説明

コアセグメント、環状コイルコア及び環状コイル

【課題】 所望の磁気的性能を保持しながら放熱性に優れ、導線の巻きつけ数を容易に増やすことができ、巻きつけ時に導線の絶縁被膜が受ける損傷を軽減することができるコアセグメント、環状コイルコア及び環状コイルを提供する。
【解決手段】 金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、絶縁被覆導線が巻きつけられる巻線部5a,5bと、前記巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない非巻線部6a,6bと、前記巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記非巻線部の終端に形成された接合面7a,7bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機器の電源回路などに用いられる環状コイルに係り、とくに環状コイルの製造に用いられる部品となるコアセグメントおよび環状コイルコアに関する。
【背景技術】
【0002】
トロイダルコイルは、スイッチング電源の昇圧や平滑あるいはノイズ防止用フィルタなどに用いられる部品として高インダクタンスが要求されており、インダクタンスの増大化を図るためにコアの形状が環状である。このような環状の部品に導線を巻きつける作業は、手作業で行なうとかなりの労力と時間を要し、製造コストを押し上げる原因となる。また、トロイダルコイルの環状コアは、その横断面形状が矩形であるため、巻線がコアのコーナー部分だけに当接して、巻線をコアの表面に密着させることが難しい。これらの問題を解消するために種々の巻線方法や巻線装置が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、線径の太い導線をコアに巻回するトロイダルコイルの巻線方法を提案している。また、特許文献2では、巻線を自動的に行うための巻線装置を提案している。さらに、特許文献3では、環状コアを複数の部品に分割し、分割したコア部品をコイル形状に予め成形したコイル導線のなかに挿入するトロイダルコイルの製造方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−103434号公報
【特許文献2】特開2002−289455号公報
【特許文献3】特開2001−68364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のトロイダルコイルにおいては、手作業で導線を巻きつける場合あるいは特許文献1,2に記載された方法または装置を用いてコアに導線を巻きつける場合に、図8に示すように、コア103の内周側に導線104が集中するため、コアの中央スペース109が導線104により狭められてしまい、ある一定以上の巻き数になると導線104を巻きつけられなくなる。その対策としてコア内径を大きくすると、コイル外径が大きくなり、電子部品の小型化のユーザー要望に応えられない。
【0006】
また、2層や3層の多層巻きされたトロイダルコイルでは、巻線が発熱して過熱状態になりやすいため、巻線から熱を逃がす必要がある。しかし、従来のトロイダルコイルは放熱性が悪く、とくにコイル内周側の放熱性が著しく悪いために、巻線の温度が上昇して正常に機能しなくなるおそれがある。すなわち、図9に示すように、トロイダルコイルの巻線104は、矩形断面コア103のコーナー部分のみに接触し、コア面108から離れた状態に巻かれやすいため、巻線104からコア103のほうに熱が逃げにくく、過熱状態になりやすい。
【0007】
また、特許文献3のトロイダルコイルにおいては、分割コアと分割コアの間の継ぎ目またはギャップにも導線が巻かれているため、この継ぎ目またはギャップから磁束が漏れ出す。この漏れ磁束により導線に渦電流が誘導生成され、導線の電流損失を生じるため、コイルの発熱や鉄損の増大などが発生するおそれがある。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、所望の磁気的性能を保持しながら放熱性に優れ、導線の巻きつけ数を容易に増やすことができ、巻きつけ時に導線の絶縁被膜が受ける損傷を軽減することができるコアセグメント、環状コイルコア及び環状コイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコアセグメントは、金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、絶縁被覆導線が巻きつけられる巻線部と、前記巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない非巻線部と、前記巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記非巻線部の終端に形成された接合面と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る環状コイルコアは、金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