説明

コ−ヒ−等の抽出装置

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は自動販売機,事務所用のコーヒーサーバー等にて使用するコーヒー,紅茶等の抽出装置に係わる。
従来の技術 従来の技術としては、例えば特公昭57−31892号公報(特願昭55−143768号)に示されるようなものが知られている。
以下、従来のコーヒー抽出装置を上方より見た第6図を参照しながら説明する。
1はコーヒー抽出装置であり、フレーム2内に上下摺動自在に支持したシリンダ3と、ピストン4を有している。5は電動モータで、カム軸6により各シリンダ3とピストン4を駆動するものである。7はフィルター8を設けたフィルターキャリッジ、9は調合カップ10を設けたカップキャリッジである。このカップキャリッジ9は、上下に配列した2本のロッド11にて左右に摺動自在に各々支持されている。このロッド11および両キャリッジ7,9はフレーム1に対して着脱自在に設けてある。また12はカム軸6の動きと連動して移動するワイヤーであり、その先端はキャップキャリッジ9の係合部13に着脱自在に取付けられている。
発明が解決しようとする問題点 かかる従来例において、フィルターキャリッジ7、カップキャリッジ9等を洗浄する際には、両キャリッジ7,9を取外す必要がある。このようなときは、はじめにワイヤー12を係止部13から取外し、ワイヤー12とカップキャリッジ9の連結を解除した後、両キャリッジ7,9を外すものである。しかしながらワイヤー12とカップキャリッジ9にはある引張力が存在しており、カップキャリッジ9を左方へ押しつつ、両者の係合を解く必要があって、狭い自動販売機内等では、両手操作のため、作業性がよいとはいえない。
本発明は上記問題点に鑑みカップキャリッジやフィルターキャリッジの洗浄を簡単に行なえるとともに、着脱時の操作性がよいコーヒー等の抽出装置を提供するものである。
問題点を解決するための手段 本発明はかかる問題点に鑑み、後部に上下方向に延びる係止片を備えるとともにコーヒー等の粉を収納するカップ部と、キャリッジフレームと、左右両端を前記キャリッジフレームに支持される棒状の第1のガイドと、前記第1のガイドの下方で前記第1のガイドと平行に、左右両端を前記キャリッジフレームに支持される棒状の第2のガイドと、前記第1のガイドの前側下方で前記第1,第2のガイドと平行に、左右両端を前記キャリッジフレームの係止部に着脱自在に係止される棒状の第3のガイドと、前記キャリッジフレームの左右に設けられ、前記キャリッジフレームの前記係止部に係止された状態の前記第3のガイドの左右両端部と係合して前記第3のガイドの左右両端部が前記係止部から抜け出るのを防止する位置と、前記第3のガイドの左右両端部との係合を解放して前記第3のガイドの左右両端部が前記係止部から抜け出るのを許す位置とに変位する一対のストッパーと、前記キャリッジフレームの左右に設けられ、前記第3のガイドの左右両端部を前記キャリッジフレームの前記係止部に挿入するとき前記第3のガイドの左右両端面と当接して前記第3のガイドの左右方向の位置決めを行う一対の案内片と、前記第1,第2のガイドに沿って摺動自在に前記第1,第2のガイドに支持されるドライブキャリッジと、一端が前記ドライブキャリッジに固定され、前記ドライブキャリッジを前記第1,第2のガイドに沿って左方向もしくは右方向に引張るワイヤーと、前記ワイヤーが前記ドライブキャリッジを引張る方向とは逆方向に前記ドライブキャリッジを付勢するドライブキャリッジバネと、前記ドライブキャリッジを間に挟むように前記第1のガイドに着脱自在に係合される一対の係合鉤部と、前記カップ部の前記係止片と係合して前記カップ部を支持する溝部と、前記第3のガイドが貫通する孔とを有し、ドライブキャリッジと連動して前記第1,第3のガイドに沿って摺動するカップキャリッジと、前記カップ部の底部が圧接するフィルター部を着脱自在に支持し、前記カップキャリッジの孔部を間に挟むように前記第3のガイドが貫通する左孔及び右孔を備え、前記ワイヤーが前記ドライブキャリッジを引張る方向とは逆方向にフィルターキャリッジバネにより付勢され、前記左孔と前記右孔のうちのどちらか前記ワイヤーが前記ドライブキャリッジを引張る方向側の孔部が前記カップキャリッジの孔部に当接しているときに、前記カップ部の底部の真下にフィルター部を位置させたまま前記カップキャリッジと連動して前記第3のガイドに沿って摺動するフィルターキャリッジと、前記ワイヤーにより前記ドライブキャリッジ及び前記カップキャリッジを介して前記カップ部及びフィルター部が所定位置まで移動したときに、前記カップ部の上方に位置し前記カップ部へ湯を圧送する湯圧送部とからコーヒー等の抽出装置を構成したものである。
