説明

コアレス巻取り製品ロールの巻締め方法及び装置

【課題】コアレス巻取り製品ロールの化粧箱への収容に際し、該製品ロールを巻取り後、巻締めを行って巻径を小さくし、化粧箱への挿入を容易ならしめる。
【解決手段】コアレス巻取り製品の製品ロールRの両端に製品ロール内径より稍小径の中子2を嵌装してチャック1で把持し、受け台9上に載せて受け台9を上昇させ、製品ロールRと受け台9との接触抵抗によるブレーキを与えると共にチャック1の中子2に製品ロールR巻層部内面を圧接させて圧接後、チャック1を製品ロールの巻取方向に回転させて製品ロール内層から巻締め、次いで製品ロールR胴部を外周側から把持し、チャック1を前記巻取り方向と反対方向に回転させ、チャック中子2と巻締まった製品ロールR′の最内側層との間に隙間を作って製品ロールRからチャック1を抜き取り、その後、製品ロール胴部を把持していた把持具を開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコアレスで巻取る巻替機で巻き取ったクッキングシート,アルミホイルなどのウエブを巻取った後に巻締め巻径を減少させる方法ならびに装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
市販されているクッキングシートやアルミホイルなどは5m,8m,10m巻きなどであるが、これらは家庭で使用されるため、通常、紙管に短尺で巻かれていたが、巻芯にかかる費用が高いことから、近時、拡縮可能な巻芯を使用し、巻き取り時は拡大状態で巻芯の働きをし、巻き終えた後は縮小させて巻取ロールから引き抜き、巻芯なしの状態、いわゆるコアレスとして製品ロールとすることが行なわれている。(特許文献1,2参照)
ところで上記コアレスとして巻き取られた製品ロールは箱詰め位置まで搬送され、化粧箱に収容されて出荷されるが、化粧箱に挿入する時、製品ロール外径と化粧箱内側寸法に余裕がないと、製品ロールを化粧箱に挿入し難い。そのため前述の如く副資材のコストを削減するためコアレスにしたり、あるいは化粧箱のサイズを小さくしたりしているが、化粧箱の小サイズに伴って益々、製品ロールを化粧箱に挿入し難い問題が起こってきた。そこで製品ロールと化粧箱内側寸法に余裕を持たせるために前記の拡縮構造の巻芯径を小さくすることが求められてくるが、このような拡縮構造をもつ巻軸径を小さく、例えば30mmφ程度より小さくすることは困難である。そのため、コアレスに巻取った製品ロールをたとえ2〜3mmでも巻締めて巻径を小さくすることが考えられるが、現在のところ未だ具体的手段は見出されていない。
【特許文献1】特開2004−217397号公報
【特許文献2】実用新案登録第3132197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上述の如き実状に対処し、特にコアレス製品ロールを巻締めるに効果的な方法,装置を見出すことよにりコアレス製品ロールを巻取り後、巻締めて巻径を小さくし、製品ロール外径と、化粧箱内側寸法に余裕をもたせて化粧箱への挿入を容易ならしめることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
即ち、上記目的に適合する本発明方法は、コアレス巻取り製品ロールの両端に製品ロール内径より稍小径の中子を嵌装してチャックで把持し、受け台上に載せる工程、受け台を上昇させ製品ロールと受け台との接触抵抗によるブレーキを与えると共に、チャックの中子に製品ロールの巻層部内面を圧接せしめる工程、圧接後、チャックを製品ロールの巻取の方向に回転させて製品ロール内層から巻締める工程、巻締め完了後、製品ロール胴部を外周側から把持具で把持し、チャックを前記巻取方向と反対方向に回転させ、チャック中子と巻締まった製品ロールの最内側層との間に隙間を作り製品ロールからチャックを抜き取る工程、次いで製品ロール胴部を把持していた把持具を開放する工程の各工程よりなることを特徴とする。
【0005】
請求項2は上記方法を実施するための装置であり、コアレス巻取り製品ロールの両端を把持する、前記製品ロール内径より稍小径の中子を有するチャックと、上記チャックで把持された製品ロールを載せる昇降可能な受け台と、前記チャックを正逆両方向に回転させる回転駆動機構と、チャック引抜き機構および製品ロールの胴部を把持する把持具からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明によりチャックの中子に製品ロールの巻層部内面を圧接させてチャックを回転させることによりコアレスに巻取った製品ロールを巻締めて外径を小さくすることができ、化粧箱に挿入するに際し製品ロール外径と化粧箱内側寸法に余裕をもたせて従来の課題であった製品ロールの化粧箱への挿入を容易ならしめることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、更に添付図面を参照し、本発明の具体的態様を説明する。図1は本発明方法を実施するための装置の概要であり、図においてRはクッキングシートなどを既知のコアレス巻替機あるいは巻取機で巻取ったコアレス製品ロールであり、1はその両端を把持するチャックで、前記製品ロールRの両端に嵌装される中子2を有していて、夫々外方端に設けられたエアーシリンダー3のシャフト4先端に固定されて各エアーシリンダー3により正逆方向への摺動が可能となっており、図の左方への移動時、中子が製品ロールに嵌装され、右方への移動時、チャック1と中子2が製品ロールRより引き抜かれると共に、機枠Fに配設されたモータMより伝動ベルト5を介して駆動される駆動軸6に嵌着されたギヤ7よりチャックと同軸のギヤ8を介して正逆両方向への回転が可能となっている。なお、9は前記製品ロールRをその上に載せる受け台であり、昇降機構10により上下に昇降可能に構成されている。