、絶縁被覆導線が巻きつけられる第1の巻線部と、前記第1の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続し、前記導線が巻きつけられない第1の非巻線部と、前記第1の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第1の非巻線部の終端に形成された第1の接合面と、を有する第1のコアセグメントと、金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、絶縁被覆導線が巻きつけられる第2の巻線部と、前記第2の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続し、前記導線が巻きつけられない第2の非巻線部と、前記第1の接合面と対向して配置され、前記第2の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第2の非巻線部の終端に形成された第2の接合面と、を有する第2のコアセグメントと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る環状コイルは、絶縁被覆導線と、金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、前記絶縁被覆導線が巻きつけられる第1の巻線部と、前記第1の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続し、前記導線が巻きつけられない第1の非巻線部と、前記第1の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第1の非巻線部の終端に形成された第1の接合面と、を有する第1のコアセグメントと、金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、前記絶縁被覆導線が巻きつけられる第2の巻線部と、前記第2の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続し、前記導線が巻きつけられない第2の非巻線部と、前記第1の接合面と対向して配置され、前記第2の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第2の非巻線部の終端に形成された第2の接合面と、を有する第2のコアセグメントと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコアセグメントは、導線を狭い間隙に通すことなくコア巻線部周囲の自由空間を利用してコア巻線部に巻きつけることができるため、線径が太い導線であってもコアの表面に密着した状態で導線を巻きつけることができる(図7)。このため、巻線に生じた熱がコアに伝わりやすくなり、コアを通して非巻線部から熱を外部に逃がすことができ、コイル全体としての放熱性能が大幅に向上する。
【0013】
本発明によれば、従来のトロイダルコイル中央スペースへの巻線の集中(図8)が解消され、コアに巻きつける導線の巻き数を増やすことができる(図2)ため、インダクタンスを増大化することが容易になる。また、同じ巻き数であれば、本発明品は従来品に比べてコイルの厚みを更に薄くすることができる。
【0014】
また、本発明によれば、導線を狭い間隙に通すことなくコア巻線部周囲の自由空間を利用してコア巻線部に巻きつけることができることから、導線に過大な繰返し屈曲力が負荷されなくなり、特別に剥離しにくい絶縁被膜で被覆された高価な導線の代わりに汎用の一般的な絶縁被膜で被覆された安価な導線を用いることができるようになるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るコイルを示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係るコイルを示す平面図。
【図3】(a)〜(d)は他の実施形態のコイルコアをそれぞれ示す図。
【図4】(a)は実施形態のコアセグメントを示す図、(b)は実施形態のコアセグメントを示す断面図、(c)は他の実施形態のコアセグメントを示す断面図、(d)は他の実施形態のコアセグメントを示す断面図。
【図5】(a)は実施形態のコイルを示す図、(b)は他の実施形態のコイルを示す図、(c)は比較例のコイルを示す図。
【図6】コイル電流とインダクタンスとギャップGとの相関を示す特性線図。
【図7】本発明のコイルコアと巻線との接触状態を示す断面図。
【図8】従来のトロイダルコイルを示す図。
【図9】従来のトロイダルコアと巻線との接触状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の種々の好ましい実施の形態について説明する。
【0017】
(1)本発明のコアセグメントは、金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、絶縁被覆導線が巻きつけられる巻線部と、前記巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない非巻線部と、前記巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記非巻線部の終端に形成された接合面と、を有している。