作用 かかる構成において、カップキャリッジおよびフィルターキャリッジをキャリッジフレームから取外す必要があるときは、まず、ストッパーと第3のガイドの左右両端部との係合を解放して第3のガイドの左右両端をキャリッジフレームの係止部から取外す。このとき、第3のガイドには、カップ部を支持するとともに係合鉤部で第1のガイド及びドライブキャリッジに係合しているカップキャリッジと、フィルター部を支持するフィルターキャリッジとが係合しているため、第3のガイド、カップ部、カップキャリッジ、フィルター部、フィルターキャリッジが一体となったものが、カップキャリッジの係合鉤部で第1のガイド及びドライブキャリッジにぶら下がった状態となる。最後に、カップキャリッジの係合鉤部を第1のガイド及びドライブキャリッジから外せば、第3のガイド、カップ部、カップキャリッジ、フィルター部、フィルターキャリッジが一体となったものが、キャリッジフレームから取外せる。
また、カップキャリッジおよびフィルターキャリッジを再びキャリッジフレームに取付けるときには、案内片により、第3のガイドの端面が左右にずれることなく、係止部に係止できる。
実 施 例 以下、本発明の一実施例を第1図〜第5図を参照しながら説明する。
30は、コーヒー抽出装置全体を表わし、湯圧送部31を構成する抽出ユニット32と、キャリッジユニット33とより構成されている。
抽出ユニット32は、フレーム34内に横方向に配置した上,下軸受板35,36に支持される一対のシリンダロッド37,38と、ピストンロック39を備えている。40はフレーム34に水平方向に支持したカム軸であり、ギァードモータ41により反時計方向に回転する。42はピストン43を上下動するピストンカム、44はシリンダ45を上下動するシリンダカム、46はセクターギア47を回動するギアカムであり、各々三者42,44,46がカム軸40に固定されている。また48はピストンビームで、両端がシリンダロッド39に摺動自在に支持され、中心部がピストンカム42に係合するカムフォロアー49が支持してある。一方50は、シリンダビームで両端がシリンダロッド39に固定され、中央部はシリンダカム44に係合するカムフォロアー50aが係合している。
次にキャリッジユニット33の説明をすると、51は左右に辺を有するキャリッジフレームである。52は左右両端をキャリッジフレーム51の左右両辺にEリング,ボルト等(図示せず)にて支持される棒状の第1のガイドである。53は第1のガイド52の下方で第1のガイド52と平行に、左右両端をキャリッジフレーム51の左右両辺にEリング,ボルト等(図示せず)にて支持される棒状の第2のガイドである。
54はドライブキャリッジであり、第1,第2のガイド52,53に沿って摺動自在に第1,第2のガイド52,53に支持される。54aは一端がドライブキャリッジ54に固定され、ドライブキャリッジ54を第1,第2のガイド52,53に沿って左方向に引張るワイヤーであり、ワイヤー54aの他端は、プーリー55を介してワイヤードラム55a(第1図R>図)に固定してあり、ワイヤードラム55aはセクターギア47にかみ合うピニオンギア56にて回動し、ワイヤー54aの巻きとり、巻きもどしを行なう。また57はドライブキャリッジ54を常に右方に付勢するドライブキャリッジバネである。
58はカップキャリッジであり、ドライブキャリッジ54と係合する係合部59と、係合部59の左右両端に位置し第1のガイド52に着脱自在に係合される一対の係合鉤部60を有する。61は第1のガイド52の前側下方で第1,第2のガイド52,53と平行に、左右両端をキャリッジフレーム51の左右両辺に着脱自在に係合される棒状の第3のガイドである。62はカップキャリッジ58に形成される第3のガイド61が貫通する孔である。63はコーヒー等の粉を収納するカップ部であり、後部に上下方向に延びる係止片64を備える。65はカップキャリッジ58に形成される溝部であり、カップ部63の係止片64が上下摺動自在に係合する。カップキャリッジ58は、ドライブキャリッジ54と連動して第1,第3のガイド52,61に沿って摺動する。
一方第3のガイド61の左右両端はキャリッジフレーム51の円弧状切欠からなる係止部66に係止するもので、係止後は第2のガイド53に固定した左右一対のストッパー67の係止溝68にて係合し抜けどめが施こされる。このストッパー67には更に、第3のガイド61の左右両端部をキャリッジフレーム51の係止部66に挿入するとき第3のガイド61の左右両端面と当接して第3のガイド61の左右方向の位置決めを行う案内片67aが設けてある。この案内片67aはストッパー67を第3図,第4図,第5図に示すように第3のガイド61が非係止状態に位置しているとき、案内片67aが丁度係止部66と相対向して、位置するように形成してある。また案内片67aの先端はわずかに外方にわん曲したわん曲部67cを有する。また67bはストッパー67を係合,非係合位置でその状態を保持するトグルスプリングである。
