプログラムを備えている。
【0063】
本実施形態における対戦ゲームは、プレイヤが操作ボタン6a、6b、6cを選択してじゃん拳の手(「グー」、「チョキ」又は「パー」)を決定し、対戦者とじゃん拳を行いながら進行する。1回の対戦においては、じゃん拳に勝利したプレイヤ(又はコンピュータ)に相手を攻撃する権利が与えられ、攻撃側のムシカード及び技カードの「強さ」に応じたダメージを相手に与えることができる。攻撃を受けた側は、受けた攻撃の程度に応じて「体力」の値が減じられ、何回かの対戦の結果、何れかの「体力」の値が0になると、1回のゲームが終了する。なお、ここでいう対戦者は必ずしもその場にいる人間に限らず、対戦制御プログラム部P3によってコンピュータであるCPU101が対戦相手の役割を行う場合や、通信ネットワーク部19によって他の場所にある別なゲーム装置1を用いて他のプレイヤと対戦を行う場合も含まれる。
【0064】
メイン制御プログラムP1aがカードゲーム装置1のゲームの制御モードを「対戦モード」に設定すると、対戦進行プログラムP3aは、所定の時間(例えば、10秒)をカウントする処理を行い、対戦前準備のアニメーション画像データとともに所定時間をカウントダウンする画像をディスプレイ4に表示させる制御を行う。プレイヤは、この所定の時間内に操作ボタン6aないし6c又は6dないし6eを選択してじゃん拳で勝負する手を決定する。所定の時間が経過すると、対戦結果判定プログラムP3bは、じゃん拳の結果に基づいて対戦の勝者を判定する処理を行う。以上の処理を、何れかのプレイヤ(又はコンピュータ)の操作するムシカード20の「体力」の値が0になるまで繰り返す。
【0065】
画像制御プログラム部P5は、メイン制御プログラム部P1、入出力プログラム部P2、及び対戦制御プログラム部P3の各プログラムの制御に基づいて、ディスプレイ4に各種の演出画像を出力するためのプログラムから構成される。この画像制御プログラム部P4は、初期画面制御プログラムP4a、準備画面制御プログラムP4b、カード排出画面制御プログラムP4c、対戦準備画面制御プログラムP4d、対戦画面制御プログラムP4e、対戦結果画面制御プログラムP4f、ゲーム終了画面制御プログラムP4g、等のサブプログラムを備えている。
【0066】
音声出力制御プログラム部P5は、メイン制御プログラム部P1、入出力制御プログラムP2、及び対戦制御プログラム部P3等の各プログラムの制御に基づいて、スピーカ11から音声を出力するためのプログラムである。
【0067】
上記したプログラムは、C言語等のプログラム開発言語を用いて開発することができる。そして、C言語等により開発したソースプログラムを、CPU23で実行できるオブジェクト(機械語)プログラムに翻訳したプログラムが、ROM102、あるいはハードディスク装置、CD−ROM、DVD−ROM等の外部記憶装置に記憶される。また、各種の画像データおよび音声データもこれらのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶する。そして、ゲーム装置1の電源がオンされると、ROM102等に記憶されているこれらのプログラムと画像データおよび音声データは、RAM103に読み込まれる。そして、このプログラムが立ち上がると、ゲーム装置1は、ゲームを実施することが可能な状態になる。
【0068】
続いて、本発明の実施形態であるゲーム装置1のゲームの進行制御について、図9のフローチャートを参照してステップ順に説明する。
【0069】
(ステップS1)
ゲーム装置1の電源がオンされると、メイン制御プログラムP1aは、初期画面制御プログラムP4aを作動させて、ディスプレイ4にゲーム装置1のゲームのタイトル、ゲームの手順等を表示するアドバタイズの処理を行なう。これにより、ゲーム装置1は、プレイヤによるゲームを実施するための料金となるコイン等の投入待ちの状態になる。
【0070】
(ステップS2)
プレイヤがコインをコインセレクタ9のコイン投入口10に投入すると、コインセレクタ9内に設置されているコイン検出センサは投入されたコインを検出し、この検出信号は入出力インタフェース104を介してゲーム装置1の主制御基板17に入力される。すると、入力信号解析プログラムP1bはこの入力信号の種類を解析し、コイン投入信号であると判定すると、ゲーム実施許可プログラムP1cを作動させる。
【0071】
ゲーム実施許可プログラムP1cは、プレイヤがコインセレクタ9に投入したコインが1ゲームのゲーム料金であるクレジット(例えば、100円)を満たしているか否かを判定する処理を行なう。そして、1ゲームの実施を行なうことができるコインが投入されると、ゲームの実施を許可する処理を行なう。このゲーム実施許可の処理として、操作ボタン6aないし6fが操作可能になったことを、操作ボタン6aないし6fを点灯させる等の処理を行う。そして、準備画面制御プログラムP4bを作動させてプレイヤに次の操作手順をディスプレイ4に表示する処理を行なう。プレイヤは、ディスプレイ4に表示された手順に従って、操作ボタン6aないし6fの何れかのボタンを押下する操作を行う。