【0018】
本発明によれば、導線を狭い間隙に通すことなくコア巻線部周囲の自由空間を利用して巻線部に巻きつけることができるため、太い導線であってもコアの表面に密着した状態で導線を巻きつけることができる(図7)。このため、巻線からコアに熱が伝わりやすくなり、コアを通して巻線から熱を外部に効率よく逃がすことができ、コイル全体の放熱性能が向上する。
【0019】
また、本発明では、接合面を含む非巻線部に導線が巻きつけられないため、継ぎ目またはギャップから漏れ出した磁束が導線まで到達せず、磁束が渦電流を誘起することなく損失が発生しない。
【0020】
金属磁性粉として、純鉄粉、Fe-Si合金粉(3-8質量%のSi含有)、Fe-Si-Al合金粉(センダスト)、Fe-Ni合金粉、Mn-Zn系フェライト粉、Ni-Zn系フェライト粉を用いることができる。またはこれらのアモルファス粉、またはこれらのナノ結晶粉を用いてもよい。また、金属磁性体として、珪素鋼板、または珪素鋼アモルファスリボンを用いることができる。
【0021】
(2)(1)において、非巻線部が巻線部に対して変曲していることが好ましい(図1、図2、図3(a)(b)、図4(a)、図5(a)(b))。このように非巻線部を変曲させた2つのコアセグメントにそれぞれ導線を巻きつけ、これらを向き合わせて互いの接合面を合わせて接合すると、コアの形状が環状に整い、従来のトロイダルコアと同様に環状の閉磁路をつくりだすことができる。接合面には導線が巻きつけられていないため、接合面から発生した漏れ磁束は導線まで到達せず、磁束が渦電流を誘起することなく損失が発生しない。
【0022】
(3)(1)において、巻線部を真っ直ぐにすることが好ましい(図1、図2、図3(a)、(c)(d)、図5(a))。このように巻線部を真っ直ぐにした2つのコアセグメントにそれぞれ導線を巻きつけることで、コアの表面への導線の密着度が高まる。このため、巻線に生じた熱がコアに伝わりやすくなり、コアを通して非巻線部から熱を外部に逃がすことができ、コイル全体としての放熱性能が大幅に向上する。
【0023】
(4)(1)において、巻線部を湾曲させるようにしてもよい(図3(b)、図5(b))。巻線部を湾曲させると、導線のコア表面への密着度は、巻線部が真っ直ぐなものと比較して劣り、それに伴いコイルの放熱性能も劣る。しかし、本発明では、コア巻線部周囲の自由空間を利用してコア巻線部に導線を巻きつけることができるため、従来品(トロイダルコイル)と比べて導線の巻き数の増加やコイル厚みの薄型化を実現することができる。
【0024】
(5)(1)において、巻線部の長さL4を非巻線部の長さL3よりも長くすることが好ましい(図2)。巻線部の長さL4を長くすればするほど導線の巻き数が増えるため、インダクタンスLが増加する。
【0025】
(6)(1)において、巻線部を被覆して電気的に絶縁する電気絶縁被膜をさらに有することが望ましい(図2)。本発明では、巻線部の周面を電気絶縁被膜で被覆しているため、巻線部に導線を巻きつける時に万が一つに導線の絶縁被膜が損傷したとしても、コア磁性体と絶縁被膜が損傷した導線との接触によるレアショートを抑制することができる。巻線部を被覆する電気絶縁被膜を形成する電気絶縁体として、エポキシやウレタンのような樹脂を含む塗料、エポキシやポリエステルのような樹脂を含むテープ、シリコーン、ポリビニルアルコール、水ガラスのいずれかを塗布した塗布膜、ポリオレフィンやポリ塩化ビニル(PVC)のような熱収縮チューブ、PETのような樹脂を含むケースのいずれかを用いることができる。ただし、継ぎ目またはギャップを構成する接合面は、絶縁被膜で覆ってはならない。接合面に絶縁体が無いことで接合面で磁性体同士が接触するためにギャップ幅は抑制され、インダクタンスの低下を最小限に抑えることができる。換言すると、接合面を電気絶縁被膜で覆うと、接合面間に挟まれた電気絶縁被膜が実質的にギャップとなり、インダクタンスを低下させる。本発明では接合面に電気絶縁被膜が無いことから、意図的に環状コイルにギャップを形成することになる。すなわち、コイルの磁気特性をコントロールしたい場合にはギャップ長を細かく設定することができ、コイルのロット間の特性のばらつきを抑制することが可能になる。なお、非巻線部は電気絶縁被膜で覆わないほうが、放熱性が損なわれない。しかし、非巻線部を電気絶縁被膜で覆うようにしてもよい。
【0026】
(7)本発明の環状コイルコアは、金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、絶縁被覆導線が巻きつけられる第1の巻線部と、前記第1の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない第1の非巻線部と、前記第1の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第1の非巻線部の終端に形成された第1の接合面と、を有する第1のコアセグメントと、