【0008】
上記の構成において、チャックの中子2は製品ロールR内径より稍小径で余裕を有し、製品ロールR持ち上げ時、該チャックの中子2に製品ロールRの巻層部分が圧接されることが肝要である。もし、小径でなく同径であればチャックが回転しても巻締め効果は起こらない。
【0009】
図2(イ)〜(ホ)は上記装置を用いて製品ロールRの巻締めを行う態様を順序的に示しており、(イ)は巻締めを行うに先立って製品ロールRを受け台9上に載せた状態であり、この状態よりチャック1が前進し、(ロ)に示す如く中子2が製品ロールR内に嵌装され、位置を規制する。この時、製品ロールR内面と中子2外面との間には両者の径の相違から隙間を有している。
【0010】
そこで、次に受け台9を昇降機構10により(ハ)に示すように上昇させ、製品ロールRを持ち上げて製品ロールRと受け台9との接触抵抗によるブレーキを与えると共に、製品ロールRの巻層部内面に中子2を圧接させて、圧接後、チャック1をモータMより伝動ベルト5,駆動軸6及びギヤ7,8からなる一連の駆動機構により製品ロールRの巻取方向に回転させて製品ロールRを内層から巻締める。
【0011】
このようにして製品ロール内層が巻締められて、その内径が2〜3mm程度巻締められると(ニ)に示すように一対の把持部材11a,11bからなる把持具11を用いて巻取締められた製品ロールR′の胴部中央部を外側から把持し、チャック1を前記巻取方向と反対方向に回転させ、チャック1の中子2と巻締められた製品ロールR′最内側層との間に隙間を作ってチャックの回転を停止させ、(ホ)に示すように製品ロールR′からチャック1を抜き取る。
【0012】
そして、チャック抜き取りが完了すると、製品ロール胴部を把持していた把持具11を(ホ)の左図の如く各把持部材11a,11bを離して開放することにより、一連の巻締め工程が完了し、当初のコアレス巻取りの製品ロールの巻径が縮小する。かくして従来、困難視されていた化粧箱への挿入も容易となり、搬送時における難点が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の使用する装置の1例を示す概要図である。
【図2】本発明による巻締めを工程順に示したもので、(イ)は処理前の状態、(ロ)はチャックが前進し位置規正した状態、(ハ)は製品ロールを持ち上げチャックの中子に製品ロール巻層部分を圧接し、巻締めを行なっている状態、(ニ)は巻締め完了後、チャックを逆回転している状態、(ホ)はチャックの回転を停止させチャックを引き抜く状態を夫々示す。なお、(ニ),(ホ)の各(b)は把持具による把持,開放を示す。
【符号の説明】
【0014】
R:製品ロール
R′:巻締められた製品ロール
1:チャック
2:中子
3:エアーシリンダー
4:シリンダーシャフト
5:伝動ベルト
6:駆動軸
7,8:ギヤ
9:受け台
10:昇降機構
11:把持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアレス巻取り製品ロールの両端に製品ロール内径より稍小径の中子を嵌装してチャックで把持し受け台上に載せる工程、受け台を上昇させ、製品ロールと受け台との接触抵抗によるブレーキを与えると共に、チャックの中子に製品ロールの巻層部内面を圧接せしめる工程、圧接後、チャックを製品ロールの巻取方向に回転させて製品ロール内層から巻締める工程、巻締め完了後、製品ロール胴部を外周側から把持具で把持し、チャックを前記巻取方向と反対方向に回転させ、チャック中子と巻締まった製品ロールの最内側層との間に隙間を作り、製品ロールからチャックを抜き取る工程、次いで製品ロール胴部を把持していた把持具を開放する工程の各工程よりなることを特徴とするコアレス巻取り製品ロールの巻締め方法。
【請求項2】
コアレス巻取り製品ロールの両端を把持する前記製品ロール内径より稍小径の中子を有するチャックと、上記チャックで把持された製品ロールを載せる昇降可能な受け台と、前記チャックを正逆両方向に回転させる回転駆動機構と、チャック引抜き機構および製品ロールの胴部を把持する把持具からなることを特徴とするコアレス巻取り製品ロールの巻締め装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−57177(P2009−57177A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227247(P2007−227247)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000154130)株式会社不二鉄工所 (25)
【Fターム(参考)】