【0072】
なお、ゲーム実施許可プログラムP1cは、コインが1ゲームのクレジットを満たしていると判定した場合には、RAM103に記憶しているコイン貯留個数から今から実施する1ゲーム分のクレジットとなるコイン数を減算し、減算して得たコイン貯留個数をRAM103に記憶する処理を行なう。このコイン貯留個数の更新処理は、プレイヤが1ゲームのゲーム料金に対して余分なコインを投入したときに、余ったコインを次のゲームのゲーム料金として引き当てるために行なう処理である。
【0073】
(ステップS3)
プレイヤにより操作ボタン6aないし6fの何れかがオン操作されると、メイン制御プログラムP1aは排出カード情報比較プログラムP2dを作動させる。排出カード情報比較プログラムP2dは、RAM103に記憶されている次に排出されるカードのカード情報と、排出カードの情報を読み取る読取センサ18によって読み取られた次に排出されるカード20のカード情報とを比較し、両者が一致するか否かを判定する処理を行う。そしてこのステップS3において肯定判定(比較した結果、両者が一致する)がなされた場合、ステップS6に進み、否定判定(比較した結果、両者が一致しない)がなされた場合、ステップS4へ進む。このステップS3における処理は、本発明に係るゲーム装置1における排出アイテム情報比較手段となる。
【0074】
(ステップS4)(ステップS5)
ステップS4では、メイン制御プログラムP1aは、納入時のカードセット22のカード20配列と、排出されようとしているカード20が異なるので、特定のカード20が抜き取られるような不正な盗難の可能性があると判定し、異常検知プログラムP2eを作動させる。異常検知プログラムP2eは、画像制御プログラム部P4及び音声出力制御プログラム部P5を作動させて、ディスプレイ4に所定の画像を表示させるとともに、スピーカ11から所定の検知音を放出させる処理を行う。そして、ステップS5において、メンテナンスの係員等によって検知された異常状態を解除する処置を行う。なお、異常検知プログラムP2eの作動に伴って、通信制御プログラムP1cを作動させて、カードセット22の発行者に異常信号を送信するように構成しても良い。このステップS4及びステップS5の処理は、本発明に係るゲーム装置1における比較結果処理手段となる。
【0075】
(ステップS6)
ステップS3で肯定判定がなされるとメイン制御プログラムP1aは、カード排出装置制御プログラムP2cを作動させて、新しいカード20をカード払出口12から払い出す処理を行う。また、カード20の払い出しに際して、メイン制御プログラムP1aは、カード排出画面制御プログラムP4cを作動させて、払いだされるカード20に対応した演出画像をディスプレイ4に表示する処理を行い、同時に音声出力制御プログラム部P5により、スピーカ11から効果音を放出する処理を行う。なお、このカード20払出時の映像及び音声による演出は、カード情報の種類コードに応じて平仮名や片仮名が読めない児童向けに全てのカードに対してその種類のカード名称を読みあげる「よみがな演出」、希少度の高いレアカードやアンコモンカードなどカード情報の希少度コード値に応じて演出を行う「おめでとう演出」、昆虫カード、技カードなどカード情報のカテゴリ識別コード値に応じて演出を行う「使い方説明演出」など、読み取られた排出アイテム情報に応じて異なる演出や、特定のアイテム情報を持つ場合の払出時にのみ行うように構成しても良い。
【0076】
(ステップS7)
続いて、メイン制御プログラムP1aは、準備画面制御プログラムP4bを作動させて、プレイヤに1人用で遊戯するか2人用で遊戯するかを選択させる案内画面を、ディスプレイ4に表示する処理を行う。プレイヤは、ディスプレイ4に表示された案内に従って、1人用又は2人用を選択する操作を操作ボタン6aないし6fを使用して行う。
【0077】
(ステップS8)
ステップS8においては、プレイヤは今回のゲームで使用するカード20を、ゲーム装置1に登録する操作を行う。プレイヤはディスプレイ4に表示される案内に従って、まず、メインカードとなる昆虫カード(ムシカード)20をカードリーダ7に通す。メイン制御プログラムP1aは、カード情報読み込みプログラムP2aを作動させて、プレイヤがカードリーダ7に通したカード20に記録(印刷)されているカード情報21をカードリーダ7のセンサによりRAM103に読み込む処理を行い、このRAM103に読み込んだカード情報21に基づいて、コードパターンが表す情報を解読して上記したカード識別コードを求める処理と、この求めたカード識別コードをRAM103に記憶する処理を行なう。続いて、メイン制御プログラムP1aはカード属性情報取得プログラムP2bを作動させて、RAM103に記憶されたカード識別コードに基づいて、ROM102に記憶されているカード属性情報テーブルからカード20の属性情報を取得して、この属性情報をカード識別コードに関連付けてRAM103に記憶する処理を行う。
【0078】