金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、絶縁被覆導線が巻きつけられる第2の巻線部と、前記第2の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない第2の非巻線部と、前記第1の接合面と対向して配置され、前記第2の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第2の非巻線部の終端に形成された第2の接合面と、を有する第2のコアセグメントと、を有する。
【0027】
(8)本発明の環状コイルは、絶縁被覆導線と、金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、前記絶縁被覆導線が巻きつけられる第1の巻線部と、前記第1の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない第1の非巻線部と、前記第1の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第1の非巻線部の終端に形成された第1の接合面と、を有する第1のコアセグメントと、
金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、前記絶縁被覆導線が巻きつけられる第2の巻線部と、前記第2の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない第2の非巻線部と、前記第1の接合面と対向して配置され、前記第2の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第2の非巻線部の終端に形成された第2の接合面と、を有する第2のコアセグメントと、を有する。
【0028】
本発明によれば、上記(1)の発明と同様に、導線を狭い間隙に通すことなくコア巻線部周囲の自由空間を利用して巻線部に巻きつけることができるため、太い導線であってもコアの表面に密着した状態で導線を巻きつけることができる(図7)。このため、巻線からコアに熱が伝わりやすくなり、コアを通して非巻線部から熱を外部に効率よく逃がすことができ、コイル全体の放熱性能が向上する。
【0029】
(9)(8)において、第1の接合面と第2の接合面とが接着されていることが好ましい(図2)。第1及び第2の接合面を接着すると、磁気的には従来のトロイダルコイルに近似したものになり、インダクタンスなどの磁気特性の面では従来のトロイダルコイルと比べて遜色なく(図6の特性線AとB)、放熱性の面では従来のトロイダルコイルよりも優れたものとなる。
【0030】
(10)(8)において、第1の接合面と第2の接合面との間にギャップGを設けるようにしてもよい(図1、図6)。コイルに直流電流を加え、ある電流値を超えると磁気飽和により透磁率μは小さくなる(図6の特性線A、B)。ギャップGを設けると磁気抵抗が大きくなるので磁気飽和を起こすまでには大きな電流を必要とすることから、電流値が大きくなっても透磁率μはほぼ一定の範囲内に安定する(図6の特性線C、D、E)。このため大電流が流れるスイッチング電源回路のノイズ防止用フィルタなどに適したものになる。
【0031】
(11)(8)において、非巻線部の長さL3と導線の直径d1,d2と導線の巻きつけ層数m1,m2との関係が下式(1)を満たすことが好ましい。
【0032】
L3>d1・m1+d2・m2 …(1)
但し、L3:前記第1及び第2の非巻線部の長さ
d1:前記第1の巻線部に巻きつけられた導線の直径
d2:前記第2の巻線部に巻きつけられた導線の直径
m1:前記第1の巻線部への導線の巻きつけ層数
m2:前記第2の巻線部への導線の巻きつけ層数
第1及び第2の巻線部への導線の巻きつけ層数m1,m2が増えると、式(1)の右項の巻線厚さ(d1・m1+d2・m2)が大きくなり、中央スペース9が狭まる。中央スペース9がゼロになると、第1及び第2の巻線部に巻かれた巻線の背中と背中が接触して放熱性能が阻害されるようになり、過熱状態を招来することとなる。
【0033】
(12)(8)において、非巻線部が巻線部に対して変曲していることが好ましい(図1、図2、図3(a)(b)、図4(a)、図5(a)(b))。このように非巻線部を変曲させると、コアの形状が環状に整い、従来のトロイダルコアと同様に環状の閉磁路をつくりだすことができる。接合面には導線が巻きつけられていないため、接合面から発生した漏れ磁束は導線まで到達せず、磁束が渦電流を誘起することなく損失が発生しない。
【0034】
(13)(8)において、巻線部を真っ直ぐにすることが好ましい(図1、図2、図3(a)、(c)(d)、図5(a))。このように巻線部を真っ直ぐにした2つのコアセグメントにそれぞれ導線を巻きつけることで、コアの表面への導線の密着度が高まる。このため、巻線に生じた熱がコアに伝わりやすくなり、コアを通して非巻線部から熱を外部に逃がすことができ、コイル全体としての放熱性能が大幅に向上する。
【0035】