69はフィルターキャリッジであり、カップ部63の底部が圧接するフィルター部70を着脱自在に支持し、カップキャリッジの孔62部を間に挟むように第3のガイド61が貫通する左孔71a及び右孔71bを備えている。72はフィルターキャリッジ69を常に右方へ付勢するフィルターキャリッジバネであり、前述のドライブキャリッジバネ57よりバネ定数は小さい。また73はバネ57およびフィルターキャリッジ69の抜けどめ用の止め具である。
また、フィルターキャリッジ69は、左孔71a部の右側面がカップキャリッジ58の孔62部の左側面に当接しているときに、カップ部63の底部の真下にフィルター部70を位置させたままカップキャリッジ58と連動して第3のガイド61に沿って摺動する。
また、ワイヤー54aによりドライブキャリッジ54及びカップキャリッジ58を介してカップ部63及びフィルター部70が所定位置まで移動したときに、湯圧送部31がカップ部63の上方に位置するようになっている。
かかる構成において、次に動作状況を説明する。
はじめに抽出動作としては、ギアードモータ41の起動によりワイヤ54aが左方向へ移動し、一番右端に位置していたドライブキャリッジ54,カップキャリッジ58が静止しているフィルターキャリッジ69のフィルター部70上にカップ部63が整列して一旦停止する。そしてこの状態でカップ部63内にコーヒー粉が充填される。
次に再びワイヤー54aが左方向に移動し、今度はカップキャリッジ58がフィルターキャリッジ69と係合することにより三者54,58,69が一緒となってシリンダ45の下方に整列する。次にシリンダ45が下降し、カップ部63、フィルター部70が水密的に圧接し、ピストン43の下降によりシリンダ45内の湯を圧送し、コーヒーを抽出するものである。
抽出が完了するとシリンダ45、ピストン43が上昇し、ほぼ同時にワイヤー54aは短時間内に右方へ移動し、これに伴ないフィルターキャリッジ69およびカップキャリッジ58はバネ57,72の力により抽出動作前の位置へもどるのである。
次にカップキャリッジ69、フィルターキャリッジ58の取外しについて説明する。
両キャリッジ69,58を外す場合には、第3のガイド53の両端をロックしているストッパー67の一方を上方に回動することにより、両ストッパー67は、第2のガイド53の回動を伴って回動し、第3のガイド53の係合をまず解除する。次に、第3のガイド61を第1のガイド52に係合している係合鉤部60を支点として回動して、第3のガイド61の両端を係止部66より外す。なお、このとき、第3のガイド61には、カップ部63を支持するとともに係合鉤部60で第1のガイド52及びドライブキャリッジ54に係合しているカップキャリッジ58と、フィルター部70を支持するフィルターキャリッジ69とが係合しているため、第3のガイド61、カップ部63、カップキャリッジ58、フィルター部70、フィルターキャリッジ69が一体となったものが、カップキャリッジ58の係合鉤部60で第1のガイド52及びドライブキャリッジ54にぶら下がった状態となる。最後に、カップキャリッジ58の係合鉤部60を第1のガイド52及びドライブキャリッジ54から外せば、第3のガイド61、カップ部63、カップキャリッジ58、フィルター部70、フィルターキャリッジ69が一体となったものが、キャリッジフレーム51から取外せる。また取付は今の動作を逆にすることにより行なう。
このとき、ストッパー67の案内片67aがキャリッジフレーム51の係止部66と相対向して位置するため、第3のガイド61を係止部66に係止する際に、左右に大きくズレることなく、円滑にセット可能である。
発明の効果 本発明は上述した構成により、フィルターキャリッジ,カップキャリッジを取外す際に、従来のようにバネ付勢力に抗してワイヤーとキャリッジの係合を解除する必要がないため、両手操作が不用であるため、簡便に、かつ短時間に手狭間な設置空間においても洗浄作業を行なうことができる。更に、ストッパーにより、確実に両キャリッジを支持することができ、かつ取付時は案内片により円滑にその操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示すコーヒーの抽出装置の正面図、第2図は同装置のキャリッジユニットの上面図、第3図はキャリッジユニットの分解斜視図、第4図は要部の正面図、第5図は第4図のV−V′線における断面図、第6図は従来例を示す抽出装置の上面図である。