さらにプレイヤは、今回使用する技カード20がある場合、順次、技カード20をカードリーダ7に通す操作を行う。このとき、準備画面制御プログラムP4bは、カード属性情報取得プログラムP2bによりRAM103に記憶されたカード20の属性情報に基づいて、登録されたカード20の属性情報や図柄等をディスプレイ4に表示する処理を行う。そして、全てのカード20の登録が終了すると、プレイヤは操作ボタン6aないし6cを押圧操作して、カード20の登録処理が終了する。ここで、2人用のゲームを選択した場合は、1人目のプレイヤの登録処理の終了後に、2人目のプレイヤのカード20の登録を行う。
【0079】
(ステップS9)
上記したステップS8におけるカード情報21の読取及び登録処理が終了すると、メイン制御プログラムP1aは、ゲーム装置1のゲームの制御モードを「対戦モード」に設定し、対戦進行プログラムP3aを作動させる。対戦進行プログラムP3aは、所定の時間(本実施形態においては、10秒)をカウントする処理を行い、メイン制御プログラムP1aは対戦準備画面制御プログラムP4dを作動させて、対戦準備のアニメーション画像データとともに10秒間をカウントダウンする画像をディスプレイ4に表示させる制御を行う。プレイヤは、この所定の時間内に操作ボタン6aないし6c又は6dないし6eを選択してじゃん拳で勝負する手を決定する。所定時間の10秒が経過すると、対戦結果判定プログラムP3bは、じゃん拳の結果に基づいて勝者を判定する処理を行う。
【0080】
1回の対戦(じゃん拳)の勝者が決定すると、対戦進行プログラムP3aは対戦画面制御プログラムP4eを作動させて、勝者側のムシが敗者側のムシを攻撃するアニメーション画像データをディスプレイ4に表示させる制御を行う。
【0081】
(ステップS10)
1回の対戦画像の表示が終了すると、対戦結果判定プログラムP3bにより、各プレイヤのムシの「体力」の値が0であるか否かを判定する処理行われる。この判定処理により、何れかのムシの「体力」の値が0になったと判定された場合、ステップS11へ進み、どちらのムシの「体力」の値も0になっていないと判定された場合、ステップS9に戻って次の対戦(じゃん拳)を行う。
【0082】
以上のステップS9とステップS10の処理を、何れかのプレイヤ(又はコンピュータ)の操作するムシの「体力」の値が0になるまで繰り返す。
【0083】
(ステップS11)
ステップS11においては、相手のムシの「体力」の値を0にしたプレイヤがゲームの勝者となり、対戦進行プログラムP3aは、対戦結果画面制御プログラムP4fを作動させて、対戦結果の画像データをディスプレイ4に表示させる制御を行う。
【0084】
(ステップS12)
ステップS12においては、メイン制御プログラムP1aは、ゲーム終了画面制御プログラムP4gを作動させて、ゲームの終了画像データをディスプレイ4に表示させる制御を行うとともに、RAM103の記憶領域を初期化してステップS2に戻る。
【0085】
次に図10及び図11を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態では、例えば、ルーレットゲームや宝探しゲーム等の景品獲得ゲームにおいて、景品の払出条件を満たしたときにプレイヤにアイテムが払い出されるゲーム装置を例に説明する。
【0086】
図1及び図2に示すものと同様の筐体2を備えたゲーム装置1の内部には、図10に示すようなアイテム排出手段となるアイテム排出装置16が収納されている。アイテム排出装置16は、景品となるキャラクタの人形等のアイテム60が箱状の梱包材で梱包されたアイテムボックス50を排出する装置であり、アイテムボックス50が収納される収納部16aとアイテムボックス排出口16bを備えている。本実施形態において、アイテムセット52は20個のアイテムボックス50から構成されている。
【0087】
各アイテムボックス50の側面には、排出アイテム情報51が記録されている。この場合、アイテムボックス50に印刷されたシリアル番号や通し番号などを配列順序情報51として読取センサ18で読み取るように構成する。この場合も、図6に示したカードパック40と同様に、中のアイテムの種類を判らなくするという趣旨から、アイテムボックス50に印刷される排出順序情報51により中のアイテム60の種類が特定されないよう、印刷される情報はできるだけ内容物であるアイテム60の種類と関連のない製造番号などが望ましい。その場合は排出順序情報記録媒体には各アイテムセット52に含まれる個別のアイテムボックス50の製造番号とその排出順序が記録されていればよい。
【0088】
図11は、本実施形態におけるゲーム装置1の制御の流れを説明するためのフローチャートである。
【0089】
(ステップS21)
プレイヤは、ゲームを開始するための料金の投入、プレイするゲームの選択、ゲームの開始準備等の操作の後、景品獲得ゲームをプレイする。
【0090】
(ステップS22)