(14)(8)において、巻線部を湾曲させるようにしてもよい(図3(b)、図5(b))。巻線部を湾曲させると、導線のコア表面への密着度は、巻線部が真っ直ぐなものと比較して劣り、それに伴いコイルの放熱性能も劣る。しかし、本発明では、コア巻線部周囲の自由空間を利用してコア巻線部に導線を巻きつけることができるため、従来品(トロイダルコイル)と比べて導線の巻き数の増加やコイル厚みの薄型化を実現することができる。
【0036】
(15)(8)において、巻線部の長さL4を非巻線部の長さL3よりも長くすることが好ましい(図2)。
【0037】
巻線部の長さL4を長くすればするほど導線の巻き数が増えるので、インダクタンスLが増加する。電源回路にコイルを組み込む方式として台座支持方式がある。台座支持方式ではコイルの一端部を台座に保持させ、コイルが縦置き姿勢になるように台座を回路基板(ボード)上に取り付ける。しかし、最近のスイッチング電源回路では、大電流にも対応できるようにするために、台座支持方式の代わりに、コイルを回路基板上に横置きする設計が増えてきている。コイルを横置きすれば巻線部をいくらでも長くでき、インダクタンスLを好きなだけ大きくすることができるからである。
【0038】
ところで、コイルを横置きにすると、コイルから熱が逃げにくくなり、コイル温度が上昇しやすくなるという問題がある。とくに従来のトロイダルコイルは図8と図9に示したように放熱性が劣っているので、コイルが過熱状態となり、故障しやすい。しかし、本発明のコイルは、図2と図7に示したように放熱性を向上させているので、コイルを横置きにした場合であってもコイルが過熱状態にならず、故障しない。
【0039】
(16)(8)において、巻線部を被覆して電気的に絶縁する絶縁被膜をさらに有することが望ましい(図2)。本発明では、巻線部の周面を絶縁被膜で被覆しているため、巻線部に導線を巻きつける時に万が一つに導線の絶縁被膜が損傷したとしても、コア磁性体と絶縁被膜が損傷した導線との接触によるレアショートを抑制することができる。
【0040】
以下、添付の図面を参照して本発明を実施するための好ましい形態を説明する。
【0041】
先ず図1と図2を参照して最も好ましい実施の形態の環状コイルを説明する。
【0042】
本実施形態の環状コイル2は、図中のZ軸に対してほぼ軸対称な1対のコイルアッセンブリ2a,2bを組み合わせて成るものである。一方側のコイルアッセンブリ2aは、X−Z平面視野内で略C字状の形状に成形されたコアセグメント3aと、このコアセグメント3aの巻線部5aにらせん状に巻きつけられた絶縁被覆導線4aとを備えている。他方側のコイルアッセンブリ2bは、X−Z平面視野内で逆C字状に形成されたコアセグメント3bと、このコアセグメント3bの巻線部5bに巻きつけられた絶縁被覆導線4bとを備えている。両コアセグメント3a,3bは、例えばFe-9% Si-5% Al合金粉(センダスト)のような軟磁性粉末を非磁性バインダで結合させ、成形して成るものである。
【0043】
絶縁被覆導線4a,4bは、絶縁性の被膜で覆われた純Cu線である。具体的には、導線の絶縁性被膜は、ポリウレタンやポリエステルなどからなる。本実施形態では、導線4a,4bを狭い間隙に通すことなくコア巻線部5a周囲の自由空間を利用して導線4a,4bを巻線部5aに巻きつけることができることから、絶縁性被膜の膜厚が薄いものを利用することができ、トロイダルコイルに巻回される従来の難剥離性被覆の導線に比べて安価である。
【0044】
本実施形態において一方側のコアセグメント3aと他方側のコアセグメント3bとは実質的に同じ構成であるので、以下、両者を代表して一方側のコアセグメント3aのみを説明する。
【0045】
コアセグメント3aは、Z軸方向に延び出す巻線部5aと、この巻線部5aの両端に連続して一体成形され、巻線部5aの長手軸(Z軸)に対してほぼ直交する向き(X軸方向)に変曲する非巻線部6aと、この非巻線部6aの端部を成す接合面7aと、を有する。非巻線部6aの長さは、巻線部5aの長さと比べて短い。例えば、巻線部5aの長さと非巻線部6aの長さの比は2:1〜10:1の範囲とすることが望ましい。両者の長さ比が2:1を下回ると、環状コイルの磁路長L7(図2中のコア中心線長さ)が長くなるためインダクタンスLが低下する。さらに非巻線部6a,6bの占める割合が大きくなることから、環状コイルの小型化の要請に反することになる。巻線部5aの長さの割合を大きくするほどコアセグメントの巻線部の長さは長くなり、巻線数を増加させてインダクタンスLを増加させることができるが、一方、この長さ比が10:1を超えると、インダクタンスLとコアロスとのバランスがとりにくくなる。
【0046】
さらに、コアセグメントの巻線部5aの周面が電気絶縁被膜11で被覆されている。電気絶縁被膜11で巻線部5aと非巻線部6aを覆うことにより、巻線部5aに導線4aを巻きつける時に万が一つに導線4aの絶縁被膜が損傷したとしても、コア磁性体と絶縁被膜が損傷した導線4aとの接触によるレアショートが抑制される。電気絶縁被膜11を形成する電気絶縁体として、エポキシやウレタンのような樹脂を含む塗料、エポキシやポリエステルのような樹脂を含むテープ、シリコーン、ポリビニルアルコール、水ガラスのいずれかを塗布した塗布膜、ポリオレフィンやポリ塩化ビニル(PVC)のような熱収縮チューブ、PETのような樹脂を含むケースのいずれかを用いることができる。ただし、継ぎ目またはギャップを構成する接合面7a,7bは、電気絶縁被膜で覆ってはならない。接合面に絶縁体が無いことで接合面で磁性体同士が接触するためにギャップ幅は抑制され、インダクタンスの低下を最小限に抑えることができる。換言すると、接合面を電気絶縁被膜で覆うと、接合面間に挟まれた電気絶縁被膜が実質的にギャップとなり、インダクタンスを低下させる。本発明では接合面に電気絶縁被膜が無いことから、意図的に環状コイルにギャップを形成することになる。すなわち、コイルの磁気特性をコントロールしたい場合にはギャップ長を細かく設定することができ、コイルのロット間の特性のばらつきを抑制することが可能になる。