31……湯圧送部、51……キャリッジフレーム、52……第1のガイド、53……第2のガイド、54……ドライブキャリッジ、54a……ワイヤー、57……ドライブキャリッジバネ、58……カップキャリッジ、60……係合鉤部、61……第3のガイド、62……孔、63……カップ部、64……係止片、65……溝部、66……係止部、67……ストッパー、67a……案内片、69……フィルターキャリッジ、70……フィルター部、71a……左孔、71b……右孔、72…フィルターキャリッジバネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】後部に上下方向に延びる係止片(64)を備えるとともにコーヒー等の粉を収納するカップ部(63)と、キャリッジフレーム(51)と、左右両端を前記キャリッジフレーム(51)に支持される棒状の第1のガイド(52)と、前記第1のガイド(52)の下方で前記第1のガイド(52)と平行に、左右両端を前記キャリッジフレーム(51)に支持される棒状の第2のガイド(53)と、前記第1のガイド(52)の前側下方で前記第1,第2のガイド(52),(53)と平行に、左右両端を前記キャリッジフレーム(51)の係止部(66)に着脱自在に係止される棒状の第3のガイド(61)と、前記キャリッジフレーム(51)の左右に設けられ、前記キャリッジフレーム(51)の前記係止部(66)に係止された状態の前記第3のガイド(61)の左右両端部と係合して前記第3のガイド(61)の左右両端部が前記係止部(66)から抜け出るのを防止する位置と、前記第3のガイド(61)の左右両端部との係合を解放して前記第3のガイド(61)の左右両端部が前記係止部(66)から抜け出るのを許す位置とに変位する一対のストッパー(67)と、前記キャリッジフレーム(51)の左右に設けられ、前記第3のガイド(61)の左右両端部を前記キャリッジフレーム(51)の前記係止部(66)に挿入するとき前記第3のガイド(61)の左右両端面と当接して前記第3のガイド(61)の左右方向の位置決めを行う一対の案内片(67a)と、前記第1,第2のガイド(52),(53)に沿って摺動自在に前記第1,第2のガイド(52),(53)に支持されるドライブキャリッジ(54)と、一端が前記ドライブキャリッジ(54)に固定され、前記ドライブキャリッジ(54)を前記第1,第2のガイド(52),(53)に沿って左方向もしくは右方向に引張るワイヤー(54a)と、前記ワイヤー(54a)が前記ドライブキャリッジ(54)を引張る方向とは逆方向に前記ドライブキャリッジ(54)を付勢するドライブキャリッジバネ(57)と、前記ドライブキャリッジ(54)を間に挟むように前記第1のガイド(52)に着脱自在に係合される一対の係合鉤部(60)と、前記カップ部(63)の前記係止片(64)と係合して前記カップ部(63)を支持する溝部(65)と、前記第3のガイド(61)が貫通する孔とを有し、ドライブキャリッジ(54)と連動して前記第1,第3のガイド(52),(61)に沿って摺動するカップキャリッジ(58)と、前記カップ部(63)の底部が圧接するフイルター部(70)を着脱自在に支持し、前記カップキャリッジの孔(62)部を間に挟むように前記第3のガイド(61)が貫通する左孔(71a)及び右孔(71b)を備え、前記ワイヤー(54a)が前記ドライブキャリッジ(54)を引張る方向とは逆方向にフィルターキャリッジバネ(72)により付勢され、前記左孔(71a)と前記右孔(71b)のうちのどちらか前記ワイヤー(54a)が前記ドライブキャリッジ(54)を引張る方向側の孔(71a)部が前記カップキャリッジ(58)の孔(62)部に当接しているときに、前記カップ部(63)の底部の真下にフィルター部(70)を位置させたまま前記カップキャリッジ(58)と連動して前記第3のガイド(61)に沿って摺動するフィルターキャリッジ(69)と、前記ワイヤー(54a)により前記ドライブキャリッジ(54)及び前記カップキャリッジ(58)を介して前記カップ部(63)及びフィルター部(70)が所定位置まで移動したときに、前記カップ部(63)の上方に位置し前記カップ部(63)へ湯を圧送する湯圧送部(31)とからなるコーヒー等の抽出装置。

【第1図】
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【第5図】
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【第6図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【特許番号】第2553549号
【登録日】平成8年(1996)8月22日
【発行日】平成8年(1996)11月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭62−97851
【出願日】昭和62年(1987)4月21日
【公開番号】特開昭63−262794
【公開日】昭和63年(1988)10月31日
【出願人】(999999999)松下冷機株式会社
【参考文献】
【文献】 実開 昭60−147323(JP,U)
【文献】 実開 昭59−92988(JP,U)