プレイ終了後、ゲーム装置1のゲーム進行プログラムは、ゲームの結果が景品(アイテム60)の払出条件を満足しているか否かを判定する処理を行う。この判定処理の結果、景品の払出条件を満足していないと判定された場合はゲーム終了となる。この判定処理の結果、景品の払出条件を満足していると判定された場合はステップS23に進む。
【0091】
(ステップS23)
ステップS23では、排出されるアイテムボックス50の排出順序情報51を読み取り、RAM103の所定の領域に記憶する処理を行う。
【0092】
(ステップS24)
ステップS24では、図9に示すステップS3と同様の処理を行い、アイテムセット52の装填時にRAM103に記憶させた排出順序情報とステップS23で記憶された排出順序情報51が一致するか否かを判定する処理を行い、一致する場合はステップS26に進み、一致しない場合はステップS25に進む。
【0093】
(ステップS25)
ステップS25では、図9に示すステップS4、ステップS5と同様の処理を行う。
【0094】
(ステップS26)(ステップS27)
ステップS24で肯定判定がなされるとゲーム装置1の制御プログラムは、アイテム排出装置制御プログラムを作動させて、新しいアイテムボックス50を払い出す処理を行う(ステップS26)。また、アイテムボックス50の払い出しに際して、メイン制御プログラムは、アイテム排出画面制御プログラムを作動させて、払いだされるアイテムボックス50に梱包されているアイテム60に対応した演出画像をディスプレイ4に表示する処理を行い、同時に音声出力制御プログラム部により、スピーカ11から効果音を放出する処理を行う。なお、このアイテムボックス50払出時の映像及び音声による演出は、上記した「よみがな演出」、「おめでとう演出」、「使い方説明演出」など、読み取られた排出アイテム情報に応じて異なる演出や、特定のアイテム情報を持つ場合の払出時にのみ行うように構成しても良い。
【0095】
以上説明したように本発明の一実施形態に係るゲーム装置1によれば、カードセット22のカード排出手段16への装填時に一部の強力なカードや希少なカード20等が抜き取られるような不正行為があった場合は、カードセット22の装填時にRAM103に記憶された次に排出されるカードの排出順序情報31に含まれているカード情報21と、次に排出されるカード20から排出カード情報読取センサ18により読み取られるカード20の排出順序情報に含まれているカード情報21とが一致しないため、異常検知プログラムP2eが作動して不正なカード20の抜き取り行為を検知することができる。これにより、本来プレイヤに付与されるべき抜き取られたカードと同一もしくは同等以上のカード20を補償する等の対処を講ずることができ、プレイヤが知らないうちに不利益を蒙ることを防止することができる。
【0096】
また、排出順序情報カード30に記録された排出順序情報31が、カードセット22におけるカード20の配列順序と、そのカード20のカード情報21の一部又は全部とからなるので、排出カード情報読取センサ18により読み取られる、次に排出されるカード20のカード情報21の一部又は全部によって、次に排出されるカード20のカード情報21の一部又は全部をカードゲーム装置1側で認識することができるので、カード20の排出に際して、排出されるカード20に対応した映像の表示や音声の放出による効果的な演出を行うことが可能となる。
【0097】
さらに、プレイヤによるコイン投入待ちのアドバタイズ時に、装填されているカードセットのバージョンを報知するような演出をすることもできる。また、最後に払い出されたカード名を表示したり、次に排出されるカード20を暗示するような演出を表示したりして、プレイヤのプレイ意欲を惹起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一実施形態を示すゲーム装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】図1に示すゲーム装置において、前扉を開放した状態を示す正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るカード排出装置、カードセット及び排出順序情報カードの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る配列情報テーブルの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る配列パターンテーブルの一例を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るカード排出装置、カードパックセット及び排出順序情報カードの一例を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係るゲーム装置の制御システムを表したブロック図である。