【0047】
なお、本実施形態では、巻線部5a,5bのみを電気絶縁被膜11で覆い、非巻線部6a,6bのほうはコア磁性体が露出しているが、本発明はこれのみに限定されるものではなく巻線部5aと非巻線部6aの両方を電気絶縁被膜11で被覆する態様とすることもできる。
【0048】
本実施形態の環状コイル2では、図1と図2に示すように環状コイルコア3a,3bの形状を矩形または略矩形状としている。しかし、本発明では環状コイルコアの形状をこれのみに限定するものではなく、例えば図3(a)に示す環状コイル3Aのように環状コイルコア3a,3bの形状を長円形状としてもよい。また、図3(b)に示す環状コイル3Bのように環状コイルコア3a,3bの形状を楕円形状としてもよい。
【0049】
さらに、図3(c)に示す環状コイル3Cのように、一方のコアセグメント3aの形状と他方のコアセグメント3bの形状とを異ならせてもよい。すなわち、左右非対称のコアセグメント3aと3bを組み合わせて環状コイルコアを形成することができる。
【0050】
またさらに、図3(d)に示す環状コイル3Dのように、コアセグメント3a,3bは左右対称(軸対称)であるが、一方のコアセグメント3aの接合面71a,72aを非対称とし、他方のコアセグメント3bの接合面71b,72bをも非対称としてもよい。
【0051】
本実施形態のコアセグメント3aでは、図4(b)に示すように接合面7aの形状を正方形に近い矩形状にしている。しかし、本発明では接合面の形状をこれのみに限定するものではなく、例えば図4(c)に示すように4つの角部に丸みを付けたコーナーR付け矩形としてもよいし、また、図4(d)に示すように楕円形状としてもよい。
【0052】
本実施形態の環状コイル2では、図1と図2に示すように矩形状の環状コイルコア3a,3bにおいて両方の巻線部5a,5bに導線4a,4bを巻きつけている。しかし、本発明では巻線をこれのみに限定するものではなく、例えば図5(a)に示す環状コイル2Aでは、一方側のコアセグメント3aの巻線部5aのみに導線4aを巻きつけ、他方側のコアセグメント3bには巻線しない構造としてもよい。
【0053】
また、図5(b)に示す環状コイル2Bでは、図3(b)に示した楕円形状の環状コイルコアの両方の巻線部5a,5bに導線4a,4bを巻きつけている。
【0054】
なお、図5(c)に示す環状コイル2Cは、本発明に含まれない比較例であり、コアセグメント3a,3bの接合部7を含む部位に導線4a,4bを巻きつけている。このような環状コイル2Cは、上述した特許文献3のトロイダルコイルと同様に、接合部7において磁束が漏れ出し、漏れ出した磁束により導線に渦電流が誘起され、コイルからの発熱や鉄損の増大が引き起こされる。
【0055】
図1に示す環状コイル2では、第1の接合面7aと第2の接合面7bとの間にギャップGを設けている。このようなギャップGを設けると、電流密度(磁化力H)に対する透磁率μの依存性が低くなり、電流密度(磁化力H)の変化にかかわりなく透磁率μがほぼ一定の範囲内に安定するようになる。
【0056】
図6は、横軸に電流NI(A/m)をとり、縦軸に透磁率μ(H/m)をとって、磁気特性について各種の実施例サンプルを比較例サンプルと対比して調べた結果を示す特性線図である。図中にて特性線Aは従来のトロイダルコイル、特性線Bは本発明の接合面を接着したギャップ無し(G=0)の環状コイル、特性線Cは本発明のギャップ1mmの環状コイル、特性線Dは本発明のギャップ2mmの環状コイル、特性線Eは本発明のギャップ3mmの環状コイルの結果をそれぞれ示す。
【0057】
図の特性線Bから明らかなように、ギャップ無し(G=0)の実施例サンプルBでは、環状コイルの透磁率μは、電流Iの増加とともに急激に減少する(傾きが大きい)。このギャップ無しの実施例サンプルBは、従来のトロイダルコイルの比較例サンプルAと磁気特性が近似したものとなることが分かる。
【0058】
これに対して同図の特性線C(ギャップ小)や特性線D(ギャップ中)や特性線E(ギャップ大)では、透磁率μが磁化力Hの増加に対して緩やかに減少する(傾きが小さい)か、またはほとんど変わらない(傾きがない)。
【実施例】
【0059】
次に実施例を説明する。
【0060】
(第1の実施の形態)
(コイルの製造)
実施例の環状コイル、比較例のトロイダルコイルそれぞれの製造方法の概要を説明する。
【0061】
(実施例1・2)