【図8】本発明の実施形態に係るゲーム装置の作動を制御するゲーム進行制御プログラムについて、その構成例を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態に係るゲーム装置におけるゲームの制御の流れを説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係るアイテム排出装置、アイテムセットの一例を示す斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るゲーム装置におけるゲームの制御の流れを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1 :ゲーム装置
2 :筐体
3 :パネル
4 :ディスプレイ
5 :操作テーブル
6a〜6f:操作ボタン
7 :カードリーダ(プレイアイテム情報読取手段)
8 :前扉
9 :コインセレクタ
10 :コイン投入口
11 :スピーカ
12 :カード払出口
13 :コインボックス
14 :入出力制御基板
15 :電源スイッチ
16 :カード排出装置(プレイアイテム排出手段)
17 :主制御基板
18 :読取センサ(排出プレイアイテム情報読取手段)
20 :プレイアイテム(カードの例)
21 :プレイアイテム情報(カード情報の例)
30 :排出順序情報記録媒体
31 :排出順序情報
40 :プレイアイテム(カードパックの例)
41 :プレイアイテム情報(カードパック情報の例)
50 :アイテムボックス
51 :アイテム情報
60 :アイテム
101:CPU
102:ROM
103:RAM
104:入出力インタフェース
105:サウンド回路
106:映像表示回路
P :ゲーム進行制御プログラム(ゲーム制御手段)
P1a:メイン制御プログラム
P2a:排出アイテム情報読取プログラム
P2b:排出アイテム属性情報取得プログラム
P2c:アイテム排出装置制御プログラム
P2d:排出アイテム情報比較プログラム
P2e:異常報知プログラム
P3a:対戦進行プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定数のアイテムからなるアイテムセットから前記アイテムを所定の順序で排出するアイテム排出手段と、排出される前記アイテムに記録されたアイテム情報を読み取る排出アイテム情報読取手段とを備えたゲーム装置であって、
前記ゲーム装置は、
前記アイテムセットにおけるアイテムの排出順序と排出されるアイテムのアイテム情報からなる排出順序情報が記録された排出順序情報記憶手段と、
前記排出順序情報記憶手段に記憶されたアイテム情報と排出アイテム情報読取手段によって読み取られたアイテム情報とを比較する排出アイテム情報比較手段と、
前記排出アイテム情報比較手段の比較結果に基づいた処理を行う比較結果処理手段と、
を備えてなることを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置において、前記アイテム排出手段による前記アイテムの排出に際して、排出されるアイテムのアイテム情報に基づいた演出画像の表示及び/又は効果音声の放出による演出を行うことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項1に記載のゲーム装置において、排出された前記アイテムのアイテム情報を記憶する排出アイテム情報記憶手段を備えてなることを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項1に記載のゲーム装置において、前記排出アイテム読取手段によって読み取られたアイテム情報と排出順序情報に記憶されたアイテム情報とが異なるとき、異常報知を行う異常報知手段を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
所定数のアイテムからなるアイテムセットから前記アイテムを所定の順序で排出するアイテム排出手段と、排出される前記アイテムに記録されたアイテム情報を読み取る排出アイテム情報読取手段とを備えたゲーム装置を制御する制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記アイテムセットにおけるアイテムの排出順序と排出されるアイテムのアイテム情報からなる排出順序情報が記録された排出順序情報記憶手段、
前記排出順序情報記憶手段に記憶されたアイテム情報と排出アイテム情報読取手段によって読み取られたアイテム情報とを比較する排出アイテム情報比較手段、
前記排出アイテム情報比較手段の比較結果に応じて異なる処理を行う比較結果処理手段、
として機能させることを特徴とするゲーム装置の制御プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のゲーム装置の制御プログラムを格納した情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−161479(P2008−161479A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354911(P2006−354911)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】