実施例1・2は、金属磁性粉末として組成Fe-9.5質量%Si-5.5質量%Alのいわゆるセンダスト粉末を用い、非磁性バインダ(シリコーン樹脂3重量%)で結合して成形することで、巻線部と前記巻線部の長手方向両端に連続して形成された非巻線部から構成され、さらに巻線部5a、5bの周面に電気絶縁体塗装としてエポキシ樹脂を塗布し、図2の3a、3bで示すようなコアセグメントを作製した。コアセグメント3a、3bはそれぞれ巻線部に1.0mmφの導線で、巻線部5aと5bを合わせて実施例1は30回、実施例2は80回巻線機で巻きつけられ、コアセグメント3a、3bのそれぞれの接合面を接着剤で接続することで、環状コイルを作製した。
【0062】
実施例1で用いた、コアセグメントを組合わせた環状コイルコアの各部サイズを示す。
【0063】
1)コイルコアの短辺の長さL1;50mm
2)コイルコアの長辺の長さL2;30mm
3)非巻線部の長さ(巻線部の内周面間隔)L3;34mm
4)巻線部の長さ(非巻線部の内周面間隔)L4;14mm
5)コアセグメントの長辺の幅L5;8mm
6)コアセグメントの短辺の幅L6;8mm
7)磁路長L7;128mm
8)ギャップG;0.1mm
但し、非巻線部の長さL3とは、対向する巻線部の内周面8aの相互間隔のことをいい、これにはギャップGが含まれている。
【0064】
また、巻線部の長さL4とは、非巻線部の内周面の相互間隔のことをいう。
【0065】
(比較例1・2)
比較例1・2は、実施例と同様の金属磁性粉末−非磁性バインダ混合粉を成形、表面に電気絶縁体塗装としてエポキシ樹脂を塗布することで、トロイダルコア(外径45mm、内径37mm、高さ10mm)を作製した。トロイダルコアは1.0mmφの導線で比較例1は30回、比較例2は80回手巻きで巻きつけられることでトロイダルコイルを作製した。
【0066】
(コイルの耐圧試験)
実施例1・2、比較例1・2のコイルをそれぞれ20個作製し、絶縁耐圧試験器にかけて、不合格品が出た個数を表1に示す。耐圧試験の条件は、2kVの電圧を1分間かけた時にリーク電流が1mA未満であるものを合格とし、1mA以上であるものを不合格とした。なお、導線は絶縁性の被膜で覆われた純Cu線であり、被膜の厚みが厚いもの(1種:0.025mm)と、薄いもの(2種:0.017mm)でそれぞれ評価した。
【表1】

【0067】
被膜が厚い1種の導線では実施例、比較例ともに耐圧試験での差は見られなかったが、2種と被膜が薄くなると、比較例のトロイダルコアに手巻きで巻きつけられたコイルでは、巻線工程での被膜損傷により耐圧試験の不合格品の個数が増加した。実施例では導線を狭い間隙に通すことなくコア巻線部周囲の自由空間を利用して巻線部に巻きつけることができるため、絶縁性被膜の膜厚が薄いものを利用することができる。
【0068】
(第2の実施の形態)
実施例3として、実施例1と同様に作製したコアセグメント3a、3bにそれぞれ巻線部に1.4mmφの導線で、巻線部5aと5bを合わせて60回巻きつけられ、コアセグメント3a、3bのそれぞれの接合面を接着剤で接続することで、環状コイルを作製した。環状コイルコアの各部サイズは実施例1と同様である。また比較例3として、比較例1と同様に作製したトロイダルコアに1.4mmφの導線で60回巻きつけられることでトロイダルコイルを作製した。更に比較例4として、図5(c)に示すように、コアセグメント3a、3bの接合部7を含む部位に導線を、実施例3と同一条件で巻きつけて作製した環状コイルも作製した。
【0069】
(コイルの放熱性能試験)
実施例3、比較例3・4のコイルそれぞれに200V、15Aで通電し、赤外線温度計を用いて通電1分後と通電5分後での温度を測定した。測定点1は巻線部の導線上、測定点2は非巻線部、測定点3は巻線部導線上(接合部7の近傍)、測定点4は非巻線部、測定点5と6はトロイダルコイルの任意の側面である。
【表2】

【0070】
実施例3、比較例3では通電とともに特にコイルの巻線部分での温度上昇が高くなったが、比較例3の測定点3では、導線が接合部7を含む部位に巻きつけているため、接合部の磁束漏れによる導線の渦電流発生に起因する発熱により、実施例3の測定点1と比較して温度が高くなった。
【0071】
5分通電することにより巻線から発生した熱のコアへの伝導が進行するが、実施例3・比較例3では環状コイル中に非巻線部が存在するため、放熱性に優れ、コイルの温度が特に非巻線部(測定点2、4)で低下した。しかし比較例4のトロイダルコイルでは図9に示すように巻線104がコア面108から離れた状態に巻かれやすいため、巻線104からコア103の方に熱が逃げにくく、過熱状態になる。よって通電時間が長くなると更に温度上昇が進行した。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の環状コイルは、各種機器の電源回路に適用されるインダクタや、スイッチング電源のノイズ防止用フィルタとしてのチョークコイルに用いられる。
【符号の説明】
【0073】
2,2A,2B,2C…環状コイル、2a,2b…コイルアッセンブリ、
3,3A,3B,3C,3D…環状コイルコア、3a,3b…コアセグメント、
4,4a,4b…絶縁被覆導線(巻線)、
5a,5b…巻線部(長辺部)、
6a,6b…非巻線部(短辺部)、
7…接合部、7a,7b…接合面、
8a,8b…内周面、9…中央スペース、11…電気絶縁被膜、
103…コア、104…導線、108…コア面、109…中央スペース、
G…ギャップ、L7…磁路長。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、絶縁被覆導線が巻きつけられる巻線部と、
前記巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない非巻線部と、
前記巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記非巻線部の終端に形成された接合面と、
を有することを特徴とするコアセグメント。
【請求項2】
前記非巻線部が前記巻線部に対して変曲していることを特徴とする請求項1記載のコアセグメント。
【請求項3】
前記巻線部が真っ直ぐであることを特徴とする請求項1記載のコアセグメント。
【請求項4】
前記巻線部が湾曲していることを特徴とする請求項1記載のコアセグメント。
【請求項5】
前記巻線部の長さL4を前記非巻線部の長さL3よりも長くすることを特徴とする請求項1記載のコアセグメント。
【請求項6】
前記巻線部を被覆して電気的に絶縁する電気絶縁被膜をさらに有することを特徴とする請求項1記載のコアセグメント。
【請求項7】
金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、絶縁被覆導線が巻きつけられる第1の巻線部と、前記第1の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない第1の非巻線部と、前記第1の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第1の非巻線部の終端に形成された第1の接合面と、を有する第1のコアセグメントと、
金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、絶縁被覆導線が巻きつけられる第2の巻線部と、前記第2の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない第2の非巻線部と、前記第1の接合面と対向して配置され、前記第2の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第2の非巻線部の終端に形成された第2の接合面と、を有する第2のコアセグメントと、
を有することを特徴とする環状コイルコア。
【請求項8】
絶縁被覆導線と、
金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、前記絶縁被覆導線が巻きつけられる第1の巻線部と、前記第1の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない第1の非巻線部と、前記第1の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第1の非巻線部の終端に形成された第1の接合面と、を有する第1のコアセグメントと、
金属磁性粉末を非磁性バインダで結合して成形するか、または金属磁性体を成形して成り、前記絶縁被覆導線が巻きつけられる第2の巻線部と、前記第2の巻線部の長手方向両端にそれぞれ連続して形成され、前記導線が巻きつけられない第2の非巻線部と、前記第1の接合面と対向して配置され、前記第2の巻線部に巻きつけられた導線に通電したときに生成される磁束に交差する向きとなる、前記第2の非巻線部の終端に形成された第2の接合面と、を有する第2のコアセグメントと、
を有することを特徴とする環状コイル。
【請求項9】
前記第1の接合面と前記第2の接合面とが接着されていることを特徴とする請求項8記載の環状コイル。
【請求項10】
前記第1の接合面と前記第2の接合面との間にギャップが設けられていることを特徴とする請求項8記載の環状コイル。
【請求項11】
非巻線部の長さL3と導線の直径d1,d2と巻きつけ数m1,m2との関係が下式を満たすことを特徴とする請求項8記載の環状コイル。
L3>d1・m1+d2・m2
但し、L3:前記第1及び第2の非巻線部の長さ
d1:前記第1の巻線部に巻きつけられた導線の直径
d2:前記第2の巻線部に巻きつけられた導線の直径
m1:前記第1の巻線部への導線の巻きつけ層数
m2:前記第2の巻線部への導線の巻きつけ層数
【請求項12】
前記非巻線部が前記巻線部に対して変曲していることを特徴とする請求項8記載の環状コイル。
【請求項13】
前記巻線部が真っ直ぐであることを特徴とする請求項8記載の環状コイル。
【請求項14】
前記巻線部が湾曲していることを特徴とする請求項8記載の環状コイル。
【請求項15】
前記巻線部の長手軸の長さのほうが前記非巻線部の長手軸の長さよりも長いことを特徴とする請求項8記載の環状コイル。
【請求項16】
前記巻線部を被覆して電気的に絶縁する電気絶縁被膜をさらに有することを特徴とする請求項8記載の環状コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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